本記事では、和歌山県職員採用試験の面接対策で必要な、県の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

和歌山県庁の面接試験では、「なぜ和歌山県を志望したのか」「県職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。人口減少や南海トラフ地震といった県ならではの事情を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、和歌山県の実情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と和歌山県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

和歌山県の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは和歌山県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 県庁所在地は和歌山市。近畿地方の西南部に位置し、我が国最大の半島である紀伊半島の西半分を占める。陸では三重県、奈良県、大阪府と接し、海を挟んで兵庫県・徳島県と向き合う。
  • 総面積は4,726.29km²(全国30位)だが、県土のおよそ8割を紀伊山地が占め、平地は少ない。30度以上の急傾斜地が県全域の約7割にのぼる、山と海に囲まれた地形が特徴。
  • 全国に先がけて1997年に人口減少へ転じ、以来29年連続で減少している。推計人口は約87万人で、少子高齢化は全国でも早い段階から進んできた。
  • 温暖な気候を活かした果樹農業が盛んで、みかん・うめ・かきなどは全国屈指の産地。「果樹王国」と呼ばれる。
  • 世界遺産の熊野古道や高野山、白浜・那智勝浦などの温泉地を抱え、「聖地リゾート!和歌山」を掲げた観光が主要産業の一つ。一方、和歌山市の臨海部には鉄鋼・石油・化学といった素材型の工業が集積する。
  • 紀伊半島を一周する高速道路の整備が進行中で、南部にはミッシングリンク(未開通区間)が残る。空の玄関口は南紀白浜空港(羽田便が1日3往復)、海の玄関口は国際拠点港湾の和歌山下津港。
  • 県財政は構造的に厳しく、令和5年2月には「財政危機警報」が発せられた。財政力指数は0.31491(令和5年度決算)と低く、将来負担比率は202.0%にのぼる。限られた財源をどう重点分野へ配分するかが、県政運営の大きな前提となっている。

和歌山県の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「和歌山県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、県土の広さ、高齢化の進み具合、財政の状況など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口872,359人(令和7年4月1日現在)
総世帯数395,175世帯(1世帯あたり2.21人)
高齢化率(65歳以上)33.9%(305,432人・令和7年1月1日現在)
総面積4,726.29km²(全国30位)
地勢県土の約8割が紀伊山地。急傾斜地が県全域の約7割
財政力指数0.31491(令和5年度決算)
将来負担比率202.0%(令和5年度決算)

総人口・世帯数は和歌山県人口調査(令和7年4月1日現在)、高齢化率は住民基本台帳(令和7年1月1日現在)、面積は国土地理院の全国都道府県市区町村別面積調、財政指標は総務省の令和5年度都道府県財政指数表による数値です。(出典:和歌山県人口調査|令和7年都道府県財政指数表|令和5年度

数字から考えられる県政課題

和歌山県は、人口規模で見れば全国の中でも小さな県です。しかし本当に重い課題は、その規模が今も縮み続けていることにあります。1997年から人口は減り続け、直近の1年間でも1万2千人あまり(対前年比マイナス1.39%)が減りました。

65歳以上が県民のおよそ3人に1人を占め、全国でも早い段階で高齢化が進んできた県です。

たとえば面接では、和歌山県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「和歌山県は約87万人が暮らす県ですが、人口は30年近く減り続けていて、65歳以上の方がおよそ3人に1人という状況です。だからこそ、限られた人手やお金をどう活かすかという視点が、これからの県政では大事になると考えています」

和歌山県の経済・産業

経済・産業構造の概要

  • 農業産出額は1,135億円(全国28位)で、うち果実が約7割の790億円を占める。
  • 製造品出荷額等は2兆3,835億円(令和3年経済センサス)で、化学・鉄鋼・石油など基礎素材型が中心。
  • 観光入込客数は約3,273万人(令和6年速報値)で、世界遺産や温泉を柱にインバウンドも回復している。
  • 県土の約8割が紀伊山地で平地が少なく、産業は和歌山市を含む臨海部と各地域に分散して立地している。

つまり、「果樹農業と臨海部の素材型工業、世界遺産の観光」という三つの顔を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。

農林水産業

温暖な気候に恵まれた和歌山県は、全国有数の果樹王国です。みかん、うめ、かきの収穫量はいずれも全国1位で、みかんは14万7,800トン、うめは6万4,400トン、かきは3万9,700トンにのぼります。

農業産出額1,135億円のうち約7割にあたる790億円を果実が占め、ハッサクなども全国上位に位置します。山地が県土の大半を占めることから紀州材に代表される林業も古くからの地場産業で、沿岸では養殖や近海漁業も営まれています。

担い手の高齢化と後継者の確保が、こうした一次産業に共通する課題です。(出典:都道府県の農林水産業の概要

工業

臨海部を中心に、和歌山県は素材型の工業が集積する県でもあります。製造品出荷額等は2兆3,835億円(令和3年経済センサス活動調査)で、化学工業(構成比18.7%)、鉄鋼業(18.0%)、石油製品・石炭製品製造業(17.9%)が上位を占め、鉄鋼・石油・化学といった基礎素材型の比重が高いのが特徴です。

和歌山市の臨海部には鉄鋼や石油、化学の大規模な事業所が立地し、国際拠点港湾である和歌山下津港がこれを支えています。

ただし製造品出荷額等は2020年の工業統計と比べて2,641億円減っており、脱炭素と産業の維持をどう両立させるかが問われています(出典:工業統計(経済センサス)|令和3年

観光業

和歌山県は「聖地リゾート!和歌山」をキャッチフレーズに掲げ、世界遺産やジオパーク、温泉と食といったテーマごとの観光プロモーションを展開しています。令和6年の観光入込客数は約3,273万人(前年比102.5%)で、うち日帰り客が約2,767万人、宿泊客が約506万人泊。

とりわけ外国人の宿泊客数は51万人泊(令和6年速報値・前年比133.2%)と、コロナ禍前を超えて史上最高を記録しました。

一方で、観光の多くが日帰りにとどまる点は、宿泊や地域内消費への波及という課題も示しています。面接では、この強みと課題をセットで語れると説得力が出ます。(出典:観光客動態調査|令和6年

和歌山県の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、和歌山県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口減少と少子高齢化

和歌山県の人口は1985年の約108.7万人をピークに減少局面に入り、以来一貫して縮小しています。県の総合計画の原案は、県人口が1990年から約30年で約85%まで減り、今後30年の減少スピードは約2倍に加速して、2050年にはピーク時の約6割(約63万人)まで減ると見通しています。

この2050年に向けた減少幅は全国で7番目に大きく、生産年齢人口が高齢者人口とほぼ同数まで縮む見込みです。

子育て支援だけでなく、担い手不足の産業、医療・介護、地域交通までを関連付けて考える必要があります。

若い世代の県外流出

人口減少をさらに深刻にしているのが、若者の県外流出です。県の総合計画原案は、和歌山市などの紀北地域で通勤・通学の流動(2020年)が1万1,411人の流出超過で、うち他県への流出が約1万4,900人にのぼることを課題に挙げています。

進学や就職を機に若い世代が県外へ出ていく流れをどう食い止め、いかに戻ってきてもらうかが、県政の中心的なテーマの一つです。

南海トラフ地震・津波への備え

紀伊半島の西側で長い海岸線を持つ和歌山県にとって、大規模地震と津波への備えは避けて通れません。県の地震被害想定(平成26年公表)では、南海トラフ巨大地震で県内の死者数は最大約9万人(うち津波が約8万6千人)、全壊棟数は約15万9千棟と見込まれています。

地域によっては最大津波高が17メートル、津波高1メートルの到達が最短3分と想定される場所もあり、「逃げ切る」ための事前の備えが県政の最優先課題です。(出典:和歌山県の地震被害想定|平成26年

産業の持続と脱炭素社会への対応

臨海部の工業は鉄鋼・石油・化学など基礎素材型が中心で、製造品出荷額等は近年縮小傾向にあります。県は脱炭素先進県を掲げ、洋上風力発電の導入検討や森林クレジットの活用などに取り組んでいますが、温室効果ガスの削減と、地域の雇用を支える産業の維持を両立させる難しさがあります。

果樹をはじめとする農業でも、気候変動への適応や担い手確保が課題となっています。

中山間地域の暮らしと広域連携

県土の大半を山地が占め、人口減少が進む中で、地域交通や上水道、ごみ処理といった生活の基盤をどう維持するかが問われています。JRきのくに線は利用者の減少が続き、市町村の枠を超えた広域連携が欠かせません。

県は圏域ごとの地域交通の再設計や、複数市町村が共同で行う水道の漏水調査、ごみ処理の広域化・集約化に本格的に着手しようとしています。

道路面では紀伊半島を一周する高速道路の整備が進み、県南部で唯一つながっていなかった「すさみ串本道路」(約19.2km)が2027年夏に開通する予定で、災害時の代替路や観光・物流の底上げが期待されています。

こうした基盤づくりを、限られた財源の中でどう優先順位づけしていくかが問われます。

和歌山県の重点政策|和歌山県総合計画

和歌山県の総合計画は「和歌山県総合計画」(令和7年12月策定)です。2040年を展望した「長期構想」と、5年間の具体策を示す「実施計画【アクションプラン】」(令和8〜12年度)からなる二層構造で、旧「和歌山県長期総合計画」に代わる県政の新たな指針として定められました。(出典:和歌山県総合計画

計画を貫く考え方

計画が2040年に実現したい将来像として掲げるのは、「人口減少や気候変動に適応した、持続可能で心豊かな和歌山」、そして「個人が尊重され、あらゆる分野で個性輝く和歌山」の2つです。

特徴は、都合のよい前提を置かず、蓋然性の高い未来を分析・予測して直視したうえで、めざす将来像への具体的なアクションを構想する「未来起点」の姿勢にあります。避けられない条件として進む「人口減少・超少子高齢化」と「地球温暖化」に緩和と適応の両面で向き合いつつ、行政間や官民の連携、共生社会の進展、デジタル活用の加速といった前向きな変化を積極的に取り込む、という考え方が貫かれています。

受験生としては、「厳しい前提を直視しながら、それでも心豊かな暮らしをめざす計画」という骨格で理解しておくとよいでしょう。

政策の6つの柱

扱う主な分野
Ⅰ 海外の活力を取り込む多文化共生、外国人材の受入れ、インバウンド観光
Ⅱ 人への投資を強化する子育て支援、教育、人材育成
Ⅲ 産業の創造力と生産性を高める商工業、農林水産業、観光業、脱炭素
Ⅳ つながりを拡げて、暮らしを守る地域づくり、交通、医療福祉、広域連携
Ⅴ 誰にでも居場所がある社会をつくる居場所づくり、人権尊重、スポーツ・文化芸術
Ⅵ 安全な社会基盤を築き、さまざまな脅威から命を守る防災減災、県土強靱化、治安・交通安全

面接では、自分の取り組みたい仕事がどの柱に位置づくのかを一言添えられるだけで、県の新しい方向性を踏まえた志望だと伝わります。

令和8年度の県政運営のポイント

令和8年度は、この総合計画の初年度にあたります。県は令和7年10月に「令和8年度重点施策と予算編成の方針」を公表し、外国人材の受入れ拡大や空飛ぶクルマの県内実用化に向けた調査支援、不妊治療費の助成や保育料・学校給食費の無償化、宇宙産業の集積(宇宙アクションプランに基づくロケット打ち上げ支援など)、そして半島防災の観点からの県土強靱化などを重点に掲げました。

予算編成では、令和5年2月に発した「財政危機警報」を踏まえ、事業のスクラップアンドビルドや部局マネジメント枠への5%のマイナスシーリングによって、限られた財源を重点分野へ振り向ける方針が示されています。(出典:令和8年度重点施策と予算編成の方針

POINT|施策名をすべて暗記しなくてよい

事業の名前をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態をめざすか → ③現在の事業 → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験や強みをどう生かすか」の順で調べましょう。

悪い例「和歌山県の観光に携わる仕事がしたいです」

改善例「世界遺産や温泉という観光の強みを、日帰りで通り過ぎるだけでなく、宿泊や地域の食にもお金が落ちる形につなげる仕事に携わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 和歌山県職員採用試験の受験案内/職員採用案内・職種紹介
  • 和歌山県総合計画(概要版)
  • 最新年度の当初予算や重点施策の資料/関心分野の個別計画
  • 和歌山県人口調査・県勢のあらまし(人口・産業・観光などの統計)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、和歌山県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。和歌山県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

和歌山県庁の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

和歌山県の面接の概要

ここからは、和歌山県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

和歌山県の採用試験と面接の流れ

和歌山県のⅠ種(大学卒業程度)採用試験では、令和6年度から早期募集枠が新設され、より面接を重視する仕組みが導入されました。早期募集枠の一般行政職では、第1次試験の成績を持ち越さず、第2次試験の結果だけで最終合格者を決定します

筆記の出来がそのまま合否になるのではなく、面接での受け答えが結果を大きく左右する構造です。

項目内容(早期募集枠・Ⅰ種〈一般行政職〉)
第1次試験基礎能力試験(SCOA・大学卒業程度)、適性検査
第2次試験論文試験、面接試験(2回)
面接の回数個別の面接を2回実施。うち1回は自己PR面接(一般行政職)または専門性面接
合否の決定方法第1次試験の成績とは合計せず、第2次試験の成績のみで最終合格を決定
基礎能力試験(参考)SCOAは択一式。一般知識・時事、文章読解、基礎英語、論理的思考、数的能力などから出題(専門試験はなし)

通常募集(通常枠)の一般行政職では、令和6年度から受験できる年齢が22〜29歳に変更されています。ただし通常枠の第2次試験の具体的な内容(面接の回数や集団討論の有無など)は年度や区分によって異なるため、必ず最新の受験案内で確認してください。

上記は、和歌山県が公表した採用試験の変更内容にもとづく早期募集枠(Ⅰ種・一般行政職)の構成です。集団討論の有無、提出書類、人物試験の配点などは公表資料では確認できない項目もあり、試験の構成・日程・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

和歌山県が求める人物像をどう読み解くか

和歌山県は、受験案内などで「求める人物像」にあたる定型の文言を大きくは公表していません。そこで手がかりになるのが、令和7年に定められた総合計画のめざす将来像です。県は避けられない変化として人口減少と地球温暖化を挙げ、それでも「持続可能で心豊かな和歌山」をめざすと掲げています。ここから、面接で重ねられる評価の物差しを、人口減少や災害という避けられない変化に、当事者として向き合える人という形で読み解くことができます。自己PRでは「積極性があります」と述べるだけでなく、その力を使って何を行い、周囲にどんな変化をもたらしたのかまで説明しましょう。(参考:和歌山県職員採用情報

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。和歌山県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ本県(和歌山県)を志望するのですか?「県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動パターンから、入庁後にも再現できる強みを確かめています
⑤ 学業・経歴(大学等の)専攻分野を選んだ理由を教えてください自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか
⑥ 適性・将来10年後、どんな職員になっていたいですか?働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し
⑦ 公共性・社会性最近、気になっている社会問題はありますか?社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点

ただし、この7カテゴリーは和歌山県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者の多くが対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「和歌山県ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「和歌山県ならでは」の質問

「なぜ大阪などの都市部ではなく、和歌山県で働きたいのですか?」
「和歌山県の課題を一つ挙げるとしたら何だと思いますか。あなたならどう取り組みますか?」

どちらも、和歌山県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「和歌山県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい和歌山県の事実答え方のヒント
人口減少全国に先がけて1997年に人口が減少へ転じ、29年連続で減少。2050年にはピーク時の約6割まで縮む見通し人口の多い少ないではなく「全国より早く減り始めた県」という立ち位置を押さえると、課題認識に厚みが出ます
若者の県外流出紀北地域の通勤・通学流動(2020年)は1万1,411人の流出超過。進学・就職を機に若い世代が県外へ流出若い世代が県外へ出ていく流れを、自分の進路や身近な実感と結び付けて語れると説得力が増します
南海トラフ地震・津波県の地震被害想定(平成26年)では巨大地震で県内死者最大約9万人。最大津波高17m・到達最短3分の地域も県全体が抱える前提として触れ、「逃げ切る」ための事前の備えや復興の話へつなげます
県の総合計画「和歌山県総合計画」(令和7年12月策定)。2040年を展望する長期構想と、6つの政策の柱で構成やりたい仕事を6つの柱のどれかに位置づけて話せると、県の新しい方向性を踏まえた志望だと伝わります
産業・観光の強みと課題みかん・うめ・かきが収穫量全国1位の果樹王国。観光は「聖地リゾート!和歌山」を掲げ外国人宿泊は史上最高果実や世界遺産という強みと、その裏の担い手不足や日帰り中心という課題をセットで語ると深みが出ます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、その人が「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。和歌山県では「求める人物像」の定型文が公表されていないため、ここでは総合計画のめざす姿から読み解いた観点を示します。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
地域への当事者意識身近な困りごとに気づき、自分から関わった経験があるか自分が育った地域や関わった場所での経験を、和歌山の人口減少や高齢化とつなげて話せるようにする
挑戦し続ける力思うように成果が出ない状況でも、和歌山県が向き合う人口減少のような長い課題に、自分から工夫を重ねて挑み続けられるか大きな成果より、なぜその挑戦を選び、途中で何を工夫したのかを、和歌山県総合計画の6つの柱と結びつけて語れると強い
支え合い・多様性の尊重立場や年齢の違う相手と協力できるか。相手の状況を考えて動けるか世代や背景の異なる人と協力した場面を思い出し、相手に合わせて自分がどう動いたかを言葉にする

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の受験案内を読み、早期募集枠と通常枠のどちらで受けるか、基礎能力試験(SCOA)の科目と面接の回数を確認する
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトなどから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い和歌山県の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学で、しかも短い時間で仕上げたいときは、和歌山県庁専用の面接想定問答集を使うという方法もあります。

和歌山県の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

和歌山県庁の想定問答集を見る

さいごに

和歌山県の採用試験、とりわけ早期募集枠は、第2次試験の成績だけで最終合格が決まる、人物を正面から見る試験です。

だからこそ、覚えた知識を並べるよりも、自分の経験を和歌山のこれからにどうつなげるかを、自分の言葉で話せるかどうかが問われます。人口減少や災害という大きな前提を抱える県だからこそ、そこで働きたいと考えたあなたの動機には意味があります。

本記事でつかんだ県の姿を土台に、面接本番まで、自分の言葉を少しずつ育てていきましょう。