本記事では、坂井市職員採用試験の面接対策で必要な、坂井市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

坂井市役所の面接試験では、「なぜ坂井市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。大卒程度の区分では第2次試験がプレゼンテーション型の個別面接になるため、話す中身をあらかじめ組み立てておく必要があります。

市の実情を材料として持っているかどうかが、そのまま話の厚みに変わります。第1部から順に読み進めてください。

第1部|自治体研究編

坂井市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは坂井市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 福井県の北部に位置する市。福井市・あわら市・勝山市・吉田郡永平寺町と隣り合い、石川県加賀市とも境を接している。
  • 市域は209.67km²、人口は87,812人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度は419人/km²。福井市に次ぐ県内2番目の人口規模にあたる。
  • 平成18年3月20日の合併で誕生した市。市の公表資料では人口87,532人・世帯数34,132世帯(令和8年4月1日付け住民基本台帳)。
  • 市の中央には福井県内随一の穀倉地帯である坂井平野が広がり、南部を九頭竜川が流れて日本海に注ぐ。西部の砂丘地や丘陵地では畑作が行われている。
  • 主な地域資源として、日本海側屈指の景勝地である東尋坊、三国サンセットビーチをはじめとする海岸の風景、現存12天守のひとつである丸岡城がある。
  • 令和6年3月に北陸新幹線が開業し、福井東京間の所要時間は約3時間となった。
  • 市は若手職員の政策提案制度を設けており、提案された施策のうち約半数が実際に事業として取り組まれている。
  • 職員採用候補者試験は「前期A」「前期B」「後期」の日程区分で実施され、前期Aの大卒程度は第3次試験まで予定されている。

坂井市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「坂井市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

坂井市の数字は、県内での位置を意識すると意味が立ち上がります。人口は県内2番目、高齢化は県平均より緩やか。

この2つが市政の座標になります。

項目内容
総人口87,812人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積209.67km²(福井県の約5%)
人口密度419人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
世帯数34,132世帯(令和8年4月1日付け住民基本台帳・市公表)
65歳以上の割合29.8%(福井県全体は31.5%。県内9市では下から3番目)
75歳以上の割合17.0%(福井県全体は18.3%。県内9市では下から2番目)
隣接自治体福井市・あわら市・勝山市・吉田郡永平寺町/石川県加賀市
合併平成18年3月20日
市の花・市の木ユリ・サクラ
(参考)福井県の総人口739,412人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)

65歳以上・75歳以上の割合と、参考として並べた福井県の総人口・割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計での坂井市の総人口は87,812人で、割合の分母にもこの数値を用いています。県内9市での順位も同じ統計にもとづきます。福井県が公表している推計人口や国勢調査の結果は調査の基準が異なるため、これらの割合と直接は比較できません。総面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに当研究会が整理したもので、人口密度は上記の総人口を総面積で割って算出した値です。世帯数・合併の時期は市の職員採用案内によります。

数字から考えられる市政課題

坂井市の高齢化は、県内では緩やかな部類です。令和8年1月1日現在の住民基本台帳で65歳以上が29.8%、75歳以上が17.0%。

福井県全体の31.5%・18.3%をいずれも下回り、75歳以上の割合は県内9市で下から2番目にあたります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。福井市に次ぐ県内2番目の人口を持ち、県のなかでは若い側に位置する市だといえます。

ただし、市域209.67km²のなかには、坂井平野の農地も、砂丘地の畑作地帯も、東尋坊のある海岸部も、丸岡城のある市街地も含まれます。同じ市の中で産業も暮らしの条件も違うという構造は、合併で生まれた市の特徴でもあります。

たとえば面接では、次のように市域の違いに触れながら話せます。

「坂井市は県内で2番目に人口が多く、高齢化も県の平均より緩やかだと知りました。ただ市域には田んぼの広がる地域も海沿いの地域も市街地もありますので、同じ市でも必要とされる支援がずいぶん違うのではと感じています」

坂井市の経済・産業

県内随一の穀倉地帯という土台

坂井市の中央に広がる坂井平野は、福井県内随一の穀倉地帯です。南部には九頭竜川が流れて日本海に注ぎ、西部の砂丘地や丘陵地では畑作が行われています。

福井県の農業ではコシヒカリを代表とする良質米が生産されており、市の農地はその中心にあります。農業が市の景観と経済の両方を形づくっているという前提は、坂井市を語るときに欠かせません。

ものづくりで立ってきた県のなかで

福井県の産業を支えているのは、合成繊維を中心とする繊維工業、半導体や精密部品を扱う電気機械、一般機械、化学工業です。全国生産の90%を占める鯖江市中心の眼鏡枠製造や、全国の原子力発電量の25%強を賄う県内15基の原子力発電所も、県を語るときの定番の指標になります(出典:福井県の産業)。

令和3年経済センサス活動調査(速報)では、産業大分類別の売上金額は製造業が2兆2347億円で最も多く、卸売業・小売業2兆2065億円、医療・福祉7761億円が続きます。農業の市であると同時に、製造業が県経済を支える県の一部でもあるという二重の見方をしておきましょう。

東尋坊を抱える観光と、新幹線の開業

令和7年の福井県の観光客入込数(実人数)は合計2,144.3万人(対前年比3.6%増)で、平成元年以来の最高値を記録しました。観光消費額も対前年比31.3%増の1,987億円と過去最高です。

主要観光地別の入込数(延べ人数)では、東尋坊が651千人で、あわら温泉の658千人と並ぶ規模になっています(出典:福井県観光客入込数|令和7年)。

ただし内訳を見ると、日帰り客が1,905.8万人(5.0%増)に伸びた一方、宿泊客は238.5万人(6.4%減)と落ちています。北陸新幹線の開業で福井東京間が約3時間になったことは、来やすさと同時に、日帰りで帰れる距離になったことも意味します(参考:北陸新幹線金沢・敦賀間の開業|令和6年3月)。

観光を志望動機に選ぶなら、入込の数ではなく、市内でどれだけ時間とお金を使ってもらうかという水準まで踏み込んでください。

坂井市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、坂井市が向き合っている論点が見えてきます。市の課題を尋ねられたときのために、次の4つを手元に置いておきましょう。

県内すべての市町で進む人口減少

令和7年国勢調査の速報では、福井県の総人口は729,386人。令和2年の766,863人から37,477人・4.89%の減少で、平成12年をピークに5回続けての減少です。

減少数・減少率ともにこれまでで最も大きく、県内17市町のすべてで人口が減りました。一世帯あたりの人員も2.48人へと下がっています(出典:令和7年国勢調査 人口速報|福井県)。

県内2番目の人口を持つ坂井市も、この流れの外にはいません。

県の将来推計という前提

福井県人口ビジョン(2025年3月改定版)によれば、県人口は2000年の82.9万人をピークに減少傾向にあり、2040年に63.9万人、2060年には50.3万人まで減る見込みです。高齢化率は2020年の30.6%から、2040年に37.6%、2060年には41.2%まで上昇すると推計されています。

2004年以降は自然減が続き、2022年には出生数が5千人を下回りました(出典:福井県人口ビジョン|2025年3月改定版)。県内で相対的に若い坂井市であっても、20年先には今の県平均を超える高齢化率になり得る計算です。

市域を通る断層帯と、冬の条件

福井平野東縁断層帯主部は、石川県加賀市沖からあわら市・坂井市・永平寺町を経て福井市まで概ね南北に延びる、長さ約45kmの断層帯です。全体が一つの活動区間として活動する場合、マグニチュード7.6程度の地震が発生する可能性があるとされ、30年以内の発生確率はほぼ0%から0.07%と評価されています。

西部(長さ約33km)はマグニチュード7.1程度と推定され、1948年の福井地震の際に活動して最大2m程度の左横ずれと最大0.9m程度の東側隆起が生じたと推定されています(出典:福井平野東縁断層帯の長期評価(地震調査研究推進本部))。冬の条件も忘れられません。

県は日本海岸気候区に属し、平野部でも大雪となる年があります。揺れと雪という性格の違う2つの備えが、市の危機管理には同時に求められます。

職員の働き方をどう設計するか

坂井市はワークライフバランスの推進や健康増進を図るため時差出勤勤務を導入しており、1日の勤務時間を変えずに6つのパターンから勤務形態を選べる仕組みを持っています。また、若手職員が中心となって部署や年齢の異なるメンバーでチームを組み、市長に直接施策を提案する制度も動いています。

働き方と仕事の作り方の両面を、市が自分で組み替えようとしているという点は、志望動機を語るうえで押さえておきたい事実です。

坂井市の重点政策|坂井市の若手職員提案と福井県の動き

坂井市がどの総合計画に沿って市政を進めているかは、市の公式サイトに掲載されている最新版で確かめるのが確実です。ここでは、その計画と並んで市の性格をよく表している仕組みと、県全体の背景を整理します。

若手職員の政策提案制度

坂井市は、若手職員が中心となり部署や年齢の異なるメンバーでチームを結成して、市長に施策を直接提案する制度を設けています。提案された施策のうち約半数が実際に事業として取り組まれているという実績があります。

提案の中身も公表されています。

令和4年度は「新婚世帯の応援事業」「全天候型子どもの遊び場整備」「坂井市ブランディング推進プロジェクト」「窓口コンシェルジュの設置」、令和5年度は「生成AIの業務での有効活用」「次世代のスポーツ(ディスクゴルフの聖地)推進事業」、令和6年度は「若手職員のモチベーション向上」「坂井市の今後の土地利用」、令和7年度は「業務効率化(会計年度任用職員のシェアリング)」といった顔ぶれです(出典:坂井市職員採用案内|令和8年度)。

並べてみると、子育て支援やブランディングのような対外的な施策と、生成AIの活用や職員のモチベーションのような内部の仕組みが混ざっています。市民に向けた仕事と、役所の中を良くする仕事の両方が提案の対象になっているということです。

面接で「入庁後にやりたいこと」を語るときは、この制度を意識しておくと話に具体性が出ます。

市長が発している言葉

採用案内には市長のメッセージが載っており、「坂井市を笑顔と活気あふれるまちにするとともに、幸せと希望に満ちた坂井市を創っていくためには、職員が『チームさかい』として一丸となることが必要です」「『チームさかい』の一員として私たちと一緒に『明るく、元気に、前向きに』笑顔あふれる未来の坂井市を創りましょう」と呼びかけられています。

短い文ですが、若手の提案を事業に採用する制度と並べて読むと、方向はそろっています。上から降りてくる仕事をこなす職員ではなく、自分から出していく職員を想定しているということです。

県全体の財政という条件

福井県の令和7年度当初予算は、一般会計の規模が5,017億円(対前年度比0.6%減)です。財政力指数は単年度(令和5年度)0.41498、令和6年度決算の実質公債費比率は11.6%、将来負担比率は146.6%で、いずれも早期健全化基準を下回っています。

健全化の基準そのものは下回っていますが、財政力指数が0.4程度という数字は、県税収だけでは必要な行政サービスを賄えないことを示しています。既存の事業を組み替えなければ新しい事業を始められないという条件は、市にもそのまま当てはまります。

POINT|「やりたいこと」は提案できる形まで具体化する

坂井市には若手の提案が事業になる仕組みがあります。だからこそ、面接で述べる「やりたいこと」は、分野名で止めずに、誰の何がどう変わるのかまで言えるようにしておきましょう。

悪い例「坂井市の観光振興に携わりたいです」

改善例「東尋坊には年間で65万人ほどの方が来られていますけれども、県全体では宿泊が減っていると聞きました。日帰りで帰らずにもう一泊してもらえるような、夕方から夜の過ごし方を作る仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

プレゼンテーションの材料になりそうな箇所を探しながら読むと、時間の使い方が変わります。全部を読み通す必要はありません。

  • 坂井市職員採用候補者試験の試験概要と職員採用案内(最新のもの)
  • 坂井市の総合計画と、最新年度の予算に関する市の説明資料
  • 福井県人口ビジョン(人口の見通しと、県が課題をどう捉えているか)
  • 福井県観光客入込数の統計(東尋坊の入込や宿泊の動きを数字で確かめるため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、坂井市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。坂井市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

坂井市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

坂井市役所の面接の概要

ここからは、坂井市の選考が日程区分ごとにどう分かれ、どの場面で人物が確かめられるのかを、市の試験概要と当研究会の読みを分けながら整理していきます。

坂井市役所の試験の構成

坂井市の試験は「前期A」「前期B」「後期」の日程区分に分かれ、受ける区分によって段階の数が変わります。大卒程度の事務職が対象となる前期Aだけが第3次試験まで予定されており、第2次のプレゼンテーション型個別面接と、第3次の個別面接で計2回、人物が確かめられる構成です。

項目内容(前期A・大卒程度の事務職ほか)
試験の段階前期A(大卒程度の事務職・土木職、専門職の保育士)のみ第3次試験まで予定。前期Bと後期は第2次試験までの2段階
第1次試験基礎能力試験(SPI3-U)。土木職は専門試験、保育士はSPI3-Hと専門試験を組み合わせます
第2次試験プレゼンテーション型個別面接
第3次試験個別面接
前期B(社会人・31〜45歳)第1次試験が基礎能力試験(SPI3-G)、第2次試験が個別面接の2段階。事務職・土木職・保健師・社会福祉士・保育士が対象
後期(短大・高卒程度)第1次試験が基礎能力試験及び専門試験、第2次試験が個別面接の2段階。事務職・土木職と、専門職の保健師・管理栄養士・社会福祉士が対象
受験場所の選択第1次試験のSPI3は、坂井市役所でのペーパーテスティングのほか、全国のテストセンター(リアル会場や自宅でのオンライン会場)でも受験できます
人物試験の配点配点および面接カード等の提出書類の有無は、公表されている試験概要・採用案内のいずれにも記載がなく非公表です
申込方法インターネットのみ。申込サイトの坂井市ページから行います
初任給・賞与大学卒233,700円・短大卒214,800円・高校卒202,000円。期末・勤勉手当は年間4.65カ月分

準備の焦点は明らかです。第1次試験は基礎能力試験のみで、専門試験は職種によって加わる形。

そのぶん、大卒程度の事務職では2回の面接に判断が集まります。しかも1回目がプレゼンテーション型です。

与えられた時間のなかで、自分の考えを構成して話し切る力が最初に試されるということになります。質疑応答だけを想定した練習では足りません(出典:坂井市職員採用候補者試験概要|令和7年度)。

上記は坂井市の令和7年度試験概要にもとづく内容です。市サイトに掲載されている体系的な試験構成資料は令和7年度版が最新で、令和8年度版の試験概要は、本記事の作成時点では市サイトに掲載されていませんでした。試験概要自身も、記載している試験内容や募集職種は募集開始時に変更となる場合があるため、申込の際は必ず試験要領を確認するよう注記しています。受験の際は必ずご自身が受ける日程区分と職種の最新の試験要領をご確認ください。

坂井市役所が求める人物像

坂井市の職員採用ページ、試験概要、職員採用案内パンフレットの本文には、「求める人物像」として独立した見出しを立てた記載はありませんでした。もっとも近いのは、採用案内に載っている市長のメッセージです。

「チームさかい」として一丸となること、「明るく、元気に、前向きに」市の未来を創ることという2つの言葉が、市が受験者に向けて発している人物像に最も近い表現になります。

この言葉は、市の仕組みと突き合わせると輪郭が出てきます。若手職員が部署や年齢を越えてチームを組み、市長に直接提案する制度があり、その約半数が事業になっている。

時差出勤も6つのパターンから選べる。組織の作り方そのものを職員の側から動かせる余地がある市だということです。

「チーム」という言葉は、単に仲良く働くという意味ではなく、部署をまたいで組む前提を指していると読むほうが実態に近いでしょう。

市がプレゼンテーション型の面接を最初に置いた理由は、試験概要にも採用案内にも書かれていません。以下は、市が持っている仕組みのほうから当研究会が組み立てた見立てです。

坂井市は合併で生まれた市で、209.67km²の市域には坂井平野の農地も、砂丘地の畑作地帯も、海岸部も、丸岡城のある市街地も含まれます。同じ制度を動かすにも、地域によって説明の仕方も段取りも変わるということです。

担当を細かく割るより、一人が案件を最後まで持って地域ごとに合わせていく進め方になりやすく、初めて扱う仕事でも自分で調べ、動いてくれる相手を見つけられるかどうかが効いてくるとみられます。若手の提案が半数近く事業になるという実績も、担当者が自分で動かせる余地の大きさを裏づけています。

そして、プレゼンテーション型の個別面接が置かれていることは、この読みと矛盾しません。提案を歓迎する制度を持つ市が、選考の最初の面接で受験者に構成して話させる。

自分の考えを組み立てて相手に届ける行為が、入庁後の仕事の一部として想定されていると考えるのが自然です。

ただし、プレゼンテーションの題材をこの見立てに合わせて選ぶのは、順序が逆です。先に決めるのは、自分が実際に動かした場面のほうです。

そのうえで、その場面のどこが坂井市の仕事と重なるのかを後から言葉にしていく。この順番で用意した話は、第3次で掘られても崩れません。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。坂井市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はここまでどうやって来られましたか構えていない場面での話し方。相手の目を見て話せるか
② 動機・志望坂井市を志望した理由を教えてください他の市に置き換えても成り立つ理由になっていないか
③ 自己理解ご自身の強みを一つ挙げてください申告ではなく、裏づけになる出来事があるか
④ 経験・行動自分から提案して物事を動かした経験はありますか提案の内容そのものより、周囲をどう巻き込んだかという過程
⑤ 学業・経歴学んできたことを市の仕事にどう生かしますか知識の量ではなく、実務への橋の架け方
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたらどうしますか幅広い業務を前提にした構えがあるか
⑦ 公共性・社会性関心のある社会の課題を教えてください関心の所在と、それを短く伝える力

とはいえ、この範囲は他の受験者もひととおり準備してきます。差がつくのは、坂井市を調べていなければ答えられない質問のほうです。

合否を分けるのは「坂井市役所ならでは」の質問

「なぜ福井県庁ではなく、坂井市役所なのですか」
「坂井市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「坂井市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい坂井市の事実答え方のヒント
若手職員の政策提案制度若手職員がチームを組んで市長に直接提案し、その約半数が事業化されている。生成AIの業務活用や窓口コンシェルジュの設置なども提案から生まれた制度を知っていると述べるだけでなく、自分ならどんなテーマを提案したいかまで用意しておくと、プレゼンテーション型の面接でも生きます
市域の多様さ坂井平野は県内随一の穀倉地帯。西部の砂丘地では畑作が行われ、海岸部には東尋坊、市街地には丸岡城がある資源の列挙で終えず、地域ごとに必要な支援が違うことに触れ、合併して生まれた市ならではの調整という視点を示します
観光と宿泊令和7年の東尋坊の入込は651千人。県全体では日帰り客が5.0%増える一方、宿泊客は6.4%減っている入込の数を紹介するのではなく、滞在時間を延ばす仕掛けをどう作るかという課題として語ります
なぜ県庁ではなく市役所か坂井市は事務職から保健師・管理栄養士・社会福祉士まで自前で採用し、住民の暮らしに直接触れる職種をそろえている役割の違いを制度論で語らず、県内2番目の人口を持つ市で生活の現場を引き受けたいという理由を、自分の経験に結び付けます
防災福井平野東縁断層帯主部は坂井市を含む区間を通り、マグニチュード7.6程度の地震が想定される。西部は1948年の福井地震で活動したと推定されている断層帯が市域を通ることに触れたうえで、大雪への備えも含め、自助と共助で自分にできることを一つ添えます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

プレゼンテーションと質疑応答という性格の違う2回の面接で、同じ人物の行動が確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
考えを構成して伝える力限られた時間で、話の順序を組み立てて説明できるか前期Aの第2次試験はプレゼンテーション型の個別面接です。声に出して時間を計り、話す順序を紙に書いてから練習しましょう
自分から提案する姿勢言われたことの外側で動いた経験があるか坂井市は若手職員の提案の約半数を事業化しています。自分が言い出して周囲を動かした場面を一つ選び、断られた経験まで話せると強くなります
地域差を踏まえて動く力相手の事情に合わせて進め方を変えた経験があるか坂井市の市域には農地も海岸部も市街地も含まれます。相手によってやり方を変えた場面を、そのときの判断の理由まで含めて説明できるようにします

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。前期Aでは面接が2回ありますから、プレゼンテーションで述べた内容を第3次でさらに掘られる前提で臨みましょう。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておくことです。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 前期A・前期B・後期のどれを受けるかを決め、その区分の最新の試験要領を最後まで読む(段階の数と試験科目が区分によって違います)
  2. SPI3をどこで受けるかを決める。テストセンターを選ぶ場合は会場と日時を早めに押さえる
  3. 学業・部活動・アルバイトや仕事から、自分で言い出して動かした場面を選び出して書き留める
  4. プレゼンテーションの練習をする。話す順序を紙に書き、時間を計って声に出す。原稿の暗記ではなく順序の暗記にとどめる
  5. 若手職員の政策提案制度と東尋坊の入込のうち、話に使うほうを決め、資料を閉じて説明してみる
  6. プレゼンテーションで述べる内容から掘られそうな点を洗い出し、答えを書き足していく

優先順位に注意

ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、坂井市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

坂井市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

坂井市役所の想定問答集を見る

さいごに

坂井市の前期Aでは、プレゼンテーション型の個別面接と、その後の個別面接という2回の場面が用意されています。構成して話す力と、掘られたときに崩れない中身の両方が要るということです。

若手の提案が半数近く事業になる市で、自分なら何を提案したいのか。県内随一の穀倉地帯と東尋坊、そして市街地を同じ市域に持つこの土地で、どの現場に立ちたいのか。

声に出して確かめながら、本番までの時間を使ってください。