青森県庁では、大学卒業程度、高等学校卒業程度、社会人枠など、多様な学歴・経歴に応じた試験区分・試験科目を設けて職員を採用しており、その中でも論文・作文試験は、人物評価に直結する極めて重要な試験です。本記事では、青森県庁の論文・作文試験の概要、出題傾向、過去問などを網羅的にまとめ、効率的な対策方法を詳しく解説します。
論文・作文試験の概要
受験区分ごとの試験形式・文字数・試験時間
以下は、青森県庁で実施されている各区分における論文・作文試験の実施条件です。
区分 | 試験形式 | 試験時間 | 文字数 |
---|
大学卒業程度 社会人枠 | 論文 | 60分 | 800字以内 |
高等学校 卒業程度 | 作文 | 60分 | 800字以内 |
論文・作文試験の過去問
大学卒業程度
- 問題形式:論文
- 試験時間:60分
- 文字数:800字以内
行政
過去問を表示
2023(令和5)年度
青森県では、若者の県外流出が人口減少の大きな要因となっている。若者の県内定着・還流を促し、青森県を働く場所、生きる場所として選ばれる地域にするため、県としてどのような取組ができるか、あなたの考えを述べなさい。
2022(令和4)年度
厚生労働省と警察庁が発表した「令和3年中における自殺の状況」によると、令和3年の青森県における自殺者数は前年から35人増え293人(男性217人、女性76人)で、人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は23.7人と全国で最も多く、また、前年の自殺死亡率からの増加幅は2.9ポイントと全国最大であった。このような状況を改善するため、県としてどのような取組が必要か、あなたの考えを述べなさい。
2021(令和3)年度
あなたが考える「暮らしやすい青森県」とはどのようなものか。その実現に向けた課題を挙げ、今後どのような取組を行っていくべきか、述べなさい。
2020(令和2)年度
新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」が公表されていますが、これを踏まえ今後の社会経済の在り方についてあなたの考えを述べなさい。
2019(令和元)年度
人口減少し、超高齢化時代を迎える青森県が今後も地域として生き残るために、今、特に力を入れて取り組むべきことについて、あなたの考えを述べなさい。
2018(平成30)年度
あなたが魅力を感じる地域とはどのようなものか、また、10年後の青森県をそのような地域にするにはどんなことに取り組んでいくべきか、考えを述べなさい。
2017(平成29)年度
青森県では人口減少が顕著であり、その中でも特に、若年層の県外流出が多くなっています。若者にとって魅力ある青森県とは何かを考え、若者の流出を防いだり、流出した若者が青森県に戻って来る、あるいは新たに若者が来るようにするために、どのような取組を行うべきかあなたの考えを述べなさい。
2016(平成28)年度
平成28年4月1日現在の青森県の推計人口は130万人を割り込んだところですが、人口減少がもたらす影響や課題を挙げ、それを克服するために行政がどのような対応をすべきか、あなたの考えを述べなさい。
2015(平成27)年度
本県の地域活性化に向けた課題を1つ挙げ、その課題解決に向け、県職員としてあなた自身がどう貢献できるかについて述べなさい。
2014(平成26)年度
より暮らしやすい青森県を実現するために、どういった取組が必要か述べなさい。
2013(平成25)年度
県職員として、どのような姿勢で仕事に臨むべきか、あなたの考えを述べなさい。
2012(平成24)年度
平成22年の調査で、本県の観光客を居住地別にみると、県内が約3分の2を占め、県外では北海道が4.8%、本県を除く東北が43.3%、関東36.1%(東京12.7%)、中部以西及び外国が15.7%となっている。県外からの観光客を増加させるためには、どのような観光商品等を、どの地域に、どのような方法で働きかけるのが効果的か、あなたの考えを述べなさい。
2011(平成23)年度
青森県の農林水産物、鉱工業品、観光資源等をはじめとする様々な地域資源の中から、全国や海外に売り込んでいけると考えるものを挙げ、それに係る今後の展開の方策について、あなたの考えを述べなさい。
2010(平成22)年度
青森県を元気にするため、県としてどのような分野にどのように取り組むべきか、あなたの考えを述べなさい。
2009(平成21)年度
安全・安心な社会の実現に向けて、県行政の果たす役割について、あなたの考えを述べなさい。
2008(平成20)年度
あなたの考える青森県の魅力を具体的に掲げ、それを活用した地域の活性化策について論じなさい。
2007(平成19)年度
廃棄物の発生抑制、再利用、再生利用の促進について、あなたの考えを述べなさい。
2006(平成18)年度
子どもの命を大切にする環境づくりについて、あなたの考えを述べなさい。
高等学校卒業程度
- 問題形式:作文
- 試験時間:60分
- 文字数:800字以内
一般事務
過去問を表示
2023(令和5)年度
コロナ禍によりあなたの生活がどう変化し、そこからどのようなことを学んだか述べなさい。
2022(令和4)年度
SNSを利用することのメリット、デメリットを挙げ、利用する上で注意すべきことについて、あなたの考えを述べなさい。
2021(令和3)年度
あなたがこれまでに「苦労した経験」と、その経験から何を学んだか述べなさい。
2020(令和2)年度
あなたが思う理想の青森県の姿と、そこに近づくためにはどうすればいいかを述べなさい。
2019(令和元)年度
あなたが考える青森県の問題点と、その解決方法について述べなさい。
2018(平成30)年度
若者が県外へ流出することについて、どのように考え、あなたは何をしていきたいか述べなさい。
2017(平成29)年度
あなたが思う青森県の魅力は何かについて、述べなさい。
2016(平成28)年度
最近、最も感動したことについて述べなさい。
2015(平成27)年度
青森県の好きなところ(場所、施設等)について述べなさい。
2014(平成26)年度
最近関心を持った出来事と、それに対するあなたの考えを述べなさい。
2013(平成25)年度
10年後、どんな県職員になっていたいか述べなさい。
2012(平成24)年度
最近の世の中で「おかしいな」と思うことと、それに対するあなたの考えを述べなさい。
2011(平成23)年度
最近のニュースで関心を持ったことと、それについてのあなたの考えを述べなさい。
2010(平成22)年度
これからチャレンジしたいこと。
2009(平成21)年度
最近感動したこと。
2008(平成20)年度
私がやりがいを感じるとき。
2007(平成19)年度
私を成長させた出来事。
2006(平成18)年度
失敗から学んだこと。
大学卒業程度・社会人枠
- 問題形式:論文
- 試験時間:60分
- 文字数:800字以内
行政
過去問を表示
2023(令和5)年度
青森県では、若者の県外流出が人口減少の大きな要因となっている。若者の県内定着・還流を促し、青森県を働く場所、生きる場所として選ばれる地域にするため、県としてどのような取組ができるか、あなたの考えを述べなさい。
※ 大学卒業程度(行政)と同一問題
2022(令和4)年度
厚生労働省と警察庁が発表した「令和3年中における自殺の状況」によると、令和3年の青森県における自殺者数は前年から35人増え293人(男性217人、女性76人)で、人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は23.7人と全国で最も多く、また、前年の自殺死亡率からの増加幅は2.9ポイントと全国最大であった。このような状況を改善するため、県としてどのような取組が必要か、あなたの考えを述べなさい。
※ 大学卒業程度(行政)と同一問題
2021(令和3)年度
あなたが考える「暮らしやすい青森県」とはどのようなものか。その実現に向けた課題を挙げ、今後どのような取組を行っていくべきか、述べなさい。
※ 大学卒業程度(行政)と同一問題
2020(令和2)年度
新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」が公表されていますが、これを踏まえ今後の社会経済の在り方についてあなたの考えを述べなさい。
※ 大学卒業程度(行政)と同一問題
2019(令和元)年度
人口減少し、超高齢化時代を迎える青森県が今後も地域として生き残るために、今、特に力を入れて取り組むべきことについて、あなたの考えを述べなさい。
※ 大学卒業程度(行政)と同一問題
2018(平成30)年度
高齢者がその能力を活かし、生き生きと活躍できる場を創出するために、どのように取り組むべきかあなたの考えを述べなさい。
2017(平成29)年度
行政と民間事業者との協働・連携のあり方について、これまでの経験を踏まえながらあなたの考えを述べなさい。
2016(平成28)年度
あなたが社会に出てからこれまでの間に達成感を得られた出来事と、その経験を県職員として今度どのように活かしていくかについて述べなさい。
2015(平成27)年度
あなたがどのようなきっかけで本県の職員採用試験を受験しようと考えたのか、またこれまで培ってきた経験を生かし、県職員としてあなた自身がどう貢献できるかについて述べなさい。
2014(平成26)年度
これからの公務員像について述べなさい。
2013(平成25)年度
青森県が抱える課題を一つ挙げ、それに対する、あなたの考えを述べなさい。
2012(平成24)年度
本県の一人当たりの県民所得は全国的に低い水準にあります。県民所得を高めるため、農林水産業や商工、観光業などの産業分野のうち特定の分野をあげながら、重点的に展開すべき具体的な方策とその効果について、あなたの考えを述べなさい。
出題傾向と頻出テーマの分析
出題傾向の解説
- 大学卒業程度・社会人枠
- 人口減少や若者の流出、定着促進といった地域の根本課題
- 自殺対策、暮らしやすい社会づくり、地域活性化、観光振興、産業振興
- コロナ禍を踏まえた社会変化への対応や「新しい生活様式」
- 職員としての資質、仕事に対する姿勢や貢献の在り方
- 実際の職務経験や具体的な社会人視点を活かした論述
- 高等学校卒業程度
- 身近な生活経験や成長・感動した出来事の振り返り
- 青森県の好きなところや理想の県像、将来の目標
- SNSやニュースなど時事的な話題への関心や考え
- 自分の体験や感じた課題を県政や地域づくりと関連付けて述べる問題
近年は、人口減少・若者の流出対策・定着促進を中心に、社会変化への適応や地域の魅力発信、県職員としての姿勢・意欲など、青森県の直面する現実的な課題を題材にした出題が多くなっています。また、高校卒業程度では、自己理解や日常生活の学びを県政への関心につなげる内容が重視されています。
頻出分野・キーワードの解説
青森県庁の論文・作文試験で頻出の分野・キーワードを以下に整理します。
- 人口・地域の持続性
地域社会が今後も発展・存続していくための基盤強化策。若者の流出防止、地元経済や産業の振興、雇用・所得の拡大が主なテーマ。
- 人口減少対策
- 若者定着
- 地域活性化
- 産業振興(農林水産業、観光など)
- 県民所得向上
- 働く場の創出
- 福祉・健康・暮らし
県民一人ひとりが安心して健康に暮らせる社会の実現に向けた取り組み。自殺防止、福祉の充実、生活環境の改善などが含まれます。
- 安全・防災
県民の命と暮らしを守るための施策。災害対策や地域の安全確保、安心なまちづくりなどがポイントです。
- 社会変化への適応
感染症など社会的な変化への柔軟な対応や、ニューノーマルへの適応力を問うテーマです。
これらの分野は、行政職・社会人枠に限らず、一般事務や高校卒業程度の区分でも繰り返し出題されています。地域の現状や課題に即した解決策を考える力、青森県の公式資料やニュースで得た具体的データや施策を自分の意見に絡めることが重要です。
対策と勉強法のポイント
論点整理・文章構成のコツ
論文・作文試験で高評価を得るためには、与えられた課題に対して、「現状の背景」→「課題や問題点の指摘」→「解決策の提示」→「自身の姿勢や意欲の表明」という一貫した構成を意識することが重要です。特に、青森県庁の出題では「人口減少」や「若者の定着」、「健康・福祉」などが問われる傾向が強いため、過去問を参考にしながら実体験や具体的なデータを交えて論述する練習を重ねることが大切です。
また、文字数条件が800字以内と比較的短いため、要点を絞った構成メモを作る練習を行い、端的にまとめる力を養いましょう。
情報収集と自治体研究のポイント
青森県庁の論文・作文試験で高得点を目指すには、県が現在取り組む重点施策や、直近の課題を正確に理解することが不可欠です。
まず、青森県公式ホームページや「青森県総合計画」「人口減少対策本部」などを参照し、若者定着・還流の促進、人口減少対策、産業・観光振興、健康福祉、地域経済活性化など主要分野の現状や施策内容を把握しましょう。あわせて、東奥日報や県の広報誌「AOMORI MAG」、ニュースなどから、具体的なデータや取り組み事例を収集することも重要です。ノートやカードに要点を整理し、答案作成時には“数字”や“具体例”を盛り込むことで説得力が高まります。また、市民目線の改善提案や、自分なりの視点で青森県の未来を考える姿勢も評価されるポイントです。
本番までの対策フロー
青森県庁の論文・作文試験で高得点を目指すためには、以下の流れで段階的に対策を進めていくことが効果的です。
- 過去問・出題傾向の分析
過去数年分の問題をチェックし、出題テーマやキーワードを把握します。
- 重点施策・行政資料の確認
県の公式サイトや総合計画、人口減少対策関連の資料を参照し、現状・課題をまとめます。
- 自己分析・エピソード整理
自身の体験や関心を、県政の課題解決や地域づくりの視点でストックしておきます。
- 構成メモ・模擬答案の練習
800字以内で論理的にまとめる練習を繰り返し、時間配分や表現をブラッシュアップします。
- 添削・フィードバック活用
家族や第三者、先生などに答案を見てもらい、改善点を明確にします。
以上のプロセスを繰り返すことで、青森県庁の試験で求められる論理的な文章力と実践的な知識を効率的に身につけることができます。
その他必要な対策や勉強法
- 青森県独自の現状や課題への理解
青森県は人口減少や若者の県外流出が特に深刻な地域の一つです。県が公表している「人口ビジョン」や「地方創生関連資料」などを積極的に確認し、地元企業の動向、観光資源の活用状況なども情報収集しておくと、答案の具体性が高まります。
- 最新の時事問題・社会情勢の把握
自殺対策や高齢化、健康づくり、DX(デジタルトランスフォーメーション)といった社会的テーマにも目を向け、行政の新たな取り組みや全国的な流れにも注意を払いましょう。
- 生活体験や身近な視点の活用
高卒区分では、学校や家庭での経験、身近な地域活動などを例示できるよう準備し、単なる感想文にならないよう「県政とのつながり」を意識した答案づくりを意識しましょう。
論文・作文試験を通じて問われるのは、知識だけでなく、社会を見つめる目と自らの考えを整理する力です。青森県庁の未来を支える公務員としての第一歩に向けて、日々の努力がきっと実を結ぶことを願っています。焦らず、自分のペースで、丁寧に準備を進めていってください。