本記事では、広島県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、広島県警察の特徴・基礎データ・県内の治安情勢・令和8年の基本方針と運営重点・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
広島県警察の面接試験では、「なぜ広島県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。広島県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、広島県警察ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と広島県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|組織研究編
広島県警察の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは広島県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 広島県全域を管轄し、管轄人口は約268万人。令和7年国勢調査の県独自集計(速報値)では2,683,399人で、前回の令和2年調査から116,303人が減りました。(出典:令和7年国勢調査(県独自集計・速報値)|令和7年)
- 管轄区域には政令指定都市の広島市が含まれ、県人口の43.7%にあたる1,172,423人が集まっています。次いで福山市439,994人、東広島市198,496人、呉市191,653人と続きます。
- 県警本部は広島市中区基町に置かれ、内部部局は警務部・総務部・地域部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部の7部。これに政令指定都市に対応する広島市警察部と警察学校が加わります。
- 管轄面積は8,478.16平方キロメートルで、都道府県では広いほうから11番目。うち市部が6,713.19平方キロメートル、郡部が1,764.97平方キロメートルです。
- 県土は瀬戸内海の島しょ部から中国山地までを含み、政令指定都市の繁華街と、人口の少ない中山間地域や島を、ひとつの県警察が同時に受け持つという構造になっています。
- 県内では平成30年7月豪雨で死者153名という被害が生じており、災害時の救出救助や行方不明者の捜索は、広島県の警察官が現実に担ってきた任務です。
- 県ぐるみの取組として「減らそう犯罪」ひろしまアクション・プランが続いており、令和8年からの第6期は運動目標に「日本一安全安心な広島県の実現」を掲げています。(出典:「減らそう犯罪」ひろしまアクション・プラン第6期|令和8年)
広島県警察の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「広島県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、管轄する県土と人口、本部の組織、犯罪と交通事故の情勢など、組織の置かれた環境を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄区域 | 広島県全域(県内最大の都市は政令指定都市の広島市) |
| 管轄人口 | 約268万人(令和7年国勢調査の県独自集計・速報値で2,683,399人) |
| 管轄面積 | 8,478.16平方キロメートル(都道府県で11番目。市部6,713.19/郡部1,764.97) |
| 県警本部の所在地 | 広島市中区基町9番42号 |
| 本部の組織 | 警務部・総務部・地域部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部の7部、広島市警察部、警察学校 |
| 刑法犯認知件数 | 14,735件(令和7年・前年比0.4%増) |
| 刑法犯検挙率 | 41.2%(令和7年) |
| 交通事故死者数 | 68人(令和6年中・前年比10人減。昭和23年以降で最少) |
管轄人口と市別人口は令和7年国勢調査の県独自集計(速報値・基準日は令和7年10月1日)、面積は国土地理院『全国都道府県市区町村別面積調』(令和7年1月1日時点)、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は令和7年の犯罪統計(確定値)、交通事故死者数は広島県警察『令和6年中の交通死亡事故分析』にもとづく数値です。警察署・交番・駐在所の設置数や職員定数はこの記事では扱っていないため、必要な方は広島県警察の公表資料をご確認ください。
数字から考えられる治安課題
広島県警察が受け持つのは、約268万人が暮らす県土です。令和7年の刑法犯認知件数は14,735件で、前年からの伸びは0.4%。
全国では刑法犯の認知件数が近年ふたたび増加に転じているなかで、広島県はほぼ横ばいにとどまりました。
ただし、横ばいであることと落ち着いていることは同じではありません。県の人口はこの5年間で116,303人減り、高齢化率は30.1%(令和7年1月1日現在)に達しています。
犯罪の件数が横ばいでも、地域で見守る側の人手は年々細っていくという組み合わせが、いまの広島県警察が置かれている状況です。(出典:広島県の高齢化率|令和7年)
たとえば面接で県内の治安について聞かれたときは、次のように件数と人口の動きをつないで説明できます。
広島県の治安情勢
刑法犯認知件数と検挙の状況
令和7年の県内の刑法犯認知件数は14,735件、前年比0.4%の増加で、伸び幅は1%にも届きません。ここに重ねて見ておきたいのが検挙率です。
刑法犯全体では41.2%で、警察が把握した事件のうち犯人にたどり着けたのは4割ほどという計算になります。
面接で治安を語るときは、この二つの数字を並べると組み立てやすくなります。件数を増やさないための取組(抑止)と、起きた事件を解決する取組(検挙)は、どちらか一方では成り立ちません。
令和8年の運営重点の第1項目が「総合的な犯罪抑止対策の推進と検挙力の強化」と、抑止と検挙を一つの柱に並べて書かれているのは、そのためだと読めます。
主な罪種の内訳
伸び幅が小さい年でも、罪種ごとの重みまで同じではありません。14,735件がどの罪種にどれだけ振り分けられるのかを、令和7年の統計で見ます。
| 主な罪種(令和7年・認知件数) | 件数 |
|---|---|
| 殺人 | 27件 |
| 強盗 | 25件 |
| 侵入盗 | 561件 |
| 自動車盗 | 22件 |
| ひったくり | 7件 |
この5つのなかで目を引くのは侵入盗の561件です。刑法犯全体のおよそ26件に1件がこれにあたり、ここに挙げた残り4つの罪種を合計した件数の7倍近くにのぼります。
住まいや事業所に入り込む盗みをどう防ぐかが、広島の身近な防犯の要になるということです。鍵かけの呼びかけ、留守になりやすい時間帯の見回り、住民との日常的な情報のやり取りといった活動が、そのまま認知件数の増減に効いてくる領域だといえます。
交通死亡事故の情勢
交通の分野では、成果が数字に表れています。令和6年中の県内の交通事故死者は68人で、前年より10人減り、昭和23年以降で最も少ない人数となりました。
ただし内訳を見ると、65歳以上が約60%を占めています。(出典:令和6年中の交通死亡事故分析|令和6年)
数字が良くなっているときほど、どこに課題が残っているかを言えるかどうかで差がつきます。県の高齢化率が30.1%(令和7年1月1日現在)である以上、高齢の歩行者や運転者は今後も増えていきます。
最少の更新は到達点ではなく途中経過だと捉えるのが妥当です。なお、広島県警察の論文試験では、令和7年度の第2回に、交通事故死者数を年間60人以下に抑える目標を掲げた取組を題材とする出題がありました。
目標と実績の差をどう埋めるかは、県警察自身が受験者に考えさせているテーマでもあります。
人口が減る県と、訪れる人が増える県
治安の土台になるのは、地域に人がいることです。その前提が、広島県では変わりつつあります。
令和7年国勢調査の速報値で県人口は2,683,399人となり、5年間で116,303人が減りました。一方で世帯数は1,244,311世帯とほぼ横ばい(784世帯の増)で、1世帯当たり人員は2.16人。
世帯の数は変わらないのに、そこに暮らす人数が減っているということは、一人暮らしや二人暮らしの世帯が増えているということです。その場ですぐ相談できる相手が家の中にいない世帯が増えれば、電話やSNSから入り込む詐欺の入口はそれだけ広がります。
若い世代の流出も続いています。県の分析では、20歳から24歳が「就職」を契機に転出超過となる状態が続いており、合計特殊出生率も令和6年実績で1.29まで下がりました。
防犯ボランティアや自主防災組織のような地域活動の担い手が細っていく流れと、この人口構造は重なります。
他方で、県外や国外から訪れる人は増えています。令和6年に県内を訪れた観光客は6,474万人で、前年より7.2%増えました。
このうち外国人は422万人と、前年の1.5倍を超えています。厳島神社のある廿日市市だけを取り出しても830.8万人です。
(出典:広島県観光客数の動向|令和6年)暮らす人は減り、行き交う人は増える。この二つが同時に進んでいることが、慣れない道を走る運転者への対応、言葉の通じにくい相手とのやり取り、観光地や行事での雑踏警備といった形で、地域警察の現場の仕事量に返ってきます。
広島県の主な治安課題
ここまでの数字を踏まえると、広島県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「広島県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
横ばいの刑法犯と「日本一安全安心」という目標
令和7年の刑法犯認知件数は前年比0.4%増の14,735件で、増えても減ってもいない状態です。ただし広島県が県ぐるみで掲げているのは、現状維持ではありません。
令和8年から始まる「減らそう犯罪」ひろしまアクション・プランの第6期は、運動目標に「日本一安全安心な広島県の実現」を置き、「安全安心なまちづくり」と「安全安心をもたらす警察活動」の2本柱で刑法犯認知件数の抑止に取り組むとしています。県と県警察、事業者や住民が一体で動く枠組みが長く続いてきたことは、広島の防犯を語るうえで外せない前提です。
侵入盗を中心とした身近な犯罪の抑止
身近な犯罪の代表格が、令和7年に561件が認知された侵入盗です。住まいや事業所に人が入り込む犯罪は、金銭の被害だけでなく、その後の暮らしの安心そのものを削ります。
令和8年の運営重点は「住民の安心感を高める地域警察活動の推進」を独立した項目として立てており、この領域は交番や駐在所の日常の活動と直結します。巡回連絡や見回りは、成果が数字に表れるまで時間のかかる仕事ですが、広島の治安を底で支えているのはこの積み重ねだといえます。
匿名・流動型犯罪グループとサイバー空間
運営重点には「暴力団及び匿名・流動型犯罪グループ対策の推進」と「サイバー空間の安全の確保」が、別々の項目として並んでいます。SNSで実行役を募り、短い期間で入れ替えながら犯行を重ねる形の犯罪は、指示役が匿名の陰に隠れるため、末端を検挙しただけでは被害が止まりません。
広島県警察の論文試験でも、令和6年度の第1回に、生成AIをはじめとするデジタル技術の進展によって犯罪の手口が悪質かつ巧妙になっていくことを前提とした出題がありました。情報系の学習経験がある人にとっては、志望動機と結びつけやすい分野でもあります。
交通死亡事故の抑止と高齢者の安全
令和6年中の交通事故死者68人(前年比10人減)は昭和23年以降で最少ですが、65歳以上が約60%を占めるという中身は変わっていません。運営重点も「交通事故の抑止と安全で円滑な交通の確保」を柱の一つに置いています。
道路の環境も動いており、広島高速道路は1号線から4号線までが供用中で、整備中の5号線(東部線)は令和10年度までの完成を目指しています。新しい道路がつながれば車の流れも走行速度も変わるため、取締りや誘導の重点はそのつど置き換わっていきます。
豪雨と地震という二つの災害への備え
広島県は、実際に起きた大災害と、想定されている大災害の両方を抱えています。県内で死者153名(うち災害関連死44名)を数えたのが平成30年7月豪雨で、住家も全壊1,176棟・半壊3,632棟の被害を受けました。
(出典:平成30年7月豪雨の被害状況|平成30年)土砂災害警戒区域と特別警戒区域として指定されている場所は、県内に47,842箇所あります。(出典:土砂災害警戒区域等の指定状況|令和6年)
加えて、令和7年10月に公表された県の地震被害想定調査は、マグニチュード9.0の南海トラフ巨大地震を想定し、県内の最大震度は6強、死者は約1万4千人、全壊する建物は約9万棟という数字を示しました。避難者は70万人を超えると見込まれています。
(出典:広島県地震被害想定調査報告書|令和7年)運営重点にも「災害、テロ等緊急事態対策の推進」が独立した項目として置かれています。県警察の論文試験でも令和6年度の第2回に大規模災害時の警察の役割が問われており、受験段階から考えておくべき分野だと分かります。
重点方針|令和8年広島県警察基本方針及び運営重点
広島県警察は、毎年の警察活動の方向を示すものとして基本方針と運営重点を定めています。令和8年の基本方針は「安全・安心を県民とともに築く力強い警察」で、運営重点は8つの項目として示されました。(出典:令和8年基本方針及び運営重点|令和8年)
方針を貫く考え方
この基本方針でまず目を引くのは、「県民とともに」という言葉です。治安を警察だけで守るとは書かれていません。
「減らそう犯罪」の県民運動が第6期まで続いてきた県であることを踏まえれば、住民や事業者と一緒に動けるかどうかが、そのまま仕事の質を左右するという立場だと読めます。
もう一つ押さえておきたいのが「力強い」という表現です。令和4年度の論文試験では、この言葉を取り上げて「力強い警察とはどのようなものか」を論じさせる出題がありました。
組織が自分の言葉として掲げている表現ほど、その中身を問われやすいということです。面接で志望動機を語るときは、この二語をそのまま口にするより、自分が挙げる経験のほうが結果として方針の中身を説明している、という状態を目指してください。
8つの運営重点
運営重点は次の8項目です。あわせて、それぞれの項目が指している内容を受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕きました。
| 運営重点(公式の項目名) | 受験生向けの解説 |
|---|---|
| ① 総合的な犯罪抑止対策の推進と検挙力の強化 | 犯罪を起こさせない取組と、起きた事件を解決する力を一つの柱に置いた項目。令和7年に14,735件だった刑法犯をどう減らしていくかが問われる |
| ② 子供・女性・高齢者等を守る取組と少年非行防止対策の推進 | 被害に遭いやすい人を守る視点でまとめられた項目。子供・女性・高齢者が被害者となる事案への対応と、少年が加害の側に回らないための働きかけの両方を含む |
| ③ 住民の安心感を高める地域警察活動の推進 | 交番と駐在所を軸にした日々の活動の項目。侵入盗が561件という県内の犯罪像を踏まえると、巡回や見回りが直接効いてくる領域 |
| ④ 暴力団及び匿名・流動型犯罪グループ対策の推進 | 組織的に行われる犯罪への対策。SNSで実行役を集めて入れ替わっていくグループの実態解明と取締りが柱になる |
| ⑤ 交通事故の抑止と安全で円滑な交通の確保 | 令和6年中に68人まで下がった死者数を、さらに減らしていくための項目。高齢者の安全と、道路環境の変化への対応が軸になる |
| ⑥ 災害、テロ等緊急事態対策の推進 | 豪雨や地震、テロなどの緊急事態に備える項目。平成30年7月豪雨を経験し、南海トラフ地震の被害想定を抱える県として重みのある柱 |
| ⑦ サイバー空間の安全の確保 | インターネットを入口とする犯罪への対応。詐欺の手口がSNSへ移っている現状と直結する |
| ⑧ 社会情勢の変化に適応した警察運営の推進 | 個別の事件対応ではなく、組織の運営そのものを社会の変化に合わせていく項目。他の7つの取組を支える土台にあたる |
広島県警察は基本方針と運営重点の項目名を公表していますが、各項目の下の具体的な取組内容や数値目標は公表していません。上表の右側は、項目名と県内の情勢をもとに当研究会が受験生向けに整理したものです。
面接では、自分の取り組みたい仕事がこの8つのどれに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
POINT|8項目は狭く深く調べる
組織研究のゴールは、8つを言えるようになることではなく、そのうちの一つを掘り下げて語れるようになることです。関心の近い項目を1〜2つ選び、「①県内で何が起きているか(数字) → ②県警察はどう対処しようとしているか(運営重点) → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順で調べましょう。
悪い例「地域の安全を守れる警察官になりたいです」
改善例「配属先がどこになるかはまだ分かりませんけれども、まずは目の前の仕事を一つずつ覚えていきたいです。そのうえで、去年の県内では住まいや事業所に入る侵入盗が500件を超えていると聞きましたので、鍵かけの呼びかけや、留守になりやすい時間帯の見回りといった地道な活動に力を入れていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。
- 警察官採用試験の実施案内(試験の段階・種目・受験資格・申込方法)
- 採用のページと採用案内(仕事内容と職員の声。配点や提出書類の扱いもここで確認する)
- 令和8年広島県警察基本方針及び運営重点(基本方針と8つの項目名)
- 犯罪統計・交通事故統計のページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、広島県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。広島県警察の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
広島県警察の面接の概要
ここからは、広島県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
広島県警察の面接の流れ
広島県警察・警察官採用試験は、第1次試験から第3次試験までの3段階で行われます。公表されている種目の全体像は、次の表のとおりです。
| 項目 | 内容(令和7年度・警察官A/警察官B) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験の3段階 |
| 第1次試験 | 教養試験(択一式)と、論文試験(警察官A)または作文試験(警察官B) |
| 第2次試験 | 外形的身体検査・体力試験・適性検査(警察官A・Bに共通) |
| 第3次試験 | 面接試験・身体検査(警察官A・Bに共通) |
| 面接の種類 | 個別面接。実施案内には「使命感、信頼感、コミュニケーション力、判断力、積極性、達成力等についての個別面接試験」と記載されており、集団面接・集団討論の記載はありません |
| 論文・作文 | 当研究会が収集した過去問では試験時間60分・800字程度。第1回・第2回の年2回に分けて出題されています |
| 配点 | 採用日程のページ本文では確認できていません。最新の受験案内でご確認ください |
この構成から読み取れることが二つあります。一つ目は、面接試験が最終の第3次試験に単独で置かれていることです。
教養試験と論文・作文を突破し、体力試験や外形的身体検査も通過した人だけが集まる場で、さらに選ばれる必要があります。第1次の合格発表を見てから面接準備を始めるのでは、間に合わないと考えてください。
二つ目は、面接で見る資質が実施案内に名指しで書かれていることです。使命感、信頼感、コミュニケーション力、判断力、積極性、達成力。
何を見るかが公表されている以上、自己PRも志望動機も、この言葉に重なる自分の経験を選んで組み立てるのが最短の道になります。(出典:警察官採用試験の実施案内|令和7年度)
一方で、各種目の配点は採用日程のページ本文では確認できません。面接の比重を数字で語ることはできませんが、最終段階に置かれた種目であることは変わりません。
数字が分からないからこそ、比重を軽く見積もらないほうが安全です。
上記の試験構成は、広島県が公表する令和7年度の警察官採用試験の実施案内にもとづくものです。試験の構成・配点・提出書類・日程等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
広島県警察が求める人材
広島県警察は、「求める人物像」として定式化した文言を採用のページ本文には掲げていません。そのため、公表された言葉から人物像を読み解くことになります。
最も確かな手がかりは、いま見た実施案内の記載です。使命感、信頼感、コミュニケーション力、判断力、積極性、達成力という並びは、面接の評価語であると同時に、組織が新しい仲間に期待する資質の一覧でもあります。
二つ目の手がかりが、基本方針の「安全・安心を県民とともに築く力強い警察」です。県民と一緒に築くと明記されている以上、住民の話を聞く力と、そこから自分で動ける行動力が同時に求められていると読めます。
三つ目は、論文・作文の出題テーマです。広島県警察では令和4年度に「力強い警察」の中身を、令和7年度には「県民が警察に期待していること」と「警察官としての心構え」を書かせています。
書かせている内容は、面接で聞きたいことと重なります。記述式の準備は、面接の準備と切り離さずに進めてください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。広島県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までは、どのくらい時間がかかりましたか? | 身構えずに話せる場面での受け答えに、話しぶりの落ち着きと素直さが表れます |
| ② 動機・志望 | ほかにも進路はあったと思いますが、なぜ警察官なのですか? | ほかの進路と比べたうえでの仕事理解と、選んだ理由の筋の通り方 |
| ③ 自己理解 | あなたの長所は、警察の仕事のどの場面で活きると思いますか? | 自分の特徴を、警察の具体的な仕事の場面に置き換えて語れているか |
| ④ 経験・行動 | これまでで一番、長く続けてきたことを教えてください | 続けるなかで自分が何を工夫し、うまくいかない時期をどう乗り切ったかという行動の具体 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学校生活のなかで、いちばん時間を使ったことは何ですか? | 自分の選択と力の入れどころを、借り物でない言葉で話せるか |
| ⑥ 適性・将来 | 夜間や休日を含む交替制の勤務を、どのように受け止めていますか? | 働き方の実際をどこまで理解しているか。体力面と生活面の備えの度合い |
| ⑦ 公共性・社会性 | 県民から信頼される警察官とは、どのような警察官だと思いますか? | 職業観の成熟度と、県民の安全を預かる仕事への当事者意識 |
ただし、この7カテゴリーは広島県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在することをあらかじめ知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。
合否を分けるのは「広島県警察ならでは」の質問
どちらも、広島県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「広島県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい広島県警察の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 治安の現状 | 令和7年の刑法犯認知件数は14,735件で前年比0.4%増。検挙率は41.2%。主な罪種では侵入盗が561件と目立つ | 「増えているか減っているか」の印象論で止めず、ほぼ横ばいという位置づけを示したうえで侵入盗の厚さへ話を進める。件数の総量ではなく中身で語ると現状認識の確かさが伝わる |
| 志望動機・やりたい仕事 | 令和8年の基本方針は「安全・安心を県民とともに築く力強い警察」。運営重点は犯罪抑止と検挙力、子供・女性・高齢者、地域警察活動、暴力団と匿名流動型、交通、災害とテロ、サイバー、警察運営の8項目 | やりたい仕事が8項目のどれに当たるかを一言添える。「力強い警察」は令和4年度の論文でも問われた言葉なので、記述の準備で考えたことをそのまま使える |
| 広島で働く規模感 | 管轄人口は約268万人で、うち43.7%が広島市に集中。県土8,478平方キロメートルは瀬戸内の島から中国山地までを含み、本部には広島市警察部が置かれている | 政令指定都市の街頭に立つ仕事と、離島や山あいの駐在所で暮らしを見守る仕事では、一日の中身が変わる。その両方を抱える県警だと分かったうえで、自分がどちらに近い場所で働きたいかまで話す |
| 交通安全 | 令和6年中の交通事故死者は68人で前年より10人減り、昭和23年以降で最少。ただし65歳以上が約60%を占める | 「最少を更新した」で終えずに、高齢者が6割という中身へ進む。県の高齢化率30.1%と結び付ければ、これから重くなる課題として説明できる |
| 災害への備え | 平成30年7月豪雨で県内の死者は153名。土砂災害警戒区域等の指定は47,842箇所。南海トラフ巨大地震の想定は最大震度6強・死者約1万4千人 | 実際に起きた豪雨と、想定されている地震を分けて話す。運営重点に災害、テロ等緊急事態対策が入っている点まで結べば、志望分野の説明として成立する |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 警察官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、実施案内が挙げる資質に照らして、「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 使命感 | 誰かのために自分の時間や労力を使った経験があるか。その動機を自分の言葉で言えるか | 「減らそう犯罪」が県民運動として第6期まで続いてきた県で、住民と一緒に治安をつくる側に自分が加わりたい理由を、経験に紐づけて用意しておく |
| 信頼感とコミュニケーション力 | 相手や場面に応じて伝え方を変え、話を通した経験があるか | 観光で訪れた人、長く同じ土地で暮らす高齢の住民、事業所の担当者と、日々話す相手は入れ替わる。相手に合わせて説明の仕方を変えた場面を一つ選び、何をどう変えたのかまで説明できるようにする |
| 判断力 | 情報が足りない状況で、自分で優先順位を決めて動いたか | 平成30年7月豪雨のような事態では、限られた情報で動く順番を決めることになる。迷った場面で何を基準に選んだのか、その基準を言葉にしておく |
| 積極性と達成力 | 言われる前に動いたか。成果が出るまで手を離さなかったか | 侵入盗の防止も交通死亡事故の抑止も、結果が数字に出るまで時間がかかる仕事。長く続けた取組を一つ選び、続けられた理由まで含めて話せるようにする |
上表の観点は、令和7年度の採用試験の実施案内に記載された個別面接の評価語(使命感、信頼感、コミュニケーション力、判断力、積極性、達成力)をもとに、当研究会が面接対策用に整理したものです。広島県警察が「求める人物像」として公表している文言ではありません。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内を読み、第1次から第3次までの種目・受験資格・提出書類・申込方法を確認する。各種目の配点についても、案内本文に記載があるかを自分の目で確かめる
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、行動の事実を話せる出来事を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自前の言葉に置き換えておく
- 実施案内が挙げる資質(使命感、信頼感、コミュニケーション力、判断力、積極性、達成力)に、自分の経験を1つずつ割り当てる。使命感ならこの話、判断力ならあの場面、と対応づけておくと、質問の切り口が変わっても同じ材料で答えられる
- 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。あわせて、第2次試験の体力試験と外形的身体検査に向けて、運動と生活リズムづくりを並行して進める
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究と経験の割り当ては、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で組織の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、広島県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
広島県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。本番までの残り日数が少ない場合は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。
さいごに
広島県警察の採用試験は、面接試験が最終の第3次試験に置かれています。教養試験と論文・作文を越え、体力試験も通過した人が集まったうえで、最後に問われるのが人柄と受け答えです。
ただ、実施案内には使命感や信頼感、判断力といった見られる資質がはっきり書き出されています。何を見るかが分かっているのですから、あとはその一つひとつに重なる自分の経験を思い出し、言葉にしていく作業が残っているだけです。
約268万人が暮らす県を、広島市の繁華街から瀬戸内の島まで受け持つのが広島県警察です。基本方針が掲げる「県民とともに築く」の一員として自分がどこで何をしたいのか、自分の経験に根ざした言葉で語れる状態をつくって、当日を迎えましょう。