本記事では、山形市職員採用試験の面接対策で必要な、山形市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

山形市役所の面接では、「なぜ山形市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みを山形市政でどう活かせるのか」といった、市政への理解を前提とする質問が想定されます。令和8年度の上級職(先行実施)では、第2次試験の人物評価が個別面接試験とグループワーク試験の2本立てで組まれています。

県庁所在地である山形市は、公表されている計画や予算資料が豊富で、面接の材料に困らない自治体です。ここでは、その中から面接で使いやすい事実を選んで整理しました。

第1部|自治体研究編

山形市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは山形市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 山形県の県庁所在地。推計人口は234,006人、世帯数は103,265世帯である(令和8年6月1日現在・令和7年国勢調査速報値に基づく算定)。
  • 市域面積は県全体の約4.1%にすぎないが、夜間人口は県全体の約22.6%を占める(平成27年国勢調査等による)。県都として産業・雇用・教育・医療の中心的役割を担う。
  • 面積は38,158ha(東西30.7km・南北23.2km)で、そのおよそ65%が丘陵地帯という内陸都市。市域は奥羽山脈・山形盆地・西部丘陵地にまたがる。
  • 天童市・上山市・東根市・南陽市と山辺町・中山町に接し、宮城県の仙台市・川崎町とも県境を接する(5市3町)。
  • 最上位計画は山形市発展計画2030(令和7年3月策定・計画期間は令和7年度から11年度)。都市ブランドとして「健康医療先進都市・文化創造都市」を掲げている。
  • 市役所は山形市旅篭町二丁目3番25号に置かれ、職員採用は総務部職員課が所管している。
  • 令和8年度の上級職(先行実施)は、第1次試験が基礎能力検査(SCOA)のみ。受験案内の表紙に「特別な公務員試験対策は不要です。」と明記されている。
  • 市の花はベニバナ、市の木はナナカマド。

山形市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「山形市が県内でどんな位置を占める自治体なのか」を押さえておくことは重要です。

ここでは人口・面積・財政といった基礎的なプロフィールを整理しました。市公式の統計と当研究会が整備する自治体データベースとで基準日が異なるため、本記事では市公式の値を優先しています

項目内容
推計人口234,006人(令和8年6月1日現在。男112,325人・女121,681人)
世帯数103,265世帯(令和8年6月1日現在)
面積38,158ha(東西30.7km・南北23.2km。うちおよそ65%が丘陵地帯)
隣接自治体天童市・上山市・東根市・南陽市・山辺町・中山町、宮城県の仙台市・川崎町(5市3町)
高齢化率30.7%(令和5年9月末。65歳以上73,365人)
財政力指数0.74(令和6年度決算)
経常収支比率92.1%(令和6年度決算)
令和8年度当初予算一般会計1,171億4,600万円(前年度比11.0%増)/全会計総額2,123億189万4千円(同7.1%増)
市の花/市の木ベニバナ/ナナカマド

人口・世帯数は山形市の推計人口(令和8年6月1日現在)、面積は山形市都市計画マスタープラン、財政指数は令和6年度決算の公表資料、当初予算は令和8年度当初予算案の概要によります。面積は資料によって表記が異なる場合があります。面接で数値に触れる際は、山形市公式サイトの最新値をあわせてご確認ください。

数字から考えられる市政課題

山形市を理解するうえで最も特徴的な数字は、昼夜間人口比107.5という値が、東北の県庁所在地の中で最も高いという事実です(平成22年国勢調査。山形市都市計画マスタープラン記載)(出典:山形市都市計画マスタープラン。市外から通勤・通学してくる人が、市外へ出ていく人より多いということです。

県土の約4.1%の面積に県人口の約22.6%が住み(平成27年国勢調査等による)、そこへさらに周辺市町から人が集まってきます。この構造は、山形市の施策が市民だけでなく周辺自治体の住民にも影響することを意味します。

公共交通にせよ、中心市街地や医療、文化施設にせよ、「市域の外から来る人」を勘定に入れなければ実態に合いません

一方で、人口そのものは減少局面にあります。推計人口234,006人は令和7年国勢調査の速報値に基づく算定値で、前月比113人減となっています(出典:山形市の推計人口|令和8年6月1日現在

面接では、この2つの顔を同時に語れると理解の深さが伝わります。

「山形市は県内で人が集まる場所で、住んでいる人よりも昼間にいる人のほうが多いと知りました。県庁所在地としての強みだと思う一方で、市の人口自体は減っていますので、周りの市や町も含めて支える仕組みを考える必要があるのではと感じています」

山形市の経済・産業

第3次産業が中心の県都経済

山形市の就業人口の産業構成は、第3次産業が約50.0%と中心です(平成22年国勢調査)。第1次産業の就業者は昭和55年の12.6千人から平成22年の4.7千人へと半数以下に減っており、農業から商業・サービス業へ就業の重心が移ってきた経過が読み取れます。

ものづくりの基盤も市内に残っています。立谷川工業団地は機械・木工・印刷産業が集積する地場産業の支援地で、ほかに西部工業団地(鉄工・建設関連)、立谷川西工業団地(機械・食品関連)が立地しています。

知識集約型産業に向けたアルカディアソフトパーク山形、蔵王産業団地、山形中央インター産業団地もあり、山形北インター産業団地は令和7年6月16日から分譲中(用地の引渡しは令和8年度予定)です。企業誘致と雇用を志望動機に据えるなら、こうした受け皿がすでに整えられている点を踏まえて話すと具体性が出ます。

観光は市外・県外からの集客が主力

令和6年度の観光者数は、山寺(立石寺)が776.5千人(前年度比108.1%)、蔵王温泉が775.3千人(同108.8%)、山形花笠まつりが700.0千人、蔵王連峰が188.4千人でした(出典:山形県観光者数調査|令和6年度。山寺は県外からの来訪が534.4千人と県内242.1千人を大きく上回り、蔵王温泉も県外469.6千人が県内305.7千人を上回っています。

つまり、山形市の観光は県外客に支えられているという構造です。市街地には国史跡の霞城公園(山形城跡)、国重要文化財の郷土館(旧済生館本館)、国登録有形文化財の文翔館(旧山形県庁)があり、郊外には松尾芭蕉の「奥の細道」で知られる国の名勝史跡・山寺(立石寺)があります。

県外から訪れた人を市街地と郊外の両方へどう回遊させるかが、実務上の論点になります。

交通の結節点という条件

鉄道は山形新幹線・奥羽本線・左沢線・仙山線の4路線が通り、市内には山形駅を中心に11駅があります。道路は市域を南北に結ぶ国道13号を骨格に、国道112号・286号・348号などで網が形成され、都市計画道路の整備率は約64.0%です(平成27年度)。

東北中央自動車道の山形中央インターチェンジは山形駅から車で10分の市街地近くに立地し、国道13号に直結しています。

整備率が約64.0%ということは、裏を返せば計画された道路の3分の1あまりが未整備のまま残っているという意味でもあります。路線バスも山形駅を中心とした放射状の路線網で、市内の移動は駅とその周辺に強く依存しています

市もこの偏りを踏まえ、令和8年度は市南部の新駅設置に向けた基本設計等に着手します。

交通やまちづくりに関心があるなら、新しく造る話と、すでにある道路網や鉄道網をどう使い切るかという話を両方持っておくと、質問がどちらに振れても対応できます。

山形市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえて、山形市が向き合う課題を4つに整理します。面接で「市の課題」を問われたときの引き出しとして使ってください。

人口減少と高齢化の同時進行

山形市の65歳以上人口は73,365人、高齢化率は30.7%です(令和5年9月末。前計画初年度の令和3年9月末から0.7ポイント上昇)。市独自の推計では、令和8年度に総人口232,852人・高齢化率31.7%となり、令和32年度(2050年度)には総人口174,620人・高齢化率40.8%に達する見込みです。

85歳以上人口は令和22年度(2040年度)に18,595人でピークを迎えると推計されています(出典:第9期高齢者保健福祉計画

山形市の人口動態は、自然動態が平成18年以降に減少傾向へ転じ、死亡数が出生数を上回る状況が続いています。社会動態も一部の年を除いて転出超過です。

2050年度に人口が17万人台まで下がるという推計を、行政サービスの水準をどう保つかという問いに翻訳できるかどうかが、志望動機の深さの分かれ目になります。

中心市街地の衰退

山形市の公式文書は、郊外への大型ショッピングセンターの進出やインターネット販売の拡大、急激な人口減少・少子高齢化により、山形市においても中心市街地の衰退が課題となっていると明記しています(七日町賑わい創出拠点整備基本方針・令和5年12月)。県都であっても例外ではない、という市自身の認識です。

この課題に対して市は、令和5年12月に同基本方針を策定し、賑わい創出拠点の整備事業化に向けた検討を進めています。中心市街地の分野で山形市発展計画2030が掲げる目指すまちの姿は「歩くほど幸せになるまち」です。

歩いて楽しい市街地をどうつくるかという問いに、自分なりの答えを一つ持っておくと、まちづくり志望の動機が願望のままで終わりません。

大規模地震と火山への備え

山形市を含む山形盆地断層帯は全体の長さが約60kmで、断層帯全体が同時に活動した場合はマグニチュード7.8程度、北部・南部それぞれではマグニチュード7.3程度の地震が想定されています。北部の今後30年以内の地震発生確率は0.003%から8%とされ、国内で地震発生確率の高いグループに属します(南部は1%)(出典:山形盆地断層帯の長期評価|地震調査研究推進本部

加えて、蔵王山については、マグマ噴火(噴出量1,000万m³)と水蒸気爆発(同500万m³)の2形態を想定した火山防災マップが平成29年1月に作成されており、噴石・降灰・融雪型火山泥流・火砕流などの現象が想定されています。地震と火山の両方に備える必要がある自治体だという点は、防災を志望分野にする人なら押さえておきたい前提です

限られた財源で施策を組み替える必要

山形市の財政力指数は令和6年度決算で0.74(令和5年度も0.74、令和7・8年度の当初予算編成時点では0.72)、経常収支比率は92.1%、実質公債費比率は7.8%、将来負担比率は87.3%です。令和8年度の一般会計当初予算は1,171億4,600万円で前年度比11.0%増となっており、新市民会館や中心市街地の再開発など大きな事業が動いていることが数字にも表れています。

経常収支比率が92.1%ということは、毎年入ってくる収入の9割以上が固定的な支出で埋まっているということです。新しい事業を起こすには、既存の事業を組み替えるしかないという制約は、どの部署に配属されても付いて回ります。

重点政策|山形市発展計画2030

計画の骨格と2040年からの逆算

山形市の最上位計画は山形市発展計画2030です。令和7年3月に策定され、計画期間は令和7年度から令和11年度までの5年間。

まち・ひと・しごと創生法第10条に基づく地方版総合戦略を兼ねています。特徴的なのは、令和22年(2040年)のまちの姿を起点に逆算するバックキャスティングの視点で組み立てられている点です(出典:山形市発展計画2030(概要版)

2040年のまちの姿は「健康医療先進都市・文化創造都市を確立し、選ばれるまちとなる」。政策体系は「まちをつくる」「ひとを育む」「しごとを豊かにする」の3テーマと、それを支える「未来へつなげる行政経営」に19の政策分野を配置した形で、基本姿勢は「市民目線の行政 × チャレンジする市政」とされています。

さらに、施策に共通して通す9つの視点が置かれています。ベースとなる視点として①こどもまんなか ②強靭なまちづくり ③SDGs ④多様な価値観の尊重、イノベーションの視点として⑤DXの推進 ⑥GXの推進、デザインの視点として⑦公共交通の活用 ⑧公民・広域・多機能連携 ⑨地域資源の発掘・活用・創造です。

志望分野がどのテーマに属し、どの視点で語れるかを整理しておくと、答えが計画の言葉と自然につながります。

令和8年度に動いている主な事業

令和8年度は山形市発展計画2030の2年目にあたります。市長臨時記者会見で公表された令和8年度当初予算案の概要は、「健康医療先進都市」「文化創造都市」の2大ビジョンを都市ブランドとして確立し、さらに観光都市の実現を目指して「選ばれるまち」となることを基本的な考え方に掲げています(出典:令和8年度当初予算案の概要|市長臨時記者会見

分野ごとの主な動きは次のとおりです。

分野令和8年度の主な取組
健康食事・運動・休養・社会・禁煙/受動喫煙防止に留意する「SUKSK生活」の推進による健康寿命の延伸
中心市街地「粋な町七日町」をコンセプトとする粋七エリア整備事業、旧千歳館エリア・リノベーション事業と一体の(仮称)花小路公園整備、旧大沼と済生館周辺エリアの再開発準備組合による基本計画策定への補助
公共交通市南部の重要な交通結節点となる新駅の設置に向け、駅及び駅前広場の基本設計等に着手
こどもLINEを活用した情報発信・相談支援の拡充、夜間や休日を含め24時間対応する「AIと人のハイブリッド子育て相談」、市立保育所3園の統合による(仮称)西部保育所・こどもまんなか相談室の基本設計等
文化令和11年度オープン予定の新市民会館整備運営事業、創造都市の拠点施設「やまがたクリエイティブシティセンターQ1」を核とした情報発信・人材育成
観光「日本一の観光案内所」の整備に向けた基本設計、慶應義塾大学SFC研究所及びJR東日本と共同設立した共創ラボでの機能研究・開発、旧千歳館の建物を保存・活用した拠点施設の改修(令和9年度オープン予定)
行政経営自分で考え主体的かつ能動的に行動できる「自律型人材」の育成に向けた行動計画の策定と人事制度の再構築、外部人材のCDXO補佐官への任用と各所属でのDX推進リーダーの養成
環境熊が人の生活圏内に侵入しない環境を整えるための藪や雑木林の刈払い・不要果樹の伐採などの出没抑制対策の支援、緊急銃猟が実施できる体制の整備

面接で押さえておきたいのは、行政経営分野で「自律型人材」の育成が掲げられていることです。人事制度の再構築に取り組む方針が予算資料に明記されている以上、採用の場面でも「自分で考えて動けるか」は当然の関心事になります。

指示を待つ姿勢ではなく、自分で考えて動いた経験を語れるように準備しておきましょう

財政面の前提

計画に並ぶ事業は、財源の裏づけがあってはじめて動きます。先に見たとおり山形市の財政力指数は1.0を下回っており、自主財源だけでは必要な行政サービスを賄いきれず、地方交付税に頼る部分が残ります(出典:令和6年度決算 主な財政指数等|山形市

発展計画2030が3つのテーマを支える柱に「未来へつなげる行政経営」を据え、9つの視点に公民・広域・多機能連携を挙げているのも、市が単独で抱え込まない進め方を探しているからだと読めます。面接で事業の提案をするなら、誰と組んで実現するのかまで含めて話せると、思いつきの提案には聞こえません。

POINT|計画の言葉を借りるときの作法

「健康医療先進都市」「文化創造都市」といった言葉をそのまま繰り返すだけでは、資料を読んだという以上のことは伝わりません。①言葉を選ぶ → ②その分野で山形市が実際に動かしている事業を1つ挙げる → ③自分の経験や関心とどこで接するかを述べる、という順で組み立てましょう。

悪い例「健康医療先進都市の実現に貢献したいです」

改善例「健康の分野で、食事や運動などに気をつけるSUKSK生活を広げていると聞きました。私は大学で体育会の活動を続けてきたので、まずは窓口や地区の集まりで、続けやすい形を一緒に考えられる職員になりたいと思っています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるようにしておいてください。

  • 山形市職員採用試験の受験案内(最新年度・志望する試験区分のもの)
  • 山形市発展計画2030(概要版だけでも、志望分野の目指すまちの姿は読んでおく)
  • 令和8年度当初予算案の概要(市長臨時記者会見の資料。直近で動いている事業がわかる)
  • 山形市公式サイトに掲載されている過去の作文試験の課題(令和3年度から7年度分)
  • 山形市のハザードマップ・防災情報(山形盆地断層帯と蔵王山の両方)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、山形市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。山形市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

山形市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

山形市役所の面接の概要

ここからは、山形市役所の採用試験の構成と面接の位置づけ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

山形市役所の面接の流れ

令和8年度の上級職(先行実施)は、上級行政・上級土木・上級電気・上級建築・上級林業の5区分で実施されます。採用予定人員は上級行政が10名程度、技術系4区分は各若干名(おおむね1名から4名)です。

試験は第1次・第2次の2段階で、第1次試験の種目は基礎能力検査(SCOA)のみ。第2次試験は面接試験・グループワーク試験・性格検査・事前面談(行政のみ)で構成されます(出典:令和8年度 山形市職員採用試験(上級職・先行実施)受験案内

特に注意したいのが合否の判定方法です。受験案内は「上記試験種目(性格検査及び事前面談を除く。)のうち、1つでも一定の合格基準に達しない方は、他の試験の成績にかかわらず不合格となります。」と明記しています。

どれか一つが得意でも、基準に届かない種目があればその時点で不合格になる仕組みです。

項目内容(令和8年度・上級職(先行実施))
試験区分上級行政・上級土木・上級電気・上級建築・上級林業の5区分(採用予定は上級行政10名程度、技術系4区分は各若干名)
試験の段階第1次試験・第2次試験の2段階
第1次試験基礎能力検査(SCOA)。大学卒業程度の一般知識及び一般知能についての筆記試験(多肢選択式)で、試験時間は10:00から11:00
作文試験第2次試験の種目だが、第1次試験と同日の11:30から13:00(90分)に実施。第1次試験合格者のみ採点の対象で、内容は文章による表現力、内容、構成等の筆記試験
第2次試験面接試験(個別面接試験)・グループワーク試験・性格検査・事前面談(行政のみ)
グループワーク試験他者と協力して課題に取り組む姿勢や、職務への適応力を検証する試験
事前面談(行政のみ)市職員として勤務する際の業務理解、不安解消を目的とした面談。受験案内は「事前面談の内容は採点の対象としません。」と明記
合否の判定性格検査及び事前面談を除く各試験種目のうち、1つでも一定の合格基準に達しない場合は、他の試験の成績にかかわらず不合格
申込方法インターネットによる申込みのみ(山形県内市町村の電子申請「やまがたe申請」)
提出書類技術系4区分は申込時に「専門性確認シート」、第1次試験合格後に履修状況・単位取得状況の証明書。上級行政は指定なし
試験結果の開示不合格者本人に口頭で開示。第1次不合格者は得点及び総合順位、第2次不合格者は第1次の得点と第2次の合計得点及び総合順位(合格発表の翌日から1か月間・職員課の窓口のみ)
併願の制限異なる試験区分や、6月に実施される他の上級職採用試験との同時申込みはできない

この構成から読み取れることは3つあります。1つ目は、筆記の入口が基礎能力検査だけだということ

公務員試験の勉強量では差がつきにくく、その分だけ第2次の比重が実質的に重くなります。2つ目は、人物評価が個別面接とグループワークという性格の異なる2種目で行われること。

一対一で掘り下げられる場と、他の受験者と協力する場では、求められる振る舞いが違います。3つ目は、作文試験が第1次と同日に課され、第1次を通過した人だけ採点されるということです。

当日は作文まで含めて集中力を保つ必要があります。

上記は令和8年度 山形市職員採用試験(上級職・先行実施)の受験案内による内容です。山形市の上級職には、この4月実施の先行実施のほかに6月に実施される別の上級職採用試験があり、初級職や社会人経験者向けの試験も別途実施されます。それらの試験構成は本記事の内容と異なります。また、各試験種目の配点・満点、面接官の人数、個別面接の所要時間、グループワークの課題や進行方式は公表されていません。試験の構成・日程・配点等は年度や試験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の受験案内でご自身の区分の試験情報をご確認ください。

山形市役所が求める人物像

山形市が公表する「求める人物像」にあたる文言を、受験案内と採用試験ページの範囲では確認できていません。そこで、公表資料から評価の力点を読み解きます

手がかりは3つあります。第一に、令和8年度当初予算案の概要が行政経営分野で「自分で考え主体的かつ能動的に行動できる自律型人材」の育成を掲げ、人事制度の再構築に取り組むとしていること。

第二に、第2次試験にグループワーク試験を置き、他者と協力して課題に取り組む姿勢を検証すると明記していること。第三に、発展計画2030の基本姿勢が「市民目線の行政 × チャレンジする市政」であることです。

ここから、自分で考えて動く力、他者と協働する力、市民の側から物事を見る視点の3点が評価の軸になっていると考えられます。自己PRでは「まじめです」で終わらせず、その姿勢によって周りや状況がどう変わったのかまで話せるようにしておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。山形市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか。今日はよく眠れましたか身構えていない一言のやり取りに出る、第一声の表情と落ち着き
② 動機・志望民間企業ではなく市役所を選んだ理由を教えてください民間でも実現できる動機で止まっていないか。職業選択の理由が自分の経験とつながっているか
③ 自己理解あなたの長所を、周囲からどう言われるかも含めて教えてください自己認識と、他者からの見え方が結び付いているか
④ 経験・行動チームで何かをやり遂げた経験と、そこでの自分の役割を教えてください役割の大きさではなく、その場面で何を考えどう動いたかという中身
⑤ 学業・経歴学んできた内容を、専門外の人にも分かるように説明してください相手に合わせて言葉を選び直す力と、学びを仕事へつなげる視点
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたらどうしますか市役所の仕事の幅への理解と、配属をめぐる現実的な構え
⑦ 公共性・社会性最近気になった山形市の出来事を教えてください身の回りの出来事を行政の視点でとらえ、自分の意見を述べられるか

ただし、この7カテゴリーは山形市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「山形市ならでは」の質問です。

差がつくのは「山形市役所ならでは」の質問

「なぜ山形県庁ではなく、山形市役所なのですか」
「山形市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

山形市は県庁所在地であり、県庁と市役所の両方を受けられる場所にあります。だからこそ、この2つの問いに自分の言葉で答えられるかどうかが表に出ます。

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。次の表に、面接で使いやすい事実と答え方を整理しました。

質問テーマ知っておきたい山形市の事実答え方のヒント
県都としての位置市域面積は県全体の約4.1%だが夜間人口は約22.6%(平成27年国勢調査等)。昼夜間人口比107.5は東北の県庁所在地で最も高い(平成22年国勢調査)集まる人が多いという強みを、周辺市町の住民も市の施策の受け手になるという責任の話まで進めると、県都で働く自覚が伝わります
なぜ県庁ではなく市役所か県庁と市役所が同じ市内にあるが、県が担うのは市町村をまたぐ広域の政策。山形市は発展計画2030で19の政策分野を持ち、窓口から都市計画まで市民生活に直接届く仕事を自ら実施している制度の説明で止めず、山形市が実際に動かしている事業を一つ挙げ、その距離感で働きたい理由を自分の体験から語ります
中心市街地への関心公式文書が中心市街地の衰退を課題と明記。「粋な町七日町」をコンセプトとする粋七エリア整備や(仮称)花小路公園整備が令和8年度に進む賑わいを取り戻したいという願望で終わらせず、歩くほど幸せになるまちという目指す姿に対して自分なら何を確かめに行くかを話します
高齢化への向き合い方高齢化率は令和5年9月末で30.7%、市推計では令和32年度に40.8%。健康分野ではSUKSK生活の推進による健康寿命の延伸を掲げる介護や医療の話に寄せる前に、健康なうちから関わる施策があることに触れると、市の政策の順序を理解していることが伝わります
防災への備え山形盆地断層帯は全体でマグニチュード7.8程度を想定し、北部の30年発生確率は国内で高いグループ。蔵王山の火山防災マップも平成29年1月に作成済み地震と火山の二つに備える必要がある土地だと押さえたうえで、自分が住む地区のハザードマップで確かめたことを一つ添えます

使い方のコツは、5つ全部を暗記することではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、いま整理した「山形市で評価されやすい力」に照らして、これまで実際にどう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
自分で考えて動く力個別面接で、指示された役割を超えて動いた場面があるかを掘り下げられる令和8年度当初予算案の概要は「自律型人材」の育成と人事制度の再構築を掲げています。誰かに言われる前に始めたことを一つ選び、始めた理由と周囲の反応まで話せるようにしておきます
他者と協働する力グループワーク試験で、他者と協力して課題に取り組む姿勢と職務への適応力を検証される山形市のグループワークは課題も進行方式も公表されていません。結論を出す役と場を回す役の両方を経験しておくと、当日の役割が偏っても対応できます
市民の側から見る視点発展計画2030の基本姿勢「市民目線の行政 × チャレンジする市政」に沿って、施策を利用者の立場で語れるかを見られる山形市の作文試験は自分の体験や価値観を書かせる課題が続いています。過去の課題が市公式サイトに掲載されていますので、書く準備がそのまま面接の材料になります

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題について「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と掘り下げられることが多いです。山形市は個別面接とグループワークで同じ人物を別の角度から見ますから、話を作り込みすぎるとかえって食い違いが出ます。

細部まで自分の言葉で語れる実体験に根ざした答えを用意しておくことが、いちばんの備えになります。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内を読み、志望する試験区分の受験資格と試験の流れ、申込方法(「やまがたe申請」によるインターネット申込み)を確認する。先行実施は他の上級職試験と同時申込みができない点にも注意する
  2. 大学生活やアルバイト、社会人としての経験を棚卸しする。学業・課外活動・仕事から、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。山形市発展計画2030の概要版で志望分野の目指すまちの姿を確認し、令和8年度当初予算案の概要で動いている事業を2つか3つ拾う
  5. 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習する。個別面接を想定した一問一答に加えて、グループワークを想定し、人の意見を受けて自分の考えを言い直す練習も行う

優先順位に注意

ステップ4と5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。山形市の計画をいくら詳しく話せても、自分の行動を語れなければ個別面接もグループワークも通過できません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、山形市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

山形市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

山形市役所の想定問答集を見る

さいごに

山形市の上級職(先行実施)は、筆記の入口が基礎能力検査だけという間口の広さと、個別面接とグループワークで人物を二方向から見る第2次試験の組み合わせに特徴があります。しかも、性格検査と事前面談を除く種目のうち一つでも基準に届かなければ、他が良くても不合格になります。

得意な種目を伸ばすより、弱い種目を基準まで持ち上げるほうが効く試験だといえます。

周辺の市や町からも人が集まる県都でありながら、2050年度には人口が17万人台になると市自身が推計しています。その現実の上に、健康医療先進都市と文化創造都市という2つの旗が立っています

自分はその旗のどこに手を貸せるのか。発展計画2030の言葉を借りるのではなく、自分の経験の言葉に置き換える時間をとってから本番に臨んでください。