本記事では、滋賀県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、滋賀県警察の特徴・基礎データ・県内の治安情勢・令和8年の運営重点目標・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
滋賀県警察の面接試験では、「なぜ滋賀県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。滋賀県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、滋賀県警察ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と滋賀県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|組織研究編
滋賀県警察の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは滋賀県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 滋賀県全域を管轄し、管轄人口は約139万人。県土の約6分の1を日本最大の湖であるびわ湖が占め、湖を取り囲むように市街地と田畑が広がる県を、ひとつの警察組織で受け持っている。
- 県警本部は大津市に置かれ、警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部といった部門と、警察学校、県内各地の警察署が第一線の活動を担っている。
- 県土の面積は約4,017平方キロメートル。日本のほぼ中央に位置し、福井県・岐阜県・三重県・京都府と接している。(出典:滋賀県の位置・県章|滋賀県)
- 近畿圏・中部圏・北陸圏が接する結節点に位置し、国土の骨格をなす幹線交通が県土に集まっている。東海道新幹線も県内を走り、名古屋から米原駅までは約27分の距離にある。県内に住む人の暮らしだけでなく、通過する人と車の多さも警察活動の前提になる県である。
- 令和7年(2025年)の刑法犯認知件数は8,669件で、前年から6.4%増加した。検挙率は40.5%で、認知された事件の4割ほどが検挙に結び付いている。
- 産業は製造業への傾きが強い。県内総生産に占める製造業の割合は41.6%、特化係数は2.02と国の値のおよそ2倍で、令和5年度の県内総生産は7兆3,625億円にのぼる。働く場の多さは、外国人住民の増加という形でも県内の人口構成に表れているとみられる。(出典:滋賀県民経済計算|令和5年度)
- 令和8年の組織の方針は、基本理念「安全・安心に暮らせる滋賀の実現」と運営指針「県民とともにある柔軟で力強い警察」を掲げ、その下に5つの重点項目を置く構成になっている。
- 2025年には国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会(愛称:わたSHIGA輝く国スポ・障スポ)を44年ぶりに開催した。令和5年の延べ観光入込客数は5,032万人を超え、県内各地に人が集まる行事と観光地が点在している。
滋賀県警察の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「滋賀県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、管轄する県土と人口、本部の組織、犯罪情勢など、組織の置かれた環境を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄区域 | 滋賀県全域 |
| 管轄人口 | 約139万人(令和8年6月1日現在の推計人口で1,393,179人・前年同月比3,754人減) |
| 管轄面積 | 約4,017平方キロメートル(うちびわ湖が669.26平方キロメートルで県土の約6分の1) |
| 県警本部の所在地 | 大津市 |
| 本部の組織 | 警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部などの部門(ほかに警察学校・県内各地の警察署) |
| 刑法犯認知件数 | 8,669件(令和7年・前年比6.4%増) |
| 刑法犯検挙率 | 40.5%(令和7年) |
| 管内の高齢化率 | 27.5%(令和7年7月1日現在・65歳以上375,696人) |
| 管内の外国人人口 | 42,158人(令和8年6月1日現在・前年同月比3,503人増) |
管轄人口と外国人人口は滋賀県の推計人口(令和8年6月1日現在)、高齢化率は滋賀県の年齢別推計人口(令和7年7月1日現在)、県土の面積は滋賀県公式サイト「滋賀県の位置・県章」、びわ湖の面積は同「琵琶湖の概要」、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は令和7年(2025年)の犯罪統計の確定値にもとづく数値です。警察署・交番・駐在所の設置数や職員数は本記事では取り上げていないため、必要な方は滋賀県警察の公表資料をご確認ください。(出典:滋賀県の推計人口|令和8年6月)
数字から考えられる治安課題
滋賀県の刑法犯認知件数は、人口139万人規模の県として全国的に突出した水準ではありません。ただし令和7年は8,669件で、前年から6.4%増えました。
県の人口は直近1年間で3,754人減り、65歳以上の割合は27.5%に達しています。住む人は減っているのに、起きる事件は増えているという組み合わせが、いまの滋賀県警察の出発点です。
もうひとつ見落とせないのが、外国人住民が1年で3,503人増えたことです。県全体では人が減る一方で、海外から移り住む人は増えるという二つの流れが同時に進んでいます。
誰に、どんな言葉で安全を届けるのかという問いが、この県では年々重くなっていると考えてよいでしょう。
たとえば面接で県内の治安について聞かれたときは、次のように件数と向きを結び付けて説明できます。
滋賀県の治安情勢
刑法犯認知件数と検挙の状況
令和7年(2025年)の県内の刑法犯認知件数は8,669件で、前年比6.4%の増加でした。ここで面接上の意味を持つのは、水準の高低よりも増減の向きです。
「治安は年々良くなっている」という一般論から話を始めると、現状を調べていないことがすぐに伝わってしまうためです。
あわせて押さえたいのが検挙の状況です。同じ年の刑法犯全体の検挙率は40.5%でした。
裏を返せば、認知された事件の6割近くは、その年のうちに被疑者の検挙まで至っていないということになります。件数が増える局面では捜査の負担も同時に増えるため、検挙を追い付かせること自体が組織の課題になります。
面接で治安を語るときは、検挙という起きたあとの対応と、抑止という起こさせない取組を両輪で並べられると、仕事の理解の幅が伝わります。
主な罪種の内訳
増減の向きを確認したら、次は中身です。8,669件のうち、次の5つの罪種がどれだけを占めていたのかを見ておきます。
| 主な罪種(令和7年・認知件数) | 件数 |
|---|---|
| 殺人 | 19件 |
| 強盗 | 13件 |
| 侵入盗 | 396件 |
| 自動車盗 | 60件 |
| ひったくり | 1件 |
路上でのひったくりは年間1件にとどまり、都市部の繁華街で問題になるタイプの街頭犯罪は、滋賀県内では中心的な課題ではありません。存在感を持つのは侵入盗の396件で、刑法犯全体のおよそ22件に1件にあたります。
住まいや事業所に入り込む盗みをどう防ぐかが、この県の防犯の芯にあるということです。
侵入盗を減らす手立ては派手ではありません。鍵をかける習慣を広げること、留守が続く家や農機具の倉庫に目を配ること、住民から寄せられた小さな異変を署内で共有することの積み重ねになります。
令和8年の運営重点目標が、犯罪分析にもとづく情報を伝えるべき相手へ効果的な方法で届け、県民の行動が変わるところまで持っていくと掲げているのは、まさにこの地道な部分に効かせるための方針だと読めます。(出典:令和8年滋賀県警察運営重点目標|滋賀県警察)
人口構成の変化と地域の見守る力
滋賀県の人口は2013年の約142万人をピークに減少局面へ入りました。自然増減は2016年以降、出生数を死亡数が上回る自然減が続き、社会増減も日本人だけを見れば2013年以降は転出が転入を上回っています。
令和7年7月1日現在の高齢化率は27.5%で、前年同月の27.4%から0.1ポイント上昇しました。(出典:滋賀県の年齢別推計人口|令和7年7月)
県の総合戦略は国立社会保障・人口問題研究所の推計を引いており、高齢化率は将来35%近くに達し、一部の市町では40%を超える可能性があるとしています。高齢の方が一人で判断する場面が増えるということは、電話やSNSで持ちかけられた話を、その場で相談できる相手がそばにいない状況が広がるということでもあります。
詐欺の被害防止が地域警察の仕事の中心に据えられていく理由は、この人口構成の変化にあります。
もう一方の変化が、外国人住民の増加です。令和8年6月1日現在で42,158人が県内に暮らし、前年同月から3,503人増えました。
製造業の比重が大きい産業構造が働く場を生んでいることも、その一因とみられます。交通ルールの周知にしても、被害の届出の聞き取りにしても、言葉や制度の前提が異なる相手に伝わるまで説明を尽くす場面は、これから確実に増えていくと考えられます。
通過する人と車の多さ
滋賀県は近畿圏・中部圏・北陸圏の結節点にあたり、国土軸が県内を貫いています。ここに、訪れる人の多さが重なります。
令和5年の延べ観光入込客数は50,328,036人(前年比10.7%増)で、黒壁ガラス館1,701,489人、めんたいパークびわ湖1,045,902人、彦根城656,126人といった地点に人が集まりました。(出典:滋賀県観光入込客統計調査|令和5年)
つまり滋賀県警察は、県内に住む139万人だけでなく、通過する人、訪れる人まで含めた安全を担っています。令和8年の運営重点目標が交通死亡事故の抑止を独立した柱として立てているのも、この交通環境と無関係ではありません。
志望動機で「地元を守りたい」と語る場合も、守る相手のなかに県外から来る人が含まれている県だと意識しておくと、答えに厚みが出ます。
県内の交通事故の発生件数や死者数は毎年公表され、数値も年ごとに動きます。面接で交通安全に触れる場合は、滋賀県警察が公表する最新の交通事故統計をあわせてご確認ください。
滋賀県の主な治安課題
ここまでの数字を踏まえると、滋賀県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「滋賀県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
増加へ転じた刑法犯と、県民が感じる安全
令和7年の刑法犯8,669件という水準は、全国と比べれば小さな数字です。しかし住民が気にするのは県全体の件数ではなく、自分の住む学区や集落で何が起きたかです。
近所で空き巣に入られたという話は、統計の増減とは比べものにならない速さで不安に変わります。注目したいのは、運営重点目標の第1の柱が「治安の良さを実感できる」という言い方をしている点です。
数字の改善そのものではなく、県民が実感できるかどうかを目標に据えているという読み方は、面接で組織理解を示す材料になります。
匿名・流動型犯罪グループと詐欺の被害
令和8年の運営重点目標は、匿名・流動型犯罪グループが関与する生活経済事犯や風俗関係事犯の取締り、特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺を含む組織犯罪への多角的な対策、そして犯罪収益を剥奪してビジネスモデルそのものを解体することを掲げています。指示役は匿名の陰に隠れ、末端の実行役だけが短期間で入れ替わっていく構造のため、実行役の検挙だけでは被害が止まらないという前提が置かれているわけです。
あわせて、少年が闇バイトに手を出す前に食い止める取組と、立ち直りの支援も柱に含まれています。県内で高齢化が進むのと並行して、若い世代が犯罪に巻き込まれる入口も広がっています。
この両面に目を向けておきましょう。
サイバー空間の脅威
詐欺の入口がSNSへ移ったという事実は、そのままサイバー空間の課題でもあります。運営重点目標は、サイバー事案への対処能力を高める取組と、全国警察と連携して匿名性を打破する捜査、そして県民や事業者に対する官民一体のセキュリティ啓発を並べています。
相手の顔が見えないやり取りのなかで被害が広がるため、気づいた時点で追跡の手がかりが乏しいことも珍しくありません。情報系の学習や実務の経験がある人にとっては、志望動機と接続しやすいテーマです。
交通死亡事故の抑止
交通は、滋賀県警察が5つの重点項目の1つを丸ごと充てている領域です。特徴的なのは、掲げられている呼びかけの具体性で、横断歩道でとまる行動を促す横断歩道利用者ファースト運動や、高齢者に関わる事故を減らすための高齢者「三方よし」運動といった、県内で通じる言葉が方針の中に置かれています。
加えて、通学路や生活道路の対策、交通安全施設の維持管理と更新、自転車や小型モビリティの利用者へのルール周知とヘルメット着用の促進が並びます。取締りだけで事故を減らしきる段階ではなく、道路を使うすべての人の行動へどう働きかけるかが問われている、という設計です。
大規模災害への備え
滋賀県の地震被害想定は、琵琶湖西岸断層帯(マグニチュード7.8)や花折断層帯(同7.4)など内陸活断層の6ケースと、南海トラフ巨大地震を対象にしています。このうち被害が甚大とされる琵琶湖西岸断層帯地震の冬の夕方のケースでは、最大震度7、建物全壊38,504棟・半壊83,856棟、死者1,992人・負傷者17,199人が想定されています。
避難者は249,534人と、県人口の2割近くに及ぶ想定です。(出典:滋賀県地震被害想定(概要版)|平成26年)
水害への備えも、この県では具体的です。滋賀県は流域治水基本方針にもとづく総合的な治水を進めており、独自の「地先の安全度マップ」で、10年確率降雨(時間最大50ミリ)から200年確率降雨(同131ミリ)までの浸水リスクを県内のほぼ全域について公表しています。
どこがどう浸かるかが地図の形で示されている県だということです。運営重点目標も、平素からの管内の実態把握と装備資機材の点検、実戦的な訓練による事態対処能力の向上を掲げています。
警備部門を志望する人だけでなく、すべての受験者が押さえておきたい前提です。(参考:地先の安全度マップ|滋賀県)
重点方針|令和8年滋賀県警察運営重点目標
滋賀県警察は、その1年間に重点的に取り組む事項を『令和8年滋賀県警察運営重点目標』として定めています。掲げられている基本理念は「安全・安心に暮らせる滋賀の実現」、運営指針は「県民とともにある柔軟で力強い警察」です。
基本理念と運営指針が示す方向
2行の短い言葉ですが、読み取れることが2つあります。ひとつは「安全」と「安心」を並べている点です。
安全は事件や事故が減ったという結果の話ですが、安心は住民がどう感じているかという受け止めの話で、統計が良くなっても不安が残ることはあります。刑法犯が8千件台という県でこの2語を重ねたということは、件数の管理だけでは足りないという認識の表れだと読めます。
第1の重点項目に「治安の良さを実感できる」という言葉が入っているのも、同じ考え方の延長です。
もうひとつは「県民とともにある柔軟で力強い」という組み合わせです。県民とともにあるという姿勢と、社会の変化に合わせて動き方を変える柔軟さ、そして犯罪に正面から向き合う力強さを、ひとつの指針に同居させています。
人口が減り、高齢化が進み、外国人住民が増えていく県で、警察の側だけが去年までのやり方を続けるわけにはいかない。そうした前提が、この一行に込められていると考えてよいでしょう。
5つの重点項目
基本理念と運営指針の下には、次の5つの重点項目が置かれています。左欄は公表されている項目名、右欄は、その項目が滋賀県内のどんな現実と結び付くのかを、当研究会が記事の前半の事実に照らして整理したものです。
| 重点項目(公表されている項目名) | 県内の情勢に照らした受験生向けの読み方 |
|---|---|
| 第1 治安の良さを実感できる総合的な犯罪対策の推進 | 犯罪分析にもとづく情報発信で県民の行動を変える取組、ストーカーやDV・児童虐待といった人身安全関連事案への組織的な対処、少年の闇バイト防止、街頭活動と初動対応の強化。侵入盗396件のような身近な犯罪への向き合い方もここに入る |
| 第2 悪質犯罪の徹底検挙 | 重要凶悪事件や未解決事件の捜査、匿名・流動型犯罪グループや暴力団の資金源になっている特殊詐欺やSNS型投資詐欺の取締り、犯罪収益の剥奪。検挙率40.5%をどう引き上げるかに直結する領域 |
| 第3 交通死亡事故抑止総合対策の推進 | 横断歩道利用者ファースト運動や高齢者「三方よし」運動といった呼びかけ、通学路や生活道路の対策、自転車のヘルメット着用促進。通過交通の多い県ならではの重みがある柱 |
| 第4 大規模災害、テロ等に対する危機管理の推進 | 琵琶湖西岸断層帯地震のような想定に備えた体制づくりと実戦的訓練、テロやサイバー攻撃への対策、経済安全保障の確保、警衛・警護 |
| 第5 社会の変化に対応した警察運営の充実・強化 | 将来の人口動態と治安情勢を見据えた組織の構造改革、働き方改革と女性職員の登用、犯罪被害者等に寄り添った支援、部門を横断する課題への組織的な対応 |
左欄は公表資料の項目名の表記です。各重点項目の下にはそれぞれ推進事項が置かれていますが、数値目標の記載はありません。右欄は当研究会が県内の情勢に照らして整理した読み方であり、県警察の公式見解ではありません。
面接で自分のやりたい仕事を話すとき、それが5つのどこに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
POINT|5項目を暗記することが目的ではない
項目名を覚えることが組織研究のゴールではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①滋賀で何が起きているか(数字) → ②県警察はどの重点項目で受け止めようとしているか → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順に整理しましょう。
悪い例「県民の安全を守れる警察官になりたいです」
改善例「まずは交番の警察官として、受け持ちの地域を回るところから始めたいです。滋賀の刑法犯は8千件台で全国的に多いわけではありませんけれども、去年は前の年より6パーセントほど増えたと聞きました。空き巣などの侵入盗が400件近くあるそうなので、巡回でお宅を訪ねたときに、鍵かけの話をその方に伝わる言い方でできる警察官になりたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、要点を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。
- 自分が受ける区分の受験案内(試験種目・配点・受験資格・申込方法)
- 滋賀県警察の採用案内ページ(仕事の紹介と職員のメッセージ)
- 令和8年滋賀県警察運営重点目標(基本理念・運営指針と5つの重点項目)
- 県警察が公表する犯罪統計・交通事故統計(数字は毎年更新されるため最新値を確認)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、滋賀県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。滋賀県警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
滋賀県警察の面接の概要
ここからは、滋賀県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
滋賀県警察の面接の流れ
滋賀県警察の警察官採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階で行われます。第2次試験は前段と後段に分かれ、人物についての面接は後段の口述試験として実施されます。
| 項目 | 内容(滋賀県警察が公表する試験種目) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験(前段・後段)の2段階 |
| 第1次試験 | 教養試験(択一式・警察官に必要な一般知識と知能を問う)、SPI試験能力検査(択一式・多様な業務に共通して求められる汎用的な知的能力の筆記)、作文試験(文章表現能力等を問う) |
| 第2次試験(前段) | 身体検査・身体精密検査・適性検査・体力試験 |
| 第2次試験(後段) | 口述試験(人物試験) |
| 人物試験の内容 | 警察官として適する人物かどうかをみるための集団討論および個別面接 |
| 配点 | 各試験種目の満点や人物試験の比重は公式の試験案内ページに記載がないため、最新の受験案内でご確認ください |
この表で最も注目してほしいのは、口述試験の中身です。滋賀県警察の人物試験は、集団討論と個別面接の両方で構成されます。
個別面接だけを課す県警察もあるなかで、初対面の受験者と同じテーマを扱う場面が用意されているということは、用意した答えを述べる力だけでなく、議論を前へ進める関わり方まで見られるということです。人の話を受けて自分の意見を重ねる、意見が割れたときに論点を整理する、時間内に結論へ寄せる。
こうした振る舞いは、一人で原稿を暗記する練習では身に付きません。
もうひとつは第1次試験の構成です。教養試験に加えてSPI試験能力検査と作文試験が挙げられており、作文で書く材料と面接で話す材料は大きく重なります。
滋賀県の治安課題を自分の言葉で整理しておく作業は、そのまま作文試験の下地になると考えてよいでしょう。
上記の試験種目は、滋賀県警察公式サイトの「試験について」に現在掲載されている内容にもとづきます(当研究会の確認日は2026年7月)。各種目の配点、集団討論と個別面接それぞれの実施回数、面接カードや自己申告書といった提出書類の有無は、公式の試験案内ページでは確認できませんでした。また第1次試験には教養試験とSPI試験能力検査の両方が挙げられているため、受験区分ごとにどちらが適用されるかを含め、必ずご自身が受ける区分の最新の受験案内でご確認ください。(出典:試験について|滋賀県警察)
滋賀県警察が求める人材
滋賀県警察は、採用案内で受験者へのメッセージとして次の一文を掲げています。
短い一文ですが、置かれている言葉は3つに分けられます。人に向き合う姿勢としての「愛」、不正やごまかしを見過ごさない「正義」、そして結果がすぐに出なくても続ける「熱い魂」を持った仲間という呼びかけです。
運営指針の「県民とともにある柔軟で力強い警察」と重ねると、県民との距離の近さと、揺るがない執行力の両方を求めている組織像が浮かびます。(出典:採用案内|滋賀県警察)
ここで求められているのは、特別な経歴や派手な実績ではありません。自己PRでは、誰かのために時間を使った経験、ごまかしたほうが楽な場面で事実を伝えた経験、成果が見えないまま取り組みを続けた経験など、この3語に重なる自分の行動を、具体的な場面で示すことが軸になります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。滋賀県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどのくらい時間をかけて会場まで来ましたか? | 身構えていない場面での受け答えに、話しぶりの自然さと落ち着きが表れます |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく、なぜ警察官という仕事を選んだのですか? | ほかの進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性 |
| ③ 自己理解 | あなたの長所は、警察の仕事のどんな場面で活きると思いますか? | 自分の性格や強みを、警察の具体的な仕事と結び付けて説明できているか |
| ④ 経験・行動 | これまでで一番、粘り強く取り組んだことを教えてください | どの場面でつまずき、そこで自分が何を変えたのかという行動の具体 |
| ⑤ 学業・経歴 | その学校や学科を選んだ理由を教えてください | 自分の選択の理由を、借り物でない言葉で説明できるか |
| ⑥ 適性・将来 | 交替制の勤務や規律のある集団生活に不安はありませんか? | 働き方への理解と、体力面や生活面での備えの度合い |
| ⑦ 公共性・社会性 | 警察官に最も必要な資質は何だと思いますか? | 職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識 |
ただし、この7カテゴリーは滋賀県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。多くの受験者が対策してくる領域なので、ここで大きな差はつきません。
なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在すると知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。
差がつくのは滋賀の事情を踏まえた質問
どちらも、滋賀県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「滋賀県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい滋賀県警察の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 治安の現状 | 令和7年の刑法犯認知件数は8,669件で前年比6.4%増、検挙率は40.5%。管轄人口は約139万人 | 全国と比べた件数の少なさで話を終えず、増える側へ振れた年だったことまで触れると、統計を自分で読んだ跡が残ります |
| 身近な犯罪への対策 | 令和7年の侵入盗は396件で刑法犯のおよそ22件に1件。ひったくりは1件、自動車盗は60件 | 路上の街頭犯罪より住まいをねらう盗みが柱だと押さえ、鍵かけの呼びかけを誰にどう届けるかまで言えると、地域警察の仕事の理解が伝わります |
| 志望動機・やりたい仕事 | 令和8年の基本理念は「安全・安心に暮らせる滋賀の実現」、運営指針は「県民とともにある柔軟で力強い警察」。犯罪対策、悪質犯罪の検挙、交通死亡事故抑止、危機管理、警察運営の5項目を掲げる | 志望する分野が5つのどれに当たるかを言い添え、第1の柱にある「実感できる」という言葉に自分の考えを重ねると、方針を読んだことが伝わります |
| 災害への備え | 琵琶湖西岸断層帯地震の想定では最大震度7、死者1,992人、避難者249,534人。地先の安全度マップで200年確率降雨(時間131ミリ)までの浸水リスクを公表 | 地震と水害の両方を抱える県だと押さえ、避難や交通の混乱のなかで警察が担う役割へ話をつなぐと、滋賀ならではの答えになります |
| 人の流れと交通 | 近畿圏・中部圏・北陸圏の結節点で国土軸が県内を貫く。令和5年の延べ観光入込客数は5,032万人を超え、2025年には国スポ・障スポを44年ぶりに開催 | 通過する人と車の多さを、交通死亡事故抑止という第3の柱や人が集まる場所の安全と結び付けると、県外から来る人まで守る仕事だと示せます |
使い方のコツは、5つを丸ごと覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 警察官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、採用メッセージが掲げる「愛と正義」と「熱い魂」、そして運営指針の「県民とともにある柔軟で力強い警察」という組織の姿勢に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 愛=人に向き合う姿勢 | 年齢や言葉の前提が違う相手にも、伝わるまで関わり方を変えられるか | 令和7年7月時点で県内の65歳以上は27.5%を占め、外国人住民は令和8年6月までの1年で3,503人増えました。年上の方や日本語が母語でない相手に、言い方や手順を変えて伝わるまで付き合った場面を、何をどう変えたのかまで思い出しておきましょう |
| 正義=筋を通す姿勢 | 自分に不利な事実や、言いにくいことから逃げずに扱えるか | 令和7年に396件あった侵入盗のような事件では、被害に遭った方が自分を責めてしまうこともあります。責める側にも隠す側にも回らず事実を確かめる仕事だと踏まえ、ごまかせば楽だった場面で正直に伝えた経験を用意しておきましょう |
| 熱い魂=続ける力 | 成果がすぐ見えない仕事にも、手を抜かずに向き合い続けられるか | 令和7年の刑法犯8,669件のうち検挙に至るのは4割ほどで、残りは粘り強い捜査と日々の抑止活動に委ねられます。結果が出るまで時間がかかったことを続けた経験を、続けられた理由まで含めて話せるようにしておきましょう |
評価の観点の3項目は、滋賀県警察の採用メッセージと令和8年の運営指針をもとに、当研究会が面接対策用に整理したものです。県警察が公表している評価基準ではありません。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 公式サイトの試験案内ページと、自分が受ける区分の最新の受験案内を読む。第1次試験の教養試験・SPI試験能力検査・作文試験と、第2次試験の前段(身体検査や体力試験など)・後段(口述試験)という構造を、準備の前提として頭に入れる
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、自分がとった行動を具体的に話せる出来事を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で言い直しておく
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む。ここで整理した滋賀県の治安課題は、作文試験の下地にもなる
- 実際に口に出してリハーサルする。滋賀県警察の口述試験には集団討論が含まれるため、一人で話す練習だけでなく、複数人で一つのテーマを話し合う場に慣れておく。あわせて体力試験に向けた体づくりと生活リズムづくりを並行して進める
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分を語る材料がないままでは、集団討論でも個別面接でも言葉が続きません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、滋賀県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
滋賀県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。集団討論と個別面接の両方に臨む試験では準備の総量が多くなるため、本番までの時間が限られている方は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。
さいごに
滋賀県警察の口述試験は、集団討論と個別面接の両方で構成されます。用意した答えを一人で述べる力と、その場の議論に加わって考えを重ねる力の、どちらも問われる試験です。
県内の刑法犯は令和7年に8,669件と前年から6.4%増え、検挙率は40.5%。人口は2013年をピークに減り続け、令和7年7月時点で65歳以上が27.5%を占める一方、外国人住民は令和8年6月までの1年で3,500人を超えて増えました。
守る相手の顔ぶれが年々変わっていく県で、「安全・安心に暮らせる滋賀の実現」という基本理念を自分の仕事にどう翻訳するのか。そこに自分の言葉で答えられる人に、道が開けます。
この記事に並べた事実を、あなた自身の経験の側から読み直す作業から始めてみてください。