本記事では、徳島県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、徳島県警察の特徴・基礎データ・県内の治安情勢・令和8年の運営指針と運営重点・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
徳島県警察の面接試験では、「なぜ徳島県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。徳島県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、徳島県警察ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と徳島県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|組織研究編
徳島県警察の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは徳島県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 徳島県全域を管轄し、管轄人口は約66万9千人。令和8年6月1日現在の推計人口は669,003人で、前月から626人減るなど、減少が月単位で続いています。(出典:徳島県の推計人口|令和8年6月1日現在)
- 管轄面積は4,147平方キロメートル。四国の東部に位置し、東は紀伊水道に面し、北は香川県、南は高知県、西は愛媛県と接しています。(出典:徳島県の概要|令和6年)
- 県土のおよそ8割が山地で、県内最高峰の剣山は標高1,955メートル。高知県を水源とする吉野川が大歩危・小歩危の峡谷をつくりながら東へ流れ、河口部にくさび形の徳島平野を広げています。人の暮らしは平野部に集まっており、山間部を受け持てば集落から集落まで相当の距離を走ることになります。
- 県警本部は徳島市万代町2丁目5番地1に置かれ、内部部局は警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部の5部で構成されています。ほかに警察学校があります。
- 令和7年の刑法犯認知件数は3,231件で、前年から9.5%増えました。件数の水準そのものは全国でも少ないほうですが、増加の側に振れています。
- 高齢化率は35.8%で全国3位(令和6年10月1日現在)。県民のおよそ3人に1人が65歳以上という人口構成は、犯罪の被害にも交通事故にも直接はね返ります。(出典:徳島県の高齢化の状況|令和6年)
- 近畿圏とは神戸淡路鳴門自動車道で直結し、県内は四国縦貫自動車道と四国横断自動車道が貫きます。県外から車で入ってくる人が多い交通環境も、徳島県警察の仕事の前提です。
- 南海トラフ巨大地震では、県の最新の被害想定で最大21,700人の死者が見込まれています(令和8年2月4日公表)。有事への備えは、特定の部門だけの仕事ではありません。
徳島県警察の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「徳島県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、管轄する県土と人口、本部の組織、犯罪情勢など、組織の置かれた環境を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄区域 | 徳島県全域 |
| 管轄人口 | 約66万9千人(令和8年6月1日現在の推計人口669,003人) |
| 管轄面積 | 4,147平方キロメートル(令和6年7月1日時点。県土のおよそ8割が山地) |
| 県警本部の所在地 | 徳島市万代町2丁目5番地1 |
| 本部の組織 | 警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部の5部(ほかに警察学校) |
| 刑法犯認知件数 | 3,231件(令和7年・前年比9.5%増) |
| 刑法犯検挙率 | 44.9%(令和7年) |
| 県内の高齢化率 | 35.8%(令和6年10月1日現在・全国3位) |
管轄人口は徳島県の推計人口(令和8年6月1日現在)、面積は県が公表する県の概要(令和6年7月1日時点)、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は令和7年の犯罪統計、高齢化率は総務省統計局の人口推計(令和6年10月1日現在)にもとづく数値です。警察署・交番・駐在所の設置数や職員定数はこの記事では扱っていないため、必要な方は徳島県警察の公表資料をご確認ください。
数字から考えられる治安課題
徳島県の刑法犯は、人口規模が小さいこともあり、件数だけを見れば全国でも少ない部類に入ります。
令和7年の認知件数は3,231件。ただし前年からは9.5%増えており、長く減ってきた流れが反転しています。
もう一方の軸が人口です。令和8年6月1日現在の推計人口は669,003人で、前月から626人、2か月前からは748人減りました。
住民の数は毎月減り続けているのに、犯罪の件数のほうは増える側へ動いたという組み合わせが、いまの徳島県警察が置かれている状況です。
さらに高齢化率は35.8%で全国3位。地域を見守る側の担い手が細る一方で、被害に遭ったときに影響が大きい層は厚くなっていきます。
数字は単体で覚えるのではなく、この三つの動きを重ねて理解しておきましょう。
たとえば面接で県内の治安について聞かれたときは、次のように数字どうしをつないで説明できます。
徳島県の治安情勢
刑法犯認知件数と検挙の状況
令和7年の県内の刑法犯認知件数は3,231件で、前年比9.5%の増加でした。あわせて刑法犯全体の検挙率は44.9%で、認知された事件の4割強で犯人にたどり着いている計算になります。
面接で治安を語るときは、この二つの数字を並べて話すと組み立てやすくなります。件数が増えれば、捜査にも予防にも同じ人員を配り直すことになり、どちらを厚くするかという判断が現場に生まれます。
令和8年の運営重点が「身近な犯罪の抑止」と「重要犯罪等の徹底検挙」を別々の柱として立てているのは、この二つを同時に落とせないという組織の意思表示だと読めます。
主な罪種の内訳
総数の増減だけでは、どこに人手を割くべきかまでは決まりません。3,231件が令和7年の一年でどう分かれたのかを、主な罪種で確かめます。
| 主な罪種(令和7年・認知件数) | 件数 |
|---|---|
| 殺人 | 4件 |
| 強盗 | 3件 |
| 侵入盗 | 228件 |
| 自動車盗 | 5件 |
| ひったくり | 0件 |
路上でのひったくりは令和7年の認知が1件もなく、自動車盗も5件にとどまります。代わりに件数が目立つのが侵入盗の228件で、刑法犯全体のおよそ14件に1件がこれにあたります。
徳島で起きている犯罪の重心は、路上ではなく建物の中にあると言い換えてもよいでしょう。
鍵をかける習慣を広げること、留守がちな住宅や作業小屋を見回ること、住民から「見慣れない車が停まっていた」という話を拾えるだけの関係を持っていること。こうした積み重ねが、そのまま数字に返ってくる分野です。
高齢化率全国3位という前提
徳島県の高齢化率は令和6年10月1日現在で35.8%、都道府県では3番目に高い水準です。介護認定率も20.0%で全国11位(令和5年度)。
この年齢構成は、警察の仕事のほぼ全分野に影を落とします。だまされてお金を渡してしまう詐欺の被害も、歩行中や運転中の事故も、結果が重くなりやすいのは高齢の方だからです。
令和8年の運営重点が第1の柱の先頭に「子供・女性・高齢者の安全対策の強化」を置いているのは、この人口構成をそのまま映した優先順位だといえます。
交通環境と道路の事情
徳島県内の道路は、国道13路線・県道202路線・市町村道31,940路線で、実延長は合わせて15,050キロメートルにのぼります。
このうち国県道の改良率は65.4%、舗装率は57.5%で、県自身が全国的に低い水準だと説明しています。急峻な山地が多く、河川に橋を架ける費用がかさむことが背景にあります。(出典:道路整備の現状|徳島県)
その一方で、県外とつながる幹線は太くなっています。明石海峡大橋の開通に合わせて全線が開通した神戸淡路鳴門自動車道(89.0キロメートル)が近畿圏と徳島を結び、吉野川沿いを東西に走る四国縦貫自動車道(県内88.8キロメートル)、県東部を南北に貫く四国横断自動車道(県内約49キロメートル)が県内を通っています。
県外から流入する幹線と、改良が追いついていない生活道路が同居しているのが徳島の道路事情です。運営重点が「交通死亡事故の抑止」を独立した柱に立て、指導取締りだけでなく交通環境の整備までを含めているのは、この二面性への対応と読めます。
交通事故の発生件数や死者数は毎年更新されます。面接で交通安全を取り上げる場合は、徳島県警察が公表している最新の交通事故統計で数値を確かめてください。
徳島県の主な治安課題
ここまでの数字を踏まえると、徳島県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「徳島県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
反転した刑法犯の件数と体感治安
令和7年の刑法犯認知件数が前年比9.5%増となったことは、統計上の小さな揺れでは済みません。年に3千件台という水準は、県民の生活実感からすれば「めったに起きないこと」の側にあります。
それだけに、身近な場所で事件が起きたという情報は地域のなかを速く伝わり、統計の数字よりも大きな不安を生みます。
減ってきた流れが反転したいま、起きた事件を確実に検挙することと、警察官の姿が見える街頭活動を保つことが、並行して求められる局面です。
住まいを狙う侵入盗と身近な犯罪の抑止
令和7年の県内では、侵入盗が228件確認されています。空き巣や事業所荒らしは、盗まれた金額そのものより、生活の場に他人が入り込んだという事実が住民の安心を深く傷つけます。
運営重点の第1の柱には「犯罪の起きにくい社会づくりの推進」と「被害者支援の充実」が並んでおり、防ぐ側と支える側が同じ柱の中に置かれている点が特徴です。
面接で防犯を語るなら、鍵かけや戸締まりの呼びかけといった具体的な行動まで下ろして話せると、地に足のついた回答になります。
高齢化のもとでの被害防止と地域の担い手
令和6年10月1日現在の高齢化率35.8%は全国3位、介護認定率20.0%(令和5年度)は全国11位です。
特殊詐欺のように電話やSNSを入口にする犯罪は距離を選ばないため、人口の少ない県にも同じように届きます。
県の総合計画である徳島新未来創生総合計画も、人口減少に伴う労働力不足や過疎化の進行を「静かなる有事」と呼び、今後10年を地方の正念場と位置づけました。防犯ボランティアや地域の見守り活動の担い手をどう確保するかは、警察だけで完結しない課題でもあります。(参考:徳島新未来創生総合計画|令和7年3月改訂)
サイバー空間の脅威への対処
令和8年の運営重点で、サイバー分野が置かれているのは捜査部門の柱ではなく「組織基盤の強化」の中です。
人的基盤の強化や、警戒の空白を生じさせない警察運営と並べられているという配置は、サイバーを一部門の専門課題ではなく、組織全体で底上げすべき能力として扱っているということでもあります。
詐欺の入口がSNSに移り、犯行のやり取りがネット上で完結する場面が増えている以上、どの部署に配属されても無関係ではいられません。情報系の学習経験がある人にとっては、志望動機と結びつけやすいテーマです。
南海トラフ巨大地震への備え
徳島県が令和8年2月4日に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定(最大ケース)は、死者21,700人、建物の全壊・焼失81,100棟です。前回2013年の想定(死者31,300人・全壊焼失116,400棟)からは減りましたが、依然として桁の大きな数字であり、死者の内訳は津波によるものが18,000人と大半を占めます。(出典:南海トラフ巨大地震被害想定|令和8年)
注目したいのは、県が同時に示した減災の試算です。住宅の耐震化率を100%にすれば死者は14,900人まで下がり、さらに津波からの早期避難率も100%になれば2,200人まで減るとされています。
現状は住宅耐震化率86%(令和5年時点)、早期避難率33%(県民アンケート)。
被害の規模が、住民が逃げるかどうかで一桁変わるという構造です。
運営重点は「大規模災害、テロ等への対処」を柱に立て、その中に「災害への的確な対処」を置いています。人に避難を促す側に立つ職業を志すのであれば、この二つの数字の差は知っておく価値があります。
重点方針|令和8年徳島県警察運営指針及び運営重点
徳島県警察は、毎年の業務運営の方向を示すものとして運営指針と運営重点を定めています。
令和8年の運営指針は「安全安心を誇れる徳島県の実現」で、これに「県民を守る『力強い警察』の確立」という一文が添えられました。
令和7年12月1日付の警察本部長通達として、全部課長・全警察署長へ示されたものです。(出典:徳島県警察運営指針及び運営重点|令和8年)
指針を貫く考え方
この指針でまず目を引くのが「誇れる」という言葉です。
安全であることではなく、県民が誇れる状態を目標に据えている以上、達成したかどうかを判断するのは県民の受け止め方だ、という立場になります。
もう一つが「力強い警察」という自己規定です。守るという受け身の言い方ではなく、守り切るだけの力を組織として備えるという宣言であり、5つ目の柱に「組織基盤の強化」が置かれていることと呼応します。
面接で「どんな警察官になりたいか」を考えるときも、この二つの語は軸になります。
5つの重点項目
運営重点は次の5項目で、それぞれに4つの実施項目が置かれています。柱ごとの中身を、受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕きました。
| 重点項目(公式の項目名) | 受験生向けの解説 |
|---|---|
| ① 身近な犯罪の抑止 | 事件が起きる前に手を打つ柱。子供・女性・高齢者の安全対策を先頭に置き、身近な犯罪の抑止と検挙、犯罪が起きにくい環境づくり、被害に遭った人への支援までを一つにまとめている |
| ② 重要犯罪等の徹底検挙 | 起きた事件を確実に解決する柱。凶悪犯の迅速な解決と知能犯の厳格な取締り、暴力団や薬物などを含む組織犯罪対策に加え、鑑識や分析といった科学捜査の推進が並ぶ |
| ③ 交通死亡事故の抑止 | 件数ではなく死亡事故という結果の重さに照準を合わせた柱。情勢を踏まえた事故防止対策、安全で円滑な交通環境の整備、指導取締り、運転免許行政の適正な運用までを含む |
| ④ 大規模災害、テロ等への対処 | 有事に備える柱。情勢に応じた警衛・警護、災害への的確な対処、国際テロや対日有害活動への対策、過激派等による違法行為への厳正な対処が置かれている |
| ⑤ 組織基盤の強化 | 組織そのものを支える柱。期待と信頼に応える警察の確立、警戒の空白をつくらない警察運営、サイバー空間の脅威への対処、そして人を育て確保する人的基盤の強化が挙げられている |
面接では、自分の取り組みたい仕事がこの5つのどれに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。各柱に置かれた実施項目の一覧は、県警察の公式ページに掲載された通達で確認できます。
POINT|柱は一つに絞って使う
5本を均等に語ろうとすると、どれも底の浅い話になります。関心に近い柱を一つ選び、その柱に関係する県内の数字を一つ、そして自分がやりたい仕事を一つ。この三つがつながる形になっていれば、面接では十分に通用します。
悪い例「県民に信頼される警察官になりたいです」
改善例「まずは交番の勤務で地域のことを覚えて、地道に頑張りたいです。そのうえで力を入れたいのが、身近な防犯です。去年の県内の刑法犯は3千件あまりで、そのうち住宅や事業所に入る侵入盗が200件を超えていると聞きました。県民の3人に1人が65歳以上という徳島ですので、戸締まりの呼びかけやお年寄りのお宅を回る活動といった、顔の見えるやり方で取り組んでいきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。
- 警察官採用試験の受験案内(受験区分ごとの試験種目・配点・受験資格・申込方法)
- 徳島県職員採用案内のページ(採用試験の案内や提出様式、合格発表が掲載されます)(参考:徳島県職員採用案内)
- 令和8年徳島県警察運営指針及び運営重点(5つの柱と、その下に置かれた実施項目)
- 犯罪統計・交通事故統計のページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、徳島県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。徳島県警察の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
徳島県警察の面接の概要
ここからは、徳島県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
徳島県警察の面接の流れ
徳島県の警察官採用試験は「警察官A(大学卒業程度)」と「警察官B(高校卒業程度)」を基本とし、令和8年度からは特別区分として「警察官A(キャリアアピール)」が新設されました。
この区分では従来のアピール論文が廃止され、代わりに警察業務に生かせる知識や経験を評価するエントリーシートが導入されています。
公表資料で試験種目と配点まで確認できるのはこのキャリアアピール区分ですので、まずその構成を見ておきましょう。
| 項目 | 内容(令和8年度・警察官A(キャリアアピール)) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験の2段階 |
| 第1次試験 | 職務能力試験(択一式60問・必須解答・50点)、適性検査(書面・配点なし)、身体・体力検査(体力検査50点、身体検査は基準による判定)、エントリーシート(50点。うち10点は資格加点) |
| 第2次試験 | 口述試験(300点)、身体精密検査(身体検査書の提出・配点なし) |
| 面接の種類 | 個別面接。主として人柄や性格等をみるため、同じ日に2回行われます |
| 配点 | 総合450点満点(第1次150点+第2次300点)。最終合格は第1次と第2次の合計得点の高い順に決定 |
| 提出書類 | 受験申込時にエントリーシート(職務経歴書を含む)と顔写真。第2次試験日には医療機関で検査した身体検査書の提出が必要 |
| 採用予定人員 | 3名程度 |
| 実施主体 | 徳島県人事委員会・徳島県警察本部 |
この構成から読み取れることが三つあります。一つ目は配点です。
口述試験の300点は総合450点の約3分の2にあたり、第1次試験で配点のある3種目を合計した150点のちょうど倍になります。筆記や体力でどれだけ積んでも、面接の結果しだいで順位は入れ替わる設計です。
二つ目は、その口述試験が同じ日に2回行われることです。
一度の面接で語り切る試験ではなく、二度の場で同じ人物として一貫していられるかが見られます。台本を暗記していく準備の仕方では、二回目にほころびが出やすくなります。
三つ目は書類の扱いです。エントリーシートは第1次試験で50点の採点対象となり、そのまま第2次試験の参考資料としても使われます。
さらに身体検査書を提出できない場合は原則として口述試験を受験できません。書類の準備が、そのまま面接の準備であり受験機会の確保でもあるという構造になっています。(出典:警察官A(キャリアアピール)採用試験案内|令和8年度)
上記の試験構成は、徳島県が公表する令和8年度「警察官A(キャリアアピール)」の採用試験案内にもとづくものです。警察官A(通常)・警察官Bの試験種目・配点・面接形式は区分ごとに異なり、本記事では扱っていません。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。なお同案内には、この試験が徳島県と大阪府の採用共同試験ではない旨が明記されています。
徳島県警察が求める人材
令和8年度の警察官A(キャリアアピール)の試験案内には、求める人物像として「警察業務に生かせる知識、経験、資格、スキル、人間力、社会経験等をアピールできる方」という一文が掲げられています。他の区分にそのまま当てはまるとは限りませんが、徳島県警察が言葉にした人物像として、面接準備の出発点にできます。
この一文で注目したいのは、知識や資格と並べて「人間力」「社会経験」が挙げられていることです。
資格の名前を並べれば評価される、という話ではありません。何をどこまでやってきたのか、そこで人とどう関わったのかを説明できるかどうかが問われます。
運営指針の「県民を守る『力強い警察』の確立」という一文を重ねると、求められている像はさらに具体的になります。持っているものを、県民を守る場面でどう使うのかまで言えるかどうかです。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。徳島県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく、なぜ警察官なのですか? | 他の進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性 |
| ③ 自己理解 | あなたの強み(自己PR)を教えてください | 自分の強みを、警察の仕事の場面と結びつけて説明できているか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も力を入れたことは何ですか? | 実績の大きさではなく、実際にとった行動の事実と、そこから学ぶ姿勢 |
| ⑤ 学業・経歴 | いまの専攻(または職種)を選んだ理由を教えてください | 進路の選び方に一貫性があるか。決めた理由を順を追って話せるか |
| ⑥ 適性・将来 | 体力に自信はありますか? | 交替制勤務や訓練に耐える体力の裏づけと、日頃の健康管理の習慣 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 警察官に最も必要な資質は何だと思いますか? | 職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識 |
ただし、この7カテゴリーは徳島県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在することをあらかじめ知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。
合否を分けるのは「徳島県警察ならでは」の質問
どちらも、徳島県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。
逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「徳島県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい徳島県警察の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 治安の現状 | 令和7年の刑法犯認知件数は3,231件で前年比9.5%増。検挙率は44.9% | 「少ないから安全」で止めないこと。減ってきた流れが反転した事実を先に置き、そのうえで228件の侵入盗という中身へ降りると、統計を自分で読んだ人の話になる |
| 志望動機・やりたい仕事 | 令和8年の運営指針は「安全安心を誇れる徳島県の実現」、添えられた一文は「県民を守る『力強い警察』の確立」。運営重点は身近な犯罪の抑止、重要犯罪等の徹底検挙、交通死亡事故の抑止、大規模災害やテロ等への対処、組織基盤の強化の5本 | 「誇れる」という語を借りて、県民の何を誇りにしたいのかまで言い切る。やりたい仕事が5本のどれに載るかを添えれば、指針を読んだことが自然に伝わる |
| 徳島で働く規模感 | 管轄人口は約66万9千人、管轄面積は4,147平方キロメートルで県土のおよそ8割が山地。本部は5部で構成される | 平野部と山間部では、受け持つ地域の条件が大きく変わる。距離のある集落を任される覚悟まで話すと、規模の話が働き方の話に変わる |
| 高齢化と被害防止 | 高齢化率35.8%は全国3位、介護認定率20.0%は全国11位。運営重点は第1の柱の先頭に「子供・女性・高齢者の安全対策の強化」を置く | 3人に1人が65歳以上という数字を、詐欺と交通事故の両方につなげる。年齢の離れた人と関わった自分の経験を一つ用意しておくと、話が具体になる |
| 災害への備え | 県が令和8年2月に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定は死者21,700人。住宅の耐震化率と津波からの早期避難率がともに100%になれば2,200人まで減るとされ、現状の早期避難率は33% | 21,700人と2,200人の差が、建物の備えと逃げる行動の両方で生まれる点を押さえる。人に避難を促す言葉をどう届けるかという問題として語れば、警備部門志望でなくても自分の話にできる |
使い方のコツは、5つを網羅することではありません。自分の志望分野に近いテーマを1つか2つ選ぶことです。
そのうえで、調べた事実から入って、そこで自分が何を問題だと感じたのかを述べ、警察官として何に取り組みたいのかまで言い切る。この一続きの流れに編んでおきましょう。
想定される評価の観点
面接は、公表された人物像や運営指針が示す価値観に照らして、「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 経験を仕事へ翻訳する力 | 自分の経験が警察の仕事のどの場面で生きるかを、自分の言葉で説明できるか | 公表された人物像には「知識、経験、資格、スキル、人間力、社会経験」と並ぶ。材料の種類は問われていないので、一つ選び、県民と接する場面でどう使えるかまで言い切る練習をしておく |
| 二度の面接で崩れない一貫性 | キャリアアピール区分で同じ日に2回行われる個別面接で、話の筋と人物像が揺れないか | 台本ではなく、自分が下した判断の理由を覚えておく。エントリーシートは第2次でも参考資料になるため、書いた文と話す言葉をそろえておく |
| 年齢の離れた相手に届ける力 | 年齢や事情の違う相手に、説明の仕方を変えて伝えた経験があるか | 高齢化率が全国3位の県では、説明の丁寧さがそのまま被害防止の力になる。相手に合わせて何を変えたのかを、場面ごと思い出しておく |
| 体力と生活の自己管理 | 体力検査と身体検査に向けて、日常の習慣を整えてきたか | キャリアアピール区分では体力検査が50点の採点対象で、身体検査書がなければ口述試験に進めない。いつから何を続けているかを、期間と回数で言えるようにしておく |
評価の観点の4項目は、公表されている求める人物像の文言、令和8年の運営指針・運営重点、および警察官A(キャリアアピール)の試験種目の構成をもとに、当研究会が面接対策用に整理したものです。徳島県警察が評価基準として公表しているものではありません。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内を読み、警察官A・警察官B・警察官A(キャリアアピール)のうち自分が出願する区分を決めたうえで、その区分の試験種目・配点・提出書類・申込方法を確認する。案内や様式は徳島県職員採用案内のホームページに掲載される
- これまでの経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事・職務経歴から、自分が実際にとった行動を話せる出来事を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2つか3つ、自前の言葉に置き換えておく
- 固有質問の材料を対応表から集め、事実から入り、自分の問題意識を挟み、取り組みたいことで締める形に話を編む。キャリアアピール区分を受けるなら、エントリーシートに書いた内容とこの話がずれていないかを必ず突き合わせる
- 実際に口に出してリハーサルする。キャリアアピール区分の口述試験は同じ日に2回行われるため、同じ話題を二度、言葉を変えて話す練習まで含めておく。あわせて体力検査と身体検査書の準備を見込み、運動と生活リズムづくりを早めに始める
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で組織の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、徳島県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
徳島県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。本番までの残り日数が少ない場合は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。
さいごに
令和8年度から始まった徳島県警察のキャリアアピール区分では、総合450点のうち300点が口述試験に置かれ、しかもその口述は同じ日に2回行われます。筆記や体力の点数だけで押し切れる試験ではありません。
令和8年6月時点で669,003人が暮らし、県民のおよそ3人に1人が65歳以上で、南海トラフ巨大地震の想定と向き合い続ける県。そこで「安全安心を誇れる徳島県の実現」を掲げる組織の一員として、自分は何をしたいのか。
エントリーシートに書く一文も、面接で話す一言も、そこから逆算して選んでいきましょう。
特別な経歴は要りません。部活動やアルバイト、あるいはこれまでの仕事のなかで自分が実際にとった行動を、細部まで話せる状態にしておけば十分です。