本記事では、大崎市職員採用試験の面接対策で必要な、大崎市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
大崎市役所の面接試験では、「なぜ大崎市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。上級採用試験の第二次試験は2日間に分けて行われ、その2日目にあてられているのが面接試験です。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と大崎市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
大崎市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは大崎市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 平成18年3月31日に1市6町が合併して誕生した市で、市役所は古川七日町に置かれている。
- 人口は120,285人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。仙台市、石巻市に次いで、宮城県内14市のなかで3番目に多い。
- 面積は796.81km²と広く、県内14市では栗原市に次ぐ2番目。県庁所在地の仙台市(786.38km²)よりも広い市域を持つ。
- 人口密度は151人/km²で、宮城県全体のおよそ306人/km²の半分以下。県内14市のなかでは11番目にあたる。
- 境を接する市町村は11にのぼり、そのうち山形県最上郡最上町と秋田県湯沢市の2つは県外。3つの県にまたがって隣接自治体を持つ市である。
- 市の花はひまわり、市の木は桜。
- 総合計画が掲げるまちの将来像は「宝の都(くに)・大崎」で、副題に「ずっとおおさき・いつかはおおさき」という言葉が置かれている。
- 合併直後の財政健全化のため、退職者不補充と勧奨退職により5年間で400人を削減。合併時に1,358人だった職員は、令和2年4月1日時点で986人まで減っている。
- 職員採用試験を所管するのは人事委員会ではなく、総務部人財育成課の人事担当(市役所本庁舎4階)である。
大崎市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「大崎市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、県内の他市との位置関係、職員数の推移など、市の輪郭を説明できる項目を整理しました。大崎市単独の年齢別人口や市内総生産は公表資料の範囲が限られるため、比較の物差しとして宮城県全体の数値もあわせて示します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 120,285人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 796.81km²(県内14市で2番目。宮城県の総面積のおよそ11%) |
| 人口密度 | 151人/km²(上記の総人口と総面積から算出。県内14市で11番目。県全体はおよそ306人/km²) |
| 隣接自治体 | 11市町村(宮城県内が9市町、県外は山形県最上町と秋田県湯沢市) |
| 市の花/市の木 | ひまわり/桜 |
| 市役所の所在地 | 大崎市古川七日町1番1号(採用試験は本庁舎4階の総務部人財育成課人事担当が所管しています) |
| 職員数の推移 | 合併時1,358人 → 986人(令和2年4月1日時点) |
| (参考)宮城県の総人口 | 2,227,240人(令和7年10月1日現在・国勢調査人口速報集計) |
| (参考)宮城県の総面積 | 7,282km² |
| (参考)宮城県の県内総生産 | 名目10兆509億円(令和5年度) |
大崎市の面積・隣接自治体・市の花・市の木、および県内順位の算出に用いた宮城県内14市のデータは、自治体の公表値による数値で、市公式の推計人口ページとの照合は行っていません。職員数は大崎市人財育成基本方針(令和2年9月改訂)に記載された数値です。宮城県の総人口・総面積・県内総生産は、宮城県が公表した令和7年国勢調査人口速報集計、公式プロフィール、令和5年度宮城県民経済計算によります。県全体の人口密度は、この総人口と総面積から当研究会が算出しました。市と県で数値の時点が異なるため、比較はおおよその水準感として捉えてください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
大崎市の面積796.81km²は、宮城県の総面積7,282km²のおよそ11%にあたります。一方、人口120,285人は県の総人口2,227,240人(令和7年10月1日現在)のおよそ5%です。
つまり、県土のおよそ11%の広さに、県の人口のおよそ5%が暮らしているのが大崎市の基本構造です。人口密度151人/km²は県全体のおよそ半分で、人が密集して暮らす市とは、行政サービスの届け方も課題の出方も変わってきます(出典:令和7年国勢調査人口速報集計結果(宮城県)|令和7年)。
この広さは、平成18年3月31日に1市6町が一つになったという成り立ちと重なります。旧市町のそれぞれに人の集まる場所があり、そこで暮らしてきた歴史があるということです。
市役所の窓口から遠い地域にどう手を届かせるかという問いは、合併して20年になる市がずっと抱えてきたテーマだといえます。面接では、この二つを次のようにつないで話すことができます。
大崎市の経済・産業
県全体の経済からみた位置づけ
大崎市単独の市内総生産や事業所数は公表統計の範囲が限られるため、市が属する宮城県全体の経済の姿を手がかりに、地域経済の位置づけを整理します。
- 令和5年度の県内総生産は名目10兆509億円(前年度比5.0%増)、実質9兆6,585億円(同1.7%増)。
- 同じ令和5年度の県民所得は6兆9,149億円(前年度比6.1%増)、一人当たり県民所得は305万4千円(同6.9%増)。
- 宮城県は東が太平洋に面し、西に蔵王・船形・栗駒などの山々が連なる地勢。大崎市が県外で境を接する山形県最上町・秋田県湯沢市は、いずれもこの山側にあたる。
数字を並べると、県の経済はおおむね年10兆円台の規模で、県民一人あたりでは300万円台という水準にあります(いずれも令和5年度)。大崎市について語るときも、この物差しを持っていれば、県全体のなかで自分の志望先がどのあたりに位置するのかを意識した話し方ができます(出典:宮城県民経済計算|令和5年度)。
工業と雇用の土台
令和2年の宮城県の工業(確報)によると、製造品出荷額等は4兆3,580億円(前年比3.9%減)、事業所数は2,593、従業者数は111,794人でした。ただしこの数字は従業者4人以上の事業所を対象とした集計で、3人以下の小さな事業所は含まれていません(出典:宮城県の工業(確報)|令和2年)。
広い市域に人も仕事も分散している自治体では、この統計に表れない規模の事業者が、地域の雇用と暮らしを支えている面があります。面接で産業振興を語るなら、大きな工場を呼び込む話だけでなく、すでに地域で商いを続けている事業者にとって市役所の窓口がどう役に立つのかまで、考えを持っておきましょう。
観光と交流人口
令和5年の宮城県内の観光客入込数は6,824万人で、前年より1,100万人(19.2%)増え、感染症の拡大前だった令和元年の6,796万人を上回って過去最高となりました。宿泊観光客数も943万人泊(前年比21.2%増)です。行事別にみると、仙台七夕まつりの約227万人、SENDAI光のページェントの約200万人が上位を占めます(出典:宮城県観光統計概要|令和5年)。
上位に並ぶのはいずれも県庁所在地を舞台にした行事です。大崎市は仙台市と直接は境を接していませんから、県内を動くこれだけの人の流れを、どうやって大崎市まで引き寄せるかという問いが残ります。
観光を志望動機に使うなら、名所を挙げるだけで終わらせず、訪れた人にお金と時間をどこで使ってもらうかという視点まで進めておきたいところです。
大崎市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、大崎市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
県全体の人口減少と高齢化
宮城県の人口は2003年(平成15年)の237万1,683人をピークに減少局面に入っています。令和7年国勢調査の人口速報集計では総人口が2,227,240人となり、令和2年の調査から74,756人(3.25%)減りました。
出生数の減少と死亡数の増加によって平成17年(2005年)に自然減へ転じ、社会増減も2000年以降は転出超過が続いています(東日本大震災に伴う復興需要期を除く)。県の人口ビジョンのケーススタディでは、2060年の県人口を157.2万人と試算しています(出典:宮城県の将来人口見通し(人口ビジョン関連資料))。
高齢者人口は令和7年3月31日現在で658,415人、高齢化率は29.7%と、前年から0.2ポイント上がりました。大崎市自身の人口がこの流れのなかでどう動いているかは、市公式サイトの統計や広報で確かめておきましょう。
仙台一極集中と、県都に接していない立地
県の分析では、仙台都市圏の人口は増加傾向にあり東日本大震災の後も増え続けている一方、それ以外の圏域の人口は一貫して減少し、特に沿岸部で進行しているとされています。大崎市が境を接しているのは、登米市、栗原市、美里町、涌谷町、大郷町、大衡村、色麻町、加美町、松島町と、県外の最上町・湯沢市を合わせた11市町村で、県庁所在地の仙台市とは直接接していません。
仙台都市圏の外側にある市として、今住んでいる人にどう住み続けてもらうか、一度離れた人にどう戻ってきてもらうかは、市の将来像に置かれた「ずっとおおさき」「いつかはおおさき」という言葉と正面から重なる論点です。面接で人口減少に触れるなら、一般論の心配ではなく、この2つの向きのどちらに自分が力になれるのかまで話を進めましょう。
大規模地震への備え
宮城県第五次地震被害想定調査(令和5年度)は、東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0・最大津波高約22メートル)が起きた場合の県内死者数を約5,500人と想定しています。内訳は津波約5,300人、揺れ約90人、火災約140人で、被害の大半を津波が占める構造です。
一方、最大震度7を予測する内陸型として、長町‐利府線断層帯地震(マグニチュード7.5)で県内死者数約1,100人、スラブ内地震(同7.5)で約750人という想定も置かれています。内閣府の日本海溝モデル(マグニチュード9.1・最大津波高約16メートル)では県内死者数約8,500人とされ、切迫性が高い海溝型地震と位置づけられています(出典:宮城県第五次地震被害想定調査報告書(概要)|令和5年度)。
県の想定には海溝型と内陸型の両方が含まれており、市域の広い自治体では、同じ市内でも地区によって警戒すべき災害が変わります。防災を志望動機に使うなら、県全体の数字を覚えるより、大崎市のハザードマップを開いて、自分が関心を持つ地区がどの災害の想定区域に入っているかを確かめておくほうが、面接での言葉に重みが出ます。
限られた財源での行政運営
ここでは大崎市自身の決算指標には踏み込みませんが、県全体でみると、令和6年度普通会計決算に基づく財政力指数は0.60728、経常収支比率は95.4%(前年度から1.3ポイント改善)です。健全化判断比率は実質公債費比率10.0%(早期健全化基準25.0%)、将来負担比率130.8%(同400%)で、いずれも基準を下回っています(出典:宮城県の普通会計決算の状況|令和6年度)。
大崎市の場合、この財源の制約は職員の数という形でも表れました。合併直後、市は財政健全化のために退職者不補充と勧奨退職を進め、5年間で400人の職員を減らしています。
何かを増やすには何かを見直すという判断は、市の現場で日常的に求められるものだと考えておきましょう。
職員の年齢構成の空白と、人財の確保
大崎市自身が公表文書のなかで課題として挙げているのが、職員の年齢構成です。合併直後の職員削減の結果として、30歳代から40歳代前半の職員が、他の年齢層に比べて極端に少なくなっています。
一方で、合併後に採用された職員は約300人にのぼり、在籍職員の約3割を占めます(いずれも大崎市人財育成基本方針・令和2年9月改訂による)。市は人財確保の取組として、30歳代社会人の計画的な採用、インターンシップ職業体験の積極的な受け入れ、危機管理や民間のICTなどの専門性を持った人財の確保を掲げています。
受験生の側から読み替えると、入庁後の早い時期から責任のある場面を任される可能性があるということです。「入庁して10年後にどんな職員になっていたいですか」と問われたときに、この年齢構成を頭に置いた答えができると、話の具体度が変わります。
大崎市の重点政策|まちの将来像「宝の都(くに)・大崎」
大崎市の総合計画が掲げるまちの将来像は「宝の都(くに)・大崎」で、副題として「ずっとおおさき・いつかはおおさき」という言葉が添えられています。
この将来像は、市の人材育成の指針である「大崎市人財育成基本方針」(令和2年9月改訂)にも掲げられており、職員の育て方が市の目指す姿と結び付けて語られています(出典:大崎市人財育成基本方針|令和2年9月改訂)。個別の計画名や施策体系までは本記事で扱いませんので、市公式サイトの市政情報のページで、志望分野に近い計画を選んで確認しておきましょう。
将来像を自分の言葉に置き換える
「宝の都(くに)」という言葉は、そのままでは受験生に使いにくい表現です。行政の仕事に引き寄せるなら、地域にある資源や、そこで暮らしてきた人そのものを宝と捉える見方だと読むことができます。
続く「ずっとおおさき」は今住んでいる人に住み続けてもらうこと、「いつかはおおさき」は一度離れた人や外から来る人に選んでもらうこと。人口が減っていく局面にある市が、すでにいる人と、これから関わる人の両方に向けて言葉を置いている、という構図です。
面接では、この2つのうち自分がより力になれるのはどちらかを選び、その理由を自分の経験で裏づけられると、標語をなぞるだけの答えから抜け出せます。
大崎市が定める「目指す職員の姿」
大崎市には「求める人物像」という名称の公表文言がありません。代わりに手がかりになるのが、人財育成基本方針が定める「目指す職員の姿」です。方針はこれを「市民とともに創造・実現できる職員」「信頼される職員」「課題解決に向け、自ら政策提言できる職員」の3本柱で示し、前文には「私たち職員は、地方自治の本旨を自覚し、全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を遂行する」という言葉を置いています。
| 目指す職員の姿 | 方針が示している内容 |
|---|---|
| 市民とともに創造・実現できる職員 | 市民と向き合い、ともに考え、ともに創造し、より住みよい暮らしを実現するため、話し合いを大切にした協働のまちづくりを進める。下位項目には、市民・地域・事業者やNPO等の多様な団体とのネットワーク、組織の一員としてお互いを尊重する気持ちとチームワークが挙げられています |
| 信頼される職員 | 常に学ぶ姿勢を持ち、使命感や責任感、誇りを胸に職務に取り組むことで、市民からの信頼を得て期待に応える。下位項目には、各部門の「プロフェッショナル」として常に学び自己を高める自覚、高いコンプライアンス意識と公平・公正な職務遂行、市に愛着を持ち地域の活動に積極的に関わることが挙げられています |
| 課題解決に向け、自ら政策提言できる職員 | 日々変化する環境、時代の流れや経済の傾向、市民ニーズの変化等を的確に捉え、柔軟な思考力で積極的な施策の立案・展開にチャレンジして課題解決に取り組む。下位項目には、情報収集のアンテナを高く掲げ長期的視野に立って考えること、前例に捉われない柔軟な思考力・対応力、常に経営感覚を持って改革・改善に取り組むことが挙げられています |
「自学」という考え方と、目指す職場の姿
方針は「人財育成の基本は『自学』の姿勢にある」と位置づけています。地方自治法第2条第14項を実践するために、職員が自ら課題を見つけ、解決の方策を考え、政策提言までできることが求められるとして、毎年度研修計画を策定する体制を整えるとしています。
あわせて「目指す職場の姿」も、「会話や議論を大切にする風通しの良い職場」「支えあい尊重しあう職場」「達成し成長できる職場」の3本柱で定められています。職員個人に努力を求めるだけでなく、それを支える職場のあり方まで一組で示しているのが、この方針の特徴です。
背景の説明も率直です。方針は、人口減少と高齢化のさらなる進行、頻発する自然災害、市民ニーズの多様化と情報化の発展により「変化が速く複雑で先が見通せない状況」にあり、「高度化する課題に対し、これまでの知識や前例だけでは通用しない時代」を迎えているという認識を示しています。
市民意識調査の結果としても、職員のさらなる能力向上と、地域で発生する問題を自ら考え解決する職員を求める声が上がっていることを課題に挙げています。面接で「大崎市の職員に必要な力は何だと思いますか」と問われたときは、この認識を踏まえた答えができると、方針を読んだ受験生だと伝わります。
POINT|3本柱を丸ごと覚える必要はない
言葉を正確に暗唱できることが自治体研究のゴールではありません。①自分が関わりたい分野を一つ決める → ②その分野で市がどんな課や窓口を持っているかを公式サイトで調べる → ③「目指す職員の姿」の3本柱のうち自分がいちばん近いものを選ぶ → ④その柱に自分の経験のどの場面が重なるかを言葉にする、という順で準備しましょう。
悪い例「大崎市の発展に貢献したいです」
改善例「まずは窓口の仕事を一つずつ覚えて、市民の方に落ち着いて説明できる職員になりたいです。その上で、大崎市は市域が広くて、地区ごとに事情も違うと聞きましたので、実際に足を運んで話を聞きながら、暮らしの困りごとを拾っていく仕事に関わりたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 大崎市職員採用試験の受験案内(自分が受験する試験の最新年度のもの。上級と、初級・中級・社会人は別の案内で実施されています)
- 大崎市人財育成基本方針(「目指す職員の姿」と「目指す職場の姿」、人財確保の取組)
- 大崎市公式サイトの市政情報・広報紙・統計のページ(総合計画や個別計画は、志望分野に近いものを選ぶ)
- 大崎市のハザードマップと地域防災計画(防災を志望動機に使う場合)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、大崎市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。大崎市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
大崎市役所の面接の概要
ここからは、大崎市役所の採用試験の構成と面接の位置づけ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
大崎市役所の面接の流れ
令和8年度の上級採用試験(大学卒程度)は、第一次試験と第二次試験の2段階です。特徴的なのは第二次試験の組み立てで、2日間に分けて行われ、1日目が論文試験と適性検査、2日目が面接試験という構成になっています。
受験案内はその面接試験を「公務員としての適格性についての人物面からの試験」と規定しています。
| 項目 | 内容(令和8年度・上級/大学卒程度) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第一次試験・第二次試験の2段階。第二次試験はさらに1日目と2日目の2日間に分けて実施されます |
| 第一次試験の種目 | 教養試験(択一式・2時間)と専門試験(択一式・1時間30分から2時間) |
| 第二次試験の種目 | 1日目に論文試験(1時間30分)と適性検査(1時間)、2日目に面接試験。第二次試験の案内は第一次試験合格者に別途通知されます |
| 面接試験の内容 | 受験案内の規定は「公務員としての適格性についての人物面からの試験」。試験時間の記載はありません |
| 面接の形式 | 個別面接か集団面接かの別、面接の回数、面接官の人数、集団討論やグループワークの実施有無についての記載は受験案内にありません |
| 配点 | 各試験種目の配点・満点は受験案内に記載がなく、非公表です |
| 提出書類 | 「面接カード」という名称の書類はありません。申込時に「受験申込書兼自己紹介書」と顔写真データを提出します |
| 申込方法 | 原則としてインターネットによる電子申請(LoGoフォーム)。申込書の様式は市公式サイトから入手して作成します |
| 採用職種と予定人員 | 行政15人程度(行政事務)、土木若干名、保健師若干名 |
| 教養試験の出題 | 時事・社会・人文・自然に関する一般知識20題と、文章理解・判断推理・数的推理・資料解釈に関する一般知能20題(全職種共通) |
| 専門試験の出題 | 行政は憲法・行政法・民法・経済学・財政学・社会政策・政治学・行政学・国際関係の40題。土木と保健師は、それぞれの専門分野から30題 |
| 試験会場 | 第一次試験・第二次試験とも大崎市役所3階会議室(応募者多数の場合は変更があり、会場は受験票で通知されます) |
| 試験結果の開示 | 本人の総合順位と総合得点を口頭で開示請求できます。第一次試験は不合格者、第二次試験は受験者全員が対象。受付は合格発表の日から14日間で、受験票と本人確認書類を持参して市役所4階の総務部人財育成課へ本人が直接来庁する必要があります(電話やはがきによる請求はできません) |
| 採用の仕組み | 最終合格者は試験区分・職種ごとの採用候補者名簿に登載され、そのなかから成績順に採用者が決まります。受験案内は「採用候補者名簿に登載された人(最終合格者)が全て採用されるとは限りません」と明記しています。採用は令和9年4月1日、名簿の有効期限は令和9年3月31日です |
| 初任給(給料月額) | 4年制大学新卒(採用時22歳)で232,000円、大学卒業後に民間企業へ5年勤務した場合(採用時27歳)で259,300円。学歴や職歴により加算されることがあります(令和8年4月1日現在) |
上記は大崎市が公表した令和8年度の上級(大学卒程度)採用試験の受験案内にもとづく整理です(出典:大崎市職員採用試験受験案内|令和8年度)。同市では初級・中級・社会人の採用試験を別のページ・別の案内で実施しており、試験種目や構成が異なる可能性があります。また、受験案内のPDFは年度ごとにファイル名が変わり、過年度の採用ページが検索結果に残ることがあります。受験の際は、必ず年度表記を確かめたうえで、ご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。
この構成から読み取れることが2つあります。1つは、論文試験と面接試験が同じ第二次試験のなかに置かれていることです。
書いた言葉と話す言葉の両方が、最後の場面で見られているということですから、論文に書く問題意識と面接で語る志望動機は、あらかじめ一本の筋に通しておきましょう。
もう1つは、面接が独立した1日として設けられていることです。日程の詳細は第一次試験の合格者に通知されますが、面接に別の日を割いている試験だという事実は、準備の配分を考えるうえで意味があります。
行政の採用予定人員は15人程度で、若干名の職種が並ぶ市役所試験のなかでは小さくない枠です。
なお、面接の形式も配点も公表されていません。情報を探すことに時間を使うより、どんな形で問われても答えの中身が崩れない状態をつくるほうが確実です。
大崎市役所が求める人物像
大崎市の採用ページと令和8年度の受験案内には、「求める人物像」「求める職員像」という名称の記載を確認できません(当研究会調べ)。
そこで、市が人財育成基本方針のなかで実際に使っている言葉から、面接で評価されやすい資質を読み解きます。
方針は、採用について踏み込んだ書き方をしています。「『目指す職員』の資質として、試験成績と合わせて、適切なコミュニケーション能力、コンプライアンス意識、向上心、自ら考えようとする姿勢、市への愛着等の『人間力』を重視した職員採用に取り組みます」という一文です。ここに挙がったコミュニケーション能力、コンプライアンス意識、向上心、自ら考えようとする姿勢、市への愛着は、そのまま面接で確かめられる要素だと考えてよいでしょう。自己PRでは「コミュニケーション能力があります」と述べるだけでなく、その力を使って何を行い、相手や周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。
「目指す職員の姿」および上記の資質は、大崎市人財育成基本方針(令和2年9月改訂)に記載された職員育成の方針であり、採用試験の評価基準として公表されたものではありません。本記事は、公表資料から当研究会が面接対策の観点で読み解いた整理です。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。大崎市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日は会場までどのくらい時間がかかりましたか? | 張りつめた場面での何気ないやり取りに、素の受け答えと表情が表れます |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく公務員を選んだ理由は何ですか? | 民間でもできる動機で止まっていないか。職業を選ぶ筋道が自分の経験とつながっているか |
| ③ 自己理解 | ご自身の長所と短所を教えてください | 自分を客観視できているか。短所を認めたうえで、その付き合い方まで語れるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も苦労した経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 困難の大きさそのものではなく、その場面で何を考え、どう動いたかという行動の中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | 大学で力を入れて学んだことを、簡単に説明してください | 専門外の相手に伝わる言葉へ翻訳する力。学んだことを仕事へつなげる視点 |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 市の仕事への理解の解像度。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 社会の動きへのアンテナと、それについて自分の意見を一言で述べられるか |
ただし、この7カテゴリーは大崎市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「大崎市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「大崎市役所ならでは」の質問
とくに1問目は、県と市の役割の違いを自分の言葉で説明できるかが試されます。大崎市の場合、県外の市町とも境を接する広い市域を持ちながら、暮らしの手続きは市役所と各地域の窓口で完結するという構造がありますから、そこを手がかりにできます。
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「大崎市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい大崎市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市のスケール感 | 人口120,285人・面積796.81km²・人口密度151人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。宮城県内14市では人口3番目、面積2番目、人口密度11番目 | 人口と面積を別々に言うのではなく、「県内3番目の人口が、県内2番目に広い市域に散らばっている」と一続きで言えるようにします。県庁所在地の仙台市より広いという一言は、規模感を伝える近道です |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 平成18年3月31日に1市6町が合併して誕生した市。境を接する11市町村のうち2つは山形県最上町と秋田県湯沢市で、県外にわたって隣り合っている | 制度の説明で終わらせず、合併して一つになった旧市町それぞれに暮らしがあるという点に触れます。広い市域の一つひとつの地域に近い立場で働きたい、という筋で話すと大崎市を選んだ理由になります |
| 市が掲げる将来像 | 総合計画のまちの将来像は「宝の都(くに)・大崎」。副題に「ずっとおおさき・いつかはおおさき」が置かれている | 言葉をそのまま返さず、「ずっと」は住み続ける人へ、「いつかは」は戻る人や新しく来る人へ向いていると読み分けます。自分がどちらの側に力を貸せるかを一つ選んで話しましょう |
| 職員構成と人財確保 | 合併時1,358人だった職員は令和2年4月1日時点で986人。30歳代から40歳代前半が極端に少なく、合併後採用の職員が在籍の約3割を占める。市は30歳代社会人の計画的採用や専門人財の確保を掲げている | 「若手が育つ環境です」と受け取るだけでは足りません。層の薄い年代を将来自分が埋めていくという前提で、10年後の自分の役割まで話せると、長く働く覚悟が伝わります |
| 防災 | 宮城県第五次地震被害想定調査(令和5年度)は、東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0)で県内死者数約5,500人、内陸型の長町‐利府線断層帯地震(同7.5)で最大震度7・県内死者数約1,100人と想定 | 県の想定は海溝型と内陸型の両方が論点です。数字を並べるより、市域が広い分だけ地区ごとに警戒すべき災害が違うという点を押さえ、市のハザードマップで確かめた内容を自分の言葉で話します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、こうして読み解いた資質に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 市民とともに創り上げる姿勢 | 立場の違う相手と話し合いを重ねて、一つの形にまとめた経験があるか。意見が割れた場面で誰にどう働きかけたか | 方針が「話し合いを大切にした協働のまちづくり」を掲げ、市民・地域・事業者やNPO等とのネットワークを挙げている点を踏まえます。人をまとめた結果ではなく、意見を集める過程で自分が何をしたかを話せる状態にしておきます |
| 信頼を積み上げる仕事の仕方 | 約束や決まりを守り抜いた場面。地域や周囲の集まりに、自分から関わってきた経験があるか | 方針は「プロフェッショナル」として学び続けること、高いコンプライアンス意識、そして市に愛着を持って地域の活動に関わることを挙げています。大崎市とのつながりを聞かれる可能性を想定し、自分と地域の接点を一つは言葉にしておきましょう |
| 自ら考え、提言する力 | 前例のない場面で、何を基準に判断したか。調べたことを人に説明し、動かした経験があるか | 方針は人財育成の基本を「自学」に置き、自ら課題を見つけて解決策を考え、政策提言までできることを求めています。自分でテーマを決めて調べ切った経験を、結論だけでなく調べ方の順序まで説明できるようにしておきます |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
大崎市では第二次試験の2日目が面接試験にあてられていますから、掘り下げに耐えられるかどうかがそのまま結果に響きます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の受験案内を読み、自分が受験する試験(上級か、初級・中級・社会人か)と職種を確かめる。申込は原則としてインターネットによる電子申請で、受験申込書兼自己紹介書と顔写真データを提出する点もあわせて押さえる
- 提出した自己紹介書に書いた内容を手元に控えておく。面接での発言と食い違わないよう、書いたことを起点に話を組み立てる
- 高校・大学生活の経験を棚卸しし、学業、課外活動、アルバイトから話せる具体例を1つずつ用意する。そのうえで7カテゴリーの代表質問に一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 第二次試験は1日目に論文、2日目に面接という流れなので、論文で書く内容と面接で話す内容の軸をそろえたうえで、声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、大崎市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
大崎市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
大崎市の上級採用試験は、第一次試験で教養試験と専門試験を越えたあと、第二次試験の1日目に論文試験と適性検査、2日目に面接試験という流れで進みます。書いたものと話したことの両方が、同じ第二次試験のなかで見られることになります。
行政の採用予定は15人程度。合併から20年が過ぎ、30歳代から40歳代前半が薄いという構成の職場に加わるということは、これから入る人が早い時期から前に出る場面があるということでもあります。
「ずっとおおさき」と「いつかはおおさき」という2つの言葉に、自分のどんな経験や関心を重ねられるのか。そこを言葉にする作業に、残された時間を使ってみてください。