本記事では、山口県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、山口県警察の特徴基礎データ県内の治安情勢重点方針面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

山口県警察の面接試験では、「なぜ山口県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。山口県内の治安の現状と県警察が掲げる方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、山口県の実情に即した説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と山口県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

山口県警察の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは山口県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 山口県全域を管轄し、管轄人口は約125万人。県の推計人口は1,252,152人(令和8年6月1日現在)で、令和7年国勢調査の速報値は1,264,006人と、令和2年から5.8%の減少となった。(出典:令和7年国勢調査人口等速報集計結果
  • 管轄区域は面積6,113.00平方キロメートル。中国地方の西端に位置し、日本海側と瀬戸内海側の双方に海岸線を持つため、勤務地によって地域の姿がはっきり変わる
  • 県警察本部は山口市滝町に置かれ、警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部の6つの部と警察学校で構成される。
  • 県内の高齢化率は35.5%(令和6年度)で、令和5年時点では全国3位の高さだった。高齢者が被害に遭いやすい犯罪への対策と、高齢の道路利用者の安全確保が、日々の警察活動に直結する。(出典:山口県健康福祉部基礎データ|令和6年度
  • 製造業出荷額は7兆6,150億円(令和4年)で、1事業所当たりの付加価値額は全国1位。瀬戸内海側には石油化学コンビナートを中心とする基礎素材型の工場群が連なり、守るべき重要インフラを抱えた県でもある。(出典:山口県の工業|令和4年
  • 山陽新幹線が県内を東西に貫き、中国自動車道と山陽自動車道の2本の高速道路、山口宇部空港と岩国錦帯橋空港の2空港を抱える。人と物が通過していく交通の結節点でもある。
  • 秋吉台や錦帯橋、萩ジオパークなどの観光地を持ち、令和6年には外国人延べ宿泊者数が過去最高を記録した。行事や観光シーズンの安全確保も警察活動の一部になる。

山口県警察の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「山口県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、管轄の規模、組織の構成、犯罪情勢など、組織の特徴をかいつまんで説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
管轄区域山口県全域
管轄人口約125万人(推計人口1,252,152人・令和8年6月1日現在)
管轄面積6,113.00平方キロメートル
本部所在地山口市滝町
本部の組織警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部の6部と警察学校
刑法犯認知件数4,921件(令和7年確定値・前年比3.2%増)
刑法犯検挙率54.5%(令和7年)
管内の高齢化率35.5%(令和6年度)

刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)・検挙率は山口県警察の犯罪統計(令和7年確定値)、推計人口は山口県の推計人口(令和8年6月1日現在)、面積は国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」(令和7年1月1日時点)、高齢化率は山口県健康福祉部基礎データ(令和6年度)にもとづく数値です。警察署数・交番数・職員数などの体制面の数値は、県警察の公式サイトで最新の公表値をご確認ください。

数字から考えられる治安課題

山口県警察を語るうえでの出発点は、人口規模と犯罪情勢が逆向きに動いているという事実です。県の人口は令和2年から5.8%減り、令和5年8月には130万人を下回りました。

それにもかかわらず、令和7年の刑法犯認知件数は前年を3.2%上回っています。人が減っているのに犯罪が減っていない、という組み合わせが、いまの山口県の治安を考える土台になります。(出典:山口県第3期総合戦略|令和7年3月改訂

たとえば面接で県内の治安の現状を説明する場面では、次のように数字と課題を結び付けられます。

「山口県の人口は令和5年に130万人を切ったと聞きました。それでも去年の刑法犯の認知件数は前の年より増えていて、5千件近くになっています。人が減っている県で犯罪が減らないということは、一人ひとりの警察官が受け持つ範囲が実質的に広がっているのではと感じています。だからこそ、地域の方から情報をいただける関係づくりが大事になると考えています」

山口県の治安情勢

刑法犯認知件数と検挙率

令和7年の県内の刑法犯認知件数は4,921件で、前年比3.2%の増加となりました。全国的に刑法犯が増加に転じている流れのなかで、山口県も例外ではありません。

「地方だから治安がよく、犯罪は減り続けている」という前提で志望動機を組み立てると、面接官の持っている現状認識とずれてしまいます。

一方で、刑法犯全体の検挙率は54.5%と、認知した事件の半数以上で被疑者の検挙に至っています。件数が増えるなかでこの水準を維持できるかどうかが、県警察にとっての実務的な焦点です。

面接では、起きた事件を確実に検挙する力と、そもそも犯罪を起こさせない抑止の取組を、両輪として語れると仕事理解の深さが伝わります。

罪種別に見た県内の犯罪

罪種別の内訳を見ると、件数として目立つのが身近な場所で起きる侵入盗であることが分かります。令和7年の侵入盗の認知件数は288件で、殺人6件や強盗7件といった凶悪犯とは桁が異なります。

同じ年の自動車盗は6件、ひったくりは0件でした。

罪種認知件数(令和7年)
刑法犯総数4,921件(前年比3.2%増)
侵入盗288件
強盗7件
殺人6件
自動車盗6件
ひったくり0件

この構成は、山口県警察の活動が「凶悪事件の捜査」だけで語れないことを示しています。空き巣や事務所荒らしのような侵入盗は、鍵かけの呼びかけや巡回連絡といった地道な予防活動が効きやすい分野でもあり、地域警察官の仕事のイメージと直結します。

サイバー空間の犯罪と相談

令和6年に山口県警察が受理したサイバー犯罪に関する相談は4,173件でした。うち詐欺・悪質商法に関する相談が2,034件と、全体の約49%を占めています。

サイバー犯罪というと不正アクセスやウイルスを思い浮かべがちですが、実際に県民が困っているのは、ネットを入口にしてお金をだまし取られる被害が中心だということです。(出典:山口県内のサイバー犯罪情勢|令和6年

この内訳は、志望動機を組み立てるうえで使い勝手がよい数字です。デジタル分野の知識がある人は捜査の側面から、そうでない人も被害防止の広報や高齢者への働きかけという側面から、自分の関心と接続できます

交通死亡事故の抑止

山口県警察は、後述する運営指針の活動重点に交通死亡事故抑止総合対策を掲げています。県内の高齢化が進み、高齢の運転者・歩行者が道路を利用する場面が増えていくなかで、事故を「減らす」ことに加えて「死亡事故にしない」ことが一つの目標として立てられている点に注目してください。

交通部門を志望する場合はもちろん、県内の課題を問われた場面でも使える視点です。

山口県の主な治安課題

ここまでの数字を踏まえると、山口県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「山口県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを整理しておきましょう。

人口が減るなかでの身近な犯罪の抑止

さきほど見た人口と犯罪の逆向きの動きは、人口が減っても警察の仕事が同じようには減らないことを示しています。しかも県土は6,113平方キロメートルに及び、市街地から中山間地域、離島までを同じ組織で受け持ちます。

人口密度の低い地域では、パトカーや警察官が到着するまでの距離そのものが課題になるため、地域住民との日常的な関係が防犯力の一部として働きます。侵入盗288件という数字を「起きてから捕まえる」だけでなく「起きる前に減らす」視点で語れると、地域警察の役割の理解が伝わります。

サイバー空間の脅威と、だましの手口の変化

令和6年のサイバー犯罪相談4,173件のうち、詐欺・悪質商法が約49%を占めたことは、被害の入口がスマートフォンの画面に移っていることを示しています。相手の顔が見えないやり取りのなかで信じ込まされてしまうため、被害に気づいた時点では相手をたどる手がかりが乏しいことも珍しくありません。

山口県警察が運営指針の活動重点にサイバー空間の脅威に対する総合対策を据えているのは、この分野が捜査・広報・被害防止のすべてにまたがる課題だからです。

組織犯罪と、若者を巻き込む犯罪の入口

指示役が匿名の陰に隠れ、実行役だけが短期間で入れ替わっていく形の犯罪は、実行役を検挙するだけでは被害が止まりません。山口県警察は活動重点に重要犯罪等の徹底検挙組織犯罪対策の推進の2項目を並べており、事件の解決と犯罪組織そのものへの対処を分けて位置づけています。

なお、令和7年度第1回の警察官A区分の論文試験では、闇バイトやSNS型投資、ロマンス詐欺といった悪質な犯罪が県民に及ぼす影響と、警察官としての取組が問われました。筆記で問われた論点は、面接でも同じ関心の対象だと考えておくとよいでしょう。

高齢化の進行と交通事故の重大化

高齢化率35.5%(令和6年度)という数字は、交通安全対策の設計にそのまま影響します。運転免許を返納した後の移動手段をどうするか、歩行中の高齢者にどう注意を届けるかは、取締りだけでは解決しない領域です。

また高齢化は、特殊詐欺の被害者層とも重なります。ひとつの人口構造の変化が、交通・生活安全の両方の課題として現れる点が、山口県の治安を考えるうえでの特徴です。

南海トラフ巨大地震への備え

国の南海トラフ地震防災対策推進地域には、県内の瀬戸内海側15市町が指定されています。山口県が令和7年に見直した被害想定によれば、揺れは柳井市で最大震度6強、津波は光市で最大3.7メートルに達し、死者502人・全壊焼失9,738棟、避難者数は1日後に245,720人に上ると見込まれています。

県警察の活動重点にも大規模災害・テロ等緊急事態対策の推進が置かれており、災害時の避難誘導・救出救助・交通規制は警察官の職務そのものです。(出典:南海トラフ巨大地震等被害想定調査結果|令和7年

先に触れた石油化学コンビナートの工場群が、この同じ沿岸部に並んでいることも、緊急事態対策を考えるうえでの前提になります。県の総合計画「やまぐち未来維新プラン」は産業維新・大交流維新・生活維新の3つを柱に据えており、産業集積を守ることと県民の暮らしを守ることは、県政の側でも一続きの課題として扱われています。(参考:やまぐち未来維新プラン|令和4年策定

重点方針|令和8年山口県警察運営指針

山口県警察は、その年の警察活動の方向性を示すものとして「山口県警察運営指針」を毎年公表しています。令和8年の指針は、第1に基本姿勢、第2に活動重点という2部構成で、1枚にまとめられています。(出典:令和8年山口県警察運営指針

基本姿勢が示す方向

基本姿勢として掲げられているのは「県民の期待と信頼に応える強い警察」で、副題に「安全・安心な社会の実現」が添えられています。ここには2つの要素が同時に入っています。

ひとつは、県民との関係を土台に置くことを示す期待と信頼に応えるという部分です。もうひとつは、犯罪や災害に正面から対処する実力を表す強いという部分です。

山口県警察は「求める人物像」を定式化した形では公表していないため、この基本姿勢が、組織が何を大事にしているかを読み取るいちばん確かな手がかりになります。

6つの活動重点

令和8年の活動重点は次の6項目です。それぞれが指している内容を、受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕きました。

活動重点(公式の項目名)受験生向けの解説
① 犯罪から県民を守る対策の推進侵入盗をはじめとする身近な犯罪の抑止と検挙、被害に遭いやすい人への働きかけなど、県民の日常を守る活動の総称
② サイバー空間の脅威に対する総合対策の推進ネットを入口とする詐欺や悪質商法への対処、相談への的確な対応、被害防止の広報啓発と捜査能力の向上
③ 重要犯罪等の徹底検挙殺人・強盗など県民の不安に直結する事件を確実に解決し、検挙率の水準を保つための捜査力の強化
④ 組織犯罪対策の推進暴力団や匿名で実行役を集める犯罪グループなど、組織的に繰り返される犯罪の実態解明と資金源への対処
⑤ 交通死亡事故抑止総合対策の推進事故の分析にもとづく街頭活動や取締り、高齢の運転者・歩行者を含む道路利用者への安全意識の働きかけ
⑥ 大規模災害・テロ等緊急事態対策の推進南海トラフ巨大地震などの災害に備えた訓練と装備の充実、重要施設の警戒、緊急事態発生時の初動対処

山口県警察が公表しているのは、基本姿勢と活動重点6項目の項目名までです。各項目の取組内容や数値目標は示されていないため、上表の右側は項目名と県内の情勢をもとに当研究会が受験生向けに整理したものです。

公表されているのが項目名までだということは、裏を返せば、その中身を自分で埋められた受験者が差をつけられるということでもあります。

POINT|活動重点は「県内の事実」とセットで持つ

面接官が知りたいのは項目名ではなく、その項目が受験者本人にとって何を意味するかです。関心のある分野を1〜2つ選び、「①県内で何が起きているか(数字) → ②県警察はどの活動重点で対処しようとしているか → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順に整理しておきましょう。

悪い例「山口県の安全を守れる警察官になりたいです」

改善例「まずは地域警察官として、地道に経験を積みたいです。その上で、県内のサイバー犯罪の相談のうち半分近くが詐欺やお金をだまし取る商法だったと知りましたので、高齢の方への声かけや被害を防ぐ呼びかけに力を入れていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。

  • 警察官採用試験の受験案内(試験種目・配点・受験資格・申込方法)
  • 山口県警察の採用案内ページ(仕事内容と各部門の紹介)
  • 令和8年山口県警察運営指針(基本姿勢と6つの活動重点)
  • 県警察の犯罪統計・交通統計のページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、山口県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。山口県警察の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

山口県警察の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

山口県警察の面接の概要

ここからは、山口県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を左右する質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。

山口県警察の面接の流れ

山口県警察・警察官採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階で行われます。種目と配点の全体像は次の表のとおりです。

項目内容(令和8年度・警察官A/B区分)
試験の段階第1次試験 → 第2次試験の2段階
第1次試験教養試験(A=大学卒業程度・B=高校卒業程度、各50題・50点)+資格加点10点(別表の資格1分野につき5点・最大2分野)。キャリアチェンジ区分は基礎能力試験SPI3が100点
第2次試験の種目論文試験〈A〉または作文試験〈B〉、口述試験等、身体検査、体力検査、実技試験(武道指導のみ)
論文・作文試験いずれも1時間・1,000字程度・40点。論文〈A〉は思考力・表現力・構成力等、作文〈B〉は表現力・構成力等を評価
面接の種類「口述試験等」として個別面接および適性検査を実施。人物について総合的に評定する
口述試験等の配点140点(第2次試験の配点210点のうち最大)
体力検査30点。反復横跳び(男性20秒間45回以上・女性40回以上)、シャトルラン(男性43回以上・女性25回以上)、関節運動
身体検査配点なし。視力は両眼とも裸眼0.6以上または矯正1.0以上
最終合格の決め方第1次試験の資格加点と第2次試験の各得点を合計した得点の高い順

この表で必ず確認してほしい点が2つあります。1つ目は、教養試験の得点は第1次試験の合否判定にしか使われないという仕組みです。

教養試験で高得点を取っても、その差は最終合格の順位に持ち越されません。筆記で作った貯金で逃げ切るという発想が、この試験では成立しないということです。

2つ目は配点の重さです。第2次試験の配点210点のうち140点が口述試験等で、論文・作文40点と体力検査30点を合わせても口述試験等には届きません(武道指導の区分では実技試験60点が加わります)。

人物評価が最終順位の大半を決める構造だと理解して、準備の時間配分を決めてください。

なお、山口県警察の第2次試験では、集団面接や集団討論を行うという記載は受験案内にありません。用意すべきなのは個別面接での一対一のやり取りです。

あわせて、「適性検査」という言葉が第1次のキャリアチェンジ区分(SPI3の性格検査)と第2次の口述試験等の両方に出てくるため、受験案内を読むときは混同しないよう注意しましょう。

上記の試験構成は、山口県警察が公表した令和8年度警察官採用試験の受験案内にもとづくものです。第2次試験の詳細は第1次試験の合格通知時に個別に案内される旨が記載されています。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(出典:山口県警察官採用試験受験案内|令和8年度

山口県警察が求める人材

山口県警察は、「求める人物像」といった形で人材要件を明文化した資料を公表していません。手がかりになるのは、運営指針の基本姿勢である「県民の期待と信頼に応える強い警察」と、その副題「安全・安心な社会の実現」です。

この一文を面接の言葉に置き換えると、求められているのは3つの要素になります。県民から任された役割を最後まで果たす信頼される行動

困難な場面から逃げずに向き合う強さ。そして、安全であるだけでなく安心だと感じてもらえるように働きかける伝える力です。

自己PRでは、この3つのどこかに重なる自分の行動を、具体的な場面ごと示すことが軸になります。

また、合格後は山口県巡査に任命され、全寮制の山口県警察学校で初任教養(A区分6か月・B区分10か月)を受けてから各勤務箇所に配属されます。規律ある集団生活を前提とした期間があることは、面接での受け答えを考えるうえでも意識しておきたい点です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。山口県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイクここまでの道のりはいかがでしたか?緊張をほぐす何気ないやり取りに、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望民間企業ではなく、なぜ警察官なのですか?他の進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性
③ 自己理解あなたの強み(自己PR)を教えてください自分の強みを、警察の仕事の場面と結びつけて説明できているか
④ 経験・行動これまでに最も力を入れて取り組んだことは何ですか?途中でぶつかった壁と、それに対して打った手を、自分の行動として具体的に語れるか
⑤ 学業・経歴いまの進路(学科・職種)を選んだ理由を教えてください自分で決めてきたという意識と、これまでの選択の一貫性
⑥ 適性・将来体力面に不安はありませんか?交替制勤務や訓練に耐える体力の裏づけと、日頃の健康管理の習慣
⑦ 公共性・社会性警察官に最も必要な資質は何だと思いますか?職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識

ただし、この7カテゴリーは山口県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在することをあらかじめ知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。

合否を左右するのは山口県警察を選んだ人にしか答えられない質問

「近隣の県警察や警視庁という選択肢もある中で、なぜ山口県警察を選んだのですか?」
「山口県の治安上の課題は何だと思いますか?」

どちらも、山口県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「山口県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい山口県警察の事実答え方のヒント
治安の現状令和7年の刑法犯認知件数は4,921件で前年比3.2%増、検挙率は54.5%。罪種では侵入盗が288件と最も多い治安が良くなり続けているという前提を置かず、増加に転じた年の数字から話し始めると現状認識の確かさが伝わる
志望動機・やりたい仕事令和8年運営指針の基本姿勢は「県民の期待と信頼に応える強い警察」。犯罪抑止・サイバー・重要犯罪検挙・組織犯罪・交通死亡事故抑止・大規模災害等の6つが活動重点やりたい仕事が6つの活動重点のどれに重なるのかを一言添えると、指針まで読んだ受験者だと伝わる
サイバー犯罪への関心令和6年のサイバー犯罪相談は4,173件で、うち詐欺・悪質商法が2,034件と約49%を占める相談の半数近くが金銭被害という内訳まで踏み込むと、捜査だけでなく被害防止の広報にも話をつなげられる
災害への備え南海トラフ巨大地震の県被害想定は死者502人・全壊焼失9,738棟、1日後の避難者245,720人。瀬戸内側の15市町が推進地域に指定柳井市で最大震度6強、光市で最大津波高3.7メートルという地点まで押さえると、瀬戸内側の勤務地を具体的に想像している姿勢が伝わる
山口で働く規模感管轄人口は約125万人で、令和5年8月に130万人を下回った。県土は6,113平方キロメートル、高齢化率は35.5%(令和6年度)人口が減る県で警察官が果たす役割を、駐在所や地域警察の働き方に引きつけて語ると、規模の話が自分の志望の話に変わる

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 警察官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、運営指針の基本姿勢のような組織の価値観に照らして、「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
信頼に応える=任された役割を果たす面倒な手順を省かずに最後までやり通した場面があるか合格後は全寮制の警察学校で初任教養(A区分6か月・B区分10か月)が続きます。決まりごとを守り抜いた経験を一つ用意しておきましょう
強い=うまくいかない時期を越える力思うような結果が出ない状況で、何を変えて続けたか山口県警察の体力検査には反復横跳びとシャトルランが課されます。基準に向けて今から続けている習慣そのものが、この観点の材料になります
安心を届ける=伝わる言葉で働きかける不安や不満を抱えた相手に、どんな言葉をかけて事態を動かしたか県内の高齢化率は35.5%(令和6年度)です。年齢や立場の離れた相手にかみ砕いて説明した場面を、状況ごと話せるようにしておきましょう

評価の観点の3項目は、令和8年山口県警察運営指針の基本姿勢「県民の期待と信頼に応える強い警察 安全・安心な社会の実現」を当研究会が面接対策用に翻訳したものです。

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内を読み、試験の種目と配点、資格加点の対象、申込方法を確認する。教養試験の得点が第1次の合否判定までしか使われないことも、ここで自分の目で確かめておく
  2. 高校・大学生活や職務経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事・仕事から、行動の事実を話せる出来事を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自前の言葉に置き換えておく
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。あわせて、反復横跳びとシャトルランを日々のトレーニングに組み込み、体づくりと生活リズムづくりを並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で組織の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、独学で面接の仕上げまで持っていきたい場合は、山口県警察に的をしぼった面接想定問答集を使う選択肢もあります。

山口県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。本番までの残り日数が少ない場合は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。

山口県警察の想定問答集を見る

さいごに

山口県警察の採用試験は、第2次試験の配点210点のうち140点が口述試験等に置かれ、しかも教養試験の得点は第1次試験の合否判定までしか使われません。筆記の貯金を持ち越せない以上、最終的な順位は個別面接と論文(作文)、体力検査でつくることになります。

筆記に不安のある人にとっては、準備の質しだいで十分に届く試験だということです。県の人口は令和5年に130万人を下回り、高齢化率は令和6年度に35.5%まで上がりました。

人が減っていく県で、県民の期待と信頼に応える警察官として自分は何をしたいのか。その答えを、部活動やアルバイト、仕事といった身近な経験の言葉で語れる形に整えて、当日を迎えましょう。

全寮制の警察学校を出て県内のどこかの現場に立つ日を思い描きながら、準備を一つずつ進めていってください