本記事では、東松島市職員採用試験の面接対策で必要な、東松島市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
東松島市役所の面接試験では、「なぜ東松島市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。東松島市の第1次試験に面接はなく、人物を見る種目はすべて第2次試験に置かれています。
筆記を通ったあとの短い期間で人物面を仕上げようとすると間に合いませんので、早い段階から並行して手をつけておきたいところです。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と東松島市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
東松島市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは東松島市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 宮城県の太平洋側にあり、石巻市と隣り合う人口37,332人の市である(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。
- 総面積は101.30km²。宮城県全体の7,282km²と並べると、およそ1.4%にあたる。
- 人口密度は369人/km²。県全体の平均であるおよそ306人/km²と近い水準で、県内では平均的な人の集まり方をしている。
- 陸で接するのは石巻市、宮城郡松島町、遠田郡美里町の3市町。塩竈市とは海上で隣接している。
- 市役所は矢本字上河戸36-1に置かれ、市の花はさくら、市の木は松と定められている。
- 令和8年度(令和9年4月1日採用)の採用予定は、上級の行政が3人程度、上級の保健師が1人程度、初級(土木)の土木技師が1人程度。
- 試験は全職種で第1次試験・第2次試験の2段階。第1次試験の種目は教養試験とパーソナリティ検査の2つだけで、専門試験は課されない。
- 第2次試験の種目は人物試験、作文試験、資格調査の3つ。人物試験では個別面接等を行うと受験案内に明記されている。
- これとは別に、初級・社会人経験者を対象とした募集が、別の案内・別の日程で行われている。
東松島市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「東松島市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、隣り合う自治体など、東松島市の位置づけを説明できる項目を整理しました。東松島市単独の経済統計は公表資料の範囲が限られるため、比較の物差しとして宮城県全体の数値と、隣接する石巻市の規模もあわせて示します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 37,332人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 101.30km²(宮城県のおよそ1.4%) |
| 人口密度 | 369人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 市役所所在地 | 東松島市矢本字上河戸36-1(第1次試験の会場も同じ場所) |
| 隣接自治体 | 陸で接するのは石巻市、宮城郡松島町、遠田郡美里町。塩竈市とは海上で隣接(計4市町) |
| 市の花・市の木 | さくら/松 |
| (参考)隣接する石巻市 | 人口130,134人・面積554.55km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| (参考)宮城県の総人口 | 2,227,240人(令和7年10月1日現在) |
| (参考)宮城県の総面積 | 7,282km² |
| (参考)宮城県の高齢化率 | 29.7%(令和7年3月31日現在・前年から0.2ポイント上昇) |
東松島市および石巻市の面積・所在地・隣接自治体・市の花・市の木は、自治体の公表値による数値です。宮城県の総人口は令和7年国勢調査人口速報集計、総面積は宮城県公式サイトのプロフィール、高齢化率は宮城県「高齢者人口」(令和7年3月31日現在)による数値です。県との面積比・県平均の人口密度は、これらの公表値から当研究会が算出しました。市と県で数値の時点が異なるため、おおよその水準感として捉えてください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
まず確かめておきたいのが、面積と人口のつり合いです。101.30km²の市域に37,332人が暮らし、人口密度は369人/km²になります。
宮城県全体の総人口2,227,240人と総面積7,282km²から計算すると県平均はおよそ306人/km²ですから、東松島市は、県の平均に近い密度で人が住むまちだといえます(出典:令和7年国勢調査人口速報集計結果|宮城県/宮城県のプロフィール(位置・気候))。
この「平均的な密度」は、行政の仕事のかたちを決めます。人口が一点に集中しているわけでも、極端に散らばっているわけでもない市域では、窓口一つで済ませられる仕事と、職員が出向かなければ届かない仕事の両方が生じます。
どこまでを市役所に集め、どこから先を足で回るのか。その線引きの判断が、日々の市政に入り込んできます。
もう一つの前提が、隣接する石巻市との規模差です。人口128,116人・面積554.55km²の市が隣にあり、東松島市の人口はその3割ほど、面積は2割弱にあたります。
買い物や通勤で市の外へ出ることが自然な選択肢になる立地だということです。市外へ出る流れがあることを前提に、それでも東松島市で暮らし続けてもらうために何が要るのか、という問いの立て方が要ります。
加えて、県全体の人口が動いています。令和7年国勢調査の速報値では宮城県の総人口は2,227,240人で、令和2年の調査から74,756人減(増減率は3.25%の減少)となりました。
県人口は2003年の推計人口237万1,683人をピークに減少局面へ入っています。県の縮小と市の位置づけを一続きにすると、面接での答えはこう組み立てられます。
東松島市の経済・産業
宮城県の経済規模と東松島市の位置
東松島市単独の市民経済計算は公表資料の範囲が限られるため、ここでは東松島市が属する宮城県全体の姿を土台に、地域経済を整理します。
- 宮城県の県内総生産は名目10兆509億円(令和5年度・対前年度比5.0%増)、実質9兆6,585億円(同1.7%増)。
- 県民所得は6兆9,149億円(令和5年度・対前年度比6.1%増)、一人当たり県民所得は305万4千円(同6.9%増)(出典:宮城県民経済計算|令和5年度)。
- 県の総人口は2,227,240人(令和7年10月1日現在)、総面積は7,282km²。
この県の姿に東松島市を重ねると、県面積のおよそ1.4%にあたる市域に、県人口のおよそ1.6%が暮らしているという関係になります(比率は市と県の公表値から当研究会が算出。両者の時点は異なります)。面積の割合と人口の割合がほぼそろっているという意味では、宮城県の平均像に近い場所で市政が営まれていると考えてよいでしょう。
経済や雇用の話題では、この「県の縮図に近い規模感」を出発点にすると、話を大きくしすぎずに済みます。
製造業と働く場
産業の姿をもう少し具体的にみると、宮城県の工業(確報)では、製造品出荷額等が4兆3,580億円(令和2年・前年比3.9%減)、事業所数が2,593、従業者数が111,794人でした(いずれも従業者4人以上の事業所)。県内の製造業がおよそ11万人分の働く場を抱えているということです(出典:宮城県の工業(確報)|令和2年)。
ただし、この数字は県の合計であって、東松島市の姿ではありません。人口3万人台の市では、どんな事業所が市内にあるかで雇用の景色がまるごと変わります。
産業振興や企業誘致に触れるつもりなら、県全体の数字を覚えるよりも、市の公式サイトや広報紙で東松島市の商工の取り組みを一つ確かめておくほうが、面接では確実に効きます。
海に開かれた立地と観光
宮城県は東が太平洋に面し、西には蔵王、船形、栗駒といった山々が連なり、中央部に仙台平野が広がる地勢です。東松島市はこの太平洋側にあり、塩竈市とは海上で隣り合っています。
海の側へ開かれた立地だということです。
ここで一つ、混同しやすい点に触れておきます。東松島市と、隣接する宮城郡松島町は別の自治体です。
名前が似ているため、松島の観光資源を東松島市の取り組みとして話してしまう人がいますが、それは市を調べていないことの表明になります。面接で市の話をするときは、東松島市自身が公表している情報にあたってください。
県内の観光そのものは伸びています。令和5年の宮城県内の観光客入込数は6,824万人で、前年から1,100万人・19.2%の増加となりました。
新型コロナウイルスの感染拡大前にあたる令和元年の6,796万人を上回り、過去最高です。宿泊観光客数も943万人泊(前年比21.2%増)でした。
ただし同じ令和5年の統計で入込数の多い行事を並べると、仙台七夕まつりの約227万人、SENDAI光のページェントの約200万人、全国都市緑化仙台フェアの約116万人と、上位はいずれも仙台市内で開かれたものです。県全体の数字が過去最高でも、大きな集客は県都に寄っているという構図が読み取れます。
東松島市で交流人口を語るなら、この構図の中でどう人を呼び、市内でお金を使ってもらうかというところまで踏み込みたいところです(出典:宮城県観光統計概要|令和5年)。
東松島市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、東松島市が沿岸の市として向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
人口減少と高齢化が同時に進む県で
宮城県の人口は2003年の237万1,683人をピークに減少へ転じ、令和7年国勢調査の速報値は2,227,240人(令和2年比3.25%減)となりました。出生数の減少と死亡数の増加により平成17年(2005年)に自然減へ、社会増減も東日本大震災に伴う復興需要の時期を除けば2000年以降は転出超過へ転換しています。
県の人口ビジョンのケーススタディでは、2060年の県人口を157.2万人と試算しています(出典:宮城県人口ビジョン関連資料)。
高齢化率は令和7年3月31日現在で29.7%、65歳以上の人口は658,415人で、前年から0.2ポイント上がりました。人が減りながら高齢の方の割合が増える局面では、必要とされる行政サービスの量と、それを支える職員や財源の見通しが逆の方向へ動きます。
上級の行政で3人程度という採用規模の市では、この差は数字の問題ではなく、目の前の一人の職員の手が足りるかどうかという形で表れます。
沿岸部の人口減少と仙台への集中
県自身が課題として挙げているのが、県内の地域間の差です。県の将来人口見通しに関する資料は、仙台都市圏の人口が東日本大震災の後も増え続けている一方、それ以外の圏域は一貫して減少しており、とくに沿岸部で人口減少が進んでいると整理しています。
東松島市は太平洋側の市であり、塩竈市とは海上で、石巻市とは陸で接しています。県が名指しした沿岸部という括りの中に、まさに置かれた市だということです。
面接で「市の課題」を語るなら、県の一極集中という言葉を借りて終えるのではなく、それが東松島市の暮らしのどこに顔を出すのか、自分なりの見立てまで用意しておきましょう。
海溝型地震と津波への備え
宮城県が令和5年度に取りまとめた第五次地震被害想定調査では、東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0・最大津波高約22メートル)による県内死者数を約5,500人と想定しています。その内訳は津波によるものが約5,300人、揺れによるものが約90人、火災によるものが約140人で、人的被害の大半を津波が占める想定です。
切迫性が高いとされる海溝型地震では、内閣府による日本海溝モデル(マグニチュード9.1・最大津波高約16メートル)が県内死者数約8,500人、千島海溝モデル(マグニチュード9.3・最大津波高約11メートル)が約5,200人と想定されています。
内陸で起きる最大震度7の地震(マグニチュード7.5)についても、県内死者数を約750人から約1,100人と見込んでいます(出典:宮城県第五次地震被害想定調査(概要)|令和5年度)。
これらはいずれも宮城県全体の想定値であって、東松島市単独の被害想定ではありません。ただし、海に面した市で避難を呼びかけ、避難所を回し、被災した市民の生活の立て直しに立ち会うのは市の職員です。
防災に触れるときは、想定の規模に軽く触れたうえで、平時のうちに市の職員が積み上げておける備えへ話を進めると、地に足のついた説明になります。
少ない採用枠で市政を担うということ
令和8年度の採用予定は、上級の行政が3人程度、上級の保健師が1人程度、初級の土木技師が1人程度です。しかも最終合格者は任用候補者名簿に登録され、そのうちから採用者が決まる仕組みで、受験案内は最終合格者全員が採用されるとは限らないと明記しています。
毎年まとまった人数を迎える規模ではないということです。
一人の職員が受け持つ範囲はどうしても広くなり、隣の担当の仕事が見える距離で働くことになります。志望動機で特定の分野への関心を語るのは大切ですが、そこだけを見ているように聞こえると、少人数の職場では扱いにくい人だと受け取られかねません。
関心のある分野を軸に据えつつ、任されたことを引き受ける構えも一緒に示せるよう組み立てておきましょう。
重点政策|宮城県の方針と東松島市政
東松島市の総合計画や重点施策の名称は、市の公式サイトの市政情報のページで最新のものを確かめられます。本記事では、東松島市が属する宮城県の方針を「県内の背景」として整理し、市政を理解する土台とします。
宮城県の予算と財政の枠組み
宮城県の令和7年度一般会計当初予算は10,265億円(令和6年度比27億円増、0.3%増)で、全会計の合計は15,212億円です(出典:令和7年度当初予算の規模|宮城県)。
財政の健全性を示す指標では、令和6年度普通会計決算に基づく財政力指数が0.60728、経常収支比率が95.4%(前年度から1.3ポイント改善)でした。健全化判断比率は実質公債費比率10.0%(早期健全化基準25.0%)、将来負担比率130.8%(同400%)で、いずれも国の基準を下回っています。
ただ、経常収支比率が95%台であることは、毎年決まって入る収入の大半が固定的な支出で埋まっている状態を意味します。新しく何かを始めるには何かを見直す、という判断を求められる環境が、県にも市にも続いているということです。
県内で動いている大きな取り組み
宮城県の直近の動きとしては、3GeV高輝度放射光施設NanoTerasu(ナノテラス)が仙台市青葉区の東北大学青葉山新キャンパス内に整備され、令和6年(2024年)4月に運用を開始しています。
太陽光より10億倍明るくナノメートルの水準で物質を可視化できる施設で、量子科学技術研究開発機構と、光科学イノベーションセンター・宮城県・仙台市・東北大学・東北経済連合会の官民地域パートナーシップ5者が整備しました。
交通では、仙台空港が2016年7月1日に国管理空港として初の民営化事例となっています。
これらは仙台市周辺の話であって、東松島市の事業ではありません。それでも、県内で何が動いているかを一つ二つ言えるようにしておくと、宮城県という枠の中で東松島市がどこに位置するのかという話に厚みが出ます。
県の方針を東松島市の現場でどう受け止めるか
県の計画や予算が示すのは、宮城県全体としてどちらへ向かうかという方向です。県が方向を決め、市役所がそれを一人ひとりの手続きや相談に変えるという役割の分かれ方を押さえておくと、志望理由の説明に芯が通ります。
人口37,332人、面積101.30km²という規模であれば、担当する業務の幅は広く、同じ市民と何度も顔を合わせる場面も出てきます。県の資料に目を通しておく意味も、暗記のためではなく、矢本の市役所で担う仕事がどんな流れの中に置かれているかをつかむためだと考えてください。
POINT|計画の名称より、市の条件から考える
計画名を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①東松島市の人口規模と市域の広さ、海に面した立地を知る → ②その条件のもとで自分が携わりたい仕事を考える → ③市の公式サイトや広報紙で、実際に行われている取り組みを確かめる → ④自分の経験や強みをどう生かせるかを言葉にする、という順で準備しましょう。
悪い例「東松島市のまちづくりに貢献したいです」
改善例「まずは配属された部署の仕事を一つずつ覚えて、市民の方に安心して相談してもらえる窓口になりたいです。その上で、東松島市は海に面したまちですので、いざというときの避難や、そのあとの暮らしの立て直しを支える仕事にも関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 東松島市職員採用試験の受験案内(自分が受ける区分の最新年度のもの)
- 東松島市公式サイトの市政情報・広報紙・各種計画のページ
- 東松島市の職員採用のページ(上級・初級土木と、初級・社会人経験者では案内が分かれています)
- 宮城県の当初予算や人口の将来推計に関する資料(県内での東松島市の位置づけを知る参考として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、東松島市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。東松島市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
東松島市役所の面接の概要
ここからは、東松島市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
東松島市役所の試験の流れ
東松島市職員採用試験は、全職種で第1次試験と第2次試験の2段階です。受験案内は「第2次試験は第1次試験の合格者に対してのみ行います」と定めています。
構成にははっきりした特徴があり、第1次試験の種目は教養試験とパーソナリティ検査の2つだけで、専門試験も面接もありません。人物を見る種目は、まとめて第2次試験に置かれているということです。
その第2次試験の種目は、人物試験、作文試験、資格調査の3つです。人物試験について受験案内は「人物、職務経験及び職務に関する適性などについて個別面接等を行います」と記しています。
話して伝える場と、書いて伝える場の両方が第2次試験に用意されている構成だと押さえておきましょう。
| 項目 | 内容(令和8年度・上級および初級土木の受験案内による) |
|---|---|
| 試験の段階 | 全職種で第1次試験・第2次試験の2段階。第2次試験は第1次試験の合格者に対してのみ行われます |
| 対象の区分と採用予定 | 上級の行政が3人程度、上級の保健師が1人程度、初級(土木)の土木技師が1人程度。令和9年4月1日採用の予定です |
| 第1次試験の種目 | 教養試験(一般知識と一般知能についての択一式・120分又は90分)と、パーソナリティ検査(職務遂行に必要な適性等・約40分)の2種目 |
| 第2次試験の種目 | 人物試験、作文試験(文章による表現力、内容構成等の能力についての筆記試験・60分)、資格調査の3種目 |
| 面接の形式 | 人物試験は「人物、職務経験及び職務に関する適性などについて個別面接等を行います。」と記載。個別面接以外の形式の有無、実施回数、面接官の人数は受験案内に記載がありません |
| 配点 | 非公表。受験案内に各種目の配点や満点の記載はありません |
| 申込 | 電子申請のみ。申込フォームから申し込む方式で、受験料は不要です。電話での申込みはできません |
| 提出書類 | 第2次試験の当日に提出する書類についての記載は、受験案内にありません |
| 試験会場 | 第1次試験は東松島市役所。第2次試験の場所は第1次試験の合格者に通知されます |
| 採用の仕組み | 最終合格者は任用候補者名簿に登録され、そのうちから採用者が決まります。受験案内は「したがって、最終合格者全員が採用されるとは限りませんので注意してください。」と明記しています |
| 初任給 | 新卒でおおむね上級(行政・保健師)が約232,000円、初級の土木技師が約200,300円。経歴により一定の基準で加算され、扶養手当や通勤手当、期末・勤勉手当等も支給されます |
| 結果の開示 | 第1次・第2次それぞれの不合格者が請求でき、開示されるのは総合順位と総合得点。合格発表の日から1か月間、本人が本人確認書類を持参して総務部総務課へ来庁する方法に限られます |
| 試験の所管 | 人事委員会ではなく、総務部総務課人事係が所管します |
上記は東松島市の令和8年度職員採用試験(上級・初級土木)の受験案内にもとづく内容です(出典:東松島市職員採用試験受験案内|令和8年度)。受験案内には採用予定人員・試験内容が変更になる場合がある旨の但し書きがあり、試験の構成・区分・日程・会場等は年度や受験する区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の受験案内でご自身の受験する区分の情報をご確認ください。
受ける案内が分かれている点に注意
東松島市を受けるうえで最初に確かめてほしいのが、自分がどの案内の対象かということです。ここまで整理してきたのは、上級(行政・保健師)と初級(土木)を対象とした受験案内の内容です。
東松島市はこれとは別に、初級・社会人経験者を対象とした募集を、別の案内・別の日程で実施しています(初級の行政が3人程度、初級の土木が1人程度、管理栄養士の社会人経験者が1人程度)。
案内が分かれている以上、試験の構成が同じとは限りません。第1次試験の種目も、第2次試験の内容も、自分が申し込む案内で読み直してください。
この確認を最初に済ませておくことが、東松島市の対策の出発点になります。
受験資格の年齢要件も区分で異なります。上級の行政は平成11年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた方、上級の保健師は平成8年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた方で保健師の資格を有するか令和9年3月31日までに取得見込みの方、初級(土木)は平成17年4月2日から平成21年4月1日までに生まれた方で土木系の学科を卒業したか土木施工管理技士2級以上の資格を有する方が対象です。
あわせて、日本の国籍を有しない者などを欠格事項として定めた規定も置かれています。
東松島市役所が求める人物像
東松島市の受験案内と、市公式サイトの職員採用のページや人事に関するページに、「求める人物像」にあたる公表文言を、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。公表されたものがない以上、評価されやすい資質は市の置かれた条件から読み解くことになります。
上級の行政の採用予定が3人程度という規模であること、101.30km²の市域が海に面していること、第2次試験に人物試験と作文試験の両方が置かれていること。この3つを重ねると、「少ない人数で幅広い仕事を引き受ける柔軟さ」「沿岸のまちで防災を自分の仕事と捉える構え」「考えを短い時間で組み立てて伝える力」のあたりが評価の中心になると考えられます。
自己PRでは、こうした資質を名乗るだけで終わらせず、その力を使って何を行い、周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。東松島市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までの道のりは分かりやすかったですか | 答えを用意していない問いに、身構えずに返せるか。声の張りと表情の自然さ |
| ② 動機・志望 | 数ある自治体のなかで、東松島市を選んだ理由を教えてください | 他と比べたうえでの選択になっているか。動機が自分の経験と地続きか |
| ③ 自己理解 | 周りの人からは、どんな人だと言われますか | 自分の見え方を客観的につかめているか。人物試験で確かめられる「人物」の輪郭を自分の言葉で描けるか |
| ④ 経験・行動 | 途中で投げ出したくなった経験と、そのあとどうしたかを教えてください | 出来事の派手さではなく、続けるために何を変えたか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学校や職場で取り組んだことを、事情を知らない人にも分かるように説明してください | 相手に合わせて言葉を選び直せるか。同じ力が作文試験でも問われます |
| ⑥ 適性・将来 | 希望していない部署に配属されたら、どう働きますか | 市の仕事への理解の解像度と、配属に対する構え方 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、地域の話題で気になったことはありますか | 身の回りの動きへの関心と、自分の受け止めを一言で述べられるか |
ただし、この7カテゴリーは東松島市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「東松島市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「東松島市ならでは」の質問
この2問は、その場の機転では埋められません。会場に入る前にどれだけ材料を持っているかが、そのまま答えの厚みになります。
裏を返せば、準備した人としていない人の差が、いちばん見えやすい質問だということです。こうした質問に答えるための「東松島市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい東松島市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 規模と位置 | 人口37,332人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積101.30km²、人口密度369人/km²。県平均のおよそ306人/km²と近い水準 | 人口の少なさを弱点として語る必要はありません。県の平均に近い密度で人が住むという位置づけから、市域の全体に目を配る仕事の話へ進めます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 面積では宮城県7,282km²の約1.4%、人口では2,227,240人の約1.6%を東松島市が占める | 県が示した方向が東松島市の窓口でどんな手続きに変わるのかを一つ挙げると、役割の違いが具体的に伝わります |
| 隣接する自治体との関係 | 陸で接するのは石巻市、宮城郡松島町、遠田郡美里町。塩竈市とは海上で隣接。石巻市は人口130,134人・面積554.55km² | 隣に規模の大きな市があることを前提に置いたうえで、それでも東松島市で暮らし続けてもらうために何が要るか、という向きで組み立てます |
| 防災 | 津波によるとされる県内死者数は約5,300人。県の第五次地震被害想定が東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0・最大津波高約22メートル)で見込む県内死者数約5,500人の大半にあたる | 数字は県全体のものだと一言添えたうえで、東松島市の職員として平時のうちに何を積み上げておくか、という話へ移します |
| 東松島市の魅力 | 市の花はさくら、市の木は松。太平洋側に位置し、塩竈市とは海上で隣接する。県内の観光客入込数は令和5年に過去最高の6,824万人となった | 隣接する松島町の観光地を挙げると、別の自治体の話になってしまいます。市が自分たちで定めたさくらや松のように、東松島市に属する素材から入りましょう |
| 試験の仕組み | 第1次試験は教養試験とパーソナリティ検査の2種目。第2次試験に人物試験と作文試験が置かれ、各種目の配点は公表されていない | 配点が分からない以上、作文と面接のどちらかを軽く見る判断はできません。作文で書いた考えを控えておき、面接での話とずれないようにします |
使い方のコツは、6つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、先ほど整理した「東松島市で評価されやすい資質」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 少ない人数で幅広い仕事を引き受ける柔軟さ | 上級の行政が3人程度という採用規模を前提に、担当の枠から外れた仕事にどう向き合うか | 担当がはっきりしない用事を自分で拾った場面を思い出し、そのとき何を優先したかまで整理しておく |
| 沿岸のまちで防災を自分の仕事と捉える構え | 県の被害想定の規模を知ったうえで、海に面した東松島市の職員として何をするかを描けているか | 津波による被害想定の大きさを一度確かめ、そのうえで平時の備えとして市の職員にできることを一つ挙げられるようにしておく |
| 考えを短い時間で組み立てて伝える力 | 60分の作文試験と人物試験の両方で、同じ人物像が一貫して伝わってくるか | 作文の練習で書いた自分の主張を、口頭で1分にまとめ直すところまでを一組の練習にする |
なお、公務員の面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。東松島市の人物試験は「人物、職務経験及び職務に関する適性など」を確かめる場と位置づけられており、経歴の一つひとつに理由を尋ねられる前提で臨みたいところです。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の受験案内を入手し、自分が受けるのが上級・初級土木の案内か、初級・社会人経験者の案内かを最初に確かめる
- 第2次試験の作文試験(60分)で書くことになりそうなテーマを一つ決め、そこで示す自分の考えを短くまとめておく
- これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の前半を読み返し、固有質問の対応表から材料を集めて、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、東松島市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
東松島市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
東松島市の採用試験は、第1次試験で見られるのが教養試験とパーソナリティ検査、人物を見る種目はまとめて第2次試験に置かれる、という組み方になっています。各種目の配点は公表されておらず、開示を請求しても分かるのは総合順位と総合得点までです。
どこで点が積み上がるのか分からない以上、筆記の先にある人物試験と作文試験を後回しにしない配分で進めておきたいところです。
101.30km²の市域に3万7千人あまりが暮らし、県の平均に近い密度で人が住むまちで、矢本の市役所の窓口に立つ自分をどこまで具体的に描けるか。上級の行政で3人程度という採用の枠を思えば、一人の職員が受け持つ範囲は決して狭くありません。
まずは自分が申し込む案内を手元に置き、第2次試験に人物試験と作文試験の両方があるという構成を頭に入れるところから始めてみてください。