名古屋市役所|論文・作文|過去問まとめ【頻出テーマ・傾向分析つき】

名古屋市役所では、第1類(大学卒業程度)・第2類(高校卒業程度)・職務経験者・就職氷河期世代・障がい者対象など、多様な学歴・経歴に応じた試験区分・試験科目を設けて職員を採用しており、その中でも論文・作文試験は、人物評価に直結する極めて重要な試験です。本記事では、名古屋市役所の論文・作文試験の概要、出題傾向、過去問などを網羅的にまとめた上で、効率的な対策方法を詳しく解説します。


論文・作文試験の概要

受験区分ごとの試験形式・文字数・試験時間

以下は、名古屋市役所で実施されている各区分における論文・作文試験の実施条件です。

区分形式試験時間文字数
第1類(大学卒業程度)論文60分制限なし(論文用紙1枚両面におさまる範囲内)
職務経験者論文60分制限なし(論文用紙1枚両面におさまる範囲内)
第2類(高校卒業程度)作文60分制限なし(作文用紙1枚両面におさまる範囲内)
就職氷河期世代作文60分制限なし(作文用紙1枚両面におさまる範囲内)
障がい者を対象とした採用選考作文60分制限なし(作文用紙1枚両面におさまる範囲内)

論文・作文試験の過去問

以下に、名古屋市職員採用試験の論文・作文試験の過去問を年度・区分別に整理します。

第1類(大学卒業程度)

  • 問題形式:論文
  • 試験時間:60分
  • 文字数:字数制限なし
    ※ 論作文用紙1枚(両面)におさまる範囲内

事務(行政A・行政B・情報)・学校事務・技術系(土木・建築・電気)

第2類(高校卒業程度)

  • 問題形式:作文
  • 試験時間:60分
  • 文字数:字数制限なし
    ※ 論作文用紙1枚(両面)におさまる範囲内

事務(行政A)・学校事務

職務経験者採用

  • 問題形式:論文
  • 試験時間:60分
  • 文字数:字数制限なし
    ※ 論作文用紙1枚(両面)におさまる範囲内

事務(行政A・社会福祉)・学校事務

就職氷河期世代採用

  • 問題形式:作文
  • 試験時間:60分
  • 文字数:字数制限なし
    ※ 論作文用紙1枚(両面)におさまる範囲内

行政A

障がい者採用選考

  • 問題形式:作文
  • 試験時間:60分
  • 文字数:字数制限なし
    ※ 論作文用紙1枚(両面)におさまる範囲内

行政A・学校事務


出題傾向と頻出テーマの分析

以下に、名古屋市役所の論文・作文試験の出題傾向と頻出テーマを分析・整理します。

第1類(大学卒業程度)

出題傾向

設問形式
  • 政策提案型・課題分析型(DX、次期総合計画の都市像、災害対策、多文化共生、環境、子育て支援 など)
  • 対象者明示型(「誰に何を」「なぜ今」を問う)
主な着眼点
  • 現状と課題の整理力(根拠の明示、客観データや制度の理解を要約して示せるか)
  • 実現可能性(関係主体・財源・工程・リスクを踏まえた提案か)
  • 市民価値(市民の利便・安全・公平性の向上につながるか)
答案のポイント
  • 序論でテーマの定義と背景を簡潔に提示
  • 本論で課題→原因→施策(誰に/何を/どうやって)→効果箇条書き気味に明確化
  • 結論で優先順位とKPI例(例:利用率、満足度、処理時間短縮)を示し、実行性を強調
出題傾向の分析

「現状→課題→対策→効果」の骨格が安定。DX・多様性・防災・子育て・国際都市などに絡めると書き易い傾向。具体性と市民視点が得点差を生むため、抽象論だけで終わらせない構成が重要です。

頻出分野・キーワード

頻出分野・キーワード
  • デジタル・行政DX:デジタルデバイド、業務プロセス改革、住民利便
  • 防災・減災:南海トラフ地震、内水氾濫、要配慮者支援、レジリエンス
  • 多文化共生:生活相談、医療・教育アクセス、やさしい日本語
  • 子育て・教育:待機児童、若者支援、学びの保障
  • 環境・交通:脱炭素、公共交通の利便性、モビリティ・マネジメント
頻出分野・キーワードの分析

各分野とも「対象者の特定」→「現状の課題」→「具体的な対応策」で書き分けると一貫性が出ます。たとえばDXなら「高齢者×窓口」「子育て世帯×オンライン申請」のように“誰に何を”をはっきりさせると評価が安定します。


第2類(高校卒業程度)

出題傾向

設問形式
  • 体験重視型(協力して達成した経験、工夫したこと、学んだこと)
  • 役割・学びの説明型(自分の行動→結果→気づき)
主な着眼点
  • 具体的なエピソード(部活・委員会・アルバイト・ボランティア)
  • 協力・責任感・誠実さが伝わるか
  • 市役所での仕事にどう生かすかのつなぎ
答案のポイント
  • 出来事→自分の役割→工夫→結果→学び→公務での活用の順で簡潔に
  • 難しい言葉は避け、具体的な行動を短文で
  • **行数の指定(10行程度など)**を守り、ムダを削る
出題傾向の分析

人物評価が中心。正直で具体的な振り返りが強みになります。“失敗 → 改善”の流れを書けると、成長性が示せます。

頻出分野・キーワード

頻出分野・キーワード
  • 協力・チームワーク役割分担時間管理
  • 失敗からの学び粘り強さ報連相
  • 地域への思い相手の立場で考える
頻出分野・キーワードの分析

「行動が変わった瞬間」を1つ入れると説得力が増します(例:「遅刻をなくすために前日準備を仕組み化した」など)。


職務経験者採用

出題傾向

設問形式
  • 課題解決型・経験活用型(SDGs、DX、産業・中小企業支援、WLB、国際イベント活用)
  • 現状・課題→施策→実行上の課題と解決まで求めるケースが多い
主な着眼点
  • 再現性ある実績(数字・プロセス・役割)
  • 行政文脈への翻訳(民間の方法論を公的サービスへ)
  • 合意形成・リスク管理・ガバナンスへの理解
答案のポイント
  • 事実ベースのエピソード(KPI・Before/After・関係者)
  • 政策目的との接続(住民価値/公平性/説明責任)
  • 段階実行(パイロット→横展開)で実現性を担保
出題傾向の分析

経験の羅列ではなく“行政課題との橋渡し”が鍵。合意形成・情報発信・データ活用など、公共組織ならではの視点を加えると厚みが出ます。

頻出分野・キーワード

頻出分野・キーワード
  • 業務改善・BPR行政DX(窓口混雑緩和、オンライン化)
  • 中小企業支援(人手不足、資金繰り、デジタル対応)
  • 都市魅力とイベント活用(アジア大会等のレガシー)
  • ワーク・ライフ・バランス(生産性・メンタルヘルス・育成)
頻出分野・キーワードの分析

「誰の、どの課題を、どう変えたか」を定量+定性で示すのがコツ。関係者調整の手順(関係部局・事業者・住民)まで触れると評価が上がります。


就職氷河期世代採用

出題傾向

設問形式
  • 主体性・協働・役割発揮を問う体験記述が中心(行数指定あり)
主な着眼点
  • 継続性ある取り組み責任を持った行動成果への貢献
  • 公務での活用イメージの明確さ
答案のポイント
  • 具体的な場面 → 行動 → 成果 → 学び → 行政での活用を一直線に
  • 過度な自己PRよりも「役に立つ力」を淡々と提示

頻出分野・キーワード

  • 主体性周囲を巻き込む改善提案コミュニケーション

障がい者採用選考

出題傾向

設問形式
  • 協力して達成した経験/自分の行動/学んだことの3点整理を求める形式
主な着眼点
  • チームで働く力誠実さ安全・安心な職場づくりへの配慮など
答案のポイント
  • 短文・具体・結論先行で読みやすく
  • 相手の立場で考えた行動を1つ入れる

頻出分野・キーワード

  • 協力報連相思いやり基本ルールの遵守

対策と勉強法のポイント

論点整理・文章構成のコツ

第1類(大学卒業程度)

名古屋市の論文で高評価を得るには、「背景・現状の整理 → 課題(原因) → 施策(対象・手段・体制) → 効果・KPI・リスク対応」という構成を意識することが大切です。特に、市民視点(利便・安全・公平)と実現性(財源・工程・関係者)が問われる傾向が強いため、図式化した構成メモを事前に作ると論理の流れが安定します。字数制限はありませんが用紙上限があるため、見出し風の小見出しや箇条書きで読みやすさを高めましょう。

第2類(高校卒業程度)

出来事 → 自分の役割 → 工夫 → 結果 → 学び → 公務での活用」の6ステップで書くと、筋の通った作文になります。短文・具体例重視で、同じ表現の繰り返しを避け、10行指定などの条件を守る練習をしておくと安心です。

職務経験者採用

「経験(事実)→得た力(スキル・姿勢)→行政での活用(対象・施策・KPI)」でまとめます。BPR/DX/合意形成などは成功要因と失敗要因の両方に触れると再現性が伝わります。

就職氷河期世代採用

キーワードは主体性・継続・協働役割と成果を具体化し、名古屋市での活用像を短く明確に示しましょう。

障がい者採用選考

3点セット(経験/行動/学び)を見やすい段落で整理。報連相とチーム意識をはっきり書くと評価につながります。


情報収集と自治体研究のポイント

名古屋市の論文・作文で高得点を目指すには、市の総合計画・DX推進方針・防災計画・多文化共生施策・子ども若者支援・環境政策などの公式資料を把握することが不可欠です。市の公式ページのほか、広報なごや・市政ニュース、議会だより、地域紙から具体事例や数字をメモ化し、自分の言葉で要約しておきましょう。答案では、名古屋ならではの課題(大都市の防災、交通、産業、国際性)に触れつつ、市民の実感に近い効果(待ち時間短縮、負担軽減、安心感)で締めると説得力が増します。


本番までの対策フロー

第1類(大学卒業程度)

  1. 過去問マッピング:分野(DX/防災/多文化/子育て/環境)ごとに論点整理
  2. 施策テンプレ作成:対象・手段・体制・KPI・リスクをひな形化
  3. 60分実戦演習構成5–7分 → 本文45分 → 推敲8–10分
  4. 添削ループ:冗長表現削減・“誰に何を”の明確化・具体性を強化

第2類(高校卒業程度)

  1. エピソード台帳:協力・失敗克服・時間管理などを10行で要約
  2. 6ステップ型練習:出来事→役割→工夫→結果→学び→活用
  3. 制限内清書:用紙上限を想定し、字をそろえて読みやすく

職務経験者採用

  1. 成果棚卸し:数値・役割・関係者・プロセスを1案件1ページで整理
  2. 行政翻訳:住民価値・公平性・説明責任の観点で再構成
  3. 60分演習導入(課題定義)を短く、施策は段階実行で

就職氷河期世代採用

  1. 主体性事例の精選:継続・協働・改善の1本に絞る
  2. 行動→成果→学びを箇条書き化し、公務活用へ接続
  3. 行数管理の練習:冗長表現を削って結論先行

障がい者採用選考

  1. 3点整理:経験/自分の行動/学びを見出し付き
  2. 報連相・安全配慮など職場基本力を具体表現で追加
  3. 清書練習:短文・段落区切りで読みやすさを最優先

その他必要な対策や勉強法(任意)

  • 見出し・箇条書きの活用:採点者に論理が一目で伝わるようにする
  • 自分用KPI辞書:効果指標(満足度、処理時間、利用率、コスト、事故件数等)を事前に準備
  • リスクと代替案:主施策が難しい場合のプランBを一言添えると強い

論文・作文試験を通じて問われるのは、知識だけでなく、社会を見つめる目と自らの考えを整理する力です。名古屋市の未来を支える公務員としての第一歩に向けて、日々の努力がきっと実を結ぶことを願っています。焦らず、自分のペースで、丁寧に準備を進めていってください。

(過去問引用:名古屋市HP