本記事では、愛媛県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、愛媛県警察の特徴基礎データ県内の治安情勢令和8年の運営目標面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

愛媛県警察の面接試験では、「なぜ愛媛県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。愛媛県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、愛媛県警察ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と愛媛県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

愛媛県警察の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは愛媛県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 愛媛県全域を管轄し、管轄人口は約124万7千人。四国4県のなかでは最も人口が多い県を、ひとつの警察組織で受け持っています。(出典:愛媛県の推計人口|令和8年6月
  • 県土は5,676平方キロメートル(全国26位)。北は瀬戸内海に面した平野が開け、南西部は宇和海に臨むリアス式海岸で、入り組んだ海岸線の長さは1,695キロメートルと全国5番目にあたります。瀬戸内海と宇和海には391の島々が浮かびます。(出典:愛媛県のすがた|愛媛県
  • 海沿いから内陸へ入ると、西日本最高峰の石鎚山(標高1,982メートル)がそびえます。県土の71%は森林です。政令指定都市のような大都市を持たない反面、平野部の市街地、山あいの集落、離島、そして長い海岸線と、警察活動の条件が地域ごとに大きく変わります
  • 県警本部は松山市に置かれ、内部部局は警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部の5部で構成されています。このほかに警察学校が置かれ、採用者はここで初任教育を受けます。
  • 地域ごとの産業の顔もはっきり分かれます。東予では、今治圏域がタオルと中小造船の集積地、四国中央市が紙・パルプの産地、新居浜市と西条市が住友グループの企業城下町として工業地帯を形づくっています。南予の八幡浜・大洲・宇和島の各圏域は日本一のみかんの産地で、たいやはまち、真珠の養殖も盛んです。
  • 県外との往来も活発です。瀬戸内しまなみ海道が平成11年5月に全通して今治と広島県尾道が結ばれ、松山空港は、令和5年1月時点で四国内4空港のなかでは最も便数が多く、県外と県内をつないでいます。
  • 令和8年5月には、第76回全国植樹祭えひめ2026が松山市の愛媛県総合運動公園で開かれました。愛媛県では60年ぶり2回目の開催で、県警察は令和8年の運営目標に、この行事の警備を重点目標のひとつとして掲げています。
  • 災害は過去の話ではありません。平成30年7月豪雨では県内で死者33人・住家全壊627棟の被害が生じ、県の想定では南海トラフ巨大地震で1万人を超える死者が見込まれています。災害への対処が、この県の警察にとって現実の備えであることを示す数字です。

愛媛県警察の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「愛媛県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、管轄する県土と人口、本部の組織、犯罪情勢など、県警察が置かれた環境を説明できる項目を優先して整理しました。

項目内容
管轄区域愛媛県全域(東予・中予・南予の3つの地域からなる)
管轄人口約124万7千人(令和8年6月1日現在の県推計人口1,246,848人。四国4県では最多)
管轄面積5,676平方キロメートル(全国26位)
海岸線の長さ1,695キロメートル(全国5番目)
県警本部の所在地松山市
本部の組織警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部の5部(ほかに警察学校)
刑法犯認知件数6,947件(令和7年・前年比0.1%増)
刑法犯検挙率45.4%(令和7年)
県の高齢化率34.00%(令和7年度)

管轄人口は愛媛県の推計人口(令和8年6月1日現在)、面積・海岸線は県公式の県勢紹介資料、高齢化率は県の高齢者人口統計(令和7年度)、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は令和7年の犯罪統計(確定値)にもとづく数値です。警察署や交番・駐在所の設置数、職員定数は本記事では扱っていません。必要な場合は愛媛県警察の公表資料でご確認ください。

数字から考えられる治安課題

愛媛県の令和7年の刑法犯認知件数は6,947件で、前年から0.1%の増加でした。数字の上ではほぼ横ばいです。

ただ、横ばいという一語で片づけると、その中身の偏りを見落とします。

同じ令和7年の内訳を見ると、住宅や事業所に入り込む侵入盗が510件を占め、刑法犯全体のおよそ14件に1件がこの罪種でした。

つまり愛媛県の治安は、総数が急に動いたかどうかで語る局面にはありません。件数の増減より、主な罪種のなかで住まいや事業所を狙う侵入盗が突出していることのほうが、日々の警察活動を左右します

あわせて、県の高齢化率は令和7年度で34.00%と、県民のおよそ3人に1人が65歳以上です。被害に遭ったときに気づきにくく、相談も遅れがちな年代の比率が高いことは、防犯の設計そのものに影響します

たとえば面接で県内の治安について聞かれたときは、次のように総数と中身をつないで説明できます。

「愛媛の刑法犯は去年およそ7千件で、前の年とほとんど変わっていないと聞きました。ただ中身を見ると、住宅や事業所に入る侵入盗が500件あまりあって、全体のなかでは大きな割合を占めています。県民の3人に1人が65歳以上という状況もありますので、戸締まりの呼びかけや見守りのように、日々の積み重ねが効いてくる分野なのではと感じています」

愛媛県の治安情勢

刑法犯認知件数と検挙の状況

令和7年の県内の刑法犯認知件数は6,947件で、前年比0.1%増でした。

増加にも減少にも大きく振れていない年だったといえます。あわせて刑法犯全体の検挙率は45.4%で、認知された事件の4割強で被疑者にたどり着いている計算になります。

面接で治安を語るときは、この2つの数字を並べると組み立てやすくなります。

件数が横ばいということは、抑止の取組が一定の効果を保っている一方で、下げ切れてもいないということです。

検挙率のほうは、届出を受けてから被疑者を割り出すまでの捜査が、限られた人員のなかでどこまで機能しているかを示します。抑止と検挙のどちらに自分の関心があるのかを言えるようにしておくと、志望動機の輪郭がはっきりします。

主な罪種の内訳

横ばいの一年だったからこそ、内側の構成まで確かめておきます。6,947件のうち、主な5つの罪種が令和7年に何件を数えたのかを挙げます。

主な罪種(令和7年・認知件数)件数
殺人9件
強盗7件
侵入盗510件
自動車盗19件
ひったくり0件

路上でのひったくりは令和7年の認知が0件、自動車盗も19件で、大都市部で問題になる街頭犯罪の存在感は大きくありません。代わりに柱となるのが侵入盗の510件です。

守る対象が路上の通行人ではなく、住まいと事業所の側にあるという犯罪像は、地域警察官の日常の動き方に直結します

戸締まりの徹底を地域へ働きかけること、被害の多い時間帯や地区を割り出して重点的に見回ること、被害家屋の周辺で聞き込みを重ねることが、510件という件数に直接効いてきます。

高齢化が治安に及ぼす影響

愛媛県の高齢化率は令和7年度で34.00%、65歳以上の人口は437,902人で、うち254,171人が後期高齢者です。県民のおよそ3人に1人が65歳以上という人口構成は、犯罪の被害の形にも交通事故の形にも表れます。(出典:高齢者人口統計|令和7年度

愛媛県警察が令和8年の運営目標で、子供・女性・高齢者を犯罪被害から守る取組と、高齢者や歩行者を交通事故から守る活動をそれぞれ掲げているのは、この人口構成を踏まえたものです。志望動機で高齢者の安全に触れるなら、印象論ではなく34.00%という数字から話を始められます。

人口減少と地域の見守り力

治安の土台になるのは、地域に人がいることです。

県の推計人口は令和8年6月1日現在で1,246,848人となり、この1か月だけで846人が減りました。

単月の内訳は、出生531人に対して死亡1,460人で自然動態が929人の減、転入2,622人に対して転出2,539人で社会動態は83人の増です。減少の主因は転出ではなく自然減にあります。

より長い時間軸で見ると、県の総合計画「未来につなぐえひめチャレンジプラン」(令和5〜8年度)は、人口が昭和60年の153.0万人を境に減少へ転じ、令和2年に133.5万人となり、直近5年間の減少率3.64%が過去最大であることを最重要課題に挙げています。2060年の推計人口は78万4千人です。(出典:愛媛県総合計画|令和5〜8年度

この流れは警察の仕事にも届きます。

防犯ボランティアや自主防災組織の担い手が減れば、地域の見守りに空白が生まれます。

運営目標が県民・事業者・関係機関との連携を犯罪抑止の柱に据えているのは、人口が減り続ける県土のすみずみまで安全を行き渡らせるための、現実的な設計だといえます。

県内の交通事故の発生件数や死者数は毎年公表され、数値も年ごとに動きます。面接で交通安全に触れる場合は、愛媛県警察が公表する最新の交通事故統計をあわせてご確認ください。

愛媛県の主な治安課題

ここまでの数字を踏まえると、愛媛県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「愛媛県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

住まいと事業所を守る防犯

令和7年の刑法犯認知件数が前年比0.1%増の6,947件にとどまったことは、悪い知らせではありません。問題はその内訳で、侵入盗が510件にのぼり、盗みの被害が住宅や事業所に集中しています。

自宅や職場に入り込まれる被害は、金銭的な損失にとどまらず、そこで暮らし続ける安心そのものを傷つけます。統計上は横ばいでも、被害に遭った一人にとっては生活の前提が崩れる出来事です。

だからこそ、検挙を積み重ねることと、地域に出て戸締まりを呼びかけ続けることの両方が要ります。

特殊詐欺と匿名・流動型犯罪グループ

愛媛県警察は令和8年の運営目標に、侵入窃盗や特殊詐欺とあわせてSNS型投資・ロマンス詐欺への対処を掲げ、暴力団と匿名・流動型犯罪グループ、薬物密売組織の実態解明と戦略的な取締りを別立てで示しています。

指示役がSNSの向こう側に隠れ、実行役だけが短期間で入れ替わっていくこの構造は、都市部だけの問題ではありません。電話も送金も距離を選ばないため、人口124万人規模の県にも都市部と同じように被害が届きます

県警察の作文試験でも、大学卒で令和4年度に特殊詐欺の抑止対策、令和5年度に闇バイト等の犯罪防止対策が出題されており、受験段階から理解を求めている分野だと読み取れます。

サイバー空間の脅威

詐欺の入口がSNSへ移っていることが示すとおり、いまの犯罪の多くはインターネットを経由します。

運営目標でも、サイバー犯罪は県民の身近で発生する犯罪の一つとして、侵入窃盗や特殊詐欺と同じ柱のなかに位置づけられています。

画面の向こうの相手が誰なのか分からないまま被害が進むため、本人が異変に気づいた時点では、たどれる痕跡がほとんど残っていないこともあります。愛媛県警察の作文試験では、大学卒の令和2年度に「ネットワーク利用犯罪の抑止について」が出題されており、情報系の学習経験がある人にとっては志望動機と結びつけやすいテーマでもあります。

交通事故と新しい移動手段への対応

交通は運営目標の独立した柱です。事故分析にもとづく広報啓発と安全教育、指導取締りに加えて、子供や高齢者・歩行者の保護、自転車の一層の安全利用、小型モビリティという新しい課題への対処、交通環境の整備が並びます。

県民の3人に1人が65歳以上という人口構成のもとでは、歩行中や自転車での事故が重傷化しやすく、対策の重心も自然に変わります。

作文試験でも、大学卒で令和6年度に自転車が関係する交通事故防止対策、令和3年度に交通事故防止対策が出題され、平成30年度には交通死亡事故抑止「アンダー50」の達成に向けた対策が問われました。数値目標を掲げて死亡事故と向き合ってきた県だということです。

南海トラフ巨大地震と豪雨災害への備え

愛媛県の令和7年の地震被害想定調査では、南海トラフ巨大地震(陸側ケース・冬深夜)の直接死者数は最大約12,750人と想定されています。

内訳は津波9,313人、建物倒壊3,236人、火災77人、土砂災害124人で、これとは別に災害関連死が最大3,602人と新たに見込まれました。

市町別の津波による死者は西条市2,150人、宇和島市1,528人、新居浜市1,211人と、南予・東予の臨海部に集中します。(出典:愛媛県地震被害想定調査|令和7年

想定だけではありません。

平成30年7月豪雨では、県内で死者33人(直接死27人・関連死6人)、重傷者35人、住家被害は全壊627棟・半壊3,118棟を含む総数6,663棟という被害が出ています(令和5年6月1日時点の県取りまとめ)。

運営目標が南海トラフ巨大地震と豪雨災害を並べて訓練・対策の強化を掲げているのは、この経験を踏まえたものです。(出典:平成30年7月豪雨による被害状況|令和5年6月時点

備えは施設の面にも及びます。

県の令和8年度当初予算(一般会計7,827億2,000万円)では、防災・減災対策として新居浜警察署庁舎等の整備が計上されました。

津波による死者が1,000人を超えると想定された市で警察署の庁舎を整備するという内容からは、災害時に活動の拠点が生き残ることの重みがうかがえます。(参考:愛媛県当初予算の概要|令和8年度

重点方針|令和8年愛媛県警察運営目標

愛媛県警察は、毎年の警察活動の方向を示すものとして愛媛県警察運営目標を定めています。令和8年の運営指針は「未来へつなごう 安全・安心 愛顔のえひめ」で、基本目標には、社会情勢の変化に対応しながら、県民とともに愛媛の安全・安心なくらしを守ることが掲げられました。(出典:令和8年愛媛県警察運営目標|令和8年

目標を貫く考え方

この運営目標には、読み取っておきたい特徴が2つあります。ひとつは、指針の冒頭が「未来へつなごう」であることです。

いま起きている事件事故に対処するだけでなく、次の世代へ引き渡す状態をつくるという時間軸が置かれています。

人口が減り高齢化が進む県で治安を保つには、その年だけの成果では足りないという認識の表れだといえます。

もうひとつは、基本目標に「県民とともに」という言葉が入っていることです。

警察だけで安全を作るのではなく、県民・事業者・関係機関と組んで作るという立場が、犯罪抑止の推進事項にもそのまま反映されています。面接で「どんな警察官になりたいか」を考えるときも、この方向性は軸になります。

6つの重点目標

重点目標は次の6項目です。あわせて、それぞれの柱が指している内容を受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕きました。

重点目標(公式の項目名)受験生向けの解説
① 県民の安全・安心を守る犯罪抑止対策の推進事件が起きる前に手を打つ柱。地域の犯罪情勢に合わせた抑止対策を県民や事業者、関係機関と連携して進めること、子供・女性・高齢者を被害から守ること、相談や要望に県民の視点で応じることが挙げられている
② 県民の生活を脅かす犯罪への対処起きた事件を検挙する柱。殺人や強盗など重要犯罪の早期検挙で不安感の解消を図るほか、侵入窃盗・特殊詐欺・SNS型投資詐欺やロマンス詐欺・サイバー犯罪への対処、暴力団と匿名・流動型犯罪グループ、薬物密売組織の実態解明と取締りが並ぶ
③ 県民を交通事故から守る活動の推進事故分析にもとづく広報啓発・安全教育・指導取締りを進め、子供や高齢者、歩行者を守る柱。自転車の一層の安全利用と小型モビリティの安全対策という新しい課題、交通環境の整備まで含む
④ 災害やテロ等に備える取組の推進南海トラフ巨大地震や豪雨災害を念頭に置いた実践的な訓練と対策、発生時の的確な対処。あわせて要人警護の強化、重要施設の警戒、民間事業者や地域住民と連携したテロ対策が掲げられている
⑤ 全国植樹祭に向けた総合対策の推進令和8年5月に県内で開かれた全国植樹祭の警備を担う柱。県警察の総合力を発揮した警衛警備と、開催に伴う事件事故の防止が掲げられており、この年かぎりで立てられている
⑥ 警察活動を支える取組の推進組織そのものを支える柱。優秀な人材の採用と育成、警察施設や装備の充実、先端技術の活用による活動の高度化、県民の期待と信頼に応える強い警察の確立が挙げられている

面接では、自分の取り組みたい仕事がこの6つのどれに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。各重点目標の下に置かれた推進事項の全文は、県警察の公式ページで確認できます。

POINT|6つの重点目標をすべて暗記しなくてよい

大切なのは項目名を覚えることではありません。6つのうち自分が関わりたい分野を1〜2つ選び、そこで県内に何が起きていて、県警察がどう手を打とうとしていて、自分は現場で何をしたいのかを、一本の話としてつないでおくことです。

悪い例「県民に信頼される警察官になりたいです」

改善例「まずは交番の警察官として、受け持つ地区の顔と地理を覚えるところから地道に頑張りたいです。その上で、愛媛では住宅や事業所に入る侵入盗が去年500件あまりありましたので、戸締まりの呼びかけや被害の多い地区の見回りに力を入れて、被害そのものを減らしていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。

  • 警察官採用試験の受験案内(大学卒と高校卒程度で別々の案内が出されます。自分が出願する区分のものを読んでください)
  • 採用案内のページ(仕事の内容と職員の声。試験制度の変更もここで告知されます)
  • 令和8年愛媛県警察運営目標(運営指針・基本目標・6つの重点目標と推進事項)
  • 犯罪統計・交通事故統計のページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、愛媛県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。愛媛県警察の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

愛媛県警察の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

愛媛県警察の面接の概要

ここからは、愛媛県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

愛媛県警察の面接の流れ

愛媛県警察官採用試験は大学卒と高校卒程度に分かれ、どちらも第1次試験と第2次試験の2段階です。

両者は併願できないと両方の試験案内に明記されているため、出願前にどちらで受けるかを決める必要があります。

公表されている種目と配点は、次の表のとおりです。

項目内容
試験の段階第1次試験 → 第2次試験の2段階。第2次試験は第1次試験の合格者に対して実施
第1次試験教養試験、体力試験、特定資格等加点、身体検査(大学卒は身体精密検査を含む)
第2次試験口述試験、作文試験、適性検査、身体精密検査
面接の種類口述試験として個別面接を実施。試験案内には「人物について総合的に評定するため」と記されています(集団面接・集団討論は試験案内に記載がありません)
口述試験の配点75点。大学卒・高校卒程度のいずれでも、配点が示された種目のなかで最も高い
教養試験大学卒=択一式50題・解答時間2時間30分・50点/高校卒程度=択一式50題・解答時間2時間・50点
作文試験課題1題・解答時間1時間・30点(大学卒は「識見、思考力、表現力等について」と示されています)
体力試験大学卒20点/高校卒程度16点。高校卒程度は令和7年度にシャトルランを廃止して4種目に減らし、握力の基準も引き下げられました
特定資格等加点5点(大学卒・高校卒程度とも第1次試験の種目)
採用後巡査に任命され、県警察学校で初任教育(大学卒6か月・高校卒程度10か月)

この構成から読み取ってほしいことが3つあります。1つ目は配点の置き方です。

口述試験の75点は、単独の種目としては最も大きい配点で、教養試験50点の1.5倍にあたります。

配点が示された種目を合計すると大学卒は180点、高校卒程度は176点ですから、そのうちの4割強が個別面接の点数だという計算になります。筆記の手ごたえがそのまま結果になる試験ではありません。

2つ目は、面接の材料が事前の書類ではなく、その場の受け答えに置かれていることです。

試験案内で確認できる提出書類は、第2次試験の身体精密検査に使う所定の身体検査書だけで、面接カードや自己紹介書といった様式の記載はありません。

書き込んだ紙で説明する準備ではなく、口頭で語り切る準備が要るということです。

3つ目は、試験制度が動いている最中だという点です。

高校卒程度では令和7年度に日程が約1か月前倒しされ、体力試験が4種目に絞られ、第1次試験が1日に短縮されました。

大学卒についても、令和7年度に第1次試験の内容を見直す旨の告知が県警察から出されています。当研究会ではこの告知の本文まで確認できていないため、大学卒の第1次試験の科目や配点は、必ず最新の受験案内でご確認ください。(出典:愛媛県警察官(高校卒程度)採用候補者試験案内|令和7年度

上記の試験構成のうち、大学卒の内容は令和6年度の試験案内、高校卒程度の内容は令和7年度の試験案内にもとづきます。合計点は、配点が示された種目を当研究会が足し合わせたものです。試験の構成・配点・提出書類・日程等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(出典:愛媛県警察官(大学卒)採用試験案内|令和6年度

愛媛県警察が求める人材

愛媛県警察は、「求める人物像」として定式化した文言を採用サイトにも試験案内にも掲げていません。

公表された人物像がない以上、公表されている別の言葉から読み解くほかありません

手がかりは2つあります。

1つ目は、試験案内が記す職務内容です。

「個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締りその他公安の維持」と、守ることと防ぐこと、捕まえることと取り締まることが並列に置かれています。

どれか一つに憧れて志望した人ではなく、全部を引き受ける前提の人が求められている、という読み方ができます。

2つ目は、作文試験の出題テーマです。

高校卒程度では「失敗から学んだこと」(令和7年度)、「警察官として守らなければならないものについて」(令和6年度)、「警察官という職業を目指す理由について」(令和5年度)、「警察官の私生活上の制約について」(令和4年度)と、職業観と覚悟を確かめるテーマが続いています。

一方の大学卒では「繁華街・歓楽街対策について」(令和7年度)、「自転車が関係する交通事故防止対策について」(令和6年度)、「闇バイト等の犯罪防止対策について」(令和5年度)と、治安課題への具体策を問うテーマが並びます。

書かせている内容は、そのまま面接で確かめたいことと重なります。記述の準備は、面接の準備と切り離さずに進めてください。

なお、運営指針「未来へつなごう 安全・安心 愛顔のえひめ」は県警察の活動方針であって、採用にあたって公表された求める人物像ではありません。志望動機の材料に使うのは構いませんが、「これが県警察の求める人物像です」と言い切ると事実とずれてしまうので、紹介の仕方には気をつけてください。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。愛媛県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望民間企業ではなく、なぜ警察官なのですか?他の進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性
③ 自己理解あなたの強み(自己PR)を教えてください自分の強みを、警察の仕事の場面と結びつけて説明できているか
④ 経験・行動学生時代に最も力を入れたことは何ですか?実績の大きさではなく、実際にとった行動の事実と、そこから学ぶ姿勢
⑤ 学業・経歴専攻分野(学科・コース)を選んだ理由を教えてくださいこれまでの進路の選び方に一貫性があるか。意思決定の理由を自分で説明できるか
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?交替制勤務や訓練に耐える体力の裏づけと、日頃の健康管理の習慣
⑦ 公共性・社会性警察官に最も必要な資質は何だと思いますか?職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識

ただし、この7カテゴリーは愛媛県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在することをあらかじめ知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。

合否を分けるのは「愛媛県警察ならでは」の質問

「他の県警察や警視庁という選択肢もある中で、なぜ愛媛県警察を選んだのですか?」
「愛媛県の治安上の課題は何だと思いますか?」

どちらも、愛媛県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。

逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「愛媛県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい愛媛県警察の事実答え方のヒント
治安の現状令和7年の刑法犯認知件数は6,947件で前年比0.1%増、検挙率は45.4%。侵入盗が510件を占める「横ばいでした」で止めず、侵入盗が全体のおよそ14件に1件という中身まで話す。総数の増減ではなく内訳を見ている姿勢が、そのまま現状認識の確かさになる
志望動機・やりたい仕事令和8年の運営指針は「未来へつなごう 安全・安心 愛顔のえひめ」。重点目標は犯罪抑止・犯罪への対処・交通事故防止・災害とテロへの備え・全国植樹祭・活動基盤の6つやりたい仕事が6つのどれに当たるかを一言添える。基本目標が「県民とともに」と書いていることに触れると、方針を自分で読んだ跡が残る
愛媛で働く規模感管轄人口は約124万7千人(令和8年6月)で四国4県では最多。5,676平方キロメートルの県土に、瀬戸内海側の平野、宇和海のリアス式海岸、石鎚山の山間部、391の島々が同居する松山のような市街地と、島しょ部や山間部とでは、警察官に求められる動き方が変わる。赴任先の環境に合わせて自分の働き方を組み立てられることを、地理の理解とあわせて伝える
災害への備え県の令和7年の地震被害想定調査は、南海トラフ巨大地震(陸側ケース・冬深夜)で直接死者最大約12,750人を想定。平成30年7月豪雨では県内で死者33人・住家全壊627棟の被害が出た想定の数字と、実際に経験した豪雨災害の両方を押さえる。運営目標の第4の柱に接続させると、備えの話が県警察の仕事の話になる
作文試験と面接のつながり作文試験は課題1題・1時間・30点。高校卒程度は職業観を問うテーマ、大学卒は治安課題への対策を問うテーマが続いている作文で書いた内容は面接でも掘られ得る。自分が書いた対策案を口頭で1分に縮めて言えるようにしておくと、志望動機の裏づけとしてそのまま使える

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 警察官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、運営目標が示す組織の考え方に照らして、「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
県民とともに動く姿勢立場や年代の違う相手を巻き込んで、何かを進めた経験があるか基本目標は安全・安心を「県民とともに」守ると書いている。年上や年下の人に自分から頼みごとをして役割を分けた場面を1つ選び、どう声をかけ、どこを任せたかまで言えるようにする
地道な積み重ねを続ける力目立たない作業を、結果が出るまで続けたか侵入盗510件という県内の犯罪像は、戸締まりの呼びかけや見回りという反復の仕事が効く領域。半年以上続けたことを1つ選び、続けられた理由を自分の言葉にしておく
変化に合わせて動く柔軟さやり方や条件が途中で変わったとき、どう対応したか高校卒程度の試験は令和7年度に日程も体力試験も見直された。組織も試験も動くという前提に立ち、ルールや段取りが変わった場面での自分の切り替え方を用意する
規律ある生活への適応と体力生活のリズムと体調を自分で管理できているか第1次試験に体力試験(大学卒20点・高校卒程度16点)があり、採用後は警察学校での初任教育が待つ。いつから何をどれだけ続けているかを、期間と回数の数字で言えるようにしておく

評価の観点の4項目は、公表されている令和8年の運営目標と、試験案内で確認できる種目構成をもとに当研究会が面接対策用に整理したものです。愛媛県警察が「求める人物像」として公表している文言ではありません。

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内を読み、大学卒と高校卒程度のどちらで出願するかを決める(両者は併願できません)。そのうえで試験種目・配点・提出書類・申込方法を確認する
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、行動の事実を話せる出来事を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自前の言葉に置き換えておく
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む。愛媛県警察は第2次試験で作文試験も課すため、作文で扱うテーマの下調べが、そのまま面接の材料になる
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。あわせて体力試験に向けた運動を始める。高校卒程度では令和7年度から種目が4つに絞られ、握力の基準も見直されているので、自分が受ける年度の案内で種目と基準を確かめてから取りかかる

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で組織の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、愛媛県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

愛媛県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。本番までの残り日数が少ない場合は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。

愛媛県警察の想定問答集を見る

さいごに

愛媛県警察の採用試験は、大学卒でも高校卒程度でも、口述試験の75点が単独の種目としては最も大きい配点です。配点が示された種目の合計に占める割合は4割を超え、教養試験の50点を上回ります。

筆記の手ごたえがどうであれ、個別面接での受け答えが結果を動かす試験だということです。しかも面接カードのような様式は公表されておらず、その場で語れるかどうかがそのまま評価になります。

加えて、高校卒程度では令和7年度に日程と体力試験の見直しがあり、大学卒でも第1次試験の内容変更が告知されました。試験の形が動く年ほど、変わらない部分、つまり自分が何を経験し、何を考えて警察官を志したのかを語る力が効いてきます。

約124万7千人が暮らし、瀬戸内海と宇和海、平野と山間部と離島を抱えるこの県で、令和8年の運営目標は「未来へつなごう 安全・安心 愛顔のえひめ」を掲げ、県民とともに守ることを基本に置きました。あなたはその一員として、どの地域で、誰の何を守りたいのか。

答えの材料はこの記事にそろえましたので、あとは声に出して自分の言葉に変えていってください。