本記事では、登米市職員採用試験の面接対策で必要な、登米市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

登米市役所の面接試験では、「なぜ登米市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。

令和8年度の上級(大学卒業程度)行政は第1次試験と第2次試験の2段階で、第2次の合否は作文試験と人物試験の合計得点によって決まりますので、筆記の勉強と並行して、書く準備と話す準備の両方に早めに手をつけておきたいところです。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と登米市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

登米市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは登米市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 宮城県の県北にあり、県内の6市町と岩手県一関市の計5市2町に接している。隣り合うのは石巻市、栗原市、大崎市、気仙沼市、遠田郡涌谷町、本吉郡南三陸町と、県境を越えた一関市である。
  • 総面積は536.09km²。宮城県全体の7,282km²のおよそ7.4%にあたり、県内14市のなかでは5番目に広い。
  • 人口は70,486人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で、こちらも県内14市で5番目。面積の並びと人口の並びがちょうど重なっている。
  • 人口密度は131人/km²。宮城県全体の平均およそ306人/km²と比べると4割ほどの水準で、県内14市では低いほうから3番目にあたる。
  • 海に面していない内陸の市でありながら、接する相手には沿岸の石巻市・気仙沼市・南三陸町が含まれる。内陸と沿岸が入れ替わる境目に置かれた市である。
  • 市役所は迫町佐沼にあり、市の花は、市の木は杉と定められている。
  • 市は本庁と総合支所による組織体制をとっている。職員の勤務場所は令和8年度の実施要項で「本庁、総合支所、その他市施設」と示され、採用試験の合格発表も各総合支所前の掲示場と市公式ホームページで行われる。
  • 職員採用試験を所管するのは人事委員会ではなく市の総務部人事課。令和8年度の上級は【行政】と【保健師、建築、土木】の2種類の実施要項に分かれて公表されている。
  • 登米市は消防職員の採用も市の採用試験として実施している。ただし市役所の行政職とは別の区分で募集され、試験の構成も異なる場合があるため、消防を志望する場合は自分の区分の実施要項を読む必要がある。

登米市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「登米市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、隣接する自治体など、登米市の位置づけを説明できる項目を整理しました。登米市単独の経済統計は公表資料の範囲が限られるため、比較の物差しとして宮城県全体の数値もあわせて示します。

項目内容
総人口70,486人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積536.09km²(宮城県のおよそ7.4%。県内14市で5番目)
人口密度131人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市役所所在地登米市迫町佐沼字中江二丁目6番地1
隣接自治体石巻市、栗原市、大崎市、気仙沼市、遠田郡涌谷町、本吉郡南三陸町、岩手県一関市(5市2町)
市の花・市の木桜/杉
(参考)宮城県の総人口2,227,240人(令和7年10月1日現在)
(参考)宮城県の総面積7,282km²
(参考)宮城県の高齢化率29.7%(令和7年3月31日現在・前年から0.2ポイント上昇)

登米市の面積・所在地・隣接自治体・市の花・市の木は、自治体の公表値による数値で、登米市公式の推計人口との照合は済んでいません。実際の受験や提出書類で数値を用いる際は、市公式サイトの最新値をご確認ください。宮城県の総人口は令和7年国勢調査人口速報集計、総面積は宮城県公式サイトのプロフィール、高齢化率は宮城県「高齢者人口」(令和7年3月31日現在)による数値です。県の平均人口密度、県に占める面積の比率、県内14市での順位は、これらの公表値から当研究会が算出しました。市と県で数値の時点が異なるため、おおよその水準感として捉えてください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

登米市の輪郭は、二つの順位を並べると見えてきます。県内14市のなかで、面積は5番目、人口も5番目。

ところが人口密度131人/km²は低いほうから3番目です。県内では中位の規模を持ちながら、人の広がり方はまばらな側に寄っているのが登米市だといえます。

宮城県全体の総人口2,227,240人と総面積7,282km²から計算すると県平均はおよそ306人/km²ですから、県の平均の4割ほどの密度で市政が営まれている計算になります。(出典:令和7年国勢調査人口速報集計結果|宮城県宮城県のプロフィール(位置・気候)

隣り合う市と並べると、位置づけはもう少しはっきりします。沿岸側の石巻市は235人/km²、気仙沼市は166人/km²、内陸側の大崎市は151人/km²、栗原市は73.5人/km²、県境を越えた一関市は82.3人/km²です。

登米市の131人/km²は、沿岸の市と内陸の市のちょうど間に位置します。同じ県北でも条件は一様ではなく、登米市は両方の性格を少しずつ帯びた場所にある、と押さえておくと話に幅が出ます。

もう一つの前提が、県全体の人口の動きです。令和7年国勢調査の速報値で宮城県の総人口は2,227,240人となり、令和2年の調査から74,756人減(増減率は3.25%の減少)でした。

高齢化率は令和7年3月31日現在で29.7%、65歳以上の人口は658,415人で、前年から0.2ポイント上がっています。人が減り、そのなかで高齢の方の割合が増えるという二つの変化が同時に進んでいるわけです。

面接で市の現在地を語るなら、こんな言い方が考えられます。

「登米市は500平方キロメートルを超える広さに7万人ほどが暮らすまちで、1平方キロメートルあたりだと130人くらいだと知りました。宮城県の平均のだいたい4割ですので、市役所や施設まで距離のある方が多いのではと感じています。本庁と総合支所がある市ですから、その距離をどう縮めるかが仕事の中心になるのではと考えています」

登米市の経済・産業

宮城県の経済規模と登米市の位置

登米市単独の市民経済計算は公表資料の範囲が限られるため、ここでは登米市が属する宮城県全体の姿を土台に、地域経済を整理します。

  • 宮城県の県内総生産は名目10兆509億円(令和5年度・対前年度比5.0%増)、実質9兆6,585億円(同1.7%増)。
  • 県民所得は6兆9,149億円(令和5年度・対前年度比6.1%増)、一人当たり県民所得は305万4千円(同6.9%増)(出典:宮城県民経済計算|令和5年度
  • 県の総人口は2,227,240人(令和7年10月1日現在)、総面積は7,282km²。

ここで気をつけたいのは、これらがすべて県の数字だということです。登米市について語れる経済統計は限られており、県の総生産や県民所得をそのまま持ち出しても、面接では「県の話」で終わってしまいます。

県の数字は背景として一度置き、市の公式サイトで確かめた具体的な取組を一つ手元に持つほうが、面接では効きます。県全体の規模を知る意味は、自分が働く場所がどれくらいの経済の中に置かれているかを見積もるためだと考えてください。

製造業の事業所と雇用

産業の姿をもう少し具体的にみると、宮城県の工業(確報)では、製造品出荷額等が4兆3,580億円(令和2年・前年比3.9%減)、事業所数が2,593、従業者数が111,794人でした(いずれも従業者4人以上の事業所)。県内の製造業がおよそ11万人の働く場を抱えているということです(出典:宮城県の工業(確報)|令和2年

人口密度が県平均の4割ほどという市では、働く場が市内にあるかどうかが、住み続けられるかどうかを左右します。登米市は県内の6市町とも岩手県一関市とも地続きですから、市外へ働きに出るという選択も現実にあります。

産業や雇用に触れるつもりなら、県全体の数字を覚え込むよりも、登米市の公式サイトで市内の事業所や商工の取組を一つ確かめておくほうが、面接では手応えのある材料になります。

観光と交流人口

宮城県は東が太平洋に面し、西には蔵王、船形、栗駒といった山々が連なり、中央部に仙台平野が広がる地勢です。登米市はこのうち県北の内陸側にあり、南三陸町や気仙沼市を通じて海側とつながっています。

人を呼び込むという話題では、この結び目のような立地をどう読むかが出発点になります

県内の観光は伸びています。令和5年の宮城県内の観光客入込数は6,824万人で、前年から1,100万人・19.2%の増加となりました。

新型コロナウイルスの感染拡大前にあたる令和元年の6,796万人を上回り、過去最高です。宿泊観光客数も943万人泊(前年比21.2%増)でした。

ただし、同じ令和5年の統計で入込数の多い行事を並べると、上位は仙台七夕まつりの約227万人、SENDAI光のページェントの約200万人、全国都市緑化仙台フェアの約116万人と、いずれも仙台市内で開かれたものです。県全体では過去最高でも、大きな集客は県都に集まっているという構図が読み取れます。

登米市で交流人口を語るなら、この構図を前提に、県北を通り抜ける人の流れをどうやって市内で止めるか、というところまで踏み込みたいところです(出典:宮城県観光統計概要|令和5年

登米市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえると、登米市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

人口が減りながら高齢化が進む県のなかで

宮城県の人口は2003年の237万1,683人をピークに減少局面へ入っており、登米市の市政もその流れの中に置かれています。令和7年国勢調査の速報値は2,227,240人で、令和2年比では3.25%の減少でした。

出生数の減少と死亡数の増加により平成17年(2005年)に自然減へ転じ、社会増減も東日本大震災に伴う復興需要の時期を除けば2000年以降は転出超過が続いています(出典:宮城県人口ビジョン関連資料

県の人口ビジョンのケーススタディでは、2060年の県人口を157.2万人と試算しています。令和7年の速報値と比べると、3割近くが減る計算になります。

人が減りながら高齢の方の割合が増える局面では、必要とされる行政サービスの量と、それを支える職員や財源の見通しが、逆の方向へ動きはじめます。登米市で仕事を語るなら、増やす話だけでなく、限られた人手をどこに厚く置くかという判断まで視野に入れておきたいところです

広い市域と、分散した拠点をどう回すか

登米市は本庁と総合支所による組織体制をとっており、令和8年度の実施要項でも、採用された職員の勤務場所は「本庁、総合支所、その他市施設」と示されています。合格発表が市公式ホームページと各総合支所前の掲示場で行われることからも、支所が市民との接点として現に機能していることがうかがえます。

本庁と総合支所に分かれた体制は、536.09km²という市域のどこにいる市民にも窓口を残すための仕組みだと読めます。ただし拠点が分かれるということは、同じ判断を複数の場所でそろえる必要があるということでもあります。

窓口ごとに説明が違えば、市民は振り回されます。登米市の仕事を語るときは、「何をやりたいか」に加えて、「それを市内のどこでも同じ品質で届けるにはどうするか」という視点を一つ足しておくと、話が具体的になります

仙台への集中と、県内の地域差

県自身が課題として挙げているのが、県内の地域間の差です。県の将来人口見通しに関する資料は、仙台都市圏の人口が東日本大震災の後も増え続けている一方、それ以外の圏域は一貫して減少していると整理しています。

とくに沿岸部で人口減少が進んでいるという認識も示されています。

登米市は仙台都市圏の外側にあり、しかも減少が進む沿岸部の市町と直接接しています。県北の内陸という位置は、県都から遠いという不利にも、周辺と行き来しやすい結び目という強みにも読めます。

面接で「市の課題」を語るなら、一極集中という言葉を借りて終えるのではなく、それが登米市の暮らしのどこに表れるのかまで、自分の見立てを用意しておきましょう

地震・津波災害への備え

宮城県が令和5年度に取りまとめた第五次地震被害想定調査では、東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0・最大津波高約22メートル)による県内死者数を約5,500人と想定しています。内訳は津波によるものが約5,300人、揺れによるものが約90人、火災によるものが約140人です。

切迫性が高いとされる海溝型地震では、内閣府による日本海溝モデル(マグニチュード9.1・最大津波高約16メートル)が県内死者数約8,500人、千島海溝モデル(マグニチュード9.3)が約5,200人と見込まれています。

内陸の登米市にとって、より身近な想定は内陸型の地震です。最大震度7を予測する地震として、スラブ内地震(マグニチュード7.5)で県内死者数約750人、長町‐利府線断層帯地震(マグニチュード7.5)で約1,100人が想定されています(出典:宮城県第五次地震被害想定調査(概要)|令和5年度

これらはいずれも宮城県全体の想定値であって、登米市単独の被害想定ではありません。ただ、津波の被害が想定される石巻市・気仙沼市・南三陸町と地続きであるという位置は、登米市の防災を考えるうえで無視できない条件です。

防災に触れるときは、想定の規模に軽く触れたうえで、536.09km²の市域で被害を把握し避難所を回す市職員の現場へ話を進めると、地に足のついた説明になります

登米市の重点政策|本庁・総合支所体制と県の方針

登米市の総合計画や重点施策の名称は、市の公式サイトの市政情報のページで最新のものを確かめられます。本記事では、市が採用の実施要項で公表している組織と職務の姿と、登米市が属する宮城県の背景を組み合わせて、市政を理解する土台をつくります。

実施要項から読める「登米市職員の仕事」

登米市の令和8年度実施要項は、上級・行政の職務内容を「行政事務に従事しますが、税務、用地交渉、施設管理等の業務にも従事します。」と説明しています。わざわざ税務と用地交渉と施設管理を名指ししているところに、この市の職員像がにじんでいます

いずれも、決められた手続を流すだけでは終わらず、相手の事情に踏み込んで話をまとめる場面を含む仕事です(出典:登米市職員採用試験実施要項【行政】|令和8年度

勤務場所が「本庁、総合支所、その他市施設」と幅を持って示されている点も、あわせて読んでおきたいところです。人口70,486人の市で、限られた人数が広い市域を担う以上、一人が受け持つ業務の幅は広くなりやすく、配属先も本庁だけとは限りません。

志望動機を「この分野だけをやりたい」という形で組み立ててしまうと、この記述と噛み合わなくなります

県の方針を登米市の現場でどう受け止めるか

県の統計や計画が示すのは、宮城県全体としてどちらへ向かうかという方向です。その方向を、佐沼の本庁や各総合支所の窓口に持ち込まれる一つひとつの相談や申請という形で受け止めるのが、市職員の仕事になります。

県と市は上下の関係ではなく、市民との距離が違うという理解を持っておくと、志望理由の説明に芯が通ります

県の資料に目を通す意味も、暗記のためではありません。登米市の仕事がどんな流れの中に置かれているかをつかみ、自分が携わりたい分野について「なぜ今それが必要なのか」を説明できるようにするためです。

人口の見通し、産業の規模、災害の想定。この3つを県の資料で押さえておけば、市の話をするときの土台になります

POINT|市の計画名を言えなくても、面接の準備はできる

計画の名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①登米市の面積と人口密度、そして本庁と総合支所という体制を知る → ②その条件のもとで自分が携わりたい仕事を考える → ③市の公式サイトや広報紙で、実際に行われている取組を確かめる → ④自分の経験や強みをどう生かせるかを言葉にする、という順で準備しましょう。

悪い例「登米市の地域活性化に貢献したいです」

改善例「まずは窓口の仕事を一つずつ覚えるところから始めたいです。その上で、登米市は500平方キロメートルを超える広さがあって、本庁と総合支所に分かれていると聞きましたので、どこの窓口に来た方にも同じ説明が届くように、先輩に教わりながら工夫していきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 登米市職員採用試験の実施要項(自分が受ける区分・年度のもの。上級は【行政】と【保健師、建築、土木】で別冊)
  • 登米市の職員採用ページと、市の採用情報サイト(電子申請と受験票の交付に使われます)
  • 「過去3年間の採用試験状況」(区分ごとの申込者数・受験者数・合格者数が市公式サイトで公表されています)
  • 登米市公式サイトの市政情報・広報紙・各種計画のページ

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、登米市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。登米市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

登米市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

登米市役所の面接の概要

ここからは、登米市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

登米市役所の試験の流れ(上級・行政)

令和8年度の登米市職員採用試験【行政】(上級・大学卒業程度)は、実施要項に「試験は、第1次試験、第2次試験とし、第2次試験は第1次試験の合格者に対して行います。」と規定された2段階の試験です。特徴が出ているのは得点の使い方で、第1次の合否は教養試験の結果だけで決まり、最終の合否は作文試験と人物試験の合計得点で決まります

作文試験は第1次試験の日に実施されますが、採点されるのは第1次を通過した人の分だけです。

項目内容(令和8年度・上級/大学卒業程度・行政)
試験の段階第1次試験・第2次試験の2段階。第2次は第1次の合格者に対して実施されます
採用予定人員15名程度(現時点での予定であり今後変更になることがある旨の注記があります)
第1次試験の種目教養試験(2時間)、性格特性検査(20分)、作文試験(1時間)の3種目
教養試験の内容社会・人文・自然に関する一般知識と、文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈に関する大学卒業程度の一般知能について、択一式(マークシート方式)で実施されます
作文試験の内容文章による表現力、内容構成等の能力についての筆記試験。第1次試験時に実施し、評価は第2次試験で行われます
第1次試験の合否教養試験の結果のみで決定されます
第2次試験の種目人物試験と資格調査の2種目。人物試験は「個別面接により主として人物について試験を行います。」と規定されています
第2次試験の合否作文試験と人物試験の合計得点、および資格調査の結果によって決定されます
配点各種目の配点・満点、人物試験の比重は、いずれも実施要項に記載がありません
面接の形式個別面接。面接の回数、面接官の人数、集団討論やグループワークの有無は、実施要項に記載がありません
提出書類申込は市の採用情報サイトからの電子申請が原則で、受験票も同サイトで交付されます。面接カードにあたる様式の記載はありません
受験資格(生年)平成3年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた人、または平成17年4月2日以降生まれで大学(短期大学を除く)を卒業した人・卒業見込みの人
合格発表各総合支所前の掲示場と市公式ホームページに受験番号を掲示するほか、合格者へ通知されます
採用の仕組み最終合格者は採用候補者名簿に登録され、そのなかから採用者が決定されます。実施要項は「最終合格者全員が採用されるとは限りません。」と明記しています
(参考)初任給給料月額232,000円(大学新卒者の場合・令和8年4月1日現在)。ほかに扶養手当、住居手当、通勤手当、期末手当、勤勉手当等が支給要件に応じて支給されます

上記は登米市の令和8年度職員採用試験【行政】(上級・大学卒業程度)の実施要項にもとづく内容です(出典:登米市職員採用試験実施要項【行政】|令和8年度)。上級の保健師・建築・土木は別冊の実施要項で実施され、中級・初級および追加募集も別の案内で行われるため、種目構成が異なる可能性があります。実施要項のPDFは年度ごとにURLが変わり、過年度のページが検索結果に残ることもありますので、必ず本文の年度表記を確かめてください。試験の構成・区分・日程等は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の受験案内でご自身の受験する区分の情報をご確認ください。

過去の実施状況から読める競争の水準

登米市は「過去3年間の採用試験状況」を市公式サイトで公表しています(医療局を除く数値)。令和7年度の上級・行政は、採用予定人員15名に対して申込者25人。

第1次試験の受験者20人のうち15人が合格し、第2次試験は受験者15人のうち13人、第3次試験は受験者13人のうち11人が合格して、最終合格者は11人でした。受験者数を基準にすると最終倍率はおよそ1.8倍という計算になります(出典:過去3年間の採用試験状況(医療局を除く)|登米市

ここで一つ注意が必要です。令和7年度の実績には第3次試験までの記載がありますが、令和8年度の実施要項が定めているのは第1次・第2次の2段階です。

年度によって試験の段階が変わっているため、過年度の3段階の話を令和8年度の説明に持ち込まないようにしてください。倍率の感覚をつかむ材料として使い、段階の構成は自分が受ける年度の実施要項で読み直す、という使い分けが安全です。

なお、令和7年度の全区分合計(医療局を除く)では、採用予定人員84人に対して申込者109人、最終合格者37人でした。初級・行政は採用予定25名に対して申込者26人、最終合格者8人で、別に追加募集も行われています。

市全体として採用の枠が小さくないこと、そして区分によって競争の様子がかなり違うことは、頭に入れておいてよいでしょう。

登米市役所が求める人物像

登米市の令和8年度実施要項および市公式サイトの職員採用ページに、「求める人物像」にあたる公表文言を、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。公表されたものがない以上、評価されやすい資質は、市が示している事実から読み解くことになります。

手がかりは3つあります。職務内容として税務、用地交渉、施設管理が名指しされていること。

勤務場所が本庁と総合支所とその他市施設にまたがること。そして第2次の合否が作文試験と人物試験の合計で決まること。

これらを重ねると、「相手の事情に踏み込んで話をまとめる力」「配属が変わっても働ける幅の広さ」「書く形と話す形の両方で考えを示せること」のあたりが評価の中心になると考えられます。自己PRでは、こうした資質を名乗るだけで終わらせず、その力を使って何を行い、周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。登米市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はここまで、どのくらい時間がかかりましたか身構えていない問いに自然に応じられるか。声の大きさや表情の落ち着き
② 動機・志望民間企業ではなく市役所を選んだ理由を聞かせてください比べたうえでの選択になっているか。動機が自分の経験と地続きか
③ 自己理解周囲から指摘されて、直そうとしていることはありますか自分を外から見られているか。弱さを認めたうえで、どう付き合っているかまで話せるか
④ 経験・行動思うように進まなかった場面を一つ挙げて、そのとき何をしたか教えてください出来事の大きさではなく、その場で何を考え、どこから手を付けたか
⑤ 学業・経歴専攻やゼミで扱ったテーマを、専門外の人にも分かるように説明してください難しい内容を相手に合わせて言い換えられるか。学びを仕事へつなぐ視点
⑥ 適性・将来採用後、どの分野の仕事に関わりたいですか市の仕事の広がりをどこまで見込んでいるか。希望が通らない場合の構え方
⑦ 公共性・社会性最近、気にとまった出来事を一つ挙げてください社会の動きへの関心と、自分の受け止めを短く言えるか

ただし、この7カテゴリーは登米市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「登米市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「登米市役所ならでは」の質問

「なぜ宮城県庁ではなく、登米市役所なのですか」
「登米市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも登米市の現状を知らなければ、その場で組み立てるのは難しい質問です。裏を返せば、用意してきた材料の差が、そのまま答えの厚みの差として面接官に伝わる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「登米市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい登米市の事実答え方のヒント
市の規模と密度人口70,486人・面積536.09km²・人口密度131人/km²。県内14市で人口も面積も5番目だが、密度は低いほうから3番目「中くらいの規模なのに人はまばら」という組み合わせが登米市の輪郭です。規模の話で止めず、それが窓口までの距離という市民の負担に変わるところまで運びます
なぜ県庁ではなく市役所か宮城県全体では7,282km²に2,227,240人が暮らす。登米市が占めるのは面積で約7.4%。実施要項は市職員の仕事を「行政事務に従事しますが、税務、用地交渉、施設管理等の業務にも従事します。」と説明税務や用地交渉という具体名を挙げられると強いです。市民一人ひとりの事情に直接触れる仕事を選ぶ理由へつなげます
本庁と総合支所という体制職員の勤務場所は「本庁、総合支所、その他市施設」。採用試験の合格発表も各総合支所前の掲示場で行われる支所があること自体を「市民との接点を残す仕組み」として捉え、配属がどこでも働ける構えを示す材料に使います
隣接する自治体との関係石巻市、栗原市、大崎市、気仙沼市、遠田郡涌谷町、本吉郡南三陸町、岩手県一関市の5市2町に接する。内陸市でありながら沿岸の3市町と地続き県境と海側の両方に接する位置を、暮らしの行き来という視点で読みます。通勤や買い物の動きは市境で止まらないという前提で話します
人口の見通し県人口は2003年の237万1,683人がピーク。令和7年国勢調査速報は2,227,240人(令和2年比3.25%減)、人口ビジョンのケース1では2060年に157.2万人と試算県の数字を借りたまま終えず、人口密度131人/km²の登米市でその減少がどう表れるかまで、自分の見立てを添えます
防災県の第五次地震被害想定では、東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0)で県内死者数約5,500人、うち津波によるものが約5,300人。内陸型のスラブ内地震(マグニチュード7.5)では約750人県全体の想定値だと断ったうえで、沿岸の市町と地続きの内陸市という登米市の位置から、支える側に回る場面まで触れます
試験の性格令和8年度の上級・行政は2段階。第1次の合否は教養試験のみで決まり、作文試験は第1次で実施して第2次で評価。第2次は作文と人物試験の合計得点で合否が決まる作文と面接が同じ第2次で合算されます。作文で書いた要旨を控えておき、面接で話す中身と食い違わないようにしておきます

使い方のコツは、7つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、先ほど整理した「登米市で評価されやすい資質」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
相手の事情に踏み込んで話をまとめる力意見の合わない相手とどう関わったか。引き下がらずに続けた場面があるか実施要項が名指しする税務や用地交渉は、相手の生活や財産に関わる交渉を含みます。断られた、揉めた、それでも話を続けたという場面を一つ掘り下げておく
配属が変わっても働ける幅の広さ総合支所を置いて市民との接点を残す体制のもとで、拠点や担当が変わっても同じ働き方ができるか。市域536.09km²のどこに配属されても、そこで最初に何を覚えるかを語れるか勤務場所は「本庁、総合支所、その他市施設」と示されています。希望どおりの部署でなくても力を出せる根拠になる経験を用意しておく
書く形と話す形の両方で示す力第2次は作文試験と人物試験の合計得点で評価されます。同じ考えを、書いても話しても伝えられるか志望理由を1時間の作文で書ける分量まで文章にしてから、声に出して読む。書いた要旨と話す中身がそろっているか、自分で読み比べておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。登米市の人物試験は個別面接ですから、一人の受験者に時間をかけて掘り下げる形になります。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受ける区分の最新の実施要項を読み、試験の段階と種目、そして市の採用情報サイトからの電子申請という申込方法を確認する(上級は【行政】と【保健師、建築、土木】で別冊です)
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業・部活動・アルバイト・地域での活動から、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、面積536.09km²・人口70,486人・人口密度131人/km²という登米市の輪郭と、本庁と総合支所という体制を、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 作文試験で書きそうな内容と面接で話す内容をそろえたうえで、声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、登米市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

登米市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

登米市役所の想定問答集を見る

さいごに

登米市の上級・行政は、第1次が教養試験と性格特性検査と作文試験、第2次が個別面接と資格調査という2段階の試験です。第1次の合否は教養試験の結果だけで決まりますが、最終の合否は作文試験と人物試験の合計得点で決まります。

筆記で先へ進む力と、書いて話す力とが、別々の場面で問われる設計になっているわけです。令和7年度の上級・行政は申込者25人に対し最終合格者11人でしたが、最終合格者は採用候補者名簿に登録される仕組みで、実施要項は全員が採用されるとは限らないと明記しています

本庁と総合支所に分かれた536.09km²の市域で、自分はどの窓口に立って、誰の話を聞きたいのか。そこがはっきりするほど、作文の一枚と面接の受け答えは同じ方向を向きはじめます