浜松市役所では、第Ⅰ類行政職員など、多様な学歴・経歴に応じた試験区分・試験科目を設けて職員を採用しており、その中でも論文・作文試験は、人物評価に直結する極めて重要な試験です。本記事では、浜松市役所の論文・作文試験の概要、出題傾向、過去問などを網羅的にまとめた上で、効率的な対策方法を詳しく解説します。
論文・作文試験の概要
受験区分ごとの試験形式・文字数・試験時間
以下は、浜松市役所で実施されている各区分における論文・作文試験の実施条件です。
区分 | 形式 | 試験時間 | 文字数 |
---|---|---|---|
大学卒業程度 | 小論文 | 60分 | 800字 |
論文・作文試験の過去問
以下に、浜松市職員採用試験の論文・作文試験の過去問を年度・区分別に整理します。
論作文試験の過去問・例題は近年非公開。
第1類行政職員
- 問題形式:小論文
- 試験時間:60分
- 文字数:800字
行政A
出題傾向と頻出テーマの分析
以下に、浜松市役所の論文・作文試験の出題傾向と頻出テーマを分析・整理します。
第Ⅰ類行政職員(行政A)
出題傾向
設問形式
- 価値観・職業倫理の言語化型(例:誠実・信頼・責任・全体の奉仕者などの概念を軸に論じる)
- キーワード指定型(例:「市民の目線」「わかりやすい説明」等の語を用いて論述)
- 市政課題連動型(例:人口減少社会における行政の役割と自分の役割)
主な着眼点
- 公務員としての基本理念(中立性・説明責任・住民福祉)を自分の言葉で説明できるか
- 「市民の目線」を踏まえた課題設定力と、具体的・現実的な対応方策の提示
- 自己の役割・行動への落とし込み(配属を想定した実務イメージ)
答案のポイント
- 抽象概念は定義→具体例→政策・実務への接続の順で整理する
- 800字という制約に合わせ、論点を2~3点に絞る
- 「市民目線」「わかりやすさ」を文章の構成・表現そのもので体現する(簡潔さ・段落設計)
出題傾向の分析
- 価値観・職業倫理重視の出題が継続:過去の公表年では「誠実」「信頼」「責任」「全体の奉仕者」など、行政職の根幹をなす概念の理解と自分の言葉での再定義が繰り返し求められています。単なる用語説明ではなく、行政現場の意思決定や住民対応にどう結び付くかまで踏み込ませる傾向にあります。
- キーワードを手掛かりに論理展開させる構造:指定語(例:「市民の目線」「わかりやすい説明」)を必ず使わせる設問が見られ、コミュニケーションと説明責任を論述の中心に据えさせる出題が多い傾向です。
- 市政の長期課題と個人の役割の接続:人口減少などの普遍課題を提示し、組織としての行政の役割と、受験者個人の行動計画を接続する形式が目立ちます。マクロ(市の方針)とミクロ(自分の実践)を橋渡しできるかが分かれ目です。
- 近年は非公開傾向だが、軸は一貫:直近は詳細非公開でも、上記の軸(職業倫理・住民視点・説明責任・普遍課題への向き合い)を維持しつつ、年度の社会状況に応じた切り口(働き方、デジタル、地域活性・関係人口等)に置き換えて出題する傾向が想定されます。
頻出分野・キーワード
頻出分野・キーワード
- 職業倫理・ガバナンス
└ 誠実、信頼、責任、説明責任、全体の奉仕者、コンプライアンス - 住民視点・コミュニケーション
└ 市民の目線、わかりやすい説明、協働、情報公開・広報、苦情対応 - 人口減少・地域活性化
└ 若者流出、定住・移住促進、地域産業振興、官民連携、関係人口 - 包摂・多様性・働き方
└ ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランス、女性活躍、障害者雇用 - 防災・危機管理(普遍テーマ)
└ 地震・風水害対策、地域防災力、BCP、平時からの備え
頻出分野・キーワードの分析
- 価値観+実装が基本構造です。まず職業倫理(誠実・説明責任)などの価値軸を定義し、次に住民視点での具体(わかりやすい説明・協働)へ接続、最後に市政課題(人口減少・防災など)で実装する三段構成が作りやすい傾向にあります。
- テーマ自体は普遍的でも、「なぜ今そのテーマが重要か」を短く示し、浜松市の文脈(大都市圏との人の流れ、産業・観光資源、広域連携等)に接続できると説得力が増します。
- キーワードは暗記ではなく、定義→現状→施策→自分の役割に落とし込んで使える状態にしておくことが有効です。
対策と勉強法のポイント
論点整理・文章構成のコツ(第Ⅰ類行政職員)
浜松市役所の小論文試験で高評価を得るためには、与えられた課題に対し、
「設問解釈・用語定義 → 背景と現状(市民の目線) → 政策・実務上の論点(2点前後) → 提案(実施主体・手順・効果) → 自分の役割・締め」
という構成を意識することが大切です。特に、浜松市の出題は職業倫理や説明責任、市民視点が問われる傾向にあるため、定義の明確化と住民視点での具体化が重要となります。また、文字数条件が800字と比較的タイトであるため、事前に骨格メモ(見出し語+要点)を作る習慣をつけておくと、本番でも時間を効率的に使うことができます。
※ 価値観系テーマでは「①定義→②なぜ必要か→③どう実装するか→④自分はどう動くか」の4段で型化すると安定します。市政課題連動型では「①現状→②課題→③打ち手→④効果→⑤自分」で簡潔に。
情報収集と自治体研究のポイント
浜松市役所の論文・作文試験で高得点を目指すには、浜松市が現在推進している施策や直近の課題を正確に理解することが不可欠です。まず、浜松市公式サイトの「総合計画」「重点施策」「行政経営・行財政改革」「広報はままつ」などを参照し、人口減少・若者定着、産業振興・観光、デジタル・働き方、防災・減災、地域共生といった重点分野の現状や施策内容を把握しておきましょう。地域紙・広報誌・議会資料のサマリーも有用です。要点はノートやカードに整理し、自分の経験や具体例を1つ添えて論述できるようにしておくと説得力が高まります。市民視点での要望・改善点や、新たな施策の提案を自分の言葉で深掘りする姿勢も大切です。
本番までの対策フロー
第Ⅰ類行政職員(60分/800字)
- 型づくり(1~2週)
・過去に公表されたテーマを使い、上記の基本構成で400~600字の要約演習→その後800字に拡張。
・価値観語(誠実・信頼・説明責任・市民目線 等)の自分流定義カード化。 - 市政リサーチ(並行)
・総合計画・広報資料から3テーマ(人口・産業・防災など)を選び、現状→課題→打ち手→効果を1枚で整理。 - 時事接続と具体化(2~3週)
・ニュースと市の施策を1段落で接続する練習(導入の書き出し強化)。
・指定語を使う練習(「市民の目線」「わかりやすい説明」等を文頭・結論で明確化)。 - 模試化・制限時間訓練(直前2週)
・60分模擬×5本(配分目安:読解5→構成10→執筆40→見直し5)。
・毎回、論点の絞り込みと段落の役割を自己採点シートで確認。 - 仕上げ(前週~前日)
・想定テーマ(価値観系/市政課題系)を各2本ストック。
・結論文のテンプレ(2~3文)を暗記しておく。
以上のプロセスを繰り返すことで、浜松市役所の試験で求められる論理的な文章力と実務に接続する思考力を効率的に身につけることができます。
論文・作文試験を通じて問われるのは、知識だけでなく、社会を見つめる目と自らの考えを整理する力です。浜松市役所の未来を支える公務員としての第一歩に向けて、日々の努力がきっと実を結ぶことを願っています。焦らず、自分のペースで、丁寧に準備を進めていってください。
(過去問引用:浜松市HP)