本記事では、大船渡市職員採用資格試験の面接対策で必要な、大船渡市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
大船渡市役所の面接試験では、「なぜ大船渡市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。第1次試験がSPI3(総合適性検査)のみで、その後に個別面接が2回続く構成のため、選考の後半は面接での受け答えが中心になります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と大船渡市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
大船渡市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは大船渡市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 岩手県の沿岸南部に位置し、人口31,392人・面積322.51km²の市(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)である。
- 隣接するのは釜石市・陸前高田市・気仙郡住田町の2市1町。県都盛岡市などの内陸部とは、北上高地を挟んだ反対側にあたる。
- 岩手県の沿岸部は宮古市以北が隆起海岸、宮古市以南がリアス式海岸とされ、大船渡市はこのリアス海岸の区域に位置する(出典:岩手県の面積・気候)。
- 人口密度は97.3人/km²。322.51km²という市域の広さに対して、人口は多くない。
- 市役所は盛町字宇津野沢に置かれ、市の花はツバキ、市の木はマツと定められている。
- 沿岸を縦貫する三陸沿岸道路が令和3年12月に全線開通し、内陸へ抜ける道路の整備も進んだ。三陸沿岸の移動条件は、この10年ほどで大きく変わっている。
- 岩手県の県北・沿岸地域は、2015年からの30年間で人口が平均43.9%減ると見込まれる圏域で、大船渡市もその中に位置する(平成30年推計)。
- 職員採用は同一年度に前期日程と後期日程の2回行われ、上級・中級・初級といった区分を設けず、職種ごとに募集する方式をとっている。
大船渡市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「大船渡市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模・市域の広さ・立地といった、市政の特徴を説明できる項目を整理しました。市単独で公表される経済統計は限られるため、スケールを測る物差しとして岩手県全体の数値もあわせて載せています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 31,392人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 322.51km² |
| 人口密度 | 97.3人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 釜石市・陸前高田市・気仙郡住田町(2市1町) |
| 市の花・市の木 | ツバキ・マツ |
| 市役所所在地 | 大船渡市盛町字宇津野沢 |
| (参考)岩手県の総人口 | 1,126,813人(令和7年10月1日現在) |
| (参考)岩手県の面積 | 15,275.04km²(北海道に次ぐ全国2番目) |
| (参考)岩手県の県内総生産 | 4兆8,973億円(令和5年度・名目) |
| (参考)岩手県の一人当たり県民所得 | 283万5千円(全国を100とすると80.5) |
大船渡市の面積・隣接自治体・市の花木は、自治体の公表値の数値です。最新の人口は市公式サイトの統計のページもあわせてご確認ください。岩手県の総人口は令和7年10月1日現在、県内総生産と一人当たり県民所得は令和5年度県民経済計算、県の面積は岩手県公式サイトの公表値によります。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
大船渡市の人口は3万1千人ほどで、岩手県全体の約113万人と比べれば小さな市です。ただし面接で問われるのは規模の大小そのものではなく、この規模のまちが置かれている状況をどう理解しているかです。
県の資料では、県北・沿岸地域の人口は30年間で平均43.9%減、労働力人口は平均55.9%減と、県平均の30.9%減を大きく上回る速さで縮む見通しが示されています(平成30年推計)(出典:岩手県の人口の将来推計に関する資料|平成30年推計)。
岩手県全体でも、65歳以上の人口は2025年にピークを迎えて減少に転じる一方、高齢化率は上がり続け、県人口は令和22(2040)年に100万人を下回る見込みです。
人が減っても暮らしは続くという前提で、限られた人手と財源のなかで行政サービスをどう保つかが、大船渡市のような沿岸の市に共通する問いになります。ここまでの数字は、答えのなかで次のように使えます。
大船渡市の経済・産業
岩手県の産業構造からみる位置づけ
人口3万1千人規模の市では、市単独で公表される経済統計の範囲は限られます。ここでは、市が属する岩手県全体の産業構造を手がかりに、三陸沿岸の地域経済の姿をつかんでおきましょう。
- 岩手県の県内総生産(名目)は4兆8,973億円、一人当たり県民所得は283万5千円で、全国を100とすると80.5(令和5年度)。
- 産業別の県内総生産構成比は、第1次産業3.0%・第2次産業25.5%・第3次産業70.7%(令和5年度)。
- 就業者数の構成比は、第1次産業8.8%・第2次産業26.0%・第3次産業65.2%。生産額に占める割合と比べて、第1次産業の比重が高い。
つまり、生産額では3.0%にとどまる第1次産業が、働く人の数では8.8%を占めるという構造です。
農林水産業が、生み出す金額以上に雇用と地域の暮らしを支えている県だと読み替えられます。三陸沿岸に位置する大船渡市についても、海と結びついた一次産業が地域の生活を支える基盤になっていると考えられ、産業や雇用の話題ではこの視点を持っておきたいところです(出典:岩手県の人口・経済|令和7年)。
交通の改善がもたらした変化
三陸沿岸道路(仙台〜八戸、約359キロメートル)は令和3年12月に全線開通し、所要時間が約3時間20分短縮されました。内陸方面でも、宮古盛岡横断道路が令和3年3月に、東北横断自動車道釜石秋田線(釜石〜花巻)が平成31年3月に全線開通しています。
沿岸と内陸、さらに仙台方面との距離が縮まったことは、大船渡市を含む沿岸南部の産業・観光・医療の条件を変える出来事でした。面接で産業や地域づくりを語るときは、「道路がつながって何ができるようになったか」というところまで踏み込みましょう(出典:岩手県の道路整備の現況(復興道路))。
観光と、訪れる人をどう増やすか
令和6年の岩手県全体の観光入込客数は延べ26,441,111人回(前年比12.8%増)、観光消費額は199,273百万円(同1.6%増)で、人の動きは戻ってきています。
県内には世界遺産「平泉」のように広く知られた内陸の資源があり、三陸沿岸にはそれとは別に、海と食という資源があります。定住人口が減っていく地域ほど、訪れる人や地域に関わる人をどう増やすかが経済の話題では重みを持ちます(出典:岩手県観光統計概要|令和6年)。
大船渡市の主な行政課題
ここまでの数字と地理的な条件を踏まえると、大船渡市が向き合っている課題が見えてきます。
面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。あわせて市公式サイトの市政情報や広報紙にも目を通しておくと、この4つが大船渡市でどんな事業になっているかまで見えてきます。
人口減少の速さと担い手の確保
岩手県の人口は、平成30年推計で2015年からの30年間に30.9%減る見込みとされ、全国の16.3%減を大きく上回ります。とくに15歳以上65歳未満の人口は43.2%減(全国平均は27.7%減)と見込まれ、県の資料は医療・介護人材の確保が困難になる可能性を挙げています。
人口3万1千人規模の市では、職員一人が受け持つ業務の幅も広くなります。担い手不足は産業だけの問題ではなく、市役所の働き方そのものに直結する課題です。
津波・大規模地震への備え
岩手県が令和4年9月に公表した地震・津波被害想定調査は、M9クラスの地震を想定し、県全体の死者を最も多い場合で約7,100人と見込んでいます。人的被害のほとんどは津波によるものとされ、建物の全壊は最大約35,000棟、うち約33,000棟が津波によると想定されています(出典:岩手県地震・津波被害想定調査(概要版)|令和4年)。
東日本大震災津波では、県内で死者4,672人・行方不明者1,122人、家屋の全壊・半壊は26,077棟にのぼりました(平成29年2月28日現在)(出典:いわて震災津波アーカイブ|被害の状況)。
三陸沿岸に位置する大船渡市にとって、津波への備えと避難の実効性は、行政のあらゆる分野に関わる基盤です。
暮らしの基盤をどう保つか
高齢化率の上昇と生産年齢人口の減少が同時に進むと、医療・介護・買い物や通院の移動手段といった、生活に直結するサービスの維持が難しくなります。岩手県では65歳以上人口が2025年にピークを迎えて減少に転じる一方、高齢化率は上がり続ける見通しです。
支える側の人数が減っていく局面に入るということで、担い手の確保と、少ない人員でも回る仕組みづくりの両方が必要になります。市役所の窓口や地域の見守りをどう続けるかは、受験生にとっても具体的に考えやすいテーマです。
復興のその先を見据えた地域づくり
岩手県の令和7年度一般会計当初予算は7,329億円で、そのうち震災分が299億円計上されています。震災から時間が経った現在も、県の予算に復興のための事業が位置づけられているということです。
沿岸の市では、復旧した施設やつながった道路を、これからの暮らしと産業にどう生かすかという段階の課題が中心になります。防災を「守り」だけで語らず、安全な暮らしを土台に地域をどう伸ばすかまで考えられると、志望動機に厚みが出ます。
重点政策|岩手県の方針と大船渡市の位置づけ
大船渡市の行政運営は、岩手県が沿岸部について描く方向性と重なる部分が大きくなります。
ここではまず、県の最上位計画と予算の方針を「県内の背景」として整理し、市政を読み解く土台をつくります。市独自の計画は市公式サイトの市政情報や広報紙に掲載されますので、面接前に最新版へ目を通しておきましょう。
いわて県民計画(2019〜2028)と人口対策
岩手県の県政運営の最上位方針は「いわて県民計画(2019〜2028)」で、令和7年度当初予算はその第2期アクションプランのもとで編成されています。柱は人口の自然減・社会減への対策で、GX(脱炭素に向けた経済社会の転換)とDX(デジタル化)を両翼に、安全・安心な地域づくりを基盤に据える構成です(出典:令和7年度岩手県当初予算のポイント)。
県の課題認識としては、平成20年以降に自然増減率と社会増減率が逆転し、自然減のウェイトが高まっている点が挙げられています。
そのため、仕事を生み出して社会減に歯止めをかけることと、社会全体で子育てを支えて自然減をやわらげることの二本立てで対策が進められています。市町村の現場では、この二つが子育て支援・移住定住・産業振興といった個別の事業として立ち現れます。
県全体の動きと沿岸部のこれから
岩手県は、東北への国際リニアコライダー(ILC)の実現に産学官で取り組むなど、長い時間軸に立った地域づくりも進めています。沿岸部では、復興道路として整備された高速道路網が、産業・観光・医療の条件を少しずつ変えつつあります。
大船渡市の仕事を考えるときは、市の中で完結する話と、県全体や三陸沿岸というより広い枠組みで動く話の両方があることを意識しておくと、志望動機の視野が広がります。
POINT|計画名を暗記しなくても志望動機は組み立てられる
計画の名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①大船渡市の人口規模と沿岸という条件を知る →②その中で自分が携わりたい仕事を選ぶ →③市公式サイトや広報紙で実際の取り組みを調べる →④自分の経験や強みをどう生かせるかを言葉にする、という順で準備しましょう。
悪い例「大船渡市の復興と活性化に貢献したいです」
改善例「まずは窓口や事務の仕事を一つずつ覚えて、市民の方に正確にお伝えできるようになりたいです。その上で、大船渡市は人口が3万1千人ほどで、沿岸部はこれから人口が大きく減ると見込まれていますので、道路がつながって行き来しやすくなった強みを生かして、市外の方にも関わってもらえる取り組みに携わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 大船渡市職員採用資格試験の実施要領(最新年度の前期日程・後期日程)
- 大船渡市公式サイトの市政情報・広報紙・各種計画のページ
- 岩手県の当初予算資料といわて県民計画(県内における大船渡市の位置づけを知る参考として)
- 岩手県の統計や人口の将来推計に関する資料
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、大船渡市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。大船渡市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
大船渡市役所の面接の概要
ここからは、大船渡市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
大船渡市役所の面接の流れ
大船渡市の職員採用資格試験は、第1次試験・第2次試験・第3次試験(最終)の3段階です。
第1次はSPI3(総合適性検査)のみで、第2次と第3次はいずれも個別面接という構成をとっており、教養試験・専門試験・作文(論文)試験は実施要領に記載がありません。筆記の負担が軽い分、面接での受け答えが選考の中心になる試験だといえます(出典:令和8年度職員採用資格試験(前期日程)実施要領)。
| 項目 | 内容(令和8年度・前期日程/一部は令和7年度後期日程) |
|---|---|
| 試験の名称 | 大船渡市職員採用資格試験。同一年度に前期日程と後期日程の2回が実施されています |
| 試験の段階 | 3段階。第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験(最終)と、段階ごとに絞り込まれます |
| 第1次試験 | SPI3(総合適性検査)のみ【全職種共通】。語や文章の理解力・数量処理・論理的思考力をみる能力検査と、性格特徴や職務適性をみる性格検査で構成。会場は全国のSPIテストセンター又はオンライン会場(自宅など) |
| 第2次試験 | 個別面接試験。会場はWEB面接 |
| 第3次試験(最終) | 個別面接試験。会場は大船渡会場 |
| 集団形式 | 実施要領に、集団面接・集団討論・グループワークの記載はありません |
| 募集職種 | 一般事務職員(5名程度)のほか、一般事務職員のUIJターン対象・社会人経験者対象、土木・建築・電気の技術職員、保健師、保健師(職務経験者対象)、栄養士を各若干名 |
| 受験資格 | 一般事務職員は生年月日による年齢の要件のみで、学歴要件の記載はありません。上級・中級・初級の区分は設けられていません |
| 申込み | 市の採用専用サイトからのWEB申込み(会員登録が必要)。申込者が一定数を超えた等の理由により、申込書による書類選考が行われる場合があります |
| 提出書類 | 令和7年度後期日程の受験案内には「エントリーシート兼履歴書」の記載があります。面接時に別途提出する書類の有無は、最新の受験案内でご確認ください |
注目したいのは、個別面接が2回あることです。一般に、1回目で人物の基礎を幅広く確認し、最終面接で志望度と考えの深さを確かめるという役割分担になります。
しかも第2次はWEB面接、第3次は大船渡会場での面接と、話す環境そのものが変わります。同じ話題を、違う面接官から角度を変えて問われる前提で、暗記した答えの再生ではなく、掘り下げに耐える準備をしておきましょう。
実施要領には、勤務場所が大船渡市役所及び出先機関であること、一般事務職員(大学4卒)の給料月額が227,100円で、期末・勤勉手当が年2回(計4.65月分)支給されることなども記載されています。
働く姿を具体的に思い描くために、勤務条件の欄にも目を通しておきましょう。なお、後期日程については、令和7年度の実施内容が市公式サイトで公表されています(参考:令和7年度職員採用資格試験(後期日程)の案内)。
上記は、令和8年度前期日程の実施要領および令和7年度後期日程の受験案内にもとづく内容です。試験の構成・科目・募集職種・受験資格等は、年度や日程によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身が受ける回の最新の受験案内をご確認ください。
大船渡市役所が求める人物像
「求める人物像」の一文を暗記するよりも、試験の組み立てから求められている人材を読み解くほうが実戦的です。ここでは大船渡市の試験の構成と、市が置かれている状況から、評価されやすい資質を整理します。
第1次がSPI3のみで面接が2回あること、職種ごとに少人数を採用すること、人口3万1千人規模の三陸沿岸のまちであること。
この3点を重ねると、住民との距離が近い職場で、幅広い仕事を引き受けながら、地域の課題に粘り強く向き合える人が求められていると考えられます。自己PRでは「責任感があります」と述べるだけでなく、その姿勢で何をして、相手や周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。大船渡市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日は緊張していますか | 硬さの有無ではなく、想定していない一言に自然な言葉を返せるか |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか | 民間企業でも実現できる動機で止まっていないか。職業選びの道筋が自分の経験とつながっているか |
| ③ 自己理解 | ご自身の長所と短所を教えてください | 自分を客観的に見られているか。短所とどう付き合ってきたか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も苦労した経験と、その乗り越え方を教えてください | 出来事の大きさではなく、その場面で何を考え、どう動いたか |
| ⑤ 学業・経歴 | 力を入れて学んだことを、わかりやすく説明してください | 専門外の相手に伝わる言葉へ置き換える力と、学びを仕事へつなげる視点 |
| ⑥ 適性・将来 | 採用されたら、どの分野の仕事に携わりたいですか | 市の仕事への理解の解像度と、希望以外の配属でも働ける柔軟さ |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になった出来事を一つ挙げてください | 社会の動きへの関心と、自分の考えを一言で述べられるか |
ただし、この7カテゴリーは大船渡市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「大船渡市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「大船渡市ならでは」の質問
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「大船渡市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい大船渡市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| まちの規模感 | 人口31,392人・面積322.51km²・人口密度97.3人/km²。隣接するのは釜石市・陸前高田市・住田町の2市1町 | 3万1千人という数字を、住民一人ひとりの顔が見える距離で働ける規模として受け止め、その距離感で自分は何をしたいのかを続けて話します |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 県は「いわて県民計画(2019〜2028)」のもとで県全体の政策を担い、市は住民に最も近い窓口として日々の暮らしを支える | 役割の違いの説明だけで終えず、大船渡という土地に自分がどう関わってきたか(住んだ、訪れた、調べた)を必ず一つ添えます |
| 人口減少と沿岸圏域 | 県北・沿岸地域の人口は30年間で平均43.9%減、労働力人口は平均55.9%減の見込み(平成30年推計)。県平均の30.9%減を上回る | 減っていく前提でサービスをどう続けるかという問いとして受け取り、人手が足りない場面をやり方の工夫でしのいだ経験を一つ用意しておきます |
| 津波・防災 | 県の被害想定(令和4年公表)は、M9クラスの地震で県全体の死者を最も多い場合約7,100人、建物全壊を最大約35,000棟(うち約33,000棟が津波による)と見込む | 数字を挙げて終わらせず、市職員は発災時に避難の呼びかけや避難所の運営を担う側だという自覚と、平時の備えで自分が関われることをセットで語ります |
| 大船渡市の魅力 | 宮古市以南のリアス式海岸に位置する三陸沿岸のまち。市の花はツバキ、市の木はマツ。三陸沿岸道路の全線開通で沿岸の所要時間が約3時間20分短縮された | 景色や食の紹介で止めず、行き来しやすくなったことで市に何ができるようになったのかという、自分なりの見立てまで話します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、先ほど整理した「大船渡市で評価されやすい資質」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 住民に近い距離で働く姿勢 | 立場や年齢の違う相手にも、同じ丁寧さで向き合えるか | 人口3万1千人規模の市では、窓口で顔なじみの市民と向き合う場面も多くなります。相手の事情を聞き取って対応を変えた経験を、相手の反応まで含めて話せるようにしておく |
| 担当の線を越えて動ける幅 | 担当がきっちり決まっていない仕事に、どう向き合ってきたか | 一般事務のほか土木・建築・電気・保健師・栄養士を各若干名ずつ採用する市であることを踏まえ、専門外の役割を任されたときの動き方を用意しておく |
| 画面越しでも伝わる伝え方 | 第2次はWEB面接。声の届き方や間の取り方まで含めて受け答えが見られます | 通信環境と部屋の明るさを整えたうえで、一文を短く区切って話す練習を録画で確認し、大船渡会場で行われる第3次との違いに慣れておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
大船渡市は個別面接が2回ある分、この傾向はより強く出ます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内(前期日程・後期日程)を読み、志望する職種の受験資格と申込みの手続きを確認する。申込みは市の採用専用サイトでの登録が必要になる
- 高校・大学生活やアルバイト等の経験を棚卸しする。学業・課外活動から、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、大船渡市と岩手県沿岸部の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習する。第2次のWEB面接を想定して録画し、画面越しの見え方と一文の長さを確かめたうえで、掘り下げへの返し方を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、大船渡市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
大船渡市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しています。個別面接が2回続く試験だからこそ、同じ話題を角度を変えて問われたときの返し方まで、あらかじめ形にしておきましょう。
さいごに
大船渡市の職員採用資格試験は、第1次がSPI3だけで、そのあとに個別面接が2回続きます。筆記で差をつけにくい分、面接で何を語れるかがそのまま結果に近づく試験です。
人口3万1千人ほどの三陸沿岸のまちで、これから人口が大きく減っていくと見込まれる圏域にあって、それでも暮らしを支え続ける仕事に自分は何を持ち込めるのか。前期日程と後期日程のどちらを受けるにしても、その答えを、自分が見てきたこと・やってきたことの中から探すところから始めてみてください。