上山市消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴基礎データ管轄地域の災害リスク消防課題重点方針)と、面接本番の流れ想定される質問評価の観点を、1ページに整理しました。

上山市消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ上山市消防本部なのか」「自分の強みや経験を消防の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。管轄地域の災害リスクや本部の実情を知っておくことで、どの消防本部にも当てはまる一般論を避け、上山市に固有の事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

この記事で押さえた材料をもとに、自分の強みや関心と上山市消防本部の仕事との接点を考え、面接での回答づくりに役立ててください。

第1部|組織研究編

上山市消防本部の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは上山市消防本部の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 上山市消防本部は、上山市が単独で設置する消防本部で、管轄区域も上山市のみ。採用は上山市職員採用試験の消防士区分として実施され、行政職・土木職・建築職などと同じ受験案内にまとめられている。
  • 管内人口は26,978人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で、高齢化率は41.4%と県内でも高い水準にある。
  • 消防吏員は55名(うち女性1名・令和7年4月1日現在)が在籍する、県内でも小規模な本部である。
  • 令和6年中の出動件数は、火災12件に対して救急1,682件、救助22件と、救急が大半を占める。
  • 消防士の募集区分は「一般採用」「消防士経験者・救急救命士採用」の2つで、いずれも高校卒業程度である。
  • 消防士のみ、視力・聴力・色覚に関する身体要件が定められている点も特徴の一つである。
  • 上山市は「5年連続で、自治体としては山形県で唯一『健康経営優良法人』に認定」されていることを採用ページで公表している。

上山市消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「上山市消防本部の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

次の表には、管内人口と消防吏員の体制、そして出動件数という、この本部の規模と仕事の量を語るのに欠かせない項目を集めました。

項目内容
管轄区域上山市
管内人口26,978人(高齢化率41.4%)
消防吏員数55名(うち女性1名)※令和7年4月1日現在
救急出動件数1,682件(令和6年中)
火災出動件数12件(令和6年中)
救助出動件数22件(令和6年中)

管轄区域・消防吏員数・出動件数は総務省消防庁の公表データ(令和7年4月1日現在・令和6年中)によります。管内人口・高齢化率は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の値です。

数字から見える上山市消防本部の仕事量

ひときわ大きいのは救急の数字です。火災の出動が年間12件であるのに対し、救急出動は1,682件と、140倍を超える開きがあります。管内人口が3万人に満たない小規模な管轄でも、消防の仕事の中心は救急にあることがよくわかります。

高齢化率41.4%という数字は、55名という限られた人員でどう救急需要を支えていくかという課題にも直結します。県内の他本部と比べても高い水準にあることを、志望動機の材料として押さえておきましょう。

人口規模は小さくても、一人ひとりの消防吏員が担う役割の重さは、大規模な本部以上かもしれません。この視点は面接でも生きてきます。

「上山市消防本部の管内人口は3万人に届きませんが、令和6年中の救急出動は1千7百件近くにのぼると聞きました。高齢化率も4割を超えていますので、少ない人数でも救急にしっかり対応できる体制づくりが大切なのではと感じています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 上山市は山形盆地の南端に位置し、村山地方に属する内陸の温泉地。山形市や中山町など複数の市町と接している。
  • 管内人口は前章のとおり26,978人で、高齢化率は41.4%(令和8年1月1日現在)と山形県内でも高い部類に入る。
  • 令和7年国勢調査速報によると、山形県の総人口はこの5年間で7.0%減少しており、村山地方を含む県内すべての市町村で人口が減少している(出典:令和7年国勢調査人口速報集計|山形県

つまり上山市消防本部は、県内でも高齢化が進む温泉地を、55名という小規模な体制で支える本部だと整理できます。地域との距離の近さが、この本部の特徴の土台になっています。日常的に住民と顔を合わせる機会が多いことは、大規模な本部にはない強みでもあります

地震のリスク

山形盆地断層帯は、大石田町から山形市を経て上山市に至る全長約60kmの断層帯で、北部・南部いずれもマグニチュード7.3程度の地震が想定されています。上山市はこの断層帯の南端にあたります。

(出典:山形盆地断層帯|地震調査研究推進本部山形県は、この山形盆地断層帯に新庄盆地断層帯・長井盆地西縁断層帯・庄内平野東縁断層帯を加えた4つの断層帯を想定震源とし、想定震度を示す地震ハザードマップを公表しています。(出典:地震ハザードマップ|山形県

上山市消防本部の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、上山市消防本部が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の3つを押さえておきましょう。

救急需要の増加

救急出動は全国的に増え続けており、令和6年中は771万8,380件と集計開始以降の最多を更新しました(出典:令和7年版 救急・救助の現況。上山市消防本部の1,682件(令和6年中)もこの流れの中にあり、高齢化率41.4%という管内の人口構成を踏まえると、救急需要は今後も高い水準で推移すると見込まれます

地震への備え

山形盆地断層帯の南端に位置する上山市で大規模地震が発生すれば、上山市消防本部は全国から駆けつける緊急消防援助隊を管内に迎える立場になり得ます。緊急消防援助隊には、全国の消防本部の約99%にあたる718本部から6,661隊が登録されています(令和6年4月1日現在・出典:令和6年版 消防白書|総務省消防庁)。

小規模な本部だからこそ、応援を受け入れる体制を日頃から意識しておくことも大切です。限られた人員でどこまで初動対応できるかを、平時の訓練でしっかり確かめておくことも欠かせません

人材確保と女性吏員の活躍

55名の消防吏員のうち女性は1名で、割合は約1.8%にとどまります。全国平均は約3.8%(168,230人中6,386人・令和7年4月1日現在)で、国は令和8年度当初までに5%とする目標を掲げています(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁

55名という小さな組織だからこそ、一人ひとりの活躍が組織全体に大きな影響を与えます。性別にかかわらず長く働き続けられる環境かどうかも、志望を決める際に確かめておきたい視点です

重点方針|上山市がめざす職員像

上山市消防本部そのものの重点目標にあたる単独の公表文書は見当たりませんが、上山市が「上山市人材育成基本方針」で公表する「目標とする職員像」は、消防士を含む全職員に向けたものとして参考になります。

目標とする職員像

上山市は、時代に的確に対応し自ら知恵を出し変革と創造にチャレンジし続ける職員、専門的な知識を持ち懇切丁寧で柔軟な対応ができる職員、広い視野で物事を捉えスピードをもって課題解決にあたる職員、地域を愛し考え・語り・行動できる職員、市民の立場で考え市民とともにまちづくりを進める職員という5つの職員像を掲げています(出典:上山市職員採用ページ。消防士として働くうえでも、この5つは面接準備の物差しとして使えます。

将来都市像と健康経営

上山市は将来都市像として「つながりつなげる いろどりのまち かみのやま」を掲げ、まちづくりを自分ごととして取り組む市民を増やすことの重要性を示しています。

また、5年連続で山形県内の自治体として唯一「健康経営優良法人」に認定されていることも公表しており、職員自身の健康づくりを重視する姿勢がうかがえます。24時間体制で働く消防士にとっても、自身の体調管理は日々の仕事の質に直結する大切なテーマです

POINT|5つの職員像を自分の経験に接続する

5つの職員像をすべて丸暗記するのではなく、自分の経験に照らして特に当てはまるものを1つか2つ選び、なぜそう思うのかを具体的なエピソードとあわせて説明できるようにしておきましょう。

悪い例「人の命を守りたいので、上山市消防本部を志望します」

改善例「上山市は市民の立場で考え、ともにまちづくりを進める職員を求めていると知りました。体力検査に向けて鍛えてきた力を生かして現場で対応しながら、住民に近い距離で信頼される消防士をめざしたいです」

あわせて確認したい公式資料

下の3点は、手続の確認用と志望動機づくり用の役割に分かれます。手続の確認は早めに一度済ませ、志望動機づくりの材料は回答を練るたびに読み返すと効果的です。年齢要件や身体要件は年度ごとに見直されることがあるため、最終的には必ず最新版の内容をよくご確認ください。

  • 上山市の職員採用試験受験案内(令和8年度・消防士を含む全職種共通)
  • 上山市人材育成基本方針・採用ページの「目標とする職員像」
  • 山形盆地断層帯・地震ハザードマップに関する公式ページ

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字をただ丸暗記しただけの状態では、面接本番での深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、上山市消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。上山市消防本部の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

上山市消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

上山市消防本部の面接の概要

ここからは、上山市消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

上山市消防本部の面接の流れ

上山市消防本部の消防吏員の採用は、上山市職員採用試験の消防士区分として実施されます。第1次試験は全職種共通のSPI3で、消防士だけがこれに加えて体力検査を受けるという構成が特徴です。

項目内容(令和8年度・消防士)
試験の段階2段階制。第1次=SPI3(全職種共通)・体力検査(消防士のみ)、第2次=面接
体力検査握力・上体起こし・腕立て伏せ・反復横とび・立ち幅とびの5種目
面接の種類消防士は個別面接のみ(行政職は集団面接と個別面接の両方を実施)
身体要件視力(矯正含み左右0.3以上・両眼0.7以上)、聴力正常、赤・青・黄色の識別
提出書類受験申込書・受験票(救急救命士資格保有者は資格証の写しも提出)

身体要件が明確に示されている点は、他の職種の受験案内にはない消防士ならではの特徴です。試験結果は不合格者本人の請求により開示され、開示内容は第1次試験・第2次試験ともに総合順位です。消防士の初任給は高校新卒者で208,600円(令和8年4月1日現在)で、申込みは電子申請ではなく、受験申込書に写真を貼付して持参または郵送する方式です。

上記の試験構成は、上山市が公表する令和8年度の職員採用試験情報にもとづく消防士のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって毎年のように細かく異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身が該当する区分の最新の試験情報をあらためてご確認ください。

上山市消防本部が求める人材

上山市消防本部そのものの人物像は公表されていませんが、前章で紹介した上山市の「目標とする職員像」5項目が、消防士にも共通する物差しになります。

あわせて、55名という小規模な組織では、未経験の業務でも自分から調べ、周囲に確認しながら着実に形にしていく力が、日々の仕事の土台になります。

住民と日常生活でも顔を合わせる距離の近さがあるため、日頃からの丁寧で誠実な対応も欠かせません。採用予定人数が「若干名」にとどまる区分だからこそ、少人数の組織にどう溶け込み、長く働き続けたいかを、自分の言葉で具体的に語れるようにしておきましょう

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。上山市消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ上山市消防本部を志望するのですか?消防官という仕事と上山市という土地を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自己分析の深さと、弱みへの向き合い方に人柄が表れます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください壁にぶつかった経験から何を学んだかが、現場対応力の判断材料になります
⑤ 学業・経歴体力検査に向けて、どのような準備をしてきましたか?握力や反復横とびなど、具体的な種目への取り組み方と計画性
⑥ 適性・将来視力や色覚の要件について理解していますか?身体要件を正しく理解したうえで受験しているかという基本的な確認
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

この7カテゴリーの土台自体は、大規模な本部でも、55名規模の小さな本部でも大きくは変わりません。差がつくのは、この先に続く上山市消防本部に固有の質問にどこまで具体的に答えられるかです

合否を分けるのは上山市消防本部に固有の質問

「なぜ警察官や自衛官ではなく、消防官なのですか?」
「上山市消防本部の管轄地域で、特に注意すべき災害にはどのようなものがありますか?」

2問目のような固有質問は、上山市を具体的に調べていなければ答えに窮する質問です。答えを支える材料は、上山市消防本部の実データから前もって組み立てられます。

質問テーマ知っておきたい上山市消防本部の事実答え方のヒント
想定される災害(地震)山形盆地断層帯の南端にあたり、M7.3程度の地震が想定されている(詳細は第1部3章)断層帯の名前を挙げるだけでなく、55名という体制でどう備えるかまで考えを述べられると印象が変わります
救急需要の増加令和6年中の救急出動は1,682件で火災の140倍を超える。高齢化率は41.4%と県内でも高水準(数値の詳細は第1部2章・4章)件数に加えて、高齢化という構造的な背景まで接続すると説得力が増します
身体要件視力・聴力・色覚に関する要件が明示されている(詳細は第2部1章)要件を正確に理解し、自分が満たしていることを説明できるようにしておきましょう
目標とする職員像市が「目標とする職員像」5項目を公表している(詳細は第1部5章)5項目のうち特に共感するものを、自分の経験と結び付けて話せるようにしましょう
健康経営優良法人山形県内で唯一、5年連続で健康経営優良法人に認定されている(詳細は第1部5章)24時間体制の仕事だからこそ、自身の健康管理への意識を示せると好印象です

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 消防官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

上山市消防本部は、配点までは公表していませんが、「目標とする職員像」という公表された指針があるため、これを軸に評価の観点を整理できます。加えて、公務員試験で広く用いられるコンピテンシー評価の視点、つまり過去の行動事実から入庁後の再現性を判断する考え方も、準備の一つの軸になります。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
柔軟な対応力専門的な知識を持ち、懇切丁寧で柔軟な対応ができた経験があるか相手の状況に応じて自分の対応を変えた具体的な場面を用意しておく
地域への愛着地域を愛し、考え・語り・行動できているか上山市や自分の出身地域で、実際に行動した経験を話せるようにする
市民目線での行動市民の立場で考え、ともにまちづくりを進める姿勢があるか相手の立場に立って動いた経験を、結果だけでなく過程も含めて説明する

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和8年度の受験案内を読み、自分が該当する試験区分(一般採用/消防士経験者・救急救命士採用)と身体要件、提出書類を確認する
  2. 高校・大学生活を棚卸しする。誰かと役割を分けて動いた場面と、壁にぶつかって粘った場面を1つずつ選び出す
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、事実から自分の問題意識、消防官としてやりたいことへの一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。体力検査に向けた体づくりは、生活のリズムに組み込む形で続けておく

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で上山市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、上山市消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

上山市消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに残された時間があまりない方は、必要に応じてご活用ください。

上山市消防本部の想定問答集を見る

さいごに

上山市消防本部は、上山市のみを管轄する55名規模の本部で、消防士は第2次試験が個別面接のみという他の職種とは異なる選考を経ます。視力・聴力・色覚といった身体要件が明確に示されている点、そして市が「目標とする職員像」を公表している点は、この本部を志望するうえで押さえておきたい特徴です。

山形盆地断層帯の南端に位置し、高齢化率が4割を超える管内で、限られた人員が救急を中心に地域を支えています。

少人数の組織だからこそ、自分がどう溶け込み長く働きたいかを、自分の経験に引きつけて語れるように準備してください。一人でも多くの方が、上山市消防本部で新しい一歩を踏み出せますように。