本記事では、長崎県職員採用試験の面接対策で必要な、長崎県の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

長崎県庁の面接試験では、「なぜ長崎県を志望したのか」「県職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。県の実情や施策の方向性を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、長崎県ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と長崎県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

長崎県の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは長崎県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 県庁所在地は長崎市。九州の北西端に位置し、陸続きで接するのは佐賀県のみで、西と南は東シナ海や有明海などの海に大きく開かれている。
  • 面積は4,131.22km²だが海岸線は非常に長く、無人島を含めると1,479の島々を抱える、全国でも際立って島の多い県である。
  • 離島振興の対象となる有人島だけで51島あり、そこで約11万人が暮らす全国有数の島しょ県であり、離島・半島の比重の高さが県土の大きな特徴となっている。
  • 人口は約122万人(令和8年6月1日現在の推計)。県庁所在地の長崎市のほか、佐世保市、諫早市、大村市などに人口が分かれている。
  • 出島に代表される海外交流の歴史を持ち、世界遺産「潜伏キリシタン関連遺産」やハウステンボスなど、歴史・文化・観光の資源に恵まれている。
  • 造船業と、全国トップクラスの水産業が長らく基幹産業を担ってきた。近年は半導体や航空機など成長産業の育成・企業誘致にも力を入れている。
  • 令和4年9月には西九州新幹線(長崎〜武雄温泉)が開業。長崎空港も擁し、アジアに近い地の利を交流の強みにしている。
  • 県財政は自主財源の基盤が弱く、地方交付税など依存財源への比重が高い。令和5年度の財政力指数は0.33で、限られた財源を人口減少対策・離島振興・防災などにどう重点配分するかが県政の底流にある課題となっている。

長崎県の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「長崎県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、県土の広さ、経済規模、年齢構成など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口約122万人(令和8年6月1日現在の推計で1,222,582人)
年少人口(0-14歳)148,127人(12.0%、令和6年10月1日現在)
生産年齢人口(15-64歳)660,054人(53.3%、令和6年10月1日現在)
老年人口(65歳以上)430,952人(34.8%、令和6年10月1日現在。全国的にも高い水準)
総面積4,131.22km²(令和8年4月1日時点。無人島を含め1,479の島がある)
総世帯数約56万世帯(令和8年6月1日現在で558,075世帯)
有人離島離島振興法の対象となる有人島51島(約11万人が居住)
名目県内総生産約4兆6,536億円(令和4年度)
1人当たり県民所得257万円(令和4年度)

推計人口・世帯数は長崎県「推計人口」(令和8年6月1日現在)、年齢別人口は長崎県年齢別推計人口調査結果|令和6年、県内総生産・県民所得は令和4年度県民経済計算による数値です。年齢3区分の割合は年齢不詳を除いて算出しているため、合計は一致しません。

数字から考えられる県政課題

長崎県は、全国でも早いペースで人口減少と高齢化が進む県です。老年人口の割合は34.8%(令和6年10月1日現在、前年比+0.3ポイント)に達し、市町別では小値賀町の53.2%が最も高く、大村市の26.3%が最も低いなど、地域による差も大きくなっています。

人口が離島・半島を含む広い県土に分散していることが、医療・介護、交通、教育などのサービスを支えるうえでの難しさにつながります

たとえば面接では、長崎県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「長崎県は約122万人が暮らしていますが、人口が減り続けていると聞きました。特に離島や半島では高齢化が全国より早く進んでいるので、島で暮らす人たちの医療や交通をどう守っていくかが大事だと感じています」

長崎県の経済・産業

経済・産業構造の概要

  • 令和4年度の名目県内総生産は約4兆6,536億円で、名目0.6%増・実質1.2%増(前年度比)と前年から増加した。
  • 1人当たり県民所得は257万円(令和4年度)で、県民所得の総額は約3兆2,974億円。
  • 造船業と、全国トップクラスの水産業を基幹産業とし、近年は半導体・航空機など成長産業の育成も進む。
  • 令和6年の観光消費額は4,587億円(前年比15.5%増)で、交流人口による経済効果も大きい。

つまり、「海と島を基盤とする水産・造船と、世界遺産や新幹線を活かした観光・交流」という二つの力で県経済が動いていることを押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:県民経済計算|令和4年度

水産業

長崎県は全国屈指の水産県です。漁業就業者数(人口千人あたり)は全国1位で、平成30年の海面漁業・養殖業産出額は996億円と北海道に次ぐ全国2位

ぶり類・たちうお・まだいなど、魚種別の漁獲量で全国1位の魚も多く、東シナ海と有明海など性格の異なる漁場を併せ持つのが強みです。ただし基礎となる統計は数年前のものが中心で、担い手の高齢化も進んでいます。

面接で一次産業や地域振興に触れるなら、「日本有数の水産県をどう次の世代へ引き継ぐか」という視点まで用意しておきましょう(出典:長崎県水産業振興基本計画(資料)

造船・ものづくりと成長産業

造船は長崎の近代化を支えてきた基幹産業で、いまも県内のものづくりの中核にあります。県はこれに加えて、半導体・航空機などの成長産業の育成と企業誘致を進めており、令和8年度の予算では、これらを「地域経済を力強くけん引する」柱として位置づけました。

若い世代に魅力のある雇用をどう県内に生み出すかが、人口の流出を食い止めるうえでも重要です。産業や雇用を志望分野にするなら、「長崎の稼ぐ力を支える産業を、どう次の成長につなげるか」という視点を持っておくと強くなります。

観光業

令和6年の観光客延べ数は3,080万人(前年比2.4%増)、延べ宿泊客数は748万人(同2.9%増)で4年連続の増加、観光消費額は4,587億円(同15.5%増)でした。外国人延べ宿泊客数は73万人(同34.5%増)に達し、クルーズ客船の入港も前年の133隻から247隻へと大きく増えています。

世界遺産や異国情緒あふれる街並み、離島など多彩な資源を持つ一方、日帰り客も多いため、いかに宿泊や県内・離島への周遊、地域内の消費へつなげるかが観光政策の焦点です(出典:長崎県観光統計|令和6年

交通・交流の基盤

長崎県は、令和4年9月に開業した西九州新幹線(長崎〜武雄温泉)を交流の新たな軸にしています。開業から2年間で約496万人が利用し、2年目の1日平均利用者数は約6,900人と1年目を上回りました。

一方で、武雄温泉〜新鳥栖間は整備方式が決まらず未着工で、武雄温泉駅での対面乗換(リレー方式)が続いており、全線フル規格による整備の早期実現が県の大きな論点です。交通を語るなら、新幹線や空港、離島航路といった交流の基盤を、人やモノを呼び込む地域振興の話につなげられると説得力が増します。(出典:西九州新幹線に関する資料|令和6年

長崎県の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、長崎県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口減少と離島・半島の高齢化

長崎県が県政の土台として掲げる第3期の総合戦略(令和8〜12年度)は、離島・半島地域で全国に先駆けて少子高齢化が進行していると認識しています。生まれる人が亡くなる人を下回る自然減に加え、進学や就職を機に若い世代が県外へ出ていく社会減も続いています。

子育て支援、教育、雇用、住まい、地域交通を関連付けながら、自然減・社会減の両面を改善し、関係人口や交流人口を呼び込む取り組みが求められます

災害への備え(地震・津波・火山)

長崎県では、地震・津波に加えて火山災害への備えも欠かせません。県の防災アセスメントは、想定される活断層型地震7ケースのうち、雲仙地溝北縁断層帯や大村−諫早北西付近断層帯など3ケースで震度6強以上を予測し、雲仙市・諫早市・長崎市などでは大きな揺れが想定されています。

橘湾や大村湾の沿岸には津波の浸水想定があり、雲仙・普賢岳の溶岩ドーム崩壊リスクも指摘されています。地域ごとに異なる災害に、日頃からどう備えるかが問われます(参考:長崎県地震等防災アセスメント調査報告書

産業の担い手確保と「稼ぐ力」の向上

水産業や農林業、造船といった長崎の基幹産業では、担い手の高齢化と人手不足が共通の課題です。県は半導体・航空機などの成長産業の育成や、農林水産業のスマート化・高付加価値化を進め、地域資源の価値を高めて「稼ぐ」力を強めようとしています。

人を呼び込み、育て、生産性を高める取り組みを重ねられるかが、県経済の将来を左右します

観光・交流人口の受け入れと拡大

クルーズ客船の入港増や西九州新幹線の開業を背景に、観光・交流の需要は回復しています。令和6年の外国人延べ宿泊客数は前年比34.5%増と伸びており、この動きを一時のものに終わらせず、日帰り中心の構造を宿泊や離島への周遊へ広げることが課題です。受け入れの環境整備と、地域に落ちる消費の拡大を、どう両立させるかが問われます。

離島の生活基盤の維持と地域間の違い

長崎県は、長崎・西彼、県央、島原半島、県北、五島、壱岐、対馬といった地域ごとに、人口動向や産業、交通事情が大きく異なります。とりわけ離島では、医療・交通・教育などの生活基盤の維持が切実な課題です。県は地域別の取り組みを整理し、それぞれの実情に応じた活性化を進めています。「取り組みたい仕事」を考えるときも、どの地域のどんな課題を想定しているのかまで具体化しておくと、回答に説得力が出ます。

長崎県の重点政策|長崎県総合計画 みんなの未来図2030

長崎県の最上位計画は「長崎県総合計画 みんなの未来図2030」(令和7年11月策定)です。10年後の長崎県の将来像を見据えたうえで、令和8年度から令和12年度までの5年間の政策の方向性を戦略的に示すものとして策定されました。(出典:長崎県総合計画 みんなの未来図2030

計画を貫く考え方

計画が掲げる基本理念は「ながさきの誇りと希望を力に、みんなで夢あふれる未来をひらく」です。

歴史や自然、食、離島といった長崎ならではの資源を「誇り」として磨き、次の世代へつないでいくという考え方が土台にあります。受験生としては、①こどもの育ちと学び、②誰もが自分らしく暮らせる社会、③時代に対応した産業、④歴史・文化・食を活かした交流、⑤災害に強い安全・安心な地域、という具体像で理解しておくとよいでしょう。

五つの柱と10年後のめざす姿

計画は、基本理念を政策分野別に「こども」「くらし」「しごと」「にぎわい」「まち」の五つの柱に立て、それぞれに10年後のめざす姿を示しています。自分のやりたい仕事がどの柱に位置づくのかを考える手がかりになります。

10年後にめざす姿の方向性
こどもこどもが安全・安心に健やかに成長し、個性や能力を発揮して多様な選択と活躍ができる社会
くらし多様な価値観や個性が尊重され、誰もが自分らしく健康で安心して暮らせる社会
しごと新しい時代に対応した産業の振興で、地域経済の持続的発展を支える力強い産業
にぎわい歴史・文化・自然・食など多様な資源を活かし、国内外から人々が各地域に集う社会
まち激甚化する災害から命と財産を守る、安全・安心で持続可能なインフラを備えた地域

面接では、自分の取り組みたい仕事がどの柱に位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。

令和8年度の県政運営のポイント

令和8年度は知事選挙の年にあたるため、当初予算は重要な政策的経費を除いた骨格予算として編成され、選挙後の6月補正予算(肉付け予算)で重点施策が計上されました。6月補正後の一般会計は7,787億円(前年度当初比6.0%増)で、7,700億円を超えるのは平成15年度以来23年ぶりの水準です。

6月補正予算の基本方針は、「地域経済の基盤をつくる」「地域を残していく」「未来を担う人材を育てていく」の3本柱で、成長産業の育成や農林水産業のスマート化、医療・福祉・介護の充実、切れ目のない子育て支援などが盛り込まれています。

POINT|五つの柱をすべて暗記しなくてよい

柱や施策の名称をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態を目指すか → ③現在の取組 → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。

悪い例「長崎県の観光振興に携わりたいです」

改善例「まずは県職員として、地域を回って現場の声を聞くことから始めたいです。その上で、長崎はクルーズ船や新幹線でお客さんが増えていますので、日帰りが多い観光を宿泊や離島への周遊につなげる仕事に取り組みたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 長崎県職員採用試験の受験案内・試験案内/長崎県職員採用サイト
  • 長崎県総合計画 みんなの未来図2030(ダイジェスト版・概要版)
  • 最新年度の当初予算・6月補正予算の概要/関心分野の個別計画
  • 長崎県の統計資料(人口・産業・観光などを分野別に収録)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、長崎県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。長崎県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

長崎県庁の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

長崎県の面接の概要

ここからは、長崎県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

長崎県の面接の流れ

長崎県の大学卒業程度B試験(行政B)は、最終合格者を第2次試験の得点だけで決め、第1次試験の得点を持ち越さない人物重視の試験です。第1次試験は基礎能力検査と性格検査(SPI3)で、いわゆる公務員試験型の教養試験は課されません。

筆記の負担が比較的軽い分、第2次試験の準備がそのまま合否に直結します

項目内容(令和8年度・大学卒業程度B試験〈行政B〉)
試験の段階第1次試験(基礎能力検査+性格検査〈SPI3〉)→ 第2次試験(人物試験・論文試験・適性検査)。最終合格者は第2次試験の得点順に決定され、第1次試験の得点は反映されない
第1次試験の内容基礎能力検査と性格検査(SPI3)。公務員試験型の教養試験は課されない(性格検査は配点なしで第2次試験の参考資料)
人物試験の形式人柄等についての個別面接。従来のグループワークは廃止され、人物試験は面接のみ
第2次試験の配点人物試験600点+論文試験180点(1,200字・90分)+適性検査(配点なし)。第2次試験は780点満点
提出書類「面接カード」等の独立した名称ではなく、第1次試験合格後に採用システムのマイページで「エントリー情報の追加入力」を行う
採用予定数行政Bは約48名(変更となる場合あり)

注目してほしいのは配点の偏りです。第2次試験780点のうち人物試験だけで600点と、全体の約77%が面接に集中しています。用意した答えを言えるかではなく、掘り下げられても自分の言葉で答え続けられるかが問われる構造だと言えます。

なお、A試験では第1次試験で教養試験・専門試験が課され、第2次試験は人物試験・論文試験(又は専門論述試験)・適性検査で構成されます。A試験でもグループワークは廃止され人物試験は面接のみですが、各試験の配点は最新の受験案内で確認してください。

上記の試験構成は、長崎県人事委員会の令和8年度受験案内にもとづく大学卒業程度B試験(行政B)のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(参考:長崎県職員採用試験の受験案内(B試験)

長崎県が評価の手がかりとする方向性

長崎県は、本記事の執筆時点で確認できる令和8年度の受験案内や採用のお知らせのページに、「求める職員像」を短いスローガンの形では大きく掲げていません。手がかりになるのは、県が総合計画で示している基本姿勢です。「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」「多様な主体との連携・協働」「『稼ぐ』視点」といった姿勢からは、県民に寄り添い、多様な人と協働しながら、自ら地域の価値を高めていく職員が求められていることが読み取れます。自己PRでも、「積極性があります」と述べるだけでなく、その力を使って何を行い、周囲や相手にどんな変化をもたらしたのかまで説明しましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。長崎県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ長崎県で働きたいのですか?「県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか
③ 自己理解あなたの長所と短所を教えてください自分を客観視できているか。短所への向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も力を入れて取り組んだことは何ですか?過去の行動から、入庁後にも再現できる強みを確かめています
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れた勉強や活動を教えてください自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか
⑥ 適性・将来どんな県職員になりたいですか?働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し
⑦ 公共性・社会性最近気になっている社会の出来事はありますか?社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点

ただし、この7カテゴリーは長崎県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「長崎県ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「長崎県ならでは」の質問

「なぜ市役所や県内の他の自治体ではなく、県庁を志望するのですか」
「長崎県の課題は何だと思いますか。あなたならどう取り組みますか」

どちらも、長崎県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「長崎県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい長崎県の事実答え方のヒント
人口減少・離島の高齢化令和8年6月1日現在の推計人口は約122万人。老年人口の割合は34.8%(令和6年10月1日現在)と高く、離島・半島では全国に先駆けて少子高齢化が進む「島しょ県ならではの高齢化」という長崎固有の切り口を押さえ、暮らしや交通を守る取組に自分の関心を結び付けると土台になります
県の総合計画「長崎県総合計画 みんなの未来図2030」(令和7年11月策定、令和8〜12年度)。「こども」「くらし」「しごと」「にぎわい」「まち」の五つの柱で構成やりたい仕事を五つの柱のどれかに位置づけて話すと、県の方向性を踏まえた志望に見えます
水産業・一次産業漁業就業者数(人口千人あたり)は全国1位、海面漁業・養殖業産出額は北海道に次ぐ全国2位(平成30年)。担い手の高齢化が課題日本有数の水産県という強みと担い手不足をセットで語り、次の世代へどうつなぐかまで踏み込めると差がつきます
観光・交流令和6年の観光客延べ数は約3,080万人、外国人延べ宿泊客数は前年比34.5%増。西九州新幹線は令和4年9月に開業回復するインバウンドや新幹線の効果を、日帰りから宿泊・離島周遊へ広げる視点に結び付けると具体的になります
防災・危機管理想定活断層型地震7ケースのうち3ケースで震度6強以上を予測。雲仙・普賢岳の火山災害の記憶もある地震・津波・火山という複数の災害がある長崎の備えに触れ、日頃の訓練や情報伝達など自分にできる行動へつなげます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、県が重んじる方向性に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
県民に寄り添う姿勢立場や背景の違う相手に配慮して動いた経験があるか県が掲げる「ダイバーシティ&インクルージョン」を念頭に、相手の事情に合わせて動いた具体例を言葉にする
主体性・挑戦する力自分から課題を見つけ、工夫して前に進めた経験があるか自分から課題を見つけて前に進めた経験を、みんなの未来図2030の「しごと」や「にぎわい」づくりの発想につないで話せるようにする
連携・協働の力多様な立場の人と力を合わせて物事を進めた経験があるか県が重んじる「多様な主体との連携・協働」を踏まえ、周囲と意見を調整してまとめた具体例を用意する

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和8年度の受験案内を読み、受験する区分の試験の段階と、提出書類(採用システムのマイページでの「エントリー情報の追加入力」)の内容を確認する
  2. 高校・大学生活やこれまでの経験を振り返り、学業・課外活動・アルバイトなどから、自分の言葉で語れる具体例を一つずつ書き出す
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い長崎県の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の振り返りと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、長崎県庁専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

長崎県の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

長崎県庁の想定問答集を見る

さいごに

長崎県は、全国に先駆けて人口減少と高齢化が進み、離島・半島という他県にはない条件を抱えながら、水産・造船や観光・交流といった海と島の強みで前へ進もうとしている県です。

だからこそ面接では、「長崎の何を残し、どう活かしたいのか」を、あなた自身の経験と結び付けて語れるかが問われます。

B試験では第1次試験の得点が最終合格に持ち越されず、人物試験が第2次試験の配点の大半を占めます。裏を返せば、面接の準備に力を注いだ人ほど報われる試験だということです

この記事で押さえた長崎県の事実を手がかりに、自分の言葉で答えられる形を一つずつ用意していきましょう。