本記事では、栗原市職員採用試験の面接対策で必要な、栗原市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
栗原市役所の面接試験では、「なぜ栗原市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。令和8年度の初級試験は、第1次が基礎能力検査と性格検査、第2次が作文試験と人物試験という組み立てですから、筆記の勉強と並行して、人物面の準備にも早めに手をつけておきたいところです。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と栗原市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
栗原市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは栗原市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 宮城県の内陸側に位置し、秋田県と岩手県の2県に県境を接する市である。隣接するのは大崎市、登米市、秋田県湯沢市、同雄勝郡東成瀬村、岩手県一関市の5市町村。
- 総面積は805.00km²で、宮城県内の14市のなかで最も広い市域。県庁所在地である仙台市の786.38km²をも上回る。
- 人口は59,147人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。仙台市より広い市域に、仙台市のおよそ19分の1の人が暮らしている計算になる。
- 人口密度は73.5人/km²。宮城県全体の平均およそ306人/km²と比べて4分の1ほどという低密度の自治体である。
- 隣り合う登米市(131人/km²)や大崎市(151人/km²)と並べても密度は低い。県境を挟んで接する秋田県湯沢市は48.8人/km²、岩手県一関市は82.3人/km²で、広くて人口密度の低い自治体が県境沿いに連なる位置関係にある。
- 市役所は栗原市築館薬師一丁目7番1号に置かれ、市の花はニッコウキスゲ、市の木はヤマボウシと定められている。
- 職員採用試験は【上級・中級】【初級】【社会人経験者】の3系統に分けて実施され、系統ごとに別の受験案内・別の日程で行われる。
- 令和8年度の初級(高校卒業程度)は、行政15人程度、行政(障害者)数人程度、土木数人程度、消防数人程度を募集。栗原市は市が消防本部を設置しているため、消防職も同じ初級の受験案内に含まれる。
栗原市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「栗原市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、隣接する自治体など、栗原市の位置づけを説明できる項目を整理しました。栗原市単独の経済統計は公表資料の範囲が限られるため、比較の物差しとして宮城県全体の数値もあわせて示します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 59,147人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 805.00km²(宮城県のおよそ11%。県内14市で最大) |
| 人口密度 | 73.5人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 市役所所在地 | 栗原市築館薬師一丁目7番1号 |
| 隣接自治体 | 大崎市、登米市、秋田県湯沢市、同雄勝郡東成瀬村、岩手県一関市(2県5市町村) |
| 市の花・市の木 | ニッコウキスゲ/ヤマボウシ |
| (参考)宮城県の総人口 | 2,227,240人(令和7年10月1日現在) |
| (参考)宮城県の総面積 | 7,282km² |
| (参考)宮城県の高齢化率 | 29.7%(令和7年3月31日現在・前年から0.2ポイント上昇) |
栗原市の面積・所在地・隣接自治体・市の花・市の木は、自治体の公表値による数値で、栗原市公式の推計人口との照合は済んでいません。実際の受験や提出書類で数値を用いる際は、市公式サイトの最新値をご確認ください。宮城県の総人口は令和7年国勢調査人口速報集計、総面積は宮城県公式サイトのプロフィール、高齢化率は宮城県「高齢者人口」(令和7年3月31日現在)による数値です。県の平均人口密度、県に占める面積・人口の比率、県内14市での面積順位は、これらの公表値から当研究会が算出しました。市と県で数値の時点が異なるため、おおよその水準感として捉えてください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
最初に目を引くのは、面積と人口の関係です。805.00km²という市域に59,147人が暮らし、人口密度は73.5人/km²になります。
宮城県全体の総人口2,227,240人と総面積7,282km²から計算すると県平均はおよそ306人/km²ですから、栗原市の市政は、広い市域に少ない人が散らばって暮らすという条件の上に成り立っています。(出典:令和7年国勢調査人口速報集計結果|宮城県/宮城県のプロフィール(位置・気候))
この条件は、行政の日常を左右します。市役所や施設まで距離のある市民がいるということは、同じ案内を届けるにも移動の時間がかかるということです。
道路や水道といった設備は面積に応じて延びる一方、それを支える人口は増えません。どこに何を置き、どこまで人が出向くかという判断が、市政の中心に入り込んできます。
もう一つの前提が、県全体の人口の動きです。令和7年国勢調査の速報値では宮城県の総人口は2,227,240人で、令和2年の調査から74,756人減(増減率は3.25%の減少)となりました。
県人口は2003年の推計人口237万1,683人をピークに減少局面へ入っています。高齢化率も令和7年3月31日現在で29.7%と、前年から0.2ポイント上がりました。
広さと人数の関係を、面接ではたとえば次のように言葉にできます。
栗原市の経済・産業
宮城県の経済規模と栗原市の位置
栗原市単独の市民経済計算は公表資料の範囲が限られるため、ここでは栗原市が属する宮城県全体の姿を土台に、地域経済を整理します。
- 宮城県の県内総生産は名目10兆509億円(令和5年度・対前年度比5.0%増)、実質9兆6,585億円(同1.7%増)。
- 県民所得は6兆9,149億円(令和5年度・対前年度比6.1%増)、一人当たり県民所得は305万4千円(同6.9%増)(出典:宮城県民経済計算|令和5年度)。
- 県の総人口は2,227,240人(令和7年10月1日現在)、総面積は7,282km²。
ここから栗原市の位置づけが見えてきます。県の面積のおよそ11%を占めながら、そこに暮らすのは県人口の2.6%ほどという関係です(比率は市と県の公表値から当研究会が算出。両者の時点は異なります)。
県の平均とは違うまばらさで人と暮らしが広がっている場所で市政が営まれている、と押さえておくと、経済や雇用の話題にも自分の視点を乗せやすくなります。
製造業の事業所と雇用
産業の姿をもう少し具体的にみると、宮城県の工業(確報)では、製造品出荷額等が4兆3,580億円(令和2年・前年比3.9%減)、事業所数が2,593、従業者数が111,794人でした(いずれも従業者4人以上の事業所)。県内の製造業がおよそ11万人の働く場を抱えているということです(出典:宮城県の工業(確報)|令和2年)。
人口密度が県平均の4分の1という市では、働く場が市内にあるかどうかが、そのまま住み続けられるかどうかに直結します。産業振興や企業誘致に触れるつもりなら、県全体の数字を覚えるよりも、栗原市の公式サイト(www.kuriharacity.jp)で市内の事業所や商工の取り組みを一つ確かめておくほうが、面接では手応えのある材料になります。
観光と交流人口
宮城県は東が太平洋に面し、西には蔵王、船形、栗駒といった山々が連なり、中央部に仙台平野が広がる地勢です。栗原市はこのうち県境側にあり、秋田県湯沢市・東成瀬村、岩手県一関市と接しています。
人を呼び込むという話題では、この立地をどう読むかが出発点になります。
県内の観光は伸びています。令和5年の宮城県内の観光客入込数は6,824万人で、前年から1,100万人・19.2%の増加となりました。
新型コロナウイルスの感染拡大前にあたる令和元年の6,796万人を上回り、過去最高です。宿泊観光客数も943万人泊(前年比21.2%増)でした。
ただし、同じ令和5年の統計で入込数の多い行事を並べると、上位は仙台七夕まつりの約227万人、SENDAI光のページェントの約200万人、全国都市緑化仙台フェアの約116万人と、いずれも仙台市内で開かれたものです。県全体の観光は過去最高でも、大きな集客は県都に寄っているという構図が読み取れます。
栗原市で交流人口を語るなら、この構図を前提に、県境をまたいで人が行き来する立地をどう使うかまで踏み込みたいところです(出典:宮城県観光統計概要|令和5年)。
栗原市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、栗原市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
広い市域に少ない人が暮らすという条件
805.00km²という面積は、宮城県全体の7,282km²のおよそ11%にあたります。県内14市のなかで最も広く、仙台市の786.38km²を上回る市域です。
ところが、そこに暮らすのは59,147人で、県人口の2.6%ほどにとどまります。
この差は、行政の費用と手間の話に直結します。距離そのものが行政のコストになるということです。
窓口や施設をどこに置いても遠い市民が生まれ、巡回や訪問には時間がかかり、維持しなければならない設備の総量は面積に応じて増えます。栗原市で仕事を語るときは、「何をやりたいか」だけでなく、「その仕事を市内のどこまで、どうやって届けるか」という視点をひとつ足しておくと、話が具体的になります。
人口減少と高齢化が同時に進む県で
宮城県の人口は2003年の237万1,683人をピークに減少へ転じ、令和7年国勢調査の速報値は2,227,240人(令和2年比3.25%減)となりました。出生数の減少と死亡数の増加により平成17年(2005年)に自然減へ、社会増減も東日本大震災に伴う復興需要の時期を除けば2000年以降は転出超過へ転換しています。
県の人口ビジョンのケーススタディでは、2060年の県人口を157.2万人と試算しています(出典:宮城県人口ビジョン関連資料)。
高齢化率は令和7年3月31日現在で29.7%、65歳以上の人口は658,415人で、前年から0.2ポイント上がりました。人が減りながら高齢の方の割合が増える局面では、必要な行政サービスの量と、それを支える職員や財源の見通しが逆の方向に動きます。
人口密度73.5人/km²の市では、この差が「移動の負担」という形で市民の側にも表れてきます。
仙台への集中と県内の地域差
県自身が課題として挙げているのが、県内の地域間の差です。県の将来人口見通しに関する資料は、仙台都市圏の人口が東日本大震災の後も増え続けている一方、それ以外の圏域は一貫して減少していると整理しています。
とくに沿岸部で人口減少が進んでいるという認識も示されています。
栗原市は仙台都市圏の外側にあり、県境をまたいで秋田県・岩手県と接する位置にあります。同じ県内でも、県都からの距離によって置かれた条件は変わります。
面接で「市の課題」を語るなら、一極集中という言葉を借りて終えるのではなく、それが栗原市の暮らしのどこに表れるのかまで、自分の見立てを用意しておきましょう。
地震災害への備え
宮城県が令和5年度に取りまとめた第五次地震被害想定調査では、東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0・最大津波高約22メートル)による県内死者数を約5,500人と想定しています。内訳は津波によるものが約5,300人、揺れによるものが約90人、火災によるものが約140人です。
切迫性が高いとされる海溝型地震では、内閣府による日本海溝モデル(マグニチュード9.1)が県内死者数約8,500人と見込まれています。
秋田県・岩手県と県境を接する内陸側という位置を踏まえると、栗原市にとってより身近なのは内陸型の地震の想定です。最大震度7を予測する地震として、スラブ内地震(マグニチュード7.5)で県内死者数約750人、長町‐利府線断層帯地震(マグニチュード7.5)で約1,100人が想定されています(出典:宮城県第五次地震被害想定調査(概要)|令和5年度)。
これらはいずれも宮城県全体の想定値であって、栗原市単独の被害想定ではありません。ただし、805.00km²という広さは、災害時には被害の把握や避難所の運営に時間がかかるという条件に変わります。
防災に触れるときは、想定の規模に軽く触れたうえで、広い市域を担う市職員の現場へ話を進めると、地に足のついた説明になります。
栗原市の重点政策|栗原市人材育成基本方針と県の方針
栗原市独自の総合計画や重点施策の名称は、市の公式サイト(www.kuriharacity.jp)の市政情報のページで最新のものを確かめられます。本記事では、市が人事・職員採用のページで公表している方針と、栗原市が属する宮城県の背景を組み合わせて、市政を理解する土台をつくります。
栗原市が公表している人事の方針
栗原市は、人事・職員採用のページで「栗原市人材育成基本方針」を公表しています。あわせて「栗原市障害者活躍推進計画」「第2次栗原市特定事業主行動計画」「技能労務職員の給与等の見直しに向けた取組方針」も同じページに掲載されています(参考:栗原市の人事・職員採用|令和8年度時点)。
当研究会では各方針の本文までは確認していませんので、内容は必ずご自身で読んでください。読む価値があるのは、市が自分たちの職員をどう育てようとしているかが書かれた文書だからです。
後述するとおり栗原市は「求める人物像」にあたる公表文言を出していませんが、人材育成の方針は、その代わりに使える手がかりになります。
県の方針を栗原市の現場でどう受け止めるか
県の統計や計画が示すのは、宮城県全体としてどちらへ向かうかという方向です。その方向を、築館薬師の市役所に持ち込まれる一つひとつの相談や申請という形で受け止めるのが、市職員の仕事になります。
人口59,147人、面積805.00km²という規模であれば、一人が受け持つ業務の幅は広くなりやすく、同じ市民と何度も顔を合わせる場面も出てきます。県と市は上下の関係ではなく、市民との距離が違うという理解を持っておくと、志望理由の説明に芯が通ります。
県の資料に目を通す意味も、暗記のためではなく、栗原市の仕事がどんな流れの中に置かれているかをつかむためだと考えてください。
POINT|市の計画名を言えなくても、面接の準備はできる
計画の名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①栗原市の面積と人口密度という条件を知る → ②その条件のもとで自分が携わりたい仕事を考える → ③市の公式サイトや広報紙で、実際に行われている取り組みを確かめる → ④自分の経験や強みをどう生かせるかを言葉にする、という順で準備しましょう。
悪い例「栗原市の活性化に貢献したいです」
改善例「まずは窓口の仕事を覚えるところから始めたいです。その上で、栗原市は800平方キロメートルを超える広さがあって、宮城県の市ではいちばん広いと聞きましたので、市役所まで来るのが大変な方にも同じように届く案内の仕方を、先輩に教わりながら考えていきたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 栗原市職員採用試験の受験案内(自分が受ける系統・年度のもの)
- 栗原市の人事・職員採用のページ(人材育成基本方針などの公表文書)
- 「栗原市職員採用試験実施状況」(過年度の実施結果が市公式サイトで公表されています)
- 栗原市公式サイトの市政情報・広報紙・各種計画のページ
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、栗原市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。栗原市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
栗原市役所の面接の概要
ここからは、栗原市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
栗原市役所の試験の流れ(初級)
令和8年度の栗原市職員採用試験【初級】は、第1次試験・第2次試験の2段階です。特徴が出ているのは第1次の中身で、択一式の教養試験・専門試験ではなく、基礎能力検査(SPI3)と性格検査が課される形になっています。
第2次試験は作文試験、人物試験、資格調査の3種目で、人物試験は受験案内に「個別面接により主として人物について試験を行います」と規定され、所要時間は20分程度とされています。
| 項目 | 内容(令和8年度・初級/高校卒業程度) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験・第2次試験の2段階 |
| 職種と採用予定人員 | 行政15人程度、行政(障害者)数人程度、土木数人程度、消防数人程度 |
| 第1次試験の種目 | 基礎能力検査(SPI3・70分)と性格検査(40分)。択一式の教養試験・専門試験は課されません |
| 基礎能力検査の内容 | 受験案内は「言語分野と非言語分野の2種類からコミュニケーションや思考力、新しい知識・技能の習得などのベースとなる能力を測定」と説明しています |
| 性格検査の内容 | 受験案内は「人との接し方や仕事への取り組み方、目標の持ち方などとの関係の性格特徴を測定」と説明しています |
| 第2次試験の種目 | 作文試験(60分)、人物試験(20分程度)、資格調査の3種目 |
| 面接の形式 | 人物試験は「個別面接により主として人物について試験を行います」と規定。面接の回数、面接官の人数、集団討論やグループワークの有無は受験案内に記載がありません |
| 配点 | 各種目の配点・満点、人物試験の比重はいずれも受験案内に記載がありません |
| 受験資格(生年) | 行政・土木は1997年4月2日から2009年4月1日までに、消防は2001年4月2日から2009年4月1日までに生まれた人 |
| 提出書類 | 受験申込書1部のみ。行政(障害者)区分の受験者は各種障害者手帳または知的障害者判定証明書の写しを添付します。面接カードにあたる様式の記載はありません |
| 申込方法 | 窓口持参、郵送(書留郵便を推奨)、「栗原市スマート申請システム」によるウェブサイト申込の3通り |
| 合格発表 | 市役所前の掲示板への掲示と市ウェブサイトへの掲載、および合格者への通知 |
| 試験結果の開示 | 開示請求によらず即日での提供を請求できます。不合格者は順位と得点の開示を1か月間請求できます |
上記は栗原市の令和8年度職員採用試験【初級】の受験案内にもとづく内容です(出典:栗原市職員採用試験受験案内【初級】|令和8年度)。【上級・中級】および【社会人経験者】は別の受験案内・別の日程で実施され、試験の種目や構成も異なります。試験の構成・区分・日程等は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の受験案内でご自身の受験する系統・区分の情報をご確認ください。
系統ごとに案内が分かれる点に注意
栗原市を受けるうえで最初に確かめてほしいのが、自分がどの系統の案内を見ているかです。栗原市の職員採用試験は【上級・中級】【初級】【社会人経験者】の3系統に分かれ、それぞれ別の受験案内と日程で実施されます。
本記事で整理した第1次のSPI3方式や20分程度の個別面接、作文試験は、あくまで初級(高校卒業程度)の構成です。
令和8年度の【上級・中級】の受験案内は、申込期間の終了後に公開が終了しており、当研究会では試験の種目や面接形式を確認できていません。大学卒業程度で受験する方は、初級の情報をそのまま当てはめず、自分の系統の案内で試験の段階と種目を読み直すという手順を最初に踏んでおきましょう。
もう一点、栗原市は市が消防本部を設置しており、初級の職種には消防が含まれます。本記事は市役所の行政職を中心に整理していますので、消防職を志望する場合は、同じ受験案内のなかでも自分の職種の要件を個別に確認してください。
あわせて、過年度の結果は「栗原市職員採用試験実施状況」として市公式サイトで公表されています。受験者数と合格者数の推移を見ておくと、どのくらいの競争になる試験かの感覚がつかめます。
栗原市役所が求める人物像
栗原市の令和8年度初級受験案内および人事・職員採用のページに、「求める人物像」にあたる公表文言を、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。公表されたものがない以上、評価されやすい資質は市の置かれた条件から読み解くことになります。
手がかりは3つあります。805.00km²という県内最大の市域を抱えていること。
第2次試験が作文試験と20分程度の個別面接で構成されていること。そして市が人材育成基本方針を掲げていること。
これらを重ねると、「広い市域を少ない人数で担う柔軟さ」「書く力と話す力の両方で考えを伝えられること」「地域に長く関わり続ける姿勢」のあたりが評価の中心になると考えられます。自己PRでは、こうした資質を名乗るだけで終わらせず、その力を使って何を行い、周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。栗原市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までは迷わずに来られましたか | 用意していない問いに構えずに応じられるか。声の出し方や表情の落ち着き |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく市役所を選んだ理由を聞かせてください | 比べたうえでの選択になっているか。動機が自分の経験と地続きか |
| ③ 自己理解 | 自分で直したいと思っているところはどこですか | 自分を外側から見られているか。弱さを認めたうえで、どう付き合っているかまで話せるか |
| ④ 経験・行動 | 思うように進まなかった場面を一つ挙げて、そのとき何をしたか教えてください | 出来事の大きさではなく、その場で何を考え、どこから手を付けたか |
| ⑤ 学業・経歴 | 授業や実習で学んだことのうち、仕事に生かせそうなものはありますか | 学んだ内容を仕事の場面へ翻訳できるか |
| ⑥ 適性・将来 | 採用後、どの分野の仕事に関わりたいですか | 市の仕事の広がりをどこまで見込んでいるか。希望が通らない場合の構え方 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、気にとまった出来事を一つ挙げてください | 社会の動きへの関心と、自分の受け止めを短く言えるか |
ただし、この7カテゴリーは栗原市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「栗原市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「栗原市役所ならでは」の質問
どちらも栗原市の現状を知らなければ、その場で組み立てるのは難しい質問です。裏を返せば、答えの中身の差が、そのまま準備量の差として面接官に伝わる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「栗原市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい栗原市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市域の広さ | 面積805.00km²は県内14市で最大で、県庁所在地の仙台市786.38km²を上回る。一方、人口は59,147人で仙台市のおよそ19分の1 | 「広い市です」で止めず、移動の距離や施設の置き方という形で行政の仕事に効いてくるところまで話を運びます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 宮城県全体では7,282km²の面積に2,227,240人が暮らす。栗原市が占めるのは面積で約11%、人口では約2.6%にとどまる | 県と市の守備範囲の違いを数字で示したうえで、築館の窓口で市民と直に向き合う仕事を選ぶ理由へつなげます |
| 県境という立地 | 隣接するのは大崎市、登米市と、秋田県湯沢市、同東成瀬村、岩手県一関市。2県5市町村と接する | 県境を「端」と見るか「結び目」と見るかで話の色が変わります。生活圏が県をまたぐ前提で、市の役割を語ります |
| 人口の見通し | 県人口は2003年の237万1,683人がピーク。令和7年国勢調査速報は2,227,240人(令和2年比3.25%減)、人口ビジョンのケース1では2060年に157.2万人と試算 | 県の数字を借りたまま終えず、人口密度73.5人/km²の栗原市でその減少がどう表れるかまで、自分の見立てを添えます |
| 防災 | 県の第五次地震被害想定では、最大震度7を予測する内陸型地震(いずれもマグニチュード7.5)で県内死者数を約750人から約1,100人と見込む | 県全体の想定値だと断ってから、805km²の市域では被害の把握や避難所運営に時間がかかるという現場の話へ寄せます |
| 栗原市の魅力 | 市の花はニッコウキスゲ、市の木はヤマボウシ。宮城県全体の観光客入込数は令和5年に6,824万人で過去最高だが、上位の集客行事は仙台市内に集中 | 県内の名所を並べると県の話で終わります。市が自ら選んだニッコウキスゲやヤマボウシのような、栗原市から動かない素材で組み立てます |
| 試験の性格 | 第1次は基礎能力検査(SPI3)と性格検査、第2次は作文試験・人物試験・資格調査。配点は公表されていない | 仕組みそのものを面接で語る必要はありませんが、作文で書いた考えと面接で話す内容がずれないよう、書いた要旨を控えておきます |
使い方のコツは、7つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、先ほど整理した「栗原市で評価されやすい資質」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 広い市域を少ない人数で担う柔軟さ | 役割が変わる場面での身の処し方。県内最大の805.00km²を少人数で受け持つ職場に置き換えても成り立つ話か | 初級の採用予定は行政15人程度に土木・消防を加えた規模です。分業の細かくない職場を想定し、担当外のことを引き受けて形にした場面を一つ用意しておく |
| 書く力と話す力の両方 | 第2次の作文試験(60分)と20分程度の人物試験で、同じ考えを書く形と話す形の両方で示せるか | 志望理由をいちど文章に書き起こしてから声に出す。書いた要旨と面接で話す中身がそろっているかを、自分で読み比べておく |
| 地域に長く関わり続ける姿勢 | 一度きりの関わりで終わっていないか。続けるために何を変えたか | 人口密度73.5人/km²の栗原市では、同じ市民と何度も向き合う場面が想定されます。同じ相手や同じ場所と長く付き合った経験を掘り下げておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。人物試験の時間が20分程度であっても、この掘り方は変わりません。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける系統(【上級・中級】【初級】【社会人経験者】)の最新の受験案内を読み、試験の段階・種目と、申込方法を確認する
- これまでの経験を棚卸しする。学業・部活動・アルバイト・地域での活動から、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、面積805.00km²・人口59,147人・人口密度73.5人/km²という栗原市の輪郭を、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 作文試験で書きそうな内容と面接で話す内容をそろえたうえで、声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、栗原市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
栗原市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
栗原市の初級試験は、第1次が基礎能力検査と性格検査、第2次が作文試験と20分程度の人物試験、そして資格調査という組み立てです。択一の知識量だけで差がつく設計ではない分、書いたものと話した言葉が、そのまま評価の材料になります。
県内14市でいちばん広い805.00km²の市域に59,147人が暮らすまちで、自分は何を引き受けたいのか。そこがはっきりするほど、20分の人物試験で話せることは具体的になります。
上級・中級や社会人経験者の系統は別の案内で実施されますので、まずは自分の系統の受験案内を手元に置くところから始めてください。