本記事では、山梨県職員採用試験の面接対策で必要な、山梨県の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
山梨県の面接試験では、「なぜ山梨県を志望したのか」、「県職員として何に取り組みたいのか」、「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。県の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、山梨県ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と山梨県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
山梨県の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは山梨県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 県庁所在地は甲府市。本州のほぼ中央に位置し、東京都・神奈川県・埼玉県・長野県・静岡県の5都県と接する内陸県です。
- 総面積は約4,465km²と全国的にも広い一方、総面積の約86%が山地で、平地は中央部の甲府盆地などに限られます。森林面積は県土の約78%にのぼります。
- 人口は約77万人。2003(平成15)年に死亡数が出生数を上回る自然減へ、社会増減はそれより早く2001(平成13)年に社会減へ転じ、人口減少が長く続いています。
- ぶどう・もも・すももの収穫量はいずれも全国第1位で、国内有数の果樹産地です。ワインやミネラルウォーターの分野でも全国トップの出荷を誇ります。
- 富士山や富士五湖、南アルプスなどの山岳・湖沼を擁し、観光資源が豊富です。令和6年の観光消費額は前年から大きく回復しました。
- 中央自動車道・中部横断自動車道などの高速道路網が発達する一方で鉄道路線は少なく、リニア中央新幹線の県内駅(甲府市大津町)開業を見据えたまちづくりが進んでいます。
- 県財政は余裕のない状況が続いています。県債残高は令和6年度末で高い水準にあり、多額の財源不足から主要基金の取り崩しを迫られています。健全化判断比率そのものは基準を下回るものの、将来世代の負担への備えが課題です。
山梨県の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「山梨県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、県土の広さ、経済規模、人口動態など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 約77万4千人(令和8年6月1日推計。令和2年国勢調査は806,210人) |
| 高齢化率 | 30.8%(2020年)。2080年には42.5%まで上昇する見込み |
| 総面積 | 約4,465km²(全国の約1/100)。うち約86%が山地で、森林面積は県土の約78% |
| 人口密度 | 174人/km²(2026年5月1日時点) |
| 総世帯数 | 約34万7千世帯(令和8年6月1日推計) |
| 労働力人口 | 約45万人(2020年)。2050年には約35万人を下回る見込み |
| 製造品出荷額等 | 約2兆5,302億円(令和3年) |
推計人口・世帯数は山梨県公表の令和8年6月1日現在の推計、高齢化率と労働力人口は山梨県人口ビジョン2.0、製造品出荷額等は令和3年経済センサス活動調査による数値です。
数字から考えられる県政課題
山梨県の人口規模は全国的に見て小さく、すでに四半世紀近く自然減・社会減が続いています。単に「人口が減っている」と捉えるだけでなく、地域による減少スピードの差、老年人口の増加とその後の減少、労働力人口の縮小といった論点を合わせて考える必要があります。
たとえば面接では、山梨県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
山梨県の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 製造品出荷額等は約2兆5,302億円(令和3年)。生産用機械器具製造業が31.3%で最大、次いで食料品製造業(9.8%)、電子部品・デバイス・電子回路製造業(9.1%)が続く。
- はん用・生産用・業務用機械、電子部品、電気機械、情報通信機械、輸送用機械からなる機械電子産業が基幹産業。
- ぶどう・もも・すももの収穫量はいずれも全国第1位(令和6年産)で、国内最大級の果樹産地。
- ミネラルウォーターの出荷額は全国の約3割で全国第1位(2023年)。日本ワインの製成数量やワイナリー数もそれぞれ全国トップクラス。
つまり、「機械電子産業という稼ぐ柱と、果樹・ワイン・水という山梨ならではの資源が両輪」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:工業の概況|令和3年)
農林水産業(果樹王国やまなし)
「果樹王国」と呼ばれる山梨県では、ぶどう(全国の約26%)・もも(約29%)・すもも(約31%)の収穫量がいずれも全国第1位です(令和6年産)。甲府盆地を中心に果樹栽培が盛んで、ワイン醸造とも深く結び付いています。
日本ワインの製成数量やワイナリー数も全国トップクラスで、ミネラルウォーターの出荷額は全国の約3割を占めて全国第1位です。
県は令和8年度の施政方針でも、桃・ぶどうの海外プロモーションや「桃ソムリエ」制度の創設、ワインの価値発信拠点づくりを掲げており、面接では観光や6次産業化と結び付けて語れる分野です。(出典:山梨県の「日本一」統計|令和6年)
製造業(機械電子産業)
果樹のイメージが強い一方で、山梨県は機械電子産業を基幹産業とするものづくり県でもあります。製造品出荷額等は約2兆5,302億円(令和3年)で、生産用機械器具製造業が31.3%と突出し、電子部品・デバイスや電気機械も集積しています。
県は静岡県と連携する「ふじのくに先端医療総合特区」を推進し、医療機器産業を核とした「全県ファウンドリー化」を打ち出しています。
志望動機で産業政策を扱うなら、こうした先端産業の集積を押さえておくと説得力が増します。
水素エネルギー
山梨県の産業政策で見逃せないのが水素エネルギーです。県はグリーン水素を実社会で使い続けるエネルギーとして確立することを掲げ、水素関連技術の社会実装に踏み込んだ日本で唯一の自治体だと位置づけています(取り組みの正式名称は「やまなし水素エネルギー社会実現ロードマップ」です)。
令和8年度は国際水素サミットの開催も掲げられており、脱炭素と産業振興が交わる分野として理解しておくと、環境やエネルギーの話題に応用できます。
観光業
富士山や富士五湖、南アルプス、ワイナリーなど多彩な資源を持つ山梨県では、観光も主要産業です。令和6年の延べ観光入込客数は約4,763万人(前年比19.5%増)で、観光消費額は4,865億円(同53.2%増)と大きく回復しました。
圏域別では富士・東部圏域が実人数の54.8%を占め、外国人延べ宿泊者数も前年から約8割増と伸びています。
一方で来訪が富士山周辺に集中しがちな点は課題で、県は令和8年度の施政方針で富士山の持続可能な管理(登山規制や動線管理)を重点に据えています。(出典:観光入込客統計調査|令和6年)
山梨県の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、山梨県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
人口減少と少子高齢化
山梨県は2000年代初頭から人口減少が続いています。県は人口ビジョン2.0で、対策を講じなければ2100年までに小中学校が約3分の1に、消防団員が4割弱に減るなど生活基盤が縮小するという強い危機感を示しています。
2023(令和5)年6月には「人口減少危機突破宣言」を発出し、出生率回復に向けた集中的な取り組みを進めています。
県内のすべての地域で人口減少が見込まれ、高齢化率は2020年の30.8%から2080年には42.5%まで上昇する見通しで、地域の支え手の確保はいっそう難しくなります。
子育て支援だけでなく、若者の所得、教育、雇用、地域交通まで関連づけて考える必要があります。(参考:山梨県人口ビジョン2.0|令和7年)
大規模災害への備え
山梨県は内陸県ながら、地震・富士山噴火・豪雨など多様な災害リスクを抱えます。県の地震被害想定調査(令和5年)では、曽根丘陵断層帯の地震で建物全壊・全焼が約9万4千棟、死者が約3,800人という最大級の想定が示されました。
南海トラフの巨大地震(東側ケース)でも県の中西部で最大震度7、建物全壊・全焼が約6万棟という被害が想定されています。
加えて世界遺産・富士山の火山防災は全国的にも注目される課題で、県は富士山降灰対策ガイドラインの策定や広域避難モデルの構築を進めています。
県は令和8年度から5年間で総額5,000億円規模の公共投資を計画するなど、社会資本の強靱化や消防防災体制の充実も並行して進めています。(出典:地震被害想定調査(概要版)|令和5年)
産業構造の転換と所得の向上
全国最大級の果樹産地であり機械電子産業も抱える山梨県ですが、県は物価上昇を上回る所得の向上を大きな課題と位置づけています。令和8年度の施政方針では、「賃金水準の引き上げ」「生産性の向上」「労働参加率の向上」を柱とする所得構造改革を掲げ、「豊かさ共創スリーアップ」には1,000社を超える企業が認証企業として参加しています。
また県は、複数の自治体が連携して海外と向き合う「面的な国際連携(ゲートウェイ構想)」を掲げ、果実やワイン、医療機器といった強みのある産業の海外展開を後押ししています。
産業振興を志望動機にする場合、こうした所得や雇用、販路拡大の視点を絡められると厚みが出ます。
リニアを契機とした地域づくり
開業が見込まれるリニア中央新幹線は、山梨県にとって最大の転換点です。県駅(仮称)は甲府市大津町に設置される予定で、リニア開業による世帯あたりの経済効果は全国で最も高くなると見込まれています。
県は駅周辺整備や二次交通の高度化を掲げ、次世代交通システム「富士トラム」をリニア山梨県駅まで延伸して富士山方面と直結させる構想や、空飛ぶクルマの実現に向けた調査、経済価値と生活価値を同時に高める「緑の百年構想」に取り組んでいますが、効果を県全体へ波及させられるかが問われます。
鉄道路線が少なく道路交通に依存する県だけに、交通の再設計は大きなテーマです。
地域間の状況の違い
甲府盆地を中心とする都市部と、峡南・東部などの中山間地域では、人口動向や生活サービスの状況が大きく異なります。県は峡南地域と東部地域で人口減少のスピードが速いと認識しており、店舗や学校、消防団といった地域機能の維持が急務です。
県は市町村の事務の共同化や、「スマートシュリンク」による持続可能な地域構造づくりを進めています。
「取り組みたい仕事」を考えるときも、どの地域のどんな課題を想定しているのかまで具体化しておくと、回答に説得力が出ます。
山梨県の重点政策|山梨県総合計画2023
山梨県の総合計画は「山梨県総合計画2023」(計画期間は令和5年度から令和8年度)です。普及版の副題は「豊かさへのロードマップ」で、基本理念に「県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなし」を掲げ、2030年・2040年を視野に入れた長期的な展望を示しています。(出典:山梨県総合計画)
計画を貫く考え方
計画は基本理念の実現に向けて、「ふるさと強靱化」と「『開の国』づくり」という2つの基本戦略を柱に据えています。「ふるさと強靱化」は感染症や自然災害、暮らしの不安から県民を守るセーフティネットづくり、「『開の国』づくり」は道路交通体系の整備や、多様な人々が活躍できる社会づくりと交流の拡大を指します。
受験生としては、①災害や暮らしの安心を固める方向と、②交通や交流で山梨を外に開く方向、という2つの軸で理解しておくとよいでしょう。
2つの基本戦略・5つの戦略・17の政策
| 戦略 | 扱う主な分野 |
|---|---|
| 戦略1 強靱な「やまなし」を創る道 | 感染症対策、防災・減災、県土の強靱化、地域経済基盤、安全・安心なまちづくり |
| 戦略2 活力ある「やまなし」を育む道 | 子育て支援、共生社会、生活基盤の保障、再挑戦への支援、地域を担う人財づくり |
| 戦略3 開かれた「やまなし」へ集う道 | 交通ネットワークの充実、「自然首都圏」創出の基盤整備、上質な空間づくり |
| 戦略4 躍動する「やまなし」へ進む道 | 人財育成、教育の充実、共生社会の推進 |
| 戦略5 先進地「やまなし」を叶える道 | 地域経済の収益力向上、文化芸術の振興、スポーツの振興 |
面接では、自分の取り組みたい仕事がどの戦略に位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
令和8年度の県政運営のポイント
令和8年度の一般会計当初予算は5,321億円(令和7年度当初予算比4.0%増)です。県債残高は令和6年度末で9,084億円と高水準にあり、多額の財源不足から主要基金の取り崩しを迫られる財政状況が続いています。(出典:財政のあらまし|令和8年)
知事の施政方針では、水素社会の実装や国際水素サミットの開催、富士山の持続可能な管理、リニアを契機とした地域づくり、所得構造改革、そして小学校で25人学級を全学年に広げる教育投資などが重点として挙げられました。
「100年先への投資」として、探究教育の深化や県立図書館の機能強化、不登校対策の充実にも取り組む方針です。限られた財源のもとで、優先順位をつけた県政運営が求められています。(出典:令和8年2月県議会知事説明要旨)
POINT|施策名をすべて暗記しなくてよい
施策の名称をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態を目指すか → ③現在の施策 → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「山梨県の観光振興に携わりたいです」
改善例「観光客が富士山の周辺に集まりやすいので、ワイナリーや南アルプスなど県内のほかの地域にも足を運んでもらえる仕組みづくりに携わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 山梨県職員採用試験の受験案内/人事委員会の採用情報
- 山梨県総合計画2023(本編・概要版)
- 最新年度の当初予算・施政方針(知事説明要旨)/関心分野の個別計画
- 山梨県の統計(人口・産業・観光などの分野別データ)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、山梨県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。山梨県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」、「質問の意図」、「回答のコツ」、「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
山梨県の面接の概要
ここからは、山梨県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
山梨県の面接の流れ
山梨県の大学卒業程度(行政)採用試験は、第1次試験の筆記(教養試験・専門試験)に加え、第2次試験で論文試験と人物試験(適性検査・集団討論・個別面接)が課される構成です。人物試験の比重は公表資料からは読み取りにくいものの、集団討論と個別面接の両方で「人柄」と「行動」が多面的に確かめられる設計になっています。
| 項目 | 内容(大学卒業程度・行政) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験(教養試験・専門試験)→ 第2次試験(論文試験・人物試験) |
| 第1次試験 | 五肢選択式の教養試験と専門試験 |
| 人物試験の内容 | 適性検査・集団討論・個別面接 |
| 個別面接の評価 | 評定項目・着眼点・評定尺度・意見により判定 |
| 論文試験 | 第2次試験で実施(試験時間90分・公表例題あり) |
注目したいのは、個別面接だけでなく集団討論も人物試験に含まれる点です。用意した答えを言えるかではなく、他の受験者とのやり取りの中で自然に振る舞えるかまで見られる構造だと言えます。
上記の試験構成は、山梨県人事委員会の採用情報(よくある質問等)にもとづく大学卒業程度(行政)のものです。個別面接の実施回数や各試験の配点などの詳細は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。
山梨県が求める人物像
山梨県の人事委員会は、採用情報やよくある質問の中で、キャッチフレーズのような明確な「求める人物像」を大きく掲げてはいません(確認時点)。ただし、個別面接が評定項目・着眼点・評定尺度に沿って判定されることは公表されており、面接では「これまで実際にどう考え、どう行動してきたか」が丁寧に確かめられます。
県が総合計画で掲げる「県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなし」という方向性とあわせて、主体的に課題へ向き合い、周囲と協力しながら成果を出せる人物が期待されていると考えて準備するとよいでしょう。(参考:職員採用試験のよくある質問)
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。山梨県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までは迷わず来られましたか? | 緊張をほぐす何気ないやり取りに、素の受け答えや会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ山梨県で働きたいのですか? | 「県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか |
| ③ 自己理解 | あなたの長所と短所を教えてください | 自分を客観的に見られているか。弱みとの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も力を入れて取り組んだことは何ですか? | 過去の行動から、入庁後にも再現できる強みを確かめています |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れた学びや活動を教えてください | 自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか |
| ⑥ 適性・将来 | 採用されたら、どんな分野で働きたいですか? | 働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持った山梨県の話題はありますか? | 社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点 |
ただし、この7カテゴリーは山梨県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「山梨県ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「山梨県ならでは」の質問
どちらも、山梨県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「山梨県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい山梨県の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口減少 | 2000年代初頭から人口減少が続き、令和5年6月に「人口減少危機突破宣言」を発出。峡南・東部で減少が速い | 「全国でも早くから人口が減ってきた県」という前提を押さえると、課題認識の一言に厚みが出ます |
| リニア中央新幹線 | 県駅(仮称)は甲府市大津町に設置予定。開業による世帯あたりの経済効果は全国で最も高くなると見込まれる | 効果を県全体へ広げる二次交通やまちづくりの視点まで話せると、県ならではの志望に見えます |
| 果樹・ワイン産業 | ぶどう・もも・すももの収穫量は全国第1位。日本ワインやミネラルウォーターも全国トップクラス | 生産だけでなく、海外展開や観光との組み合わせに触れると産業政策への理解が伝わります |
| 富士山と観光 | 令和6年の観光は大きく回復。一方で来訪が富士山周辺に集中し、県は登山規制や動線管理を進める | 「資源を守りながら活かす」という両立の視点で語ると、県の重点施策と噛み合います |
| 水素・エネルギー | 水素関連技術の社会実装に踏み込んだ日本で唯一の自治体と県は位置づけ、令和8年度は国際水素サミットを開催 | 脱炭素と産業振興が交わる分野として、自分の関心と結び付けると差がつきます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 主体性・挑戦 | 人口減少危機突破宣言を掲げる県だけに、指示を待たず自分から動き出し、思うようにいかなくても工夫して続けた経験があるか | 結果の大小より「なぜ取り組み、何を変えたか」を、部活動やアルバイトの具体例で話せるようにする |
| 協調性・調整力 | 意見の違う相手とどう折り合いをつけ、合意をつくるか | 山梨県は人物試験に集団討論を含むため、「聞く・まとめる・提案する」を一人でも言葉にしておく |
| 課題解決力 | 課題の原因を整理し、解決の道筋を組み立てられるか | 「つまずき→原因→対処」の流れを、県の人口減少や地域課題に引きつけて説明できるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 志望区分の受験案内を読み、試験日程と第2次試験(論文・集団討論・個別面接)の内容を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 集団討論と個別面接を想定して声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、山梨県庁専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
山梨県の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
山梨県の採用試験は、筆記だけでなく、論文と人物試験(集団討論・個別面接)を通じて「どんな人物か」を丁寧に見る構成です。
人口減少やリニア開業、果樹やワイン、水素エネルギーなど、山梨県には自分の関心と結び付けやすい話題がそろっています。
この記事で押さえた県の姿を出発点に、自分の経験と県の仕事がどこで交わるのかを、面接官に伝わる言葉で準備しておきましょう。