本記事では、那覇市職員採用試験の面接対策で必要な、那覇市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

那覇市役所の面接試験では、「なぜ那覇市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。沖縄県の県庁所在地であり中核市でもある那覇市の立ち位置を理解しておくと、抽象的な回答で終わらず、この市ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と那覇市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。第1部で自治体研究、第2部で面接対策そのものを扱う構成なので、順番に読み進めることをおすすめします。

第1部|自治体研究編

那覇市の特徴

那覇市を受けるなら、まずは沖縄県のなかでこの市がどんな役割を担っているかを押さえておきましょう。県庁所在地という肩書きだけで語らず、事実で裏づけて説明できるかどうかが、他の受験者との差になります。

以下の項目は、面接で「那覇市について知っていることを教えてください」と問われたときに、そのまま材料として使えるものばかりです。

  • 沖縄県の県庁所在地であり、平成25年4月1日に中核市へ移行した市。移行に伴い、大気汚染防止法・土壌汚染対策法・水質汚濁防止法などの届出事務が県から市へ移された。
  • 令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口は約31.2万人で、沖縄県全体(約148.4万人)の2割強を占める。
  • 隣接するのは浦添市・豊見城市・島尻郡南風原町・中頭郡西原町の4市町。
  • 沖縄県の資料では、市町村別の人口密度が県内で最も高いとされ、限られた市域に多くの住民が暮らす。
  • 那覇空港と那覇港を擁し、県内で唯一の軌道系交通である沖縄都市モノレール(ゆいレール)が走る。空路・海路・軌道が同じ市域に集まっている点は、この市を交通面で語るときの中心的な事実になる。
  • 世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の構成資産のうち、首里城跡・園比屋武御嶽石門・玉陵・識名園の4件が市内にある。
  • 首里城正殿は令和4年11月に復元整備工事へ着工し、令和8年11月に完成式と供用開始が予定されている。復元整備を進めているのは内閣府沖縄総合事務局で、国営沖縄記念公園の事業として実施されている。
  • 保健所行政も県ではなく市が所管しており、那覇市保健所を市自ら設置・運営している。
  • 市の花はブーゲンビリア、市の木はフクギ。
  • 沖縄県には鉄道がなく、道路を含む陸上交通で日本本土と結ばれていない。県外との人とものの出入りが空路と海路に限られるという条件は、那覇市の交通や物流を考えるうえでの前提になる。

那覇市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「那覇市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。次の表で、人口の構成や市域の広さをつかんでおきましょう。

項目内容
総人口312,352人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口78,970人(高齢化率25.3%)
75歳以上人口41,704人(総人口の13.4%)
総面積41.46km²
人口密度約7,534人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体浦添市・豊見城市・島尻郡南風原町・中頭郡西原町
市の花・木ブーゲンビリア(花)・フクギ(木)

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。沖縄県全体の高齢化率(同じ基準で24.2%)とは比較できますが、国勢調査に基づく数値とは調査方法が異なるため、この表の数字と直接突き合わせて増減を論じることは避けてください。面積・隣接自治体・市の花と木の情報は、当研究会が公表資料に基づいて整理しました。

県内一の人口密度と、県平均をやや上回る高齢化

那覇市の高齢化率は25.3%で、住民基本台帳の同じ基準でみた沖縄県全体(24.2%)をやや上回ります。一方で、沖縄県の集計では那覇市の人口密度が県内41市町村のなかで最も高いとされています。(出典:沖縄県推計人口|令和6年10月1日現在(沖縄県))

同じ資料では沖縄県全体の人口密度が642.9人/km²とされており、那覇市はこの水準を大きく上回る市として位置づけられています。県内の他の市町村と単純に並べて語れないほど、人と建物が密集した都市であることが分かります。

限られた市域に多くの住民が暮らし、そのなかで高齢化が県平均よりやや先行して進んでいるという組み合わせは、住宅・福祉・防災のいずれの分野でも、面積あたりの行政需要が県内でとりわけ高いことを意味します。那覇市職員採用試験の面接では、この密度と高齢化の組み合わせを、自分がどう関わりたいかという話に落とし込めるかどうかが問われます。

単に「人が多い」という印象で終わらせず、限られた土地をどう使うかという都市経営の視点を持てるかどうかが問われる部分です。

「那覇市は人口約31万人で、県内で最も人口密度が高い市だと知りました。高齢化率も県全体よりやや高い水準にあるので、限られた市域で多くの世代が快適に暮らせる仕組みづくりに携わりたいと考えています」

那覇市の経済・産業

沖縄県全体は、観光を中心とする第三次産業の割合が高いことで知られ、観光が県のリーディング産業と位置づけられています。(出典:新・沖縄21世紀ビジョン基本計画|令和4年5月(沖縄県))那覇市固有の統計として当研究会が確認できているのは、次の交通・文化資源の事実です。

空港・港湾・モノレールが集まる交通の結節点

那覇空港は令和2年3月26日に第2滑走路(2,700メートル)の供用を開始し、滑走路の処理容量は第1滑走路のみの13.5万回/年から24万回/年に拡大しました。総事業費は約2,074億円です。(出典:滑走路増設事業の概要|内閣府沖縄総合事務局)県内で鉄道を持たない沖縄県のなかで、那覇市周辺を走る沖縄都市モノレール(ゆいレール)は県内唯一の軌道系交通です。

空港・港湾・モノレールが同じ市域に集積している点は、人流と物流の両面で那覇市が沖縄県の玄関口を担っていることを示しています。

世界遺産・首里城とまちの記憶

那覇市には、世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の構成資産のうち首里城跡・園比屋武御嶽石門・玉陵・識名園の4件が所在します。(出典:世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」|文化庁)なかでも首里城正殿は、内閣府沖縄総合事務局が国営沖縄記念公園の事業として進めている復元整備工事が完成に近づいており、令和8年11月22日に完成式典、翌23日に供用開始が予定されています。(出典:首里城正殿の復元整備について|国営沖縄記念公園)

令和元年の火災による焼失を経て、再び市民や観光客を迎える段階に入ろうとしている場所だといえます。

中核市としての行政機能の集積

那覇市は中核市として保健所を自ら設置する立場にあり、那覇市保健所を運営しながら、県から移された事務を含めて幅広い行政分野を市自らが担う体制を築いています。(出典:那覇市保健所|市公式サイト)移された事務は大気汚染防止法・ダイオキシン対策法・土壌汚染対策法・水質汚濁防止法に関する届出など、環境行政の分野に広がっています。

一方で、赤土等流出防止条例やフロン回収破壊法、PRTR法に関する届出は引き続き沖縄県が所管しており、県と市の役割分担は法令ごとに細かく分かれています。県庁所在地であると同時に、県内最大の行政サービス拠点でもある点は、経済・雇用の集積にもつながっています。面接では、観光資源の名前を挙げるだけでなく、それを支える交通基盤や行政サービスの担い手としての視点まで持っておきましょう。

那覇市の主な行政課題

ここまでの数字と交通・文化の姿を踏まえると、那覇市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。いずれも、県都であり中核市でもあるという那覇市の立場と重なる課題です。

中核市としての専門人材の確保

中核市は保健所行政を含む幅広い事務を自前で担うため、専門職を含めた人材の確保と育成が継続的な課題になります。県から移された事務を確実にこなしつつ、市民サービスの水準を維持する体制づくりが問われています。

保健所には医師・保健師といった専門職も必要で、一般事務職とは異なる採用・育成のルートを維持し続ける負担も伴います。

国が進める首里城復元と、市の受け入れ体制

令和8年11月に予定される首里城正殿の供用開始は、那覇市にとって観光の追い風になります。ただし復元整備そのものは内閣府沖縄総合事務局が国営沖縄記念公園の事業として進めているもので、那覇市が実施主体となる事業ではありません。

市が向き合うのは、周辺道路の混雑対策や、案内表示・多言語対応といった受け入れ環境の整備、そして市域全体で増える来訪者をどう迎えるかという課題です。国と県と市の役割が分かれている前提を押さえておきましょう。

限られた市域での住宅・福祉需要への対応

県内一の人口密度のなかで高齢化率が25.3%まで進んでいる那覇市では、狭い市域のなかで住宅・介護・子育てといった行政需要が同時に高まりやすい構造にあります。他の市町村のように市域を広げて対応する余地が乏しいぶん、既存の建物や土地をどう活用するかという視点が重要になります。

空き家や老朽化した集合住宅の再整備をどう進めるかも、住宅政策と福祉政策の両方に関わる論点です。

空港・港湾を核とした交通基盤の維持

那覇空港の処理容量拡大やゆいレールの運行を今後も安定的に維持するには、施設の老朽化対応や混雑緩和など、継続的な投資が欠かせません。県の玄関口としての機能を担う以上、那覇市単独では完結しない広域的な調整も求められます。

観光客の増加と市民の日常的な移動需要が同じ交通網を共有している以上、両方の利便性を落とさない工夫も欠かせません。

県全体で共有する所得・雇用の課題

沖縄県の一人当たり県民所得は239.1万円(平成30年度)で、全国の319.8万円を下回る水準が続いています(出典は前述の新・沖縄21世紀ビジョン基本計画と同じです)。同計画は、非正規雇用の割合や子どもの貧困率の高さも県全体の課題として挙げています。

県内最大の人口を抱える那覇市は、こうした県全体の構造的な課題からも切り離せない立場にあり、母子世帯への支援や就労支援の窓口も市の重要な業務の一つです。

那覇市の重点政策|県全体の財政方針と市の計画

中核市としての那覇市がどの総合計画を軸に市政を進めているかは、当研究会が参照できた受験案内・地域資料からは読み取れませんでした。ここではまず沖縄県全体の財政の姿を押さえ、そのうえで市の公式資料へのあたり方を示します。

県全体の財政の姿

沖縄県の令和5年度決算に基づく財政力指数は0.35934(3年平均)、実質公債費比率は7.4%、経常収支比率は96.2%です。(出典:令和5年度普通会計決算の概要|沖縄県)歳入総額8,621億5,500万円のうち自主財源が占める割合は38.4%にとどまり、依存財源が61.6%を占めます。

健全化判断比率はいずれも早期健全化基準を下回っており、財政破綻の危機にあるわけではありませんが、自らの税収だけで運営できる状態には遠いのが実情です。

依存財源が6割を超える県全体の構造のなかでは、中核市として担う事務の幅が広い那覇市ほど、限られた予算をどの分野に振り向けるかの判断が重くなります。

POINT|「県庁所在地だから」で止めない

那覇市を志望する理由として、県庁所在地であることや観光地としての知名度だけを挙げると、他の受験者と似た印象になりやすくなります。中核市として県から移された事務、県内一の人口密度、市内で復元が進む首里城といった那覇市に固有の事実のどれかに、自分の関心や経験を結び付けて話しましょう。

悪い例「那覇市は県庁所在地で観光客も多いので、活気のあるまちで働きたいです」

改善例「那覇市は県内でいちばん人口密度が高いと聞きました。狭い土地のなかで住まいも福祉の場所も必要になりますので、その優先順位を考えるような仕事に関わっていきたいと思っています」

あわせて確認したい公式資料

那覇市の受験案内は、試験の段階や科目に加えて求める人材までを細かく明記していますが、市の重点政策の全体像までは当研究会の手元の資料が及んでいません。志望動機を具体化するには、次の資料に目を通しておくと安心です。

  • 那覇市職員採用試験の受験案内(市公式サイトに掲載される最新年度のもの)
  • 那覇市の総合計画・都市計画に関する市の公式発表資料
  • 那覇市保健所や中核市移行に関する市の公式ページ
  • 首里城公園(国営沖縄記念公園)の復元整備に関する公式情報
  • 那覇市の予算・決算に関する公表資料

とりわけ受験案内は、提出書類や受験資格に関わる記載が変わることもあるため、出願直前にもう一度、自分の目で確認する習慣をつけておきましょう。

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、那覇市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。那覇市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

那覇市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

那覇市役所の面接の概要

ここからは、那覇市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。第1部で押さえた事実を、第2部でどう答えの形に組み立てるかが本番の勝負どころです。

那覇市役所の面接の流れ

那覇市の職員採用試験は、第一次試験と第二次試験の2段階構成で、第二次試験は第一次試験の合格者のみが進めます。第二次試験には全区分共通で口述試験が置かれ、その内容は受験案内に「個別面接、集団討論を行います」と明記されています。

個別面接と集団討論という異なる形式が同じ第二次試験のなかに同居している点は、一人で語る力と、他者とのやり取りのなかで自分の考えを示す力の両方が問われることを意味しています。

項目内容(令和8年度)
試験の段階第一次試験・第二次試験の2段階(第二次は第一次合格者のみ)
第一次試験行政職Ⅰ・消防職Ⅰ(上級)は教養試験(40題・120分)に加え専門試験(40題・120分)。中級・初級は教養試験のみ。行政職Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ、消防職Ⅲ、土木職の一部区分は基礎能力検査(テストセンター方式)
第二次試験全区分共通で適性検査(WEB方式・択一式の性格適性検査)と口述試験(個別面接+集団討論)。消防職Ⅰ・Ⅱ・Ⅲのみ体力測定を追加
適性検査の位置づけ「口述試験の資料として使用します」と受験案内に明記
成績通知第一次の成績は合格者以外(不合格者)に通知、第二次の結果は不合格者にも通知。基準未達の科目があれば不合格

上記は、那覇市の令和8年度受験案内にもとづく内容です。配点は明らかにされておらず、合否は総合判定によります。受験案内は毎年度更新されるため、年度や区分によって内容が変わることがあります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(出典:令和8年度那覇市職員採用試験案内)

那覇市が求める人材

那覇市の受験案内は冒頭で「<求める人材> 那覇市では次のような人材を求めています。」として、「使命感と責任感を持って積極的かつ柔軟に行動できる向上心のある人」「思いやりを持ち親切丁寧で、協調性・コミュニケーション力のある人」「那覇が好きで、社会の一員として信頼や役割を大切にし、市民と協働できる人」の3つを明記しています(出典は前掲の受験案内と同じです)。

3つ目の「那覇が好きで」という表現は、単なる愛着の有無ではなく、社会の一員としての役割意識と市民との協働姿勢まで含んだ言葉です。自己PRでは「那覇が好きです」で止めず、それをどんな行動に結びつけてきたかまで語れるようにしておきましょう。

1つ目の「使命感と責任感を持って積極的かつ柔軟に行動できる」という表現も、単に真面目さを求めているのではありません。状況が変われば計画を柔軟に見直す姿勢まで含んでいる点に注意してください。2つ目の「思いやりを持ち親切丁寧で」という表現は、接客業や窓口対応の経験がなくても、家族や友人、後輩との関わり方から具体例を探すことができます。

3つの人物像は互いに重なる部分も多いため、1つの経験を複数の角度から説明できれば十分で、無理に3つの別々のエピソードを用意する必要はありません。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。那覇市の面接も、この見取り図に沿って準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はここまでどうやって来ましたか?台本のない一言に、緊張のほぐし方と素の受け答えが表れる
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間との違いを、自分の経験から説明できているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?弱みを認めたうえで、どう向き合っているかまで語れるか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください困難の大きさより、その場面で何を考え、どう動いたか
⑤ 学業・経歴学業や活動で力を入れたことを教えてください取り組みの理由と、そこから得たものを筋道立てて話せるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?那覇市の仕事への理解の解像度
⑦ 公共性・社会性最近気になったニュースは何ですか?社会の動きへの関心と、それを短く語る力

この7つの角度は、職種や自治体を問わず面接の土台になる部分です。那覇市の第二次試験は個別面接と集団討論の両方が置かれているため、どちらの場でも同じ土台から話せるかどうかが見られます。そのうえで合否を分けやすいのは、次に見る那覇市固有の質問への備えです。

とはいえ土台が弱いままでは、固有質問の受け答えも浮ついた印象になります。7つの角度それぞれに一言メモを用意し、その上で那覇市の事実を重ねていく順番を守りましょう。

合否を分けるのは「那覇市役所ならでは」の質問

「なぜ沖縄県庁ではなく、那覇市役所を志望するのですか?」
「那覇市の魅力と、これから力を入れるべき課題を、それぞれ挙げてください」

中核市への移行で県から移された事務や、那覇市保健所の設置といった那覇市固有の行政の広がりを説明できるかどうかで、回答の厚みははっきり変わります。「県庁所在地だから」という漠然とした理由で終わらせず、市が独自に担っている仕事の中身まで踏み込んで準備しておきましょう。

質問テーマ知っておきたい那覇市の事実答え方のヒント
人口密度と高齢化県の推計人口では人口密度が県内41市町村で最も高い。住民基本台帳ベースの高齢化率25.3%は県全体(24.2%)をやや上回る都市部特有の狭さと高齢化を、自分がどう支えたいかにつなげます
中核市としての事務移譲平成25年4月に中核市へ移行し、大気汚染防止法などの届出事務が県から市に移された。那覇市保健所も市自ら設置県庁ではなく市役所を選ぶ理由に、この事務の広がりを重ねて話します
首里城の復元令和4年11月着工の復元整備工事が完成に近づき、令和8年11月に完成式・供用開始が予定される。実施主体は内閣府沖縄総合事務局(国営沖縄記念公園)国の事業と市の受け入れ環境整備を切り分けて語ります
空港・モノレールという交通基盤那覇空港第2滑走路は令和2年3月供用開始で処理容量24万回/年。県内唯一の軌道系交通ゆいレールが市内を走る交通拠点を支える行政の役割まで踏み込んで語ります
世界遺産4件の所在首里城跡・園比屋武御嶽石門・玉陵・識名園の4件がすべて那覇市内にある名所紹介で終わらせず、文化財行政への関心を具体的に示します

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

那覇市は求める人材像を3つ明確に公表しているため、この3つを軸に評価の観点を整理します。これはコンピテンシー評価と呼ばれるやり方に近く、問われるのは受け答えの滑らかさよりも、経験そのものの厚みと行動の一貫性です。

3つの人物像は、いずれも一度きりの成功体験ではなく、日常のなかで繰り返し発揮されてきた行動の傾向を確かめるためのものだと理解しておきましょう。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
使命感・責任感と柔軟な行動力与えられた役割にどこまで責任を持ち、状況が変わっても柔軟に対応できたか計画どおりにいかなかった場面で、考えをどう切り替えたかを具体的に話せるようにする
思いやりと協調性・コミュニケーション力相手の状況に合わせて丁寧に対応し、周囲と協力しながら物事を進めた経験があるか集団討論も課される市なので、意見の違う相手にどう向き合ったかまで話せるようにする
那覇への愛着と協働意識那覇のまちや人にどれだけ関心を持ち、社会の一員としての役割を意識しているか「好きだから」で終わらせず、自分がどう関わりたいかまで踏み込んで話す

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、実際の準備の手順にそのまま落とし込みます。

  1. 那覇市の公式サイトから最新年度の受験案内を入手し、区分ごとの試験科目と第一次・第二次の流れを確認する
  2. 高校・大学生活や仕事の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 「使命感と責任感」「思いやりと協調性」「那覇への愛着」の3つそれぞれについて、裏づけになる経験を一つずつ書き出す
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、集団討論と個別面接のどちらでも同じ軸で話せているかを確認する。集団討論では、他の受験者の意見を受けてから自分の考えを述べる練習も加えておく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市が求める3つの人材像へどうつなぐかという自己分析を優先してください。3つの人材像を言えるようになるだけでは足りず、それぞれに自分の経験を重ねられて初めて評価の材料になります。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、那覇市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

那覇市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

那覇市役所の想定問答集を見る

さいごに

那覇市の試験は、第一次の筆記から第二次の口述試験まで、段階を追って人物を確かめる構成です。県庁所在地であり中核市でもあるという肩書きを説明するだけでなく、県内一の人口密度、復元が進む首里城、県内唯一のモノレールといった具体的な事実に、自分がどう関わりたいかを重ねて語れるように準備しておきましょう。求める人材像として掲げられた3つの言葉についても、暗記した表現をなぞるのではなく、自分の経験のどの部分がその言葉と重なるのかを、時間をかけて探しておいてください。

第二次試験では個別面接だけでなく集団討論も課されるため、一人で語る練習だけでなく、他の受験者の発言を受けて自分の考えを述べる練習も並行して進めておくと安心です。