三重県庁|論文・作文|過去問まとめ【頻出テーマ・傾向分析つき】

三重県庁では、大学・短大・高卒・職務経験者・障がい者など、多様な学歴・経歴に応じた試験区分・試験科目を設けて職員を採用しており、その中でも論文・作文試験は、人物評価に直結する極めて重要な試験です。本記事では、三重県庁の論文・作文試験の概要、出題傾向、過去問などを網羅的にまとめた上で、効率的な対策方法を詳しく解説します。


論文・作文試験の概要

受験区分ごとの試験形式・文字数・試験時間

以下は、三重県庁で実施されている各区分における論文・作文試験の実施条件です。

試験区分形式試験時間文字数
A試験・B試験論文90分1200字
C試験作文60分600字
社会人を対象とした三重県職員等採用候補者試験作文60分600字
障がい者を対象とした三重県職員等採用選考作文60分600字

論文・作文試験の過去問

以下に、三重県職員採用試験の論文・作文試験の過去問を年度・区分別に整理します。

A試験

  • 問題形式:論文
  • 試験時間:90分
  • 文字数:1200字

一般行政分野(行政 Ⅰ )

一般行政分野(行政 Ⅱ )

一般行政分野(行政・秋季)

B試験

  • 問題形式:論文
  • 試験時間:90分
  • 文字数:1200字

警察事務・市町立小中学校職員B試験(学校事務)

C試験

  • 問題形式:作文
  • 試験時間:60分
  • 文字数:600字

一般行政分野(一般事務)・警察事務・市町立小中学校職員C試験(学校事務)

民間企業等職務経験者

※ 2020年度より新設

  • 問題形式:作文
  • 試験時間:60分
  • 文字数:600字

一般行政分野(一般事務)・警察事務・市町立小中学校職員(学校事務)

障がい者採用選考

  • 問題形式:作文
  • 試験時間:60分
  • 文字数:600字

一般行政分野(一般事務・一般事務【特別枠】)・警察事務


出題傾向と頻出テーマの分析

以下に、三重県庁の論文・作文試験の出題傾向と頻出テーマを分析・整理します。

A試験(一般行政〈行政Ⅰ〉ほか)

出題傾向

設問形式
  • 課題解決型・政策提案型(地域公共交通、人口減少、カーボンニュートラル、男女共同参画、県財政など)
  • 県の現状・課題の整理 → 施策の提案 → 実行時の留意点まで踏み込む構成が多い
主な着眼点
  • 県民生活への影響(移動、雇用、子育て、安全・安心)
  • 実行可能性(役割分担、費用対効果、段階的実施、優先度)
  • 根拠・裏付け(公表資料や一般に知られるデータに基づく理由づけ)
答案のポイント
  • 冒頭で「現状」と「課題」を2~3点に絞って提示し、対策は短期・中期・長期に整理
  • 提案には具体策(対象、手段、期待できる変化、目標数値)を添える
  • 限られた予算に触れる設問では、優先順位と選択理由を明記
出題傾向の分析

地域公共交通、人口減少、環境・エネルギー、財政といった「県全体の土台」に関わるテーマが中心です。単なるアイデアではなく、実行手順や関係者の役割まで書けるかが差になります。目標管理の語を使わずとも、到達したい状態と測り方(目標数値)を明確に書くと、説得力が高まります。

頻出分野・キーワード

頻出分野・キーワード
  • 人口・地域:人口減少、移住定住、子育て支援、地域交通、観光振興
  • 環境・エネルギー:ゼロエミッションみえ、再生可能エネルギー、省エネ、脱炭素
  • 産業・働き方:中小企業支援、デジタル活用、女性活躍、リニア中央新幹線
  • 防災・安全:南海トラフ地震、風水害、減災・事前対策、復旧・復興
  • 財政・運営:優先順位付け、費用対効果、官民連携、段階的実施
頻出分野・キーワードの分析

どの分野でも、県民の暮らしにどう効くかが評価の軸です。提案には、根拠・裏付け(公表統計や既存計画の方針など)を添え、関係主体(県・市町・民間・住民)の役割分担進め方(試行→拡大→定着)を書けると完成度が上がります。

一般行政(行政Ⅱ)・一般行政(秋季)ほか

出題傾向

設問形式
  • 自由設定テーマ型(総合計画「強じんな美し国ビジョンみえ」「みえ元気プラン」に沿って自分で論題設定)
  • 社会課題の整理+県の打ち手(デジタル化、カスタマーハラスメントなど)
主な着眼点
  • 計画の方針とのつながり(計画の柱・目標と自案の整合)
  • 対象や地域を具体化(誰に、どこで、何を)
  • 効果の見込み(変化の見取り図、簡潔な目標数値)
答案のポイント
  • 自由テーマはタイトルを明快に(例:公共交通の乗継改善で買い物弱者を減らす)
  • 現状 → 課題 → 対策 → 実施手順 → 期待される変化の順に整理
出題傾向の分析

自ら課題を見つけ、計画と結び付けて解を出せるか」を見ています。難しい語は避け、図解のつもりで段落を役割分担すると読みやすくなります。

頻出分野・キーワード

頻出分野・キーワード
  • 計画との連動:強じんな美し国ビジョンみえ、みえ元気プラン
  • 働き方・人材:女性活躍、担い手確保、学び直し
  • デジタル:行政のデジタル化、窓口の負担減、オンライン活用
  • 地域基盤:交通、医療・買い物支援、防災の平時化
頻出分野・キーワードの分析

計画で示された方向性を引用しつつ、市町・民間との役割分担段階的な導入を示すと、実行像が伝わります。

B試験(警察事務・学校事務B)

出題傾向

設問形式
  • 生活に近い社会課題の政策提案(高齢化、災害、ひきこもり支援、地域の魅力発信)
主な着眼点
  • 「対象者」の具体化(高齢者、子ども・家庭、支援が必要な人など)
  • 関係機関の連携(学校、福祉、警察、NPO、地域)
答案のポイント
  • 課題を3層(本人・家族/地域・学校/行政・制度)で分け、対策を重ねる
  • 成果の示し方は「目標数値」だけでなく、望ましい状態の描写でもよい
出題傾向の分析

現場感」と「制度」の二視点の両立をテーマとした出題が多い傾向です。関係者の役割を箇条書きで整理し、つながりを作る施策について論述するとまとまり易いです。

頻出分野・キーワード

頻出分野・キーワード
  • 地域包括:高齢者支援、孤立防止、ひきこもり支援
  • 防災:発災前・時・後の段階別対策、要配慮者支援
  • 魅力発信:観光、県産品、移住促進、企業誘致
頻出分野・キーワードの分析

誰に何をどう届けるか」に関するテーマが多いです。相談の入り口を増やす仕組み伴走型支援について書くと具体性が増します。

C試験(一般行政・警察事務・学校事務C)

出題傾向

設問形式
  • 体験重視型(信頼される職員像、協力、目標達成、社会問題への関心)
主な着眼点
  • 具体的な出来事 → 自分の行動 → 学んだこと → 職務での活かし方
答案のポイント
  • 一つの体験に絞る(起承転結をはっきり)
  • 最後は市民対応の姿勢公務の目的につなげて締める
出題傾向の分析

過去の体験」と「仕事・社会」を結びつける出題が多い傾向。過去の経験については、読み手が情景を思い浮かべられるよう、その時の状況・人数・自分の役割を短く入れると伝わりやすいです。

社会人を対象とした採用候補者試験

出題傾向

設問形式
  • 職務経験の活用、労働力不足・ジェンダーの課題などに対する提案
主な着眼点
  • これまでの経験(役割・規模・成果)→県での生かし方
  • 提案の根拠・裏付け(現場で見た事実や公開データ)
答案のポイント
  • 職務での改善事例を1つ選び、「課題→打ち手→結果→学び」を簡潔に
  • 県での展開は小さく始めて広げる手順を示す
出題傾向の分析

「過去の職務経験を、行政の現場でどう活かすか」が問われる傾向にあります。自己分析を通して、過去の経験・自分の強みを洗い出ししておきましょう。

民間企業等職務経験者

出題傾向

設問形式
  • 改善・学び・強みの提示と、県行政への応用(人材・産業・デジタル・大会開催など)
主な着眼点
  • 再現性(同じ手順で他部署・他市町でも通用するか)
  • 関係者調整や安全面など、公務ならではの配慮
答案のポイント
  • 背景 → 課題 → 取り組み → 結果 → 県での展開」の5点を1~2文ずつ
  • 成果は数値変化または行動の変化で簡潔に示す
出題傾向の分析

経験を県政でどう活かすか」が問われる傾向にあります。他組織・企業等での事例を、公務に通用する形へ整理し直せるかが評価ポイントです。成果の目安(例えば処理時間の短縮など)は、難しい言い回しを避け、誰にでも伝わる言葉で示しましょう。

頻出分野・キーワード

頻出分野・キーワード
  • 人材確保・定着:働きやすい職場づくり、育成、業務の見直し
  • 職場の多様性:性別役割分担の固定観念の解消、公正な評価
  • 組織運営:手続の簡素化、段取りの標準化、記録の整備
頻出分野・キーワードの分析

県庁の業務は関係者が多く、ルール遵守が前提です。小さな工夫や改善を積み上げる視点(段取り、記録、見える化)を意識しましょう。

障がい者採用選考(一般事務ほか)

出題傾向

設問形式
  • 自己理解と職務への意欲(大切にしたいこと、挑戦、長所、活かし方)
主な着眼点
  • 自分の強み・工夫・配慮の共有、チームで働く姿勢
答案のポイント
  • 経験を1つ選び、「気づき」と「次の行動」で締める
出題傾向の分析

自己理解と職務理解に関する出題が多いです。業務の流れに自分の強みを置き換えられるか、チームで働く前提を押さえているかが評価されます。

頻出分野・キーワード

頻出分野・キーワード
  • 長所の活用:正確さ、継続力、丁寧な対応、観察力
  • 仕事観:責任感、誠実さ、周囲との連携、報告・連絡・相談
頻出分野・キーワードの分析

「できること」「必要な配慮」「生かし方」をセットで語れると、実務のイメージが伝わりやすいです。


対策と勉強法のポイント

論点整理・文章構成のコツ

論文(A試験・B試験・一般行政Ⅱ・秋季)

三重県庁の論文試験で高評価を得るためには、与えられた課題に対し、「現状整理 → 課題の核心(2~3点)→ 具体策(短期・中期・長期)→ 実施手順と期待される変化」という構成を意識することが大切です。特に、三重県の出題では実行可能性と優先順位が問われる傾向が強いため、対象・手段・役割分担・目標数値を簡潔に示すことが重要となります。また、文字数条件が1200字と比較的長文であるため、事前に構成メモを作成する習慣をつけておくと、本番でも時間を効率的に使うことができます。

作文(C試験・社会人対象・障がい者選考)

600字の作文では、「具体的な一場面 → 自分の行動 → 学んだこと → 仕事での活かし方」の順でまとめると読みやすくなります。短い分、エピソードは一つに絞るのがコツです。抽象論よりも、数字や状況(人数、期間など)の一言を入れると、信頼感が高まります。

情報収集と自治体研究のポイント

三重県庁の論文・作文試験で高得点を目指すには、三重県が現在推進している施策や直近の課題を正確に理解することが不可欠です。まず、三重県の公式ホームページや「強じんな美し国ビジョンみえ」「みえ元気プラン」「三重県地域公共交通計画」「ゼロエミッションみえ」などを参照し、人口減少対策・地域公共交通・脱炭素・観光振興・防災といった重点分野の現状や施策内容を把握しておきましょう。また、時事的な話題にもアンテナを張り、地域新聞や行政の広報誌、ニュースなどから具体的なデータやエピソードを収集することも重要です。自分なりにまとめた要点をノートやカードに整理し、答案作成時には何らかの具体例を交えて論述することが説得力を高めるポイントとなります。市民視点での要望や改善点、新たな施策の提案など、興味を持ったトピックを独自の視点で深掘りする姿勢も大切です。

本番までの対策フロー

論文(A・B・一般行政Ⅱ・秋季)

  • 出題領域の地図づくり:過去問を分野別(人口・交通・環境・産業・防災・財政)に仕分け
  • 型の練習:「現状→課題→対策→手順→変化」の5段構成で200~300字ずつ書く練習
  • 素材集め:計画名・施策名・簡単な数値(目標数値)をカード化
  • 60分模試:10分構成、45分清書、5分見直しの配分で繰り返す
  • フィードバック:課題の絞り込みと具体策の粒度を調整

作文(C・社会人対象・障がい者選考)

  • エピソード選定:一番伝えたい経験を1つに絞る
  • 設計:「場面→行動→学び→活かし方」で各150字目安
  • 表現調整:主語と述語を近づけ、結論で「市民への貢献」に接続
  • 時間配分:5分構成、45分清書、10分見直し(誤字・主張のぶれを確認)

論文・作文試験を通じて問われるのは、知識だけでなく、社会を見つめる目と自らの考えを整理する力です。三重県の未来を支える公務員としての第一歩に向けて、日々の努力がきっと実を結ぶことを願っています。焦らず、自分のペースで、丁寧に準備を進めていってください。

(過去問引用:三重県HP