本記事では、北上市職員採用試験の面接対策で必要な、北上市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
北上市役所の面接試験では、「なぜ北上市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。北上市の試験は第2次・第3次と個別面接が2回続く構成のため、同じテーマを角度を変えて確かめられる前提で準備しておく必要があります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と北上市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
北上市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは北上市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 岩手県の内陸南部に位置し、西の奥羽山脈と東の北上高地に挟まれた北上川の流域にあるまち。市役所は北上市芳町1番1号に置かれている。
- 人口は90,504人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。岩手県内の14市では、盛岡市・奥州市・一関市に次ぐ4番目の規模にあたる。
- 面積は437.55km²。県内14市では10番目の広さで、市域そのものが広いわけではない。
- 人口密度は207人/km²で、県内14市のなかでは盛岡市・滝沢市に次ぐ3番目の高さ。県土の大半が山地であるなか、人が集まっている側の市にあたる。
- 接しているのは花巻市・奥州市・和賀郡西和賀町・胆沢郡金ケ崎町。北に人口8万6千人台の花巻市、南に人口10万人台の奥州市があり、規模の近い都市が連なる県南の内陸という位置関係にある。
- 市の木はさくら、市の花はしらゆり(ヤマユリ)。市のシンボルは面接の雑談で話題にのぼることがあるので、名前は覚えておきたい。
- 職員採用試験は人事委員会ではなく企画部総務課が実施しており、前期日程と後期日程の年2回に分けて行われている。前期日程を受験した人も後期日程を受験できる。
- 岩手県全体では人口減少が本格化しており、県の資料では2015年からの30年間で30.9%の減少が見込まれている。北上市もこの条件のなかで市政を運営している。
北上市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「北上市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、人の集まり方、隣接する市町など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。あわせて、比較の物差しとして岩手県全体の数字も並べています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 90,504人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 437.55km² |
| 人口密度 | 207人/km²(上記の総人口と総面積から算出。県内14市で3番目に高い) |
| 隣接自治体 | 花巻市・奥州市・和賀郡西和賀町・胆沢郡金ケ崎町 |
| 市役所所在地 | 北上市芳町1番1号 |
| 市の花/市の木 | しらゆり(ヤマユリ)/さくら |
| 岩手県の総人口 | 1,126,813人(令和7年10月1日現在) |
| 岩手県の総面積 | 15,275.04km²(北海道に次ぐ全国2位・国土の約4%) |
北上市の面積・隣接自治体・市の花木は当研究会が公表資料から整理したもので、いずれも市の最新の統計値とは時点が異なる場合があります。県内順位は岩手県内14市を比較したものです。岩手県の総人口・総面積は次の資料によります。(出典:岩手県の人口・経済|令和7年/岩手県の面積・気候)総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
北上市の人口は9万人あまりで、県内14市では4番目です。ただ、面接で使えるのは順位そのものより、人の集まり方のほうです。
437.55km²に90,504人が暮らす計算で人口密度は207人/km²、これは県内14市で3番目に高い水準にあたります。県土の大半を山地が占める岩手県のなかで、北上市は市域に人と暮らしが集まっている側の市だといえます。
一方、岩手県全体の人口は2015年からの30年間で30.9%減る見通しで、全国平均の16.3%減を大きく上回ります。県全体が縮んでいくなかで人が集まっている市ほど、周辺を含めた圏域の暮らしを支える役割が重くなります。
たとえば面接では、北上市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。(出典:岩手県の将来推計人口資料|平成30年推計)
北上市の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 岩手県の名目県内総生産は4兆8,973億円、一人当たり県民所得は283万5千円(令和5年度)。全国を100とした水準は80.5。
- 県内総生産の構成比は第1次産業3.0%、第2次産業25.5%、第3次産業70.7%(令和5年度)。
- 就業者数で見ると第1次産業8.8%、第2次産業26.0%、第3次産業65.2%で、第2次産業の比率は生産額の構成比とほぼ並ぶ。
- 市町村単位の経済指標は公表資料が限られるため、北上市の産業を語るときも、まずは岩手県全体のこの構造を土台に置く。
つまり、「第3次産業が7割を占めながら、働く人の4人に1人が第2次産業に従事している」というものづくりの厚みを残した構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:県民経済計算|令和5年度)
ものづくりと働く場
岩手県では、就業者のおよそ4分の1が第2次産業で働いています(令和5年度)。全国的にサービス経済化が進むなかで、この比率は製造業などの働く場が地域の雇用を支えていることを示しています。
面接で産業を語るなら、企業を呼び込む話だけでなく、すでにある働く場をどう維持し、そこで働く人がこの地域に住み続けられるようにするかという視点まで用意しておきましょう。北上市を志望するのであれば、この視点を市の暮らしや通勤の話に引き寄せて語れるようにしておくと、県の統計を借りた説明のままで終わらずに済みます。
交流と観光
令和6年の岩手県全体の観光入込客数は延べ2,644万人回(前年比12.8%増)、観光消費額は約1,993億円(同1.6%増)で、いずれも増加しました。県内には世界遺産「平泉」の構成資産である中尊寺・毛越寺などがあり、県南は観光の流れが通る地域です。
北上市を語るときも、市内の名所を並べるのではなく、訪れた人にどう滞在してもらい、消費を地域に落としてもらうかという組み立てで考えると、行政の仕事として話せます。(出典:岩手県観光統計概要|令和6年)
内陸と沿岸を結ぶ交通
東日本大震災津波からの復興事業として、仙台から八戸までを結ぶ全長約359キロメートルの三陸沿岸道路が令和3年12月に全線開通し、所要時間は約3時間20分短縮されました。内陸と沿岸を結ぶ横断軸も、宮古盛岡横断道路が令和3年3月に、東北横断自動車道釜石秋田線の釜石から花巻までの区間が平成31年3月に全線開通しています。
このうち釜石秋田線の内陸側は、北上市の北隣にあたる花巻市まで達しています。県南の内陸から沿岸へ出る経路が整ってきたという理解は、産業・防災どちらの話題にも使えます。(出典:岩手県の道路整備の現況)
北上市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、北上市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
人口減少と少子高齢化
岩手県の人口は、2015年から2045年までの30年間で30.9%減る見通しです(全国は16.3%減)。65歳以上の人口は2025年にピークを迎えて減少に転じる一方、高齢化率はその後も上がり続け、県人口は2040年に100万人を下回る見込みとされています。
高齢者の数が増える段階から、高齢者の割合が高いまま全体が縮む段階へと移っていくため、支える側の人数を前提にした仕組みの見直しが避けられません。
働き手と担い手の確保
とくに深刻なのが生産年齢人口の減り方です。県内の15歳以上65歳未満の人口は30年間で43.2%減少する見込みで、全国平均の27.7%減を大きく上回ります。
県はこれにより医療や介護の人材確保が困難になる可能性を指摘しています。市役所の仕事でいえば、福祉・保健の現場だけでなく、消防団や自治会など地域を支える担い手をどう確保するかという課題に直結します。
自然減と社会減の両面への対応
岩手県では平成20年以降、自然増減率と社会増減率が逆転し、自然減のウェイトが高まっています。県は仕事の創出による社会減対策と、社会全体での子育て支援による自然減対策を柱に据えています。
若い世代が地元で働き続けられる環境と、子どもを育てやすい環境は、どちらか一方では効きません。志望動機で人口減少に触れるなら、この二つの対策のどちらに関心があるのかまで言えると、話に芯が通ります。
災害への備え
東日本大震災津波による岩手県内の被害は、死者4,672人・行方不明者1,122人、家屋の全壊・半壊26,077棟にのぼりました(平成29年2月末現在)。県が令和4年9月に公表した地震・津波被害想定調査では、マグニチュード9クラスの地震を想定し、県全体の死者は最大約7,100人、建物の全壊は最大約35,000棟と見込まれています。
全壊のうち約33,000棟は津波によるもので、揺れによる全壊は約1,700棟と想定されており、内陸部でも揺れへの備えは欠かせません。防災を語るなら、市の備えへの理解と、自助・共助で自分にできる行動をあわせて用意しておきましょう。(出典:岩手県地震・津波被害想定調査|令和4年)
県内の地域差と内陸都市の役割
人口減少の進み方は県内で一様ではありません。県北・沿岸地域では30年間で人口が平均43.9%減、労働力人口は平均55.9%減と見込まれています。
内陸で人口が集まっている市は、その分だけ広い圏域の暮らしを受け止める立場になります。面接で市の課題を語るときも、北上市だけの話に閉じず、県内の地域差のなかで自分の市が担う役割まで触れられると、視野の広さが伝わります。
北上市の重点政策|いわて県民計画と市の行政運営
北上市が独自に定める総合計画の名称や重点施策について、当研究会が確認できた公式資料は限られています。ここでは、市の行政運営を取り巻く条件として、岩手県の最上位計画である「いわて県民計画(2019〜2028)」とその予算の方向を整理し、そのうえで北上市の立ち位置を考えます。
県の計画と予算が示している方向
令和7年度の岩手県一般会計当初予算は7,329億円(前年度比0.1%増)で、うち震災分が299億円、通常分が7,030億円です。この予算は「いわて県民計画(2019〜2028)」第2期アクションプランのもとで編成され、人口の自然減・社会減対策を主軸に、GX(脱炭素)とDX(デジタル化)を両翼、安全・安心な地域づくりを基盤とする組み立てになっています。
市町村の仕事は、この方向づけを暮らしの現場で形にすることです。(出典:令和7年度岩手県当初予算のポイント)
限られた財源のなかでの行政運営
県の財政指標を見ると、令和5年度決算の実質公債費比率は12.7%、将来負担比率は201.1%、経常収支比率は92.6%で、いずれも前年度から改善しているものの、自由に使える財源が潤沢とはいえない状態が続いています。県債残高も1兆1,620億円です。
人口が減れば税収の基盤も細るため、県でも市でも「何かを増やすには何かを見直す」判断が日常になります。北上市の職員を志望するなら、やりたいことを語ると同時に、優先順位を考える姿勢まで見せられると強くなります。(出典:岩手県の財政状況(IR資料)|令和5年度決算)
POINT|市独自の計画名がわからなくても自治体研究はできる
計画の名称を言えることが自治体研究の目的ではありません。①北上市の人口90,504人・面積437.55km²・人口密度207人/km²という基本の形を押さえる → ②受験する試験職種の職務内容(一般行政事務、福祉の相談・援助、建築事務、土木事務など)を受験案内で確かめる → ③その仕事が県全体の人口対策とどこでつながるかを考える → ④自分の経験や強みをどう生かせるかを言葉にする、という順で進めれば、市の公表資料が限られていても十分に語れます。
悪い例「北上市のまちづくりに貢献したいです」
改善例「まずは市職員として、窓口や事務の仕事を一つずつ覚えて、市民の方からの相談に落ち着いて向き合えるようになりたいです。その上で、岩手県は2015年からの30年で働く世代が4割以上減ると言われていますので、若い人が北上市で働きながら暮らし続けられるような仕事に、いずれ関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 北上市職員採用試験の受験案内(最新回・日程別。試験の段階・種目・受験資格・職務内容が1つにまとまった、最も重要な資料です)
- 市の職員採用サイトの募集ページ(エントリーの手順と、記入が必要な志望動機・自己PRの項目を確認できます)
- 北上市公式サイトの市政情報と広報紙(市が今どんな事業に力を入れているかを知る手がかりになります)
- いわて県民計画(2019〜2028)と県の当初予算資料(県内における北上市の位置づけと、市町村に期待される役割を知る参考として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、北上市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。北上市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
北上市役所の面接の概要
ここからは、北上市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
北上市役所の面接の流れ
北上市の後期日程は三段階選抜です。第1次試験はSPI3(総合適性検査)と作文試験による選考で、第2次試験と第3次試験はどちらも「人物試験」、すなわち個別面接が2回続く構成になっています。
受験案内に教養試験・専門試験の記載はなく、公務員試験でおなじみの科目暗記だけで通り抜けられる試験ではありません。
| 項目 | 内容(令和9年4月採用・後期日程) |
|---|---|
| 試験の段階 | 三段階選抜。第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験と、段階ごとに合格者を絞り込みます |
| 第1次試験 | SPI3(総合適性検査。マークシート方式で能力検査70分・性格検査40分)および作文試験(60分) |
| 第2次・第3次試験 | いずれも人物試験(個別面接) |
| 面接の種類 | 個別面接が計2回 |
| 集団形式 | 受験案内に集団面接・集団討論・グループワークの記載はありません |
| 人物調査 | 試験とは別に、受験資格の有無やエントリーシート記載事項の真否などについて実施されます |
| 提出書類 | 申込は市の職員採用サイトからのエントリーのみ。エントリーの際に志望動機・自己PR等を記入します |
| 配点 | 受験案内に配点・満点の記載はありません。最新の受験案内でご確認ください |
| 実施回数 | 年2回(前期日程・後期日程)。前期日程を受験した人も後期日程を受験できます |
注目したいのは、第1次試験の作文が何を見る科目かを市が明示している点です。受験案内は作文試験について、構成力や思考力、表現力、職務に対する意欲などを見るために行うと説明しています。
ここで挙げられている力は、そのまま個別面接でも問われるものです。書いて示す力と、話して示す力を別々に鍛えるのではなく、同じ材料で往復させておくと準備が効率的になります。(出典:北上市職員採用試験の受験案内|令和9年4月採用(後期日程))
上記の試験構成は、北上市の令和9年4月採用(後期日程)の受験案内にもとづくものです。前期日程については第1次試験の実施方式が異なることがあります。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって変わる場合があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
北上市役所が求める人物像
当研究会が北上市の受験案内と採用試験案内のページを確認した限りでは、他の自治体でよく見かける「求める人物像」の公表文言は見つかりませんでした。そこで、市が受験案内で明示している評価の観点から、面接で見られる資質を読み解きます。
手がかりは三つあります。作文試験で見るとされる「構成力・思考力・表現力・職務に対する意欲」、人物試験としての個別面接が2回あること、そしてエントリーシートの記載事項の真否を確かめる人物調査が別に行われることです。
面接対策の言葉に翻訳すると、「考えを組み立てて伝える力」「職務に向き合う意欲」「書いたことと話すことが食い違わない誠実さ」の3つが評価の軸になると考えられます。自己PRでは「責任感があります」と述べるだけでなく、その姿勢で何を行い、相手や周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。北上市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今朝は何時ごろ家を出ましたか? | 初対面の相手と会話のテンポを合わせられるか。声の出方や表情がここで面接官に伝わります |
| ② 動機・志望 | なぜ民間企業ではなく公務員なのですか? | 待遇や安定だけを理由にしていないか。働く場としての行政をどう捉えているか |
| ③ 自己理解 | 周りの人からは、どんな人だと言われますか? | 自己認識と他者からの評価にずれがないか。自分を客観的に説明できるか |
| ④ 経験・行動 | チームで何かをやり遂げた経験を教えてください | その場面で何に気づき、どう判断して手を動かしたのかという順序。個別面接が2回ある北上市では特に細部まで確かめられます |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れて学んだことを教えてください | 学んだ内容を知らない相手にも通じる説明ができるか。その学びが市役所の仕事とどこで交わるか |
| ⑥ 適性・将来 | 希望と違う部署に配属されたら、どうしますか? | 一般行政事務から福祉、建築、土木まで幅がある市役所の仕事を、どこまで具体的に思い描けているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になったニュースを一つ挙げてください | 普段から社会の動きを追っているか。取り上げた出来事に対する自分の立場を短く言えるか |
ただし、この7カテゴリーは北上市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「北上市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「北上市役所ならでは」の質問
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。個別面接が2回ある北上市では、一度答えた内容を次の面接であらためて掘られる場面も想定されます。
こうした質問に答えるための「北上市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい北上市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口の現在地 | 人口は90,504人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で県内14市のうち4番目。岩手県全体は2015年からの30年間で30.9%減の見通し(全国は16.3%減) | 「9万人台の市です」で止めず、県の減少率と並べて、北上市がどれくらいの速さの変化のなかにいるのかを自分の見立てとして添えます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 北上市は人事委員会を置かず、企画部総務課が採用試験を実施する規模の市。岩手県は人口113万人・面積15,275.04km²を所管する広域自治体 | 制度の違いを並べるだけでは足りません。9万人規模の市役所で住民一人ひとりの顔が見える距離で働きたい理由を、自分が人と関わってきた経験に重ねて話します |
| 北上市の魅力と課題 | 人口密度207人/km²は県内14市で3番目に高く、市域に人と暮らしが集まっている。一方、県内では県北・沿岸で30年間に43.9%の人口減が見込まれる | 魅力は名所の紹介ではなく「人が集まっている内陸のまち」という構造で語り、課題は県内の地域差のなかで北上市が担う受け皿としての役割につなげます |
| 岩手の産業と働く場 | 県内総生産の構成比は第3次産業70.7%だが、就業者の26.0%が第2次産業に従事(令和5年度)。北上市は内陸の北上川流域に位置する | ものづくりの就業比率が高い点に触れたうえで、働く場があることと若い世代が住み続けることは別の課題だ、という一歩先の見方まで進めます |
| 防災・危機管理 | 東日本大震災津波では県内で死者4,672人・行方不明者1,122人の被害。県の被害想定はマグニチュード9クラスで県全体の死者最大約7,100人、建物全壊は最大約35,000棟(うち揺れによる全壊約1,700棟) | 内陸の北上市は津波の直接被害こそ想定しにくい位置ですが、揺れへの備えと、被災した地域を支える側に回る可能性の両方に触れます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の3つの評価の軸に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 考えを組み立てて伝える力 | 60分の作文試験で構成力・思考力・表現力が見られ、同じ力が個別面接での話の運びにも表れます | 結論を先に置き、理由を二つに絞る形をつくり、作文でも面接でも同じ組み立てを使えるようにしておく |
| 職務に向き合う意欲 | 作文の評価項目に「職務に対する意欲」が明示され、個別面接2回でも繰り返し確かめられます | 受験する職種の職務内容(一般行政事務、福祉の相談・援助、建築事務、土木事務など)と、自分がやりたいことを重ねて言えるようにする |
| 書いたことと話すことの一致 | エントリー時に記入した志望動機・自己PRは、人物調査で記載事項の真否が確かめられます | 提出した文章の控えを手元に残し、そこに書いた出来事を面接では細部まで足して話せる状態にしておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。北上市は個別面接が2回ある分、この傾向はより強く出ます。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新回の受験案内を読み、三段階の試験構成と、エントリー時に記入する志望動機・自己PRの項目を確認する(人物調査で記載事項が確かめられるため、面接での発言と食い違わないように)
- 高校・大学生活の経験を書き出して並べ直す。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、人口90,504人・人口密度207人/km²・県全体の人口見通しのうち、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2で自分の経験を並べ直すことと、その経験が北上市の窓口や事務の現場のどこで生きるかを言葉にすることを優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、北上市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
北上市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
北上市の後期日程は、SPI3と作文を通過したあと、第2次と第3次で個別面接が2回続きます。二度にわたって同じ受験者の話を聞く試験では、その場でつくった答えより、これまで歩んできた道筋に裏打ちされた言葉のほうが残ります。
人口9万人あまり、県内14市で4番目という規模の市で、市職員一人が受け持つ範囲は決して狭くありません。しらゆりとさくらを掲げるこのまちで、自分はどんな場面で役に立てるのか。
身近な経験と行き来しながら、少しずつ言葉にしていきましょう。