本記事では、島根県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、島根県警察の特徴基礎データ県内の治安情勢運営指針と6つの重点目標面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

島根県警察の面接試験では、「なぜ島根県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。島根県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、島根県警察ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と島根県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

島根県警察の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは島根県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 島根県全域を管轄し、管轄人口は約63万人。人口規模は全国有数の少なさで、その県土全体をひとつの警察組織で受け持っている。
  • 県土は6,707平方キロメートル(全国第19位)と広く、国道9号線でたどる東西の距離は約230キロ、海岸線は約1,027キロに及ぶ。島根半島の北方の海上には隠岐諸島があり、離島まで含めて管内である(出典:島根県の位置と地勢|島根県
  • 県警本部は松江市に置かれ、警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部の5部で構成される。
  • 令和7年の県内の刑法犯認知件数は2,173件。全国的に見れば少ない水準だが、令和4年の1,834件を底に3年続けて増え、検挙率は67.8%まで下がっている。
  • 特殊詐欺の被害額は令和7年に約5億9,442万円(暫定値)となり、前年の約1億5,070万円から4倍近くに膨らんだ。件数の少ない県で、被害の金額だけが突出して跳ね上がっているという点に、県内の犯罪情勢の特異さが表れている。
  • 令和8年の運営指針は「県民を守る 強く優しい警察」。その下に6つの重点目標が置かれ、生活安全・刑事・交通・警備・サイバー・警務の各分野をつないでいる。
  • 警備分野には、重要施設の警戒警備や災害への対処とあわせて「竹島の日」等における警備諸対策が明記されている。島根県警察の運営指針ならではの項目である。
  • 令和8年度からは採用区分「サイバー」が新設された(採用予定1名)。専門試験を課したうえで、原則としてサイバー犯罪対策課へ配属される区分である。

島根県警察の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「島根県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、管轄する県土と人口、本部の組織、犯罪情勢など、組織の置かれた環境を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
管轄区域島根県全域(隠岐諸島を含む)
管轄人口約63万人(令和7年10月1日現在の推計人口633,105人・前年比1.29%減)
管轄面積6,707平方キロメートル(全国第19位・国土の約1.8%)
県内の地勢東西の距離は約230キロ、海岸線は約1,027キロ(島根沿岸約562キロ・隠岐沿岸約465キロ)
管内の年齢構成65歳以上223,987人(2.8人に1人)・75歳以上133,300人(4.7人に1人)
県警本部の所在地松江市
本部の組織警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部の5部
刑法犯認知件数2,173件(令和7年・前年比4.2%増)
刑法犯検挙率67.8%(令和7年)

管轄人口と年齢構成は島根県の推計人口(令和7年10月1日現在)、面積と全国順位・東西の距離・海岸線は島根県が公表する県勢資料とプロフィール、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は令和8年島根県警察運営指針の資料に掲載された値です。警察署・交番・駐在所の設置数や職員数はこの記事では扱っていないため、必要な方は島根県警察の公表資料でご確認ください。(出典:島根県の人口の状況|令和7年

数字から考えられる治安課題

島根県は、刑法犯の件数だけを見れば全国でも少ない部類に入る県です。ただ、少ないことは安全が保証されていることを意味しません

令和7年の2,173件は前年から4.2%増え、令和4年から数えて3年続けての増加でした。その間も県の人口は減り続け、直近の1年では8,291人が減っています。

65歳以上は2.8人に1人を占めるまで高齢化が進みました。地域で見守る目が細っていく一方で、件数のほうは増える側へ振れているという組み合わせが、いまの島根県警察の出発点です。

たとえば面接で県内の治安について聞かれたときは、次のように件数とその中身をつないで説明できます。

「島根は犯罪の少ない県だと思っていたのですけれども、調べてみると去年の刑法犯は2千件を超えていて、3年続けて増えていました。検挙率のほうは逆に7割を下回っていると聞きました。人口も毎年8千人ほど減っていますので、地域で見守れる人が少なくなるなかで、どうやって同じ安心を保つのかが大事なのではと感じています」

島根県の治安情勢

刑法犯認知件数と検挙率の推移

県内の刑法犯認知件数は、令和4年の1,834件を底に3年連続で増加し、令和7年は2,173件となりました。「人口の少ない県だから治安の心配はない」という見方は、少なくとも直近の数字には合いません。(出典:令和8年島根県警察運営指針|令和8年

年次刑法犯認知件数検挙率
令和3年1,849件73.8%
令和4年1,834件(底)71.0%
令和5年1,956件72.7%
令和6年2,086件70.3%
令和7年2,173件(前年比4.2%増)67.8%

あわせて見てほしいのが検挙率です。令和3年の73.8%から令和7年の67.8%まで、4年で6ポイント下がりました

認知件数が増える局面では捜査の負担も同時に増えるため、検挙を追い付かせること自体が難しくなります。面接で治安を語るときは、件数の増減だけでなく、起きた事件にどれだけ答えを出せているかという視点まで持てると、話に厚みが出ます。

主な罪種の内訳

推移を追ったら、次は令和7年の一年に絞って中身を見ます。2,173件を、県警察が公表している主要罪種の区分で並べました。

区分(令和7年・認知件数)件数前年比
刑法犯総数2,173件+87件
窃盗犯1,252件−50件
 うち侵入窃盗135件−53件
 うち乗り物盗269件+3件
 うち非侵入窃盗848件±0件
知能犯(うち詐欺410件)441件+146件
粗暴犯151件+2件
重要犯罪58件+13件

刑法犯の半分以上にあたる1,252件が窃盗犯で、県内の防犯活動が向き合う中心はここにあります。もっとも、その窃盗犯は前年から50件減り、住まいや事業所に入り込む侵入窃盗も135件と53件減りました。

増えた分を作っているのは知能犯で、前年から146件増の441件、うち詐欺が410件を占めます。件数の合計が増えたという事実の中身は、盗みが減って騙しが増えたという入れ替わりだった、ということです。

なお、殺人や強盗などを束ねた重要犯罪の認知件数は令和7年に58件(前年45件)へ増え、検挙率は81.0%でした。(出典:刑法犯主要罪種・手口別認知・検挙状況(確定値)|令和7年1〜12月

被害額が跳ね上がった特殊詐欺

いま島根県で最も急な変化が起きているのが特殊詐欺です。令和7年の被害額は約5億9,442万円と、前年の約1億5,070万円から4倍近くに膨らみました。

件数も118件と過去5年で最も多く、被害の広がりと1件あたりの重さが同時に増したことになります。

年次被害件数被害額未然防止件数
令和4年56件約7,272万円91件
令和5年71件約1億5,437万円67件
令和6年80件約1億5,070万円75件
令和7年118件約5億9,442万円49件

この表でもう一つ注目したいのが、右端の未然防止件数です。金融機関やコンビニエンスストアの窓口などで被害を食い止められた件数は、令和4年の91件から令和7年の49件へと半分近くまで減っています。

被害が増えているのに、手前で止められた回数は減っています。従来の水際の呼びかけだけでは追いつかない手口へ移りつつあることを、この2つの数字の動きが示しています。

特殊詐欺の件数・被害額・未然防止件数、および以下の交通・サイバーの数値は、令和8年島根県警察運営指針の資料に掲載された値です。令和7年の数値は暫定値とされているため、面接で触れる際は島根県警察が公表する最新の統計をあわせてご確認ください。

人身安全関連事案と交通事故の情勢

ストーカーやドメスティックバイオレンス、児童虐待といった人身安全関連事案は、令和7年に県内でDV・ストーカー・虐待が446件、行方不明その他が291件、声かけやつきまとい等が335件認知されました。合計すると年に1,000件を超え、刑法犯2,173件の半数に迫る規模です。

件数の統計に表れる「事件」より前の段階で、警察が関わっている事案がこれだけあるということになります。

交通事故は、発生件数が令和3年の774件から令和7年の688件へと減ってきました。ところが死者は令和6年の9人から令和7年は17人へ増え、重傷者168人と合わせた死者・重傷者は185人でした。

この5年は182人から196人の幅で動いており、県警察も発生件数が減る一方で死者・重傷者の合計数が横ばいで推移していることを課題に挙げています。事故そのものは減っても、重い結果になる事故が減っていないという構図です。

うち高齢者は72人で、全体の38.9%を占めます。

サイバー空間の相談と検挙

県内のサイバー関連の相談件数は令和7年に1,939件で、前年の1,578件から2割以上増えました。サイバー犯罪の検挙件数も148件(暫定値)と、前年の120件から伸びています。

人口63万人の県で年に2,000件近い相談が寄せられているという事実は、この分野が都市部だけの課題ではないことを示しています。令和8年度から採用区分「サイバー」が新設されたのも、こうした情勢への対応を組織として急いでいる表れだと読めます。

島根県の主な治安課題

ここまでの数字を踏まえると、島根県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「島根県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の6つを押さえておきましょう。

件数の増加と、下がり続ける検挙率

令和7年の刑法犯2,173件という水準は、全国的に見れば小さな数字です。しかし住民が気にするのは県全体の件数ではなく、自分の住む集落や町内で何が起きたかです。

近所で空き巣に入られたという話は、統計の増減とは比べものにならない速さで不安に変わります。増えているのは件数だけでなく、検挙にたどり着けない事件の割合でもあるという点が、この4年間の数字の重要なところです。

確実な検挙と、街頭で見える警戒の両方をどう保つかが問われています。

特殊詐欺と匿名・流動型犯罪グループ

令和7年に被害額が1年で4倍近くへ膨らんだ特殊詐欺について、運営指針が対策の柱に据えているのが、SNSなどで実行役を募って犯行を繰り返す匿名・流動型犯罪グループへの対応です。指示役は匿名の陰に隠れ、末端の実行役だけが短期間で入れ替わるため、実行役を捕まえても被害の流れ自体は止まりません。

運営指針が実態解明・中枢被疑者の検挙・犯罪収益の剥奪の3つを並べているのは、こうした構造そのものを切り崩すためです。未然防止件数が減っている現状を踏まえれば、金融機関や事業者と組んで送金を止める仕組みをどう作り直すかも、あわせて問われる論点になります。

サイバー空間の脅威と、対処する人材

令和7年の相談1,939件、検挙148件という数字が示すとおり、犯罪の入口はすでにインターネットへ移っています。相手の顔が見えないやり取りで被害が広がるため、気づいた時点で追跡の手がかりが乏しいことも珍しくありません。

運営指針は課題として、事案の実態解明、県民の意識向上とあわせて対処する人材の確保・育成を挙げています。専門の捜査員をどう育て、同時に全職員の対処能力をどう底上げするか。

情報系の学習や実務の経験がある人にとっては、志望動機と最も接続しやすいテーマです。

減らない死者・重傷者と高齢者の交通安全

令和7年の死者・重傷者185人のうち72人が高齢者で、割合は38.9%でした。前年の45.6%からは下がりましたが、平成29年から令和6年までの8年間は43.9%から49.2%の範囲で推移してきました。

県警察が課題に挙げているのは2点で、先に触れた死者・重傷者の合計数が減らない点に加え、そのうち高齢者が占める割合も下がっていかない点です。運転する側にも歩く側にも高齢の方が増えていく県では、取締りだけで死傷者を減らしきることはできません

参加して体験する形の交通安全教育、通学路での速度取締り、高齢の運転者への支援といった働きかけを、集落ごとの実情に合わせて重ねていく必要があります。

広い県土でのテロ対処と災害への備え

島根県の地震・津波被害想定調査では、陸域で被害が最大となる宍道断層の地震(マグニチュード7.1)で全壊約3,260棟・死者102人、海域では鳥取県沖合のF55断層による地震で津波の死者176人を含む死者約397人が想定されています。東西約230キロに広がり、隠岐諸島という離島まで抱える県で、道路が断たれた状況の救助や避難の誘導をどう成り立たせるか。

警備部門を志望する人だけでなく、すべての受験者が押さえておきたい前提です。(出典:島根県地震・津波被害想定調査|平成30年3月

あわせて、県外から多くの人が訪れる県でもあります。令和5年の観光入込客延べ数は3,019万人で、出雲大社だけで711万人が訪れました。

人が集まる場所の安全確保と、重要施設の警戒警備、そして運営指針に明記された「竹島の日」等の警備諸対策が、この県の警備部門の日常を形づくっています。(出典:島根県観光動態調査|令和5年

人口減少のなかで警察の力をどう保つか

県の推計人口は令和7年10月1日現在で633,105人、1年で8,291人が減りました。合計特殊出生率は令和5年に1.46、人口の社会移動も転出超過が続いており、県は第2期島根創生計画で「人口減少に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根をつくる」を掲げています。(参考:第2期島根創生計画|令和7〜11年度

この流れは警察組織にも直接届きます。運営指針が課題に挙げるのは、若年人口の減少による人材獲得の激化と、社会の変化に柔軟に対応できる組織の構築です。

実際、警察官採用試験の競争倍率は令和6年に1.9倍まで下がり、令和7年は3.1倍と揺れ動いています。人を確保しながら、働き続けられる職場をどう作るか。

男性職員の育児休業取得率が令和2年度の2.2%から令和6年度は79.3%まで上がっているのも、その取組の一つです。(出典:令和8年島根県警察運営指針|令和8年

重点方針|令和8年島根県警察運営指針

島根県警察は、その年の警察活動の方向性を示すものとして『令和8年島根県警察運営指針』を公表しています。掲げられている言葉は「県民を守る 強く優しい警察」で、これに「県民とともに築く安全安心な『しまね』」という一行が添えられています。(出典:令和8年島根県警察運営指針|令和8年

指針が示す方向性

短い言葉ですが、読み取れることが2つあります。ひとつは「強く」と「優しい」を並べている点です。

犯罪と正面から向き合う強さと、被害に遭った人や不安を抱えた人に向き合う優しさは、本来は別の資質のように見えます。それを一つの警察像として置いたということは、どちらか片方では県民の期待に応えられないという認識の表れだと読めます。

もうひとつは「県民とともに築く」という言い方です。警察が一方的に守るのではなく、住民の側にも安全を担う役割があるという前提が置かれています。

人口が毎年減り、見守る目が細っていく県で、地域の力をどう引き出すか。この視点は、志望動機を組み立てるときの軸になります。

6つの重点目標

指針の下には、次の6つの重点目標が置かれています。左欄は公表されている項目名、右欄はその項目が島根県内のどんな現実と結び付くのかを、当研究会が記事の前半の事実に照らして整理したものです。

重点目標(公表されている項目名)県内の情勢に照らした受験生向けの読み方
安全安心を守る犯罪抑止対策の推進令和7年に被害額が4倍近くへ膨らんだ特殊詐欺への対策が中心。子どもや女性、高齢者を守る取組と、地域警察官が街頭に出る時間をどう確保するかもここに含まれる
組織犯罪対策の推進と凶悪な犯罪等の徹底検挙匿名・流動型犯罪グループの実態解明と犯罪収益の剥奪、SNSを入口とする投資詐欺やロマンス詐欺の中枢被疑者の検挙、令和7年に58件へ増えた重要犯罪の早期解決
死亡・重傷事故を重点とした総合的な交通事故防止対策の推進発生件数が減っても死者・重傷者が減らない構図への対応。高齢の運転者や歩行者への働きかけと、悪質な違反への指導取締り
テロ等の未然防止と災害等への的確な対処重要施設の警戒警備、「竹島の日」等における警備諸対策、宍道断層の地震のような大規模災害を想定した訓練と体制づくり
サイバー空間における脅威への的確な対処令和7年の相談1,939件・検挙148件という県内の情勢への対応。専門のサイバー捜査員の育成と、全職員の対処能力の底上げ
社会の変化に適応する警察運営の推進人口減少下での人材の確保と育成、犯罪被害者への支援、働き続けられる職場づくりまでを含む組織の足場の話

左欄の項目名は公表資料の表記です。右欄は当研究会が県内の情勢に照らして整理した読み方であり、県警察の公式見解ではありません。

面接で自分のやりたい仕事を話すとき、それが6つのどこに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。

POINT|6項目を覚えることが目的ではない

項目名を暗記することが組織研究のゴールではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①島根で何が起きているか(数字) → ②県警察はどの重点目標で受け止めようとしているか → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順に整理しましょう。

悪い例「島根の安全安心を守れる警察官になりたいです」

改善例「まずは駐在所や交番の勤務で、地域を歩いて顔を覚えていただくところから始めたいです。島根は刑法犯が2千件ほどと少ない県ですけれども、去年の特殊詐欺の被害額は6億円近くまで膨らんだと知りました。ですので、お宅を訪ねたときに、もうけ話や還付金の電話がどんな形で来るのかを、その方に伝わる言い方でお話しできる警察官になりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、要点を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。

  • 自分が受ける区分の受験案内(試験種目・配点・受験資格・申込方法)
  • 島根県警察の採用ページ(仕事の紹介と職員のメッセージ)
  • 令和8年島根県警察運営指針(指針と6つの重点目標、分野別の資料)
  • 県警察が公表する犯罪統計・特殊詐欺の被害状況(数字は毎年更新されるため最新値を確認)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、島根県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。島根県警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

島根県警察の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

島根県警察の面接の概要

ここからは、島根県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

島根県警察の面接の流れ

島根県警察の警察官採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階で行われます。面接試験は第2次試験の種目で、警察官としての職務遂行に必要な素質と適性をみる目的で個別面接として実施されます。

種目と配点の全体像は、次の表のとおりです。

項目内容(令和8年度・警察官A(大学卒)区分)
試験の段階第1次試験の合格者に第2次試験を実施する2段階
第1次試験教養試験・適性検査。提出書類の「自己紹介書」は第1次試験当日に持参して提出する
第2次試験作文試験・面接試験・体力検査・身体検査(身体検査は健康診断書の提出により実施)
面接の種類個別面接。受験案内に集団面接や集団討論の記載はない
教養試験180点
作文試験200点
面接試験500点
体力検査90点
加点・基準検査特技加点は上限30点。適性検査と身体検査は配点のない基準検査
基本配点の合計970点(10月採用・4月採用に共通)。うち面接試験の500点が全種目中で最大
提出書類「自己紹介書」。人事委員会のホームページから様式をダウンロードして作成し、A4で印刷して提出する。面接試験の参考資料であり、記入した事柄自体は評定の対象ではない
採用区分令和8年度から「サイバー」を新設(採用予定1名)。第2次試験で専門試験300点を追加実施し、原則としてサイバー犯罪対策課へ配属

この表で注目してほしい点は3つあります。1つ目は配点です。

面接試験の500点は、教養試験180点・作文試験200点・体力検査90点を合計した470点を上回ります。筆記の得点だけで合否が決まる試験ではなく、面接一種目で最も大きな点数が動く構造だということです。

2つ目は提出書類の位置づけです。島根県警察が使うのは「面接カード」ではなく「自己紹介書」で、受験案内には、これが面接試験の参考資料であり記入した事柄自体は評定の対象ではないと明記されています。

書き方の巧拙を競う書類ではなく、そこから広がる会話に何を答えられるかが問われる、と受け取っておきましょう。

3つ目は作文試験です。200点が置かれた作文も第2次試験の種目で、当研究会が収録している島根県警察の過去問には、島根県の治安上の課題そのものを問う出題や、安全安心なまちづくりに向けた警察の取組を問う出題が並んでいます。

面接に向けて県内の情勢を整理する作業は、そのまま作文試験の下地になるということです。

上記の試験構成は、令和8年度 島根県警察官A(大学卒)採用試験の受験案内にもとづく内容です。警察官B(高校卒業程度および大学卒業程度)は別の受験案内が正本で、種目・配点・面接の形式が異なる可能性があります。試験の構成や配点は年度や受験区分によって変わるため、必ずご自身が受ける区分の最新の受験案内でご確認ください。(出典:警察官A(大学卒)採用試験受験案内|令和8年度

島根県警察が求める人材

島根県警察は、受験案内にも採用サイトにも「求める人物像」にあたる文言を公表していません。手がかりになるのは運営指針の言葉です。

強さと優しさを、同じ人が同じ現場で使い分けることが、この県警察が描く警察官像だと読めます。(参考:採用案内|島根県警察

ここで求められているのは、特別な経歴や派手な実績ではありません。自己PRでは、揉め事や危険から目をそらさずに動いた経験と、困っている人の話を最後まで聞いて関わり方を変えた経験の、両方に触れられる材料を用意しておくと、指針の言葉と自分の行動が自然に重なります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。島根県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイクここまでの道中で、困ったことはありませんでしたか?身構えていない場面のやり取りに、受け答えの素直さと表情の柔らかさが表れます
② 動機・志望進路の選択肢がいくつもあるなかで、なぜ警察官なのですか?ほかの職業と比べたうえでの仕事理解と、選んだ理由の一貫性
③ 自己理解自分では気づいている短所を、ひとつ教えてください自分を客観視できているか。弱点との付き合い方まで語れるか
④ 経験・行動これまでで一番、思うようにいかなかった経験を教えてください結果ではなく、その場で実際にとった行動と、そこから何を持ち帰ったか
⑤ 学業・経歴いまの学校や学科で、力を入れて学んだことは何ですか?自分の選択と取組を、借り物でない言葉で説明できるか
⑥ 適性・将来交替制の勤務や、規律のある集団生活に不安はありませんか?働き方への理解と、体力面や生活面での備えの度合い
⑦ 公共性・社会性警察官の仕事と民間企業の仕事の一番の違いは何だと思いますか?職業観の成熟度と、公の仕事に就くことへの覚悟

ただし、この7カテゴリーは島根県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。多くの受験者が対策してくる領域なので、ここで大きな差はつきません。

なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在すると知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。

島根ならではの質問で差がつく

「鳥取や広島の県警という選択肢もあるなかで、なぜ島根県警察なのですか?」
「いまの島根県で、警察が一番力を入れるべきことは何だと思いますか?」

どちらも、島根県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「島根県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい島根県警察の事実答え方のヒント
治安の現状令和7年の刑法犯認知件数は2,173件で前年比4.2%増。令和4年の1,834件を底に3年続けて増え、検挙率は令和3年の73.8%から67.8%へ下がった全国と比べた件数の少なさで話を終えず、令和4年から反転した流れと、検挙率が4年で6ポイント下がった点まで触れると、島根の統計を自分で追った跡が残ります
特殊詐欺への対策令和7年の被害額は約5億9,442万円で前年の約4倍、件数も118件と過去5年で最多。一方で未然に防げた件数は令和4年の91件から49件へ減った被害額の伸びだけでなく、手前で止められた回数がほぼ半減している点まで押さえ、金融機関や店舗との声かけをどう作り直すかへ話をつなぐと、抑止側の仕事の理解が伝わります
志望動機・やりたい仕事令和8年の運営指針は「県民を守る 強く優しい警察」。犯罪抑止、組織犯罪と凶悪犯罪の検挙、交通、テロと災害、サイバー、警察運営の6つの重点目標を掲げる志望する分野が6つのどれに当たるかを言い添えたうえで、「強く」と「優しい」のどちらに自分の経験が寄っているかまで話すと、指針を自分で読んだことが伝わります
災害と警備への備え宍道断層の地震(マグニチュード7.1)で全壊約3,260棟・死者102人、鳥取県沖合のF55断層では津波の死者176人を含む死者約397人が想定されている。運営指針には「竹島の日」等の警備諸対策も位置づけられている東西約230キロで隠岐諸島も抱える県だと押さえ、道路が断たれた地域や離島での救助や避難誘導という具体場面へ落とすと、島根ならではの答えになります
人口減少と地域を守る力令和7年10月1日現在の推計人口は633,105人で、直近の1年に8,291人減少。65歳以上が2.8人に1人。県は第2期島根創生計画で「人口減少に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根をつくる」を掲げる見守る人が減っていく集落や離島で、駐在所の勤務や巡回連絡がどんな意味を持つのかを自分の言葉で説明できると、志望動機に具体性が出ます

使い方のコツは、5つを丸ごと覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 警察官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、運営指針が掲げる「強く優しい警察」「県民とともに築く」という組織の姿勢に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
強さ=ひるまずに前へ出る力摩擦や危険のある場面から目をそらさずに動けるか令和7年に58件へ増えた重要犯罪のような現場では、最初に踏み込む者が要ります。怖さや面倒さがあった場面で自分から前に出た経験を、そのとき何を考えて足を踏み出したのかまで言葉にしておきましょう
優しさ=相手に届く形で伝える力年齢や状況の違う相手に、伝わるまで関わり方を変えられるか県内は65歳以上が2.8人に1人で、令和7年の特殊詐欺の被害額は前年の約4倍に膨らみました。年上の方に説明し直した場面を、言い方や順番をどう変えたのかまで思い出しておきましょう
ともに築く=地域と続ける力成果がすぐ見えない関わりを、途切れさせずに続けられるか人口が直近の1年で8,291人減った県では、駐在所の巡回や見守りの積み重ねが治安の土台になります。目立たない役割を長く担った経験を、続けられた理由まで含めて話せるようにしておきましょう

評価の観点の3項目は、令和8年島根県警察運営指針の指針と重点目標をもとに、当研究会が面接対策用に整理したものです。県警察が公表している評価基準ではありません。

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受ける区分の最新の受験案内を読み、試験種目と配点を確認する。面接試験に500点が置かれた構造と、第1次試験当日に「自己紹介書」を持参する段取りを、準備の前提として頭に入れる
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、自分がとった行動を具体的に話せる出来事を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で言い直しておく
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む。ここで整理した島根の治安課題は、200点が置かれた作文試験の下地にもなる
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。あわせて第2次試験の体力検査に向けた体づくりと、生活リズムづくりを並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。面接に500点が置かれた試験だからこそ、自分を語る材料をそろえることが最優先です。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、島根県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

島根県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。個別面接の一種目に500点が集まる試験では準備の密度がそのまま得点差になるため、本番までの時間が限られている方は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。

島根県警察の想定問答集を見る

さいごに

島根県警察の警察官A(大学卒)採用試験は、基本配点970点のうち500点が面接試験に置かれています。教養試験180点・作文試験200点・体力検査90点を足しても470点ですから、面接の一種目で最も大きな点数が動く試験です。

しかも面接の参考資料となる自己紹介書は、記入した事柄そのものを評定するものではないと受験案内に明記されています。紙に何を書いたかではなく、そこから聞かれたことにどう答えたかで差がつく、ということです。

県内の刑法犯は令和7年に2,173件と全国的には少ない水準ですが、令和4年を底に3年続けて増え、検挙率は67.8%まで下がりました。特殊詐欺の被害額は1年で4倍近くに膨らみ、県の人口は直近の1年で8,291人減っています。

守る相手は減っているのに、守るべき事柄は増えているのが、いまの島根です。「県民を守る 強く優しい警察」の一員として、あなたはどの現場に立ちたいのか。

準備の出発点は、この記事の数字を眺めることではなく、そのうちのどれが自分の経験と重なるのかを書き出してみることです。