本記事では、大阪市職員採用試験の面接対策で必要な、大阪市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
大阪市役所の面接試験では、「なぜ大阪市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。
第2部の試験情報は、令和8年度の事務行政(22-25)[大学卒程度]を軸に整理しています。試験を実施するのは大阪市人事委員会で、大阪府人事委員会が行う府職員の試験とは、区分の立て方も申込みの窓口も切り離されています。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と大阪市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
大阪市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは大阪市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 大阪府の府庁所在地であり、24の行政区で構成される政令指定都市。昭和31年9月に大阪・横浜・名古屋・京都・神戸の5市がそろって政令指定都市となり、府からの事務の移譲は同年11月に始まった。
- 住民基本台帳による人口は2,798,782人(令和8年1月1日現在)。政令指定都市では横浜市に次ぐ規模で、大阪府の人口のおよそ3割が市域に集まっている。
- 市域は225.34km²と政令指定都市のなかでは狭く、豊中市・吹田市・東大阪市・堺市など10市と、兵庫県尼崎市に接する。
- 市内の民営事業所数は227,520事業所で、東京都区部に次ぐ多さ(令和3年経済センサス‐活動調査)。
- 大阪港は夢洲に高規格のコンテナターミナルを持ち、世界の主要港と月およそ300便の定期コンテナ航路で結ばれる(令和8年3月時点の公表値)。
- 夢洲で2025年に開かれた大阪・関西万博は閉幕済みで、累計来場者数は約2,902万人だった。同じ夢洲では、2030年秋頃の開業をめざす統合型リゾート(大阪IR)の整備が進んでいる。
- 令和8年度の市政運営は、市民サービスの充実・府市一体による成長・新たな自治の仕組み・市政改革の4つを柱に据えている。
大阪市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「大阪市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
大阪市の数字は、府全体のなかでどれだけの塊を占めるかという外向きの見方と、24区の内側でどこまで振れるかという内向きの見方の、両方で持っておくと使い勝手が上がります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 2,798,782人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) |
| 65歳以上の割合 | 24.0%(大阪府全体は26.8%) |
| 75歳以上の割合 | 14.4%(大阪府全体は16.4%) |
| 65歳以上の割合(区別の最高・最低) | 西成区33.7%が最高、中央区14.2%が最低 |
| 75歳以上の割合(区別の最高・最低) | 西成区20.2%が最高、中央区7.6%が最低 |
| 行政区数 | 24区(北・都島・福島・此花・中央・西・港・大正・天王寺・浪速・西淀川・淀川・東淀川・東成・生野・旭・城東・鶴見・阿倍野・住之江・住吉・東住吉・平野・西成) |
| 総面積 | 225.34km²(令和7年1月1日現在) |
| 人口密度 | 約12,420人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 総世帯数 | 1,593,943世帯(令和8年2月1日現在の市推計人口) |
| 市役所所在地 | 大阪市北区中之島一丁目3番20号 |
総人口と、65歳以上・75歳以上の割合、区ごとの最高値と最低値は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の集計によります。並記した大阪府全体の値も同じ集計から取っているため、市と府はそのまま突き合わせられます。総面積は大阪市の公表値、総世帯数は同市が国勢調査を基準に算出する推計人口の値で、住民基本台帳とは調査の系列が違います。人口密度は、系列をそろえるために住民基本台帳の人口を総面積で割って算出しました。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
数字から考えられる市政課題
人口の総数だけを見れば、大阪市はいまも増えている側の都市です。ただし増減の要因を分けると、景色が変わります。
令和6年の自然動態は16,329人の減少(出生18,441人・死亡34,770人)で、令和3年以降は1万人を超える自然減が続いています。これを37,716人の社会増(転入237,996人)が上回った結果が、現在の増加です。(出典:大阪市推計人口(年報)の概要|令和6年10月1日現在)
市自身の将来推計も、人口は令和7年頃をピークに緩やかな減少に向かい、生産年齢人口は2050年に150万人を下回ると見込んでいます。加えて、市域で働き学ぶ人を含む昼間人口は平成7年以降、減少の傾向が続いていると公式資料が示しています。
転入で支えられている増加だからこそ、その勢いが弱まった先を市が先回りして見ている、という構図です。(出典:大阪市における人口動向及び将来推計(概要版)|令和7年3月)
そしてもうひとつ、24区の内側の差は大阪市を語るうえで外せません。65歳以上の割合は西成区の33.7%が最も高く、中央区の14.2%が最も低い。その差は19ポイントを超えます。
75歳以上に絞ると西成区20.2%に対して中央区7.6%で、2.6倍を超える開きです。同じ市の同じ制度でも、区が変われば必要とされる量も届け方も変わります。
たとえば面接では、次のように数字を暮らしの場面へつなげて話せます。
大阪市の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 市内の民営事業所数は227,520事業所、従業者数は2,308,581人(いずれも令和3年経済センサス‐活動調査)。
- 産業別で最も多いのは卸売業・小売業で、44,879事業所・527,474人(従業者の22.8%)。内訳は卸売業311,168人・小売業216,306人。
- 製造業は14,860事業所・191,643人で、事業所数では2番目に多い産業。
- 令和7年度当初予算の規模は一般会計2兆309億円、全会計3兆6,118億円。
- 令和6年度決算に基づく健全化判断比率は、実質公債費比率0.1%(前年度0.9%)、将来負担比率は該当なし。4指標とも早期健全化基準を下回る。
ここから読み取れるのは、大阪市の雇用が、ものを作る仕事より売る仕事、なかでも卸売の厚みに支えられているという構造です。卸売業だけで31万人を超え、製造業の19万人を大きく引き離しています。
面接で産業や中小企業支援を語るなら、ものづくりの情景から入るより、商いの現場に集まる人の数から入るほうが、この市の輪郭に合います。(出典:大阪の経済(経済センサス‐活動調査ほか)|令和3年)
大阪港と物流
大阪港は、夢洲に水深15メートルから16メートル・岸壁延長1,350メートルの高規格コンテナターミナルを備え、世界の主要港と月およそ300便の定期コンテナ航路で結ばれています。背後には近畿圏の約2,000万人という生産・消費圏が広がり、都心からの距離はおよそ10キロメートル。
都心のすぐ隣に外貿港があるという配置は、物流だけでなく、災害時の物資輸送や臨海部のまちづくりを語るときの土台にもなります(数値は大阪港湾局が令和8年3月時点で公表する資料によります)。
万博の閉幕と、夢洲のその次
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)は2025年4月13日から10月13日まで夢洲で開かれ、閉幕しています。累計来場者数は29,017,924人(うちAD証入場者3,438,938人)でした。面接で気をつけたいのは時制です。開催を控えた出来事として語れば、それだけで情報が古いと分かります。市政の現在地は成果をどう引き継ぐかにあります。(参考:2025年日本国際博覧会 来場者数の実績|2025年10月)
跡地となる夢洲第2期区域では開発の取組が進み、同じ夢洲で2030年秋頃の開業をめざす統合型リゾート(大阪IR)の整備も動いています。初期投資額は約1兆5,130億円、年間来訪者は約2,000万人が見込まれる規模です。
臨海部を志望分野に選ぶなら、この2つが同じ島の上で連続していることを押さえておきましょう。
インバウンドと観光
2024年(令和6年)の来阪外国人旅行者数(クルーズ客を除く)は14,093,602人でした。国籍・地域別では中国、韓国、台湾、米国が上位を占めます。ただしこの数値は大阪府を訪れた人の推計であり、大阪市単独の入込客数ではありません。
観光を語るときは、この数字を市の実績として言い切らず、圏域全体の来訪をどう市内の消費と雇用につなげるかという視点に置き換えるほうが安全です。
大阪市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、大阪市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
増加から減少への転換を見据えた施策
大阪市の公式資料「大阪市における人口動向及び将来推計」(令和7年3月)は、今後の施策検討の留意点として、近い将来の人口増加から減少への転換を見据えた施策展開、出生数の減少抑制、外国人住民の増加に対応した多文化共生の3点を挙げています。
人口が増えている今のうちに、減り始めた後に効く手を打っておくという時間の使い方です。増えている最中の市がなぜ減少の話をしているのか。その理由を一言で言えるかどうかが、この市の自治体研究の到達点のひとつです。
24区で異なる高齢化の進み方と世帯の小規模化
65歳以上の割合は西成区33.7%から中央区14.2%まで開き、75歳以上でも西成区20.2%と中央区7.6%の差があります(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。あわせて、1世帯当たり人員は令和6年10月1日現在で1.79人(令和5年の1.81人から減少)と、単身・小規模世帯化が進んでいます。
市は各区の実情に即した特色ある施策を区長の責任と権限のもとで展開する「ニア・イズ・ベター」を徹底する方針を掲げており、なかでも西成区では「西成特区構想」のもとで子育て・教育環境の創出や駅周辺のまちづくりが進められています。
大規模地震への備え
大阪市の想定被害は、2つの地震で性格が異なります。上町断層帯地震はマグニチュード7.5から7.8・震度5強から7で、建物被害(全壊と半壊の合計)は約27.7万棟、死者数は約8,500人(平成18年度想定)。
南海トラフ巨大地震はマグニチュード9.0から9.1・震度5強から6弱で、建物被害は約29.6万棟、帰宅困難者は市合計で約86.57万人(平成25年度想定)です。
市の公表資料は南海トラフの死者数について、早期避難率が低い場合は119,565人、避難の迅速化が図られた場合は8,097人としています。避難行動が変わるだけで想定が1桁動くという点が、この数字の読みどころです。(出典:大阪市 想定被害の概要(危機管理室))
府市一体の行政運営と副首都・大阪
令和8年度の市政運営の考え方は、「大阪市及び大阪府における一体的な行政運営の推進に関する条例」に基づいて府市間で統合した機関等の機能強化を進めること、東西二極の一極として平時の成長と非常時の首都機能のバックアップを担う「副首都・大阪」の実現をめざすことを掲げています。関西広域連合の一員として国の出先機関の移管を求める姿勢や、地方分権型道州制をめざす旨も並びます。
定番質問「なぜ府庁ではなく市役所なのか」に答えるときは、府と市を対立させて語るのではなく、この一体運営の枠組みがあるうえで、市の側で担いたい仕事は何かという順で組み立てるほうが答えやすくなります。
万博後の成長戦略と持続可能な行財政基盤
市は万博のレガシーを継承する新たな成長戦略「Beyond EXPO 2025」を府と共有し、夢洲やうめきた2期を舞台とする大阪スマートシティ戦略、脱炭素の「ゼロカーボン おおさか」、国際金融都市づくりなどを並行して進めています。
同時に、「新・市政改革プラン」に基づく市政全般の改革や官民連携の推進が「未来へつなぐ市政改革」として位置づけられています。大型の成長政策と、内側の改革が同じ年度の同じ方針に並んでいるのが、いまの大阪市の姿です。
大阪市の重点政策|大阪市基本構想と令和8年度の市政運営
大阪市には、多くの市が持つ「総合計画」という名称の計画がありません。市政の方向を定める基本的な考え方として最上位に置かれているのが「大阪市基本構想」で、年度ごとの実行方針は「市政運営の基本的な考え方」が担っています。
この二層構造は、志望先の計画体系を聞かれたときにそのまま説明できる知識です。(出典:大阪市基本構想)
基本構想が掲げる将来像
基本構想がめざすのは、「大阪はええとこや」と、みんなが誇りをもって言えることだと書かれています。そのうえで、①アジア交流圏の拠点として都市の活気にあふれる大阪 ②人が集まり、育ち、新しいものを生み出す大阪 ③暮らしたい、訪れたい、魅力あふれる大阪、という3つの都市像を掲げています。
交流の結節点としての歴史、商都として蓄積された産業と文化、自治・自律の精神という3つの資産を、それぞれ将来像に読み替えた構成です。
抽象度の高い文書なので、面接では丸ごと引用するより、自分の志望分野がどの都市像に乗るかを決めて使いましょう。
令和8年度の市政運営のポイント
年度ごとの方針にあたるのが「令和8年度 市政運営の基本的な考え方」(令和7年9月の戦略会議資料)です。ここで示されためざす姿は、一人ひとりが多様な幸せ(ウェルビーイング)を実感でき、誰もが安心していつまでも住み続けたいと思う「にぎやかで活気あふれるまち大阪」の実現です。
日本一の子育て・教育サービス、重大な児童虐待ゼロ、地域による「自らの地域のことは自らの地域が決める」協働、万博レガシーの継承、副首都・大阪、持続可能な行財政基盤という順で具体化されています。(出典:令和8年度 市政運営の基本的な考え方|令和7年9月)
| 4つの柱 | 扱う主な分野 |
|---|---|
| 1 市民サービスの充実 | 子育て・教育環境の充実(保育無償化、習い事・塾代助成、児童虐待防止体制)、福祉と健康(特別養護老人ホームの整備、認知症施策、多文化共生、防犯)、各区の特色ある施策、行政サービスのDX |
| 2 府市一体による大阪の成長の実現 | 万博レガシーの継承と成長戦略、夢洲の統合型リゾートと第2期区域、スマートシティ、脱炭素、国際金融都市、都市インフラ(うめきた2期・なにわ筋線ほか)、防災力の強化 |
| 3 新たな自治の仕組みの構築 | 副首都・大阪の実現、府市一体を核にした行政体制の整備、首都機能バックアップ、地方分権改革 |
| 4 未来へつなぐ市政改革 | DXの推進、官民連携、業務改革、働き方改革、ニア・イズ・ベターの徹底、持続可能な行財政基盤の構築 |
市政の運営は、このほかに「大阪市未来都市創生総合戦略」「副首都ビジョン」「新・市政改革プラン」「Re-Design おおさか(大阪市DX戦略)」といった個別の指針を組み合わせて進められています。名称を全部覚える必要はありませんが、ひとつの総合計画ではなく複数の指針を束ねて動かしているという組み立て方は理解しておきましょう。
POINT|4つの柱をすべて暗記しなくてよい
名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「大阪市の子育て支援に携わりたいです」
改善例「第2子の保育料を無償にする取組と、家で子育てをしている方への支援を、どちらも広げていく方針だと知りました。制度を作る前に、まずは窓口で申請を受ける側に立ちたいです。そこで使いにくいと言われた点を持ち帰って直していく仕事に関わりたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
大阪市の公表資料は所管する部局ごとに散らばっていて、順番に追いかけると時間だけが減っていきます。次の4つに絞って開き、志望分野に触れる箇所だけを、人に説明できる言葉に直しておきましょう。
- 大阪市人事委員会が公表する採用試験要綱(自分が受ける試験区分の最新年度版)と、職員採用のポータル
- 大阪市基本構想と、最新年度の「市政運営の基本的な考え方」
- 志望分野に関わる個別の計画・戦略(子育て、DX、防災、成長戦略など)
- 大阪市の統計ページ(推計人口、経済センサスの市集計、当初予算と決算の資料)
いずれも年度が替われば中身が入れ替わります。前年の版で覚えた数字をそのまま話さないよう、受験する年の版で確かめ直してください。
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、大阪市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。大阪市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
大阪市役所の面接の概要
ここからは、大阪市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
大阪市役所の面接の流れ
令和8年度に大阪市人事委員会が行う採用試験は、事務行政(18-21)、事務行政(22-25)、事務行政(26-34)に加え、技術系の各区分や社会福祉、消防吏員、保育士など21区分にわたります。
以下で扱うのは、そのうち大学卒程度にあたる事務行政(22-25)です。採用予定者数は200名程度と示されています。
この区分の要綱を読んで、まず確かめておきたいのは次の2点です。ひとつは、試験が第1次・第2次の2段階で完結し、第3次試験が置かれていないこと。もうひとつは、試験種目ごとの配点や満点が要綱に書かれておらず、配点が公表されていないことです。
何点取れば通るかを逆算する材料はありません。筆記で貯金を作って面接の不安をそこで補う、という組み立て方ができないということです。どの種目も基準を割らないという構えで臨むことになります。
| 項目 | 内容(令和8年度・事務行政(22-25)[大学卒程度]) |
|---|---|
| 実施主体 | 大阪市人事委員会(事務局は行政委員会事務局任用調査部任用調査課) |
| 段階構成 | 2段階。第1次試験 → 第2次試験。第3次試験は設定されていません |
| 第1次試験 | 適性試験(SPI3・ペーパーテスティング方式・約1時間10分・能力検査のみ。言語的理解力、数的処理能力、論理的思考力などを問う)と、筆記試験(1時間30分)の2種目 |
| 筆記試験の選択制 | 「論文(行政)」「論文(デジタル)」「択一式(法律)」から申込時に1つを選択。受付期間の終了後に選択区分を変更することはできません |
| 択一式(法律)の内容 | 憲法、民法、行政法、刑法、政治学・行政学、社会事情から30問中25問を選択解答 |
| 第2次試験 | 口述試験。個別面接を行います(要綱に集団面接・集団討論の記載はありません) |
| 提出書類 | 第1次試験の合格者が、口述試験の参考資料とするための「面接カード」を提出します |
| 配点 | 試験種目ごとの配点・満点の記載はなく、非公表。合格者は第1次・第2次とも「結果を総合的に判定して決定」と規定されています |
| 採用予定者数 | 200名程度 |
注意したいのが第1次試験の順序です。適性試験の得点が一定の基準に満たない場合は不合格となり、そのときは筆記試験の採点自体が行われません。
論文や択一でどれだけ書けていても、SPI3の側で基準を割れば読まれないということです。また申込みは大阪市行政オンラインシステムから行い、同一日に第1次試験を実施する区分は1つしか申し込めません。
区分選びが最初の判断になります。面接カードを書くのは第1次試験に受かってからで、第2次試験の日時や場所を含む詳細も、その合格発表日に市のホームページで示されます。
合格を見てから材料を探し始めては間に合いません。面接カードに書く出来事は、筆記の勉強と並行して選んでおくものと考えてください。(出典:大阪市職員採用試験要綱 事務行政(22-25)|令和8年度)
年齢の区分が上がる事務行政(26-34)は採用予定者数50名程度で、第1次試験が適性試験(SPI3)と企画論文(1時間・「行政」か「デジタル」の選択制)、第2次試験が口述試験(個別面接)という組み立てです。企画論文の「行政」については、論理的思考力や企画力を問うものであり法律などの専門知識を必要としない旨が要綱に明記されています。
どちらの区分でも、人物を確かめる場は個別面接の1回に集約されています。その日に出しきれなかった材料は、そのまま出されずに終わると考えて準備してください。
上記の試験構成は、大阪市人事委員会が公表する令和8年度の事務行政(22-25)[大学卒程度]および事務行政(26-34)[大学卒程度]の採用試験要綱にもとづくものです。技術系・福祉系・消防吏員などの区分は別の要綱で示されており、段階構成や試験種目が異なります。なお、前年度以前の要綱ページは新年度版の公表後に削除されることがあります。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性がありますので、受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
大阪市役所が求める人材像
大阪市の採用試験要綱は、冒頭に大阪市が求める人材像を掲げています。事務行政(22-25)と事務行政(26-34)で同じ文言が置かれており、その内容は「高い志を持ち、多様な価値観を理解し、チャレンジ精神あふれる自律的な人材」です。
試験の入口に書かれている言葉なので、面接での評価の起点はここだと考えて差し支えありません。
もっとも、この一文をなぞるだけでは面接で話す中身は出てきません。手がかりは、同じ要綱の別の場所にあります。
事務行政(22-25)の職務内容として書かれているのは、区役所・市長部局・各行政委員会の事務局等における企画・立案、事業執行、窓口応対、庶務・管理業務などの一般行政事務で、所管事業としてDX推進、広報・広聴、地域振興、防災、観光、産業、文化、社会福祉、子育て、まちづくり、環境、教育、戸籍・住民登録、保険年金、税務までが例示されています。
200名程度をまとめて採用し、24区と多数の部局へ配していく組織で、これだけ性格の違う仕事を並べているということは、配属先で担当する制度も相手も読めないということでもあります。当研究会は、こうした環境では、旗を振る役を引き受けた経験より、話の通じない相手を含めて段取りを組み直した経験のほうが伝わりやすいと考えています。
「チャレンジ精神」という語も、目新しい発想を求めるものと読む必要はないでしょう。所管事業がこれだけ広ければ、担当が変わるたびに一から覚え直す場面は避けられません。
前例のない相談を持ち込まれたときに、まず引き受けて調べにいけること。それが実務に引き寄せたときのこの語の姿だと考えられます。
面接カードに書く出来事は、もともと自分が持っている材料を、この職場で通じる順番に並べ替えたもので足ります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。大阪市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はここまで、迷わずに来られましたか? | 用意した原稿の口調のまま入っていないか。面接カードを書いたときの緊張が、そのまま声に残っていないか |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく、なぜ大阪市役所なのですか? | 企業の集積する市で就職先を選んだ筋道が、自分の経歴とつながっているか |
| ③ 自己理解 | ご自身の短所は何だと考えていますか? | 自分を客観視できているか。短所を認めたうえで、その付き合い方まで語れるか |
| ④ 経験・行動 | 周囲の人を巻き込んで何かを進めた経験を教えてください | 誰と誰の言い分が食い違い、どう手を分け、いつまでに何を終えたか。関係者を動かした手順の具体 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に、いちばん時間をかけて取り組んだ勉強は何ですか? | 調べ方や進め方まで説明できるか。戸籍から税務まで並ぶ所管事業のどれに当たっても、覚え直せる学び方が身についているか |
| ⑥ 適性・将来 | 希望された分野に配属されなかったとしたら、どうしますか? | 要綱に並ぶ所管事業の幅をどこまで想像できているか。区役所の窓口から市長部局の企画まで、どこでも自分の話が立つか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 大阪市に関する報道で、印象に残っているものはありますか? | 夢洲の跡地活用のように現在進行形の話題を、終わった話や未来の話と取り違えずに言えるか |
もっとも、この7つは大阪市の試験に固有のものではありません。受験者の多くが同じ枠で準備してくるため、ここでの仕上がりは横並びになりやすいところです。
分かれ目は、次に挙げる大阪市固有の問いのほうにあります。
合否を分けるのは「大阪市役所ならでは」の質問
1問目は、大阪市を受けるなら避けて通れない問いです。府市一体の行政運営や副首都・大阪の実現は、市が自ら市政運営の柱に掲げている現在進行形のテーマだからです。
2問目は、答えの半分が誰にでも言える街の魅力で埋まりやすく、課題をどこまで具体に言えるかで差がつきます。
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「大阪市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい大阪市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ府庁ではなく市役所か | 市政運営の考え方は、府市一体の条例に基づく機関の機能強化と、副首都・大阪の実現を柱に掲げる。一方で市は、区長の責任と権限のもとで各区の実情に即した施策を展開する「ニア・イズ・ベター」も徹底する方針 | 対立の構図で語らないことが第一です。府と市が一体で動かす枠組みがあると認めたうえで、区という単位で市民に接する側を選んだ理由を、志望分野の具体で示します |
| 人口の現在地 | 住民基本台帳の人口は2,798,782人(令和8年1月1日現在)。令和6年は自然減16,329人を社会増37,716人が上回った。市の推計では令和7年頃をピークに減少へ向かい、昼間人口は平成7年以降減少傾向 | 増えているという事実だけで話を終えないことです。増加分が転入で作られていること、市自身が転換を留意点に挙げていることまで、ひと続きで言えるようにしておきます |
| 市の計画体系 | 「総合計画」という名称の計画はなく、最上位が「大阪市基本構想」(3つの都市像)、年度方針が「市政運営の基本的な考え方」(めざす姿は「にぎやかで活気あふれるまち大阪」・4つの柱) | 計画名を暗唱しても評価にはつながりません。自分のやりたい仕事が3つの都市像のどれに重なり、4つの柱のどれで実行されるのかを、先に決めておきましょう |
| 防災・危機管理 | 上町断層帯地震はマグニチュード7.5から7.8で死者約8,500人・建物被害約27.7万棟(平成18年度想定)。南海トラフ巨大地震は建物被害約29.6万棟・帰宅困難者約86.57万人(平成25年度想定)で、死者は早期避難率が低い場合119,565人、避難の迅速化で8,097人 | 棟数や人数を並べるだけでは印象に残りません。避難行動の差で死者の想定が1桁動くという読み方を示し、その差を縮める側に立つ職員として何ができるかまで言い切ります |
| 大阪市の魅力と課題 | 民営事業所数227,520(令和3年経済センサス‐活動調査)は東京都区部に次ぐ多さで、卸売業・小売業の従業者は52万人を超える。一方、65歳以上の割合は、令和8年1月1日現在の住民基本台帳で西成区33.7%から中央区14.2%まで区によって大きく異なる | 外に向けた厚みを挙げたら、そのまま区ごとの差という内側の話へ折り返します。外へ見せる顔と、内側に抱える偏りを続けて出せば、まちの紹介では終わりません |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、要綱の冒頭に掲げられた「大阪市が求める人材像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 高い志(求める人材像) | 志望の動機が待遇や安定の話で止まっていないか。何を良くしたくて市役所を選んだのか | 要綱の所管事業は戸籍・住民登録から成長戦略まで並びます。そのうちどれに手を伸ばしたいのかを、自分が見聞きした出来事と結び付けて言えるようにする |
| 多様な価値観の理解(求める人材像) | 考え方や立場の違う相手に、どう向き合ったか。すぐに理解できなかった相手をどう扱ったか | 市は外国人住民の増加に対応した多文化共生を施策の留意点に挙げています。違いを前提に人と関わった場面を1つ選び、そのとき自分の側が何を変えたかまで話せるようにする |
| チャレンジ精神(求める人材像) | やり方が決まっていない場面で、自分から動き出したか。行き詰まったときに何を手放して何を残したか | 結果の華やかさより、着手を決めた理由と、途中で切り替えた判断を具体的に言えるようにする |
| 自律性と巻き込む力(当研究会の見立て) | 指示待ちにならずに手順を組み立てられるか。関係する人をどう動かしたか | 配属先が読めない前提で、相手が入れ替わっても回した経験を選ぶ。誰にいつ何を頼み、断られたときにどう組み直したかまで思い出しておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
大阪市は人物を見る場が口述試験の1回きりなので、限られた時間のなかで同じ話題を掘り下げられると考えておきましょう。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておいてください。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 受ける区分の採用試験要綱を最新年度版でそろえ、第1次試験の筆記で「論文(行政)」「論文(デジタル)」「択一式(法律)」のどれを選ぶかを決める。申込み後に変更はできず、同じ日に第1次試験がある区分は1つしか出願できないため、ここが最初の分岐になります。択一式を選ぶなら法律科目の積み上げが要り、論文を選ぶなら第1部で集めた市政の材料が筆記と面接の両方で効きます
- 適性試験(SPI3)の能力検査を、勉強の初期に一度通しで解いておく。ここで基準を割ると筆記は開かれないまま終わるため、直前に回してよい種目ではありません
- これまでの学業・課外活動・アルバイト・職務経験を書き出し、そのなかから、自分で始めたこと、意見の合わない相手と最後まで進めたこと、途中で投げずに続けたことを1件ずつ選ぶ
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の第1部へ戻り、志望分野に近い大阪市の事実を2つか3つ拾って、手元の資料を閉じたまま声に出して説明してみる
- 固有質問の対応表から材料を取り、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」の一続きの話に編む。面接カードには、ここで固めた内容とずれないように書き起こす
優先順位に注意
自治体研究にあたるステップ5と6は、他の受験生に差をつけるための工程です。時間が足りないなら、適性試験の手応えを測るステップ2と、経験を選び出すステップ3を先に終わらせてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、大阪市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
大阪市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
事務行政(22-25)[大学卒程度]の試験は、第1次と第2次の2段階で終わり、人物を確かめる口述試験は個別面接だけです。配点は公表されていませんから、何点取れば通るかを逆算することはできません。
できるのは、適性試験で基準を割らないこと、選んだ筆記を仕上げること、そして面接カードに書いた出来事を掘り下げに耐える形にしておくことです。
転入に支えられて増えてきた280万人の市が、これから減少へ向かう局面で何をしようとしているのか。区によって3割台から1割台まで開く高齢化の差の前で、自分は何を担いたいのか。
この2つを自分の言葉で言えるようになったとき、大阪市の口述試験で聞かれることの多くは、すでに手元にそろっているはずです。