本記事では、福井市職員採用試験の面接対策で必要な、福井市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

福井市役所の面接試験では、「なぜ福井市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。福井市の第2次試験は、面接と討論による口述試験に600点が置かれています。

市について語れる材料の量が、そのまま得点の差につながります。

以下に整理した事実を持ち駒として、自分の強みや関心と福井市政の接点を組み立て、面接での回答づくりに役立ててください。

第1部|自治体研究編

福井市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは福井市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 福井県の県庁所在地。平成31年4月1日に中核市へ移行し、保健所の設置をはじめ県から多くの事務が移された。
  • 人口は252,037人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で、福井県内9市のうち最も多い。市域は536.38km²、人口密度は470人/km²。
  • 市域が接するのは坂井市・勝山市・大野市・越前市・鯖江市と、池田町・永平寺町・越前町。県北部の嶺北地方の中心にあたる。
  • 65歳以上の割合は30.3%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、福井県全体の31.5%をやや下回る。
  • 市役所には19部局約130の課室が置かれ、職員数は約2,200人(令和8年度職員採用パンフレット)。
  • 将来都市像は「みんなが輝く 全国に誇れる ふくい」。
  • 職員採用パンフレットは「住みよさランキング2025 第1位」(東洋経済 都市データパック2025年6月)、「共働き率は61.2%で全国1位」(令和2年国勢調査)を市の紹介として掲げている。
  • 採用試験は前期・後期・随時募集の3本立て。前期の第2次試験は、面接及び討論による口述試験1種目で600点という配点になっている。

福井市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「福井市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

県都としての集積と、県平均をわずかに下回る高齢化率という2つを押さえておくと、福井市の規模がつかみやすくなります。

項目内容
総人口252,037人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積536.38km²(福井県内9市で2番目の広さ)
人口密度470人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
65歳以上の割合30.3%(福井県全体は31.5%)
75歳以上の割合17.8%(福井県全体は18.3%)
組織と職員数19部局約130課室・職員約2,200人
隣接自治体坂井市・勝山市・大野市・越前市・鯖江市/池田町・永平寺町・越前町
市役所所在地福井市大手三丁目10番1号
市の花・市の木アジサイ・マツ
(参考)福井県の総人口729,386人(令和7年国勢調査速報。前回から4.89%の減少)

65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計における福井市の総人口は252,037人で、割合の分母にもこの数値を用いています。並記した福井県全体の割合も同じ統計にもとづく値であり、国勢調査をもとにした県の人口とは調査の基準が異なるため、直接は比較できません。総面積・隣接自治体・市役所所在地・市の花と木は公表値をもとに整理したもので、県内9市での順位も同じデータベースで比較しました。組織と職員数は令和8年度職員採用パンフレットによる数値です。

数字から考えられる市政課題

住民基本台帳で見ると、福井県全体の739,412人に対して福井市は252,037人。県民のおよそ3人に1人が福井市で暮らしている計算になります。

県内で人口が2番目に多い坂井市は87,812人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で、同じ時点の福井市とは3倍近い差があります。県都の市役所が動かす事業は、それだけ多くの県民の暮らしに直接届くということです(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

高齢化率30.3%という数字は、県全体の31.5%より低く見えます。ただし率の低さは実数の小ささを意味しません。

65歳以上は76,329人、75歳以上は44,958人で、いずれも県内で最も多い規模です。保健所を市が設置している中核市ですから、感染症対策や母子保健の現場も市の側にあります。

たとえば面接では、市の現状を次のように数字と結び付けて語れます。

「福井市は県民のおよそ3人に1人が暮らすまちで、高齢化率は県平均を少し下回ると知りました。ただ65歳以上の方の人数で見ると7万人を超えていて、県内では最も多い人数です。中核市として保健所を持つ市だからこそできる支え方があるのではないかと考えています」

福井市の経済・産業

福井県の産業構造という土台

福井県は、ものづくりで地域経済を支えてきた県です。眼鏡枠の製造は鯖江市を中心に全国生産の90%を占め、県内には15基の原子力発電所があって全国の原子力発電量の25%強を賄っています。

主な産業は合成繊維を中心とする繊維工業、半導体や精密部品を扱う電気機械、繊維機械や工作機械などの一般機械、界面活性剤や医薬品などの化学工業で、農業ではコシヒカリを代表とする良質米が生産されています(出典:福井県の産業)。

売上の規模でも確かめておきましょう。令和3年経済センサス活動調査(速報)の福井県分では、産業大分類別の売上金額は製造業が2兆2,347億円で最も多く、卸売業と小売業が2兆2,065億円、医療と福祉が7,761億円と続きます(いずれも令和2年実績)。

製造業と流通業がほぼ肩を並べ、そこに医療・福祉が続くという構造です。県都の福井市は、この構造の中で消費と業務が集まる側を担っています(出典:令和3年経済センサス活動調査 福井県分(速報))。

歴史資源と観光の追い風

令和7年の福井県の観光客入込数は、日帰り客1,905.8万人が前年比5.0%増、宿泊客238.5万人が同6.4%減で、合計2,144.3万人と前年比3.6%の増加でした。数値が確認できる平成元年以来の最高値です。

観光消費額も前年比31.3%増の1,987億円と過去最高を更新しました。主要観光地別では、福井市の一乗谷朝倉氏遺跡に87万7千人が訪れています(出典:福井県観光客入込数|令和7年)。

この伸びの背景にあるのが鉄道です。2024年3月16日に北陸新幹線の金沢から敦賀までの区間が開業しました(出典:北陸新幹線の開業日について|福井県)。

宿泊客が前年を下回る一方で日帰り客が伸びているという内訳は、面接で観光を語るときの材料になります。来訪者を数えるだけでなく、滞在の時間をどう延ばすかという話に進めると、一段深い議論になります。

県内の暮らしを集める場所として

福井市は坂井市・勝山市・大野市・越前市・鯖江市と池田町・永平寺町・越前町に囲まれ、通勤や通学、買い物や通院の動線がこの市に集まります。採用パンフレットが掲げる「共働き率は61.2%で全国1位」(令和2年国勢調査)という数字も、働く場と保育や介護の受け皿が近接している暮らし方を映したものです。

産業政策を志望するなら、企業誘致の話だけでなく、働き続けられる生活基盤の整備まで視野に入れておきましょう。

福井市の主な行政課題

ここまでの数字を市政の言葉に置き換えると、福井市が抱える論点は次の4つに整理できます。

県全体が縮むなかでの県都の役割

令和7年国勢調査速報の福井県の総人口729,386人は、令和2年の766,863人に比べて37,477人・4.89%の減少でした。平成12年をピークに5回続けての減少で、減少数も減少率もこれまでで最大となり、県内17市町すべてで人口が減りました(出典:令和7年国勢調査 人口速報|福井県)。

県の人口ビジョンは、2060年に50.3万人まで減る見込みを示し、高齢化率も2040年に37.6%、2060年に41.2%まで上がると推計しています(出典:福井県人口ビジョン|2025年3月改定版)。県内で最大の人口を抱える福井市が、この流れの中で何を引き受けるのか。

面接ではその視点が問われます。

中核市として担う保健・福祉の現場

平成31年4月1日の中核市移行で、福井市には県から多くの事務が移りました。保健所の設置と運営、感染症の予防とまん延防止、飲食店の営業許可と指導、食中毒予防、身体障害者手帳の審査と交付、社会福祉施設の設置許可と指導監査、廃棄物処理施設の設置許可と検査、産業廃棄物の調査と指導、屋外広告物の許可、公立小中学校の教職員の研修などが代表例です。

市は移行の効果として、県と市で分担していた同じ分野の事務を市に一元化して窓口を明確にすること、市を経由して県へ出していた申請を市で完結させて手続きを早めることを挙げています(出典:福井市の中核市への移行について)。県が設置する健康福祉センターと、福井市が設置する保健所は別の機関ですので、混同しないよう押さえておきましょう。

地震と豪雪という2つの備え

福井平野の東縁には、石川県加賀市沖からあわら市・坂井市・永平寺町を経て福井市まで南北に延びる福井平野東縁断層帯があります。主部は長さ約45kmで、全体が一つの区間として活動する場合はマグニチュード7.6程度の地震が想定されます。

西部(長さ約33km)はマグニチュード7.1程度と推定され、1948年の福井地震の際に活動して、最大2m程度の左横ずれと最大0.9m程度の東側隆起が生じたと考えられています(出典:福井平野東縁断層帯|地震調査研究推進本部)。加えて福井県は冬に日照が少なく降水量が多い日本海岸気候区に属し、平野部でも大雪となることがあります。

大きな地震を経験した平野であることと、毎年の雪への備えは、別々の論点として整理しておいてください。

人を確保し、育てるという課題

令和8年度前期の採用予定人員は、事務Aが24人程度、土木A8人程度、建築A3人程度、機械A3人程度、電気A3人程度、農業と林業が各1人程度です。令和7年度の実績を見ると、事務Aは受験者61人に対して最終合格者23人でしたが、建築Aは受験者1人で合格者なし、機械Aと電気Aも受験者は1人から2人にとどまりました。

後期の事務Bも受験者6人・最終合格者1人という規模でした。市は令和8年度から経験者枠の事務Cで第1次試験を全国のテストセンター方式に変え、自己PRシートによる書類審査を加えています。

カムバック採用の枠も設けられました。技術職の受け手をどう増やすかが、採用の設計に表れています。

重点政策|将来都市像「みんなが輝く 全国に誇れる ふくい」

この将来都市像は、職員採用パンフレットに「みんなが輝く 全国に誇れる ふくい」として掲げられているものです。パンフレットは、市役所の事業フィールドが防災、教育、税、消防、企画・広報、市民生活、インフラ、環境、産業振興、子育て・福祉・健康と多岐にわたり、人の一生に寄り添う仕事だと説明しています(参考:福井市職員採用パンフレット|令和8年度)。

市が言葉にしている職員像

福井市人材育成基本方針(令和5年4月の改訂版)は、目指すべき職員像を「福井市を想い、自ら考え挑戦し、市民に“幸せ”を届ける職員」と定めています。

方針はこの3つの要素をそれぞれ説明しており、「福井市を想い」は市に愛着を持ち、どうすればもっと地域が良くなるかを常に意識した行動、「自ら考え挑戦し」は課題意識を持って解決策を主体的に考え、失敗を恐れず行動するチャレンジ精神、「市民に“幸せ”を届ける職員」は市民が豊かな暮らしを実感できるように何ができるかを考えながら業務を行うこと、とされています。

背景には、これまで実践してきた「つるつるいっぱいのおもてなし」を継続しながら、地域の魅力と市民満足度の向上につなげるという考え方が置かれています(出典:福井市人材育成基本方針|令和5年4月改訂版)。

働き方と異動の見通し

採用パンフレットは、人事異動が事務職でおおむね3年から5年、技術職で4年から6年の周期であり、配属先は職員一人ひとりの希望や能力、適性を総合的に判断して決めていると説明しています。また、省庁への派遣などを除けばほとんどの職員が本庁および福井駅周辺での勤務となるため、引っ越しを伴う異動はないとされています。

あわせてパンフレットは「受験資格を有する方であれば、出身地、年齢、性別、学歴、職歴などにより有利・不利になることはありません」と明記しています。職務の幅は広く、勤務地は集約されているという組み合わせは、志望動機を考えるときの前提になります。

POINT|計画の名称を覚えるより、接点を1つ作る

市の資料を読むときは、名称を覚えることを目的にしないでください。関心の近い分野を一つ決め、「①いま何が起きているか →②市はどうしたいのか →③そのために何をしているか →④市だから担える部分はどこか →⑤自分の経験がどこで効くか」の順にたどると、面接で使える形になります。

悪い例「福井市の子育て支援に関わりたいです」

改善例「福井市は共働きのご家庭が多いと採用パンフレットで知りました。保育や放課後の受け皿について、働きながら子育てしている方の声を聞き、より使いやすい形に見直していく仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

全部を読み込む必要はありません。志望する区分に関わるものから順に開いてください。

なお、総合計画や各年度の予算方針は改定と更新が続きますので、数字や計画名を使う前に市公式サイトの最新版に当たり直すことをおすすめします。

  • 福井市職員採用候補者試験の受験案内(最新年度)と職員採用パンフレット
  • 福井市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
  • 福井市人材育成基本方針(目指すべき職員像の説明部分まで)
  • 中核市への移行に関する市の説明ページ(県から移された事務の一覧)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、福井市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。福井市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

福井市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

福井市役所の面接の概要

ここからは第2部です。福井市の採用試験は市が独自に実施するもので、福井県人事委員会が行う県職員採用試験とは別の試験です。

何が課され、どこに重みが置かれているのかを、市の受験案内をもとに順に確認していきます。

福井市役所の試験の構成

福井市の前期(大学卒業程度)は、第1次試験と、その合格者を対象とする第2次試験の2段階です。注目すべきは配点で、第1次の合計が事務Aで200点なのに対し、第2次の口述試験は単独で600点あります。

筆記の出来だけで決まる試験ではありません。

項目内容(令和8年度・前期・大学卒業程度)
試験の段階第1次試験と、第1次試験合格者を対象とした第2次試験の2段階
第1次試験(事務A・農業・林業)教養試験(120分・100点)と専門試験(事務Aは100点、農業と林業は200点)
第1次試験(土木A・建築A・機械A・電気A)基礎能力試験(SPI3・70分・100点。言語と非言語のみ)と専門試験(200点)
第2次試験口述試験(面接及び討論による試験・600点)と適性検査(配点なし)
合格基準試験種目には合格基準を設けているものがあり、一つでも基準を満たさない場合は他の種目の結果にかかわらず不合格
棄権の扱い所定の試験種目をすべて受験した場合に限り有効な受験とし、棄権した種目が一つでもあれば他の種目も採点されない
採用予定人員事務A24人程度、土木A8人程度、建築A3人程度、機械A3人程度、電気A3人程度、農業1人程度、林業1人程度
令和7年度の実績(事務A)受験者61人・最終合格者23人
申込オンライン申請のみ。紙の申込書の提出は不要で、提出された書類は返却されない
併願の制限前期に申し込むと、随時募集と後期の全区分(後期の事務Dを除く)を受験できない
成績の通知第1次試験の不合格者のうち、開示を希望する人には成績が通知される

上記は福井市の令和8年度前期(大学卒業程度)の受験案内にもとづく内容です。後期(短大・高校卒業程度)も第1次と第2次の2段階で、第2次は同じく口述試験600点と適性検査です。第2次試験は「口述試験(面接及び討論による試験)」として一体の名称で示されており、個別面接と集団討論それぞれの回数・時間・配点の内訳は公表されていません。試験の構成や区分は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。

福井市役所が求める人物像

福井市には、目指すべき職員像を文章で示した公表資料があります。人材育成基本方針が掲げる「福井市を想い、自ら考え挑戦し、市民に“幸せ”を届ける職員」がそれです。

第1部で見たとおり、方針はこの3要素をそれぞれ説明していますので、面接の準備では、3つのうちどれに自分の経験が結び付くかを先に決めておくと話が組み立てやすくなります。

ここからは解釈の話になります。市が示したこの職員像を、福井市役所という組織の条件に当てはめると何が見えてくるのか、順に書いていきます。

福井市は中核市です。保健所の設置や飲食店の営業許可など、以前は県が担っていた専門的な事務が市の手元にあります。

それを19部局約130課室・職員約2,200人という体制で、25万人分の日常と一緒に回しています。しかも事務職は3年から5年で異動しますから、専門の窓口も、地域に出る仕事も、内部管理の仕事も、同じ職員が順に経験することになります。

この構造を踏まえると、分野が変わっても現場の事情を聞き取って制度の運用に落とし込める人が評価の対象になりやすいと考えるのが自然です。

もう一点。県庁所在地の市役所では、事業の相手が市民だけで完結しません。

事業者、地域団体、県、周辺の市町と話をまとめる場面が日常的に生じます。人材育成基本方針の「自ら考え挑戦し」という言葉も、一人で突っ走る力ではなく、関係する相手を巻き込みながら形にする力として読むほうが実態に近いでしょう。

事務Aの採用予定は24人程度で、配属先は約130の課室に広がります。特定の課の名前に寄りかかった志望動機よりも、どこに置かれても持ち込める自分の働き方を説明できるほうが、この規模の組織では効いてくるはずです。

採用パンフレットが出身地や学歴による有利不利はないと明記しているのも、そうした見方と重なります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。福井市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までどうやって来ましたか準備してきた話ではない場面での、声の出し方と表情
② 動機・志望なぜ民間企業ではなく公務員なのですか待遇や安定の話に寄っていないか。選んだ理由が経験とつながっているか
③ 自己理解周囲からはどんな人だと言われますか自己認識と他者からの評価のずれを、自分で説明できるか
④ 経験・行動力を入れて取り組んだことを教えてください取り組みの規模ではなく、その場面で自分が何を判断したか
⑤ 学業・経歴専攻してきたことを、仕事にどう生かせますか専門の中身より、行政の仕事へ橋を架ける発想
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたらどうしますか約130の課室に配属される前提を理解しているか
⑦ 公共性・社会性最近気になった行政のニュースはありますか社会の出来事を自分の言葉で評価できるか

ただし、この7カテゴリーは福井市に限らず全国の官公庁で共通する部分が大きく、受験者全員が対策してきます。ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「福井市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「福井市役所ならでは」の質問

「なぜ福井県庁ではなく、福井市役所なのですか」
「福井市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

1問目は、福井市ではとくに答えの差が出る質問です。中核市への移行によって、県と市の境目が実際に動いた市だからです。

制度を知らずに答えれば通り一遍の説明になりますが、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「福井市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい福井市の事実答え方のヒント
中核市という立場平成31年4月1日に中核市へ移行し、保健所の設置と運営、感染症対策、飲食店の営業許可、産業廃棄物の指導などが県から市へ移った制度の説明で終えず、市を経由して県へ出していた申請が市で完結するようになったという住民側の変化に触れると、答えが具体になります
人口の現在地市の人口は252,037人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で県内9市の最多。一方、福井県全体は令和7年国勢調査の速報で729,386人と前回から4.89%減り、県内17市町すべてが減少した県都だから安泰という話に流さず、県全体が縮むなかで福井市が何を引き受けるのかという問いに置き換えて答えます
高齢化の実数65歳以上30.3%、75歳以上17.8%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)と率では県平均をやや下回るが、65歳以上の実数は76,329人で県内最多率の低さを強みとして語ると足元を見誤ります。実数の大きさに触れ、保健所を持つ市としての備えへ話をつなげてください
職員像と将来都市像将来都市像は「みんなが輝く 全国に誇れる ふくい」。人材育成基本方針の目指すべき職員像は「福井市を想い、自ら考え挑戦し、市民に“幸せ”を届ける職員」標語をそのまま復唱せず、方針が挙げる3要素のどれか一つを選び、対応する自分の経験を添えると、覚えてきた言葉に聞こえません
災害への備え福井平野東縁断層帯の西部(長さ約33km)は1948年の福井地震で活動し、最大2m程度の左横ずれが生じたと推定される。主部(約45km)が一つの区間として活動すればマグニチュード7.6程度地震への備えと冬の大雪への備えを分けて語ります。大きな地震を経験した平野だという事実は、防災分野を志望する場合の出発点になります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接では、ここまで整理してきた資質が、あなたの過去の行動として実在するかどうかが確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
分野をまたいで引き受ける姿勢経験のない役割を任されたとき、どこから手をつけたか福井市の事務職は3年から5年で異動します。不慣れな役割を引き受けた場面を一つ選び、最初の一手まで説明できるようにしてください
相手に届く言い方をする力決まりや手続きを、相手に合わせて説明した経験があるか保健所を持つ中核市の窓口には専門的な相談も届きます。相手の理解度に応じて言い方を変えた場面を用意しておきましょう
自ら考えて動く姿勢言われる前に始めたことがあるか。周囲をどう巻き込んだか人材育成基本方針は「自ら考え挑戦し」を職員像に掲げています。着手した理由と、誰にどう声をかけたかまで話せる状態にしてください

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。福井市の口述試験は面接と討論を合わせて600点ですから、この掘り下げに耐えられるかどうかが得点に直結します。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の受験案内を読み、受ける区分を決める。前期に申し込むと随時募集と後期が受けられなくなるため、ここが最初の分岐点になる
  2. 第1次試験の科目を確認する。事務Aは教養試験と専門試験、技術系は基礎能力試験と専門試験で、準備の中身がまったく違う
  3. 学業・課外活動・アルバイトから、話せる場面を1つずつ選んで書き留める
  4. 討論への備えをする。第2次は面接と討論が一体の口述試験なので、意見を通す練習より、他の人の発言を受けて話を前へ運ぶ練習を重ねる
  5. 第1部の事実から2つか3つ選び、メモを見ずに30秒で説明できるか試す
  6. 600点という配点を意識して、答えるたびに「ここを掘られたら何を足すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、福井市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

福井市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

福井市役所の想定問答集を見る

さいごに

福井市の前期試験は、事務Aであれば第1次の教養試験と専門試験で200点、第2次の口述試験で600点という配点です。合否の重心は、明らかに口述試験の側にあります。

中核市として県から引き受けた仕事を、25万人が暮らすまちでどう回していくのか。そこに自分のどの経験を差し出せるのかを、面接までに言葉にしておいてください。