本記事では、福井県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、福井県警察の特徴・基礎データ・県内の治安情勢・運営指針と6つの運営重点・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
福井県警察の面接試験では、「なぜ福井県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。福井県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、福井県警察の実情に即した説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と福井県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|組織研究編
福井県警察の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは福井県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 福井市に県警本部を置き、福井県全域の17市町を管轄する。管轄人口は約73万人で、全国の都道府県警察のなかでも小さい部類に入る規模である。
- 県土は4,191平方キロメートル(全国第34位)、日本海に面する海岸線は328キロメートルに及ぶ。木の芽峠などの山領を境に嶺北と嶺南に分かれ、嶺北は福井平野を中心とする平野部、嶺南はリアス海岸が続く沿岸部で、地勢の大きく異なる2地域を1つの県警察が受け持っている。(出典:福井県の地勢と気候|気象庁)
- 本部には総務部・警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部の7部が置かれ、県内各地の警察署が第一線の活動を担い、警察学校が採用後の教育を受け持っている。
- 令和7年の県内の刑法犯認知件数は3,276件で、全国的に見れば少ない水準にあるが、前年から10.2%増と2桁の伸びを示した。検挙率は72.2%で、認知された事件のおよそ7割が検挙されている。
- その一方で、令和7年(2025年)に県内で確認された詐欺の被害額は約14億4,748万円にのぼり、過去最悪となった。事件の件数は少ないのに、被害額だけが突出して膨らんでいるのが、いまの福井県の姿である。
- 県内には15基の原子力発電所があり、全国の原子力発電量の25%強を賄っている。重要施設の警戒とテロ対策が日常の任務に組み込まれている点は、福井県警察を語るうえで欠かせない要素である。(出典:福井県の産業|福井県)
- 2024年3月の北陸新幹線敦賀開業以降、県外からの来訪が増えており、令和7年の観光客入込数は2,144.3万人と過去最高を更新した。来訪者が増えれば、行事や観光地での安全確保や交通対策にも、これまでになかった負荷がかかる。
- 令和8年の運営指針は「安全で安心な福井の実現」。県民に寄り添い、社会の変化に的確に対応する警察を掲げ、その下に6つの運営重点を置いている。
福井県警察の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「福井県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、管轄する県土と人口、本部の組織、犯罪情勢など、組織の置かれた環境を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄区域 | 福井県全域(17市町) |
| 管轄人口 | 約73万人(令和7年国勢調査速報で729,386人。令和8年6月1日現在の推計人口は724,385人) |
| 管轄面積 | 4,191平方キロメートル(全国第34位)・海岸線328キロメートル |
| 県内の地域区分 | 木の芽峠などの山領を境に嶺北・嶺南の2地域 |
| 県警本部の所在地 | 福井市 |
| 本部の組織 | 総務部・警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部の7部(ほかに警察署・警察学校) |
| 刑法犯認知件数 | 3,276件(令和7年・前年比10.2%増) |
| 刑法犯検挙率 | 72.2%(令和7年) |
管轄人口は令和7年国勢調査人口速報集計(令和7年10月1日現在)と福井県の推計人口(令和8年6月1日現在)、面積・海岸線・地域区分は気象庁の地勢資料、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は令和7年の犯罪統計(確定値)にもとづく数値です。警察署・交番・駐在所の設置数や職員数はこの記事では取り上げていないため、必要な方は福井県警察の公表資料をあたってください。(出典:国勢調査人口速報集計|令和7年)
数字から考えられる治安課題
福井県は、刑法犯の件数だけを見れば全国でも有数に少ない県です。ただ、少ないことは安全の保証にはなりません。
令和7年の認知件数3,276件は前年から10.2%増え、伸び幅は2桁に届きました。同じ時期、県人口は令和2年からの5年間で4.89%減り、17市町のすべてで人口が減少しています。
地域で見守る目が細っていくなかで、件数のほうは増加に転じたという組み合わせが、いまの福井県警察の出発点です。
たとえば面接で県内の治安について聞かれたときは、次のように件数と被害の中身をつないで説明できます。
福井県の治安情勢
刑法犯認知件数と検挙の状況
令和7年の県内の刑法犯認知件数は3,276件、前年比10.2%の増加でした。全国的には少ない部類に入りますが、増える側に振れた点は押さえておきたいところです。
あわせて刑法犯全体の検挙率は72.2%で、認知された事件のおよそ7割で犯人にたどり着いている計算になります。
面接で治安を語るときは、この検挙率の高さを話の起点にすると組み立てやすくなります。7割を超える検挙率が示しているのは、被害の届出を受けてから犯人を割り出すまでの捜査が、限られた人員のなかで機能しているということです。
人口が減り続ける県で、この水準をどう保ちながら、そもそも事件を起こさせない働きかけを地域へ広げていくか。ここが、これからの福井県警察の勝負どころになります。
主な罪種の内訳
同じ3,276件でも、その内側で起きている事件の種類は一様ではありません。県内の令和7年の内訳を、5つの類型に分けて並べます。
| 主な罪種(令和7年・認知件数) | 件数 |
|---|---|
| 殺人 | 1件 |
| 強盗 | 1件 |
| 侵入盗 | 249件 |
| 自動車盗 | 10件 |
| ひったくり | 0件 |
命に関わる重要犯罪はごく限られ、路上でのひったくりに至っては令和7年の認知が1件もありません。代わりに存在感を持つのが侵入盗の249件で、刑法犯全体のおよそ13件に1件を占めます。
都市部で問題になる街頭犯罪よりも、住まいや事業所に入り込む盗みをどう防ぐかが、福井の防犯の中心にあるということです。鍵かけの呼びかけ、空き家や倉庫の見回り、地域住民との情報のやり取りといった地道な活動が、そのまま数字に返ってきます。
詐欺被害額が過去最悪となった2025年
いま福井県で最も深刻な形で表れているのが詐欺の被害です。2025年に県内で確認された被害額は約14億4,748万円と過去最悪を記録しました。
内訳は次のとおりです。
| 手口(2025年) | 認知件数 | 被害額 |
|---|---|---|
| 特殊詐欺 | 82件 | 約4億8,330万円 |
| SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺 | 65件 | 約9億6,410万円 |
| 合計 | 147件 | 約14億4,748万円 |
注目したいのは、件数と金額の関係が逆転している点です。件数では従来型の特殊詐欺が上回るのに、被害額ではSNSを入口とする投資詐欺・ロマンス詐欺が倍近くに達しています。
1件あたりの被害額に直すと特殊詐欺の約2.5倍で、平均しても1件で1,400万円を超える計算です。一度の被害で生活の基盤が崩れる規模だということです。
刑法犯3,276件という件数の少なさと、14億円を超える被害額は、同じ県の同じ1年に起きた事実です。
上記の件数と被害額は、2025年(令和7年)に県内で確認された特殊詐欺とSNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の値です。「特殊詐欺の被害額が約14億円」と一括りに紹介されることがありますが、正しくは2つの類型を合わせた金額で、特殊詐欺単独では約4億8,330万円です。統計は毎年更新されるため、面接で触れる際は福井県警察が公表する最新の数値をご確認ください。
高齢化の進行と地域の防犯力
電話を入口とする詐欺で被害を防ぎにくくなっている背景には、県内の人口構成の変化があります。福井県の高齢化率は2020年に30%を超え、県の人口ビジョンは2040年に37.6%、2060年には41.2%まで上昇すると見込んでいます。(出典:福井県人口ビジョン|令和7年3月改定)
加えて、令和7年国勢調査速報では県内の1世帯あたりの人員が2.48人まで減りました。声をかけ合う相手が家庭内にいない高齢の方が増えるということであり、詐欺の電話を受けた時点で相談できる人がそばにいない状況が広がります。
そこで意味を持つのが、地域の側に防犯の担い手を増やす取組です。福井県警察は、女性の自主防犯力を高めるための「レディースガードリーダー」を育成しており、防犯講習で護身術を指導したり、身近な相談の窓口役を担ったりする人を地域に置いています。
警察官の数を急に増やせない県で治安を保つには、こうして住民の側にも守る力を広げていく発想が欠かせません。(参考:女性を守る取組|福井県警察)
県内の交通事故の発生件数や死者数は毎年公表され、数値も年ごとに動きます。面接で交通安全に触れる場合は、福井県警察が公表する最新の交通事故統計をあわせて確認しておきましょう。
福井県の主な治安課題
ここまでの数字を踏まえると、福井県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「福井県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
少ない件数のなかで起きた2桁の増加
令和7年の刑法犯3,276件という水準は、全国的に見れば小さな数字です。しかし住民が気にするのは県全体の件数ではなく、自分の住む集落や町内で何が起きたかです。
侵入盗が刑法犯のおよそ13件に1件を占める福井では、隣の家に入られたという一報が、統計の増減よりもはるかに速く住民の不安に変わります。件数の少ない県では、一件の事件が住民の体感治安に与える影響がかえって大きくなるという点は、面接で語る価値のある視点です。
前年比10.2%増という転換が起きた局面だからこそ、確実な検挙と、街頭で見える警戒の両方をどう保つかが問われています。
詐欺の被害額をどう止めるか
2025年の被害額約14億4,748万円という数字は、県の警察が抱える課題としては極めて重いものです。しかも被害額のおよそ3分の2は、SNSでもうけ話や恋愛感情を持ちかけて資金を送らせる型が占めています。
電話を取り次がせない、キャッシュカードを渡させないという従来の水際対策だけでは止まりません。被害者が自分の意思で送金してしまう構造にどう割り込むか、金融機関や自治体、離れて暮らす家族まで巻き込んだ多重の備えをどう作るかが、いまの福井の防犯の中心的な論点です。
運営重点が組織犯罪対策の充実強化を掲げているのも、実行役だけを検挙しても被害が止まらないという現実の裏返しといえます。
サイバー空間の安全安心の確保
詐欺の入口がSNSに移ったという事実は、そのままサイバー空間の課題でもあります。福井県警察は令和8年の運営重点にサイバー空間の安全安心の確保を独立した項目として置いており、この領域を組織として重く見ていることが分かります。
相手の顔が見えないやり取りのなかで被害が広がるため、気づいた時点で追跡の手がかりが乏しいことも珍しくありません。また、福井県警察の警察官採用試験では、論文試験でもサイバー犯罪が課題として出題されたことがあります。
情報系の学習や実務の経験がある人にとっては、志望動機と接続しやすいテーマです。
交通安全対策と冬の道路
交通情勢を踏まえた交通安全対策も、運営重点の一項目です。高齢化率が2040年に37.6%へ向かう県では、運転する側にも歩く側にも高齢層が増えていきます。
取締りだけで事故を減らしきることはできず、免許をめぐる相談から、集落を結ぶ生活道路での歩行者の安全確保まで、地域の実情に合わせた働きかけが必要になります。あわせて福井県は日本海岸気候区に属し、嶺北の奥越では冬季の降雪が多く、平野部でも大雪となることがあります。
雪による立ち往生や視界不良への対応は、この県の交通警察が毎年向き合う現実の課題です。
テロ対策と災害への備え
運営重点は、多様化するテロや激甚化する災害などへの対策の充実強化を掲げています。福井県の場合、この項目は抽象論になりません。
県内には15基の原子力発電所が立地し、全国の原子力発電量の25%強を賄っています。重要施設の警戒警備は、他県の警察官が日常的には担わない任務です。
地震の想定も具体的です。福井平野東縁断層帯の主部は、石川県加賀市沖からあわら市・坂井市・永平寺町を経て福井市まで延びる長さ約45キロメートルの断層帯で、全体が1つの区間として動いた場合にマグニチュード7.6程度の地震が想定されています。
西部(長さ約33キロメートル)はマグニチュード7.1程度と評価され、1948年の福井地震の際に活動したと推定されています。県庁所在地の直下に走る断層と、原子力発電所と、豪雪。
この3つを同じ管轄内に抱えることが、福井県警察の警備部門の前提条件です。(出典:福井平野東縁断層帯の長期評価|地震調査研究推進本部)
さらに、2024年3月に北陸新幹線が敦賀まで延びたことで、県外からの来訪は目に見えて増えました。令和7年の観光客入込数は2,144.3万人(前年比3.6%増)、観光消費額は1,987億円(同31.3%増)といずれも過去最高です。
人が多く集まる場所の安全確保と、広域に移動する犯罪への対応は、開業後の福井が新たに引き受けた仕事だといえます。(出典:福井県観光客入込数|令和7年)
重点方針|令和8年 福井県警察運営指針
福井県警察は、その年の警察活動の方向性を示すものとして『令和8年 福井県警察運営指針』を公表しています。掲げられている言葉は「安全で安心な福井の実現」で、これに「県民に寄り添い、社会の変化に的確に対応する警察」という一行が添えられています。(出典:福井県警察運営指針|令和8年)
指針が示す方向性
短い2行ですが、読み取れることが2つあります。ひとつは「安全」と「安心」を並べている点です。
安全は事件や事故を減らすという結果の話ですが、安心は住民がどう感じているかという受け止めの話で、統計が良くなっても不安が残ることはあります。刑法犯が3千件台という県でこの2語を並べたということは、件数の管理だけでは足りないという認識の表れだと読めます。
もうひとつは「社会の変化に的確に対応する」という一行です。詐欺の主役が電話からSNSへ移り、被害額が跳ね上がった1年を見れば、この言葉が飾りでないことが分かります。
去年までの知識のままでは追いつけない領域が広がっているという前提を、組織として明言したものと受け取っておきましょう。
6つの運営重点
指針の下には、次の6つの運営重点が置かれています。左欄は公表されている項目名、右欄はその項目が福井県内のどんな現実と結び付くのかを、当研究会が記事の前半の事実に照らして整理したものです。
| 運営重点(公表されている項目名) | 県内の情勢に照らした受験生向けの読み方 |
|---|---|
| 県民の安全安心の確保に向けた総合対策の充実強化 | 詐欺の被害防止、子どもや女性・高齢者を守る取組、レディースガードリーダーの育成のように地域側の防犯の担い手を増やす活動が入ってくる領域 |
| 安全安心を脅かす犯罪の徹底検挙及び組織犯罪対策の充実強化 | 侵入盗のような身近な犯罪の検挙と、SNSで実行役を集めて繰り返される犯罪への対策。末端の検挙で終わらせないための取組 |
| 交通情勢を踏まえた交通安全対策の充実強化 | 高齢の運転者や歩行者の安全確保、生活道路の対策、大雪や路面凍結という福井特有の条件を踏まえた交通対策 |
| 多様化するテロや激甚化する災害などへの対策の充実強化 | 原子力発電所をはじめとする重要施設の警戒警備、福井平野東縁断層帯を想定した地震への備え、豪雪や水害への対応 |
| サイバー空間の安全安心の確保に向けた取組の推進 | SNS型投資詐欺のように、インターネットを入口とする犯罪の捜査と被害防止の呼びかけ、事業者との連携 |
| 警察力の最適化による治安基盤の充実強化 | 人口が減り、17市町すべてで担い手が細る県で、人員や装備をどこに厚く置くかという組織としての判断。職員の育成もここに含まれる |
左欄の項目名は公表資料の表記です(原文に番号は付されていません)。各運営重点の取組内容や数値目標は公表資料に記載がないため、右欄は当研究会が県内の情勢に照らして整理した読み方であり、県警察の公式見解ではありません。
面接で自分のやりたい仕事を話すとき、それが6つのどこに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
POINT|6項目は並べずに、選んで使う
項目名を端から順に押さえることが組織研究の目的ではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①福井で何が起きているか(数字) → ②県警察はどの重点で受け止めようとしているか → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順に整理しましょう。
悪い例「県民に信頼される警察官になりたいです」
改善例「まずは交番の警察官として、地域を回るところから始めたいです。福井は刑法犯が3千件ほどと少ない県ですけれども、去年の詐欺の被害額は14億円を超えて過去最悪だったと知りました。ですので、巡回連絡でお年寄りのお宅を訪ねたときに、SNSでもうけ話を持ちかけられる手口が増えていることを、その方に伝わる言葉で説明できる警察官になりたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、要点を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。
- 自分が受ける区分の受験案内(試験種目・配点・受験資格・申込方法)
- 福井県警察の採用ページ(仕事の紹介と職員のメッセージ)
- 令和8年 福井県警察運営指針(運営指針と6つの運営重点)
- 県警察が公表する犯罪統計・詐欺の被害状況(数字は毎年更新されるため最新値を確認)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、福井県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。福井県警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
福井県警察の面接の概要
ここからは、福井県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
福井県警察の面接の流れ
福井県警察の警察官採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階で行われます。人物についての面接は、第2次試験の口述試験として実施されます。
種目と配点の全体像は、次の表のとおりです。
| 項目 | 内容(令和8年度・大学卒業程度の警察官A区分) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験(教養試験)の合格者に第2次試験を実施する2段階 |
| 第2次試験の構成 | 論文試験・身体的条件検査・体力試験・口述試験を合計2日間で実施(適性検査はオンライン受検) |
| 教養試験 | 100点・150分・択一式 |
| 論文試験 | 50点・60分・記述式 |
| 体力試験 | 50点・上体起こし、反復横とび、バーピーテストの3種目 |
| 口述試験(面接) | 200点・個別面接。受験者の人柄や性格等をみるために行われる |
| 加点制度 | 柔道・剣道の初段以上による段位加点が上限10点、外国語・情報処理の資格加点が最大20点 |
| 配点の合計 | 400点。うち口述試験の200点が全種目中で最大 |
| 合否の決め方 | 最終合格者は第1次試験および第2次試験の成績を総合して決定 |
| 申込方法 | 電子申請。受験時はスーツ着用不要で軽装可 |
この表で注目してほしい点は2つあります。1つ目は配点です。
口述試験の200点は400点満点のちょうど半分にあたり、教養試験100点・論文試験50点・体力試験50点をすべて足した点数と並びます。筆記の得点だけで合否が決まる試験ではない、ということです。
2つ目は日程の構造です。論文試験・体力試験・口述試験はいずれも第2次試験の種目で、2日間に集中して行われます。
第1次試験の合格発表を見てから面接の準備を始めるのでは、間に合わないと考えてください。あわせて、柔道・剣道の段位や外国語・情報処理の資格を持っている人は、加点制度で最大30点を上乗せできる可能性があります。
証明書の準備を含め、早い段階で受験案内を読み込んでおく価値があります。
もう一点、論文試験の題材にも触れておきます。当研究会が収録している福井県警察の過去問では、薬物犯罪、特殊詐欺、サイバー犯罪、子どもや女性の安全、高齢者の事件事故といった、県内の治安課題そのものが課題文として並んでいます。
面接で治安課題を語る準備は、そのまま論文試験の準備になるということです。
上記の試験構成は、福井県警察官(男性A・女性A/大学卒)採用試験の令和8年度受験案内にもとづく内容です。高校卒業程度の区分では種目や配点が異なります。また、この受験案内には集団面接・集団討論の記載がなく、面接の回数も明示されていません。面接カードや自己PRシートといった提出書類についても記載がないため、必ずご自身が受ける区分の最新の受験案内でご確認ください。(出典:警察官A採用試験受験案内|令和8年度)
福井県警察が求める人材
福井県警察は、令和8年度の受験案内に「求める人物像」や「求める人材」といった公表文言を載せていません。手がかりになるのは運営指針に添えられた一行です。
県民に寄り添い、社会の変化に的確に対応するという組織の姿勢を、一人の警察官の行動に置き換えて考えてみましょう。
ここで求められているのは、特別な経歴や派手な実績ではありません。自己PRでは、相手の不安に合わせて説明の仕方を変えた経験や、これまでのやり方が通用しなくなったときに自分で調べ直して立て直した経験が有効です。
指針の一行を、自分が実際にとった行動へ置き換えて説明できるかが、自己PRを組み立てるときの軸になります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。福井県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 警察官を目指そうと思ったのは、いつ頃ですか? | 身構えていない場面での受け答えに、話しぶりの自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく、なぜ警察官という仕事を選んだのですか? | ほかの進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性 |
| ③ 自己理解 | あなたの長所は、警察の仕事のどんな場面で活きると思いますか? | 自分の性格や強みを、警察の具体的な仕事と結び付けて説明できているか |
| ④ 経験・行動 | これまでで一番、粘り強く取り組んだことを教えてください | 成果の大きさではなく、実際にとった行動の事実と、そこから何を学んだか |
| ⑤ 学業・経歴 | その学校や学科を選んだ理由を教えてください | 自分の選択の理由を、借り物でない言葉で説明できるか |
| ⑥ 適性・将来 | 交替制の勤務や規律のある集団生活に不安はありませんか? | 働き方への理解と、体力面・生活面の備えの度合い |
| ⑦ 公共性・社会性 | 警察官に最も必要な資質は何だと思いますか? | 職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識 |
ただし、この7カテゴリーは福井県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。多くの受験者が対策してくる領域なので、ここで大きな差はつきません。
なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在すると知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。
合否を分けるのは福井の実情を踏まえた質問
どちらも、福井県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「福井県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい福井県警察の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 治安の現状 | 令和7年の刑法犯認知件数は3,276件で前年比10.2%増、検挙率は72.2%。殺人・強盗は各1件、ひったくりは0件、侵入盗が249件 | 件数の少なさで話を終えず、増加に転じたことと、住まいをねらう盗みが柱であることまで触れると、統計を自分で読んだ跡が残る |
| 詐欺への対策 | 2025年の詐欺被害額は約14億4,748万円で過去最悪。SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺が約9億6,410万円と、特殊詐欺の約4億8,330万円を大きく上回る | 件数では特殊詐欺、金額ではSNS型という逆転を押さえたうえで、送金を止める働きかけを誰と組んで行うかまで語ると具体性が出る |
| 志望動機・やりたい仕事 | 令和8年の運営指針は「安全で安心な福井の実現」。総合対策、検挙と組織犯罪対策、交通、テロと災害、サイバー、警察力の最適化の6つの運営重点を掲げる | 志望する分野が6つのどれに当たるかを言い添え、その重点の言葉を1つ借りて自分の関心を説明する |
| テロ対策と災害への備え | 県内に15基の原子力発電所が立地し全国の原子力発電量の25%強を担う。福井平野東縁断層帯はマグニチュード7.6程度の地震が想定され、冬季は平野部でも大雪となることがある | 重要施設の警戒が日常業務に組み込まれた県だと押さえ、雪や地震も含めて「止まらない体制」をどう支えたいかへつなげる |
| 新幹線開業後の人の流れ | 2024年3月に北陸新幹線が敦賀まで開業。令和7年の観光客入込数は2,144.3万人、観光消費額は1,987億円でいずれも過去最高 | 県外から来た人にとっても安心な県であることが、住民の安全と地続きだという視点で語ると、福井ならではの答えになる |
使い方のコツは、5つを丸ごと覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、調べた数字から入り、そこで自分が引っかかった点を挟み、警察官として関わりたい仕事で締めるという一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、運営指針が掲げる「県民に寄り添い、社会の変化に的確に対応する」という組織の姿勢に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 県民に寄り添う姿勢 | 年齢や立場の離れた相手に、話し方や説明の仕方を合わせられるか | 2040年に県民の4割近くが65歳以上になる福井では、高齢の方と交わした会話がそのまま材料になる。どんな言葉に言い換えたのかまで思い出しておく |
| 変化に的確に対応する力 | 前提が崩れたとき、自分で情報を集めてやり方を組み替えられるか | 詐欺の中心が電話からSNSへ移った県で働く前提に立ち、想定どおり進まなかった場面で何を調べ、何を変えたのかを具体的に話せるようにしておく |
| 地道な活動を続ける実行力 | 成果がすぐ見えない仕事にも、手を抜かずに向き合えるか | 令和7年の侵入盗249件を防ぐ仕事は鍵かけの声かけの積み重ね。目立たない作業を長く続けた経験を、続けられた理由まで含めて用意しておく |
評価の観点の3項目は、令和8年 福井県警察運営指針の趣旨をもとに、当研究会が面接対策用に整理したものです。県警察が公表している評価基準ではありません。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける区分の受験案内を読み、試験種目・配点・申込方法を確認する。400点のうち200点が口述試験に置かれていること、段位や資格の加点制度があることを、準備の前提として頭に入れる
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、自分がとった行動を具体的に話せる出来事を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉に置き換えておく
- 固有質問の材料を対応表から集め、数字・自分の問題意識・やりたい仕事の3点をひと続きに話せる形へ編み直す。ここで整理した治安課題は、60分で書く論文試験の下地にもなる
- 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。あわせて、体力試験の3種目である上体起こし・反復横とび・バーピーテストを日々のトレーニングに組み込み、2日間の第2次試験を乗り切る体調管理まで含めて準備する
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。配点の半分が個別面接に置かれた試験だからこそ、自分を語る材料の準備が最優先です。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、福井県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
福井県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。口述試験に200点が置かれた試験では準備の密度がそのまま得点差になるため、本番までの時間が限られている方は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。
さいごに
福井県警察の採用試験は、400点のうち200点が口述試験に置かれ、教養試験と論文試験と体力試験を足した点数と並びます。しかも論文も体力も口述も第2次試験の2日間に集まっているため、一次の結果を見てから動き出す余裕はありません。
福井は令和7年の刑法犯が3,276件と全国的に少なく、検挙率も72.2%と高い県ですが、同じ年に詐欺の被害額は約14億4,748万円と過去最悪を記録し、国勢調査では17市町のすべてで人口が減りました。守るべき人は減っているのに、守り方は難しくなっている県だといえます。
だからこそ「福井の何を、誰のために守りたいのか」を自分の言葉で言い切れる人に道が開けます。この記事で整理した事実を、あなた自身の経験と結び直す作業から始めてみてください。