本記事では、静岡県職員採用試験の面接対策で必要な、静岡県の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

静岡県の面接試験では、「なぜ静岡県を志望したのか」「県職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。静岡県ならではの事情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と静岡県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

静岡県の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは静岡県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 県庁所在地は静岡市(葵区)。日本のほぼ中央に位置して太平洋に面し、神奈川県、山梨県、長野県、愛知県と接する。
  • 県土は東西に長く、東西約155km、南北約118kmに及ぶ。総面積は約7,777km²(令和6年)で、その多くを森林や山地が占める。
  • 静岡市と浜松市という2つの政令指定都市を抱え、23市12町の35市町で構成される(令和6年)。
  • 南側は遠州灘・駿河湾・相模灘に沿って約500kmの海岸線が続き、北側には富士山をはじめ3,000m級の山々がそびえる。天竜川・大井川・富士川などの大河川が県土を潤す。
  • 富士山や伊豆半島、南アルプスなどの観光資源に恵まれ、富士山静岡空港と東海道新幹線が県内外を結ぶ。清水港は国が指定する国際拠点港湾。
  • 全国有数のものづくり県で、製造品出荷額等は全国第3位(令和4年)。人口や経済の規模は全国のおよそ3%を占め、いわゆる「3%経済」と呼ばれる。
  • 県財政は立て直しが必要な局面にある。県は令和10年度末までを改革強化期間と位置づけ、借入に依存した財政運営から脱却するための中期財政計画を策定している。

静岡県の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「静岡県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、県土の広さ、市町の構成、産業の規模など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口約344万人(推計人口、令和8年6月1日現在)
総世帯数約151万世帯(推計人口、令和8年6月1日現在)
高齢化率(65歳以上)30.9%(令和7年4月1日現在・過去最高、住民基本台帳ベース)
後期高齢化率(75歳以上)17.9%(令和7年4月1日現在、住民基本台帳ベース)
総面積約7,777km²(令和6年1月1日現在)
市町数35市町(23市12町、令和6年4月1日現在)
政令指定都市静岡市・浜松市
経済規模人口・県内総生産など多くの指標で全国第10位(全国のおよそ3%)
製造品出荷額等19兆291億円(令和4年・全国第3位)

総人口と総世帯数は令和7年国勢調査の速報を基準に推計した推計人口(令和8年6月1日現在)、高齢化率と後期高齢化率は住民基本台帳を基準とする高齢者福祉の基礎調査(令和7年4月1日現在)による数値で、両者は算出の基準が異なります。製造品出荷額等は令和4年時点の数値です。

数字から考えられる県政課題

静岡県は現在も人口・経済とも全国の約3%を占める中規模の県ですが、人口減少はすでに待ったなしの局面に入っています。人口は平成19年の約380万人をピークに減り続け、高齢化率は令和7年に30.9%と過去最高を更新しました。

数の多さよりも、減っていくことを前提に暮らしと産業をどう支えるかが問われています。(出典:静岡県の高齢者福祉の基礎調査|令和7年

たとえば面接では、静岡県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「静岡県は約340万人が暮らす県で、経済の規模は全国でおよそ10番目と聞きました。ただ人口は減り続けていて、2050年ごろには今の4分の3くらいまで減る見込みだそうです。数の多さよりも、減っていくことを前提に暮らしを支える視点が大事になると考えています」

静岡県の経済・産業

経済・産業構造の概要

  • 人口や県内総生産など多くの指標で全国第10位の規模を持ち、全国のおよそ3%を占める「3%経済」と呼ばれる(令和6年度版データブック)。
  • 製造品出荷額等は19兆291億円で全国第3位(令和4年・全国比5.3%)。愛知・大阪に次ぐものづくり県。
  • 製造品出荷額等の構成比は輸送機械24.4%、電気機械14.2%、化学工業13.5%(令和4年)。この3業種はいずれも全国第2位のシェア。
  • 製造業従業者数は40万9,607人で全国第3位(令和5年・全国比5.3%)。

つまり、「人口も経済も全国のおよそ3%を占める、全国有数のものづくり県」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:静岡県産業データブック|令和6年度版

ものづくり県の強み

「東海のものづくり県」の名にふさわしく、静岡県は日本一の製造品を数多く抱えます。製造品出荷額が全国第1位の品目は83品目にのぼり(令和4年)、ピアノは全国シェア100.0%、二輪自動車用の内燃機関は96.1%、プラスチックモデルキットは85.0%、緑茶(仕上茶)は55.3%を占めます。

輸送機械・電気機械・化学工業という三本柱が、いずれも全国第2位のシェアを持つ点も特徴です。こうした製造業は県内の雇用を支える柱でもあり、その生産性向上と人材の確保が県政の重要テーマになっています。

面接で産業に触れるなら、「幅広い分野で日本一を持つ、多品種のものづくり」という像を押さえておくと説得力が増します。(参考:静岡県産業データブック|令和6年度版

農林水産業

ものづくりの印象が強い静岡県ですが、一次産業も全国有数です。とりわけ茶業は本県を代表する産業で、緑茶(仕上茶)の出荷額は全国トップクラス。県は輸出需要の高い抹茶や有機茶への品種転換を後押しし、稼げる茶業への構造転換を進めています。

水産業では漁協を核に漁業や食文化、マリンアクティビティを結びつけた「海業」の取組が進み、林業でもデジタル森林情報を使った集約化や県産材の利用拡大が図られています。

面接では、農林水産業を「守る対象」ではなく「稼ぐ産業へ変えていく対象」として語れると、県の方向性と重なります。

観光業

観光交流客数は延べ1億4,034万人(令和6年度・前年度比0.5%増)で堅調に推移しています。富士山や伊豆半島、南アルプスなど性格の異なる観光資源を併せ持つのが強みで、宿泊客数も1,950万人(令和6年度・前年度比4.4%増)と前年を83万人上回りました。

一方、日帰りを中心とする観光レクリエーション客数は1億2,084万人(令和6年度・前年度比0.1%減)とほぼ横ばいで、宿泊や周遊による地域内消費への波及をどう高めるかが課題です。

県は富士山静岡空港を海外との玄関口と位置づけ、国際線利用者数を令和6年度の20.5万人から将来60万人へ広げる目標を掲げています。(出典:静岡県観光交流の動向|令和6年度

静岡県の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、静岡県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口減少と少子高齢化への「抑制」と「適応」

静岡県の令和6年の出生数は1万7,439人と過去最少で、合計特殊出生率も1.19まで低下しました(全国の1.15をやや上回るものの、8年連続で前年を下回っています)。県の総合計画は、2050年に人口が282万9千人とピーク時の約4分の3まで減り、約3人に1人以上が高齢者になると見通しています。

県は、少子化を抑える対策と、人口が減った社会に「適応する」対策の両輪が必要だとしています。

若い世代の県外流出(社会減)

静岡県は平成20年に死亡数が出生数を上回る「自然減」に転じ、加えて進学や就職を機に毎年およそ6千人の若者が首都圏へ転出する「社会減」が続いています。地域社会の将来を担う世代の流出は、産業の担い手不足や地域経済の縮小に直結します

若者に選ばれる働く場や暮らしの魅力をどう高めるかが、移住・定住策とあわせて問われています。

南海トラフ地震と激甚化する自然災害への備え

静岡県は南海トラフ地震の想定震源域に位置し、防災は県政の最重要テーマです。県の第4次地震被害想定(平成25年公表)は、最大クラスの地震・津波で死者が約10万5千人、建物の全壊・焼失が約30万棟(県内建物の約2割)に上ると見積もっています。

令和6年8月には「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が初めて発表されました。近年は豪雨災害も相次ぎ、令和3年の熱海市の土砂災害や令和4年の台風15号などで甚大な被害が出ています。

県は、これらを反映した新たな地震被害想定の策定を進めています。(出典:静岡県第4次地震被害想定|平成25年

脱炭素・環境保全とリニア中央新幹線

県は脱炭素社会や循環型社会の構築を掲げ、再生可能エネルギーの導入や省エネルギー対策を進める一方で、産業活動との両立も課題です。とりわけリニア中央新幹線をめぐっては、県北部の南アルプス・大井川上流部をトンネルが通る計画による水資源や生態系への影響が懸念されてきました。

県は事業には賛同しつつ、大井川の水資源と南アルプスの自然環境の保全との両立を求め、JR東海との対話を重ねています。

全国的な脱炭素の流れと、静岡ならではの水・自然の保全をどう両立させるかが問われています。

地域ごとの状況の違い

県土が東西に長い静岡県では、地域によって人口構成や産業、交通事情が大きく異なります。県の総合計画は、県内を4つの地域に分けて、それぞれの目指す姿を描いています。

地域総合計画が描く目指す姿面接で使える視点
伊豆半島地域豊かな自然と元気な観光産業などが輝き、人が人を呼ぶ持続可能な地域観光振興と、人口減少・高齢化への適応の両立
東部地域日本のシンボル富士山を彩り、人々と産業が花開く地域富士山を生かした交流と、ものづくりの両立
中部地域広域ネットワークが創り出す、人も魅力も集まる中枢地域県都を中心とした人と魅力の集積
西部地域先端技術と自然が奏でる、新たな価値を創造する地域ものづくりと先端技術による価値創造

「取り組みたい仕事」を考えるときも、どの地域のどんな課題を想定しているのかまで具体化しておくと、回答に説得力が出ます。

静岡県の重点政策|しずおかウェルビーイングプラン

静岡県の総合計画は「静岡県総合計画~しずおか ウェルビーイングプラン~」(令和7年度から令和10年度)です。将来像に「幸福度日本一の静岡県」を掲げ、県民一人ひとりの幸福実感を重視する「ウェルビーイング」の視点を、県政運営全体に取り入れています。(出典:静岡県総合計画(しずおかウェルビーイングプラン)

計画を貫く考え方

計画が県政全体に共通する考え方として据えるのが、県民一人ひとりの幸福実感を重視する「ウェルビーイング」の視点です。行政だけでなく県民や企業も含めたオール静岡で、「幸福度日本一の静岡県」の実現を目指します。

これを支える基本理念が「LGX(ローカル・ガバメント・トランスフォーメーション)」で、変化に柔軟かつ迅速に対応できる組織への変革を掲げ、次の5つの「経営の視点」で計画を推進します。

  • 将来世代に対して責任を負う
  • 最少の経費で最大の効果を挙げる
  • 新しいことへの挑戦
  • スピード感を持った対応(巧遅より拙速)
  • 「人」を活かす

三つの政策の柱

「幸福度日本一の静岡県」の実現に向けて、政策は3つの柱に整理されています。

政策の柱扱う主な分野
Ⅰ 未来を創る力産業、環境・エネルギー、観光・交流・インフラ
Ⅱ 豊かな暮らしこども・教育、健康福祉、暮らし・文化
Ⅲ 県民の安心防災・安全、犯罪・交通事故対策、健康危機対策
行政経営行財政改革、DXの推進、健全な財政運営

面接では、自分の取り組みたい仕事がどの柱に位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。

令和8年度の県政運営のポイント

令和8年度の一般会計当初予算は1兆4,141億円(前年度比3.0%増)で、県は「未来を育む両利き予算」と位置づけています。次世代産業やスタートアップの支援、県外企業の誘致、都道府県単位で初となるドライバーバンクの設置などによる「地域交通のリ・デザイン」、不登校の児童生徒への伴走支援を含む「こどもまんなか社会」づくり、住宅の耐震化と減災を進めるプロジェクト「TOUKAI-0+」などが重点に挙げられました。

一方で県財政に余裕はなく、令和10年度末までの改革強化期間を定めた中期財政計画のもとで、行財政改革も並行して進められています(出典:知事提案説明要旨|令和8年2月県議会定例会

POINT|重点事業をすべて暗記しなくてよい

事業名をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態を目指すか → ③今の取組 → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験や強みをどう生かすか」の順で調べましょう。

悪い例「静岡県の産業を盛り上げる仕事がしたいです」

改善例「静岡は製造品出荷額が全国で3番目に大きいものづくりの県ですけれども、担い手の高齢化も進んでいると聞きました。まずは県の職員として現場をよく知ることから始めて、その上で中小企業が新しい分野に挑戦するのを後押しする仕事に関わっていきたいです」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 静岡県職員採用試験の受験案内/採用パンフレット・職種紹介
  • 静岡県総合計画(しずおかウェルビーイングプラン)の概要版
  • 最新年度の当初予算・知事提案説明要旨/関心分野の個別計画
  • 静岡県産業データブック(人口・産業・観光などの統計を分野別に収録)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、静岡県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。静岡県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

静岡県庁の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

静岡県の面接の概要

ここからは、静岡県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

静岡県の面接の流れ

静岡県の大学卒業程度試験(行政Ⅰ)で最も重いのは、筆記ではなく面接です。総合600点のうち面接試験が480点を占める、人物重視の試験です。

論文試験は第1次試験日に実施されますが、その採点は第2次試験で行われるため、面接の準備が合否を大きく左右します

項目内容(令和8年度・行政Ⅰ)
試験の段階第1次試験(教養試験・専門試験・論文試験)→ 第2次試験(適性検査・面接試験2回)※論文試験は第1次試験日に実施し、採点は第2次試験で行う
面接の種類個別面接2回(1回目・2回目)
集団形式集団討論(面接試験の1回目に実施)
面接試験の配点480点(教養試験40点・専門試験40点・論文試験40点とあわせて総合600点)
面接シートあり(第2次試験で提出)
そのほかの検査適性検査(第2次試験で実施)

注目してほしいのは配点の偏りです。配点の8割が面接に集中しているため、用意した答えを言えるかどうかではなく、掘り下げられても自分の言葉で答え続けられるかが問われる構造だと言えます。

面接試験は2回に分けて実施され、1回目に組み込まれた集団討論では、個別面接とは別に、他の受験者とのやり取りの中で協調性や役割の取り方も見られます。

なお、行政Ⅱ・教育行政Ⅱでは面接試験が総合600点中500点と、さらに比重が高くなります。

上記の試験構成は、静岡県人事委員会が公表する令和8年度大学卒業程度職員採用試験(行政Ⅰ)の受験案内にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

静岡県が求める人物像

静岡県は求める職員像として、「自ら考え、柔軟な発想に立ち、高い使命感を持って、県民幸福度の最大化に向けて取り組む職員」を公表しています。そのうえで、「幸福度日本一の静岡県」の実現を担う職員像として、次の4つの視点を挙げています。(参考:静岡県の求める人材像

  • 広い視野を持ち、新たな取組に挑戦する意欲
  • 高い実務能力と、県民目線に立った経営感覚
  • 高い使命感・強い倫理観・人権感覚
  • 職位に合ったデジタルリテラシー

自己PRでは、「積極性があります」と述べるだけでなく、その力を使って何を行い、周囲にどんな変化をもたらしたのかまで説明しましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。静岡県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ静岡県を志望するのですか?「県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか
③ 自己理解あなたの長所と短所を教えてください自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動から、入庁後にも再現できる強みを確かめています
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れて取り組んだことは何ですか?自分の選択や努力を、順序立てて説明できるか
⑥ 適性・将来10年後、どんな職員になっていたいですか?働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し
⑦ 公共性・社会性最近、関心を持っている社会の出来事はありますか?社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点

ただし、この7カテゴリーは静岡県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者の多くが対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのが実情です。

差がつくのは、次の「静岡県ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「静岡県ならでは」の質問

「なぜ市役所や町ではなく、県庁を志望するのですか」
「静岡県の課題を一つ挙げ、あなたならどう取り組みますか」

どちらも、静岡県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「静岡県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい静岡県の事実答え方のヒント
人口減少・社会減人口は平成19年の約380万人をピークに減少。進学・就職で毎年およそ6千人の若者が首都圏へ転出し、2050年には282万9千人まで減る見込み「人口が減る前提でどう暮らしと産業を支えるか」という適応の視点を添えると、課題認識に厚みが出ます
総合計画「静岡県総合計画(しずおかウェルビーイングプラン)」(令和7年度から令和10年度)。将来像は「幸福度日本一の静岡県」で、3つの政策の柱で構成やりたい仕事を3つの柱のどれかに位置づけて話すと、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります
防災・危機管理第4次地震被害想定(平成25年公表)は、最大クラスの南海トラフ地震で死者約10万5千人・建物全壊焼失約30万棟を見込む南海トラフを正面から見据えた県の想定に触れ、平時の備えや地域防災力の話へつなげます
ものづくり製造品出荷額等は全国第3位(令和4年)。全国シェア1位の品目が83品目あり、輸送機械・電気機械・化学が全国2位のシェア「多品種で日本一を持つものづくり県」を押さえ、産業振興や中小企業支援と自分の関心を結びます
観光・交流観光交流客数は令和6年度に延べ約1億4千万人。富士山や伊豆を抱え、富士山静岡空港を海外との玄関口に位置づけ「呼び込む」だけでなく、宿泊や周遊による地域への波及まで語れると具体性が増します

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、前述の「求める人物像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
広い視野と挑戦意欲前例にとらわれず、自分から新しいことに取り組んだ経験があるか人口減少という前提のもとで、静岡の資源を生かして何ができるかを、自分の経験と重ねて話せるようにする
実務能力と県民目線相手の立場で考え、限られた条件の中で工夫した経験があるか「幸福度日本一」を掲げる県として、相手の実感に寄り添って動いた場面を具体的に言葉にする
使命感・倫理観・人権感覚責任感を持ってやり遂げた経験、公正さを大切にした経験があるか南海トラフへの備えなど、県民の命と暮らしを守る仕事への理解と覚悟を自分の言葉で語れるようにする
デジタルリテラシー道具としてのデジタルを、どんな場面でどう使ってきたかLGXを掲げる県として、身近な場面でデジタルを使って効率化や改善につなげた経験を用意しておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和8年度の受験案内を読み、試験の段階と面接シートの記入項目を確認する
  2. 高校や大学での経験を振り返り、学業・部活動・アルバイトなどから、話せる具体例を一つずつ用意する
  3. 7つのカテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い静岡県の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の振り返りと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、静岡県庁専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

静岡県の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

静岡県庁の想定問答集を見る

さいごに

静岡県の採用試験は、配点の多くを面接が占める人物重視の試験です。

筆記の得点だけで決まらないぶん、静岡県という土地の課題を自分ごととして語れるかどうかが、最後に効いてきます

人口が減っていく前提のもとで、それでも県民が幸せを実感できる静岡をどうつくるか。あなた自身の経験と重ねながら、その問いに向き合う準備を進めていきましょう。