本記事では、むつ市職員採用試験の面接対策で必要な、むつ市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

むつ市役所の面接試験では、「なぜむつ市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。むつ市の上級試験は択一式の筆記試験を課さない構成のため、書類と面接で示せるものが、そのまま評価の材料になります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心とむつ市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

むつ市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずはむつ市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口50,521人、面積864.20km²の市。この面積は青森県全体(9,645km²)のおよそ9%にあたる。
  • 隣接するのは上北郡横浜町と、下北郡の大間町・東通村・風間浦村・佐井村の5町村。市域は他のどの市とも接していない
  • 人口密度は58.5人/km²。青森県全体の122.8人/km²(2023年)と比べても半分以下で、広い市域に人口が薄く分布している。
  • 青森県は本州の最北端に位置し、北は津軽海峡を隔てて北海道と相対する。県全体の人口は1,164,752人(令和6年10月1日現在)で、むつ市の人口はそのおよそ4%にあたる。
  • 市の花ははまなす、市の木はヒバ。市役所本庁舎はむつ市中央一丁目にあり、職員採用の二次試験もこの本庁舎で行われる。
  • 上級一般行政職の採用試験では、教養試験・専門試験といった択一式の筆記試験が課されない(令和7年度実施の受験案内による)。
  • 令和6年度の実施状況は、上級行政が受験者34人・最終合格者11人で倍率3.1倍。全職種の合計では受験者78人・最終合格者32人・倍率2.4倍だった。

むつ市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「むつ市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、人口密度など、むつ市の基礎的なプロフィールを整理しました。むつ市単独の市内総生産や年齢別人口は当研究会では確認できていないため、比較の物差しとして青森県全体の数値もあわせて示します。

項目内容
総人口50,521人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積864.20km²(青森県の約9%)
人口密度58.5人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体上北郡横浜町、下北郡大間町・東通村・風間浦村・佐井村(5町村)
市の花・市の木はまなす/ヒバ
市役所所在地むつ市中央一丁目8番1号
(参考)青森県の総人口1,164,752人(令和6年10月1日現在・前年比1.67%減)
(参考)青森県の面積9,645km²(全国第8位)
(参考)青森県の年齢3区分別割合年少9.9%・生産年齢54.2%・老年35.9%(令和6年10月1日現在)

むつ市の面積・隣接自治体・市の花・市の木・市役所所在地は自治体データベースによる数値です。青森県の総人口と年齢3区分別割合は「青森県の人口」(令和6年10月1日現在)、面積と人口密度は県が公表する令和7年3月時点の統計資料による数値です。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

むつ市の人口密度58.5人/km²は、青森県全体の122.8人/km²(2023年)と比べても半分以下です(出典:青森県の人口・面積|令和6年

同じ人口5万人規模でも、市域が狭い都市部の市とは行政の条件が大きく異なります。道路や上下水道の維持、公共交通、除雪、医療や福祉の窓口をどこにどう配置するかといった判断が、市政の日常的なテーマになります。

青森県全体では、令和5年10月から令和6年9月までの1年間で出生者5,244人に対し死亡者20,649人、自然増減は15,405人の減少(自然増減率マイナス1.30%)でした。同じ期間の社会増減は4,401人の減少(同マイナス0.37%)です。

つまり、県の人口減少は、転出よりも出生と死亡の差によって生じている部分が大きいといえます。

この流れはむつ市にも及びますが、面接でまず自分の言葉にしておきたいのは、むつ市そのものの条件です。人口と面積を結び付けて話すと、市政の難しさまで一続きで説明できます

「むつ市は人口が5万人弱で、面積は青森県全体の1割近くを占めると聞きました。広い市域に人が薄く暮らしているぶん、道路や公共交通、医療や福祉のサービスをどう届けるかが難しくなると思います。だからこそ、住民の方との距離が近い市役所で、暮らしそのものを支える仕事をしたいと考えています」

むつ市の経済・産業

経済構造の概観

市の産業を語るときの土台になるのは、むつ市が属する青森県全体の産業構造です。県の数字から地域経済の輪郭をつかみ、そこにむつ市の条件を重ねていきましょう。

  • 青森県のりんごの生産量は令和5年で全国第1位。にんにく・ごぼうの生産量も同年に全国第1位となっている。
  • 畜産の産出額は1,090億円(令和5年)で、豚・鶏卵・ブロイラー・肉用牛・生乳の5品目が県農業産出額の上位10品目に入る。
  • 耕地面積は14万7,300ha(令和6年)で全国第4位。田が53%、普通畑が24%、樹園地が15%、牧草地が9%を占める。
  • 製造品出荷額等は1兆6,765億円、事業所数1,272事業所、従業者数55,763人(令和3年6月1日現在。出荷額は令和2年実績で前年比2.9%減)。

つまり、「農林水産業では全国上位の産地でありながら、製造業の集積は限られる」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。若い世代の働く場をどう用意するかという問いが、県内のどの市町村にも共通してのしかかっている、と読み替えることもできます(出典:青森県の農業|令和5年経済センサス活動調査|令和3年

観光と交流人口

令和6年の青森県の観光入込客数は延べ32,378千人(対前年比103.8%)、実人数13,863千人(同107.6%)で、観光消費額は198,470百万円(同103.9%)と、いずれも前年を上回りました(出典:青森県観光入込客統計|令和6年

定住人口が減っていく地域では、訪れる人や地域に関わる人をどう増やすかが、経済を支えるもう一本の柱になります。面接で観光に触れるなら、どこに何があるかの説明ではなく、訪れた人の消費や関わりをどう地域に残すかという視点まで用意しておきたいところです。

広い市域と産業の距離

むつ市に隣接するのは5つの町村だけで、市域は他の市と接していません。大きな都市と隣り合う市とは、雇用の受け皿や商業の集積のあり方がおのずと変わってきます

産業の話題では、県全体の統計を借りつつ、「働く場と暮らしの場が同じ地域の中でどう成り立つか」という問いに引き寄せて考えると、むつ市に即した話になります。

むつ市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、むつ市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

人口減少と高齢化の同時進行

青森県の人口は昭和58年10月1日現在の1,529,269人をピークに減少に転じ、平成12年を除いて40年以上減り続けています

令和6年10月1日現在の年齢3区分別割合は、年少人口(0〜14歳)が9.9%と大正9年以降で最も低く、老年人口(65歳以上)は35.9%と最も高くなりました。75歳以上は224,032人です(出典:青森県の人口|令和6年

人口50,521人のむつ市も、この流れの中にある市の一つです。

広い市域で行政サービスを維持すること

面積864.20km²・人口密度58.5人/km²という条件は、住民一人あたりに必要な道路や施設の量が大きくなりやすいことを意味します。人口が減れば税収も減りますが、市域の広さは変わりません。

除雪、公共交通、上下水道、消防や救急の到達時間、支所や出張所の配置など、「どこに住んでいても一定の水準を保つ」ための仕組みづくりが課題になります。面接でこの点に触れると、規模の小ささを弱みとして語るのではなく、条件の違いとして冷静に捉えている印象になります。

若い世代の県外流出

青森県基本計画は、人口減少の大きな要因を「若い世代の県外流出とそれに伴う少子化」と捉えています。県全体では令和5年10月から令和6年9月までの1年間で4,401人の社会減となりました。

進学や就職で一度地域を離れた人に戻ってきてもらう、あるいは地域外から新たに移り住んでもらうためには、働く場と暮らしやすさの両方が必要です。市役所の仕事のほとんどは、この2つのどちらかに関わっています

大規模地震・津波への備え

令和3年度の青森県地震・津波被害想定調査では、太平洋側海溝型地震(国の日本海溝・千島海溝モデルに基づくマグニチュード9クラス)で県太平洋沿岸に震度6強が予測され、八戸市などでは20m以上の高さの津波が予測されています。冬18時の被害想定では、県全体の死者数約53,000人、全壊棟数約111,000棟、避難者数は1日後で最大約31万人、直接経済被害額6.3兆円とされています(出典:青森県地震・津波被害想定調査|令和3年度

むつ市単独の被害想定は公表資料からは確認できませんが、県全体の想定の大きさは、防災を語るときの前提として押さえておきましょう

重点政策|青森県の計画とむつ市の位置づけ

むつ市独自の総合計画の名称や計画期間について、当研究会が確認できる公式資料は限られています。一方でむつ市には、職員のあり方を定めた「むつ市人材育成・確保基本方針」があり、採用試験案内が掲げる求める人材像はこの方針を出所としています。

ここでは、県の最上位計画と県財政という2つの背景を、むつ市政を理解する土台として整理します。

青森県基本計画「青森新時代」への架け橋

青森県の行政運営の最上位に位置づけられるのが、青森県基本計画「青森新時代」への架け橋(計画期間2024年度〜2028年度)です。

この計画は、人口減少の大きな要因を若い世代の県外流出とそれに伴う少子化と認識したうえで、若い世代が「ここで暮らしたい」と思える魅力ある青森県にすることが最も重要だとしています。

また、2040年には県人口が100万人を下回るとともに、老年人口比率が40%を超えると見込んでいます(出典:青森県基本計画「青森新時代」への架け橋。むつ市を志望する場合も、この見通しは共通の前提になります。

県の財政という前提

令和6年度の青森県一般会計当初予算の規模は7,022億円で、令和5年度当初予算と比べ362億円(4.9%)の減となりました。財政調整用の基金の取崩額はゼロを継続しています(参考:青森県当初予算の概要|令和6年度

県も市町村も、限られた財源の中で何を優先するかを毎年決めています。「あれもこれも」ではなく、「何を先にやるか」を説明できる姿勢は、規模の大小にかかわらず自治体職員に求められる資質です。

POINT|計画名を覚えることが目的ではない

計画の名称を暗記することが自治体研究の目的ではありません。①むつ市の人口規模と市域の広さという条件を知る → ②その条件のもとで自分が携わりたい仕事を考える → ③むつ市の窓口業務や広報などで実際に行われている取り組みを調べる → ④自分の経験や強みをどう生かせるかを言葉にする、という順で準備しましょう。

悪い例「むつ市の活性化に貢献したいです」

改善例「まずは市役所の窓口のように、住民の方と直接やり取りする仕事で市の実務を覚えたいです。そのうえで、むつ市は面積が広いぶん、住んでいる場所によって受けられるサービスに差が出やすいのではと感じていますので、移動の手段や情報の届け方を工夫する仕事にも関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • むつ市職員採用試験の受験案内(最新年度・区分別)
  • むつ市公式サイトの市政情報・広報紙・各種計画のページ
  • 青森県基本計画「青森新時代」への架け橋(概要版)
  • 青森県の統計資料(人口・産業・観光など、県内におけるむつ市の位置づけを知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、むつ市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。むつ市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

むつ市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

むつ市役所の面接の概要

ここからは、むつ市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

むつ市役所の試験の流れ

むつ市の上級一般行政職・上級専門職の採用試験は、一次試験と二次試験の2段階です。一次試験はエントリーシートによる書類審査とSPI3検査、二次試験は面接試験で、教養試験・専門試験といった択一式の筆記試験は課されません。

学習量そのものよりも、書いたものと話したもので評価される試験だといえます(出典:むつ市職員採用試験案内|令和7年度実施

項目内容(令和7年度実施・上級一般行政職/上級専門職)
試験の段階二段階。一次試験(書類審査+SPI3検査)に合格した方が二次試験(面接試験)に進みます
一次試験①エントリーシートによる書類審査。リクナビへのプレエントリーとエントリーシート「OpenES」の登録により申し込み、このエントリーシートが審査の対象になります
一次試験②SPI3検査(性格検査・基礎能力検査)。「WEBテスティング」方式で、自宅等のインターネット環境のあるパソコンから受験します(スマートフォンによる受験はできません)。約9日間の受験期間内に各自が受験します
筆記試験教養試験・専門試験といった択一式の筆記試験は課されません
二次試験面接試験。試験会場はむつ市役所本庁舎で、試験日は1日で実施されます
面接の形式個別面接か集団面接かの別、集団討論の有無、面接の回数・時間について、受験案内に記載はありません。最新の受験案内でご確認ください
配点各試験種目の配点や面接の比重は受験案内に記載がなく、非公表とみられます
受験資格(上級行政)平成2年4月2日以降生まれで、大学を卒業した方または令和8年3月31日までに卒業見込みの方。他の試験区分との併願はできません
採用予定人員上級行政は5名程度。保健師・管理栄養士・学芸員・上級土木・上級建築などの専門職は各若干名(令和8年4月1日採用)
試験結果の開示一次試験受験者は得点及び順位、二次試験受験者は順位のみ。結果発表の日から1か月間、総務部総務課で本人に対してのみ行われます

上記は令和7年度むつ市職員採用試験(令和8年4月1日採用)の受験案内にもとづく上級一般行政職・上級専門職の内容です。むつ市は上級・初級のほか、キャリアチャレンジ枠・有資格者枠・障がい者枠を設けており、区分によって試験種目が異なる場合があります。採用試験は年度内に複数の日程に分けて実施されており、申込方法も年度によって変わることがあります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。

直近の実施状況

令和6年度の職員採用試験では、上級行政に34人が受験し、一次試験合格者16人、最終合格者11人で倍率3.1倍でした。全職種を合計すると、受験者78人・一次試験合格者45人・最終合格者32人・倍率2.4倍です。

区分受験者最終合格者倍率
上級行政34人11人3.1倍
初級行政28人11人2.5倍
キャリアチャレンジ枠5人1人5.0倍
全職種合計78人32人2.4倍

令和6年度職員採用試験の実施状況(令和7年度実施の受験案内に掲載)による数値です。このほか保健師・上級土木・上級建築・初級建築設備・初級建築電気・障がい者枠・有資格者枠でも受験者がありました。

倍率だけを見れば極端に高い水準ではありません。ただし、二次試験は面接試験だけです。択一式の筆記の得点を積み上げて挽回するという道は用意されていないということです。

一次試験を通過した16人から11人が最終合格した令和6年度の数字は、二次試験の面接が最後の関門として機能していることを示しています。

むつ市役所が求める人物像

むつ市の受験案内は、冒頭に「むつ市では、次のような人材を求めて、職員を募集します」として6つの人材像を掲げています。これらは「むつ市人材育成・確保基本方針」を出所とすると明記されており、市が職員に何を期待しているかを直接示す資料です(出典:むつ市職員採用試験案内|令和7年度実施

  • 目標の実現のため、市民と協働しながら取り組むことができる職員
  • 市民の立場で市民サービスを提供し、業務の過程や結果に責任の持てる職員
  • 高い倫理観とコンプライアンス意識を持ち、公平・公正に業務を行うことができる職員
  • コスト意識を持ち、業務の目的や成果を考え、的確な判断や行動ができる職員
  • 明るい笑顔とあいさつで、誠実で思いやりのある市民サービスを提供できる職員
  • 郷土愛を持ち、公私ともに地域の活性化へ積極的に取り組むことができる職員

6つを通して見ると、協働・責任・倫理・コスト意識・接遇・郷土愛と、行政職員に求められる要素がひととおり出そろっていることがわかります。自己PRでは「責任感があります」と述べて終わらせず、その責任感がどの場面で表れ、周りの状況をどう変えたのかまで話せるようにしておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。むつ市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までの道のりはどうでしたか身構えた自己紹介の前に出る、素の話し方と表情
② 動機・志望民間企業ではなく公務員を選んだ理由は何ですか職業選択の筋道が、自分の見てきたものと結びついているか
③ 自己理解あなたの短所は何ですか。どう向き合っていますか自分を客観視できているか。短所を認めたうえで対処まで語れるか
④ 経験・行動これまでで一番苦労した経験を教えてください困難の種類よりも、その場面で何を考え、どう動いたかという中身
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れて学んだことを教えてください専門外の相手に伝わる言葉へ置き換える力と、仕事につなげる視点
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたらどうしますか市役所の仕事の幅への理解と、配属に対する現実的な受け止め
⑦ 公共性・社会性最近気になったニュースを一つ教えてください社会の動きへの関心と、自分の意見を短く述べられるか

ただし、この7カテゴリーはむつ市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「むつ市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「むつ市役所ならでは」の質問

「なぜ青森県庁ではなく、むつ市役所なのですか」
「むつ市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらもむつ市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

しかもむつ市の上級試験には択一式の筆記がなく、二次試験は面接だけです。こうした質問への答えの厚みが、そのまま評価に反映されます。

面接で使いやすい「むつ市と青森県の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい事実答え方のヒント
市のスケール感人口50,521人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積864.20km²で青森県全体の約9%。人口密度58.5人/km²は県全体の122.8人/km²(2023年)の半分以下「小さい市」ではなく「広い市域に人が薄く暮らす市」と捉え直すと、除雪や移動手段など、むつ市で実際に必要になる仕事の話につなげられます
なぜ県庁ではなくむつ市役所かむつ市に隣接するのは上北郡横浜町と下北郡の4町村で、市域は他のどの市とも接していない県が広域を担うのに対し、周囲を町村に囲まれた市が果たす役割は何かという形で考えると、制度の説明で終わらない答えになります
人口の見通し青森県の人口は昭和58年の1,529,269人をピークに減少が続き、令和6年10月1日現在で1,164,752人。県基本計画は2040年に100万人割れ、老年人口比率40%超を見込む悲観の材料として置かず、県基本計画が最も重要としている「若い世代が暮らしたいと思える地域づくり」に自分の関心を接続して話します
地域の産業青森県はりんご・にんにく・ごぼうの生産量が令和5年で全国第1位、耕地面積14万7,300haは全国第4位。一方、製造品出荷額等は1兆6,765億円、事業所数1,272(令和3年)農業の強さと製造業の規模を対比させ、若い世代の働く場をどう増やすかという問題意識の形で示すと、産業振興の話題に耐えます
防災・危機管理令和3年度の青森県地震・津波被害想定調査では、太平洋側海溝型地震で県太平洋沿岸に震度6強、県全体の避難者数は1日後で最大約31万人と想定県全体の想定規模に触れたうえで、避難所の運営や高齢の住民の避難支援など、市役所の職員として担う場面まで具体化しておきます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、受験案内が掲げる6つの人材像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
市民と協働する力立場や考えの違う相手と一緒に物事を進めた経験があるか受験案内の1つ目「市民と協働しながら取り組むことができる職員」に重なる場面を、自分の経験から一つ選んで用意しておく
過程と結果に責任を持つ姿勢任されたことを途中で手放さず、結果まで見届けたか「業務の過程や結果に責任の持てる職員」という文言に沿い、うまくいかなかった場面で最後に何をしたかまで話せるようにする
コスト意識と判断力限られた時間・人手・費用の中で、優先順位をつけた経験があるか受験案内が「コスト意識を持ち、業務の目的や成果を考え」と明記している点を踏まえ、何を選び何を後回しにしたかを説明できるようにする
郷土愛と地域への関わり住んでいる地域の行事や活動に、頼まれる前から関わった経験があるか6つ目に「郷土愛を持ち、公私ともに地域の活性化へ積極的に取り組む」が置かれている。むつ市や自分の住む地域との関わりを具体的に語れるようにする

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

むつ市の二次試験は面接試験だけで構成されているため、限られた時間で掘り下げられる前提で備えておく必要があります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の受験案内を読み、申込方法と試験種目を確認する。むつ市は年度によって申込の入口が変わることがあるため、市の職員採用ページから最新版をたどる
  2. エントリーシートの記入項目を確認し、学歴と職歴を整理する。むつ市は学歴を中学校から記載し、職歴のある方は最終学歴卒業後の職歴を必ず記載することとされている
  3. SPI3検査の準備をする。自宅等のパソコンから受験する「WEBテスティング」方式のため、問題形式に慣れることと、受験できる通信環境を早めに確保しておく
  4. 高校・大学生活やアルバイト等の経験を棚卸しする。学業・課外活動から、話せる具体例を1つずつ用意する
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編み、声に出して練習する

優先順位に注意

ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2とステップ3を優先してください。むつ市の一次試験は書類審査とSPI3検査で、面接に進むにはまずここを通る必要があります。エントリーシートに書いた内容と面接での発言がそろっていることが、評価の土台になります

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、むつ市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

むつ市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

むつ市役所の想定問答集を見る

さいごに

むつ市の上級試験には、教養試験も専門試験もありません。一次試験はエントリーシートとSPI3検査、二次試験はむつ市役所本庁舎での面接だけです。

択一式の筆記で点数を積み上げる場面がないぶん、書いたものと話したものが評価をそのまま左右します。令和6年度は上級行政に34人が受験して11人が最終合格しました。

人口50,521人、面積864.20km²という、広い市域に人が薄く暮らすまちで、市の職員として何をしたいのか。受験案内が掲げる6つの人材像を手がかりに、自分の経験と重なる部分を探すところから始めてみてください。