本記事では、石巻市職員採用試験の面接対策で必要な、石巻市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

石巻市役所の面接試験では、「なぜ石巻市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。上級(大学卒程度)の試験は第1次試験と第2次試験の2段階で、要項が第2次試験の種目として挙げているのは面接試験です。

話して伝える場が最後の一日にまとまっている以上、筆記の勉強と並行して人物面の準備も進めておきたいところです。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と石巻市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

石巻市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは石巻市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 宮城県の東部にあり、人口130,134人と県内の市では仙台市に次ぐ規模をもつ市である(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。
  • 総面積は554.55km²。宮城県全体の7,282km²のおよそ7.6%にあたり、県内の市のなかでも広いほうに入る。
  • 人口密度は235人/km²。県全体の平均であるおよそ306人/km²を下回り、広い市域に人が分かれて暮らしている。
  • 陸で接するのは東松島市、登米市、遠田郡涌谷町、遠田郡美里町、牡鹿郡女川町、本吉郡南三陸町の6市町で、県北部の広い範囲と境を接している。
  • 市役所は穀町14番1号に置かれ、市の花はツツジ、市の木はクロマツと定められている(いずれも2005年10月17日制定)。
  • 令和8年度に実施される上級(大学卒程度)採用試験の採用予定人員は、行政(A・B)24名程度、土木2名程度、社会福祉士2名程度、学芸員(考古)2名程度である(令和9年度採用)。
  • 行政は専門試験を課す「行政(A)」と事務適性検査を課す「行政(B)」に分かれており、申込フォームも別になっている。
  • 第1次試験は筆記試験と職場適応力診断を1日で実施し、第2次試験は第1次試験の合格者だけを対象に、指定する1日で行われる。
  • 第2次試験の種目は面接試験で、要項の内容欄には「公務員としての適格性についての面接」と記されている。
  • 上級のほかに、中級・初級・医療職・任期付(育児休業等代替)・初級土木(学校推薦特別選考)の要項も令和8年度実施分として公表されている。

石巻市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「石巻市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、隣り合う自治体など、県内での石巻市の位置づけを説明できる項目を整理しました。石巻市単独の経済統計は公表資料の範囲が限られるため、比較の物差しとして宮城県全体の数値もあわせて示します。

項目内容
総人口130,134人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積554.55km²(宮城県のおよそ7.6%)
人口密度235人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市役所所在地石巻市穀町14番1号(採用試験の問合せ先である総務部人事課も同じ庁舎)
隣接自治体東松島市、登米市、遠田郡涌谷町、遠田郡美里町、牡鹿郡女川町、本吉郡南三陸町の6市町
市の花・市の木ツツジ/クロマツ(いずれも2005年10月17日制定)
(参考)人口が県内最大の仙台市人口1,063,198人・面積786.38km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
(参考)宮城県の総人口2,227,240人(令和7年10月1日現在)
(参考)宮城県の総面積7,282km²
(参考)宮城県の高齢化率29.7%(令和7年3月31日現在・前年から0.2ポイント上昇)

石巻市および仙台市の面積・所在地・隣接自治体・市の花・市の木は、自治体の公表値による数値で、市公式の公表値とは時点や集計方法が異なる場合があります。県内順位は、同じ公表値による県内14市の比較です。宮城県の総人口は令和7年国勢調査人口速報集計、総面積は宮城県公式サイトのプロフィール(位置・気候)、高齢化率は宮城県「高齢者人口」(令和7年3月31日現在)による数値です。県との面積比および県平均の人口密度は、これらの公表値から当研究会が算出しました。市と県で数値の時点が異なるため、おおよその水準感として捉えてください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

最初に確かめておきたいのは、面積と人口のつり合いです。石巻市は県全体の面積のおよそ7.6%を占めますが、人口の割合はおよそ5.8%にとどまります。

人口密度が235人/km²と県平均のおよそ306人/km²を下回るのは、この差の表れです。石巻市は、県内でも広い市域に人がゆるやかに分かれて住むまちだといえます(出典:令和7年国勢調査人口速報集計結果|宮城県

この広さは、行政の仕事のかたちを直に左右します。同じ12万人規模でも、狭い市域に集まって住むまちなら窓口を一か所に置けば足りますが、市域が500km²を超えると、案内や相談を届ける手段そのものを設計し直さなければ届かない人が出てきます。

市役所に来られる人だけを前提にできないということです。移動、支所の役割、郵送やオンラインでの手続きといった論点は、いずれもこの一点から派生します。

もう一つの前提が、県内での位置づけです。人口では仙台市に次ぐ2番目にあたり、県内の市のなかでは大きい部類に入ります。

ただし県全体でみれば、仙台市の1,063,198人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)は県の総人口2,227,240人(令和7年10月1日現在)のおよそ半分に相当します。県内2位といっても、県都との規模の差は大きいという位置に石巻市は置かれています(両者の時点は異なるため、おおよその水準としてご覧ください)。

県全体の人口も動いています。令和7年国勢調査の速報値は2,227,240人で、令和2年の調査から74,756人減(増減率は3.25%の減少)となりました。

市域の広さと県の人口減を重ねて話すと、たとえばこうなります。

「石巻市は550平方キロメートルを超える市域に12万人あまりが暮らすまちで、人の集まり方は宮城県の平均よりもゆるやかだと知りました。窓口でお待ちするだけでは届かない方がいらっしゃると思いますので、こちらから出向いて話をうかがう仕事にも関わっていきたいと考えています」

石巻市の経済・産業

宮城県の経済規模と、そのなかの石巻市

石巻市単独の市民経済計算は公表資料の範囲が限られるため、ここでは石巻市が属する宮城県全体の姿を土台に、地域経済を整理します。

  • 宮城県の県内総生産は名目10兆509億円(令和5年度・対前年度比5.0%増)、実質9兆6,585億円(同1.7%増)。
  • 県民所得は6兆9,149億円(令和5年度・対前年度比6.1%増)、一人当たり県民所得は305万4千円(同6.9%増)(出典:宮城県民経済計算|令和5年度
  • 県の総人口は2,227,240人(令和7年10月1日現在)、総面積は7,282km²。

この県の姿に石巻市を重ねると、県面積のおよそ7.6%にあたる市域に、県人口のおよそ5.8%が暮らしているという関係になります(比率は市と県の公表値から当研究会が算出。両者の時点は異なります)。

経済や雇用の話題では、この「面積の広さに対して人口はそこまで多くない」という関係を出発点にすると、話が地に足のついたものになります

県の製造業が抱える働く場

産業の姿を具体的にみると、宮城県の工業(確報)では、製造品出荷額等が4兆3,580億円(令和2年・前年比3.9%減)、事業所数が2,593、従業者数が111,794人でした(いずれも従業者4人以上の事業所)。県内の製造業がおよそ11万人分の働く場を抱えているということです(出典:宮城県の工業(確報)|令和2年

ただし、これは県の合計であって石巻市の姿ではありません。産業振興や企業誘致に触れるつもりなら、県全体の数字を覚えるよりも、市の公式サイトや広報紙で石巻市の商工業の取り組みを一つ確かめておくほうが、面接では確実に効きます。

市の産業を語る材料は、市が自分で出している資料のなかにあります

観光の伸びと、県都への集中

県内の観光は数字の上で伸びています。令和5年の宮城県内の観光客入込数は6,824万人で、前年から1,100万人・19.2%の増加となりました。

新型コロナウイルスの感染拡大前にあたる令和元年の6,796万人を上回り、過去最高です。宿泊観光客数も943万人泊(前年比21.2%増)でした(出典:宮城県観光統計概要|令和5年

ただし内訳を見ると、同じ令和5年の統計で入込数の多い行事は、仙台七夕まつりの約227万人、SENDAI光のページェントの約200万人、全国都市緑化仙台フェアの約116万人と、上位はいずれも仙台市内で開かれたものでした。県全体の数字が過去最高でも、大きな集客は県都に寄っているという構図です。

石巻市で交流人口を語るなら、この構図を踏まえたうえで、来てもらう仕掛けと、来た人に市内でお金を使ってもらう仕掛けの両方まで話を進めたいところです

石巻市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえると、石巻市が向き合っている課題の輪郭が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人が減る県で、広い市域を保つということ

宮城県の人口は2003年(平成15年)の推計人口237万1,683人をピークに減少へ転じ、令和7年国勢調査の速報値は2,227,240人(令和2年比3.25%減)となりました。出生数の減少と死亡数の増加により平成17年(2005年)に自然減へ、社会増減も東日本大震災に伴う復興需要の時期を除けば2000年以降は転出超過へ転換しています。

県の人口ビジョンのケーススタディでは、2060年の県人口を157.2万人と試算しています(出典:宮城県人口ビジョン関連資料

人口が減っても、市域の554.55km²は縮みません。道路も橋も上下水道も、そこに住む人が減った分だけ短くなるわけではないからです。

人が薄く住む市域ほど、一人あたりで負担するインフラの量は重くなります。石巻市で「持続可能なまちづくり」を語るなら、この非対称を意識した言い方にすると、抽象論から一歩抜け出せます

仙台への集中と、沿岸部の人口減少

県自身が課題として挙げているのが、県内の地域間の差です。県の将来人口見通しに関する資料は、仙台都市圏の人口が東日本大震災の後も増え続けている一方、それ以外の圏域は一貫して減少しており、とくに沿岸部で人口減少が進んでいると整理しています。

石巻市は宮城県の東部、太平洋に面する位置にあり、県が名指しした沿岸部という括りの中に置かれた市です。しかも隣接する6市町のうち女川町や南三陸町も同じ沿岸に並びます。

県都への人の流れが続くなかで、圏域のなかで一定の規模をもつ市として何を担うのか。この問いは、石巻市の面接で志望動機を語るときの土台になります

東日本大震災を経た地域であるということ

石巻市は、東日本大震災で大きな被害を受けた地域の一つです。震災からの復旧・復興は市政の最重要の文脈であり続けており、防災、まちづくり、産業、福祉、教育のいずれの分野を志望するにしても、この経緯を外して市政を語ることはできません。

ただし、被害や復興の規模を数字で語ろうとするなら、市が公表している資料で必ず確かめてください。県全体の統計を市の数字であるかのように話してしまうと、それだけで理解の浅さが伝わります。

市の防災や震災伝承に関するページ、広報紙のバックナンバーは、市の公式サイトから辿れます。

次の災害への備え

宮城県が令和5年度に取りまとめた第五次地震被害想定調査では、東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0・最大津波高約22メートル)による県内死者数を約5,500人と想定しています。その内訳は津波によるものが約5,300人、揺れによるものが約90人、火災によるものが約140人で、人的被害の大半を津波が占める想定です。

切迫性が高いとされる海溝型地震では、内閣府による日本海溝モデル(マグニチュード9.1・最大津波高約16メートル)が県内死者数約8,500人、千島海溝モデル(マグニチュード9.3・最大津波高約11メートル)が約5,200人と想定されています。

内陸で起きる最大震度7の地震(マグニチュード7.5)についても、県内死者数を約750人から約1,100人と見込んでいます(出典:宮城県第五次地震被害想定調査(概要)|令和5年度

これらはいずれも宮城県全体の想定値であって、石巻市単独の被害想定ではありません。それでも、避難を呼びかけ、避難所を回し、被災した市民の生活の立て直しに最後まで立ち会うのは市の職員です。

防災に触れるときは、想定の規模に軽く触れたうえで、平時のうちに市の職員が積み上げておける備えへ話を進めると、地に足のついた説明になります

高齢化と、支える側の人手

宮城県の高齢者人口(65歳以上)は658,415人、高齢化率は29.7%で、前年から0.2ポイント上昇しました(令和7年3月31日現在)。県民のおよそ3人に1人が65歳以上という水準です。

人が薄く住む市域では、この比率の重みが増します。支援を必要とする人のところまで、誰かが移動しなければならないからです。

この点は、採用の顔ぶれにも表れています。令和8年度実施の上級試験では、行政のほかに土木、社会福祉士、学芸員(考古)の枠が置かれ、社会福祉士は資格を有する者または令和9年3月31日までに取得見込みの者が対象とされています。

福祉の専門職を独立した枠で採るという判断そのものが、市が抱える仕事の中身を示しています

重点政策|宮城県の方針と石巻市政

石巻市の総合計画や重点施策の名称は、市の公式サイトの市政情報のページで最新のものを確かめられます。本記事では、石巻市が属する宮城県の方針を「県内の背景」として整理し、市政を理解する土台とします。

宮城県の予算と財政の枠組み

宮城県の令和7年度一般会計当初予算は10,265億円(令和6年度比27億円増、0.3%増)で、全会計の合計は15,212億円です(出典:令和7年度当初予算の規模|宮城県

財政の健全性を示す指標では、令和6年度普通会計決算に基づく財政力指数が0.60728、経常収支比率が95.4%(前年度から1.3ポイント改善)でした。健全化判断比率は実質公債費比率10.0%、将来負担比率130.8%で、いずれも早期健全化基準を下回っています。

ただ、経常収支比率が95%台であることは、毎年決まって入る収入の大半が固定的な支出で埋まっている状態を意味します。新しく何かを始めるには何かを見直すという判断を迫られる環境は、県にも市にも共通しています。

県全体で動いている取り組みと、沿岸の市との距離

宮城県の直近の動きとしては、3GeV高輝度放射光施設NanoTerasu(ナノテラス)が仙台市青葉区の東北大学青葉山新キャンパス内に整備され、令和6年(2024年)4月に運用を開始しました。県や仙台市、東北大学などの官民地域パートナーシップ5者が整備した、物質をナノメートルの水準で可視化できる施設です。

交通では、仙台空港が2016年7月1日に国管理空港として初の民営化事例となっています。

いずれも仙台市周辺の話であって、石巻市の事業ではありません。それでも、県内で何が動いているかを一つ二つ言えるようにしておくと、宮城県という枠のなかで石巻市がどこに位置するのかという話に厚みが出ます。

県の成長の芽が県都に集まりやすいという構図を知っておくことは、そのまま石巻市の課題認識にもつながります

県の方針を、穀町の窓口でどう受け止めるか

県の計画や予算が示すのは、宮城県全体としてどちらへ向かうかという方向です。県が決めた方向を、目の前の一人の相談や一件の手続きに翻訳するのが市役所の仕事だという役割の分かれ方を押さえておくと、志望理由の説明に芯が通ります。

人口130,134人、面積554.55km²という規模の市役所では、担当する業務の幅は広く、同じ市民と何度も顔を合わせる場面も出てきます。県の資料に目を通すのは、暗記のためではなく、穀町の庁舎で担う仕事がどんな流れのなかに置かれているかをつかむためだと考えてください

POINT|計画名を覚えるより、市の条件から考える

計画の名称を暗記することが自治体研究の目的ではありません。①石巻市の人口規模と554.55km²という市域の広さ、沿岸に位置するという条件を知る → ②その条件のもとで自分が携わりたい仕事を考える → ③市の公式サイトや広報紙で、実際に行われている取り組みを確かめる → ④自分の経験や強みをどう生かせるかを言葉にする、という順で準備しましょう。

悪い例「石巻市の復興に貢献したいです」

改善例「まずは配属された部署の仕事を一つずつ覚えて、窓口に来られた方に落ち着いて説明できるようになりたいです。その上で、石巻市は550平方キロメートルを超える広い市域ですので、市役所から遠い地区の方にも手続きや情報が届く仕組みづくりに関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 石巻市職員採用試験の要項(自分が受ける区分の最新年度のもの。上級・中級・初級・医療職・任期付などで別々に公表されています)
  • 石巻市公式サイトの市政情報・広報紙・各種計画のページ
  • 市の防災、震災伝承、地域づくりに関するページ(志望分野に近いものを一つ選んで読み込む)
  • 宮城県の当初予算や人口の将来推計に関する資料(県内での石巻市の位置づけを知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、石巻市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。石巻市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

石巻市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

石巻市役所の面接の概要

ここからは、石巻市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

石巻市役所の試験の流れ

上級(大学卒程度)の採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階です。第1次試験は筆記試験と職場適応力診断を1日で実施し、第2次試験は「第1次試験合格者のみ」を対象に、面接試験を指定する1日で行います。

要項が第2次試験の種目として挙げているのは面接試験だけで、集団討論などの記載はありません。

ここで一つ、年度の表記に注意してください。この要項の表題は「令和9年度採用」となっており、試験を実施する年度(令和8年度)と採用の年度(令和9年度)が1年ずれます

他の自治体の「令和8年度試験」と横並びで見比べるときに混同しやすいところです。採用は原則として令和9年4月1日からで、採用予定日より前倒しで採用される場合もあるとされています。

項目内容(令和8年度実施・上級(大学卒程度)の試験要項による)
試験の段階第1次試験・第2次試験の2段階。第2次試験は第1次試験の合格者のみを対象に行われます
対象の職種と採用予定行政(A・B)24名程度、土木2名程度、社会福祉士2名程度、学芸員(考古)2名程度。令和9年4月1日採用の予定です
第1次試験の構成筆記試験と職場適応力診断を1日で実施します
教養試験時事、社会・人文及び自然に関する一般知識、並びに文章理解、判断推理、数的推理及び資料解釈に関する一般知能について40題・2時間(全職種共通)
論文試験公務員として必要な識見、判断力、思考力等についての記述試験。800字・1時間
職場適応力診断公務員に求められる資質についての検査。132題・20分。第1次試験日に筆記試験と同日実施されます
第2次試験の種目面接試験。内容欄は「公務員としての適格性についての面接」と記載されています。個別面接か集団面接かの別、実施回数、面接官の人数は要項に記載がありません
配点非公表。各種目の配点や満点、第1次試験の成績を第2次試験にどう扱うかについての記載はありません
面接カード第1次試験の合格者が、専用の入力フォームから入力します
申込・受験票インターネットの専用サイト「パブリックコネクト」から。無料会員登録後に申込(エントリー)が可能になり、申込フォームは職種別に分かれています。受験票は同サイトのマイページからダウンロードして持参します
試験会場第1次試験は石巻専修大学4号館(変更となる場合がある旨が付記されています)。第2次試験の会場は後日決定され、別途通知されます
合格発表第1次・第2次いずれも公告のうえ受験者全員に通知。最終合格は郵送で知らせるとともに、市ホームページに合格者の受験番号が掲載されます。最終合格後は所定の健康診断書を提出します
初任給令和8年4月1日採用の新卒者で、大学卒業者232,000円、大学院修士課程修了者242,000円。人事院勧告等により4月に遡及して改正されることがあります
そのほか令和8年12月25日までに施行予定のこども性暴力防止法に基づき、こどもと接する業務の従事者について、採用までの間に特定性犯罪事実該当者であるか否かを書面等により確認することがある旨が明記されています

上記は石巻市の令和8年度実施・上級(大学卒程度)採用試験の要項および「申込から採用までの流れ」にもとづく内容です(出典:石巻市職員上級(大学卒程度)採用試験要項|令和8年度実施申込から採用までの流れ(正職員)|石巻市。試験の構成・職種・日程・会場等は年度や受験する区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の要項でご自身の受験する区分の情報をご確認ください。なお、申込に用いる「パブリックコネクト」は市の公式サイト外のサービスです。市の採用試験案内のページから辿って手続きしてください(参考:令和8年度実施 石巻市職員採用試験案内

行政(A)と行政(B)の分かれ道

石巻市を受けるうえで最初に決めることになるのが、行政(A)と行政(B)のどちらで申し込むかです。採用予定人員は24名程度とまとめて示されていますが、第1次試験の中身は次のように分かれます。

区分第1次試験の科目専門的な科目の中身
行政(A)教養試験・専門試験・論文試験・職場適応力診断専門試験は政治学、行政学、憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、国際関係について40題・2時間
行政(B)教養試験・事務適性検査・職場適応力診断・論文試験事務適性検査は事務能力診断検査(照合、分類、言語、計算、読図、記憶)163題・50分

申込フォームも「【上級(大学卒程度)】行政A(専門試験)」「【上級(大学卒程度)】行政B(事務適性検査)」のように職種別に分かれています。つまり、どちらを選んだかは申込の時点で記録に残るということです。

専門科目を積み上げてきた人はA、そうでない人はB、という選び方が一般的でしょうが、面接の場でその選択の理由を問われたときに黙ってしまうのはもったいないところです。自分がなぜその入口を選んだのかを、一文で言えるようにしておきましょう。

職種ごとの受験資格にも差があります。行政(A・B)と社会福祉士は平成9年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた者が対象ですが、土木は平成4年4月2日からと、行政より5歳分幅が広く設定されています。

技術職を幅広く迎え入れようとしていることがうかがえます。学芸員(考古)は、考古学に類する課程を修めたうえで発掘調査の実務経験を有し、学芸員の資格を有する(または取得見込みの)ことが条件です。

行政・土木については「学歴は問わないが、大学卒業程度の学力を必要とする」とされています。

あわせて、上級・中級・初級(医療職を含む)については教養試験、論文試験、職場適応力診断が共通とされ、中級・初級・任期付等では課題作文が課されます。区分によって課される種目が違う以上、自分が受ける区分の要項を最初に確かめるところから始めてください。

石巻市役所が求める人物像

石巻市の令和8年度実施の採用試験案内のページ、上級試験の要項、「申込から採用までの流れ」のいずれにも、「求める人物像」にあたる公表文言を、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。公表されたものがない以上、評価されやすい資質は市の置かれた条件から読み解くことになります。

554.55km²という広い市域に人がゆるやかに分かれて住んでいること、県が沿岸部の人口減少を課題に挙げるなかで太平洋に面した市であり東日本大震災を経た地域であること、そして行政のほかに土木・社会福祉士・学芸員(考古)という専門の枠を置いていること。

この3つを重ねると、「広い市域に足を運んで実情をつかむ力」「災害を経た地域で暮らしを支える構え」「自分の専門や適性を選び取り、説明できる力」のあたりが評価の中心になると考えられます。

自己PRでは、こうした資質を名乗るだけで終わらせず、その力を使って何を行い、周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。石巻市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどちらから来られましたか用意していない問いに身構えずに返せるか。声の届き方と表情の自然さ
② 動機・志望数ある自治体のなかで、石巻市を選んだ理由を教えてください他と比べたうえでの選択になっているか。動機が自分の経験と地続きか
③ 自己理解ご自身の短所を、付き合い方も含めて教えてください自分を客観視できているか。弱みを認めたうえで手当てまで語れるか
④ 経験・行動思うようにいかなかった経験と、そのあと何を変えたかを教えてください出来事の大きさではなく、その場面で何を考えどう動いたか
⑤ 学業・経歴学んできたことを、専門外の人にも分かるように説明してください相手に合わせて言葉を選び直せるか。同じ力が800字の論文でも問われます
⑥ 適性・将来希望していない部署に配属されたら、どう働きますか市の仕事への理解の解像度と、配属に対する構え方
⑦ 公共性・社会性最近、地域の話題で気になったことはありますか身の回りの動きへの関心と、自分の受け止めを一言で述べられるか

ただし、この7カテゴリーは石巻市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「石巻市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「石巻市ならでは」の質問

「なぜ宮城県庁ではなく、石巻市役所なのですか」
「石巻市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

この2問は、その場の機転では埋められません。行政(A・B)で24名程度という枠を、同じように志望する人たちと分け合うことになります。

同じ枠を争う相手と差がつくのは、こうした市の中身に踏み込む質問だということです。こうした質問に答えるための「石巻市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい石巻市の事実答え方のヒント
規模と位置人口130,134人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で県内の市では仙台市に次ぐ2番目。面積554.55km²、人口密度235人/km²で、県平均のおよそ306人/km²を下回る県内2位という肩書きより、密度の低さのほうが仕事の中身を決めます。広い市域で行政サービスをどう届けるか、という向きで話を組み立てます
なぜ県庁ではなく市役所か県土7,282km²・県人口2,227,240人という宮城県の大きさが、市の位置づけを言うときの土台になる。石巻市はその約7.6%の市域に約5.8%の人口を抱える県が決めた方向が穀町の窓口でどんな手続きに変わるのかを一つ挙げると、役割の違いが具体的に伝わります
隣接する自治体との関係陸で接するのは東松島市、登米市、遠田郡涌谷町、遠田郡美里町、牡鹿郡女川町、本吉郡南三陸町の6市町。県内で人口が最大の仙台市は1,063,198人で県全体のおよそ半分6市町と境を接する位置と、県都との規模差の両方を押さえておくと、圏域のなかで石巻市が担う役割という視点で語れます
災害への備え県内の死者数を約5,500人と見込み、うち約5,300人を津波によるものとしているのが県の第五次地震被害想定。対象は東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0・最大津波高約22メートル)この数字は県全体のものだと一言添えたうえで、市が公表している防災や震災伝承の資料で確かめたことを重ねます
石巻市の魅力市の花はツツジ、市の木はクロマツで、いずれも2005年10月17日に定められた。観光は令和5年に県全体で6,824万人の入込があり、感染拡大前の令和元年6,796万人を超えて過去最高となった名所の名前を並べるより、市が自分たちで選んだ花や木のように、市が何を大事にしてきたかから入ると、調べた跡が伝わります
試験の仕組み行政は専門試験の(A)と事務適性検査の(B)に分かれ、申込フォームも別。第2次試験の種目は面接試験で、配点は非公表自分がAとBのどちらで申し込んだのか、その理由を一文で言えるようにしておきます。配点が分からない以上、論文も面接も軽く見る判断はできません

使い方のコツは、6つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、先ほど整理した「石巻市で評価されやすい資質」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
広い市域に足を運んで実情をつかむ力人口密度235人/km²の市域で、届きにくい相手にどう関わるかを描けているか。机の上の情報だけで判断しなかった経験があるか自分から出向いて確かめたことで話が動いた場面を一つ選び、なぜ出向くと決めたのかまで言えるように整理しておく
災害を経た地域で暮らしを支える構え県の被害想定の規模を知ったうえで、太平洋に面した石巻市の職員として平時に何をするかを語れるか市の防災や震災伝承のページを一つ読み込み、そこで知った市の取り組みと、自分が続けたいことを一続きにしておく
自分の専門や適性を選び取り、説明できる力行政(A)と行政(B)のどちらを選んだのか、その判断に自分の言葉があるか。800字の論文と面接で同じ人物像が通っているか論文で書いた主張の骨組みを一枚にまとめ、面接で問われたときに同じ順序で口に出せるところまで揃えておく

なお、公務員の面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。石巻市の面接試験は「公務員としての適格性についての面接」と位置づけられており、経歴や志望の一つひとつに理由を尋ねられる前提で臨みたいところです。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 市の採用試験案内のページで、自分が受ける区分(上級・中級・初級・医療職・任期付など)の最新の要項を確かめ、行政なら(A)と(B)のどちらで申し込むかを決める
  2. 申込に使う専用サイト「パブリックコネクト」の会員登録と申込の手順を、市の案内ページから辿って早めに確認しておく
  3. これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. この記事の前半を読み返し、固有質問の対応表から材料を集めて、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 800字の論文で書くことになりそうな考えを一度書き出し、同じ内容を声に出して説明してみる。答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、石巻市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

石巻市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

石巻市役所の想定問答集を見る

さいごに

石巻市の上級試験は、第1次試験で筆記と職場適応力診断を1日に収め、第2次試験に面接試験を置く組み方です。各種目の配点も、第1次試験の成績を第2次試験でどう扱うのかも公表されていません

分からないものを推し量るより、公表されている構成に沿って、教養も論文も面接も落とさない配分で積み上げていくほうが確かです

554.55km²の市域に12万人あまりが暮らし、6つの市町と境を接し、太平洋に面したこのまちで、穀町の庁舎に出勤する自分の姿をどこまで具体的に描けるか行政(A)と(B)のどちらの入口を選ぶのかという最初の判断も含めて、自分の選択には自分の理由がある、と言える状態をつくっておいてください

まずは最新の要項を手元に開き、受ける区分を決めるところから始めましょう。