さいたま市役所|論文・作文|過去問まとめ【頻出テーマ・傾向分析つき】

さいたま市役所では、大学・短大・高卒・職務経験者など、多様な学歴・経歴に応じた試験区分・試験科目を設けて職員を採用しており、その中でも論文・作文試験は、人物評価に直結する極めて重要な試験です。本記事では、さいたま市役所の論文・作文試験の概要出題傾向過去問などを網羅的にまとめた上で、効率的な対策方法を詳しく解説します。


論文・作文試験の概要

受験区分ごとの試験形式・文字数・試験時間

以下は、さいたま市役所で実施されている各区分における論文・作文試験の実施条件です。

受験区分試験名称試験時間文字数
大学卒業程度論文60分1000字程度
社会人経験者論文60分1000字程度
高校卒業程度作文60分800字程度
就職氷河期世代作文60分800字程度
障害者選考作文60分800字程度

論文・作文試験の過去問

以下に、さいたま市職員採用試験の論文・作文試験の過去問を年度・区分別に整理します。

大学卒業程度

  • 問題形式:論文
  • 試験時間:60分
  • 文字数:1000字程度

行政事務A

行政事務B

学校事務

高校卒業程度

  • 問題形式:作文
  • 試験時間:60分
  • 文字数:800字程度

行政事務・学校事務

社会人経験者

※ 2024年度に「民間企業等経験者」を「社会人経験者」に名称変更

  • 問題形式:論文
  • 試験時間:60分
  • 文字数:1000字程度

行政事務

就職氷河期世代

  • 問題形式:作文
  • 試験時間:60分
  • 文字数:800字程度

行政事務

障害者選考

  • 問題形式:作文
  • 試験時間:60分
  • 文字数:800字程度

行政事務・学校事務


出題傾向と頻出テーマの分析

以下に、さいたま市役所の論文・作文試験の出題傾向と頻出テーマを分析・整理します。


大学卒業程度

出題傾向

設問形式
  • 政策提案型(例:人口動態・都市課題の分析と具体策)
  • 行政課題の解決型(例:ICT活用、少子高齢化対応)
  • 自治体職員の役割や資質を問う設問
主な着眼点
  • 市の現状理解(例:人口増減や地域課題)
  • 解決策の実現可能性と具体性
  • 公務員としての視点・使命感の有無
  • 時事性・政策との関連性
答案のポイント
  • さいたま市の特性を踏まえた考察
  • 課題解決に向けた明確かつ論理的な提案
  • 職員としての貢献姿勢を明確にする
  • 結論を先に述べ、段落構成を明快に
出題傾向の分析

大学卒業程度の論文では、受験者が「市の現状を把握し、未来志向の提案ができるか」が問われる傾向にあります。特に近年は、人口動態やICT、子育て施策など、実務に直結したテーマが中心となっており、行政職としての視座・構想力が求められます。また、「さいたま市ならでは」の視点を盛り込むことが重要です。


頻出分野・キーワード

頻出分野・キーワード
  • 人口動態:人口減少、少子高齢化、転入超過、地域差
  • 都市政策:DX推進、都市ブランド、住みたいまちづくり
  • 教育・子育て:教育施策、子育て支援、若年層定着
  • 働き方改革:テレワーク、ワーク・ライフ・バランス
  • 市民満足度:CS向上施策、しあわせコーディネーター
  • SDGs:誰一人取り残さない地域社会
頻出分野・キーワードの分析

さいたま市では、将来の人口構成を見据えた長期的なまちづくりが重要課題となっており、それに伴う政策的提案が多く出題されています。また、「子育て世代に選ばれる都市」としてのブランディングが進んでおり、育児支援・教育分野も頻出領域です。市の中長期計画や近年の行政施策を調べ、背景知識と自分の視点をうまく融合させることが重要です。

高校卒業程度

出題傾向

設問形式
  • 自己PR型(強み・公務員志望理由・職員としての貢献)
  • 体験重視型(経験談や学びをもとに構成)
  • 地域貢献志向型(職員としての地域への思いを問う)
主な着眼点
  • 自己理解の深さと表現力
  • 課題への主体的な姿勢
  • チームワークや責任感
  • 地域貢献への意欲や市職員としての適性
答案のポイント
  • 自らの経験や学びを具体的に述べる
  • その経験をどう仕事に活かすかを明記する
  • 地元や地域社会への愛着を含めると効果的
  • 論理性よりも、誠実さ・人柄が伝わる表現を意識
出題傾向の分析

高校卒業程度の試験では、「どのような人柄か」「職員としての資質があるか」を見極める内容が中心です。地域貢献や自己成長といったテーマが頻出で、具体的な経験から何を学んだか、今後どう活かすかを述べる構成が好まれます。専門的な知識よりも、日常や学校生活の中での姿勢を自己分析する力が求められます。


頻出分野・キーワード

頻出分野・キーワード
  • 自己理解:強み、失敗経験と克服、やりがい
  • 公務員としての姿勢:理想の職員像、責任感、誠実さ
  • 地域社会:貢献意識、地元の魅力、地域活動の経験
  • 経験からの学び:部活動、ボランティア、アルバイト
頻出分野・キーワードの分析

高校卒業程度の試験では、自分自身の経験を通して得た「価値観」や「学び」を公務員としての職務にどう活かすかが重要ポイントとなります。「チームでの活動」「信頼される行動」「課題に向き合った経験」などは、作文で表現しやすく、評価されやすいテーマです。また、「地域社会への思い」「将来の貢献の意志」も作文に盛り込むことで、適性をアピールできます。

社会人経験者

出題傾向

設問形式
  • 経験応用型(職務経験や具体的事例を問う)
  • 課題解決・提案型(民間経験を活かした施策提案)
  • 公務員適性型(公と民の違いをふまえた適応力の確認)
主な着眼点
  • 民間で培ったスキル・視点を行政にどう活かすか
  • 公務員としての視座への転換(市民視点・公益性)
  • 組織貢献やマネジメント、リーダーシップの有無
  • 実務経験に基づく提案力・課題発見力
答案のポイント
  • 具体的な業務経験を挙げたうえで、公務に活かせる部分を論理的に整理する
  • 自身の強みや成功体験、失敗から得た教訓などを交えて、課題解決力や組織適応力を明確に伝える
  • 公私混同を避け、公共の立場に立った視点で論じる姿勢が評価される
出題傾向の分析

社会人経験者区分の論文では、「公務員としての即戦力性」と「民間で得た経験の応用力」が重視されます。職務経験を通じた成功・失敗の具体例が求められ、単なる体験談ではなく、それを通じて得た考察や公務への応用がポイントです。また、自治体経営の視点や市民満足度向上、リーダーシップ、チームビルディングなど、”管理職的な資質”も問われやすい傾向があります。


頻出分野・キーワード

頻出分野・キーワード
  • 公務と民間の違い:顧客満足・市民満足、公益性、リーダーシップ
  • 働き方改革:業務改善、DX、公民連携、チーム運営
  • 組織・人材育成:OJT、リーダーシップ、後輩育成、モチベーション管理
  • 危機管理:BCP(業務継続計画)、業務改善、失敗対応
  • 行政施策と市民対応:市民満足度向上、サービス改善、社会的課題の理解
頻出分野・キーワードの分析

社会人経験者区分では、これまでの業務で培った視点を「行政」という新しいフィールドにどう展開できるかが最大の関心事です。そのため、民間で通用したスキルをそのまま転用するのではなく、地域社会や市民サービスの文脈で再構築する視点が不可欠です。業務効率化やチーム運営、カスタマー対応の経験が、住民対応や施策立案にどう生きるかを明確に整理しておきましょう。

就職氷河期世代対象選考

出題傾向

設問形式
  • 自己PR型・体験重視型(人生経験・職業経験をもとに自己分析)
  • 公務員としての志望動機やキャリア形成を問う構成
  • 地方行政の理解と主体的な貢献意欲を重視した設問
主な着眼点
  • 社会人としての経験・考えをどのように行政に活かすか
  • 長期的なキャリアビジョンと地域貢献意識
  • 市民目線での提案力・共感力
  • 状況の変化に対応する柔軟性と責任感
答案のポイント
  • 自身の経歴に誇りを持ち、失敗や挫折から学んだ経験を肯定的に伝えること
  • 公務員として「地域に貢献する姿勢」「継続的な成長意欲」を明示的に示す
  • 長期的な視点から「さいたま市でどのような職員になりたいか」を描くことが重要
出題傾向の分析

就職氷河期世代対象選考では、社会人としての経験や価値観が多様であることを前提としつつ、「自分自身の強みをどのように地域行政に活かしたいか」が問われる傾向にあります。公務員像の理想だけでなく、キャリアプランを具体的に描くことや、住民の身近な課題に主体的に関わろうとする姿勢が重視されています。単なる自己PRに終わらず、「市民目線の仕事」ができる人物かを見られています。


頻出分野・キーワード

頻出分野・キーワード
  • キャリアビジョン・自己分析:これまでの経験、強み・弱み、将来の目標
  • 市民サービス・地域貢献:住みよいまちづくり、市民満足度、地域課題
  • 自治体の重点施策:「さいたま市CS90+運動」「住み続けたいまち」「市民にとって身近な行政」
  • 公務員像:責任感、継続性、協調性、共感力
  • 時事的課題:コロナ禍以後の行政対応、少子高齢化、地域活性化
頻出分野・キーワードの分析

就職氷河期世代では「さいたま市でどのように生き、働き、貢献していくか」が主軸となるため、自己理解と地域理解を結びつける力が求められます。特に「さいたま市CS90+運動」や「市民との距離感」など、市民と行政のつながりを重視したキーワードが頻出です。自分が経験してきた仕事や人生を、どのように公共サービスに転換できるかを意識して対策を進める必要があります。

障害者選考

出題傾向

設問形式
  • 自己PR型・体験重視型が中心
  • 日常の経験や考えをもとに、自身の特性・強みをどう活かすかを問う構成
  • 公務員としての意欲や姿勢を、実生活・経験から語る設問
主な着眼点
  • 自己理解・自立性(自身の特性をどのように認識し、行動しているか)
  • 他者との関わり(協調性・思いやり・信頼関係の築き方)
  • 公務員としての使命感(貢献意欲、責任感)
  • 働くことへの姿勢(継続性・主体性・挑戦意識)
答案のポイント
  • 自分自身の特性や経験を素直に言語化し、「どう活かすか」に焦点を当てる
  • 支援を受ける立場での経験も、職員としての視点に変換して論述する姿勢が重要
  • 日常の具体的な行動・考え方を紹介し、再現性・継続性をもってアピールすること
出題傾向の分析

障害者選考では、能力や経歴の高さよりも「人となり」や「姿勢」に焦点が置かれます。これまでの生活や働く意欲を通じて、「安心して仕事を任せられる人材であるか」を見られています。仕事に前向きに取り組もうとする意志や、周囲との円滑な協力関係を築く姿勢が伝わる内容が評価される傾向です。市職員として何ができるかを、身近な視点で考え、表現できることがカギです。


頻出分野・キーワード

頻出分野・キーワード
  • 自己理解と成長:強み・長所・責任を持って成し遂げた経験
  • 働く意欲と姿勢:仕事に取り組む意欲、社会参加への意識
  • 協調・信頼・対人関係:集団での活動、チームワーク、コミュニケーション
  • 地域社会への関心:「住みやすいまち」「住み続けたいまち」への貢献
  • 自分らしさ:誠実さ、思いやり、困難を乗り越えた経験
頻出分野・キーワードの分析

障害者選考では、抽象的な理念ではなく、具体的な日常経験に基づく表現が重視されます。例えば「責任を持って成し遂げたこと」「信頼を得るために心がけていること」など、自分自身の行動や考え方を問うテーマが多く見られます。また、最近では「住みやすいまちづくり」や「地域社会への貢献」に関するテーマも出題されており、自分の強みを職務にどう活かせるかを説明できるように準備しておく必要があります。

対策と勉強法のポイント

論点整理・文章構成のコツ

大学卒業程度・社会人経験者

さいたま市役所の論文試験で高評価を得るためには、与えられた課題に対し、「現状の課題整理 → さいたま市の現状との関連付け → 解決に向けた具体的提案 → 自身の役割・姿勢」という構成を意識することが大切です。特に、さいたま市の論文試験では「実践的な提案力」や「市の施策との接続」が問われる傾向が強いため、政策理解と論理的思考の訓練が重要です。

また、文字数条件が1000字と比較的長文であるため、事前に構成メモを作成する習慣をつけておくと、本番でも論点がぶれず、時間を効率的に使うことができます。

高校卒業程度・就職氷河期世代・障害者選考

高校卒業程度・就職氷河期世代・障害者選考などの区分では、「自己理解」「公務員としての姿勢」「社会人基礎力」といった視点が重視される傾向にあります。そのため、「経験の紹介 → そこから学んだこと → 今後の活かし方 → 公務員としての自分像」という流れを意識すると効果的です。

また、800字と比較的短い字数で構成するためには、1つのエピソードに絞り、要点を簡潔に伝える力が求められます。余白や脱線を避けるためにも、最初に「結論(主張)」を提示したうえで、必要な情報だけを厳選して書く練習が有効です。


情報収集と自治体研究のポイント

さいたま市役所の論文・作文試験で高得点を目指すには、さいたま市が現在推進している施策や直近の課題を正確に理解することが不可欠です。まず、さいたま市役所の公式ホームページや「第2次さいたま市総合振興計画」などを参照し、子育て支援、都市ブランド戦略、デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進、防災・減災、地域共生社会づくりといった重点分野の現状や施策内容を把握しておきましょう。

また、時事的な話題にもアンテナを張り、埼玉新聞市の広報誌、NHK地方ニュースなどから具体的なデータやエピソードを収集することも重要です。自分なりにまとめた要点をノートやカードに整理し、答案作成時には“数字”や“具体例”を交えて論述することが説得力を高めるポイントとなります。さらに、市民視点での行政への要望や改善点、新たな施策の提案など、自分が興味を持ったトピックを独自の視点で深掘りする姿勢も大切です。

なお、社会人経験者区分では、単なる業務経験の羅列ではなく、「成果をどう市政に応用できるか」という視点が求められます。したがって、”職務経験のエピソードを市民サービスの向上や組織の活性化にどう結び付けるか”を意識して情報収集を進めましょう。


本番までの対策フロー

さいたま市役所の論文・作文試験で高得点を目指すためには、以下の流れで段階的に対策を進めていくことが効果的です。

大学卒業程度・社会人経験者

  1. 過去問の出題形式・傾向の把握
    - 毎年の設問構造や問われている視点(地域施策、政策提案、ICT、人口動態など)を分析。
  2. 市の重点施策や計画を調査
    - 総合振興計画・重点プロジェクトを読み込み、主要施策の理解を深める。
  3. 論文構成の練習と添削
    - 自己採点や指導を通じて、構成・論理の精度を高める。
  4. 実戦形式で時間を意識した演習
    - 本番と同様の制限時間で、過去問を複数回解いて慣れておく。

高校卒業程度・就職氷河期世代・障害者選考

  1. 自分の経験・強みを整理
    - 印象深い体験や信念を、簡潔に言語化する練習。
  2. 過去問テーマで作文練習
    -「貢献」「働きがい」「地域愛」など、自分の想いを表現する。
  3. 第三者による添削・アドバイス
    - 客観的な視点で、自分の伝えたいことが正確に届いているか確認。
  4. 時間配分を意識した模擬試験
    - 書き出しのテンプレート化や構成の訓練で、当日も落ち着いて対応。

以上のプロセスを繰り返すことで、さいたま市役所の試験で求められる論理的な文章力と実践的な知識を効率的に身につけることができます。


論文・作文試験を通じて問われるのは、知識だけでなく、社会を見つめる目と自らの考えを整理する力です。さいたま市の未来を支える公務員としての第一歩に向けて、日々の努力がきっと実を結ぶことを願っています。焦らず、自分のペースで、丁寧に準備を進めていってください。

(過去問引用:さいたま市HP