本記事では、新潟県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、新潟県警察の特徴基礎データ県内の治安情勢重点方針面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

新潟県警察の面接試験では、「なぜ新潟県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「これまでの経験を警察の仕事にどう結び付けるのか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。新潟県の治安の現状と、県警察が毎年公表する運営の指針及び目標を押さえておくことで、どこの県警察にも当てはまってしまう抽象的な答えを避け、新潟ならではの事情を踏まえた説明ができるようになります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と新潟県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

新潟県警察の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは新潟県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 新潟県全域を管轄し、管轄人口は約207万人(2,071,066人・令和7年10月1日現在の推計人口)。(出典:新潟県の推計人口|令和7年
  • 県土の面積は12,584.10km²で、北海道・岩手県・福島県・長野県に次ぐ全国5位の広さ。日本海沿岸のほぼ中央に位置し、南北に長く伸びる地形をもつ。(出典:新潟県の概要|平成28年
  • 海岸線の総延長は635.6km(本土331.0km、佐渡281.5km、粟島23.1km)にのぼり、佐渡島(855.61km²)と粟島(9.78km²)という離島を管轄内に抱える。
  • 管轄区域は20市6町4村の30市町村。県土は1,500mから2,000m級の山々に囲まれ、市街地から山間部、離島までをひとつの警察組織で受け持つ
  • 県庁所在地の新潟市は政令指定都市で、本部組織には新潟市警察部が置かれている。県警察本部の所在地も新潟市中央区。
  • 本部は、警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部の6部のほか、新潟市警察部と警察学校で構成される。
  • 県人口は1998年1月の約249.4万人をピークに減少へ転じ、65歳以上の割合は34.6%。全国の29.4%との差は5.2ポイントに達する(令和7年10月1日現在)。詐欺の被害者としても交通事故の当事者としても、高齢者を守る取組の比重が大きい県である。(出典:新潟県の高齢者の現況|令和7年
  • 令和6年7月には「佐渡島(さど)の金山」が世界文化遺産に登録され、県外・国外から人が訪れる場面が増えている。(参考:佐渡島の金山|令和6年

新潟県警察の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「新潟県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、管轄人口、管轄区域、本部の組織、犯罪情勢など、組織の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
管轄区域新潟県全域・30市町村(20市6町4村。うち政令指定都市1:新潟市)
管轄人口約207万人(2,071,066人・令和7年10月1日現在の推計人口)
管轄面積12,584.10km²(全国5位)
本部所在地新潟市中央区
本部の組織警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部の6部、新潟市警察部、警察学校
世帯数921,711世帯(令和7年9月末日現在)
高齢化率34.6%(令和7年10月1日現在。全国は29.4%)
刑法犯認知件数9,707件(令和7年確定値・前年比3.1%増)
刑法犯検挙率55.2%(令和7年)

管轄人口・世帯数は新潟県が公表する推計人口、高齢化率は新潟県の高齢者の現況(いずれも令和7年)、管轄面積と全国順位は新潟県の概要、本部の組織は新潟県警察の公表情報、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は新潟県警察が公表する犯罪統計(令和7年確定値)にもとづく数値です。警察署・交番の設置数や職員数は、最新の公表資料でご確認ください。

数字から考えられる治安課題

新潟県警察の規模をつかむうえで外せないのが、県土の広さと人口の関係です。面積は全国5位の12,584.10km²にのぼる一方、そこで暮らすのは約207万人。

しかも佐渡島と粟島という離島を含み、内陸には山地が続きます。人が広く薄く分布する県土を、ひとつの警察組織で覆わなければならないという条件が、新潟の警察活動の前提にあります。

もうひとつの前提が高齢化です。65歳以上の割合は34.6%で、全国の29.4%より5.2ポイント高い水準です。

人口は前年同月比で27,738人減っており(令和7年10月1日現在)、減少と高齢化が同時に進んでいる状態です。犯罪の被害に遭いやすい層が増える一方で、その層へ情報を届けにくい地域も広がっていく、という構図になります。

たとえば面接では、新潟県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「新潟県は面積が全国で5番目に広いのに、暮らしている方は約207万人だと聞きました。しかも65歳以上の方が3人に1人を超えていて、全国の平均よりも高齢化が進んでいます。人家が点在している地域では、警察官の姿がなかなか見えないぶん、不安も大きいのではと感じています。だからこそ、交番や駐在所からの巡回で顔の見える関係をつくることが、新潟ではとても大きな意味を持つと考えています」

新潟県の治安情勢

刑法犯の認知状況と検挙率

令和7年(確定値)の新潟県内の刑法犯認知件数は9,707件で、前年比3.1%増となりました。検挙率は55.2%です。

「治安は年々良くなっている」という一般論は、いまの新潟には当てはまりません。認知件数が増える局面では捜査の負担も重くなるため、検挙の水準を保つこと自体がひとつの仕事になります

面接で治安を語るときは、検挙(起きた犯罪への対応)と抑止(犯罪を起こさせない取組)の両輪で話せると、仕事理解の深さが伝わります。

罪種別に見た新潟の特徴

刑法犯の内訳を見ると、新潟の地理的な条件と重なる傾向が浮かびます。

罪種認知件数(令和7年)
刑法犯総数9,707件(前年比3.1%増)
侵入盗731件
自動車盗27件
殺人22件
強盗14件
ひったくり2件

新潟県警察が公表する犯罪統計(令和7年確定値)にもとづく数値です。

目を引くのは、住宅や事業所に押し入る侵入盗が731件と、刑法犯全体の7%台を占めていることです。一方でひったくりは2件、自動車盗も27件にとどまります。

路上で人から物を奪う犯罪より、留守宅や人目の届きにくい建物へ入り込む犯罪のほうが目立つ、というのが新潟の姿です。人口が広い県土に分散しているという条件と重ねると、施錠の呼びかけや巡回連絡のような地道な働きかけが、そのまま被害の件数に効いてくる分野だと分かります。

詐欺被害の中身が変わっている

県内の特殊詐欺は、令和6年中の認知件数が204件(前年比7件増)、被害額が8億9,878万円(同3億2,186万円増)でした。件数の伸びは緩やかでも、被害額は大きく膨らんでいます。

さらに深刻なのが、SNSをきっかけに投資話や恋愛感情を装って金銭をだまし取る手口です。令和6年中のSNS型投資・ロマンス詐欺は132件(前年比77件増)で、被害額は14億4,072万円と、特殊詐欺の被害額を上回りました(同8億3,662万円増)。

電話を使った従来型の詐欺への注意喚起だけでは追いつかない領域が、急速に広がっているということです。志望動機で詐欺対策に触れるなら、この2つの数字の関係が出発点になります。(出典:特殊詐欺被害発生状況|令和6年

高齢化と交通事故防止

令和8年の運営の指針及び目標では、交通事故防止対策の柱として、高齢者の交通事故防止、歩行者の安全確保、自転車その他小型モビリティ対策の強化、飲酒運転の根絶の4点が並んでいます。65歳以上が34.6%を占める県(令和7年10月1日現在)で高齢者の事故防止が先頭に来ているのは、人口構成をそのまま反映した並びだといえます。

広い県土では自動車が生活の足になり、運転をやめる判断が簡単ではない地域も出てきます。取締りだけで解決する話ではなく、移動の必要そのものにどう向き合うかまで含めて考えられると、交通部門を志望する際の説明に厚みが出ます。

新潟県の主な治安課題

ここまでの数字と方針を踏まえると、新潟県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「新潟県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

増加局面に入った刑法犯と身近な犯罪の抑止

刑法犯認知件数が令和7年に9,707件(前年比3.1%増)へ増えたことは、統計上の変化にとどまりません。近所で空き巣が起きたという話は、統計の数字よりも速く「この地域は大丈夫か」という不安に変わります

令和8年の運営の指針及び目標が、8つの目標の先頭に効果的な犯罪防止の推進を、その次に街頭活動の強化を置いているのは、この体感治安への意識の表れといえます。地域の発生実態に合わせた防犯対策と、交番や駐在所を起点にした街頭活動を重ねていくことが、いま求められています。

詐欺の手口の変化と匿名・流動型犯罪グループ

令和6年中にSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額が14億4,072万円と特殊詐欺を上回ったことは、だます側の手口が入れ替わりつつあることを示しています。運営の指針及び目標にも、匿名・流動型犯罪グループの実態解明と戦略的な取締りの推進が掲げられました。

SNSなどで実行役を募る形が広がり、指示役は匿名の陰に隠れ、末端だけが短期間で入れ替わる構造になっているため、実行役の検挙だけでは被害が止まりません。組織の実態解明と資金源を断つ取組に加えて、募集に応じてしまう人を出さないための働きかけまでが、ひと続きの課題になっています。

サイバー空間における脅威

投資の勧誘も、恋愛感情を装った接触も、入口はインターネットです。運営の指針及び目標は、サイバー事案への対策の強化と、官民連携によるサイバー空間の脅威への対処を目標のひとつに据えています。

被害に気づいた時点では相手をたどる手がかりが乏しいことも珍しくなく、通信事業者や金融機関と連携しなければ手が届かない領域が広がっています。デジタル分野の知識や関心がある人にとっては、志望動機と結び付けやすいテーマです。

高齢化の進行と人身安全関連事案

65歳以上が34.6%を占め(令和7年10月1日現在)、合計特殊出生率は1.14(2024年)まで低下し、20代前半を中心とする若い世代の転出超過が続いています。高齢者だけの世帯が増えれば、周囲に気づかれないまま被害が深刻化する事案も起きやすくなります。

運営の指針及び目標が、人身安全関連事案について被害者等の安全確保を最優先とすることと、警察本部と警察署の緊密な連携による組織的対処を柱に据えているのは、こうした背景と無関係ではありません。相談を受けた警察官ひとりの判断で抱え込まない仕組みが、命に直結する分野だということです。

広い県土と離島を抱えた災害・警備への備え

新潟県の地震被害想定調査では、内陸で6つ、海域で3つ、あわせて9つの地震が想定されています。被害が最も大きくなるとされるのは長岡平野西縁断層帯の地震(M7.50)で、冬の深夜に強風が吹いている場面では死者7,920人・建物全壊171,244棟・避難者471,386人という想定です。

人的被害は前回調査(1995年から1997年に実施)の約6.40倍にあたります。(出典:新潟県地震被害想定調査

あわせて押さえたいのが、人が集まる場面の警備です。令和5年の県内の観光入込客数は6,240万人(前年比12.8%増)まで回復し、令和6年7月には「佐渡島(さど)の金山」が世界文化遺産に登録されました。

離島や山間部を含む県内のどこで人が集まっても対応できる体制づくりは、災害対処能力の向上とあわせて、運営の指針及び目標に緊急事態対策として位置づけられています。(出典:観光入込客数調査|令和5年

重点方針|令和8年新潟県警察運営の指針及び目標

新潟県警察は、毎年の警察活動の方向性を「新潟県警察運営の指針及び目標」という名称で公表しています。令和8年に示された運営の指針は「県民が安心して暮らせる安全な新潟の実現」で、これに「県民とともに、県民のために、力強い警察」という一文が添えられています。(出典:新潟県警察運営の指針及び目標|令和8年

方針の読み方

この指針を見るときに知っておきたいのは、同じ言葉が長く使われてきたという事実です。新潟県警察が公表してきた論作文の例題を見ると、警察官Aの令和3年度と令和5年度の設問は、「県民が安心して暮らせる安全な新潟の実現」という指針そのものを引用し、そのために何をするかを受験者に書かせています。

方針の言葉が、そのまま試験の設問になっているということです。指針を知らずに受けるのと、指針の意味を自分なりに考えたうえで受けるのとでは、論作文でも面接でも出発点が変わります。

公表されているのは、指針と8つの目標、そして各目標にぶら下がる推進項目の見出しです。項目ごとの詳しい取組内容や数値目標までは示されていません

読み込むべき分量は多くない代わりに、項目名の先は自分で調べて埋めるしかないということでもあります。逆に言えば、その先を調べてきた受験者は、それだけで違いが出ます。

8つの目標

令和8年の目標は次の8項目です。あわせて、それぞれが指す内容を受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕きました。

目標(公式の項目名)受験生向けの解説
① 効果的な犯罪防止に向けた取組の推進地域ごとの犯罪の起こり方に合わせた防止対策を軸に、特殊詐欺の予防、少年の非行防止、SNSに起因する児童の性被害の防止までを含む
② 安心感を高める街頭活動の強化地域の実態に即したパトロールと職務質問、交番・駐在所の機能強化によって、街に警察官の姿が見える状態をつくる
③ 悪質・重要犯罪及び匿名・流動型犯罪グループ等による組織犯罪の徹底検挙重要犯罪・重要窃盗犯の検挙に加え、匿名・流動型犯罪グループの実態解明、特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺事件の検挙、暴力団排除、科学捜査の強化
④ 人身安全関連事案への迅速かつ的確な対処ストーカーやDVなど命に危害が及ぶおそれのある事案に、被害者等の安全確保を最優先として、本部と警察署が連携して組織で当たる
⑤ サイバー空間における脅威への対処インターネットを悪用した事案への捜査力を高めるとともに、民間事業者等と連携して被害の防止にも取り組む
⑥ 交通事故防止対策の推進高齢者の事故防止と歩行者の安全確保を中心に、自転車その他小型モビリティへの対策、飲酒運転の根絶を進める
⑦ 災害・テロ等緊急事態対策の推進災害への対処能力を高め、関係機関と連携したテロ対策を進める
⑧ 活力に満ちた魅力ある職場環境の確立働きやすい職場づくりと警察運営の合理化、将来を担う人材の確保・育成、県民や被害者からの相談・要望への組織的な対応

面接では、自分が取り組みたい仕事がこの8つのどこに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。

POINT|8つのうち、どれを自分の入口にするか

組織研究の目的は、項目名を並べられるようになることではありません。関心のある分野をひとつかふたつ選び、新潟県内でその分野の数字がどう動いているのかを調べ、「その目標の下で自分は何をしたいのか」まで言葉にしておきましょう。指針そのものが論作文の公表例題になってきた新潟県警察では、この作業が論作文の準備とそのまま重なります。

悪い例「県民の安全を守れる警察官になりたいと思っています」

改善例「まずは交番の勤務から、地域の方の暮らしぶりを覚えていきたいです。その上で、新潟では令和6年の一年間で、SNSをきっかけにした投資やロマンスの詐欺の被害額が14億円を超えたと聞きましたので、高齢の方だけでなく若い世代にも届く形で、注意を呼びかける活動に取り組んでいきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、大事なところを自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。

  • 警察官採用試験の受験案内(試験の種目・配点・提出書類・申込方法)
  • 採用案内ページ(仕事の内容と職員の声)
  • 令和8年新潟県警察運営の指針及び目標(指針と8つの目標)
  • 犯罪統計・特殊詐欺の被害状況のページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、新潟県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。新潟県警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

新潟県警察の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

新潟県警察の面接の概要

ここからは、新潟県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

新潟県警察の面接の流れ

新潟県警察の警察官採用試験は、警察官A・警察官B特別採用のいずれも第1次試験と第2次試験の2段階です。令和8年度は年2回の募集枠が設けられており、以下は先に実施される募集枠の受験案内にもとづく整理です。(出典:警察官採用試験受験案内|令和8年度

項目内容(令和8年度・先に実施される募集枠)
試験の段階第1次試験 → 第2次試験の2段階(令和8年度は年2回の募集枠)
第1次試験(警察官A)教養試験(社会科学・人文科学・自然科学等の択一式50問・2時間)と適性検査を受ける枠、SPI3(基礎能力検査・性格検査)を受ける枠の選択制
第1次試験(警察官B特別採用)SPI3(基礎能力検査・性格検査)の枠のみ
第1次試験の配点教養試験50点(正答率3割5分以上が目安)/SPI3基礎能力検査100点
論作文試験800字以内。受験申込後に答案用紙を事前提出(郵送またはオンライン)し、評価は第2次試験で行う
第2次試験体力検査・身体検査・面接試験
第2次試験の配点面接試験130点(基準50点以上)、論作文試験30点(基準12点以上)
体力検査腕立て伏せ・上体起こし・バーピーテストの3種目で、合計15点以上により適否を判定
最終合格の決定第2次試験の結果に基づいて決定し、第1次試験の成績は反映されない
提出書類第1次試験合格者は面接カード(様式をA4両面に印刷し、質問事項をすべて手書き・黒色ボールペンで記載のうえ郵送)と健康診断書を提出
面接試験の評価「積極性、信頼性、社会性等」について評価する

注目してほしい点は3つあります。1つ目は合否の決め方です。

最終合格は第2次試験の結果だけで決まり、第1次試験の成績は持ち越されません。教養試験やSPI3は通過するための関門であって、点を稼いで逃げ切るための種目ではないということです。

2つ目は配点です。第2次試験で点数化されるのは面接試験130点と論作文試験30点だけで、面接試験が第2次の配点の8割を占めます

体力検査と身体検査は適否の判定なので、得点で差がつく場面はほぼ面接に集中します

3つ目は面接カードです。第1次試験の合格者は、様式を印刷して質問事項をすべて手書きで記載し、郵送で提出します。

面接官の手元にはこの用紙があり、質問はここに書かれた内容から掘り下げられていきます。面接は、面接カードを書き始めた時点から始まっていると考えて、書いた一文ごとに「なぜそう書いたのか」を答えられる状態にしておきましょう。

あわせて、論作文が事前提出である点も新潟県警察の特徴です。受験案内は、他者の協力やAIを用いず、自分自身の経験や考えから具体的に記載するよう明示しています。

提出した論作文と面接での受け答えが食い違えば、そこが深掘りの入口になります。作り込んだ人物像を演じるより、一貫した自分で臨むほうが確実です。

上記の試験構成は、新潟県警察が公表する令和8年度の受験案内(先に実施される募集枠)にもとづくものです。試験の構成・配点・提出書類等は、年度や受験区分、募集枠によって異なる可能性があります。また、面接試験が個別面接か集団面接か、集団討論を実施するかについては受験案内に記載がありません。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

新潟県警察が求める人材

新潟県警察は、「求める人物像」と題した独立の文章を公表していません。手がかりになるのは、受験案内が面接試験の評価対象として挙げる「積極性、信頼性、社会性等」という3つの言葉です。

公表された評価の言葉がここにしかないということは、裏を返せば、この3語が採点基準にいちばん近い公式の表現だということです。

当研究会では、この3語を次のように読み解いています。積極性は、指示を待たずに自分から動いた経験。

信頼性は、任された役割を、見ている人がいない場面でも果たしてきたという実績。社会性は、立場や年代の違う相手とも関係を保ちながら物事を進められる力です。

運営の指針に添えられた「県民とともに、県民のために」を重ねると、3語のうち社会性がとりわけ現場と直結していることが見えてきます。約207万人が広い県土に分かれて暮らす新潟では、地域の人と関係をつくれるかどうかが、そのまま情報の集まり方や被害の防ぎ方に響くからです。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。新潟県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日は会場までどうやって来られましたか?緊張をほぐす何気ないやりとりに、素の話しぶりと会話の自然さが表れます
② 動機・志望民間企業ではなく、なぜ警察官なのですか?ほかの進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性
③ 自己理解あなたの強み(自己PR)を教えてください強みを、警察の仕事の具体的な場面に置き換えて説明できているか
④ 経験・行動これまでで最も打ち込んだことは何ですか?その活動で自分が引き受けた役割と、思うようにいかない場面での立て直し方
⑤ 学業・経歴いまの学科(進路)を選んだ理由を教えてください進路の選び方に、その人らしい一貫性があるか
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?交替制の勤務や訓練に耐える体力の裏づけと、日頃の健康管理の習慣
⑦ 公共性・社会性警察官に最も必要な資質は何だと思いますか?職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識

ただし、この7カテゴリーは新潟県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここで大きな差はつきにくいのです。

また、警察官の採用試験では、規律の下で行動することへの適応や、危険と隣り合わせの職務に就く覚悟を確かめる質問が向けられることがあります。そうした問いが用意されていると知っておくだけでも、当日あわてずに済みます。

合否を分けるのは新潟の事情に踏み込む質問

「県外の警察という選択肢もある中で、なぜ新潟県警察なのですか?」
「新潟県の治安で、いま何がいちばんの課題だと思いますか?」

どちらも、新潟県の現状と県警察の運営の指針及び目標を知らなければ、その場では答えようがない質問です。新潟県は20代前半を中心に県外への転出超過が続いてきた県でもあり、「なぜ県外ではなく新潟なのか」にどこまで具体的に答えられるかが、そのまま志望度の説明になります

こうした質問に答えるための「新潟県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい新潟県警察の事実答え方のヒント
治安の現状刑法犯認知件数は令和7年に9,707件で前年比3.1%増、検挙率は55.2%。侵入盗731件に対し、ひったくりは2件件数の少なさで話を終えず、侵入盗に偏った内訳まで踏み込むと、統計を眺めただけの答えとは違いが出る
詐欺被害の変化令和6年中の特殊詐欺は204件・8億9,878万円。SNS型投資・ロマンス詐欺は132件・14億4,072万円で、被害額が特殊詐欺を上回った電話の詐欺よりSNSの詐欺のほうが被害額が大きいという逆転を押さえると、注意喚起の届け先は高齢者だけではないという話につなげられる
志望動機・やりたい仕事令和8年の運営の指針は「県民が安心して暮らせる安全な新潟の実現」。犯罪防止、街頭活動、組織犯罪の検挙、人身安全、サイバー、交通、災害・テロ、職場環境の8つの目標を掲げる論作文の公表例題はこの指針を繰り返し引用してきた。事前提出した論作文の内容と、面接で話す志望動機を一本の線でつないでおく
新潟で働く規模感管轄面積は12,584.10km²で全国5位。30市町村に約207万人が暮らし、佐渡島と粟島の離島を含む。政令指定都市の新潟市には市警察部が置かれている新潟市の市街地、山あいの集落、離島では勤務の中身がまったく変わる。どの現場でどんな経験を積みたいのかまで述べる
高齢化と災害への備え65歳以上の割合は34.6%(令和7年10月1日現在)で全国を5.2ポイント上回る。県の地震被害想定では長岡平野西縁断層帯の地震で死者7,920人・避難者471,386人が見込まれている高齢者が多い地域ほど避難に人手がかかるという一点まで想像を伸ばすと、災害警備を志望分野に挙げたときの説明が具体的になる

使い方のコツは、5つを均等に覚えることではありません。志望分野に近いテーマをひとつかふたつに絞り、事実から自分の問題意識へ、そして警察官として何をしたいかへと、ひと続きに話せる形に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、受験案内が挙げる「積極性、信頼性、社会性等」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
積極性指示を待つのではなく、自分の判断で先に動いた場面があるか面接カードは手書きで書ける量が限られる。自分から始めた出来事をひとつに絞り、その一件だけを掘られても答えが尽きない密度で書き込む
信頼性任された役割や交わした約束を、人の目がない場面でも果たしてきたか続けてきたことをひとつ挙げ、投げ出しそうになった場面と、そこで踏みとどまった理由まで用意する
社会性立場や年代の違う相手と関係を保ちながら、物事を前に進められるか人家が点在する地域も多い新潟では、住民に顔と名前を覚えてもらえるかどうかが仕事のしやすさを左右する。年配の人や初対面の相手と話をまとめた経験を、巡回連絡や地域の集まりの場面に置き換えて語れるようにする

評価の観点の3項目は、令和8年度受験案内が面接試験の評価対象として挙げる「積極性、信頼性、社会性等」を、当研究会が面接対策用に読み替えたものです。

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内を読み、自分が受ける区分と、警察官Aなら教養試験の枠とSPI3の枠のどちらで受けるかを決める。論作文の答案用紙は受験申込後に事前提出するため、提出方法と期限もこの段階で確認する
  2. これまでの経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事・学業から、そのとき何を考えて何をしたのかまで話せる出来事をひとつずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、固有質問の対応表から志望分野に近い材料をふたつほど選んで、自分の口で説明できるようにしておく
  5. 事前提出の論作文を書く。800字以内という枠の中で、運営の指針と自分の経験をどう結ぶかを決める。ここで固めた筋が、そのまま面接の土台になる
  6. 面接カードを書き上げ、書いた一文ごとに「なぜそう書いたのか」を声に出して答える練習をする。あわせて体力検査の3種目(腕立て伏せ・上体起こし・バーピーテスト)を日々のトレーニングに組み込み、生活リズムづくりも並行して進める

優先順位に注意

ステップ4の組織研究は、ほかの受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を先に片づけてください。新潟の統計や目標をどれだけ覚えても、自分自身を語れなければ130点の面接では点になりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、新潟県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

新潟県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までを解説しているので、本番での受け答えを具体的にイメージできるようになります。最終合格が第2次試験の結果だけで決まる試験だからこそ、面接の仕上げに使った時間が、そのまま結果に返ってきます。

新潟県警察の想定問答集を見る

さいごに

新潟県警察の採用試験は、第1次試験の成績が最終合格に持ち越されず、第2次試験で点数化されるのは面接130点と論作文30点だけという構造です。筆記で貯金をつくる試験ではなく、面接で自分を語り切る試験だといえます。

しかも論作文は事前提出、面接カードは手書きでの郵送です。文字にした自分の言葉が先に相手の手元へ届き、その言葉を起点に問いが飛んでくる流れになります。

だからこそ、答えは書く段階から始まっています。市街地から山あい、離島までを一つの組織で受け持つ新潟で、どんな警察官として働きたいのか。

指針や統計の言葉を借りるのではなく、自分が見てきた景色と自分の経験から語れる状態にして、当日の面接室に入ってください。