本記事では、岩出市職員採用試験の面接対策で必要な、岩出市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

岩出市役所の面接試験では、「なぜ岩出市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。岩出市は令和8年度に採用試験を年3回実施しており、回によって募集区分も試験の組み立ても違います。

本記事では、令和9年4月1日採用予定の第2回試験と第3回試験を中心に整理します。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と岩出市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

岩出市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは岩出市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 和歌山県の北部にあり、和歌山市・紀の川市と、大阪府の泉南市・阪南市に境を接する市。市域は38.51平方キロメートルで、和歌山市に隣り合う位置にある。
  • 総務省の住民基本台帳による令和8年1月1日現在の人口は53,648人。和歌山県内の市では5番目の規模で、人口密度は約1,393人/km²となる。
  • 65歳以上の割合は25.7%で、和歌山県内の市町村で最も低い。和歌山県全体の34.2%と比べると、8ポイント以上の開きがある。
  • 75歳以上の割合も13.9%で、県全体の20.4%を大きく下回る。県内では例外的に若い年齢構成をもつ市である。
  • 和歌山県は令和6年度の1年間で全30市町村の人口が減少したが、その中で岩出市の減少率は0.33%(177人減)にとどまり、県内で2番目に小さかった。
  • 和歌山県の県土は80%が紀伊山地で占められ、平地は多くない。岩出市はその中で、紀の川の流域に開けた平地の市である。
  • 県内を東西に貫く京奈和自動車道は平成29年(2017年)に県内全線が供用され、紀北地域と奈良・京都方面が結ばれた。
  • 和歌山県が令和8年に公表した地震動予測では、岩出市の最大震度は最大クラスの巨大地震で震度6強と想定されている。沿岸20市町を対象とする津波浸水想定には含まれない内陸の市である。
  • 市の花はサクラ、市の木はウバメガシ。市役所は市の中心部の西野に置かれている。

岩出市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「岩出市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模と年齢構成、市域の広さと密度、接している自治体の顔ぶれなど、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口53,648人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口13,777人(25.7%、和歌山県全体34.2%)
うち75歳以上人口7,467人(13.9%、和歌山県全体20.4%)
総面積38.51km²
人口密度約1,393人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
接している自治体和歌山市、紀の川市、大阪府泉南市、大阪府阪南市
直近1年間の人口増減率0.33%減(177人減)。和歌山県内で2番目に小さい減少率
想定される最大震度震度6強(最大クラスの巨大地震・和歌山県の令和8年公表値)
市の花・市の木サクラ/ウバメガシ

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口とそれぞれの割合、および和歌山県全体の値は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の値です。人口密度は、この表の総人口を面積で割って当研究会が算出しました。直近1年間の人口増減率は、和歌山県が公表する令和6年4月1日から令和7年3月31日までの推計人口にもとづく別系列の値ですので、上の総人口とつないで増減を計算することはできません。国勢調査をもとに公表される人口も調査の基準が異なります。比べるときは、同じ基準の値どうしで行ってください。

数字から考えられる市政課題

岩出市の数字で最も目を引くのは年齢構成です。65歳以上の割合は25.7%、75歳以上の割合は13.9%。

和歌山県全体の34.2%・20.4%と比べると、別の県の市のような開きがあります。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

人口の動きも同じ方向を指しています。和歌山県の推計人口によれば、令和6年4月1日から令和7年3月31日までの1年間で県内30市町村のすべてで人口が減りましたが、減少率が小さかった順に日高町、岩出市、上富田町と並び、岩出市は市としては最も減少が緩やかでした。

県全体が1年で12,268人(1.39%)減る中での0.33%減です。(出典:和歌山県の市町村別人口増減|令和7年4月1日現在)

ただし、これは「岩出市には課題がない」という意味ではありません。若い年齢構成は、これから高齢化が始まる余地が大きいということでもあります。

子育て・教育の需要が当面続く一方で、高齢者向けの体制もいずれ厚くしなければならない。2つの世代の需要が時間差で重なってくるのが、この市の条件です。

面接で岩出市の現状を説明する場面なら、数字と課題を次のようにつないで話せます。

「岩出市は、65歳以上の方の割合が2割台半ばと、和歌山県の中ではかなり若い市だと知りました。人口の減り方も県内でとても緩やかだと聞いていますけれども、その分これから高齢化が進む余地も大きいのではと感じています。子育ての支援を続けながら、高齢の方を支える体制も同時に整えていく市になるのだと考えています」

岩出市の経済・産業

経済・産業構造の概要

  • 市域38.51平方キロメートルに5万人台が暮らし、人口密度は約1,393人/km²。和歌山市と大阪府に接する、平地の住宅地としての性格が強い。
  • 和歌山県全体の製造業は、製造品出荷額等が2兆3,835億円(事業所数1,465、従業者数50,917人)。化学工業18.7%、鉄鋼業18.0%、石油製品・石炭製品製造業17.9%と基礎素材型が上位を占める。
  • 県の農業産出額は1,135億円で全国28位。うち果実が790億円を占め、みかん・うめ・かき・ハッサクの収穫量は全国1位である。
  • 岩出市が属する紀北地域は、京奈和自動車道の県内全線供用によって奈良・京都方面と結ばれ、大阪府とも直接接している。

つまり、「和歌山県の産業の柱は臨海部の基礎素材型製造業と果実農業だが、岩出市の強みは県北部の交通条件と住宅地としての集積にある」という整理を持っておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。市の中に大きな工業集積を探すのではなく、人が住み続ける条件を守ることが経済政策になる市だと理解しておきましょう。(出典:経済センサス活動調査 和歌山県の工業|令和3年)

果実王国としての和歌山県

和歌山県の農業産出額1,135億円のうち、果実が790億円と7割近くを占めます。みかんの収穫量147,800トン、うめ64,400トン、かき39,700トンはいずれも全国1位です。

岩出市そのものが大産地というわけではありませんが、県が農業をどう支えているかは、市の窓口や産業振興の仕事にも関わってきます。農業を志望分野にするなら、収穫量の数字ではなく、担い手の確保や販路づくりまで話を伸ばしましょう。(出典:農林水産省|都道府県の農林水産業の概要)

観光と、外国人宿泊の伸び

和歌山県の令和6年の観光入込客総数は約3,273万人(前年比102.5%)で、うち日帰り客が約2,767万人、宿泊客が約506万人泊でした。とくに外国人宿泊客は510,293人泊(前年比133.2%)と、コロナ禍前を超える水準に達しています。

県北部の岩出市は、高野山や白浜といった県内の観光地と大阪方面を結ぶ通り道にあたります。観光を語るなら、市内の名所を探すよりも、県全体の人の流れの中で岩出市が果たせる役割を考える方が実りがあります。(出典:和歌山県観光客動態調査|令和6年(速報値))

財政の物差しとしての県

市の財政指標そのものは、最新の公表資料でご確認ください。参考までに和歌山県全体では、財政力指数0.31491、経常収支比率93%、実質公債費比率9.5%、将来負担比率202%(令和5年度決算)という水準にあり、令和7年度当初予算(一般会計)の規模は6,138億円でした。

県も市も、限られた財源の中で優先順位を決めている点は変わりません。財政の話題では、数字の大小より「何を選び何を後回しにするか」という判断の話として組み立てましょう。

岩出市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、岩出市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

県全体の急激な人口減少という前提

和歌山県総合計画(令和8〜12年度)の原案は、県が1985年に全国に先んじて人口減少局面へ突入したこと、2050年にはピーク時の約6割まで減ると見込まれること、生産年齢人口の減少が著しいことを「現状と課題」として明記しています。今後30年の減少スピードは過去30年の約2倍に加速し、2050年には生産年齢人口が高齢者人口とほぼ同数になる見込みとも示されています。

岩出市の人口が保たれていることは、この前提の中での話です。(出典:和歌山県総合計画(令和8〜12年度)原案)

若い世代の県外流出

同じ原案は、岩出市を含む紀北地域について、2020年の通勤・通学流動が11,411人の流出超過であり、うち他県への流出は14,934人にのぼると示しています。教育や就職を機に若者が県外へ出ていき、社会減が広がっていることを県は課題としています。

大阪府と接し、通勤・通学の利便性が高いことは岩出市の強みですが、その利便性は「県外へ出やすい」という側面も併せ持ちます。住み続けてもらう理由をどうつくるかは、この市の中心的な問いです。

時間差でやってくる高齢化

65歳以上の割合25.7%、75歳以上13.9%は、和歌山県内の市町村で最も低い水準です。ただし、割合が低いということは、これから上昇していく幅が大きいということでもあります。

今の岩出市が抱える保育・教育・子育て支援の需要と、将来立ち上がってくる介護・医療の需要。この2つを別々の課題ではなく、同じ財政の中の時間軸の問題として捉えられるかが、実務では効いてきます。

震度6強を前提にした備え

和歌山県が令和8年に公表した地震動予測では、最大クラスの巨大地震(南海トラフ巨大地震)における岩出市の最大震度は震度6強と想定されています。同時に公表された津波浸水想定は沿岸20市町を対象としており、内陸の岩出市はその対象に含まれません。

津波ではなく、揺れそのものと、その後の生活の立て直しが備えの中心になります。なお、人的・物的被害の想定は今後公表される予定とされています。(出典:和歌山県|令和8年公表 地震動予測及び津波浸水想定)

限られた職員数で回す市役所

令和8年度第2回試験の採用予定人員は、一般事務職(大卒)と一般事務職(短大卒)がそれぞれ若干名、技師(土木)5名程度、保健師1名程度、主任介護支援専門員1名程度、福祉職(手話通訳)1名程度でした。5万人規模の市の一年分の採用としては、職種ごとの人数が1名から数名という単位です。

担当が薄いということは、一人が受け持つ範囲が広いということでもあります。志望動機を考えるときは、この規模で働く現実をあらかじめ織り込んでおきましょう。

岩出市の重点政策|人口が減りにくい市の課題

「市の重点政策は」と聞かれて計画名を列挙しても、評価は動きません。求められるのは、市がどんな条件に置かれ、そこから何を優先せざるを得ないのかを説明できることです。

ここでは、当研究会が公表資料から確認できた事実を、3つの重心に整理します。岩出市の政策の重心は、住まいとして選ばれ続けること、時間差でやってくる高齢化への準備、そして限られた人手で行政を回す仕組みづくりの3つに集まります。

住まいとして選ばれ続けること

和歌山県全体が1年で1.39%減る中、岩出市の減少率は0.33%でした。大阪府と接し、和歌山市に隣り合うという位置が、この差を支えていると考えられます。

ただし、和歌山県総合計画の原案が指摘するとおり、紀北地域からは通勤・通学を機に若者が県外へ流出しています。通いやすさは、住み続ける理由にも、出ていく理由にもなり得る。

子育て・住宅・教育・公共交通といった分野は、この重心の上に乗っています。

時間差でやってくる高齢化への準備

県内で最も若い年齢構成をもつ市であることは、準備のための時間があるという意味でもあります。第2回試験で保健師と主任介護支援専門員が募集されていることは、市が保健・介護の分野に人を確保しようとしていることの表れだと読めます。

福祉分野を志望するなら、今の需要ではなく、10年後20年後に立ち上がる需要をどう見込むかという視点で語ってください。

限られた人手で行政を回す仕組み

岩出市は職員採用試験の申込を電子申請(LoGoフォーム)のみで受け付け、書面での受付は行っていません。第3回試験では、第1次試験の受け方として会場受験とテストセンター方式(全国に約200か所ある会場のパソコンで受験する形式)を選べるようにしています。

あわせて、令和8年度の試験ではすべての職種で専門試験を廃止しました。手続きを軽くし、受けやすくし、専門知識より人物で選ぶ。

この3点は、人手をどこに使うかという判断そのものです。

公表資料から確認できることそこから読める政策の重心面接での使いどころ
県内30市町村すべてが人口減となった1年で、岩出市の減少率は0.33%と2番目に小さい住まいとして選ばれる条件の維持「減っていない市」で終わらせず、何が支えているのかを説明する
65歳以上25.7%・75歳以上13.9%は県内の市町村で最も低い高齢化への備えを、早い段階から組み立てられる位置にある今の余裕を、将来の準備に使う話として組み立てる
令和8年度の採用で保健師・主任介護支援専門員・福祉職(手話通訳)を募集保健・福祉分野の担い手の確保福祉志望なら、募集職種の顔ぶれから市の力点を読んだと示せる
電子申請のみの受付、テストセンター方式の導入、全職種で専門試験を廃止限られた人手で行政サービスを回す工夫行政の効率化を語るとき、身近な実例として引ける

POINT|計画名の暗記に時間を使わない

計画名を覚えることが自治体研究の狙いではありません。関心のある分野を一つか二つに絞ったうえで、①何が課題になっているか、②市はどんな状態を目指すのか、③いまどんな事業が動いているか、④市だからこそ担える役割はどこか、⑤自分の経験や強みをどこで生かせるか、という順に調べていきましょう。

悪い例「岩出市の子育て支援に携わりたいです」

改善例「岩出市は和歌山県の中でも子育て世代が多く残っている市だと知りました。まずは窓口で市民の方の話を伺うところから始めて、その上で、大阪へ通いながら子育てをしている家庭が使いやすい形に、預け先や相談の仕組みを整えていく仕事に関わりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

並べた資料をすべて読み通す必要はありません。面接で話すつもりの分野に最も近いものを1つ選び、そこに載っている数字と方針を、人に向かって説明できる状態まで持っていければ足ります。

  • 岩出市職員採用試験の最新の試験案内(受験する回と募集区分を必ず確認する)
  • 岩出市の総合計画と、志望分野に関係する個別計画の最新版
  • 岩出市の当初予算と、その説明資料
  • 和歌山県総合計画(令和8〜12年度)(県全体の人口動態と課題認識の背景)
  • 令和8年に和歌山県が公表した地震動予測・津波浸水想定

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、岩出市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。岩出市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

岩出市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

岩出市役所の面接の概要

ここからは、岩出市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

岩出市役所の面接の流れ

岩出市の職員採用試験を実施するのは、市の総務部総務課人事係です。令和8年度は年3回の試験が行われ、第1回は年度の途中に採用する中途採用の枠、第2回と第3回が令和9年4月1日採用予定の枠でした。

第2回と第3回では募集区分も試験の組み立ても異なります。令和8年度の試験では、すべての職種で専門試験が廃止され、市は「専門的な試験対策は不要です」と明記しています。

項目令和8年度 第2回(令和9年4月1日採用予定)令和8年度 第3回(令和9年4月1日採用予定)
募集区分一般事務職(大卒)、一般事務職(短大卒)、技師(土木)、保健師、主任介護支援専門員、福祉職(手話通訳)一般事務職(高校卒)、技師(土木)、主任介護支援専門員、福祉職(手話通訳)
選考の流れ書類審査(受験申込時に履歴書・受験資格等を審査)→ 第1次試験 → 第2次試験書類審査(受験申込時)→ 第1次試験 → 第2次試験
第1次試験の種目適性検査20分、作文50分、教養試験120分会場受験は適性検査20分・教養試験90分。テストセンター方式は適性検査20分・教養試験90分。どちらかを選択します
第2次試験の種目面接(試験案内は「面接」とのみ記載しており、個人か集団かの別は公表されていません)作文50分、面接(集団面接)
作文の扱い第1次試験で実施。第1次試験の合否には使わず、第2次試験での加点対象第2次試験で実施
採用予定人員一般事務職(大卒)若干名、一般事務職(短大卒)若干名、技師(土木)5名程度、保健師1名程度、主任介護支援専門員1名程度、福祉職(手話通訳)1名程度試験案内でご確認ください

この表で目を引くのが、作文の扱いです。第2回試験では、第1次試験で作文を書きますが、その作文は第1次試験の合否には使われず、第2次試験での加点対象になります。

つまり、筆記の段階で落ちた人の作文は評価されず、面接まで進んだ人だけが、書いた文章を持ち込んだ状態で面接に臨むことになります。面接の場で作文の内容に触れられる可能性を考えれば、作文と面接は別々の準備ではなく、同じ材料でつなげて用意すべきものだと分かります。(出典:岩出市職員採用試験案内|令和8年度第2回)

もう一点、第3回試験は第2次試験の面接が「集団面接」と明記されています。一方、第2回試験の試験案内には「面接」とだけ書かれており、個人形式か集団形式かは公表されていません。

受ける回によって面接の形が変わる可能性があるということですので、自分が受ける回の試験案内を必ず確認してください。第3回では第1次試験の受け方も、会場受験とテストセンター方式(全国に約200か所ある会場のパソコンで受け、身分証明書による本人確認と試験員の監督のもとで実施される形式)から選べます。

両方を受験することはできません。(出典:岩出市職員採用試験案内|令和8年度第3回)

試験の中身も確認しておきましょう。教養試験は一般的知識および能力についての筆記試験(マークシート式)で、時事、社会・人文に関する一般知識、文章理解、判断・数的推理、資料解釈が出題範囲です。

適性検査は、性格傾向から職務への適正を図る検査とされています。申込は電子申請(LoGoフォーム)のみで、申し込める募集区分は1つに限られ、受理後の変更はできません。

上記の試験構成は、岩出市が公表した令和8年度第2回および第3回の職員採用試験案内にもとづくものです。各試験種目の配点は、いずれの試験案内にも記載がありません。試験の構成・実施回数・募集区分は年度によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける回の最新の試験案内をご確認ください。

岩出市役所が求める人物像

「求める人物像」「求める人材像」といった名称で定型化された公表文言は、岩出市の令和8年度第2回・第3回の職員採用試験案内の本文には見当たりませんでした。手がかりになるのは、どの種目に何を置いたかという選考の組み立て方です。

まず、すべての職種で専門試験を廃止し、教養試験と適性検査、作文、面接で選ぶ形にしていること。次に、その作文を第1次試験の合否に使わず、第2次試験の加点に回していること。

知識量で順位をつけるより、書いたものと話したことを合わせて人物を見ようとする設計だと読めます。加えて、年3回の試験を実施し、電子申請とテストセンター方式で受験のしやすさを高めていることからは、人材の確保そのものが市の課題として扱われている様子がうかがえます。

採用の規模から見えてくることを、当研究会の推測として付け加えます。一般事務職(大卒)の採用予定が若干名、保健師や主任介護支援専門員が1名程度という規模の市役所では、担当ごとの人数はごく小さくなります。

前例のない相談が持ち込まれても、まず引き受けてから調べるという順番になりやすい職場です。そこでは、答えを持たないまま人に尋ね、聞いた話を自分なりに組み立て直せることが、知識の量より効いてくると当研究会は見ています。

岩出市で働くうえでは、向き合う相手が二層に分かれていることも頭に入れておきたいところです。大阪や和歌山市へ通いながら暮らす子育て世代と、これから増えていく高齢の市民。

人口5万人台の市域で、両方の生活時間に届く伝え方を工夫できるかどうかは、日々の仕事の質そのものに関わります。

岩出市の選考は、申込時の書類審査から始まり、作文を書き、面接で話すという順に進みます。書いた文章と話す言葉が同じ人物を指していることが、この流れでは前提になります。

志望動機の言い回しを磨くより、これまで自分が引き受けてきた役割の中から作文にも面接にも耐える題材をひとつ決め、どちらの場でも同じ中身が出せるようにしておくほうが確実です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。岩出市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までの道は分かりやすかったですか?構えていない場面での受け答え。集団面接の回では、他の受験者が話している間の表情まで場に出ます
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間でもできる説明で止まっていないか。和歌山市や紀の川市ではなく岩出市を選んだ理由まで届いているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。適性検査で性格傾向を見る選考なので、自己申告に無理がないか
④ 経験・行動これまでで最も苦労した経験と、どう乗り越えたかを教えてください困難の規模ではなく、その場面で何を考え、どう手を打ったか。作文に書いた内容と食い違わないか
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください専門外の相手に伝わる言葉へ置き換える力。一般事務職は市長部局や教育委員会等の幅広い事務に就くため、学びを別の場面へ持ち出せるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?市の仕事への理解の解像度。職種ごとの採用が数名という規模で、希望どおりの配属でなくても働けるか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?世の中の動きを自分の関心に引き寄せ、短くまとめて話せるか。教養試験で時事が出題される市でもあります

ここまでの7つは、どこを受けるにしても多くの人が手をつけてくる領域です。抜けがあれば当然に響きますが、そろえたところで他の受験者と同じ地点に立つだけでもあります。

差がつくのは、次に挙げる岩出市そのものについての質問です。

合否を分けるのは「岩出市役所ならでは」の質問

「なぜ和歌山県庁ではなく、岩出市役所なのですか?」
「岩出市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

とくに1問目は、岩出市では答えの中身の差が出やすい質問です。岩出市は和歌山市と紀の川市に挟まれ、大阪府の泉南市・阪南市とも接しています。

県が担う仕事と、5万人台の市が担う仕事は届く距離が違いますし、隣の市とも条件が違います。その違いを自分の言葉で言えるかが問われます。

答えの型が決まっていない質問なので、どれだけこの市を見てきたかが言葉の具体さに出ます。こうした質問に答えるための「岩出市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい岩出市の事実答え方のヒント
人口の現在地住民基本台帳による令和8年1月1日現在の人口は53,648人で、和歌山県内の市では5番目。県の推計人口では、直近1年間の減少率0.33%は県内で2番目に小さかった「減っていない市」で止めず、その状態を維持する難しさまで踏み込んで、現状認識として示します
年齢構成65歳以上の割合25.7%、75歳以上13.9%は、いずれも和歌山県内の市町村で最も低い水準今の若さを強みとして挙げるだけでなく、これから高齢化が進む余地の大きさとセットで語ります
なぜ県庁ではなく市役所か岩出市は和歌山市・紀の川市と、大阪府の泉南市・阪南市に接する。市域は38.51平方キロメートルで、人口密度は約1,393人/km²制度の説明ではなく、暮らしの単位に一番近いところで働きたいという判断の理由を、岩出市の地理と重ねて話します
防災・危機管理和歌山県が令和8年に公表した地震動予測では、最大クラスの巨大地震での岩出市の最大震度は震度6強。沿岸20市町を対象とする津波浸水想定の対象には含まれない津波の話に流れず、内陸の市で揺れの後に何が起きるかを考えたうえで、自分にできる備えまで話します
岩出市の魅力和歌山市と大阪府の双方に接する位置にあり、京奈和自動車道の県内全線供用で奈良・京都方面とも結ばれた紀北地域に属する「便利さ」で終わらせず、その利便性が県外流出の入り口にもなっているという両面に触れます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

岩出市は求める人物像を定型の文言では示していません。判断の材料になるのは、選考の組み立て方そのものです。

申込時の書類審査、適性検査、作文、そして面接。この4つが同じ人物を指しているかどうかが軸になります。

いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
書いたことを話せる一貫性作文で述べた考えを、口頭で言い直せるか。書いた内容の背景を問われたときに広げられるか作文で使いそうな題材を2つほど決め、それぞれ400字程度の要点と、話すときの入り方を用意しておく
初めての分野に手をつける力知らないことを任されたときに、どこから手をつけたか。何を確かめてから動いたか未経験の役割を引き受けた経験をひとつ選び、最初の一週間で何をしたかを時系列で書き出しておく
近い距離で人と関わる姿勢同じ相手と長く関わり続けた経験があるか。うまくいかない相手にどう向き合ったか5万人規模の市では市民との距離が近いことを前提に、継続して関わった相手とのやり取りを具体例で用意する

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。集団面接が明記されている回でも、一人あたりの持ち時間が短くなるだけで、掘り下げがなくなるわけではありません。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、書き出したうえで練り直しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の試験案内を読み、自分が受ける回と募集区分を決める。回によって第1次・第2次の種目が違うことを確認する
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業や課外活動、アルバイトの経験から、その場の様子まで話せる場面を1つずつ選んでおく
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 作文の練習をする。50分で書き切る形式に慣れつつ、そこで使う題材を、面接で話す経験と同じものからそろえておく
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返して志望分野に近い岩出市の事実を2〜3個選び、固有質問の対応表と合わせて「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。集団面接の可能性がある回では、他の人の発言を受けてから話す練習も加える

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ4の作文の題材づくりを先に片づけてください。岩出市では作文が第2次試験の加点対象になりますので、面接で話す経験と作文の題材がそろっているほど、準備の効率が上がります。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、岩出市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

岩出市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

岩出市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和9年4月1日採用予定の第2回試験でいえば、岩出市の選考は書類審査から始まり、適性検査と作文と教養試験を経て、面接で決まります。専門試験がない分、対策の中心は知識の量ではなく、書く力と話す力に置かれています。

和歌山県全体が急速に人口を減らす中で、岩出市は県内で最も若い年齢構成を保ってきました。その条件を、これから何に使う市にしていくのか。

作文で書く言葉と面接で話す言葉をそろえながら、自分なりの答えを固めていってください。