本記事では、愛知県職員採用試験の面接対策で必要な、愛知県の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
愛知県庁の面接試験では、「なぜ愛知県を志望したのか」、「県職員として何に取り組みたいのか」、「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。県の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、愛知県ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と愛知県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
愛知県の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは愛知県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 県庁所在地は名古屋市(中区)。日本のほぼ中央に位置し、西は三重県、北は岐阜県、北東は長野県、東は静岡県と接する。
- 中部地方・東海地方の中心にあり、南は伊勢湾・三河湾を経て太平洋に面する。西の知多半島と南東の渥美半島が二つの湾を抱く地形で、気候は年間を通じて温和。
- 人口は約744万9千人(令和7年国勢調査速報)で、東京・神奈川・大阪に次ぐ全国第4位の規模。
- 製造品出荷額等は全国1位で、ものづくり日本一の県。トヨタ自動車を擁する自動車産業を中心に、輸送機械・航空宇宙・工作機械などの産業が濃く集積している。
- 名古屋港は総取扱貨物量が全国一の国際貿易港であり、中部国際空港(セントレア)とあわせて、人と物を海外へつなぐ拠点機能を担う。
- ジブリパーク(愛・地球博記念公園)などの観光資源を持ち、2026年にはアジア競技大会・アジアパラ競技大会を開催する。国際的な大交流の年を迎える。
- 県財政は製造業を背景に県税収入の規模が大きいものの、余裕があるわけではない。財政力指数は全国上位だが経常収支比率は高止まりし、少子高齢化に伴う社会保障費や、老朽化した県有施設の更新費用の増加が見込まれている。限られた財源を効果的に配分する財政運営が課題となっている。
愛知県の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「愛知県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、年齢構成、経済規模、財政など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 約744万9千人(令和7年国勢調査速報・全国第4位) |
| 年少人口(15歳未満) | 約88万7千人(11.9%) |
| 生産年齢人口(15〜64歳) | 約463万6千人(62.2%) |
| 老年人口(65歳以上) | 約193万1千人(高齢化率25.9%) |
| 総面積 | 約5,173km² |
| 総世帯数 | 約335万世帯(令和7年国勢調査速報) |
| 名目県内総生産 | 約43兆831億円(2022年度) |
| 製造品出荷額等 | 58兆218億円(全国1位) |
| 財政力指数 | 0.86176(令和5年度決算) |
人口・世帯数は令和7年国勢調査(速報)、年齢別人口と高齢化率は令和7年愛知県人口動向調査年報、県内総生産は県民経済計算2022年度、製造品出荷額等は2024年経済構造実態調査、財政力指数は総務省「令和5年度地方公共団体の主要財政指標一覧」による数値です。
数字から考えられる県政課題
愛知県は全国第4位の人口を持つ大規模県ですが、人口が多いことだけを強みと捉えるのは不十分です。令和7年の国勢調査速報では、2020年から1.2%の人口減少となり、これは国勢調査の結果としては1950年以降で初めての減少でした。
出生数の落ち込みによる自然減が9年続く一方で、県外からの転入超過による社会増が4年続いており、「働く場としての愛知」に人が集まる力と、少子化による自然減とがせめぎ合う局面にあります。
もう一つ押さえておきたいのが、産業構造の特徴です。愛知は自動車を中心とする製造業に支えられていますが、その裏返しとして、脱炭素や次世代モビリティへの世界的な流れが、そのまま県経済の行方を左右します。
人口・年齢構成の変化と、ものづくりの転換という二つの軸を重ねて考えると、県政の課題が立体的に見えてきます。
たとえば面接では、愛知県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
愛知県の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 製造品出荷額等は58兆218億円で全国1位(2024年経済構造実態調査・全国シェア約15.5%)。1977年に首位となって以来、連続して日本一を保っている。
- 名目県内総生産は約43兆831億円(2022年度・県民経済計算)で、全国でも有数の経済規模を持つ。
- 主要産業は自動車に代表される輸送機械産業で、関連する部品・素材・工作機械などが県内に厚く集積している。
- 年間商品販売額は47兆5,903億円で全国3位、農業産出額は3,207億円で全国8位(いずれも直近調査)。ものづくりだけでなく、商業や農業にも一定の厚みがある。
つまり、「自動車を中心とするものづくりが県経済を強く牽引する、日本有数の産業県」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:あいちの産業構造)
自動車を中心とするものづくり産業
愛知の経済を語るうえで欠かせないのが、自動車産業です。トヨタ自動車を頂点に、部品メーカーや素材産業、工作機械メーカーが広く連なり、製造品出荷額等の全国一を半世紀近く支えてきた基盤になっています。
近年は自動車の電動化や自動運転といった技術の転換期にあり、県も次世代自動車や航空宇宙、水素関連などの新しい分野の育成に力を入れています。
面接で「愛知の強み」を語るなら、産業が集まっていること自体ではなく、その強みを次の時代へどうつないでいくかという視点まで触れると、話に厚みが出ます。
農林水産業
工業県のイメージが強い愛知ですが、温暖な気候を活かした農業も盛んで、農業産出額は全国8位です。県は施政方針でも、名古屋コーチンやみかわ牛、花き、抹茶などのブランド力強化を掲げ、夏の高温に強いいちごの生産技術開発など、産地の底上げを進めています。
面接では、農林水産業を「守る対象」としてだけでなく、ブランド化や技術で攻める分野として捉えると、前向きな志望動機につなげやすくなります。
交通・物流(名古屋港・中部国際空港)
愛知の産業は、それを支える物流基盤とセットで理解すると立体的になります。名古屋港は総取扱貨物量が20年以上連続で全国一で、自動車の輸出台数も長年日本一を続けてきました。
中部国際空港(セントレア)は2024年度の航空旅客数が約1,103万人にのぼり、うち外国人旅客が約320万人を占めます。
ものづくりで生み出したものを世界へ運ぶ玄関口が県内にそろっている点は、面接で「産業を支える基盤」を語るときの材料になります。(出典:名古屋港の実力)
観光業
2024年の観光入込客数は約1億1,073万人(前年比110.6%)で、観光消費額も約1兆2,131億円(前年比115.7%)と大きく伸びました。ジブリパークをはじめ、城や街道といった歴史資源、山車まつりなどの伝統行事まで、性格の異なる観光地を県内に併せ持つのが特徴です。
2026年のアジア競技大会・アジアパラ競技大会は、国内外からの来訪を一段と押し上げる機会でもあり、この波及効果をどう県内全域へ広げるかが政策課題になります。(出典:2024年愛知県観光入込客統計)
愛知県の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、愛知県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
人口減少と少子高齢化
令和7年の国勢調査速報では、愛知県の人口は2020年から1.2%減少し、国勢調査の結果としては1950年以降で初めての減少となりました。県はもともと人口が2019年の約755万人をピークに減少局面へ入っており、出生数の落ち込みによる自然減が9年続いています。
一方で県外からの転入超過は続いており、若い働き手を引きつける力は保っています。
子育て支援だけでなく、若者の定着、教育、雇用、地域交通、医療・介護人材までを関連付けて考える必要があります。(出典:令和7年国勢調査(速報))
大規模災害への備え(南海トラフ地震)
愛知県は太平洋に面し、伊勢湾沿岸には海抜の低いゼロメートル地帯や工業地帯を抱えるため、南海トラフ地震への備えは最重要の課題です。県の被害予測調査では、過去地震最大モデルの場合、死者は最大で約5,300人、建物の全壊・焼失は約9万2千棟、直接的な経済被害は約19.4兆円と想定されています。
上水道の断水人口は直後で最大約698万人にのぼるとされ、ライフラインの確保や早期避難の徹底が欠かせません。
人口と産業が集まる地域ならではの危機管理が求められます。(参考:南海トラフ地震被害予測調査)
ものづくりの転換と次世代産業の創出
県経済を支える自動車産業は、電動化・自動運転という世界的な技術転換の只中にあります。特定の産業への依存度が高いことは強みであると同時にリスクでもあり、県は次世代自動車や航空宇宙、半導体、水素関連といった新分野の育成を進めています。
名古屋の中心部に整備されたスタートアップの拠点「STATION Ai」を核に、起業家や研究機関を呼び込む取り組みも本格化しており、「自動車の愛知」から「イノベーションの愛知」への幅出しが問われています。
脱炭素と産業活動の両立
ものづくりの県である愛知にとって、温室効果ガスの削減は産業競争力と直結する課題です。県は工場や交通、家庭など幅広い分野で対策を進める一方、企業の技術開発や設備投資を後押しし、脱炭素と産業活動を両立させる視点を重視しています。
とりわけ水素の社会実装には力を入れており、燃料電池の商用車を2030年度までに一定台数普及させる目標を掲げるなど、ものづくりの技術を環境分野の強みへ転換しようとしています。
地域間の状況の違い
同じ県内でも、名古屋を中心とする都市圏と、自動車産業が集まる地域、農業や港湾を持つ地域とでは、産業も暮らしも大きく異なります。あいちビジョン2030は、地域ごとの取り組みを尾張・西三河・東三河の三つの地域に分けて整理しています。
| 地域 | 主な都市 | 特徴と課題のキーワード |
|---|---|---|
| 尾張 | 名古屋市、一宮市、春日井市、瀬戸市など | 名古屋大都市圏と中部国際空港。都市機能・商業・交通の集積、都市の防災、まちの拠点性向上 |
| 西三河 | 豊田市、岡崎市、刈谷市、安城市など | 自動車を中心とするものづくりの集積地。産業の転換、次世代モビリティ、産業人材の確保 |
| 東三河 | 豊橋市、豊川市、蒲郡市、新城市など | 三河港と農業、中山間地域を併せ持つ。地域生活圏づくり、農業振興、人口減少・過疎への対応 |
「取り組みたい仕事」を考えるときも、どの地域の、どんな課題を想定しているのかまで具体化しておくと、回答に説得力が出ます。
愛知県の重点政策|あいちビジョン2030
愛知県の総合計画は「あいちビジョン2030」(2020年11月策定)です。基本目標に「暮らし・経済・環境が調和した輝くあいち」を掲げ、2040年頃の社会経済を展望しながら、2030年度までに重点的に取り組むべき政策の方向性を示す長期計画として構成されています。(出典:あいちビジョン2030)
計画を貫く考え方
あいちビジョン2030は、めざすべき愛知の姿として「危機に強い愛知」「すべての人が生涯輝き、活躍できる愛知」「イノベーションを創出する愛知」「世界から選ばれる魅力的な愛知」の四つを描いています。受験生としては、次のような具体像で理解しておくとよいでしょう。
- 感染症や大規模災害などの危機に、ハードとソフトの両面から備える
- 女性・高齢者・若者・障害のある人・外国人県民など、あらゆる人の活躍を後押しする
- スタートアップや次世代産業を育て、新しい価値を生み出し続ける
- 観光・文化・スポーツの魅力で、世界から人と投資を呼び込む
重要政策の方向性(10の柱)
| 柱 | 扱う主な分野 |
|---|---|
| 1 危機に強い安全・安心な地域づくり | 感染症対策、防災・減災、安心して暮らせる地域 |
| 2 次代を創る人づくり | 創造性・多様性を伸ばす教育、グローバル人材の育成 |
| 3 すべての人が生涯活躍できる社会づくり | 女性・高齢者・若者・障害者・外国人県民の活躍、健康長寿 |
| 4 安心と支え合いの社会づくり | 切れ目のない子育て支援、地域包括ケア、医療体制 |
| 5 豊かな時間を生み出す働き方 | 新技術を活かした働き方、多様で柔軟な働き方の促進 |
| 6 力強い産業づくり | STATION Aiを核としたイノベーション、次世代産業、中小企業 |
| 7 グローバルネットワークづくり | MICEの誘致、アジア競技大会の活用、海外との連携 |
| 8 大都市圏づくり | 中京大都市圏の拠点性向上、広域連携、スマートな地域 |
| 9 選ばれる魅力的な地域づくり | ジブリパーク活用、文化芸術、スポーツ大会、観光 |
| 10 持続可能な地域づくり | 脱炭素、人と自然の共生、循環型社会 |
面接では、自分の取り組みたい仕事がどの柱に位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
令和8年度の県政運営のポイント
令和8年度の一般会計当初予算は3兆2,224億円で、令和7年度当初予算(2兆9,413億円)を上回る規模となりました。
予算は「ONE ASIA ONE HEART ONE AICHI」を掲げ、9月から10月に開催するアジア競技大会・アジアパラ競技大会の推進を最重点に据えています。
あわせて、STATION Aiを核としたスタートアップ支援、水素の社会実装、ジブリパークの魅力発信、高校・給食の負担軽減といった子育て支援、少子化対策などが柱として並びました。(出典:知事提案説明要旨|令和8年2月)
POINT|10の柱をすべて暗記しなくてよい
名称をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「愛知県の産業を盛り上げる仕事がしたいです」
改善例「自動車づくりで培われた技術を、脱炭素や次世代モビリティといった新しい分野につなげて、愛知のものづくりを次の時代にも残していく仕事に携わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 愛知県職員採用候補者試験の受験案内/採用情報のページ
- あいちビジョン2030(概要版)
- 最新年度の当初予算・知事提案説明要旨/関心分野の個別計画
- 愛知県の統計(人口・産業・観光などを分野別に収録)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、愛知県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。愛知県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」、「質問の意図」、「回答のコツ」、「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
愛知県の面接の概要
ここからは、愛知県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
愛知県の面接の流れ
愛知県の職員採用候補者試験は第1次試験と第2次試験の二段階で行われます。注目したいのは、受験する区分によって選考の方法が異なり、区分「行政Ⅲ」では自作のプレゼン資料を使う「アピール審査型」の面接が採用されている点です。
区分ごとに準備の勘所が変わるため、まず自分の受ける区分の選考方法を確認することが出発点になります。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験の二段階で実施 |
| 第1次試験(行政Ⅲ・土木Ⅱ) | 適性検査「SPI3」(テストセンター方式)の結果のみで合否を判定。特別な公務員試験対策を要さず、民間企業との併願がしやすい |
| 面接の形式(行政Ⅲ) | アピール審査型。受験者本人が作成したプレゼンテーション資料を活用して能力等をアピールし、その内容に試験委員が質疑応答を行う |
| 論文試験 | 実施(区分により800字・90分、1000字・120分など。過去問データより) |
| 人物試験の配点・面接カード等 | 区分ごとの受験案内で定められています。最新の受験案内でご確認ください |
行政Ⅰ・行政Ⅱなど大学卒業程度の主力区分では、第2次試験で人物試験と論文試験が課されます。ただし個別面接や集団討論の有無・回数は区分によって異なるため、この記事では特定の形式を断定しません。
自分の区分でどの選考が課されるかは、必ず最新の受験案内で確認してください。
上記の試験構成は、愛知県人事委員会が公表する令和8年度の受験案内・採用情報にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(参考:職員採用候補者試験の日程・受験案内)
愛知県が求める人物像
愛知県は採用情報で、県職員を「行政のプロフェッショナル」と位置づけ、「それぞれの専門性をもとに、様々な経験を経て、幅広い視野と課題解決能力を身につけながら成長する県職員」を求めると公表しています。(参考:愛知県が求める人材)面接でも、「専門性を高めようとする姿勢」や「これまでの経験から課題を見つけて動いた行動」を、具体的な場面とともに語れると、県の求める人物像と自然に重なります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。愛知県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ本県を志望するのですか? | 「県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 過去の行動パターンから、入庁後にも再現できる強みを確かめています |
| ⑤ 学業・経歴 | 専攻分野を選んだ理由を教えてください | 自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、どんな職員になっていたいですか? | 働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、気になっている社会問題はありますか? | 社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点 |
ただし、この7カテゴリーは愛知県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「愛知県ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「愛知県ならでは」の質問
どちらも、愛知県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「愛知県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい愛知県の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口減少 | 令和7年国勢調査速報で総人口は約744万9千人と全国4位ながら、2020年比1.2%減。国勢調査の結果として1950年以降で初の減少 | 「人口全国4位の県でも減少が始まった」という転換点を出発点にすると、規模の大きさに頼らない課題認識を示せます |
| ものづくりの転換 | 製造品出荷額等は58兆218億円で全国1位だが、自動車産業への依存が高く、電動化・自動運転への対応と次世代産業の育成が課題 | 「強い産業がある」で終えず、その強みを次の時代へどうつなぐかまで触れると、産業の話に厚みが出ます |
| 県の総合計画 | あいちビジョン2030(2020年11月策定)。めざすべき姿4つと、重要政策の方向性10の柱で構成 | やりたい仕事を10の柱のどれかに位置づけて話せると、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります |
| 防災・危機管理 | 南海トラフ地震の被害予測(過去地震最大モデル)で死者最大約5,300人、全壊・焼失約9万2千棟、経済被害約19.4兆円を想定 | ゼロメートル地帯や工業地帯を抱える県として、早期避難やライフライン確保など事前の備えの話につなげます |
| 大規模プロジェクト | 2026年にアジア競技大会・アジアパラ競技大会を開催。STATION Aiを核としたスタートアップ支援やジブリパークの活用も進行中 | アジア競技大会やSTATION Aiのような直近の目玉から一つを選び、背景まで自分の言葉で言えるようにしておくと、県政の「今」を語る場面で強みになります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の「求める人物像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
愛知県が掲げる「行政のプロフェッショナル」という言葉に沿って、次の観点を意識しておきましょう。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 専門性を高める姿勢 | 学び続けているか。一つの分野を深めようとした経験があるか | 一つの学問や資格を粘り強く掘り下げた過程を、県が掲げる「行政のプロフェッショナル」像に重ねて、学びを積み上げてきた姿勢として語れるようにする |
| 幅広い視野・多様な経験 | 異なる立場の人と関わった経験、視野を広げた経験があるか | アルバイトや課外活動などで、立場の違う相手に合わせて動いた場面を、県民全体に向き合う仕事の視点に接続して語る |
| 課題解決能力 | 課題の原因を整理し、解決に向けて動いた経験があるか | 結果の大小より「何が問題で、どう考え、何を変えたか」を、愛知が直面する産業転換や人口減少の話に重ねて話せるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 令和8年度の受験案内を読み、自分の受ける区分の選考方法(第1次・第2次の内容、論文やプレゼンの有無)を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。行政Ⅲを受ける場合は、プレゼン資料を使って人前で話す練習も取り入れる
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学で、できるだけ短い時間で仕上げたい場合は、愛知県庁に特化した面接想定問答集という選択肢もあります。
愛知県の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
愛知県の採用試験は区分が幅広く、専門試験を課す区分もあれば、行政ⅢのようにSPI3とアピール審査型のプレゼン面接で選考する区分もあります。どの区分であっても、試験委員が確かめているのは、あなたが自分の経験をどれだけ具体的に語れるかという一点です。
愛知は製造品出荷額が全国一のものづくり県でありながら、人口減少と自動車産業の転換という大きな曲がり角に立っています。この記事で押さえた事実は、暗記の材料としてではなく、あなた自身が愛知で何をしたいのかを語るための出発点として使ってください。
まずは自分の言葉で話せる経験を一つずつ増やし、それを愛知の課題とつなぐ作業を、本番まで少しずつ積み重ねていきましょう。