本記事では、安中市職員採用試験の面接対策で必要な、安中市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
安中市役所の面接試験では、「なぜ安中市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みを市の仕事でどう活かすのか」といった、市の輪郭を自分の言葉で説明できるかを確かめる質問が想定されます。安中市の採用試験は第2次でディスカッション、第3次で面接という順に進み、対人の場面が二度置かれています。ひとりで話す力と、人の中で話す力の両方が見られる試験です。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と安中市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
安中市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは安中市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口52,958人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・面積276.31km²・人口密度192人/km²の市である。
- 高崎市・富岡市・甘楽郡下仁田町と接し、県境をはさんで長野県北佐久郡軽井沢町とも隣り合う。群馬県の西の端に位置する市である。
- 面積276.31km²は隣接する富岡市の122.85km²の2倍を超える一方、人口は約5万2千人。広い市域に人口が薄く分布している点が、行政サービスを考えるときの前提になる。
- 市役所は〒379-0192 群馬県安中市安中2丁目13番7号に置かれている。団体コードは10211-3。
- 市の花は梅、市の木は杉と松。いずれも山あいの土地柄が反映された選定になっている。
- 市の職員採用試験は、一般試験A・B、専門試験C・D、社会人経験者採用試験E、障害者採用試験Fの6区分で実施され、全区分が第1次から第3次までの3段階構成である(令和8年度)。
- 令和7年度の実施状況は、全区分の合計で申込75人・第1次合格32人・第2次合格16人・第3次合格14人・採用14人であった。
安中市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「安中市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。市の規模を測るときの比較先として、群馬県全体の数値もあわせて載せています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 52,958人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 276.31km² |
| 人口密度 | 192人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 高崎市、富岡市、甘楽郡下仁田町、長野県北佐久郡軽井沢町 |
| 市役所所在地 | 〒379-0192 群馬県安中市安中2丁目13番7号 |
| 市の花・市の木 | 梅・杉、松 |
| (参考)群馬県の総人口 | 1,867,582人(令和7年10月1日現在・国勢調査速報集計/全国第18位) |
| (参考)群馬県の面積 | 約6,362km²(全国第21位・関東地方では第2位。県土の約6割が森林) |
| (参考)群馬県の高齢化率 | 31.3%(令和6年10月1日現在・過去最高) |
安中市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです。群馬県の総人口・面積・高齢化率は群馬県公式サイトおよび県統計課の資料による数値です。市の統計の最新値は、安中市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
安中市の人口密度192人/km²という数字は、市政の性格をよく表しています。隣接する高崎市は793人/km²、富岡市は363人/km²ですから、同じ県西部でも、安中市は人がとりわけ薄く広がっている市だといえます(いずれも住民基本台帳・令和8年1月1日現在。人口密度は総人口÷総面積)。
人口が薄いということは、住民一人に届けるサービスの手間と費用が大きくなるということです。ごみの収集も、除雪も、通学路の安全確保も、距離に比例して負担が増えます。
県全体の人口は令和7年国勢調査の速報集計で1,867,582人となり、令和2年から3.7%減りました(出典:令和7年国勢調査 人口速報集計|令和7年)。母数が減っていく中で、この距離の負担をどう抱えるか。
安中市の行政課題は、多くがこの一点につながっています。同じ市内でも地区によって困りごとが違うという点まで踏み込めると、話に芯が通ります。
次のように言葉にできます。
安中市の経済・産業
森林が6割を占める県の、西の端で
群馬県は日本列島のほぼ中央にある内陸県で、県西・県北の県境に山々が連なり、南東部に関東平野が開けます。県土の約6割が森林に覆われているのが特徴です。
気候の面では、平野部で夏に雷が多く、冬は「空っ風」と呼ばれる冷たく乾いた季節風が吹き、山間部は雪が多くなります。年間日照時間の長さは全国第2位です(出典:ぐんまの概要|群馬県)。
安中市は、この県西の山側に位置します。市の木が杉と松であることも、市域の性格を示す小さな手がかりです。
市域の大部分が平野ではないという条件は、農業のあり方も、道路や上下水道の維持のしかたも、災害時の避難の考え方も左右します。産業や暮らしを語るときは、まずこの地形から入ると話がぶれません。
中山間地を抱える農業県として
群馬県の農業産出額は2,868億円で全国第15位(令和6年)。品目別では、こんにゃくいもが生産量49,700tで全国1位(占有率97%)、キャベツも271,700tで全国1位(占有率21%)と、全国の食卓を支える作物を持っています(出典:群馬県IR資料|令和8年6月)。
一方で、群馬県人口ビジョンは農業分野について、基幹的農業従事者の高齢化と大幅な減少を課題として挙げています。作物の強さと、それを作る人の細りが同時に進んでいるということです。
中山間地を抱える安中市では、この担い手の問題が、耕作されない土地の増加や、集落の維持といった別の課題へつながっていきます。農業に関心があるなら、産出額の大きさではなく、この接続のほうを語るべきです。
隣接する市町で起きていること
安中市の周囲では、いくつかの動きが重なっています。県の資料によれば、令和5年にIHIエアロスペースが本社を富岡市へ移転し、令和4年にはNTTが本社機能の一部を高崎市へ移しました。
どちらも安中市が接する市です。また県境をはさんで隣り合う長野県軽井沢町は、全国的に知られた保養地です。
つまり安中市は、企業の集積が進む市と、観光で人を集める町のあいだに位置しています。この位置は、通勤や観光の人の流れが市内を通ることを意味しますが、通り抜けられてしまう危険とも背中合わせです。
通過する人を、立ち止まる人に変えられるかという問いは、面接で市の将来を語るときの一つの切り口になります。
安中市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、安中市を含む群馬県内の市町村が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
減少の速度そのもの
群馬県版総合戦略の人口ビジョンは、国立社会保障・人口問題研究所の推計として、県人口が2020年の192.6万人から2040年に163.8万人へ20年間で28.8万人減り、2060年には128.8万人にまで加速度的に減少するとの見通しを示しています(出典:群馬県人口ビジョン|令和2年3月)。40年で3分の1近くが失われる計算です。
人口5万2千人規模で市域の広い安中市にとって、この速度は、施設や路線をいつまで今の形で維持できるかという具体的な期限の問題として表れます。
高齢者が地域で暮らし続けるための環境
群馬県の老年人口(65歳以上)割合は令和6年10月1日現在で31.3%(579,228人)と過去最高になりました(出典:群馬県年齢別人口統計調査|令和6年)。県の人口ビジョンは、老年人口の増加に伴い、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、医療・介護・住まい・公共交通・生活支援を地域で提供する環境の整備が課題になるとしています。
この5つの要素のうち、人口密度192人/km²の市でとりわけ重くのしかかるのが公共交通です。移動できなければ、医療も買い物も生活支援も届きません。
財政という前提条件
群馬県は昭和32年度以降68年間連続で黒字決算を続けており、計画的な県債発行により県債残高は令和4年度から5年連続で減少する見込みだとしています。
令和6年度決算では実質公債費比率9.2%が全国第9位(全国平均10.1%)、将来負担比率130.0%が全国第12位(全国平均144.1%)と、いずれも全国平均より良好な水準です(出典:群馬県IR資料(財政)|令和8年6月)。
ただし、これは県の話であって、市町村の財政がそのまま同じ状態にあるという意味ではありません。むしろ人口規模の小さい市ほど、自前の税収で賄える割合は小さくなります。
面接で財政に触れるなら、安中市の規模で何ができて何が難しいのかという現実的な線引きを意識したほうが、答えに説得力が出ます。
山あいを含む市域での地震の想定
群馬県地震被害想定調査報告書(令和8年3月)は、想定地震を「深谷断層帯・綾瀬川断層」「片品川左岸断層」「太田断層」「大久保断層」「六日町断層帯」「長野盆地西縁断層帯」の6つに増やし、加えて全35市町村の役場直下でマグニチュード6.9の地震が起きた場合の被害も想定しました。
県全体で最大となるのは深谷断層帯・綾瀬川断層の地震で、冬18時・強風時に死者4,028人、負傷者31,674人と予測されています(出典:群馬県地震被害想定調査報告書 概要版|令和8年3月)。役場直下の想定は全35市町村が対象ですから、安中市もその一つに数えられています。
山あいの地区では道路の寸断で孤立が生じやすいことも含め、市のハザードマップで自分の地区の想定を確認しておきましょう。
安中市の重点政策|群馬県の見通しと安中市
安中市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。
ここでは、県が見込む今後の姿と、採用情報にたどり着く道筋をたどります。距離の負担を抱える市の判断材料が、どこにあるのかを確かめる作業です。
県の見通しの中に市を置いて読む
群馬県人口ビジョンは、人口減少によって民間事業者の経営環境が厳しくなり、身近な生活圏での生活サービスの提供が困難になる場合があること、高度な医療など一定の人口集積を必要とする都市機能の維持が難しくなる場合があること、利用者の減少により住民一人当たりのインフラ維持管理費が増えるおそれがあることを課題に挙げています。
この3つは、人口5万2千人規模で市域の広い安中市に、そのまま当てはまる論点です。市の計画を読むときは、これらの課題に市がどの順番で答えようとしているかという目線で見てください。
総合計画に書かれた施策の並び順は、市が何を先に守ろうとしているかの表明でもあります。
安中市の採用情報をどこで見るか
安中市の職員採用試験の情報は、市公式サイトに掲載される試験案内で確認します。押さえておきたいのは、市が公表する範囲をはっきり示していることです。
試験案内には「過去の試験問題は公表していません。また、試験内容、試験時間についても、試験案内に掲載されている内容以外は公表していません」と明記されています(出典:安中市職員採用試験案内|令和8年度)。
つまり、案内に書かれていることが情報のすべてです。裏を返せば、案内を隅々まで読み込んだ人と、流し読みした人の差がそのまま出ます。
なお、市の人材育成に関する方針を掲載していたページは現在アクセスできない状態にあるため、求める職員像にあたる文言は、現在公開されている資料の範囲で確認してください。
POINT|学歴区分の判定を先に済ませる
安中市の一般試験は行政Ⅰ種(A)と行政Ⅱ種(B)に分かれ、学歴の扱いが細かく決められています。2年制の短期大学・専門学校の卒業(見込み)は行政Ⅰ種、1年制の専門学校等は行政Ⅱ種。大学中退の場合は2年以上在学かつ62単位以上取得で行政Ⅰ種、62単位未満なら行政Ⅱ種です。区分を誤れば教養試験の程度も変わります。志望動機を考える前に、自分がどの区分に当たるかを確定させておきましょう。
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 安中市職員採用試験の受験案内(受験する年度・試験区分のもの。掲載内容が情報のすべてになる)
- 安中市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
- 市のハザードマップ(山あいの地区の孤立リスクを知る材料として)
- 群馬県の人口ビジョン、県の統計資料(市政の背景を知る参考として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、安中市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。安中市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
安中市役所の面接の概要
ここからは、安中市役所の採用試験の流れと、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
安中市役所の試験の流れ
令和8年度(令和9年4月1日採用)の安中市職員採用試験は6区分で実施され、全区分が第1次から第3次までの3段階構成です。特徴は、第2次試験が「ディスカッション」、第3次試験が「面接」と分けて示されている点にあります。
| 項目 | 内容(令和8年度・令和9年4月1日採用) |
|---|---|
| 試験区分 | 一般試験A=事務職・技師職【行政Ⅰ種】、B=事務職・技師職【行政Ⅱ種】、専門試験C=土木技術、D=建築士、社会人経験者採用試験E=事務職・技師職【行政Ⅲ種】、障害者採用試験F=事務職の6区分 |
| 第1次試験(A) | 教養試験(短期大学卒業程度。時事、社会・人文、自然、文章理解、判断・数的推理、資料解釈)、性格特性検査、作文試験 |
| 第1次試験(B) | 教養試験(高等学校卒業程度。時事、社会・人文、文章理解、判断・数的推理、資料解釈)、性格特性検査、作文試験 |
| 第1次試験(C・D) | 専門試験、性格特性検査、作文試験 |
| 第1次試験(E・F) | 職務能力試験(論理的に思考する力、文章を正確に理解する力、統計等の資料を分析する力、国内外の社会情勢への理解等を確認する出題)、職務適応性検査、作文試験 |
| 第2次試験 | ディスカッション(全区分共通) |
| 第3次試験 | 面接(全区分共通) |
| 採用予定人数 | 一般試験A・B合わせて10名程度。土木技術・建築士・行政Ⅲ種・障害者採用試験(事務職)はいずれも若干名 |
| 申込方法 | 原則インターネット申込(電子申請)。市ホームページの「職員採用試験申込フォーム」から行う |
| 申込時の登録データ | 顔写真データ(申込前6か月以内に撮影、無帽・正面・上半身・無背景、縦4対横3程度)、各手帳の画像データ(障害者採用試験)、各資格者証の画像データ(専門職試験) |
| 合格後の提出書類 | 職種・試験区分ごとに成績証明書、卒業証明書、職務履歴書、各種資格者証の写し等。提出できない場合は採用されない |
| 採用の仕組み | 合格者は採用候補者名簿に登録され、欠員に応じて成績順に採用される |
| 初任給 | 大学卒業232,000円、短期大学卒業216,500円、高等学校卒業200,300円(令和8年4月1日現在) |
上記は令和8年度の安中市職員採用試験案内にもとづくものです。安中市は、試験案内に掲載されている内容以外の試験内容・試験時間を公表していません。各試験の配点や、第3次試験の面接が個別面接か集団面接かの別も案内では確認できていません。受験の際は、必ず最新の受験案内でご自身の区分の試験情報をご確認ください。
令和7年度の実施状況
安中市は前年度の実施状況を試験案内で公表しています。区分ごとの通り方の違いがはっきり出ているため、目を通しておく価値があります。
| 区分 | 申込 | 1次合格 | 2次合格 | 3次合格 | 採用 | 競争倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事務職・技師職【行政Ⅰ種】 | 44人 | 19人 | 10人 | 8人 | 8人 | 5.5倍 |
| 事務職・技師職【行政Ⅱ種】 | 4人 | 2人 | 2人 | 2人 | 2人 | 2.0倍 |
| 土木技術 | 2人 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | 2.0倍 |
| 建築士 | 0人 | - | - | - | - | - |
| 事務職・技師職【行政Ⅲ種】 | 18人 | 8人 | 3人 | 3人 | 3人 | 6.0倍 |
| 事務職【障害者】 | 7人 | 2人 | 0人 | 0人 | 0人 | - |
| 合計 | 75人 | 32人 | 16人 | 14人 | 14人 | - |
行政Ⅰ種は申込44人に対し第1次合格が19人ですから、最初の関門で半分以下に絞られています。一方で第2次の10人から第3次の8人へは、それほど大きく減っていません。
数字だけを見れば、筆記と作文で残ることが前提条件になり、その先は少人数での勝負になる形です。年度によって状況は変わりますが、対策の重心を決める材料にはなります。
安中市役所が求める人物像
当研究会が読んだ限り、令和8年度の安中市職員採用試験案内に、求める人物像を掲げた項目はありません。そこで、案内に書かれた試験の並びから、見られている力を推し量ります。
第1次にどの区分でも作文試験が置かれ、第2次がディスカッション、第3次が面接という並びは、書く力、人の中で話す力、一対一で話す力を順番に確かめる設計です。加えて、合格者は採用候補者名簿に登録され欠員に応じて成績順に採用される仕組みですから、選考の各段階での評価がそのまま積み上がっていきます。
対策として押さえる点に置き換えれば、「自分の考えを文章の形にまとめる力」「議論の中で役割を見つける力」「地域の事情を具体的に語れること」の3点が軸になります。自己PRに「責任感があります」と置くのではなく、自分が動かした事柄と、それによって周りに起きた変化を、作文でも面接でも同じ筋で語れるようにしておきましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。安中市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどのくらい時間をかけて来ましたか | 構えていない場面での声の出し方と表情。会話の入り方 |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく行政を選んだ理由は何ですか | 待遇以外の言葉で職業選択を説明できるか |
| ③ 自己理解 | 自分の短所と、どう付き合っていますか | 弱みを認めた上で、対処のしかたまで語れるか |
| ④ 経験・行動 | 計画どおりに進まなくなった経験を教えてください | 想定外の場面で何を考え、どう動いたか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んできたことを、知らない人に説明してください | 相手の前提に合わせて言葉を選べるか |
| ⑥ 適性・将来 | 5年後、どんな職員になっていたいですか | 仕事への理解の解像度と、成長の道筋の描き方 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 住民の意見が二つに割れたとき、行政はどうすべきだと思いますか | 公平さについての自分なりの考えを述べられるか |
ただし、この7カテゴリーは安中市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「安中市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「安中市役所ならでは」の質問
どちらも安中市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「安中市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい安中市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と位置 | 人口52,958人、面積276.31km²、人口密度192人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。高崎市・富岡市・下仁田町と接し、長野県軽井沢町とは県境をはさんで隣り合う | 「自然が豊かです」で止めず、192人/km²という薄さが行政サービスの届け方をどう変えるかまで踏み込みます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 県は約6,362km²の県土全体を見るが、安中市は5万2千人の暮らしと、山あいを含む276.31km²の市域を直接担う | 県と市の役割の違いを述べて終わらせず、地区ごとに事情が違う市で自分が足を運びたい場所を具体的に挙げます |
| 市の課題 | 県人口は社人研推計で2040年163.8万人、2060年128.8万人まで減る見通し。県の人口ビジョンは医療・介護・住まい・公共交通・生活支援を地域で提供する環境整備を課題とする | 人口減少という言葉で止めず、5つの要素のうち移動手段を起点に、安中市で何から手をつけるべきかを述べます |
| 産業と地域の資源 | 群馬県の農業産出額は2,868億円で全国第15位、こんにゃくいもとキャベツは全国1位。県土の約6割が森林で、年間日照時間は全国第2位 | 県の産出額を紹介するのではなく、中山間地を抱える市で担い手の高齢化にどう向き合うかという角度に寄せます |
| 試験への向き合い方 | 市は試験案内に掲載した内容以外の試験内容・試験時間を公表していない。令和7年度は行政Ⅰ種で申込44人・採用8人・競争倍率5.5倍 | 情報が限られる中で自分がどう準備を組み立てたかを話し、案内を読み込んだ具体的な行動として示します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の「評価されやすい資質」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 自分の考えを文章の形にまとめる力 | 第1次の作文試験と、面接での説明の筋道が一致しているか | 安中市は全区分の第1次に作文試験を課します。市の課題を一つ選び、結論から先に書く形でまとめる練習を繰り返しておく |
| 議論の中で役割を見つける力 | 第2次のディスカッションで、場に足りない役回りを取れるか | 安中市の第2次はディスカッションです。意見を出す役だけでなく、論点を整理する役や時間を見る役も想定し、どの立場でも動けるようにしておく |
| 地域の事情を具体的に語れること | 第3次の面接で、市域のどこを見てきたかが答えに表れるか | 面積276.31km²の中で高崎市寄りの地区と山あいの地区では課題が違います。実際に一つの地区を歩き、そこで気づいたことを話せるようにしておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 安中市の職員採用の案内を入手し、自分がどの試験区分に該当するかを学歴の条件から確定させる。区分によって教養試験の程度が変わる
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、安中市の市域の広さと県西部という位置から、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習する。ディスカッションで場に貢献する話し方と、面接で一人で語る話し方を、それぞれ別に用意しておく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、安中市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
安中市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
安中市は、試験案内に書いたこと以外は公表しないと明言している市です。手に入る情報が限られるぶん、案内を読み込んだ人とそうでない人の差が、そのまま結果に出やすくなります。
まず自分が行政Ⅰ種か行政Ⅱ種かを確定させ、第1次に作文があること、第2次がディスカッションであること、第3次が面接であることを頭に入れてください。
そのうえで、人口5万2千人が面積276.31km²に薄く広がり、県境の向こうには軽井沢町があるという市の姿を、自分の関心と結び付けてみる。令和7年度の行政Ⅰ種は申込44人から8人が採用された試験です。その8人に入るのは、市の事情を自分の見聞きした言葉で話せる人になります。