岩手県庁では、大学卒業程度・高卒程度・社会人経験者など、多様な学歴・経歴に応じた試験区分・試験科目を設けて職員を採用しており、その中でも論文・作文試験は、人物評価に直結する極めて重要な試験です。本記事では、岩手県庁の論文・作文試験の概要、出題傾向、過去問などを網羅的にまとめ、効率的な対策方法を詳しく解説します。
論文・作文試験の概要
受験区分ごとの試験形式・文字数・試験時間
以下は、岩手県庁で実施されている各区分における論文・作文試験の実施条件です。
受験区分 | 形式 | 試験時間 | 文字数 |
---|
Ⅰ種(専門試験型・アピール試験型) | 論文/政策課題論文 | 80分/60分 | 不明 |
Ⅱ種 | 論文 | 80分 | 不明 |
Ⅲ種 | 作文 | 80分 | 不明 |
論文・作文試験の過去問
Ⅰ 種(専門試験型)
一般行政A
過去問を表示
2023(令和5)年度
岩手県の人口は、出生数の減少や若者を中心とした転出などにより減少が続いています。 そこで、あなたの考える本県の人口減少に関する課題を挙げ、その課題を解決するために県として必要な取組は何か、具体的に論じなさい。
2022(令和4)年度
新型コロナウイルス感染症が拡大したことにより、これまで当たり前とされてきた社会や考え方が一変しています。そこで、あなたの考える課題を1つ挙げ、その課題を解決するために行政として必要な取組は何か、具体的に論じなさい。
2021(令和3)年度
岩手県が特に解決していかなければならないとあなたが考える課題を挙げ、その課題を解決するために行政として必要な取組は何か、具体的に論じなさい。
2020(令和2)年度
人口の減少は、県内の各地域における様々な需要の減少をもたらし、地域経済をはじめ、地域の社会システムに様々な影響を与えることが指摘されています。そこで、岩手県の現状における課題を1つ挙げ、その課題の10年後における望ましい姿を述べるとともに、そのために必要な取組について、具体的に論じなさい。
2019(令和元)年度
本県では、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」を基本目標に、今年度から10年間を計画期間とする「いわて県民計画(2019~2028)」を策定し、岩手の未来のあるべき姿を実現するための施策を展開しています。そこで、現在の県政課題を1つ挙げ、その課題の10年後における望ましい姿を述べるとともに、そのために必要な取組について具体的に論じなさい。
・特別募集
今般、本県では、ICT(情報通信技術)の利活用により、地域が抱える課題の解決や生活の様々な場面における利便性の向上を図るため、「岩手県ICT利活用推進計画」を策定しました。そこで、地域が抱える課題解決や、県民一人ひとりの暮らし、仕事、学びの場における利便性の向上を図るために必要と考える、ICTを積極的に利活用した取組を1つ挙げ、その取組によってもたらされる効果(メリット)について、あなたが受験する専門分野の視点から論じなさい。
2018(平成30)年度
本県では、「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靭化基本法」に基づき、いかなる大規模自然災害が発生しても「致命的な被害を負わない強さ」と「速やかに回復するしなやかさ」を持った安全・安心な地域社会の構築に向け、「岩手の強靭化」を推進するための指針「岩手県国土強靭化地域計画」を策定し、7つの事前に備えるべき目標に対する22のリスクシナリオ(起きてはならない最悪の事態)を設定しています。次の22のリスクシナリオ(起きてはならない最悪の事態)の中から1項目選び、そのリスク回避のための課題と対応方策について具体的に論じなさい。
22のリスクシナリオ
「起きてはならない最悪の事態」
- 目標1 いかなる大規模自然災害が発生しようとも、人命の保護を最大限図る
1 - 1 地震等による建築物の大規模倒壊や火災による死傷者の発生(二次災害を含む)
1 - 2 大規模津波等による多数の死傷者の発生
1 - 3 異常気象等による広域かつ長期的な市街地等の浸水
1 - 4 大規模な火山噴火・土砂災害等による多数の死傷者の発生
1 - 5 暴風雪及び豪雪による交通途絶等に伴う死傷者の発生
1 - 6 情報伝達の不備・麻痺・長期停止や防災意識の低さ等による避難行動の遅れ等で多数の死傷者の発生
- 目標2 いかなる大規模自然災害が発生しようとも、救助・救急、医療活動等を迅速に行う
2 - 1 被災地での食料・飲料水等、生命に関わる物資供給の長期停止
2 - 2 多数かつ長期にわたる孤立集落等の同時発生
2 - 3 自衛隊、警察、消防等の被災・エネルギー途絶等による救助・救急活動の絶対的不足
2 - 4 医療・福祉施設及び関係者の絶対的不足・被災、支援ルートの途絶による医療・福祉機能等の麻痺
2 - 5 被災地における感染症等の大規模発生
- 目標3 いかなる大規模自然災害が発生しようとも、必要不可欠な行政機能を維持する
3 - 1 行政機関の職員・施設等の被災による行政機能の大幅な低下
- 目標4 いかなる大規模自然災害が発生しようとも、地域経済システムを機能不全に陥らせない
4 - 1 サプライチェーンの寸断等による企業活動等の停滞
4 - 2 食料等の安定供給の停滞
- 目標5 いかなる大規模自然災害が発生しようとも、必要最低限のライフライン等を確保するとともに、早期復旧を図る
5 - 1 電気・石油・ガス等のエネルギー供給機能の長期停止
5 - 2 上下水道等の長時間にわたる供給停止
5 - 3 県外との基幹交通及び地域交通ネットワークの機能停止
- 目標6 いかなる大規模自然災害が発生しようとも、制御不能な二次災害を発生させない
6 - 1 ため池、ダム、天然ダム等の損壊・機能不全による二次災害の発生
6 - 2 農地・森林等の荒廃による被害の拡大
- 目標7 いかなる大規模自然災害が発生しようとも、地域社会・経済を迅速に再建・回復する
7 - 1 災害廃棄物の処理の停滞により復旧・復興が大幅に遅れる事態
7 - 2 復旧・復興を担う人材の絶対的不足により復旧・復興が大幅に遅れる事態
7 - 3 地域コミュニティの崩壊等により復旧・復興が大幅に遅れる事態
・特別募集
本県では、外国人県民等の言葉や生活の不便が解消され、お互いの理解が進むことで、日本人県民と外国人県民等がお互いの価値を認め合い、お互いの交流を通じて高め合い、共に主体となってより豊かで潤いのある地域社会を築いていくことを目指し、「多文化共生社会」実現のための取組を行っています。「多文化共生社会」を実現する上で課題となることを1つ挙げ、その解決策について論じなさい。
※「多文化共生社会」
国籍や民族等の違いにかかわらず、すべての県民が互いの文化的背景や考え方を理解し、地域社会を支える主体として共に生きることができる社会
2017(平成29)年度
本県では、東日本大震災津波により甚大な被害を受けた三陸地域の早期の復旧、復興はもとより、長期的な視点に立ち、多くの人々をひきつけ、多様な人材が育まれる、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指すため、「三陸創造プロジェクト」を推進しています。このプロジェクトは、「科学技術分野」、「環境共生・再生可能エネルギー分野」、「津波災害への次世代への継承」、「産業振興分野」及び「新たな交流による地域づくり」の分野で実施していますが、今後、プロジェクトを推進する上で課題となることを1つ挙げ、その解決策について論じなさい。
・特別募集
本県では、ふるさとを振興し、人口減少に立ち向かうための基本目標を定めるとともに、平成 27 年度から平成 31 年度までの5年間の主な取組方向や具体的な施策、数値目標等を示すものとして「岩手県ふるさと振興総合戦略」を策定しています。この戦略は、「岩手で働く」「岩手で育てる」「岩手で暮らす」の3つの施策推進目標から成り立っていますが、このうち1つの施策推進目標を選び、目標を達成する上での課題を1つ挙げ、その解決策について論じなさい。
2016(平成28)年度
本県では、県の総合計画である「いわて県民計画」を策定し、産業振興や医療福祉の充実、社会資本の整備など7つの政策目標を立て「希望郷いわて」の実現に向けた取組みを展開しています。この政策の1つである「安心して心豊かに暮らせるいわて」を実現するためには、様々な状況に置かれた女性が自らの希望を実現して、個性と能力が発揮でき、男性も女性も全ての人にとって働きやすく暮らしやすい社会をつくることも必要とされています。そこで、本県の女性の労働力率をみると、下図のように、30歳代に一旦低下し、40歳代に再び上昇するという、いわゆるM字カーブを描いています。こうした現状を踏まえ、本県において女性の社会進出を促進するための課題を1つ挙げ、その解決策について論じなさい。
2015(平成27)年度
東日本大震災津波からの復興に関する県民意識調査において、下のグラフのような調査結果が公表されています。この結果報告から、あなたが考える本県の復興における課題を一つ挙げ、その課題を解決するために県の行政が取り組むべきことは何か、論じなさい。
Ⅰ 種(アピール試験型)
※ 民間企業経験者向け区分
- 問題形式:政策課題論文
- 試験時間:60分
- 文字数:不明
一般行政B
過去問を表示
2023(令和5)年度
・先行実施枠
令和5年1月にニューヨーク・タイムズ紙の「2023年に行くべき52か所」で盛岡市が紹介されたことなどもあり、岩手県が国内外から大きく注目されています。 そこで、あなたの考える本県の観光に関する課題を挙げ、その課題を解決するために県として必要な取組は何か、具体的に論じなさい。
・通常枠
岩手県では、大雨や地震などの自然災害等のリスクに対応するため、今後起こり得る大規模な自然災害に備え、防災・減災対策を進める必要があります。 そこで、あなたの考える災害のリスクに対応する安全・安心な地域づくりに関する課題を挙げ、その課題を解決するために県として必要な取組は何か、具体的に論じなさい。
2022(令和4)年度
政府は、デジタルの力を活用して地方活性化を図る「デジタル田園都市国家構想」の実現を目指しています。そこで、あなたの職務経験を踏まえ、デジタルの力を活用することで、地方の課題解決につながる取組を1つ挙げ、その具体的な内容と解決策についてあなたの考えを論じなさい。
2021(令和3)年度
岩手県では、若年層を中心とした県外への転出超過の傾向が続いていますが、このことについて、岩手県の現状における具体的な課題を挙げ、その解決策についてあなたの考えを論じなさい。
2020(令和2)年度
本県は、東日本大震災津波の被災県として、日本そして世界の防災力の向上に貢献できるよう、これまで国内外からいただいた多くの復興支援に対する感謝を示すとともに、東日本大震災津波の事実を踏まえた教訓を伝承し、復旧・復興の取組や防災・減災の最先端地域としての三陸の姿を広く国内外に発信していくことが求められています。そこで、復旧・復興の取組や防災・減災の最先端地域としてどのような取組が必要か、具体的な課題を1つ挙げ、その解決策についてあなたの考えを論じなさい。
2019(令和元)年度
人口減少問題は、様々な要因によって引き起こされているものであり、その要因の根底にある「住みにくさ」「学びにくさ」「働きにくさ」「結婚しにくさ」などのあらゆる「生きにくさ」を、「住みやすさ」「学びやすさ」「働きやすさ」「結婚しやすさ」に転換し、多くの人々が「住みたい、働きたい、帰りたい」と思える岩手を創っていくことが必要です。そこで、多くの人々が「住みたい、働きたい、帰りたい」と思える「希望郷いわて」実現のために、県行政の視点からどのような取組が必要か、具体的に論じなさい。
2018(平成30)年度
三陸を訪れる観光客の現状は、下表のとおりとなっています。こうした現状を踏まえ、三陸地域における観光復興を推進するための課題を1つ挙げ、その解決策について具体的に論じなさい。
※ 資料なし
2017(平成29)年度
県では、人口減少や少子高齢化の進行等に伴い、基幹産業である農林水産業や、地域産業分野における担い手不足が課題となっており、その確保や育成に取り組んでいます。そこで、担い手を確保するための対応策として、どのようなことが考えられるか論じなさい。
2016(平成28)年度
本県は、全人口に占める老年人口(65歳以上)の割合が平成27年に初めて30%を超えるなど、全国の都道府県に比べても急速に高齢化が進行しています。また、介護保険制度における本県の要介護認定者数(要支援認定を含む)は年々増え続けているなど、高齢化に伴い介護を要する人の割合も増加しています。このような状況を踏まえ、本県の増大する介護ニーズへの対応策としてどのようなことが考えられるか、論じなさい。
2015(平成27)年度
岩手県の人口は1997年以降減少しており、その要因として進学、就職期の若者の転出による影響や出生数の減少などが考えられています。これらのことから、人口減少対策として若者や女性などが岩手に定着し、他県から岩手に移住してもらうために、岩手の様々な地域資源や強みを生かしながら、県の行政が取り組むべきことは何か、論じなさい。
2014(平成26)年度
国立社会保障・人口問題研究所によると、岩手県の人口は、2010年の約133万人から2040年には約93.8万人と、全国を岩回るペースで約30%減少すると推計されています。こうした状況を踏まえ、岩手県のこれからの課題を一つ挙げ、その解決のための対策を、関係者(住民、企業、他行政機関等)との連携の観点から、具体的に述べなさい。
Ⅱ 種
一般事務
過去問を表示
2023(令和5)年度
あなたがこれまでの学校生活や社会生活で目標を持って取り組んだことは何か、その経験を学校等で働く事務職員としてどのように生かしていきたいか具体的に論じなさい。
2022(令和4)年度
あなたが人と接するときに大切だと思うことは何か、あなたのこれまでの経験を踏まえて具体的に論じなさい。
2021(令和3)年度
人と協力して物事に取り組む上で大切なことは何か、あなたのこれまでの経験を踏まえて具体的に論じなさい。
2020(令和2)年度
あなたが最近特に関心を持っている社会の出来事について、あなたの考えを述べるとともに、岩手県職員としてどのように取り組んでいくべきか具体的に論じなさい。
2019(令和元)年度
あなたにとって、学校等の教育現場で働く意義について述べるとともに、教育現場で働く上で大切だと思うことについて具体的に論じなさい。
2018(平成30)年度
県教育委員会では、学校への不審者侵入や食中毒の発生、下校途中の交通事故等の危機発生に備えるため、「危機管理マニュアル」や「学校防災・災害対応方針」の策定・見直しを行い、事件・事故・災害等に対する危機管理の徹底を図っています。児童生徒の安全確保対策としてどのような取組が必要か、あなたの考えについて論じなさい。
2017(平成29)年度
本県の学校における課題を1つ挙げ、行政として取り組むべき解決策を論じなさい。
2016(平成28)年度
児童生徒が安全・安心な学校生活を送るために学校で取り組むべきことについて、あなたの考えを論じなさい。
2015(平成27)年度
パソコン・スマートフォンなどの通信機器の普及による児童・生徒への影響を挙げ、そのことについて学校で取り組むべきことは何か、あなたの考えを論じなさい。
警察事務
過去問を表示
2023(令和5)年度
あなたが考える警察事務職員の仕事の魅力ややりがいとは何か、また、あなたの長所や能力をどのように仕事に生かせるか、具体的に論じなさい。
2022(令和4)年度
あなたがこれまで打ち込んできたことは何か、その経験を警察事務職員としてどのように生かしていきたいか具体的に論じなさい。
2021(令和3)年度
あなたが知っている警察事務職員の業務を挙げた上で、それが県民の生活とどのように関わっているか具体的に論じなさい。
2020(令和2)年度
あなたが警察事務職員になろうとする理由と目指している警察事務職員像について、具体的に論じなさい。
2019(令和元)年度
犯罪や事故のない街づくりのために果たすべき警察事務職員の役割について、その理由を含めてあなたの考えを具体的に論じなさい。
2018(平成30)年度
今、社会で問題になっていると思う事柄を1つ挙げ、その改善のため警察にはどのような責任や任務があるか述べるとともに、警察事務職員としてどのような心構えで職務を遂行していきたいか論じなさい。
2017(平成29)年度
警察として求められることは何か。それを踏まえ、あなたが警察事務職員として取り組んでいきたいことを論じなさい。
2016(平成28)年度
警察職員として県民に応対する際に心がけるべきことについて、その理由を含めてあなたの考えを論じなさい。
2015(平成27)年度
県民が警察に期待するものは何か。それに対して警察職員として果たすべき役割について、あなたの考えを論じなさい。
Ⅲ 種
一般事務
過去問を表示
2023(令和5)年度
あなたがこれまでの学校生活や社会生活で目標を持って取り組んだことは何か、その経験を岩手県職員としてどのように生かしていきたいか述べなさい。
※ Ⅱ種(一般事務)と同一出題
2022(令和4)年度
あなたが人と接するときに大切だと思うことは何か、あなたのこれまでの経験を踏まえて述べなさい。※ Ⅱ種と同じ出題
2021(令和3)年度
人と協力して物事に取り組む上で大切なことは何か、あなたのこれまでの経験を踏まえて述べなさい。
※ Ⅱ種(一般事務)と同一出題
2020(令和2)年度
あなたが最近特に関心を持っている社会の出来事について、あなたの考えを述べるとともに、岩手県職員としてどのように取り組んでいきたいか述べなさい。
※ Ⅱ種(一般事務)と同一出題
2019(令和元)年度
一人でも多くの若者に県内に定着してもらうため、あなたが有効(強み)と考える岩手県の魅力について論じなさい。
・特別募集
今秋、ラグビーワールドカップ 2019™日本大会が岩手県釜石市を会場に開催されるが、あなたは県職員として、どのように来県者を迎えたいか、その理由についてもふれながらあなたの考えを述べなさい。
2018(平成30)年度
岩手に住みたい、働きたい、帰りたいという人々の願いに応えられる「豊かなふるさと岩手」を実現するために、あなたが県職員として取り組みたいことについて述べなさい。
・特別募集
県職員として働く意義と、岩手の未来のためにどのようなことに取り組んでいきたいか述べなさい。
2017(平成29)年度
住みよい岩手をつくるために、あなたが県職員として取り組みたいことについて述べなさい。
・特別募集
あなたが学校生活や日常生活で人と接するときに心掛けていることは何か。また、県職員としてどのように人と接していきたいか述べなさい。
2016(平成28)年度
あなたが学校生活や日常生活で目標を持って取り組んできたことは何か。また、それを県職員としてどのように生かしていきたいか述べなさい。
2015(平成27)年度
あなたが、学校生活から学んだことは何か。それを県職員としてどのように生かしていきたいか、述べなさい。
出題傾向と頻出テーマの分析
出題傾向
岩手県庁の論文・作文試験では、区分が上がるほど、より抽象的・広域な政策課題や論理的な構成が求められる傾向があります。一方で Ⅱ 種・Ⅲ 種は、人柄や基礎力、現場目線の実践力を重視する傾向が強いのが特徴です。
また、「人口減少・若者定着」「地域活性化」「復興・防災」など、県の重要な政策課題や社会問題が繰り返し出題されています。
行政職では、自分の経験や考えを活かした課題解決策の提示、学校事務・警察事務では日常的な業務や現場目線での論述が重視される傾向にあります。また年度によっては、東日本大震災の教訓や復興、防災への取り組みなど、地域特有のテーマが重点的に出題されることもあるため、県政の最新動向や施策に日ごろから注目することが重要です。
以下、岩手県庁の論文・作文試験の出題傾向を受験区分ごとに整理します。
Ⅰ 種(専門試験型・アピール試験型)
- 人口減少・若者流出問題
例年、岩手県の人口減少や若者の県外流出など、地域の最重要課題について問われることが多いです。
- 産業振興・地域活性化
農林水産業、観光、地場産業の振興、地域資源の活用など、地域経済の持続・発展を論じさせる問題が頻出です。
- 防災・復興・災害対応
東日本大震災の経験を踏まえた復興、防災・減災、地域社会のレジリエンス(強靭化)についても繰り返し出題されています。
- 社会変革への対応(デジタル化・多文化共生等)
近年は、ICT利活用、デジタル田園都市構想、多文化共生など、時代変化に即した施策も問われています。
- 福祉・高齢化・女性活躍
急速な高齢化社会への対応、女性の社会進出、福祉の充実も重要テーマです。
- 実体験や職務経験の活用(アピール試験型)
アピール試験型では、受験者の職務経験や社会人スキルを活かした政策提案が求められます。
出題傾向の分析
Ⅰ 種は県の中核職員として、「地域の構造的課題」や「政策的視点」に基づく解決策を論理的に記述する力が重視されます。特に岩手県の将来像や現状分析・課題解決能力、社会的トレンドへの理解力が試される傾向があります。
Ⅱ 種
- 自己PRや実体験の活用
これまでの学校生活や社会経験、協力・目標達成体験など、受験者自身の成長や強み、人物像に関する出題が中心です。
- 現場意識・職務理解
学校事務や警察事務など、配属予定先でどのように自分の経験や強みを活かすか、職場で求められる姿勢・役割を問う傾向があります。
- 社会的関心・地域課題
近年の社会的な出来事や、岩手県に関する関心ごと、地域課題にも触れさせる出題も見られます。
出題傾向の分析
Ⅱ 種では「人物重視」の評価が特徴であり、自己理解・経験の言語化、職務意識、基本的な社会人マインドの有無が重視されます。現場で即戦力として働く姿勢を見せることが大切です。
Ⅲ 種
- 自己PR・成長体験の記述
学校生活や日常生活での目標達成体験や成長、学んだことなど、受験者自身の実体験を問うものが中心です。
- 県職員としての抱負や意欲
「県職員としてどう生かしたいか」「どんな職員になりたいか」など、将来像・意欲・公務員としての心構えを問う設問も頻出です。
- 地域や社会への関心
最近関心を持ったニュースや社会問題、岩手県の魅力・課題などについて、自分の考えをまとめる出題もあります。
出題傾向の分析
Ⅲ 種は特に「人柄」「意欲」「素直さ」など、社会人・職員としての基礎的資質が重視されます。難解な政策課題よりも、自分の経験や将来への思いを誠実にまとめることがポイントです。
頻出分野・キーワード
岩手県庁の論文・作文試験で頻出の分野・キーワードを以下に整理します。
Ⅰ 種(専門試験型・アピール試験型)
- 人口減少・若者流出対策
少子化、若者の定着・還流、働く場の創出
- 産業振興・地域活性化
農林水産業、観光振興、地域資源の活用
- 復興・防災・減災
東日本大震災からの復興、防災力強化、災害対応、国土強靭化
- 高齢化・福祉・女性活躍
高齢者支援、介護、女性の社会進出・働きやすさ
- ICT・デジタル化・新しい社会基盤
デジタル田園都市構想、ICT活用、地域課題解決のためのデジタル施策
- 多文化共生・交流促進
外国人住民の増加、多文化共生社会づくり
- 環境・エネルギー・再生可能エネルギー
環境共生、再生可能エネルギー推進
頻出分野・キーワードの分析
- Ⅰ 種はどちらの試験型も、地域全体の「構造的課題」と政策的な解決力を重視。
- 近年はデジタル社会、多文化共生、復興の伝承にも重点。
- アピール試験型では、実務経験や専門性を活かした政策提案が問われやすい。
Ⅱ 種
- 自己PR・成長体験
学校生活や社会生活での経験、協調性・目標達成・課題解決
- 仕事への意欲・公務員としての姿勢
県職員としての抱負、現場での役割、チームワーク
- 教育現場・警察事務等への理解
配属先(教育現場・警察事務など)の課題理解、現場目線の取り組み
- 地域・社会課題への関心
最近関心を持ったニュースや出来事
頻出分野・キーワードの分析
- 人物評価が主軸であり、これまでの体験を「県職員としてどう生かすか」に着目。
- 地域の課題にも関心が求められるが、より「現場実践」や「人物的な強み」をアピールできる内容が問われやすい。
Ⅲ 種
- 自己PR・実体験・成長エピソード
学校生活、部活動、日常生活での成長や目標、苦労・感動体験
- 県職員としての意欲・将来像
「どんな県職員になりたいか」「岩手県のために取り組みたいこと」
- 地域・社会への関心
最近の出来事や社会問題への考え
頻出分野・キーワードの分析
- 誠実さ・協調性・基礎的な人柄重視。
- 複雑な政策課題よりも、「自分らしさ」「成長」「意欲」を素直に表現できるかが評価ポイント。
対策と勉強法のポイント
論点整理・文章構成のコツ
論文・作文試験で高評価を得るためには、与えられた課題に対し、「背景 → 問題点の指摘 → 解決策の提示 → 自身の姿勢や意欲の表明」という一貫した構成を意識することが重要です。特に、岩手県庁の出題では「人口減少や地域活性化」「震災復興・防災」「福祉や多文化共生」といった県独自の課題解決力が問われる傾向が強いため、具体的な施策や自分の考えを論理的に展開する力が必要となります。
また、文字数は明示されていませんが、論点ごとに簡潔なメモを作成し、構成を整理することで、本番でも時間を効率的に使うことができます。実際の仕事をイメージし、現場目線で具体例を挙げると説得力が増します。
情報収集と自治体研究のポイント
岩手県庁の論文・作文試験で高得点を目指すには、岩手県が現在推進している施策や直近の課題を正確に理解することが不可欠です。
まず、岩手県公式ホームページや「いわて県民計画」「復興計画」などの資料を参照し、人口減少対策や産業振興、防災・減災、多文化共生、福祉の充実といった重点分野の現状や施策内容を把握しておきましょう。また、地元新聞や県広報誌「いわてグラフ」、ニュースなどから具体的なデータやエピソードを収集し、自分なりに要点をノート等にまとめておくことが効果的です。
答案作成時には、数字や具体例を交えて論述することで説得力が増します。市民視点での行政への要望や新たな提案なども意識し、興味のあるトピックを深掘りしておきましょう。
本番までの対策フロー
岩手県庁の論文・作文試験で高得点を目指すためには、以下の流れで段階的に対策を進めていくことが効果的です。
- 出題傾向・過去問の分析
過去数年分の出題テーマを確認し、頻出分野や問われやすい視点を把握します。
- 自治体の施策や現状の把握
岩手県の公式資料・ニュースから現状や課題、行政の重点政策を押さえます。
- 論点整理と構成練習
出題テーマごとに論点をメモにまとめ、文章構成を練習します。
- 模擬答案作成と添削
過去問・想定問を使い、実際に答案を書いて第三者に添削してもらいます。
- 現場や自分の経験の棚卸し
自己PRや現場視点が問われる場合に備え、自分の経験を整理しておきます。
以上のプロセスを繰り返すことで、岩手県庁の試験で求められる論理的な文章力と実践的な知識を効率的に身につけることができます。
その他、必要な対策や勉強法
岩手県庁の試験では、県政の最新動向だけでなく、震災復興や地域づくりに関する独自施策も多く出題されています。自治体研究を深める際は、県庁HPだけでなく県議会や地域振興局の情報も確認しましょう。また、社会人経験者や Ⅱ 種・Ⅲ 種の区分では、実体験や具体的なエピソードを使った論述力も重視されるため、自分の経験を振り返り、事前にまとめておくことをおすすめします。
論文・作文試験を通じて問われるのは、知識だけでなく、社会を見つめる目と自らの考えを整理する力です。岩手県庁の未来を支える公務員としての第一歩に向けて、日々の努力がきっと実を結ぶことを願っています。焦らず、自分のペースで、丁寧に準備を進めていってください。