本記事では、寒河江市職員採用試験の面接対策で必要な、寒河江市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
寒河江市役所の面接試験では、「なぜ寒河江市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。寒河江市の試験は第1次が筆記、第2次が記述試験と人物試験という組み立てで、受験案内は5つの試験種目のうち1つでも基準に届かなければ不合格になると明記しています。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と寒河江市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
寒河江市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは寒河江市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口は38,785人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、総面積は139.03km²。人口密度は279人/km²で、山形県全体のおよそ2.5倍にあたる。
- 令和8年度の職員採用試験の受験案内が掲げる将来都市像は「さくらんぼと幸せ実る 夢育むまち 寒河江」。市の木もサクランボで、まちの看板にさくらんぼが据えられている。
- 接しているのは村山市・天童市・西村山郡河北町・大江町・西川町・東村山郡中山町・最上郡大蔵村の7自治体で、いずれも山形県内。県境には接していない。
- 市役所は寒河江市中央一丁目9番45号にあり、庁舎は「日本近代建築100選」に選ばれている。市のイメージキャラクターは「チェリン」。
- 職員採用は人事委員会ではなく総務課職員係が所管し、第1次試験の会場も寒河江市役所である。
- 令和8年度の試験区分は行政(上級・初級)、建築(上級・初級)、土木(上級・初級)、保育士の7区分で、採用予定人員はいずれも若干名。
- 試験は第1次(筆記試験と性格検査)と第2次(記述試験と人物試験)の2段階。受験案内は、5つの試験種目のうち1つでも一定の合格基準に達しない場合は他の試験の成績にかかわらず不合格になると明記している。
- 令和8年度は前期と後期の2回、採用試験が行われている。本記事が扱うのは後期(令和9年4月採用)の受験案内の内容である。
- 受験申込は採用支援サイト「パブリックコネクト」からのインターネット申込のみ。受験票もマイページから取得する。
- 市の花はツツジ、市の木はサクランボ。
寒河江市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「寒河江市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模と市域の広さ、接している自治体など、市政の性格を説明できる項目を優先して整理しました。寒河江市だけを対象にした経済統計は今回の調査では確認できていないため、山形県全体の数値を比較の物差しとして添えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 38,785人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 139.03km² |
| 人口密度 | 279人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 村山市・天童市・西村山郡河北町・大江町・西川町・東村山郡中山町・最上郡大蔵村(7自治体・すべて県内) |
| 市役所所在地 | 寒河江市中央一丁目9番45号(庁舎は「日本近代建築100選」) |
| 市の花/市の木 | ツツジ/サクランボ |
| (参考)山形県の総人口 | 993,127人(令和7年10月1日現在・令和7年国勢調査速報) |
| (参考)山形県の面積 | 9,323.15km²(全国第9位) |
| (参考)山形県の市町村数 | 35市町村(13市19町3村) |
寒河江市の人口・総面積・人口密度・隣接自治体・市の花木は、当研究会が整備する自治体データベース(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)による値です。基準日や集計方法によって市公式の推計人口とは差が出る場合がありますので、面接で数値に触れる際は寒河江市公式サイトの最新値もあわせてご確認ください。山形県の人口は令和7年国勢調査人口速報集計、面積と市町村数は県公式サイトによります。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
山形県の人口密度は、上掲の県人口と面積からおよそ107人/km²と計算できます。寒河江市の279人/km²はその2.5倍ほどで、面積は県全体の1.5%程度、人口は約3.9%です。
市域は広くないが、そこに県内の平均より多くの人が暮らしている市だと整理できます。7つの自治体に囲まれ、県境には接していないという位置も、生活圏が県内で完結しやすいことを示しています。
ただし、県全体の流れからは離れられません。令和7年国勢調査の速報では、山形県の総人口は993,127人で、令和2年の調査から74,900人(7.0%)の減少となり、県内の全ての市町村が人口減少となりました(出典:令和7年国勢調査人口速報集計(山形県)|令和7年10月1日現在)。
寒河江市自身の推移は市の公表資料で確かめたうえで、面接では次のように現状を話せます。
寒河江市の経済・産業
県経済の中での位置
寒河江市単独の市内総生産や事業所統計は、当研究会が確認できた公式資料の範囲では整理されていません。まずは市が置かれている山形県全体の経済の姿から押さえます。
- 令和元年度の県内総生産は4兆3,367億円。産業別の構成比では製造業の25.6%が最も高い。
- 製造品出荷額等の業種別内訳(令和元年)では電子部品・デバイスが最多で、情報通信・食料品・化学が続く。
- 産業別の就業人口構成比(令和2年国勢調査)は第1次産業8.8%・第2次産業28.7%・第3次産業62.6%。
山形県の経済は、製造業が4分の1を超え、その中心が電子部品・デバイスにあるという姿です。一方で第1次産業の就業者も8.8%を占めており、農業の存在感も残ります。
寒河江市の産業を語るときは、この県全体の構造を出発点にすると外れません(出典:山形県産業の現状|令和元年度)。
さくらんぼという看板
さくらんぼ(おうとう)は山形県を代表する農産物で、県は栽培面積・収穫量・産出額といった生産流通統計を継続して公表しています。寒河江市にとってこれは県の話にとどまりません。
市の木がサクランボであり、将来都市像の冒頭にも「さくらんぼ」が置かれています。特産品が市の象徴として掲げられている自治体は、そう多くありません。
面接で産業の話をするなら、収穫や出荷の場面だけを語るのではなく、担い手をどう確保するか、加工や観光とどう組み合わせて収入につなげるかまで視野に入れましょう。令和8年度の受験案内も、寒河江市について「四季折々の食や自然、温泉などたくさんの魅力がある」と紹介しています(出典:寒河江市職員採用試験受験案内(令和9年4月採用)|令和8年度)。
観光と、県外とつながる交通
山形県の主要観光地における令和6年度の観光者数は4,128万9千人で、令和5年度比6.8%増、令和元年度比では8.9%減でした。増加の要因の一つは、訪日外国人の受入延人数が2年連続で過去最高となったことです(出典:山形県の主要観光地の観光者数|令和6年度)。
感染症の影響を受ける前の水準にはまだ戻っていない、という読み方まで押さえておくと、観光の話題で背伸びをせずに話せます。
県の位置関係も押さえておきましょう。山形県は東京から北へ約300km、山形新幹線でおよそ3時間の距離にあり、内陸は奥羽本線が南北に縦貫しています。
県内には山形空港と庄内空港の2つの空港があります。果物や食を目当てに県外から人を呼ぶなら、こうした足の条件を前提に考えることになります。
寒河江市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえて、寒河江市が向き合っている課題を4つに整理します。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして使ってください。
人口減少という県の最重要課題
山形県は、第4次山形県総合発展計画の後期実施計画(令和7年3月策定)で、若年層を中心とした社会減と少子高齢化による自然減が続く人口減少を「最重要課題」と位置づけています。県内では1997年(平成9年)に死亡数が出生数を上回る自然減少に転じました。
国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとにした県の分析では、県人口は2050年に71.1万人となり、2020年の106.8万人から33.4%減る見込みです。おおよそ10年後の2035年には88.6万人となり、65歳以上人口の割合は38.8%に達すると見込まれています。
若い世代が県外へ出ていくこと
山形県人口ビジョンは、県内の高校卒業生のうち大学等進学者の約69%、就職者の約22%が県外へ進み、卒業生全体では約53%が県外へ転出していることを課題として示しています(出典:山形県人口ビジョン)。
寒河江市の採用試験に地元とのつながりを問う要件が置かれているのも、この流れと無関係ではありません。行政初級には市内に住所があるか市内の高校を卒業(見込み)であることという要件があり、全区分に共通して「採用後、寒河江市又は近隣市町に居住できる者」という条件が付いています。
地震と大雨への備え
山形県は想定震源として山形盆地断層帯・新庄盆地断層帯・長井盆地西縁断層帯・庄内平野東縁断層帯の4つを挙げ、想定震度を示す地震ハザードマップを公表しています。山形盆地断層帯は大石田町から山形市を経て上山市に至る全長約60kmの断層帯で、北部・南部いずれもマグニチュード7.3程度の地震が想定されています(出典:山形県 地震ハザードマップ)。
水害も現実の脅威です。令和6年7月25日からの大雨では、酒田市・遊佐町等に大雨特別警報が発表され、最上・庄内地域を中心に死者3人、軽傷4人のほか、住家の全半壊・浸水が多数発生しました。
果樹をはじめとする農業を抱える市にとって、大雨は暮らしと生業の両方に関わります。市が公表するハザードマップや避難所を見て、自分の関わる地区の想定を一つ確かめておきましょう。
若干名の採用で、7区分の仕事を回す
令和8年度の試験区分は行政・建築・土木・保育士の7区分で、採用予定人員はいずれも若干名です。建築と土木を上級・初級それぞれで募集し、保育士も市が自ら採用しています。
職種の幅に対して採用はどの区分も若干名という規模ですから、一人が受け持つ範囲は自然と広くなります。配属先の希望を語るときは、希望どおりにならなかった場合にどう働くかまで考えておきましょう。
重点政策|寒河江市の将来都市像
令和8年度の職員採用試験の受験案内は、寒河江市の将来都市像として「さくらんぼと幸せ実る 夢育むまち 寒河江」を掲げ、この実現に向けたまちづくりを担う人の応募を待っていると記しています。市が受験者に向けて発している数少ない直接のメッセージですから、面接の準備では必ず押さえておきたい一文です。
将来都市像は「新しいほう」を使う
ここで注意が必要です。市公式サイトの「新第6次寒河江市振興計画」のページ(計画期間は令和3年度から令和7年度)には、将来都市像として「さくらんぼと笑顔かがやく 安全・安心なまち 寒河江」が掲げられています(参考:新第6次寒河江市振興計画(令和3年度〜令和7年度))。
表現が似ているため混同しやすいのですが、面接で引用すべきは令和8年度の受験案内が掲げる「さくらんぼと幸せ実る 夢育むまち 寒河江」のほうです。
この違いは、単なる言葉の差ではありません。前の計画は「安全・安心」を前面に置き、新しい将来都市像は「幸せ」と「夢を育む」を前面に置いています。
志望動機で将来都市像に触れるなら、どちらの言葉を使うかで市への理解度が透けて見えます。市の総合計画の最新版と、そこに掲げられた施策の柱は、寒河江市公式サイトの市政情報で必ず最新の状況を確認してください。
POINT|計画の細部を覚えるより、言葉の意味を自分で説明できるように
将来都市像を丸暗記して唱えても、面接では一往復で終わります。①「さくらんぼと幸せ実る 夢育むまち」という言葉が、どんな暮らしを指しているのかを自分なりに言い換える → ②市の広報やホームページで、その方向に沿う取り組みを2つか3つ拾う → ③自分が関わりたい分野を決める → ④その分野で自分の経験がどう生きるかを言葉にする、という順で組み立てましょう。
悪い例「将来都市像の実現に貢献したいです」
改善例「夢を育むまちという言葉を、子どもが地元で挑戦できる場が用意されている状態だと受け止めました。まずは窓口の仕事から覚えて、その上で子育てや教育に関わる仕事にも携わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 最新年度の寒河江市職員採用試験の受験案内(前期と後期で内容が異なる場合があります。志望する回・区分のものを選んでください)
- 寒河江市公式サイトの市政情報・振興計画のページ・広報紙
- 寒河江市が公表している防災情報(ハザードマップ・避難所一覧等)
- 山形県の人口・産業・観光に関する公表資料(県内での寒河江市の位置づけを知る参考として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、寒河江市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。寒河江市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
寒河江市役所の面接の概要
ここからは、寒河江市役所の採用試験の構成と面接の位置づけ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
寒河江市役所の面接の流れ
令和8年度(令和9年4月採用)の試験は、第1次試験と第2次試験の2段階です。第1次は区分に応じた筆記試験に全区分共通の性格検査(Web方式)が加わり、第2次は記述試験と人物試験で構成されます。
ここで見落とせないのが合否の判定方法です。受験案内は、教養試験・基礎能力試験・専門試験・記述試験・人物試験のうち1つでも一定の合格基準に達しない場合は、他の試験の成績にかかわらず不合格になると明記しています。
筆記でどれだけ得点しても、人物試験が基準に届かなければ最終合格には至りません(出典:寒河江市職員採用試験受験案内(令和9年4月採用)|令和8年度)。
| 項目 | 内容(令和8年度・令和9年4月採用) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験・第2次試験の2段階 |
| 試験区分 | 行政(上級・初級)、建築(上級・初級)、土木(上級・初級)、保育士の7区分。採用予定人員はいずれも若干名 |
| 第1次試験(行政上級) | 教養試験(大学卒業程度・2時間)と専門試験(行政・2時間)。行政初級は教養試験(高校卒業程度・2時間)のみで専門試験はありません |
| 第1次試験(技術・保育士) | 建築上級・土木上級は基礎能力試験1時間と専門試験2時間、建築初級・土木初級は基礎能力試験1時間と専門試験1時間30分、保育士は基礎能力試験1時間 |
| 教養試験の出題分野 | 時事、社会・人文に関する一般知識と、文章理解、判断・数的推理、資料解析に関する能力 |
| 行政上級の専門試験 | 憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、政治学、行政学、国際関係 |
| 性格検査 | 全区分でWeb方式(40分)。自宅等のパソコンやスマートフォンから受験します。公務員に求められる資質について性格特性をみる検査で、受験案内は試験種目配点に加味されないと明記しています |
| 第2次試験 | 記述試験(課題を通しての思考力、表現力等についての筆記試験)と人物試験(口述による面接試験等による人物評価) |
| 合否の判定 | 教養試験・基礎能力試験・専門試験・記述試験・人物試験のうち1つでも一定の合格基準に達しない場合は、他の試験の成績にかかわらず不合格 |
| 面接の形式 | 個別面接か集団面接かの別、面接の回数、集団討論の有無は公表されていません |
| 提出書類 | 第1次試験の際に、行政初級は住民票抄本等、市内の高等学校を卒業または卒業見込みの方は在学証明書または卒業証明書、保育士は保育士免許証の写しを提出します。面接カードや自己PRシートに相当する様式は受験案内に記載がありません |
| 申込方法 | 採用支援サイト「パブリックコネクト」の専用ページで会員登録とエントリーを行うインターネット申込のみ。申込6か月以内・背景無地・上半身・脱帽・正面向きの顔写真データ(縦横比4対3)が必要です |
| 受験資格(行政上級) | 平成8年4月2日から平成17年4月1日までの間に生まれた方で、大学卒業程度の学力を有する方。全区分に共通して、採用後に寒河江市または近隣市町に居住できる方という条件があります |
| 結果の開示 | 第1次・第2次の不合格者は、総合得点と総合順位について口頭による開示請求ができます。合格発表の翌日から1か月間、本人が身分証明書等を持参して総務課へ直接来庁する必要があります |
| 初任給 | 上級(行政・建築・土木)234,900円(大学新卒者の場合)、初級(行政・建築・土木)202,000円(高校新卒者の場合)、保育士215,300円(短大2年新卒者の場合) |
この構成から読み取れることは2つあります。1つは、第2次で書く力と話す力が同じ段階で確かめられることです。
記述試験は「課題を通しての思考力、表現力等」を見る試験ですから、面接で語る考えと記述で書く考えがちぐはぐでは通用しません。もう1つは、性格検査が配点に加味されないと明記されている点です。
人物の評価は、あくまで人物試験と記述試験で行われると考えておくべきでしょう。
上記は寒河江市が公表する令和8年度職員採用試験(令和9年4月採用)の受験案内による内容です。令和8年度は前期と後期の2回試験が実施されており、前期は試験方式が異なる可能性があります。面接の形式(個別面接・集団面接の別)、面接の回数、面接官の人数、所要時間、各試験種目の配点は公表されていません。試験の構成・日程・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の受験案内でご自身の区分の試験情報をご確認ください。
寒河江市役所が求める人物像
寒河江市の受験案内には、「求める職員像」「求める人材像」という項目そのものが置かれていません。代わりに末尾で将来都市像を掲げ、四季折々の食や自然、温泉など多くの魅力がある寒河江市で、その実現に向けたまちづくりを担う人の応募を待っていると記しています(参考:寒河江市の職員採用試験|令和8年度)。
短い一文ですが、読み取れることは3つあります。第一に、市が受験者に求めているのは将来都市像の実現に加わる意思であること。
第二に、食や自然、温泉といった地域の資源が市の魅力として自認されていること。第三に、行政初級の地元要件や、採用後に市または近隣市町に居住できることという条件が示すとおり、この土地で暮らしながら働くことが前提に置かれていることです。
自己PRでは強みを挙げるだけで終わらせず、その強みを寒河江市の暮らしの中でどう使うのかまで話せるようにしておきましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。寒河江市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどのように会場まで来ましたか | 用意していない一言に自然に返せるか。表情と声の出だし |
| ② 動機・志望 | いつから公務員を目指していましたか | 民間企業ではなく行政を選んだ道筋を、自分の経験の中から説明できるか |
| ③ 自己理解 | あなたの長所と短所を教えてください | 自分を客観視できているか。短所との付き合い方まで語れるか |
| ④ 経験・行動 | 周囲と意見が食い違ったときの経験を教えてください | 対立の有無ではなく、その場面で何を考えどう動いたか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に打ち込んだ学びを教えてください | 内容を知らない相手にも伝わる言葉で話せるか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後に携わりたい分野はどこですか | 市の仕事の理解度と、配属先が希望と異なるときの受け止め方 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 関心を持って見ている社会の動きはありますか | 情報を追っているか。自分なりの見方を一言で示せるか |
ただし、この7カテゴリーは寒河江市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「寒河江市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「寒河江市役所ならでは」の質問
人物試験が単独で不合格の理由になりうる試験ですから、この2問で言葉に詰まる余裕はありません。どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがありませんが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「寒河江市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい寒河江市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模感 | 人口38,785人・面積139.03km²・人口密度279人/km²。県全体でみると1km²あたり約107人 | 県平均の2.5倍という密度を示し、面積が広くない市だからこそ届けやすい行政サービスは何かという論点へ運ぶと、話に筋が通ります |
| 将来都市像 | 令和8年度の受験案内が掲げる将来都市像は「さくらんぼと幸せ実る 夢育むまち 寒河江」。市の木もサクランボ | 言葉をなぞるのではなく、夢を育むという表現が指す暮らしを自分の言葉で言い換えたうえで、関わりたい分野を続けます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 県が受け持つのは広域の政策と市町村間の調整。寒河江市は人事委員会を置かず総務課職員係が採用を所管し、7つの試験区分はいずれも若干名の採用 | 若干名という規模から、一人が受け持つ範囲の広さと住民との距離の近さを、自分が望む働き方として述べます |
| 地元とのつながり | 行政初級には市内在住または市内の高等学校の卒業(見込み)という要件があり、全区分に「採用後、寒河江市又は近隣市町に居住できる者」という条件が付く | 市外出身の受験者ほど、この土地で暮らす覚悟を具体的に語る必要があります。訪れて感じたことを一つ添えると説得力が増します |
| 試験の性格 | 第2次は記述試験と人物試験。5つの試験種目のうち1つでも基準に達しなければ、他の成績にかかわらず不合格になると受験案内が明記 | 面接で話す内容と記述で書く内容がそろっているかを、準備の段階で自分で点検しておくと、どちらの種目でも軸がぶれません |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、先ほど読み解いた「寒河江市で評価されやすい力」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 課題を言葉にする力 | 第2次の記述試験と人物試験の両方で、課題に対する自分の考えを筋道立てて示せるか | 寒河江市の記述試験は制限字数が公表されていません。将来都市像や人口減少を題材に、時間を計って一本書き、その要旨を口で説明するところまでを1セットにします |
| この土地で働き続ける意思 | 採用後に寒河江市または近隣市町に居住できるかという条件に、実感を伴って答えられるか | 市の広報や公式サイトから取り組みを2つ拾い、暮らしの場面と重ねます。市外出身であれば、訪れて自分の目で見たことを一つ用意しておきます |
| 地域の資源を仕事につなげる視点 | さくらんぼや温泉といった市の資源を、行政の仕事としてどう扱うかを語れるか | 特産品の紹介で止めず、担い手の確保や加工・観光との組み合わせなど、収入につなげる工夫の視点で1つ考えを用意しておきます |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。人物試験が単独で結果を左右する寒河江市では、この掘り下げに耐えられるかどうかが重みを持ちます。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、あらかじめ用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の受験案内を読み、志望区分の試験種目と2段階の流れ、パブリックコネクトでの申込に必要な顔写真の規格まで確認する
- 高校・大学生活やアルバイト等の経験を棚卸しする。学業・課外活動・仕事から、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 記述試験と人物試験が同じ段階にあることを前提に、書く練習と声に出す練習を交互に行う。書いた文章を口頭で要約し直すところまでを1セットにする
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、寒河江市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
寒河江市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
寒河江市の試験でまず頭に入れておきたいのは、5つの試験種目のうち1つでも基準に届かなければ不合格になる、という合否の決め方です。筆記の貯金で人物試験を乗り切ることはできません。
第2次では記述試験と人物試験が並び、書いた考えと話す考えの一致が問われます。将来都市像に掲げられた「さくらんぼと幸せ実る 夢育むまち」という言葉を、自分はどんな暮らしの姿だと受け止めたのか。
若干名という採用枠の一人になり、この土地で暮らしながら働く自分をどこまで具体的に描けているか。そこまで用意できたとき、面接の答えは他の受験者と違うものになります。