本記事では、長井市職員採用試験の面接対策で必要な、長井市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

長井市役所の面接では、「なぜ長井市を志望したのか」「市職員としてどんな仕事に取り組みたいのか」「自分の経験を長井市政でどう活かせるのか」といった、市の実情を知らなければ答えにくい質問が想定されます。令和8年度の行政(高校卒業程度)の第1次試験はSPI3で、市自身が「特別な公務員試験対策を必要としない試験」と説明しています。

筆記の負担が軽い試験ほど、人物と志望動機の比重は重くなります。本記事の内容を手がかりに、自分の経験と長井市の仕事がどこで結び付くのかを考えながら読み進めてください。

第1部|自治体研究編

長井市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは長井市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口23,895人、市域は214.67km²、人口密度は111人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。山形県の4地域区分では置賜地域に属する。
  • 南陽市と、白鷹町・飯豊町・小国町・川西町・朝日町の6つの市町に隣接している。
  • 市役所は長井市栄町1番1号にあり、職員採用は人事委員会ではなく総務課職員係が所管している。
  • 市長あいさつは、「安心して自分らしく暮らせるインクルーシブなまちづくり」を市がめざす姿として掲げている。
  • その象徴として、令和6年4月に長井市すみれ学園(児童発達支援・放課後等デイサービスを行う多機能型事業所)を清水町から旧市役所本庁舎跡地へ移設し、新たに看護師を配置して医療的ケアが必要なこどもの受け入れを開始した。
  • 職員採用の呼びかけも、「“しあわせに暮らせるまち 長井”をともに創る仲間を募集します!」という言葉で書かれている。
  • 令和8年度に募集一覧へ掲載されている職員採用試験は「行政(高校卒業程度)」と「行政(再度任用)」の2つ。再度任用は長井市職員を退職した人を対象とする別枠の試験である。
  • 令和7年4月1日採用の試験では、第1次がSPI3、第2次が小論文・集団討論(面接)・個別面接という構成だった。
  • 市の花はアヤメ(推奨花はハギ)、市の木はツツジ(推奨木はサクラ)。

長井市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「長井市がどのくらいの規模の自治体なのか」をつかんでおくことは重要です。

ここでは人口・面積・人口密度といった基礎的なプロフィールを整理し、比較の物差しとして置賜地域と山形県全体の数値も並べました。市の規模を県内での位置づけとあわせてつかんでおくと、志望動機を組み立てるときの土台になります。

項目内容
総人口23,895人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積214.67km²
人口密度111人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体南陽市・白鷹町・飯豊町・小国町・川西町・朝日町
市役所所在地長井市栄町1番1号
市の花/市の木アヤメ(推奨花はハギ)/ツツジ(推奨木はサクラ)
(参考)置賜地域の人口185,769人(令和7年10月1日現在)
(参考)山形県の総人口993,127人(令和7年10月1日現在)
(参考)山形県の総面積9,323.15km²(全国第9位)
(参考)山形県の市町村数35市町村(13市19町3村)

長井市の面積・隣接自治体・市の花木は、当研究会が整備する自治体データベース(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)による値です。市が公表する推計人口とは基準日や集計方法が異なる場合がありますので、面接で数値に触れる際は長井市公式サイトの最新値もあわせてご確認ください。置賜地域と山形県の人口は令和7年国勢調査人口速報集計、県の総面積と市町村数は山形県公式のプロフィールによる値です。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

山形県の総人口は令和7年10月1日現在で993,127人、総面積は9,323.15km²です(出典:令和7年国勢調査 人口速報集計|山形県山形県について|県公式プロフィール

ここから県全体の人口密度を割り出すとおよそ107人/km²で、長井市の111人/km²は県の平均とほぼ同じ水準です。一方、同じ速報集計による置賜地域の人口は185,769人ですから、長井市はこの地域に暮らす人のおよそ8人に1人が住む市ということになります。

この位置づけは、仕事の考え方に直結します。長井市の中だけを見ていると、通学、通院、買い物、就職といった暮らしの動きは説明しきれません。

置賜地域という広がりのなかで、長井市がどの役割を担うのか。そこまで視野に入れて話せると、面接の受け答えが一段深くなります。

もう一つ、人口2万人台という規模も押さえておきましょう。令和7年4月1日採用の試験では、行政・土木(大学卒業程度)と保健師をあわせた採用予定が5人程度でした。

一つの部署が受け持つ分野が広く、住民との距離も近いという条件のもとで働くことになります。

「長井市は人口が2万3千人ほどで、置賜地域に暮らす人の8人に1人が住んでいると知りました。通学や通院で近くの市や町へ動く人も多いと思いますので、長井市の中だけで考えず、まわりの町とのつながりも意識して働きたいと考えています」

長井市の経済・産業

県全体の経済という土台

長井市の産業は、山形県の経済という土台の上で動いています。県全体の姿を先に押さえておけば、産業や雇用の話題になったときに軸を見失わずにすみます。

市内の企業や農業の状況は、市の広報紙や公式サイトで自分の目で拾い、この県の枠組みに重ねてみてください。

  • 令和元年度の県内総生産は4兆3,367億円。産業別の構成比は製造業25.6%が最も高い。
  • 製造品出荷額等の業種別内訳(令和元年)は電子部品・デバイスが最多で、情報通信・食料品・化学がこれに続く。
  • 産業別の就業人口構成比(令和2年国勢調査)は、第1次産業8.8%・第2次産業28.7%・第3次産業62.6%

ここから読み取れるのは、稼ぎの柱は製造業でありながら、働く人の6割超は第3次産業にいるという二重の構造です。付加価値を生む産業と、雇用を吸収する産業が別だということ。

この理解があると、「地域の産業をどう支えるか」という問いに、企業への支援と暮らしのサービスの両面から答えられます(出典:山形県産業の現状|令和元年度

山形県を代表する農産物であるさくらんぼについては、県が栽培面積・収穫量・産出額などの生産流通統計を継続して公表しています。農業は県内各地域の基幹産業のひとつですので、農業や食に関心があるなら、長井市の主な農産物と担い手の状況を市の公式サイトや広報紙で確かめておきましょう。

観光と人の流れ

山形県の主要観光地における観光者数は、令和6年度が4,128万9千人で、令和5年度比6.8%増、令和元年度比では8.9%減でした。増加の要因のひとつとして、訪日外国人の受入延人数が2年連続で過去最高となったことが挙げられています(出典:主要観光地の観光者数|令和6年度

感染症拡大前の水準にはまだ届いていない一方で、外国人客の回復が県全体を押し上げている。これが直近の姿です。

長井市の観光や交流人口を志望動機に据えるなら、市の花であるアヤメのように季節と結び付いた資源をどう年間の人の流れにつなげるかという視点で考えると、話が具体的になります。

置賜という広がりのなかで

長井市は南陽市と、白鷹町・飯豊町・小国町・川西町・朝日町に接しています。人口2万人台の市が単独で医療も交通も雇用も完結させることは現実的ではありません

公共交通の維持、医療や福祉の分担、災害時の相互応援。いずれも近隣の市町と組んで進める分野です。

志望動機でこうしたテーマに触れるなら、市域の内側だけで話を閉じないよう意識しておきましょう。

長井市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえて、長井市が山形県内の市として向き合う課題を4つに整理します。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして使ってください。

県が最重要課題と位置づける人口減少

山形県の総人口は令和7年10月1日現在で993,127人となり、令和2年の国勢調査から74,900人(7.0%)減りました。同じ速報集計では県内の全市町村が人口減少となっています。

県が令和7年3月に策定した第4次山形県総合発展計画の後期実施計画は、若年層を中心とした社会減と少子高齢化による自然減が続く人口減少を「最重要課題」と位置づけ、減少スピードの緩和に粘り強く取り組むとしています(出典:第4次山形県総合発展計画 後期実施計画|令和7年3月策定

長井市がこの流れのなかでどう推移しているかは、市が公表する人口統計で必ず自分で確かめておきましょう。県の分析をそのまま市の課題として語ると、裏づけのない話になってしまいます

若い世代の県外流出

山形県人口ビジョンは、県内高校卒業生のうち大学等進学者の約69%、就職者の約22%が県外へ進み、卒業生全体では約53%が県外へ転出していると示しています(出典:山形県人口ビジョン進学や就職で一度県外に出た人がどれだけ戻るかが、地域の担い手の数を左右するということです。

受験生にとって、これは他人事ではありません。令和7年4月1日採用の試験では、受験資格に採用後に市内へ居住できることが条件として置かれていました。

「なぜここで働き、ここで暮らすのか」という問いは、長井市の面接で自然に出てくる話題だと考えておきましょう。

高齢化と、支える側をどう確保するか

国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計に基づく山形県の分析(令和6年報告)では、およそ10年後の2035年に県人口は88.6万人となり、総人口に占める65歳以上の割合は38.8%に達する見込みです。2020年から2050年にかけては、年少人口(0歳から14歳)が12.0万人から6.0万人へ約49.8%減、生産年齢人口(15歳から64歳)が58.7万人から33.6万人へ42.8%減と推計されています。

支援を必要とする人が増える一方で、支える側が細っていくという構図です。

長井市が令和6年4月、すみれ学園に看護師を配置して医療的ケアが必要なこどもの受け入れを始めたのは、支える体制を厚くする具体的な一手といえます。福祉や子育ての分野を志望するなら、こうした取組を出発点に、人手が限られるなかで何を優先するかまで考えておきましょう。

地震と大雨への備え

山形県は、山形盆地断層帯・新庄盆地断層帯・長井盆地西縁断層帯・庄内平野東縁断層帯の4つを想定震源とする地震ハザードマップを公表しています。この4つのうち1つは、市の名を冠した長井盆地西縁断層帯です(出典:地震ハザードマップ|山形県

大雨の被害も現実のものです。令和6年7月25日からの大雨では、最上・庄内地域を中心に県内で死者3人・軽傷4人のほか、住家の全半壊や浸水が多数発生しました。

ここに挙げたのは県全体の情報ですから、長井市で地震や大雨、冬の大雪のリスクがどう現れるかは、市が公表するハザードマップや防災情報で確認しておきましょう。自分が暮らす地区の想定まで下ろして話せると、防災の受け答えは一気に具体的になります。

重点政策|長井市のめざす姿と県の計画

「しあわせに暮らせるまち 長井」という言葉

市がどこへ向かおうとしているかは、計画の名称よりも、市が自分の言葉で掲げているものを見るとつかめます。市長あいさつが掲げるのは「安心して自分らしく暮らせるインクルーシブなまちづくり」であり、職員採用の呼びかけは「“しあわせに暮らせるまち 長井”をともに創る仲間を募集します!」という一文で始まります(出典:広報ながい|令和6年5月号

言葉だけなら、どの自治体にも似たものがあります。長井市の場合、その言葉に対応する具体的な動きが示されている点が重要です。

令和6年4月、児童発達支援と放課後等デイサービスを行う多機能型事業所である長井市すみれ学園を清水町から旧市役所本庁舎跡地へ移設し、新たに看護師を配置して、医療的ケアが必要なこどもの受け入れを開始しました。跡地の使い道と職員の配置という2つの決定が、掲げた言葉を裏づけているわけです。

面接で市の方向性に触れるなら、標語ではなくこの具体例まで語れるようにしておきましょう。

第4次山形県総合発展計画 後期実施計画

市の取組は、県の計画と重なりながら進みます。山形県は令和7年3月、第4次山形県総合発展計画の後期実施計画(令和7年度から11年度・山形県版総合戦略第3期)を策定しました。

施策推進の柱は、(1)人材の育成・確保 (2)農林水産業の振興・活性化 (3)高付加価値な産業経済の振興 (4)安全・安心で総活躍できる社会づくり (5)発展基盤となる県土の整備・活用の5つです。

市町村の仕事は、この5本の柱と重なりながら、より住民に近い距離で実施されます。自分の志望分野が5本のどこに接するのかを一度整理しておくと、県と市の役割分担を問われたときに答えの軸ができます。

なお、山形県の財政力指数は0.35801(令和5年度)で、県も市も、新しいことを始めるには既存の事業を見直すという制約のもとにあります。新しい取り組みを提案するなら、その財源や人手をどう考えるかまで一言添えられるようにしておきましょう。

POINT|計画名がわからなくても、めざす姿からは準備できる

計画の名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①長井市が掲げる言葉と、その裏づけになっている取組を知る → ②自分が携わりたい分野を選ぶ → ③市の広報紙や公式サイトで実際の動きを調べる → ④自分の経験や強みをどう生かせるかを言葉にする、という順で進めましょう。

悪い例「長井市のまちづくりに貢献したいと思っています」

改善例「長井市が令和6年にすみれ学園を移して看護師を置き、医療的ケアが必要なお子さんを受け入れ始めたと知りました。私も、支援が必要な方が地元で暮らし続けられるように、窓口や現場で話を聞くところから関わっていきたいです」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 長井市職員採用試験の受験案内(最新年度・志望する試験区分のもの)と募集一覧
  • 広報ながい(市政の動きと、市長あいさつが示す方向性を知る手がかり)
  • 長井市が公表している防災情報(ハザードマップ・避難所一覧等)
  • 山形県の統計・計画資料(県内における長井市の位置づけを知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、長井市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。長井市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

長井市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

長井市役所の面接の概要

ここからは、長井市役所の採用試験の構成と面接の位置づけ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

長井市役所の面接の流れ

令和8年度について、2026年7月30日時点で長井市が募集一覧に掲載している職員採用試験は「行政(高校卒業程度)」と「行政(再度任用)」です。このうち行政(高校卒業程度)の第1次試験はSPI3(基礎能力検査・性格検査)で実施され、市はこれを「特別な公務員試験対策を必要としない試験」と説明しています。

第2次試験の内容は、同じページの本文には記載がありません(出典:令和8年度長井市職員採用試験(行政・高校卒業程度)

そこで参考になるのが、直近で内容が公表されている令和7年4月1日採用の試験です。このときは第1次がSPI3、第2次が小論文・集団討論(面接)・個別面接という構成でした。

試験区分は行政・土木(大学卒業程度)と保健師の2つで、採用予定は合わせて5人程度、会場は長井市役所です。年度によって募集区分も試験内容も変わり得ますが、筆記はSPI3、選考の中心は書く力と話す力という設計は共通していると読めます。

項目内容
令和8年度の募集区分行政(高校卒業程度)と行政(再度任用)。再度任用は長井市職員を退職した人が対象の別枠で、新卒・既卒一般の受験者向けの試験とは異なる
令和8年度・第1次試験行政(高校卒業程度)はSPI3(基礎能力検査・性格検査)。市は「特別な公務員試験対策を必要としない試験」と説明
令和8年度・第2次試験募集ページの本文には記載がないため、受験案内で自分の区分の内容を必ず確認する
(参考)令和7年4月1日採用の試験内容第1次=SPI3、第2次=小論文、集団討論(面接)、個別面接
(参考)令和7年4月1日採用の試験区分①行政・土木(大学卒業程度)②保健師
(参考)採用予定人数①と②を合わせて5人程度
(参考)受験資格①は昭和60年4月2日から平成15年4月1日までに生まれた人(学歴は不問)等、②は保健師の免許を有する人等。いずれも採用後に市内に居住できることが条件
試験会場長井市役所(栄町1-1)
申込方法「やまがたe申請」によるインターネット申込み
配点公表されていない
試験の所管人事委員会ではなく、総務課職員係(電話 0238-82-8002)

この構成から読み取れることは2つあります。1つは、知識量を問う筆記の比重が小さいことです。

SPI3は公務員試験特有の科目対策を前提としない検査ですから、その分だけ人物と志望動機で差がつきます。もう1つは、令和7年4月1日採用の試験で大学卒業程度の区分の受験資格が学歴不問とされていた点です。

同じ土俵に立つ人の幅が広い試験では、経歴の見栄えではなく、経験をどう語るかが評価を分けます。

上記のうち令和8年度の内容は、2026年7月30日時点で長井市が公表している募集一覧および行政(高校卒業程度)の案内によるものです。(参考)と記した内容は令和7年4月1日採用の試験(広報ながい令和6年5月号掲載)によるもので、令和8年度も同一とは限りません。各試験種目の配点、人物試験の比重、面接の回数や面接官の人数、面接カード等の提出書類、公表された「求める人物像」の有無は、公式資料では確認できていません。試験の構成・日程等は年度や試験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の受験案内でご自身の区分の試験情報をご確認ください。

長井市役所が求める人物像

求める人物像を箇条書きで掲げる自治体もありますが、長井市の手がかりは、市が受験者へ向けて実際に使っている言葉のなかにあります。職員採用の呼びかけは「“しあわせに暮らせるまち 長井”をともに創る仲間を募集します!」という一文で、市長あいさつは安心して自分らしく暮らせるインクルーシブなまちづくりを掲げています。

「ともに創る」「自分らしく」「インクルーシブ」。この3つの言葉は、面接での評価の力点に翻訳できます。

すなわち、人と一緒に物事を進めた経験があるか、立場の異なる人に向き合えるか、そして自分の意思で長井市を選んでいるか。自己PRでは「協調性があります」で終わらせず、誰と、何のために動き、その結果まわりがどう変わったのかまで話せるようにしておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。長井市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日は緊張していますか取り繕っていない場面での表情と、言葉の返し方
② 動機・志望ほかの市町ではなく長井市を選んだ理由を教えてください志望が、他の自治体でもそのまま通る一般論で止まっていないか
③ 自己理解自分の長所を、それが表れた場面とあわせて教えてください自己認識が、具体的な行動の記憶と結び付いているか
④ 経験・行動誰かのために動いて、うまくいかなかった経験を教えてください成功談の完成度ではなく、うまくいかない場面での粘り方
⑤ 学業・経歴これまで続けてきたことを1つ教えてください続けられた理由を自分の言葉で説明できるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな部署で働きたいですか市役所の仕事の幅への理解と、配属をめぐる現実的な構え
⑦ 公共性・社会性最近気になった地域の出来事を教えてください身近な出来事を行政の視点でとらえ直せるか

ただし、この7カテゴリーは長井市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「長井市ならでは」の質問です。

差がつくのは「長井市役所ならでは」の質問

「なぜ山形県庁ではなく、長井市役所なのですか」
「長井市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも、市の現状を知らなければその場で組み立てられない質問です。裏を返せば、材料を持っている人だけが具体的に語れる質問でもあります。

第1次がSPI3で筆記の差がつきにくい試験では、この材料の有無がそのまま評価の差になります。次の表に、面接で使いやすい事実と答え方を整理しました。

質問テーマ知っておきたい長井市の事実答え方のヒント
市の規模感人口23,895人・面積214.67km²・人口密度111人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。置賜地域の人口は185,769人(令和7年10月1日現在)「2万3千人の市」で止めず、置賜地域の8人に1人が暮らす市という位置づけと、隣接する市町との関係まで話を運びます
なぜ県庁ではなく市役所か県の担当は、県内全域を見渡す政策づくりと市町村どうしの調整である。長井市の採用試験は人事委員会名義ではなく、総務課職員係が窓口となっている制度の比較で終わらせず、2万人台の市で市民一人ひとりと近い距離で働きたい理由を、自分が見聞きした場面から述べます
市がめざす姿市長あいさつは「安心して自分らしく暮らせるインクルーシブなまちづくり」を掲げ、職員募集の呼びかけは「“しあわせに暮らせるまち 長井”をともに創る仲間を募集します!」と書かれている掲げられた言葉を引用するだけでなく、自分の経験のどれがその言葉と重なるのかを一つ挙げて添えます
言葉を裏づける具体的な取組令和6年4月、児童発達支援と放課後等デイサービスを行う多機能型事業所の長井市すみれ学園を旧市役所本庁舎跡地へ移設し、看護師を新たに配置して医療的ケアが必要なこどもの受け入れを開始した施設名を挙げて終わらせず、看護師を置いたことで何ができるようになったのかまで説明できると、市の掲げる言葉が実際の事業として動いていることを示せます
試験の性格と志望度第1次はSPI3で、市は特別な公務員試験対策を必要としない試験だと説明している。令和7年4月1日採用の試験では第2次に小論文と集団討論と個別面接が置かれた筆記で差がつきにくい分、志望動機と人物で決まる試験だと理解していることを、準備の仕方に触れながら示します
防災と暮らしの備え山形県が想定震源とする4断層帯の一つが長井盆地西縁断層帯。令和6年7月の大雨では県内で死者3人・軽傷4人の被害が生じた市の名を冠した断層帯があることに触れ、市のハザードマップで自分の生活圏の想定を確かめたうえで、平時にできる備えを述べます

使い方のコツは、6つ全部を暗記することではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話にしておくことです。

想定される評価の観点

面接は、市が使っている言葉から読み取れる力点に照らして、これまで実際にどう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
人と一緒に進める力令和7年4月1日採用の試験では、第2次に集団討論(面接)と個別面接の両方が置かれた。自分が受ける年度の第2次の内容は受験案内で確かめておきたい一人で話す場と、人の意見を受けて話す場では見られる力が違います。話し合いが滞ったときに自分がどう働きかけたかを、部活動や職場の実例で用意しておきます
誰も取り残さない視点市長あいさつが掲げるインクルーシブなまちづくりに沿って、立場の異なる人への向き合い方を掘り下げられる支援する側からの話に寄せすぎないことです。自分と違う立場の人と関わって、自分の見方が変わった場面を1つ用意しておきます
市に腰を据える構え令和7年4月1日採用の受験資格には、採用後に市内に居住できることが条件として置かれていた住む場所の話を志望動機から切り離さないことです。雪の多い地域で暮らす構えも含めて、人口2万人台の市で長く働く意思を自分の言葉で説明できるようにしておきます

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題について「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と掘り下げられることが多いです。集団討論が課される年度であれば、そこでの振る舞いを個別面接で確かめられることもあります。

細部まで自分の言葉で語れる実体験に根ざした答えを用意しておくことが、いちばんの備えになります。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の募集一覧と受験案内を読み、自分が受けられる試験区分と第2次試験の内容、「やまがたe申請」での申込方法を確認する。行政(再度任用)は退職者向けの別枠である点にも注意します
  2. 高校・大学生活やアルバイト、社会人としての経験を棚卸しする。学業・課外活動・仕事から、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い事実を2つか3つ、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話にまとめる
  6. 声に出して練習する。小論文が課される年度に備えて、話した内容を文章に書き起こしてみると、考えの穴や説明の飛びが見つかります

優先順位に注意

ステップ4と5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2に戻って自分の経験を一つずつ書き出し、それが人口2万人台の市役所の仕事のどこに接するのかまで言葉にしておきましょう。SPI3で筆記の差がつきにくい試験では、語れる経験の量がそのまま持ち札の数になります

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、長井市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

長井市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

長井市役所の想定問答集を見る

さいごに

長井市の採用試験は、第1次がSPI3で、市自身が特別な公務員試験対策を必要としないと説明しています。参考書を何冊積んだかでは差がつかない試験です。

そのぶん、直近で内容が公表されている令和7年4月1日採用の試験のように、小論文や集団討論、個別面接といった「自分の言葉を出す場」が選考の中心に置かれます。人口2万3千人あまり、置賜地域に暮らす人の8人に1人が住むまちで、市は安心して自分らしく暮らせるインクルーシブなまちづくりを掲げ、すみれ学園に看護師を置いて医療的ケアが必要なこどもを受け入れ始めました。

掲げた言葉を、施設の配置と人の配置で裏づけている市です。その仲間に加わったとき、自分は何を担いたいのか。

市の言葉と具体的な取組、そして山形県全体の人口の見通しを手がかりに、自分の経験と結び直す時間をとってから本番に臨んでください。