本記事では、二戸市職員採用試験の面接対策で必要な、二戸市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

二戸市役所の面接試験では、「なぜ二戸市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。二戸市の第2次試験は人物試験だけで構成されているため、市の実情をどこまで自分の言葉で語れるかが、そのまま結果に響きやすい試験だといえます。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と二戸市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

二戸市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは二戸市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 岩手県の北部に位置し、青森県と県境を接する人口23,587人の市である(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。
  • 市に接しているのは八幡平市、九戸郡軽米町、九戸村、二戸郡一戸町と、青森県三戸郡の南部町、三戸町、田子町である。隣接する7自治体のうち3つが青森県側という、県境をまたぐ立地が大きな特徴となっている。
  • 総面積は420.42km²で、人口密度は56.1人/km²。市域の広さに対して人口は少ない。
  • 市役所は二戸市福岡字川又に置かれ、市の花はヤマザクラ、市の木はウルシと定められている。
  • 二戸市が属する岩手県の県北・沿岸地域は、2015年からの30年間で人口が平均43.9%減、労働力人口が平均55.9%減と見込まれる圏域である(平成30年推計)。
  • 職員採用試験は第1次試験・第2次試験の二段階で、第2次試験は全職種共通で人物試験のみ。一般事務の採用予定人員は4名程度で、募集の規模は大きくない。
  • 全職種の受験資格に「二戸市内に居住(通勤可能又は居住予定を含む。)している方」という条件が置かれている。

二戸市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「二戸市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、隣接する自治体など、二戸市の位置づけを説明できる項目を整理しました。あわせて、市の規模を測る物差しとして岩手県全体の数値も並べています。

項目内容
総人口23,587人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積420.42km²
人口密度56.1人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市役所所在地二戸市福岡字川又47番地
隣接自治体八幡平市、軽米町、九戸村、一戸町、青森県の南部町、三戸町、田子町(計7自治体)
市の花・市の木ヤマザクラ/ウルシ
(参考)岩手県の総人口1,126,813人(令和7年10月1日現在)
(参考)岩手県の面積15,275.04km²(北海道に次ぐ全国2番目の広さ)

二戸市の面積・隣接自治体・市の花・市の木は、自治体の公表値による数値です。岩手県の総人口は岩手県「岩手県の人口・経済」(令和7年10月1日現在)、県の面積は岩手県「岩手県の面積・気候」による数値です。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

二戸市の面積420.42km²は、23,587人が暮らす範囲としては広く、人口密度は56.1人/km²にとどまります。岩手県自体が15,275.04km²と北海道に次ぐ全国2番目の広さを持ち、内陸部は西側の奥羽山脈と東側の北上高地に挟まれた地形です(参考:岩手県の面積・気候

行政サービスを届ける距離が長くなりやすいことは、限られた人員でどう市域を回していくかという、市政の前提条件になります。

もう一つの前提が、人口の見通しです。岩手県全体でも2015年から2045年までの30年間で人口は30.9%減(全国は16.3%減)と見込まれますが、二戸市が属する県北・沿岸地域はそれを大きく上回る平均43.9%減、労働力人口は平均55.9%減という推計が示されています(出典:岩手県の人口動態と将来推計|平成30年推計

これは圏域単位の推計であって二戸市単独の数字ではありませんが、市政を考えるうえでの水準感としては押さえておきたいところです。圏域の見通しと市の現在地をつないでみると、答えは次のような形になります。

「二戸市は人口が2万3千人ほどで、岩手県の北のほうにある市だと知りました。県北はこの先30年で人口が4割以上減るという見通しもあると聞きましたので、人が減っていくことを前提にして、どうやって今の暮らしを支えるかを考える仕事になるのではと感じています」

二戸市の経済・産業

岩手県の産業構造からみた二戸市の位置

二戸市の産業を数字で押さえるなら、市が置かれた県全体の構造から入るのが確実です。ここでは岩手県の産業構造を手がかりに、県北の市としての二戸市の位置を整理します。

  • 岩手県の県内総生産(名目)は4兆8,973億円、1人当たり県民所得は283万5千円で、全国を100とすると80.5(令和5年度)。
  • 県内総生産の産業別構成比は、第1次産業3.0%、第2次産業25.5%、第3次産業70.7%(令和5年度)。
  • 就業者数の産業別構成比は、第1次産業8.8%、第2次産業26.0%、第3次産業65.2%(令和5年度)。

ここで注目したいのは、生産額と就業者の比率のずれです。生産額では3.0%にとどまる第1次産業が、就業者では8.8%を担っているという構造は、農林水産業が金額の大きさ以上に地域の雇用と暮らしを支えていることを示します。

県北にある二戸市のような地域では、この傾向をより身近なものとして考える必要があります(出典:岩手県の人口・経済|令和7年

広域交通と県境をまたぐ人の流れ

岩手県では東日本大震災津波からの復興道路の整備が進み、三陸沿岸道路(仙台から八戸まで、約359キロメートル)が令和3年12月に全線開通して、所要時間が約3時間20分短縮されました(参考:岩手県の道路整備の現況整備の主な舞台は沿岸と内陸を結ぶ区間ですが、人と物が動きやすくなる方向へ県全体が変わってきたという流れは、県北の交通を考えるときの前提になります

そのうえで二戸市に固有の事情が、県境をまたぐ位置にあることです。隣接する7自治体のうち3つは青森県三戸郡で、通勤、買い物、通院といった暮らしの動きは県境で止まりません。

行政の区域と生活圏がずれるという論点は、二戸市の受験者だからこそ語れる視点になります。

観光と地域資源

岩手県全体の令和6年の観光入込客数(延べ人数)は26,441,111人回で前年から12.8%増、観光消費額は約1,993億円で前年比1.6%増でした(出典:岩手県観光統計概要|令和6年。県内で全国的に知られる観光資源としては世界遺産「平泉」(中尊寺、毛越寺、観自在王院跡、無量光院跡、金鶏山の5資産)がありますが、これは県南の資源です。

二戸市については、市の花にヤマザクラ、市の木にウルシが定められている点が、地域資源を考える手がかりになります。観光や地域振興を語るなら、名所を並べるのではなく、市の公式サイトや広報紙で市が力を入れている取り組みを確かめ、訪れた人の消費をどう市内に落とすかというところまで踏み込みましょう

二戸市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえると、二戸市が県北の市として向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

県北で加速する人口減少

岩手県の人口は令和7年10月1日現在で1,126,813人、世帯数は535,667世帯です。将来推計では令和22年(2040年)に県人口が100万人を下回る見通しとされ、2015年からの30年間の減少率は県全体で30.9%と見込まれています。

二戸市が属する県北・沿岸地域はその中でも減少率が高く、平均43.9%減という水準です。人口が減ることを前提に、どの機能を維持し、どこを見直すのかという判断が、市政には常に求められることになります

高齢化の進行と担い手の確保

岩手県の65歳以上人口は2025年(令和7年)にピークを迎えて減少に転じる見込みですが、高齢化率はその後も上昇を続けます。全国の65歳以上人口のピークが2040年であることと比べると、岩手県は全国より15年早くこの局面に入る計算です。

同時に、15歳以上65歳未満の人口は30年間で43.2%減(全国平均は27.7%減)と見込まれ、県は医療介護人材の確保が困難になる可能性を挙げています。支える側が先に細っていく地域で、保健や福祉の体制をどう保つかは切実な課題です

二戸市が保健師や管理栄養士を継続して募集していることも、この文脈の中に置くと意味がはっきりします

仕事づくりと若い世代の定着

岩手県は、平成20年以降に自然増減率と社会増減率が逆転し、自然減のウェイトが高まっていると分析しています。そのうえで、仕事の創出による社会減対策と、社会全体での子育て支援による自然減対策を柱に据えています(参考:岩手県の人口問題への取組

県北・沿岸地域は労働力人口が30年間で平均55.9%減と見込まれる圏域です。働く場をどうつくり、それをどう知ってもらうか。

志望動機で地域の活性化に触れるなら、その一歩手前にあるこの構造まで理解しておきたいところです

県境を越えた広域の中での二戸市

二戸市が接する7自治体のうち3つは青森県側にあります。県が異なれば計画や制度の枠組みは分かれますが、住民の生活圏は行政の線引きどおりには分かれません。

人口が減り、一つの自治体だけで完結させにくい分野が増えるほど、青森県側を含む近隣自治体との連携や役割分担をどう組み立てるかが重みを増します。なお、隣接する一戸町や九戸村のように、二戸市の周辺には「戸」の付く地名が並びます。

いずれも二戸市とは別の自治体ですので、面接で取り違えないよう、位置関係を地図で一度確かめておきましょう。

大規模地震への備え

岩手県が令和4年9月に公表した地震・津波被害想定調査では、マグニチュード9クラスの地震を想定し、日本海溝(三陸・日高沖)モデルの冬の夕方18時頃の場合に県全体の死者数が最も多く、約7,100人と見込まれています。人的被害のほとんどは津波によるものです。

建物の全壊棟数は東北地方太平洋沖地震のモデルで最も多く約35,000棟(うち津波による全壊が約33,000棟)、揺れによる全壊は日本海溝モデルで約1,700棟と想定されています(出典:岩手県地震・津波被害想定調査(概要版)|令和4年。内陸に位置する二戸市では津波の直接的な被害想定は限定的と考えられますが、揺れによる建物被害への備えや、避難所の運営、被災した住民の生活支援は市が担う役割です。

防災を語るときは、想定の規模に触れたうえで、自助や共助として自分にできることまでをセットで用意しておきましょう

重点政策|岩手県の方針と二戸市の位置づけ

ここでは、二戸市が属する岩手県の政策方針を「県内の背景」として整理し、二戸市の行政運営を理解する土台をつくります。市の総合計画や個別計画は名称も期間も改定のたびに変わりますので、まずは県の方針という動きにくい軸から押さえるほうが、準備の順序としても効率がよいのです。

いわて県民計画と県予算の考え方

岩手県の令和7年度当初予算は、「いわて県民計画(2019〜2028)」第2期アクションプランのもとで編成されています。予算総額は7,329億円(前年度比7億円増、0.1%増)で、うち震災分が299億円、通常分が7,030億円です。

編成の考え方は、人口の自然減・社会減対策(地方創生)を主軸としつつ、GX(グリーントランスフォーメーション)とDX(デジタルトランスフォーメーション)を両翼に置き、安全・安心な地域づくりを基盤に据えるというものです(出典:令和7年度当初予算のポイント|岩手県

県の方針の中で二戸市の職員が担うもの

県の計画は、県内全域に共通する方向を示すものです。実際に住民の申請や相談を受け、事業を現場で形にするのは市町村の職員です。

人口23,587人の二戸市であれば、一つの部署が受け持つ範囲は自然と広くなり、住民との距離も近くなります。県の方針を知ったうえで「では二戸ではどう届けるのか」を考えられることが、県庁ではなく市役所を志望する理由の説得力につながります。

そのうえで二戸市自身の総合計画や個別計画は、市の公式サイトの市政情報や広報紙が一次の手がかりになります。受験する年に公表されているものを、必ず自分で確かめておきましょう。

POINT|二戸市独自の計画名がわからなくても対策はできる

計画名を暗記することが自治体研究の目的ではありません。①二戸市の人口規模と地理的な条件を知る → ②その中で自分が携わりたい仕事を考える → ③市の広報紙や公式サイトで、実際にどんな取り組みが行われているかを調べる → ④自分の経験や強みをどう生かせるかを言葉にする、という順で準備しましょう。

悪い例「二戸市の地域活性化に貢献したいです」

改善例「まずは窓口や地域の担当として、市民の方に顔を覚えてもらうところから始めたいです。その上で、二戸市は青森県側とも県境を挟んで隣り合っていると知りましたので、住んでいる場所と働く場所が県をまたいでいる方にも使いやすい手続きの形を、現場の声を聞きながら考えていきたいと思っています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 二戸市職員採用試験の受験案内(最新年度)/申込書・口述試験調査票の様式
  • 二戸市公式サイトの市政情報・広報紙・各種計画のページ
  • 岩手県の当初予算や人口の将来推計に関する資料(県内での二戸市の位置づけを知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、二戸市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。二戸市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

二戸市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

二戸市役所の面接の概要

ここからは、二戸市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

二戸市役所の試験の流れ

二戸市職員採用試験は第1次試験・第2次試験の二段階で行われ、第2次試験は第1次試験の合格者について実施されます。注目したいのは第2次試験の中身で、全職種共通で「人物試験」のみという構成です。

受験案内の記載は「人柄などをみるために面接を行います。」という一文で、第1次を通過した後に評価されるのは面接だけということになります。

項目内容(令和8年度採用・令和7年度実施)
試験の段階第1次試験・第2次試験の二段階。第2次試験は第1次試験の合格者について実施されます
第1次試験(一般事務)教養試験(40題・120分)、事務適性検査(100題・10分)、性格特性検査(150題・20分)。教養試験は高校卒業程度で、時事、社会・人文、自然の一般知識と、文章理解、判断・数的推理、資料解釈が出題されます
第1次試験(土木技師・保健師・管理栄養士)職務能力試験(60題・60分)、性格特性検査(150題・20分)、専門試験(30題・90分)
第2次試験人物試験のみ。受験案内の記載は「人柄などをみるために面接を行います。」です
面接の形式個別か集団かの別、実施回数、面接官の人数は、受験案内に記載がありません
集団討論・論作文「試験の方法」の表に記載がありません
配点・合否判定受験案内に記載がなく、非公表とみられます
提出書類申込書、口述試験調査票、身元(身分)証明書。提出先は二戸市役所総務部総務課(人事担当)で、申込みは持参又は郵送に限られます
試験会場第1次試験は二戸市立福岡中学校、第2次試験は二戸市役所
合格発表第1次試験の結果は受験者全員に通知。最終合格者は二戸市役所前掲示場と市ホームページに受験番号が掲示され、第2次試験受験者全員に通知されます
採用の仕組み最終合格者は二戸市職員採用候補者名簿に成績順に登載されます。名簿は原則として1年間有効です
給与・勤務時間初任給月額は一般事務が大学卒221,600円・高校卒195,800円、保健師が大学卒260,400円、管理栄養士が大学卒234,200円・短大卒217,800円。勤務時間は週38時間45分(1日通常7時間45分)

上記は二戸市の令和8年度採用(令和7年度実施)の受験案内にもとづく内容です(出典:二戸市職員採用試験受験案内|令和8年度採用。試験の構成・職種・日程・会場等は、年度によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の受験案内でご自身の受験する職種の情報をご確認ください。

あわせて押さえておきたいのが、最終合格の意味です。二戸市の受験案内は、最終合格が採用の確約ではなく、成績順に並んだ採用候補者名簿への登載であることを明記しています。

「採用候補者は、採用見込数に採用を辞退する者の数を考慮して決定されます」ともあり、全員が採用されるとは限りません。一般事務の採用予定人員は4名程度、そのほかの職種は若干名です。

少ない枠を成績順で争う以上、人物試験で一段でも上の評価を取りにいく構えが必要になります。

受験資格に含まれる居住・通勤要件

二戸市を受験するうえで外せないのが、受験資格です。全職種に共通して「二戸市内に居住(通勤可能又は居住予定を含む。)している方」という条件が置かれています。

市外に住んでいる場合は、通勤できる範囲であること、あるいは採用後に市内へ移り住む意思があることが前提になるということです。二戸で暮らし働くことをどう考えているかは、面接でも確かめられやすい論点だと想定しておきましょう。

また、一般事務の受験資格は年齢のみで区切られており、令和8年度採用では「平成2年4月2日から平成20年4月1日までの間に生まれた方」とされていました。大学卒業程度・高校卒業程度といった学歴別の試験区分は設けられていません。

教養試験の程度も高校卒業程度と明記されています。年齢の幅が広いぶん、学生と社会人経験者が同じ土俵で受けることになります。

経歴の長さそのものではなく、その経験から何を身につけたかを語れるように整理しておきましょう。

二戸市役所が求める人物像

二戸市の受験案内や職員採用情報のページに、「求める人物像」にあたる公表文言を、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。ここで一つ注意があります。

第1次試験の性格特性検査には「公務員に求められる六つの資質について、性格特性をみるものです」という説明がありますが、これは適性検査が測る項目の説明であって、二戸市が掲げる人物像ではありません。資質の中身も受験案内には示されていないため、面接の場で市の人物像として引用しないようにしましょう。

公表文言がない以上、評価されやすい資質は市の置かれた状況から読み解くことになります。人口23,587人という規模、一般事務4名程度という採用枠、そして全職種にかかる居住・通勤要件を重ね合わせると、「住民と近い距離で丁寧に向き合う姿勢」「担当が細かく分かれない職場で幅広く動ける柔軟さ」「二戸で暮らし働き続ける意志」が評価の中心になると考えられます。

自己PRでは、こうした資質を名乗るだけで終わらせず、その力を使って何を行い、周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。二戸市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは迷わずに来られましたか張り詰めた空気の中でも、力の抜けた受け答えができるかどうか
② 動機・志望なぜ公務員という働き方を選んだのですか民間と比べたうえでの選択になっているか、自分の経験と地続きか
③ 自己理解周りの人からはどんな人だと言われますか自己認識と他者からの評価のずれを、素直に受け止められているか
④ 経験・行動これまでで一番苦労した場面を教えてください苦労の大きさではなく、その場面で何を考え、どこから手を付けたか
⑤ 学業・経歴学校や職場で学んだことを、短く説明してください専門を知らない相手に伝わる言葉へ置き換える力
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたらどうしますか市の仕事への理解の解像度と、配属に対する構え方
⑦ 公共性・社会性最近、気になった出来事はありますか社会の動きへの関心と、自分の受け止めを言葉にできるか

ただし、この7カテゴリーは二戸市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「二戸市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「二戸市ならでは」の質問

「なぜ岩手県庁ではなく、二戸市役所なのですか」
「二戸市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも二戸市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「二戸市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい二戸市の事実答え方のヒント
人口とスケール感人口23,587人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積420.42km²、人口密度56.1人/km²。一般事務の採用予定人員は4名程度規模の小ささを弱みとして語らず、4名程度という採用枠に自分が加わったとき何を引き受けたいかまで話を進めます
なぜ県庁ではなく市役所か岩手県は面積15,275.04km²と全国2番目に広く、県は広い区域に共通する方針を示す立場。二戸市役所は23,587人の暮らしに直接向き合う役割の違いを説明したうえで、二戸の窓口や地域の現場でやりたいことを一つ具体的に挙げて締めます
県境をまたぐ立地隣接する7自治体のうち、南部町・三戸町・田子町の3つは青森県三戸郡生活圏が県境で切れない地域だという事実を起点に、近隣自治体との連携という視点を添えて答えます
二戸市の魅力市の花はヤマザクラ、市の木はウルシ。岩手県全体の令和6年の観光入込客数は約2,644万人回で前年比12.8%増名所の紹介で終わらせず、市の広報紙などで確かめた最近の取り組みを一つ添えると、調べた跡が伝わります
県北の人口見通し県北・沿岸地域は2015年からの30年間で人口が平均43.9%減、労働力人口が平均55.9%減の見込み(圏域単位の推計)数字を悲観で終わらせず、人が減る前提で何を残し何を見直すかという問いに、自分なりの答えを持って臨みます
居住・通勤要件全職種の受験資格に「二戸市内に居住(通勤可能又は居住予定を含む。)している方」という条件がある二戸で暮らすことが要件である以上、生活者としてこの土地をどう見ているかを、見聞きした具体で語ります

使い方のコツは、6つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、先ほど整理した「二戸市で評価されやすい資質」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
二戸で働き続ける意志居住・通勤要件を知ったうえで応募したか、生活の場としての二戸をどう考えているか二戸や県北へ足を運んだ経験があれば、そのとき何を見て何を思ったかを書き出しておく
幅広く動ける柔軟さ一般事務の採用は4名程度。役割が細かく分かれない職場で、担当外の仕事にどう向き合うか決まっていない役割を引き受けた場面を、引き受けた理由まで含めて話せるように整えておく
減っていく地域で工夫する姿勢県北・沿岸で30年間に人口が4割以上減る見通しを踏まえ、限られた資源で何ができるかを考えられるか人や時間や予算が足りない状況で、優先順位をつけて何かをやり切った経験を一つ用意する

なお、公務員の面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。二戸市の第2次試験は人物試験だけで構成されているぶん、一つの話題を長く掘り下げられる場面も想定しておきたいところです。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の受験案内を入手し、試験の構成と、申込書に添えて提出する「口述試験調査票」の記入項目を確認する(面接での発言と食い違わないように)
  2. 高校・大学生活やアルバイト等の経験を棚卸しする。学業・課外活動から、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、二戸市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

二戸市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

二戸市役所の想定問答集を見る

さいごに

二戸市の採用試験は、第1次試験を通過した後に評価されるのが人物試験だけという構成で、最終合格者は成績順に並んだ採用候補者名簿へ登載されます。一般事務の枠は4名程度、しかも全職種に「二戸市内に居住(通勤可能又は居住予定を含む。)している方」という受験資格がかかります。

つまり二戸市の面接は、能力を確かめる場であると同時に、この土地で暮らし働き続ける人かどうかを見る場でもあるということです。県北・沿岸地域が今後30年で人口の4割以上を失うと見込まれるなかで、23,587人のまちの窓口に立つ自分をどこまで具体的に思い描けるか。

その像がはっきりするほど、答えは短くても厚みを持ちます。まずは受験案内を手元に置き、口述試験調査票に書く言葉と面接で話す言葉をそろえるところから始めてみてください。