本記事では、長崎県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、長崎県警察の特徴・基礎データ・県内の治安情勢・基本姿勢と令和8年運営指針・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
長崎県警察の面接試験では、「なぜ長崎県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。長崎県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、長崎県の事情に即した説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と長崎県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|組織研究編
長崎県警察の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは長崎県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 長崎県全域を管轄し、管轄人口は約122万人(令和8年6月1日現在の推計人口1,222,582人・558,075世帯)。(出典:長崎県の推計人口|令和8年6月1日現在)
- 県土の面積は4,131.22平方キロメートル(令和8年4月1日時点・国土地理院の面積調)。この面積そのものよりも、県土がどう分かれているかが長崎県警察の仕事を特徴づけています。
- 県内には無人島を含めて1,479の島々があり、離島振興対策実施地域の指定を受けた有人島は51島。その島々で約11万人が生活しています。人口の分散した県土に警察力を届けるという前提が、他県と大きく異なります。(出典:ながさきの離島|長崎県)
- 県警本部は長崎市尾上町3番3号に置かれ、内部部局は警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部の6部で構成されています。交番や駐在所、パトカーによる第一線の活動を所管する地域部が独立して置かれている点は、集落が島と半島に散らばる県土を考えるうえで押さえておきたい構造です。
- 令和7年(2025年)の刑法犯認知件数は4,209件で、前年から約5%増えました。検挙率は59%です。件数は全国的に見て少ない部類、検挙率は高い部類に入ります。
- 過去の論文試験では、「長崎県は全国でも犯罪が少ない県ですが、これからもこのような長崎県であるためには、警察としてどのような取り組みが必要か」(令和2年度・警察官Ⅰ類)と出題されています。少ないという現状を守り続けること自体を課題として受験者に問うのが、この県警察の構えです。
- 県内の高齢化率は34.8%(令和6年10月1日現在)。市町別では小値賀町の53.2%が最も高く、大村市の26.3%が最も低く、同じ県のなかで地域差が大きいことがわかります。(出典:長崎県年齢別推計人口調査|令和6年)
- 雲仙地溝南縁にある断層帯が連動した場合、県の想定では橘湾と有明海の沿岸に最大4分から10分で津波が到達するとされています。逃げる時間が極端に短い場所を抱えているという事実は、警備部門を志望するかどうかにかかわらず知っておきたい前提です。
長崎県警察の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「長崎県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、管轄する県土と人口、本部の組織、犯罪情勢など、組織の置かれた環境を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄区域 | 長崎県全域 |
| 管轄人口 | 約122万人(令和8年6月1日現在の推計人口1,222,582人) |
| 管轄面積 | 4,131.22平方キロメートル(令和8年4月1日時点) |
| 県内の島の数 | 1,479島(無人島を含む)。うち離島振興対策実施地域の有人島51島に約11万人 |
| 県警本部の所在地 | 長崎市尾上町3番3号 |
| 本部の組織 | 警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部の6部 |
| 刑法犯認知件数 | 4,209件(令和7年・前年比約5%増) |
| 刑法犯検挙率 | 59%(令和7年) |
| 県内の高齢化率 | 34.8%(令和6年10月1日現在) |
管轄人口は長崎県の推計人口(令和8年6月1日現在)、面積は国土地理院の全国都道府県市区町村別面積調(令和8年4月1日時点)、島の数と有人島の人口は長崎県公式サイト「ながさきの離島」、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は令和7年の犯罪統計(確定値)、高齢化率は長崎県年齢別推計人口調査(令和6年10月1日現在)にもとづく数値です。警察署・交番・駐在所の設置数や職員数はこの記事では扱っていないため、必要な方は長崎県警察の公表資料をご確認ください。
数字から考えられる治安課題
長崎県警察の数字は、少し独特の読み方を求めます。
人口約122万人の県で刑法犯の認知件数が4,209件(令和7年)という水準は、全国的に見れば少ない部類です。そのうえ検挙率は59%で、認知された事件のおよそ6割で犯人にたどり着いている計算になります。
「件数が少ない」ことと「検挙率が高い」ことを同時に成り立たせてきたのが、この県警察の到達点です。
ところが、その令和7年の件数は前年から約5%増えています。
長く保たれてきた水準が動き始めているという読み方ができます。
面接では、少ないという事実を前置きで済ませずに、守ってきた側の視点で語れるかどうかで印象が変わります。
たとえば県内の治安について聞かれたときは、次のように件数と検挙の状況をつないで説明できます。
長崎県の治安情勢
刑法犯認知件数と検挙の状況
令和7年の県内の刑法犯認知件数は4,209件で、前年から約5%の増加でした。
水準そのものは他県と比べて低いものの、方向としては増える側に振れています。
あわせて刑法犯全体の検挙率は59%で、こちらは全国的に見ても高い部類に入る数字です。
面接で治安を語るときは、この二つを切り離さないでください。
検挙率が6割近いということは、届出を受けてから犯人を割り出すまでの捜査が、限られた人員のなかで働いているということです。
一方で、認知件数が増えれば捜査の量も増えます。今の水準を保ったまま増加をどう押し返すかが、当面の勝負どころになります。
主な罪種の内訳
島ごとに暮らしの条件が違う県でも、犯罪の統計は一つの合計にまとめられます。令和7年の4,209件について、5つの罪種の内訳を見ます。
| 主な罪種(令和7年・認知件数) | 件数 |
|---|---|
| 殺人 | 3件 |
| 強盗 | 2件 |
| 侵入盗 | 216件 |
| 自動車盗 | 7件 |
| ひったくり | 0件 |
強盗は年間2件、ひったくりに至っては認知が1件もありません。路上で見知らぬ相手に襲われるという類型の犯罪は、長崎県ではきわめて限られています。
一方で存在感を持つのが侵入盗の216件です。住まいや事業所に入り込む盗みが、県内の身近な犯罪の中心にあるということになります。
鍵かけの呼びかけ、留守がちな家や集落の見回り、住民との日常的な情報のやり取りといった、地道な積み重ねがそのまま数字に返ってくる領域です。
ニセ電話詐欺という呼び方
長崎県警察は、令和4年1月から「特殊詐欺」を「ニセ電話詐欺」と呼び替えて広報・啓発を行っています。
「特殊詐欺」という言い方は制度上の用語としては正確ですが、電話の相手が名乗る肩書きこそが偽物だという肝心の点は、耳で聞いただけでは伝わりません。
呼び方を変えるという判断は、伝わらなければ被害は防げないという考え方の表れだと読めます。(出典:ニセ電話詐欺|長崎県警察)
この呼称は、令和8年の運営指針でも項目名の先頭に置かれています。県警察が今どこに力を入れているかを一言で示す材料として、面接でも使いやすい事実です。
人口減少と、島に分かれて暮らす県
治安の土台になるのは、地域に人がいることです。その前提が長崎県では大きく動いています。
令和6年10月1日現在の年齢3区分別の割合は、年少人口(0歳から14歳)が12.0%、生産年齢人口(15歳から64歳)が53.3%、老年人口(65歳以上)が34.8%。
前年と比べると年少人口が0.2ポイント、生産年齢人口が0.1ポイント下がり、老年人口が0.3ポイント上がりました。
この数字が、県警察の仕事の複数の場面に効いてきます。
ニセ電話詐欺の被害防止、高齢の歩行者や運転者が関わる交通事故の抑止、そして防犯ボランティアや自主防災組織といった地域活動の担い手の確保です。
しかも高齢化の度合いは県内で一様ではありません。小値賀町の53.2%と大村市の26.3%では、同じ県のなかでも警察に求められるものが違ってきます。
県自身も、第3期長崎県まち・ひと・しごと創生総合戦略(令和8年度から令和12年度)で、離島・半島地域において全国に先駆けて少子高齢化が進んでいることを課題として挙げています。県全体の課題認識と県警察の重点が同じ方向を向いていることは、押さえておいて損はありません。
県外と海外から人が入ってくる県
住んでいる人は減っていても、県内を行き交う人が減っているわけではありません。令和6年の観光統計では、観光客延べ数が30,804,676人で前年比2.4%の増加、延べ宿泊客数が7,483,382人で同2.9%増と4年連続の増加、観光消費額が4,587億円で同15.5%増でした。(出典:長崎県観光統計|令和6年)
目を引くのは海からの流入です。同じ令和6年の外国人延べ宿泊客数は732,186人で前年比34.5%増。
クルーズ客船の入港実績も、133隻だった前年から247隻へとほぼ倍増しました。6月に佐世保港浦頭地区のターミナルが供用を開始したことも背景にあります。
陸路も同じ方向です。
令和4年9月に開業した西九州新幹線は、開業から2年間で約496万人に利用され、2年目の1日平均利用者は約6,900人と1年目の約6,600人を上回りました。
港に大型船が着き、新幹線で人が入ってくる県では、雑踏の安全確保や交通の誘導、外国語での対応が日常の業務に含まれます。
長崎県の主な治安課題
ここまでの数字を踏まえると、長崎県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「長崎県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを整理しておきましょう。
少ない件数と高い検挙率を保ち続けること
犯罪が少ない県であることは、住民にとっての財産です。しかしそれは、放っておいて続くものではありません。
令和7年の認知件数が前年から約5%増えたという事実は、統計の小さな揺れにとどまらず、この財産が減りうるという合図でもあります。
過去の論文試験が「これからもこのような長崎県であるためには」と問うたのは、まさにこの点です。
検挙率59%を維持しながら、増加分をどこで押し返すのか。守る側に回った組織の難しさが、この県警察の課題の出発点にあります。
ニセ電話詐欺の抑止と高齢者の被害防止
令和8年の運営指針は、ニセ電話詐欺を始めとする犯罪の抑止対策と、人身安全関連事案への的確な対処を筆頭の項目に置いています。
高齢化率34.8%(令和6年10月1日現在)という県の姿を重ねると、電話をかけられる側の層が厚いことがわかります。
しかも島や半島には、家族と離れて暮らす高齢者が少なくありません。
金融機関やコンビニエンスストアと連携した水際の対策に加えて、集落の一軒一軒に情報を届ける地道な広報が、この県では効き目を持ちます。呼称を変えてまで伝わり方にこだわった県警察の姿勢は、ここにつながっています。
サイバー空間の脅威への対処
運営指針の第2項目は、サイバー空間の脅威への的確な対処です。
詐欺の入口が電話からSNSやメッセージアプリへ広がり、被害の相手が県外や国外にいることも珍しくなくなりました。
距離が意味を持たない領域である以上、人口規模の小さい県だから被害も小さいという話にはなりません。
過去の論文試験でも違法薬物や児童虐待といったテーマが資料つきで出題されており、受験者に社会の変化を読む力を求める傾向が見て取れます。情報系の学習経験がある人にとっては、志望動機と結びつけやすい分野です。
交通死亡事故の抑止と飲酒運転の根絶
運営指針の第4項目は、交通死亡事故・重傷事故抑止対策の推進と飲酒運転の根絶です。
死亡事故だけでなく重傷事故まで抑止の対象に掲げ、さらに飲酒運転の根絶を独立して書き込んでいる点に、長崎県警察が交通分野に置いている比重が表れています。
過去の論文試験でも、歩行者の交通死亡重傷事故(令和5年度)や小学生の自転車乗用中の事故(令和4年度)が資料つきで出題されました。高齢の歩行者が多い地域と、観光や新幹線で県外から入ってくる運転者が交わる県土であることを踏まえると、取締りと教育のどちらか一方では動かない領域だとわかります。
島と沿岸を抱えた県土での災害・緊急事態への備え
運営指針の第5項目は、治安情勢の変化や緊急事態への的確な対処です。
県の地域防災計画関連資料(地震被害想定は平成18年の調査に基づく)によれば、県内に影響を及ぼす想定活断層型地震7ケースのうち、震度6強以上が予測される雲仙地溝北縁断層帯、雲仙地溝南縁東部断層帯と西部断層帯の連動、大村-諫早北西付近断層帯の3ケースが詳細な被害想定の対象とされています。
震度6弱以上となるのは雲仙市・諫早市・島原市・南島原市・長崎市・大村市などで、南縁の断層帯が連動して動いたときは、長崎市と諫早市の境界にあたる地盤の軟弱な一帯に震度7の区域が生じると見込まれています。(出典:長崎県地域防災計画関連資料|地震被害想定(平成18年調査)・津波浸水想定(平成28年))
津波の想定(平成28年の津波浸水想定)はさらに切迫しています。
橘湾と有明海の沿岸には最大4分から10分で到達し、大村湾沿岸でも東彼杵町18分、大村市21分と見込まれています。あわせて、雲仙・普賢岳では溶岩ドームの崩壊も危険要因として挙げられています。
避難の呼びかけ、道路の規制、行方不明者の捜索といった仕事が、島と沿岸に分かれた県土のなかで同時に立ち上がる可能性があるということです。
重点方針|基本姿勢及び令和8年運営指針
長崎県警察は、組織の基本姿勢と毎年の運営指針を、『長崎県警察における基本姿勢及び令和8年運営指針』として公表しています。名義は長崎県公安委員会と長崎県警察の連名で、掲げられている基本姿勢は「県民の期待と信頼に応える 力強い警察 ~安全で安心な長崎県のために~」です。(出典:長崎県警察の基本姿勢及び運営指針|令和8年)
基本姿勢を貫く考え方
この基本姿勢で目を引くのは、「期待」と「信頼」が並べて置かれていることです。
期待はこれから何をしてくれるかへの見通しであり、信頼はこれまでの積み重ねに対する評価です。
その両方に応えると掲げた以上、目の前の事案を解決するだけでは足りません。日々の仕事で信頼を積み直しながら、次に寄せられる期待にも応えていく、という意味になります。
刑法犯が少なく検挙率が高いという県の姿は、まさに信頼の側に積み上がってきたものです。
そして「力強い」という言葉が続きます。犯罪が少ない県だから穏やかに構えていればよい、という話ではないと読めます。
令和8年運営指針の6項目
運営指針は次の6項目です。あわせて、それぞれの項目が指している内容を受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕きました。
| 運営指針(公式の項目名) | 受験生向けの解説 |
|---|---|
| ① ニセ電話詐欺を始めとする犯罪の抑止対策の推進と人身安全関連事案等への的確な対処 | 事件が起きる前に止める柱。県警察が令和4年から呼び方を変えて呼びかけてきたニセ電話詐欺の被害防止と、ストーカーやDV、児童虐待のように命や身体に危害が及ぶおそれのある事案への対応が一つの項目にまとめられている |
| ② サイバー空間の脅威への的確な対処 | 詐欺も嫌がらせも入口がインターネットに移っている現状への対応。捜査の技術だけでなく、被害に遭わないための情報発信までを含めて考える柱 |
| ③ 悪質・重要犯罪の徹底検挙と組織犯罪対策の推進 | 検挙率59%という水準を支えている柱。殺人などの重大事件の検挙と、暴力団をはじめとする組織的な犯罪への対策が並ぶ |
| ④ 交通死亡事故・重傷事故抑止対策の推進と飲酒運転の根絶 | 交通分野の柱。取締りと交通安全教育の両方を通じて、命に関わる事故と後遺症の残る事故の双方を減らし、飲酒運転はゼロにするという立て方になっている |
| ⑤ 治安情勢の変化や緊急事態への的確な対処 | 地震や津波、豪雨といった災害、テロ、大規模行事など、平時とは違う事態への備え。応援や資機材の移動そのものに時間がかかる県土であることが前提になる |
| ⑥ 活力に満ちた魅力ある職場環境の確立 | 組織の中を向いた柱。人材の確保と育成、働きやすさの改善など、警察力を維持するための土台に当たる |
ここで一つ、長崎県警察に固有の事情があります。
公表されている資料は1ページのポスター形式で、基本姿勢と6項目の掲出にとどまり、各項目の取組内容や数値目標までは公表されていません。
他県のように推進事項の本文を読み込むという準備ができない代わりに、項目名から中身を自分で組み立てる余地が残されているということでもあります。ここまでの章で見た数字が、そのまま中身を埋める材料になります。
POINT|6項目をすべて暗記しなくてよい
項目名を覚えることが組織研究の目的ではありません。関心のある項目を1〜2つ選び、「①県内で何が起きているか(数字) → ②県警察はどこに力を入れようとしているか(運営指針) → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順で組み立てましょう。
悪い例「長崎の安全を守れる警察官になりたいです」
改善例「まずは交番や駐在所の勤務で、地域の方の顔と名前を覚えるところから地道に頑張りたいです。その上で、長崎は65歳以上の方が3割を超えていて、島や半島で暮らしている方も多いと聞きました。ですので、ニセ電話詐欺の被害を防ぐ声かけや、お年寄りに届く交通安全の呼びかけに力を入れていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。
- 警察官採用試験の受験案内(受験区分・試験種目・配点・受験資格・申込方法)
- 採用試験の変更に関する告知ページ(年齢の上限や体力試験の種目の見直しが案内されています)
- 長崎県警察の基本姿勢及び令和8年運営指針(基本姿勢と6項目)
- 犯罪統計・交通事故統計のページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、長崎県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。長崎県警察の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
長崎県警察の面接の概要
ここからは、長崎県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
長崎県警察の面接の流れ
長崎県警察・警察官採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階です。令和8年度の警察官1類Bについて公表されている構成と、1類A・3類について分かっている範囲は、次の表のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験の2段階 |
| 第1次試験(1類B・令和8年度) | 基礎能力検査と性格検査(SPI3)。テストセンター会場で受験し、リアル会場とオンラインを選択できる |
| 第2次試験(1類B・令和8年度) | 人物試験、論文試験、身体等検査、体力試験、適性検査 |
| 第2次試験(1類A・3類) | 体力試験、人物試験、論(作)文試験が行われる |
| 論(作)文試験の形式 | 1類は論文・60分・800字以下、3類は作文・60分・800字以下(過去の出題にもとづく) |
| 人物試験の形式・回数 | 個別面接か集団面接か、面接の回数は公式の採用告知ページでは公表されておらず、受験案内に記載 |
| 各種目の配点 | 同じく受験案内に記載。人物試験の比重は最新の受験案内で確認 |
この構成から読み取れることが二つあります。一つ目は、1類Bの第1次試験が基礎能力検査と性格検査で構成されている点です。
公務員試験特有の科目に長い時間を割かなくても出願できる形である一方、人物試験・論文試験・体力試験・身体等検査が第2次試験にまとめて置かれています。
第1次を通ってから面接の準備を始めるのでは、種目の数に対して時間が足りません。(出典:長崎県警察官1類B採用試験|令和8年度)
二つ目は、区分によって確認すべき資料が分かれていることです。
1類Bの試験構成は県の採用告知ページに、1類Aと3類の第2次試験で体力試験・人物試験・論(作)文試験が行われることは県警察の採用ページに、それぞれ案内されています。
自分がどの区分で出願するのかをはっきりさせないまま読み進めると、別の区分の情報を自分のものと取り違えてしまいます。(参考:警察官採用案内|長崎県警察)
上記は、長崎県および長崎県警察が公表している令和8年度の採用告知ページ(2026年7月時点)にもとづく内容です。人物試験の形式(個別面接か集団面接か、集団討論の有無、面接の回数)、各試験種目の配点、提出書類の名称は、これらの告知ページには記載がなく、受験案内に記載されている旨が示されています。また、県警察には警察官・警察事務職員の採用試験の変更(年齢の上限の引上げ、体力試験の種目の見直しなど)を告知するページが設けられています。試験の構成・種目・配点・受験資格等は年度や受験区分によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身の区分の最新の受験案内でご確認ください。
長崎県警察が求める人材
長崎県警察は、採用のページに「求める人物像」として定式化した文言を掲げていません。そのため、公表された言葉から人物像を読み解く必要があります。
最も確かな手がかりが、基本姿勢の「県民の期待と信頼に応える 力強い警察」です。
採用試験のために書かれた言葉ではありませんが、組織が自分たちの立ち位置を県民に向けて宣言した文言である以上、準備の物差しとしてはこれ以上のものはありません。
もう一つの手がかりが、論文・作文の出題テーマです。
長崎県警察は令和6年度の警察官Ⅰ類で、「長崎県警察は『県民の期待と信頼に応える力強い警察』を基本姿勢としています。そこで、県民が警察に寄せる『期待と信頼』とはどのようなものか説明した上で、それらに応えるためにどのような取り組みが必要か」と出題しました。
3類の作文でも「県民が警察官に求めているもの」(令和6年度)、「県民が警察官に寄せる期待と私が目指す警察官像」(令和2年度)が出されています。基本姿勢の言葉を受験者に説明させているわけです。記述式の準備を面接の準備と切り離さないでください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。長崎県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく、なぜ警察官なのですか? | 他の進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性 |
| ③ 自己理解 | あなたの強み(自己PR)を教えてください | 自分の強みを、警察の仕事の場面と結びつけて説明できているか |
| ④ 経験・行動 | 学生時代に最も力を入れたことは何ですか? | 実績の大きさではなく、実際にとった行動の事実と、そこから学ぶ姿勢 |
| ⑤ 学業・経歴 | 専攻分野(学科・コース)を選んだ理由を教えてください | 自分の選択を順序立てて話せるか。意思決定の一貫性 |
| ⑥ 適性・将来 | 体力に自信はありますか? | 交替制勤務や訓練に耐える体力の裏づけと、日頃の健康管理の習慣 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 警察官に最も必要な資質は何だと思いますか? | 職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識 |
ただし、この7カテゴリーは長崎県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在することをあらかじめ知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。
合否を分けるのは長崎県でしか聞かれない質問
どちらも、長崎県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。
逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「長崎県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい長崎県警察の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 治安の現状 | 令和7年の刑法犯認知件数は4,209件で前年比約5%増。検挙率は59%。罪種では侵入盗216件に対し、強盗2件、ひったくり0件 | 件数の少なさだけを述べると、どの受験者とも変わらない現状認識に聞こえてしまう。検挙率59%という守りの強さと、前年より増えたという事実を並べ、守ってきた側の視点で語ると現状認識の確かさが伝わる |
| 志望動機・やりたい仕事 | 令和8年の運営指針は6項目。ニセ電話詐欺と人身安全、サイバー、悪質・重要犯罪と組織犯罪、交通死亡事故と飲酒運転の根絶、緊急事態への対処、職場環境 | 各項目の取組内容は公表されていない。だからこそ「この項目で自分は何をしたいのか」まで自分で埋めた形で話すと、資料を眺めただけの受験者と差がつく |
| なぜ長崎県警察なのか | 県内には無人島を含め1,479の島があり、有人島51島の人口は約11万人。令和6年10月1日現在の高齢化率は34.8%で、市町別では小値賀町53.2%、大村市26.3% | 地元だからで止めない。人が分散して住む県土で交番や駐在所がどんな役割を負うのかまで踏み込むと、長崎を選んだ理由として成立する |
| ニセ電話詐欺への関心 | 長崎県警察は令和4年1月から特殊詐欺を「ニセ電話詐欺」と呼び替えて広報している。運営指針でも項目の先頭に置かれている | 呼び方を変えた狙いを自分なりに説明できると強い。伝わらなければ防げないという発想は、広報や地域の声かけへの関心につながる |
| 災害への備え | 雲仙地溝南縁にある断層帯の連動地震では、県の想定で橘湾と有明海の沿岸に最大4分から10分で津波が到達。大村湾沿岸は東彼杵町18分、大村市21分 | 到達までの時間の短さが要点。避難の呼びかけと交通の規制を誰がどの順で動かすのかという関心につなげると、警備や地域の仕事の理解として伝わる |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 警察官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、組織が掲げた言葉に照らして、「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 期待に応える=先を読んで動く | 言われる前に気づいて動いた場面があるか。そのときの判断の理由を説明できるか | 令和6年度の論文は「県民が警察に寄せる期待と信頼とは何か」を説明させている。まず自分の答えを一文で書き、それを裏づける行動を一つ添えておく |
| 信頼に応える=積み重ねを守る | 面倒な役割や決まりごとを、人が見ていない場面でも続けられたか | 令和7年の検挙率59%という水準は、一件ごとの仕事の結果として積み上がったもの。半年以上続けた役割や習慣を一つ選び、続けるための工夫まで話せる状態にしておく |
| 力強さ=厳しい場面に踏みとどまる | 苦しい状況から逃げなかったか。体力面の裏づけがあるか | 第2次試験には体力試験が置かれ、種目の見直しを告知するページも公式に設けられている。運動の中身と続けている期間を数字で言える状態にしておく |
| 地域に根づく=分散した暮らしに向き合う | 年齢や立場の違う相手と、関係を保ちながら物事を進められるか | 約11万人が生活する有人島51島を抱える県では、駐在所の警察官が住民の日常のただ中で働く。世代の違う人と長く関わった場面を選び、そこで自分が言葉や進め方をどう変えたかまで語れるようにする |
評価の観点の4項目は、長崎県公安委員会と長崎県警察が連名で掲げる基本姿勢「県民の期待と信頼に応える 力強い警察」を、当研究会が面接対策用に翻訳したものです。長崎県警察が「求める人物像」として公表している文言ではありません。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内を取り寄せて読み、自分が出願する区分の試験種目・配点・提出書類・申込方法を確認する。1類A・1類B・3類で案内の掲載先が分かれているため、どの区分の記載を見ているのかを最初にはっきりさせる
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、行動の事実を話せる出来事を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自前の言葉に置き換えておく
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む。長崎県警察が論文と作文で繰り返し問うてきた「県民の期待と信頼」は面接の質問とも重なるため、記述の準備がそのまま面接の材料になる
- 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。あわせて、第2次試験に体力試験が置かれていること、種目の見直しが告知されていることを踏まえ、運動と生活リズムづくりを筆記の勉強と同じ時期から並行して進める
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で組織の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、長崎県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
長崎県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。本番までの残り日数が少ない場合は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。
さいごに
長崎県警察の採用試験は、1類Bであれば第1次が基礎能力検査と性格検査の組み合わせで、公務員試験特有の科目に長く時間を割かなくても出願できる形になっています。そのぶん、人物試験と論文試験、体力試験、身体等検査が第2次試験にまとまって置かれ、そこでの評価が結果を左右します。
この県警察が論文と作文で繰り返し受験者に書かせてきたのは、県民が警察に寄せる期待と信頼とは何か、という問いでした。同じ問いが、形を変えて面接にも出てきます。
令和7年の刑法犯4,209件、検挙率59%という数字の裏側には、島と半島に散らばる駐在所や交番で積み重ねられてきた一件ごとの仕事があります。
その積み重ねに自分がどう加わりたいのかを、部活動やアルバイトのような身近な経験の言葉で説明できる状態にして、当日を迎えてください。