本記事では、福井県職員採用試験の面接対策で必要な、福井県の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
福井県庁の面接試験では、「なぜ福井県を志望したのか」、「県職員として何に取り組みたいのか」、「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。県の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、福井県ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と福井県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
福井県の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは福井県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 県庁所在地は福井市。本州のほぼ中央に位置し、西は日本海に面する。北は石川県、東から南にかけて岐阜県・滋賀県・京都府と接する。
- 木の芽峠などの山領を境に、県は嶺北(れいほく)と嶺南(れいなん)の二つの地域に分かれ、気候・産業・生活圏がそれぞれ異なる。
- 人口は約72.9万人(令和7年国勢調査速報)。総面積は4,191km²(全国34位)で、そのうち森林が約75%を占める。
- 県の長期ビジョンが総合目標に掲げるほど、都道府県の幸福度ランキングで全国トップクラスに位置し、子育て環境や教育水準の高さで知られる。
- ものづくりの県でもある。鯖江市を中心とする眼鏡枠づくりは国内生産の約9割を占め、繊維・化学・機械などの産業が集積している。
- 県内には15基の原子力発電所が立地し、全国の原子力発電量の約4分の1を担うエネルギー拠点でもある。
- 2024年3月に北陸新幹線が金沢から敦賀まで延伸開業し、首都圏や関西との時間距離が縮まった。観光や産業にとって大きな転機となっている。
- 県財政は健全性を保っている。実質公債費比率・将来負担比率はいずれも国の早期健全化基準を下回るが、人口減少のもとで将来の歳入減が見込まれ、限られた財源を効果的に配分する行財政運営が課題となっている。
福井県の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「福井県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、県土の広さ、地域構成、財政など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 約72万9千人(令和7年国勢調査速報) |
| 総世帯数 | 約29万5千世帯(1世帯あたり2.48人) |
| 高齢化率 | 30.6%(令和2年)/2040年に37.6%まで上昇の見込み |
| 総面積 | 約4,191km²(全国34位)/森林が約75% |
| 地域区分 | 嶺北・嶺南の2地域、17市町 |
| 財政力指数 | 0.398(3か年平均・令和3〜5年度) |
| 令和8年度一般会計当初予算 | 5,012億円 |
人口・世帯数は令和7年国勢調査(速報)、高齢化率は令和2年国勢調査および福井県人口ビジョン、財政力指数は総務省「令和5年度都道府県財政指数表」(3か年平均)による数値です。
数字から考えられる県政課題
福井県で最も重い構造的な課題は人口減少です。総人口は2000年の約82.9万人をピークに減り続け、令和7年国勢調査速報では約72.9万人と、令和2年から4.89%の減少となりました。しかも県内17市町すべてで人口が減っています。
生活の満足度が高い県でも、規模の縮小そのものは避けられていないという現実を、まず押さえておく必要があります。
あわせて見ておきたいのが世帯の変化です。1世帯あたりの人員は令和2年の2.63人から2.48人へと縮み、世帯数そのものはわずかに増えています。
人口が減る一方で世帯が小さくなっているということは、単身世帯や高齢者だけの世帯が増えているということです。行政サービスも、こうした暮らしの単位の変化を前提に考える必要があります。
たとえば面接では、福井県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
福井県の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 産業大分類別の売上金額は製造業が2兆2,347億円で最多(令和2年実績・令和3年経済センサス速報)。次いで卸売業・小売業が2兆2,065億円、医療・福祉が7,761億円。
- ものづくりが基幹。合成繊維を中心とする繊維工業に加え、電気機械(半導体・精密部品)、一般機械(繊維機械・工作機械)、化学工業などが集積する。
- 鯖江市を中心とする眼鏡枠づくりは国内生産の約9割を占める、福井を代表する地場産業。
- 農業はコシヒカリなど良質米が中心で、県産米のトップブランド「いちほまれ」の定着を進めている。
つまり、「繊維や眼鏡などものづくりの伝統に、原子力立地と新幹線という基盤が重なった県」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:福井県の産業)
ものづくり産業(繊維・眼鏡・機械)
福井は古くからの繊維産地であり、そこで培われた微細加工の技術が眼鏡や電子部品づくりへ広がってきました。鯖江の眼鏡枠は国内生産の大半を占め、素材や設計の技術力は海外でも評価されています。
面接で「福井の強み」を語るなら、産業があること自体ではなく、担い手の確保や高付加価値化という次の課題まで触れると、話に厚みが出ます。(出典:経済センサス活動調査(速報)|令和3年)
エネルギー(原子力の立地)
福井県は半世紀以上にわたり国のエネルギー政策に協力してきた立地県です。県内には15基の原子力発電所があり、全国の原子力発電量の約4分の1を担ってきました。県は「安全の確保」「地域住民の理解と同意」「地域の恒久的福祉の実現」という原子力行政三原則を基本方針に置いています。
近年は関西電力の拠出金も活用しながら、立地地域の医療の充実や避難道路の整備など、地域の恒久的福祉に向けた具体的な取り組みが進められています。
面接で原子力に触れる場合は、賛否を論じるより、この三原則や立地地域の将来像を理解していることを示すと、立地県ならではの理解の深さが伝わります。
農林水産業
コシヒカリを生んだ米どころであり、ブランド米「いちほまれ」の産地強化を進めています。冬の味覚として知られる越前がになどの水産物もあり、県は美浜町に園芸人材を育てる拠点を整備するなど、新規就農者の育成にも力を入れています。
面接では、農林水産業を「守る対象」としてだけでなく、ブランド化や担い手づくりで攻める分野として捉えると、前向きな志望動機につなげやすくなります。
観光業
令和7年の観光客入込数は2,144.3万人(前年比3.6%増)で過去最高、観光消費額も1,987億円(前年比31.3%増)と過去最高を更新しました。かつやま恐竜の森、氣比神宮、一乗谷朝倉氏遺跡、東尋坊、あわら温泉、永平寺など、性格の異なる観光地を県内に併せ持つのが特徴です。
一方で宿泊客は前年から減っており、日帰りに偏りがちな流れをどう宿泊や再訪につなげるかが課題です。
北陸新幹線敦賀開業の効果をどう持続させるかという話題は、面接でも問われやすいテーマです。(出典:福井県観光客入込数調査|令和7年)
福井県の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、福井県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
人口減少と少子高齢化
総人口は2000年の約82.9万人をピークに減少が続き、直近まで5回連続で前回調査を下回りました。国立社会保障・人口問題研究所の推計では2060年に約50.3万人まで減る見込みで、高齢化率も令和2年の30.6%から2040年には37.6%へ上昇するとされています。
子育て支援だけでなく、若者の定着、教育、雇用、地域交通、医療・介護人材までを関連付けて考える必要があります。(出典:令和7年国勢調査(速報))
北陸新幹線の効果を県内全域へ広げる
令和6年3月の敦賀開業で、県内を訪れる人の流れは活発になりました。次の焦点は、敦賀・新大阪間(小浜京都ルート)の全線開業の実現と、開業効果を敦賀や福井の駅周辺だけでなく、嶺南や奥越の中山間地域まで波及させることです。
県はスポーツや文化イベントの拠点となる福井アリーナの整備も、周遊と消費を県内全域へ広げる起爆剤と位置づけています。
産業の維持・高付加価値化と脱炭素
繊維や眼鏡などの地場産業では担い手の確保が課題で、県は企業の生産性向上や賃上げに取り組みやすい環境づくり、県営産業団地の整備による企業誘致を進めています。あわせて、原子力立地地域の将来像づくりや、脱炭素(ゼロカーボン)への対応も、産業競争力と両立させる形で求められています。
大規模災害・豪雪への備え
県内には福井平野東縁断層帯があり、マグニチュード7.6程度の地震が起こる可能性が指摘されています。1948年の福井地震の記憶もあり、地震への備えは重い課題です。
加えて、日本海側の気候による豪雪も見過ごせません。特に嶺北の奥越地域は積雪が多く、平野部でも大雪となることがあり、冬季の道路確保や集落の孤立防止が欠かせません。
近年増えているクマの人身被害への対応も含め、地域特性に応じた危機管理が求められます。(参考:福井平野東縁断層帯の長期評価)
地域間の状況の違い
同じ県内でも、都市機能が集まる嶺北と、原子力発電所が立地し新幹線の玄関口でもある嶺南とでは、産業も暮らしも大きく異なります。県の長期ビジョンは、地域ごとの取り組みを四つの地域に分けて整理しています。
| 地域 | 主な市町 | 特徴と課題のキーワード |
|---|---|---|
| 福井・坂井 | 福井市、坂井市、あわら市、永平寺町など | 県都機能の集積。一乗谷朝倉氏遺跡・東尋坊・あわら温泉・永平寺などの資源、福井平野の都市と農業 |
| 奥越 | 大野市、勝山市 | 中山間地域。かつやま恐竜の森など観光資源、豪雪への対応と人口減少・過疎 |
| 丹南 | 越前市、鯖江市など | 眼鏡・繊維・打刃物などものづくりの集積。地場産業の担い手確保と高付加価値化 |
| 嶺南 | 敦賀市、小浜市、美浜町、高浜町、おおい町、若狭町 | 原子力発電所の立地。北陸新幹線敦賀駅、リアス式海岸、氣比神宮、地域医療の充実 |
「取り組みたい仕事」を考えるときも、嶺北と嶺南のどちらの、どんな課題を想定しているのかまで具体化しておくと、回答に説得力が出ます。
福井県の重点政策|福井県長期ビジョン
福井県の総合計画は「福井県長期ビジョン[2025年改定版]」(令和2年策定・令和7年改定)です。基本理念に「『安心のふくい』を未来につなぎ、もっと挑戦!もっとおもしろく!」を掲げ、2040年を展望する将来構想と、2025年度から2029年度までの具体策を示す実行プランによって構成されています。(出典:福井県長期ビジョン)
計画を貫く考え方
実行プランが掲げる基本方向は「とんがろう、楽しもう、ふくい」です。2040年の目指す姿として「自信と誇りのふくい」「誰もが主役のふくい」「飛躍するふくい」の三つを描き、基本目標に「しあわせ先進モデル」と「活力人口100万人ふくい」を据えています。
受験生としては、次のような具体像で理解しておくとよいでしょう。
- こども・若者や子育て世代から「選ばれるふくい」を目指す「次世代ファースト戦略」で、人口減少に正面から向き合う
- 北陸新幹線の効果を県内全域へ波及させ、まちに活気を生む
- 国籍・年齢・障がいの有無にかかわらず個性を発揮できる、寛容性の高い共生社会をつくる
- 全国トップクラスの暮らしの満足度を守り、さらに高める
五つの分野別政策
| 分野 | 扱う主な分野 |
|---|---|
| 個性を伸ばす(人材力) | 教育、人づくり、共生社会、こども・子育て「ふく育県」 |
| 成長を創る(産業力) | 農林水産業、創業・新事業、産業革新、世界のふくいファン拡大 |
| 楽しみを広げる(創造力) | 北陸新幹線効果の最大化、交流基盤、移住・定住、文化芸術・スポーツ |
| 住みやすさを高める(地域力) | 健幸文化、医療・介護・福祉、環境、防災・治安 |
| ともに進める(総合力) | 「チームふくい」の行政運営、広域連携 |
面接では、自分の取り組みたい仕事がどの分野に位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
令和8年度の県政運営のポイント
令和8年度の一般会計当初予算は5,012億円です。ハラスメント防止条例の制定、北陸新幹線敦賀・新大阪間の整備促進、原子力の安全確保と立地地域の振興、令和10年開業を目指す福井アリーナ、こども・子育てを応援する「ふく育県」、デジタル地域通貨を活用した物価高騰対策、県営産業団地による企業誘致、外国人との「秩序ある共生社会」づくりなどが柱に据えられました。
県税収入は1,387億円、地方交付税は1,383億円で、県債残高は5,855億円、財政調整基金の残高は168億円と、いずれも行財政改革アクションプランの目標を達成する見込みとされています。(出典:知事提案理由説明|令和8年2月)
POINT|18の政策をすべて暗記しなくてよい
名称をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「福井の観光を盛り上げる仕事がしたいです」
改善例「新幹線で福井を初めて訪れた方に、嶺南や奥越まで足をのばしてもらえるよう、日帰りに偏りがちな流れを宿泊や再訪につなげる仕事に携わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 福井県職員採用試験の受験案内/採用ポータルサイト
- 福井県長期ビジョン[2025年改定版](概要版)
- 最新年度の当初予算・知事提案理由説明/関心分野の個別計画
- 福井県の統計(人口・産業・観光などを分野別に収録)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、福井県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。福井県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」、「質問の意図」、「回答のコツ」、「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
福井県の面接の概要
ここからは、福井県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
福井県の面接の流れ
福井県のⅠ種試験(通常募集・大学卒業程度)は第1次試験と第2次試験の2段階で行われ、最終合格は第1次と第2次の総合成績で決まる、人物試験の比重が大きい試験です。
| 項目 | 内容(令和8年度・Ⅰ種試験〈行政〉) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験(教養試験・専門試験)→ 第2次試験(論文試験・口述試験・適性検査) |
| 口述試験(人物試験)の種類 | 集団討論および個別面接の両方を実施。人柄・性格・職務遂行能力等をみます |
| 論文試験 | 県政の課題に対する理解度・思考力・表現力を問う記述式(70分) |
| 配点 | 教養試験100点+専門試験200点+論文試験100点+口述試験400点(合計800点満点) |
| 適性検査 | オンライン受検 |
| 外国語資格加点 | 行政区分は英語資格(TOEIC730点以上など)保有者に第2次試験の総合得点へ20点を加点 |
注目してほしいのは配点の偏りです。合計800点のうち、口述試験だけで400点と、全体の約半分を人物試験が占めます。しかもその口述は、個別面接だけでなく集団討論も含みます。
用意した答えを言えるかどうかではなく、他者と議論しながら、掘り下げられても自分の言葉で答え続けられるかが問われる構造だと言えます。
上記の試験構成は、福井県人事委員会の令和8年度Ⅰ種試験(通常募集)試験案内にもとづく行政区分のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(参考:令和8年度Ⅰ種試験(通常募集)試験案内)
福井県が求める人物像
福井県は、本記事作成時点で確認した令和8年度Ⅰ種試験(通常募集)の試験案内には、明確な「求める人材像」を条文の形では掲げていません。そこで参考になるのが、県の総合計画が示す方向性です。
長期ビジョンは、「もっと挑戦!」というチャレンジの姿勢、徹底現場主義による「県民主役」の県政、多様な個性を認め合う共生社会を重視しています。
面接でも、こうした価値観に沿って「自分から動いた経験」や「相手の立場に立って考えた経験」を語れると、県の目指す方向と自然に重なります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。福井県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ本県を志望するのですか? | 「県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 過去の行動パターンから、入庁後にも再現できる強みを確かめています |
| ⑤ 学業・経歴 | 専攻分野を選んだ理由を教えてください | 自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、どんな職員になっていたいですか? | 働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、気になっている社会問題はありますか? | 社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点 |
ただし、この7カテゴリーは福井県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「福井県ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「福井県ならでは」の質問
どちらも、福井県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「福井県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい福井県の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口減少 | 令和7年国勢調査速報で総人口は約72.9万人。令和2年から4.89%減で、直近まで5回連続の減少。県内17市町すべてで減少した | 「暮らしの満足度が高い県でも人口は減っている」という事実を出発点にすると、満足度と規模の維持は別問題だという課題認識を示せます |
| 北陸新幹線 | 令和6年3月に金沢・敦賀間が開業。敦賀・新大阪間は小浜京都ルートで整備を要望中。令和7年の観光消費額は約1,987億円で過去最高 | 開業を「ゴール」ではなく「通過点」と捉え、嶺南や中山間まで効果を広げる視点を添えると、県全体を見ている姿勢が伝わります |
| エネルギー・原子力 | 県内に15基の原子力発電所が立地し、全国の原子力発電量の約4分の1を担う。県は原子力行政三原則を基本方針に置く | 賛否を論じるより、「安全の確保」と「地域の将来像」を両立させる県の立場を理解していると示すと、立地県ならではの理解の深さが伝わります |
| 地場産業 | 鯖江市を中心とする眼鏡枠づくりは国内生産の約9割。繊維や機械なども集積するものづくりの県 | 「強い産業がある」で終えず、担い手不足や高付加価値化という次の課題まで触れると、産業振興の話に厚みが出ます |
| 幸福度と若者の定着 | 都道府県の幸福度ランキングで全国トップクラス。一方で若い世代の県外流出が人口減少の一因で、県は「選ばれるふくい」を掲げる | 自分が福井で働き続けたい理由を、暮らしの実感と結びつけて語れると、定住の当事者としての説得力が生まれます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の県が重視する価値観に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
福井県では集団討論も課されるため、個人の経験に加えて、話し合いの中での関わり方も見られます。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 挑戦する姿勢 | 自分から動いた経験、失敗しても工夫して続けた経験があるか | 福井県が掲げる「もっと挑戦」の空気に沿って、うまくいったかどうかより、自分が一歩を踏み出した理由と、その経験から変えられたことを語れるよう整える |
| 県民目線・現場感覚 | 相手の立場で考えた経験、困っている人にどう関わったか | 身近な場面で相手に合わせて動いた経験を、県民主役の県政という視点に接続して言葉にする |
| 協働する力 | 集団討論で、意見の違う相手とどう合意を作ろうとするか | 役割を押しつけず、相手の意見を引き出しながら結論に近づけた経験を用意しておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 令和8年度の受験案内を読み、試験の全体像と提出書類、外国語資格加点の要件を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習する。福井県は集団討論もあるため、一人で答える練習に加えて、意見の違う相手に自分の考えを伝える練習も取り入れる
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学で、できるだけ短い時間で仕上げたい場合は、福井県庁に特化した面接想定問答集という選択肢もあります。
福井県の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
福井県のⅠ種試験は、合計800点のうち400点、つまり全体の半分を口述試験が占めます。しかもその口述は、個別面接だけでなく集団討論も含み、一人で用意した答えを述べる力と、人と考えを交わしながら自分の言葉で伝える力の両方が試されます。
自治体研究で得た「福井の事実」は、暗記の材料としてではなく、あなた自身の経験や問題意識と結びつけて初めて力になります。
この記事で押さえた事実を出発点に、あなたが福井県で何をしたいのかを、集団討論でも個別面接でも動じずに語れるよう、準備を進めてください。